LATER SONS 「Rise Up」'23 AOR&産業ロック系バンドであるLIONCAGEの元メンバーが新たに立ち上げたドイツ産メロディアスHRバンドLATER SONSのデヴュー作がリリースされたのを、少々遅れてGETしたのでご紹介。 Thorsten Bertermann (Vocal)、Torsten Lanndsberger (Drums)、Lars Konig (Guitar)の三人をコアメンバーに2013年にLIONCAGEは結成され、アルバム毎に豪華なゲストプレイヤー達を招いてJOURNEY、FOREIGNER、TOTO等に影響を受けた80年代風の良質なメロディアス・ロックを聴かせていたのですが、3rdアルバム・リリース時にSHE BITESにも在籍する Arvid Lucas (Bass)と、Bulent Sezen (Drums)のリズム隊2人を迎え遂にパーマネントなメンバー5人組バンドへメンツを固めてさらなる活動範囲を広げようとしていた矢先、惜しくも解散(音楽的意見の相違かメンバーの健康状態に問題?)してしまったが、シンガーの Thorsten BertermannとLIONCAGEの3rdアルバムから加わったリズム隊の2人に加え、新ギタリストにAVELONにも在籍する Markus Knubbeを迎え入れ新編成4人組バンドとして生まれ変わったLATER SONSで活動を続行し、遂に本デヴュー作をリリースするに至った。 メンバー構成的や似通ったメロディアスHRサウンドを身上とする事や所属レーベルもLIONCAGE時と同じPride & Joy Musicな事もあってLIONCAGEの4thアルバムとしてリリースしてもおかしくないように思えるのですが、Thorsten Bertermann的にコアメンバーだった2人が在籍していない以上は別バンドとして心機一転し新たに活動して行こうと考えた結果なのかもしれません。 80年代風AOR&産業ロック作をリリースしていたLIONCAGE、という字面だけ見ると『カルト作やドマイナー作だってリリースされて来た日本市場で何故にリリースが見送りに?』と思われる方も多いと思われますが、確かにメジャー・レーベル作ではないのに高品質サウンドで日本人受けしそうな80年代風のキャッチーなアルバムだったものの、結果的に一度も日本盤リリースされる事なかった事実からも伺えるように同時期にリリースされていた北欧メロハー系バンドやその他の数多の欧米メロディアス・バンド作と比べサウンドの完成度的に悪くも無く良くも無い中庸と言いましょうか、カルトやマイナー好きを刺激する程にマニアックでもなく、一級品を求める向きの多いAORファン的にはBクラス止まり、という良く言えばベーシックで手堅い創りの悪く言えば中途半端な仕上がり具合だったのが災いしたのか、そのLIONCAGEの元メンバーが結成した新バンドという“売り文句”が、殆どLIONCAGEに知名度が無いここ日本では効果が望めないのにちょっとモンニョリしてしまいます… ただ、LATER SONSがLIONCAGEと大きく違うのはメロディを創作する上で多大な割合を占めるギタリストが新たなメンバーとなり、更に以前の楽曲創作の中心人物が居ない事によって音楽的な変化も容易となった事で、実際LIONCAGEで聴けたサウンドを継承しつつも、エッヂあるヘヴィ・ギターを押し出したモダン・サウンドへ視線が向けられているのが明確にそのHRサウンドに現れており、本来AORよりHR向きであったザラついた苦りある声質のエモーショナルでソウルフルなヴォーカルは伸びやかに熱唱を聴かせ、フックあるキャッチーなメロディと耳を惹く巧みなリードギターが印象的な旋律を常に奏で続け、目立たないが気の利いたシンセ・アレンジやキャリアを感じさせるツノを心得たコンパクトな楽曲展開、そしてLIONCAGE時代よりも強調されているダイナミックでソリッドなリズム・ワーク等、より現代的なサウンドプロダクションが施されたパワフルなHRサウンドはLIONCAGEサウンドより歯切れ良く、新たに若いリスナーを獲得するのに有効に働くだろう。 LIONCAGE時代のアルバムは、エレガントでポップなサウンドやファンキーなグルーヴを楽しむ事も出来たし、魅力的なメロディに彩られたAOR作であったのは確かなれど、楽曲の仕上がり具合に少しムラがあり、JOURNEY、FOREIGNER、TOTO等の影響が露骨に現れていたのがB級マイナーなイメージを助長させていた気がするが、大幅にメンツが変ったのも手助けになったのかそういった負の面が薄れ、新しいバンドへ生まれ変わったのが良く分かるフレッシュなメロディアスハード・サウンドを聴くに、今後の活躍に期待が持てるのは間違いない。 クレジット的に当初シンガー Thorsten Bertermann主導のソロ・プロジェクトとして創作が進んだが、Pride & Joy Musicの助言か何かを受け入れて結果的に新生HRバンド作として本作が完成したように思え、今後メンバーからの創作面でのインプットが増えればさらなる音楽性の向上が予想出来るのが楽しみであります。 超個性的なサウンドでも技巧を駆使したプレイで魅せるバンドでもないけれど、確かな実力を感じさせる地味ながら実直で耳を惹く印象的な美旋律の詰め込まれた入魂のユーロ・メロディアスハード作、LIONCAGEファンは勿論、良質なメロディアス・ロック好きな方にお薦めしたい新人バンドのデヴュー作だ。 尚、友情出演でLIONCAGEの元ドラマー Torsten Lanndsbergerが客演とプロデュースで大活躍しているので、LIONCAGEファンは見逃せないですね。 Tracks Listing: 01. We Better Run 02. Never Surrender 03. Lady Rock 04. Follow Your Dream 05. Last Freedom 06. Rise Up 07. Family Affair 08. Heaven 09. Hometown Girl 10. Eye Of The Storm 11. Good Times, Bad Times LATER SONS Line-up: Thorsten "Berry" Bertermann (Lead Vocals、Backing Vocals) Markus Knubbe (Guitars) Arvid Lucas (Bass) Bulent Sezen (Drums) With: Torsten "Toddy" Lanndsberger (Additional Drums、Keyboards、Guitars) Sven Ludke (Additional Guitars on tracks 3、4、10) Eric Maldonado (Additional Guitars on track 10) Joe Castellini (Additional Guitars on track 5) Marc Baumgart (Additional Guitars on tracks 3、5、6) Lars Slowak (Bass on Track 5) Andreas Laude-Schwedewsky (Bass on Track 4) Anja Bublitz (Backing Vocals on Tracks 10、11) Billy King (Backing Vocals on Tracks 10) Marcin Palider (Bass on Track 10) Martin "Wunz" Hohmecier (Bass on Track 6) Produced & Mixed by Torsten "Toddy" Lanndsberger #
by malilion
| 2023-09-01 09:43
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ICE AGE 「Waves Of Loss And Power」'23 2000年代初期にニューヨークを中心に活動していたロングアイランド出身のキーボード入り4人組USプログHMバンドICE AGEが、解散前にリリースしたEP『Little Bird』'04 以来19年ぶり(!)となる再結成第一弾3rdアルバムをリリースしたので即GET! 1999年当時、彼等のデヴュー作をリアルタイムで耳にしていた方には意味がないかもですが、久しぶりにアルバムが届いたのでまずは彼等のバイオからご紹介。 クラシックの教育を受けた Josh Pincus (Vocals、Keyboards)と Jimmy Pappas (Guitar)が大学で1991年に出会い、RUSH、KANSAS、STYX、JOURNEYといった共通のフェバリット・バンドという音楽趣味と80年代HRやHM、クラシック・ロック、そしてプログレッシヴ・ロックに対する情熱で意気投合した2人が活動を共にする事から本バンドの歴史はスタートする事に。 続いてドラマー Hal Aponteが加わり、最後にベーシストに Brian McKayを迎え、キーボード入り4人組USプログレハード・バンドMONOLITHを1992年に結成し活動を開始。 インディ・バンドの例に漏れずニューヨークを中心にアンダーグラウンドな活動を展開する中でMONOLITHは自主制作盤アルバム『Lost』を1996年にリリースするが、その時点で既に当時プログレHM流通のトップ・レーベルであった Mike Varney率いるMagna Carta Recordsと契約を結んでバンド名をICE AGEへと変更。 キーボーディスト兼任のヴォーカリスト Josh Pincusの声質や歌唱スタイルが元STYXの Dennis De Youngに酷似しており、キーボードの音色や音楽性的にもMONOLITHとして活動していた当時はSTYXフォロワー的サウンド(バンド名的にKANSASフォロワー向きなのにw)だったが、ベーシストを Brian McKayから Arron DiCesareへチェンジし、Magna Carta Recordsに見いだされ契約を交わすのと時を同じくして他のインディ・プログレバンドやKANSASコピー・バンド達との混同を避ける為かバンド名を改め、1999年に記念すべきデヴュー・アルバム『The Great Divide』をリリース。 Mike Varneyは80年代に速弾きギタリストを数多く排出し、当時若干17歳だった Yngwie J. Malmsteenを見出し全米デヴュ-させた事でも知られるShrapnel Recordsの創設者で、二匹目のドジョウではないだろうが90年代に入ると今度は凄腕鍵盤奏者をフィーチャーしたMagna Carta Recordsを立ち上げ、当時DREAM THEATERの成功によって全世界で勢いを増していたプログレHMサウンドを披露する無名の米国新人バンド達を発掘すると、SHADOW GALLERY、CAIRO、MAGELLAN等をはじめ数多くの新鋭USプログHMバンドをデヴューさせ話題を集めたが、もう今はレーベルの活動は停止している模様だ…orz インディ活動時から80年代アメリカン・プログレハード風サウンドだった所へ当時飛ぶ鳥を落とす勢いであったDREAM THEATERの躍進を横目にメタリックでヘヴィなサウンド要素も取り入れていたし、一般的に彼等はDREAM THEATERフォロワー・バンドとして紹介される事となるのだが、その実はSTYX、KANSAS、GENESIS、RUSHの影響を大きく受けていた古典的80年代風アメリカン・プログレハード・バンドであり、バンド名をチェンジしてからDREAM THEATERやFATES WARNING、QUEENSRYCHE等の90年代プログHM的要素を全面に押し出し始めたUSプログHMバンドでありました。 実際、MONOLITH時代もギタリスト Jimmy Pappasは明らかにDREAM THEATERを意識したメタリックでテクニカルなリードプレイを披露していたし、Josh Pincusも所々でDREAM THEATER風な派手なキーボード・プレイを繰り広げていたものの、STYXフォロワーとは思えたがDREAM THEATERフォロワーには思えなかったしそこまで大きくバンドの音楽性に影響を与えていなかった事を思うと、恐らくMagna Carta Records側からの意見を採用し“より売れるシーンに即した音楽”へ自身のサウンドを大きく進化させた結果の変化だったのだろう。 また、明らかにMONOLITHの自主アルバム制作時より録音環境が向上しているのが分かり、バジェットの有無が露骨に現れるリズム隊のソリッドでタイトな迫力や音創りは00年代らしいヘヴィな方向へ舵を切ったメタリックでアグレッシヴさの増したバンドサウンドに相応しくパワフルで、Magna Carta Recordsと契約を結んだ恩恵が著しく現れていた。 意図的にDREAM THEATERフォロワー的なプログレHMサウンドへの接近を試みながら、当時インディ・プログHMバンド達が犯したテクニックの展覧会になる愚を避け、あくまでヴォーカルを主軸に据えたメロディアスでテクニカルなUSプログHMサウンドを目指した彼等のデヴュー作『The Great Divide』'99 は、MONOLITH時代の80年代USプログレハードをベースにしつつ、よりヘヴィなリフやプログレ定番の変拍子を刻むソリッドなビートや長く複雑なパッセージを含む印象的な旋律が耳を惹く楽曲ばかりで構築されており、その新人離れした構成力と演奏力は各方面から絶賛されたもののグランジー旋風吹き荒れる00年代以降の音楽シーンと正反対の音楽を披露した彼等のアルバムは当然のようにセールス的に芳しい結果は残せず、バンドもそれを受けてより親しみ易くダイナミックなヴォーカル・パートに重点を置き演奏パートもさらにコンパクトでシンプル寄りな整合感を高めた2ndアルバム『Liberation』'01 をリリースする。 2ndアルバムは彼等のルーツの一つでもある初期のKANSASを彷彿とさせる知的で繊細な歌詞が綴られており、如何にもプログレ的なインテリジェンス香る作風にはしっかりと自身のスタンスを理解しいたのが見て取れ、デヴュー作では聴けなかった穏やかでムーディーな繊細な歌唱や軽やかなフュージョン風アンサンブル、アコースティカルでアーシーな調べも披露したりと意表を突く絶妙なアレンジ等を随所に散りばめた、さらに音楽性の幅を広げた良作は再びメディアに好評を博したがバンドを取り巻く状況は好転する事なく、2002年にはMagna Carta Recordsとの契約が打ち切られてしまう。 まぁ、知性も無くダルで単調なシンプル極まりないガレージロックがメジャー・シーンで持て囃されている時代に完全に逆行していては、ね…(´A`) 再びインディ活動へ戻った事が影響したのかベーシスト Arron DiCesareが脱退し、しばしの沈黙の後にロックとジャズ両方のバックグラウンドを持つ経験豊富なベーシスト、 Doug Odellを新たに迎え入れると、より時代に即したコンパクトでソリッドなデヴュー当時のプログレ・テイストがかなり薄れたサウンドが特徴のEP『Little Bird』を3年ぶりに2004年に自主制作リリースし、同年オランダで開催されたフェスティバルへ出演を果たすものの程無くしてバンドは解散を選択する事に。 2006年、再びバンド名をにSOULFRACTUREDへと改名し同一メンバーで活動を再開。 テクニカルでメロディアスなサウンドが完全にアンダーグラウンドな存在になってしまったシーンで彼等が新たに提示した音楽は、華やかなキーボード・サウンドは消え、プログレ的要素を削ぎ落し、ノイジーなギターが単調なリフを刻むだけのシンプルでストレートなロック・スタイル、と言えば聴こえは良いがブッチャケ巷に良く居るヌー・メタル・バンドに様変わりしてしまっていた… まるで Dennis De Youngがグランジー・サウンドをバックに怒気を孕んだダーティにガナリ立てているかの様な音像はミスマッチな面白さはあるものの別段音楽的に耳を惹くものは無く、EP『Soulfractured』'06 をリリースして程なくしてバンドは再び解散してしまう…(´~`) と、二度もバンド名を変更し、最後には時代へ阿る形で自身のバックグラウンドに欠片も影響が無いだろうグランジー・サウンドを演るまでになった彼等が、こうして再びUSプログHMサウンドを奏でる為に3rdアルバム『Waves Of Loss And Power』を携えて解散前と同じメンバーで揃って戻って来てくれた事を素直に喜びたい。 さて、その久しぶりに届けられた新作の内容についてだが、散々今日までの米国音楽シーンの流れをその身で体験して来た影響かEP『Little Bird』で感じられたダークでダルなヌー・メタルっぽいタッチもほんのり漂わせつつ、デヴュー作で聴けたDREAM THEATER系のヘヴィでハードエッヂなタッチのプログHMサウンドを再び演っており、既に初期に大きなウェイトを占めていたSTYXっぽさは希薄で Josh Pincusの歌声のみに僅かに残る程度までサウンドがモダンに変質しており、19年ぶりの3rdアルバムと思えぬ程にEP『Little Bird』かそれ以前の2ndのサウンドと繋がりのあるリズムアプローチの豊富なテクニカル・サウンドだが、長いインターバルの間に各メンバーの間で培われ蓄積された新たな音楽性も垣間見せる20年代に相応しくスタイリッシュでモダンな、壮大で煌びやかなシンセワークもタップリ聴かせつつ繊細な叙情感もしっかりとフィーチャーしたベテランらしい“押し引き”の妙が美旋律に宿った抜群のセンスを感じさせる素晴らしいカムバック作だ。 お約束の変拍子にこだわった独特でマニアックなリズム・ワークは健在で、新たにグルーヴィでファンキーなタッチが今回は感じられたりと新しい発見も多く、より精度を増したテクニカル且つハードエッヂも際立つ流麗なギター・プレイ、以前のように悪目立ちしなくなったが表に裏に未だに耳を惹く旋律を奏でるキーボード・プレイと、デヴュー以来各メンバーが様々な影響を受け己の血肉に完全に昇華した成果を複雑で華麗なインストゥル・パッセージの数々で示し、プログレ由来のキャッチーで技巧的なメロディとパワフルでソリッドなHMサウンドを絶妙のバランスで交差させたモダンUSプログHMサウンドの限界を再び押し広げんと挑む野心作で、デヴュー当時の如何にもロックミュージシャン然とした長髪メンバーは既におらず禿頭で髭面のオッサン(汗)ばかりになってしまい風貌は一変してしまったが、伊達に歳を重ねた訳でない証左が成熟した構成力と高い演奏技術、一糸乱れぬアンサンブル、そしてUSバンドには珍しい陰影色濃い叙情感とアメリカ・バンドらしい抜けの良いサウンドの数多くに示されており、特に Josh Pincusが自信タップリにピアノ独奏を華麗に繰り広げるパートは実に繊細な優美さと瑞々しさに満ち輝いていて、このインターバルで彼等が何を得たのかを雄弁に語っているように思えます。 プログレ・バンドらしく10分超えの大曲を2曲収録しているが、大曲だからこそ解散前より演奏力も構成力も格段に進歩した程が良く分かり、テクニカルでグルーヴィなリズムアプローチに乗って解散前より幾分かマイルドでウェットになった旋律を奏でる如何にもプログレらしい巧みなシンセワークとデヴュー以来変らぬキャッチーで爽快な歌メロが終始耳を惹きつけ、細心の注意を払われたアレンジの数々と細部まで考え抜かれた楽曲展開で時の経つのも忘れさせ知的好奇心を刺激しまくる様は正に思慮深いプログレッシヴ・ロックそのものと言えるだろう。 アルバムのミックスとマスタリングは Rich Mouser (TRANSATLANTIC、DREAM THEATER、SPOCK'S BEARD、etc...)が手掛けており、バンドの久しぶりのカムバック作の音数多く複雑でテクニカルなサウンドの美しさに磨きをかけているのも見逃せないポイントだ。 バンドは、2023年9月6日にアトランタで開催されるProgPower USA XXIIを皮切りに、米国各地で行われるフェスティバルへ参加しその優れた演奏を久しぶり聴衆に披露する予定になっている。 既述のバンドのファンの方々や90年代USプログHMファンな方、そしてメタリックでパワフルでメロディアスなHMサウンドがお好みな方にも是非お薦めしたい、ベテランUSプログHMバンドの復活作を一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。 本作は80年代からUSプログレ・バンド作を多数発掘リイシューや新人プログレ・バンドをデヴューさせてきた老舗米国プログレ・レーベル The Laser's Edge傘下の Sensory Records からのリリースですが、ジャンルもジャンルですしDLメインとなった昨今の状況からそうプレス数も多くないだろう現物CDをお求めの方はお早目に入手しておく事をお薦めします。 Tracks Listing: 01. The Needle's Eye 02. Riverflow 03. Perpetual Child, Part II: Forever 04. Together Now 05. All My Years 06. Float Away 07. To Say Goodbye, Part IV: Remembrance 08. To Say Goodbye, Part V: Water Child ICE AGE Line-up: Josh Pincus (Vocals & Keyboards) Jimmy Pappas (Guitars) Hal Aponte (Drums & Percussion) Doug Odell (4 & 5 String Electric Basses) #
by malilion
| 2023-08-29 17:54
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STRANGERLAND 「Echoes From The Past」'23 ギリシャ産AORプロジェクトのデヴュー作がデンマークのメロハー専科レーベル LIONS PRIDE Musicからリリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。 STRANGERLANDはギリシャのアテネ出身ギタリスト&キーボーディストである Alex Patmanが立ち上げたスタジオ・プロジェクトから始まった。 当初、STRANGERと名乗っていたプロジェクトだったが同名のバンドが国内外に数多く存在する事からSTRANGERLANDへとプロジェクト名を改め、LASTWORLD、LIBERTY N‘JUSTICE、MARTY AND THE BAD PUNCH、SILENT TIGER等といった数多くのバンドやプロジェクトでその甘い歌声を披露してきた米国人セッション・ヴォーカリストの David Cagleを得た事で本格的に始動する。 STRANGERLANDのサウンドは、ハッキリ言えば70~80年代に米国ウエストコースト流行っていたAOR&メロディアス・ロックそのもので、David Roberts、POCO、AMERICA、TOTO、LITTLE RIVER BAND、EAGLES、BAD ENGLISH等の素晴らしいバンドやアーティスト達の奏でる音楽がメインストリーム・ミュージックだった時代への憧憬を中心人物であるソングライターの Alex Patmanは隠しておらず、必要以上に音数を詰め込まず、激しいインタープレイもワイルドでトリッキーなソロも見当たらない、ヴォーカルを主軸に据えた古風なスタイルのメロディアスでキャッチーなサウンドを終始紡いでおり、今の密度の高いガッチリ造り込まれたメロハー・アルバムのサウンドに慣れたリスナーからすると些か古臭く感じられるシンプル極まりない楽曲とプレイばかりのアルバムなのだが、古式ゆかしい80年代風AOR&メロディアス・ロック好きな方には堪らないノスタルジックな仕上がり具合な一枚なのは間違いない。 Alex Patmanがギリシャ人だからなの80年代ウエストコースト風サウンドを再現しようと試みているのだが、キャッチーでライトなポップネスに満ちたサウンドとメロディに隠しようもなく哀愁漂うセンチメンタルなユーロ圏ミュージシャン特有の美旋律が随所で鳴り響いており、それが単なる80年代ウエストコースト・リバイバル作に陥らない独特な効果を産んでいるように思えます。 と、ここまでなら良かったんですが中心人物である Alex Patmanが奏でるキーボードもギターもヴォーカルを引き立てる事を第一としたコンパクトでソツないバランス重視なプレイに終始していて、コレと特筆するような点もないのですが、シンプル過ぎるリフばかりなのはちょっとどうかと思うし、折角の記念すべきデヴュー作なんだからもう少しエネルギッシュさや迸るような勢いを感じさせてくれても良かったかなぁ、とは思いますね… 所々で耳を惹く煌びやかなシンセワークだったり、ハードエッヂなギター・サウンドが唸りを上げて、オッと思う瞬間が訪れるものの、すぐに引っ込んでヴォーカルを邪魔する事なく大人しくなってしまうのがなんとも歯がゆいと言いましょうか…ウーム 無名のミュージシャンのデヴュー作にしては上々な仕上がり具合と言えるのですが、ワンマン・インディ・スタジオプロジェクトだから贅沢は言えないし仕方がないのですけれど、少々音が薄っぺらく聴こえ、これはストレートなAORサウンドを再現しようとしている事にも起因しているのでしょうが、その点は些か残念に思える点ではあります。 激しくシャウトする訳でもなく荒い咆哮を聴かせる事も無い、ひたすら爽快に甘いメロディを歌い上げる David Cagleの歌声とキャッチーなコーラスは終始心地よいものの、全編通して穏やかな曲想とシンプルなサウンドのみで構成されたアルバムな為か途中で少々退屈とまでは行かないがダレ気味になるのは否めず、もう少し刺激を用意するか驚くような音楽性が隠されていると尚宜しかったように思うが、メンバーも満足に定まっていないワンマンAORプロジェクトのデヴュー作と捉えれば悪くないB級アルバムには思えるので、是非同じ音楽性のままメンバーを補充してバンド体勢をしっかり整え、今度はより複雑で濃厚な美旋律が楽しめるアルバムを届けて欲しいものであります。 やはり自身のバンドではないのも関係してか、プロフェッショナルな良い仕事ぶりではあるんですがヴォーカリストの David Cagleの歌声には奮えるようなエキサイトメントや胸を刺すようなエモーショナルさが希薄で、その点もヴォーカルの感情表現に大きく作品の仕上がり具合だけでなく評価も左右されるAOR形態の音楽的に現時点ではデメリットになっているように思え、下手でも良いので同郷の身近にいるギリシャ人ヴォーカリストとタッグを組んで泥臭く地道なLIVE活動をこなし互いを鍛えのし上がった方が遠回りに思えて結果的には近道になるような気がするんですが、今の時代ネットで全世界のミュージシャンと繋がりスタジオワークで全て済ませてしまえるAOR作には元より不要な努力なのかもしれませんね… 本作のリズム隊を構成する北欧人セッション・ドラマーの Mike Wikmanは元ALIENのドラマーだった模様で、中心人物がギリシャ人というだけで本作は本当に多国籍ミュージシャン達の作品と言え、如何にも今の時代風なアルバムとも言えるのでしょう。 既述のウェストコーストAORバンドやTOTO等の産業ロック、WORK OF ART、FIND ME、CREYEなどのソフト目なサウンドを聴かせる北欧メロハー・バンドのファンな方ならばSTRANGERLANDのサウンドが気に入るかもしれないので、是非一度ご自身の耳でチェックしてみて欲しいですね。 Tracklist: 01. Whenever It Rains 02. Until My Heart 03. Scent Of A Rose 04. Tears In My Eyes 05. Summer Nights 06. Calling You 07. Time 08. Only Love 09. Never 10. Heroes Of Everyday 11. Follow Your Dreams. STRANGERLAND Line-Up: David Cagle (Lead vocals、Backing Vocals) Alex Patman (Guitars、Keyboards、Production) with: Chris Zoukas (Bass) Mike Wikman (Drums) P.S. 10月頭ですがレーベルソールドアウトとなった模様です。現物をお求めの方はお早目にネ! #
by malilion
| 2023-08-28 01:50
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MASAKI 「Feed The Flame」'23 北欧ノルウェーの首都オスロを拠点に活動する北欧ハードポップ・バンドSTONEFLOWERの元メンバーであった Tom Sennerud (Guitars ex:STONEFLOWER、DAYS OF WINE)と John Magnus Masaki Nielsen (Vocals ex:STONEFLOWER)を中心に結成された新バンドが、デンマークのメロハー専科レーベル LIONS PRIDE Musicからデヴュー・アルバムをリリースしたのをちょい遅れてGET! STONEFLOWERの3rdアルバム『Finally』'20 から新フロントマンに迎えられた当時のクレジットでは John Masaki名義だったが今回はその長いフルネームがクレジットされている John Magnus Masaki Nielsen、なんだか日本的な響きのあるバンド名は彼のファミリーネーム(?)から戴いたのだと分かり、彼の血筋が日本と何らかの関係が有るのかどうかは不明(アジア系の血が入ってる顔じゃないけど…)であります。 ただ、明らかに意図的に日本単語な楽曲(サウンドに日本要素はほぼ無い…どゆ事?)が本作に収録されているし、John Magnus Masaki Nielsenが日本にルーツを持つ事を示唆しての為だろうか? それともジョーク的な? 未発音源集である自主制作盤2nd『Destination Anywhere』'14 がメロハー界隈で好評だった事から再結成が行われ、今は亡きAOR HEAVENから折角『Finally』をリリースしたSTONEFLOWERですが、アルバムタイトルが指し示すように再結成第一弾が即ち最終作であった模様で、中心人物の Tom Sennerudが本バンドを新たに立ち上げたと言う事はSTONEFLOWERは完全に活動を終えたと言う事なのでしょう。 Tom Sennerud的にも1999年の結成から関わって来たSTONEFLOWERの活動に一区切りつけたという思いからなのか、長らくオリジナル・メンバーとして在籍し再結成作にも馳せ参じていたベーシストの Svenn R.Huneideと、彼の弟でドラマーの Geir Johnny Huneideの姿は本作に無く、代わって新たなドラマーとして Nik Kershaw、Joseph Williams、Bill Champlin等との仕事で知られる Eirik-Andre Rydningenを迎え、ベーシストは不在のトリオ編成でバンドは現時点では構成されている。 北欧メロハー・バンドとして認識されているだろうSTONEFLOWERの元メンバーが新たに立ち上げた本バンドMASAKIだがSTONEFLOWERとは明らかに音楽性が異なっており、北欧的な哀愁とAOR風の洗練されたポップ・フィーリングを兼ね備えたキャッチーで清涼感あるメロディとコーラスが秀逸なフック満載の歯切れ良いハードポップだったサウンドから、さらにTOTOっぽいフィーリングのギターやキーボードアレンジが色濃くなり、哀愁漂うウェットな美旋律を響かせる北欧ハードポップなフィーリングを保ちつつ、洒落たウェストコースト風味やモダンなタッチのソフトケイスされた上品なAOR風サウンドへ様変わりしている。 無論、単なる従来のAORサウンドの焼き直しではなく、クラシックなAORサウンドをベースにしつつ、モダン・ポップ・ミュージック、フュージョン、プログレッシヴ・ロック等からの影響をさらに押し進め、ソリッドなミックスが生み出す新たなモダンAORサウンドを模索しているのが感じられ、80年代風サウンドへの憧憬が大きい昨今の新世代メロハー・バンド達が奏でるサウンドとの明確な差を感じられるのは間違いないだろう。 世代的になのか意図的になのか Tom Sennerudの操るキーボードのサウンドやフレージングが妙に80年代的でありますが、個人的には何もかもモダン・サウンドでカッチリ埋め尽くされるよりも、ほんのり80年代風なタッチがどこかに感じられると嬉しいですけどね( ^ω^ ) 憂いを帯びた美しくも透明感あるメロディが随所でほんのりと味わい深く響き渡る風なのが、如何にも北欧ミュージシャン作と言う感じで大変よろしいんですわ~♪ ただ、オリジナリティという点では特筆すべき強烈な個性と言うべきものは些か弱いのは否めないものの、総じて楽曲の質は高く、バランスを考慮し磨き上げられたサウンドは実に心地よく、随所で北欧フィール漂うAORサウンドなれどもメジャー向きのブライトなポップサウンドへ大きく傾いており『マイナー調で哀愁色濃いからこそ北欧ハードポップなサウンドなんだ!』と考えているような方にとっては少々ご不満な方向性へサウンドが発展したとも言えるかもしれません。 John Magnus Masaki Nielsenの甘い声質な上にストレートなハイトーンを響かせる伸びやかで溌剌としたクリアヴォイスはSTONEFLOWER当時からTOTOの Joseph Williamsを彷彿とさせる歌い方だと思っていましたが、経験を積んだ為かさらにロートーンでの深みある歌唱やミドルレンジ主体でのエモーショナルな歌声を活かすスタイルへ変更した事もあって、ググッと説得力と味わいを増したその瑞々しくも爽快感あるヴォーカルは一層に際立って素晴らしく聴こえ、ほんのり北欧風味あるキーボードの聴こえるメロディアスでセンチメンタルな美旋律の数々をその伸びやかな歌声で余すことなく歌い上げており、『Finally』当時の歌声はSTONEFLOWERオリジナル・ヴォーカリスト Frode Henriksenの歌唱スキルにまだ及ばぬ新人ヴォーカリストと言う印象でしたが、本作に至っては完全に歌唱力で凌駕したように思え、自身の名前を冠するバンドMASAKIの看板ヴォーカリストへ大きく成長したのがハッキリと分かります。 そんな訳で John Magnus Masaki Nielsenの抜群な歌声をメインに据えたミドルテンポ主体のAOR楽曲は、キャッチーでコンパクト、爽快感ある歌メロとフックあるサウンドに満たされており、STONEFLOWERで聴けたような煌びやかなキーボードの音色と分厚いキャッチーなコーラスは少な目となっておりますが、その代わりに完成度の高いヴォーカル主体な楽曲と細部までしっかりコンポーズされた本作の小洒落たサウンド、メロハー・ファンにお薦めするには少し大人びてソフト目ではあるものの美しく心満たす美旋律に目の無いAORファンな方には間違いなくお薦めでありますので、恐らくメロハー系列の媒体で紹介されるだろう本バンドのデヴュー作ですが、是非一度そのサウンドをご自身の耳でチェックしてみて欲しいですね。 尚、本作にはゲスト奏者として著名な米国人ベーシスト Leif Karsten Johansen (DAYS OF WINE、ex:a-ha、ex:21 GUNS、ex:FAR CORPORATION、ex:PHENOMENA、etc...)が招かれ数曲で客演を披露しているが、これはDAYS OF WINEのバンドメイトである Tom Sennerudが声をかけたのだろう。 Tracklist: 01. Angel Wings 02. Feed The Flame 03. Stone Cold 04. She's Not You 05. Shades In The Rain 06. Almost Paradise 07. Missing Me 08. Chizuko 09. All That You Want 10. Feels Like Home MASAKI Line-up: John Magnus Masaki Nielsen (Vocals、Backing Vocals) Tom Sennerud (Guitars、Keyboards、Backing Vocals) Eirik Andre Rydningen (Drums、Keyboards、Bass on Tracks 4、5、8、10) With: Leif Johansen (Bass on Tracks 1、2、3、6、7、9) Arne Martinussen (Additional Keyboards & Piano on Tracks 1) Jon Willy Rydnignen (Additional Keyboards & Piano on Tracks 7) Johannes Winther Farstad (Additional Keyboards & Piano on Tracks 9) Lasse Weeden (Bass on Track 9) Lena Valla (Backing Vocals on Track 10) P.S. 2023年年末時点でレーベルソールドアウトに成った模様。後は市場に出回っているブツしか在りません。 買い逃した方でフィジカル盤所望の方はレーベルが再プレスしてくれるのを待ちましょう。
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by malilion
| 2023-08-27 20:12
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OZ KNOZZ 「Ruff Mix + 5」'23 以前ここでも再結成第二弾作『True Beliver』'12 を紹介した事がある1969年に米国テキサスで結成され、1975年に現在オリジナルはレア盤の1stアルバムである本作を残して敢なく時代の闇の彼方(80年代初頭まで活動はしていた模様)へ消えた彼等の記念すべきデヴュー作が23年度リマスター&ボーナストラック5曲追加で限定300枚オフィシャル・リイシューされたのを、ちょい遅れてGET! 当時も今もアマチュア・バンド層の厚さがハンパない北米シーンですが、HEYOKAを始め70年代当時にテキサスでは意外にアメリカン・プログレハード寄りのサザンロック・テイストを感じさせる独創的なサウンドを鳴らしていた数多くのインディ・バンドが人知れずアンダーグラウンドで蠢いており、OZ KNOZZもそんなマイナーでカルトな人気を誇ったバンドでありました。 オリジナル編成はキーボード入り4人組であったが、再結成作以降は Bill (B & Sax & Vo) & Duane (Key & Tp & Vo)の管弦楽器も操るMassey兄弟を中心にオリジナル・ドラマー Marty Naulも在籍しつつ新たにシンガーとギタリストを迎え入れた新編成5人組で現在も創作活動を続けており、デヴュー作時点では Duane Masseyと Marty Naulのみが在籍していた。 まぁ、2008年に突如33年ぶりの再結成作をリリースした訳だし、構成メンツも違うしで音楽性はデヴュー当時とほぼ別バンドと言えるくらい洗練されレベルも向上したプログレ・サウンドを聴かせているので再結成作から彼等を知った方には、余りにも古臭く鄙びてアーシーなブルーズ風味と泥臭いサザンロック・テイストが感じられる野暮ったさ丸出しサウンドな本作を何がなんでも購入せねばならない、と強く薦められる訳もないダイハードな好事家向けのカルトUSプログレ作な訳ですが、頑張ってキャッチーにしようとしてるけどイマサンでヘロヘロなコーラスや、突如フィーチャーされるブラス・サウンドや、手数の多い如何にもプログレ風のリズム・ワーク、時代がかったアナログ・シンセや歪んだジャージーでワイルドなオルガン等の鍵盤サウンド、などなどアーティスティックでサイケな如何にも混沌とした粗削りでパワー押しな70年代USプログレ・サウンドがタップリと詰まった、あの時代だけの作品でしか聴けない唯一無二のピュアサウンド、個人的に嫌いじゃありません(´∀`) 『True Beliver』'12 の紹介の時にも述べましたが、デヴュー当時の彼等はKANSAS、STYX、そして初期JOURNEY等のアメリカン・プログレハードの影響を感じさせつつ、テキサスらしいワイルドでブルージーなサウンドやジャズっぽい複雑な展開を魅せる楽曲に泥臭くいなたいながらもハードロックにも通じるパワフルにドライヴするサウンドを鳴らしていたが、どうにも専任ヴォーカリスト不在による歌メロの脆弱さ、楽曲のキャッチーさの欠如、サイケにも通じる混沌とした得体のしれぬパワーを感じさせる反面コンパクトさは皆無なのに加え随所で唐突に導入されるテクニカル且つスリリングなソロやアンサンブルの応酬も相まってとっ散らかった印象を与える曲想と野暮ったさは如何ともし難く、およそメジャー展開が望めるようなコンパクトでスタイリッシュなプロフェッショナル・サウンドではなかった訳ですが、だからこそ彼等だけの独創的サウンドを創作出来たのだと思っております。 今回追加された当時を Duane Masseyが振り返るライナーノーツで本作収録楽曲のオリジナル・ヴァージョンはもっと長かったがLPに収める為に泣く泣く数多くのパートをカット(収録状態でもかなりフリーフォームで間延びしてるのに!)した旨や自身のリードヴォーカルが余り上手くない、音域が狭い為ヴォーカル・スタイルが限定的だったと回顧しており、もう一人のシンガー Richard Heathの方が歌が上手いのに余りリードパートで歌ってくれなかったと愚痴っており微笑ましい(w さて、待望のオフィシャル・リマスター&リイシューな訳ですが、残念ながらオリジナル・マスターからのリマスターと言う訳ではない模様で所々でノイズや音ヨレ、バランスの異常等が確認出来る板起こしリマスター作なのが残念だが、以前のしょんぼりなデヴュー作のCDや海賊盤より当然マシなサウンドではありますので、レアなオリジナルLPをお持ちの方や以前のCDをお持ちの方も今回ボーナストラックで追加された未発曲2曲とあの当時の空気をまとった未発LIVE音源を聴く為だけにも手を出してもいいかもしれない。 ボーナスの1979年スタジオ録音の未発曲だが本編よりさらに輪をかけて劣悪なサウンド(涙)ではあるものの今回こうして初めて陽の目を見た楽曲で、本編と同じくワイルドで混沌とした呪術的なパワーとスペイシー(笑)な雰囲気も漂わす独創的なファンキー・サウンドを是非彼等のファンな方は確かめてみて欲しい。 1976年Live音源の方は当時の彼等の豪快かつエネルギッシュなステージ情景が浮かぶような、プログレと言うより楽し気にHRバンドがジャムっている風のジャズやブルーズ風味が強いなんとも言えない妙な味わいがあるアナログ・シンセが唸りを上げるサウンドで、キャッチーさやスタイリッシュさなんて欠片も無いがどこへ向かうのか予測不能な演奏とグルーヴィでムーディな、ファンキーなリズムワークも楽しめる意外に整ったアンサンブルは聴きモノだ。 因みに今回追加されたLIVE音源である最終曲は再結成第一弾『10,000 Days & Nights』'08 で新たなアレンジで再録されており、当時のプレイと再結成での解釈の差や変化を楽しむ事が出来る。 なんというか彼等の1stを聴いた時に連想したのは、同じ時期に活動していたがブレイク出来なかったKANSASとJETHRO TULLをMIXしてSTYXで割って薄め、さらに大味で野暮ったくしたようなサウンドを鳴らしていたウィスコンシン州のドマイナーUSA産プログレハードSUNBLIND LIONのアルバムでしたが、この例えで彼等のデヴュー当時のサウンドのイメージが伝わりますでしょうか?(汗 尚、彼等の作品は全て自主制作リリース(発掘LIVE音源集は除く)でしたが、今回はマニアックなバンド作を続々と発掘してレア盤コレクター達を狂気乱舞させる再発専門英国レーベル PROG AOR Records/Dyamond Roxx SeriesによるTexas Rock Dyamonds Seriesの第6弾として300限定リイシューされたのでお求めの方はお早目にネ。 Tracklist: 01.For Pat 02.Peanut Butter Yoni 03.Second Time Blues 04.Love Poem 05.Doodley Squat #1 06.Doodley Squat #2 07.Doodley Squat #3 08.Last Song 09.Midnight Mambo [Bonus Track] 10.Hi-Fi [Bonus Track] 11.Goin' Back To Frisco [Bonus Live Track] 12.What The [Bonus Live Track] 13.SM Woman [Bonus Live Track] OZ KNOZZ Line-up: Duane Massey (Keyboards、Horns、Vocals) Richard Heath (Guitars、Vocals) Marty Naul (Drums、Percussion) Newt Bildo (Bass) #
by malilion
| 2023-08-22 06:45
| 音楽
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