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えぇ!? MR.BIGのドラマー、Pat Torpeyが2月7日、死去…だと…!?


訃報は続くもの、って…そんなまさか…

USA産HRバンド MR.BIGのドラマー、Pat Torpeyが2月7日、パーキンソン病の合併症のため死去。64歳でした。

えー、遂この前、MR.BIGが新譜をリリースしたばっかじゃん…orz

確かに前々から、パーキンソン病と見られる症状があらわれ始めてる、とは公表されてはいましたけど…

これでオリジナルメンバーでの再結成は、本当に幻となってしまった訳ですね…

Pat Torpey...R.I.P.


# by malilion | 2018-02-09 19:46 | 音楽 | Trackback

ウリ・ジョン・ロートの実弟、ZENOのジーノ・ロートが死去…


ガーン!!

スカイギターを操る仙人と渾名されるSCORPIONSの初期メンバーとしても有名な Uli Jon Rothの実弟で、メロハー・バンドとしてマニア以外にもその名を轟かせたZENOなどの活躍で知られるギタリスト Zeno Rothが2月5日に死去していた…

ええええ…ZENOの3rdアルバム『Runway To The Gods』'06 を最後にとんと音沙汰の無かった彼のニュースが、まさかこんな形で耳に入ってくるとは…

寡作な彼だけど、いつかは新作を届けてくれると信じていたのに…メロハーの名バンドZENOの新作アルバムは…もうこれで本当に幻となってしまった…

長年の病気が原因らしいですが…61才とは…早すぎる…

Uli Jon Rothが伝える所によると、Zeno Rothは昨年のクリスマス前に新曲3曲のデモを作っていたらしく、その楽曲を Uli Jon Rothが完成させてリリースしたい模様だ。

去年もそうだったけど、年が変わってからも訃報が相次ぐなぁ…

その最期に Zeno Rothが残してくれた楽曲が届けられる事を静かに待ちたいですね…

Zeno Roth…R.I.P.


# by malilion | 2018-02-08 19:46 | 音楽 | Trackback

80年代風バッドボーイズが80年代風北欧HMサウンドへ変化!? CRAZY LIXX

c0072376_17191945.jpgCRAZY LIXX 「Ruff Justice」'17

スウェーデン出身のツインGを擁する5人組スリージーHRバンド3年ぶりの新作となる5thを1年遅れでご紹介。

個人的にそれ程バッドボーイズ系ロックンロール定番のスリージー・サウンドが好みでないので余りこの手のバンドをチェックしたり購入したりしないので、前々からご紹介しようと思っていたのですが遂々今の今まで遅れてしまいました。

既にココでも紹介している“北欧のSKID ROW”こと DYNAZTYの09年デビュー作をチェックした時に同一路線で一足先に06年にデビューを果たしていた同郷バンド CRAZY LIXXもチェックしアルバムも購入済みでしたが、まぁこの手のL.A METAL系をよりお好きな方が他サイトで紹介してるし、わざわざロックンロール系が主食じゃない自分が浅い紹介せんでもいいか、とっずっとアルバムを購入してたのに怠慢ブッコいていただけなんスけどね(汗

デビュー以来メンバーチェンジが絶えず、出戻りがあったりリズム隊がゴッソリ抜けたりと落ち着かぬ状況が多い彼等ですが、本作も Chrisse Olsson と Jens Lundgrenへゴッソリとギタリストをチェンジしてのスタジオ作となっております。
デビュー10周年作である本作を聞くまでもなく、リーダーでバンドの顔である Danny Rexon(Vo)さえ居ればバンドの態は保てるという事はこれまででも証明されているんですけど…

新世代の北欧バッドボーイズ系バンドに共通している、そのサウンドのルーツがMOTLEY CRUE、GUNS N'ROSES、SKID ROW等の華やかでゴージャス感あるサウンドがトレードマークな80年代風アリーナ・ロック&グラムHMである事は疑う余地もない訳だが、アルバム毎に着実に音楽性の幅を拡げ楽曲のクオリティを上げてきている彼等が、本作ではサウンドの方向性を哀愁漂う80年代風北欧HM&メロハー・サウンドへググッと接近させたのでここでご紹介せねば、と思った次第です。

これまでのアルバムはメインがキャッチーな80年代風グラムHM路線なハードライヴィンする楽曲で、その楽曲に仄かに80年代風北欧メロディアスHM要素の哀愁感が香る作風だったとすれば、本作はギタリストの交代が大きく影響したのかウェット感あるマイナーなメロが光る80年代風北欧メロディアスHM路線な楽曲がメインで、端々に80年代風アリーナ・ロック&グラムHM要素が散りばめられた、という風に大きくバランスが変化した作風で、北欧HM定番な煌びやかなキーボードと透明感ある爽快でキャッチーなメロディだけ聞いているとECLIPSEやH.E.A.Tと同ジャンルのバンドじゃないかと思える程で驚かされました。

個人的には北欧HM要素が増えるのは大歓迎なんですが、彼等の元からのファン層であるバッドボーイズ系ロックンロール定番のタフでスリージなサウンドが好みな方からすると、コーラスも控え目になったし勢いも緩んで曲調もマイルドになった上、小綺麗になり過ぎて少々ダーティーさやワイルドさが減退したように感じられ不満に思われるかもしれません。

まぁ、とは言ってもデビュー当時からUSA産バッドボーイズ達が奏でるドライなサウンドでも、無軌道で馬鹿みたいにマッチョでパワフルな毒のあるサウンドって訳でもなかったんで、ソレ系がお好みな方は最初っから“紛い物”でないUSA産バンドのみを聞いてたかもしれないけど…

そのルックスからバッドボーイズ系な要素ばかり注目される彼等ですが、元からBON JOVIを筆頭にDANGER DANGERやFIREHOUSE等のブライト感ある80年代風アリーナ・ロックも大きなサウンド要素であったのは周知の事実なので、そこへ北欧要素が結びつく事でよりキャッチーでフック満載なメロディアス・サウンドへ接近するのは何ら驚く事でないのかも(*´ω` *)

ただ、勢い重視なダーティー・ロックンロールならさほど問題にならないんですが、歌唱力や声質なんかも問題視される北欧HMサウンドへ接近すればする程に Danny Rexonのちょっと音域狭い、ザラつき気味な歌声と歌唱力が不足して感じられてしまうという新たな問題点が本作で浮き彫りにされてしまったのがなんとも……(汗

とは言えバンドの顔のみならず、作詞作曲、そしてプロデュースも引き受ける Danny Rexonは今やバンドの頭脳、バンドそのものとも言える立場なので、メンバーチェンジで早々に解決、ってな訳にはいかないんですよねぇ…('A`)

せっかく本作で合成っぽい分厚いバッキングコーラスを控え目(Danny Rexonがヴォーカルに自信を持ったって事かな?)にした彼等にこう言うのも何なんですが、新たに歌えるギタリストか歌えるベーシストを加入させハモらせるか、もしくはMOTLEY CRUEみたいにバックコーラス・ガールをズラリと従えでもしないと、現状のままでは北欧風味も香る80年代風アリーナ・ロック&グラムHMな方向性の楽曲を完全に歌いきれるヴォーカル・パートは聞けないんじゃないかと、個人的には思いますね。

なぁーんてこんな失礼な心配をよそに、あっさり前作の合成コーラス満載な人工甘味料的グラムHM風へ回帰するかもしれないし、まさかの Danny Rexonのヴォーカルスキルが劇的に上達して音域が拡がったりって事もなきにしもあらずなんで、ここは静かに次作を待つとしましょうか…



# by malilion | 2018-02-04 17:11 | 音楽 | Trackback

カンダの一人プログ・ポップバンドAnton Evansの爽快キャッチー3rdソロ作をご紹介。

c0072376_00161940.jpgAnton Evans 「Outliers」'17

カナダ産プログレッシヴ・ポップ・アーティストの7年ぶりとなる3rdソロアルバムが去年末頃にリリースされていたのですが今頃ご紹介。

Anton Evansは94年に1stソロアルバム『Eye』でデビュー(ヨーロッパではMega Rockレーベルのサポート)して以来、20数年以上にわたってプログレッシヴ・ポップ・ミュージックをクリエイトしてきたソングライターで、10年には待望の2nd『Ever heard the one abou..』を北米のインディレーベルVillage Works Canadaからリリースし、本作も同じレーベルから再びリリースしている。

基本的に Anton Evansがヴォーカル、キーボード、ドラム&ベースプログラミングを駆使してサウンドをクリエイトしていて、その他は少数のゲストを招いている程度で、ほぼ全てを一人で手がけているワンマン・プロジェクトだ。

ただしワンマンにありがちな自己中なインタープレイのひけらかしは無く、Anton Evansのマイルドな声質ながらロック系の熱唱が活きる分厚いヴォーカルハーモニーが爽快な歌モノバンド的なポップでキャッチーなサウンドが基本で、時折見せるテクニカルなGENTLE GIANT&YES風コーラスワークや屈折したリズム・アプローチ、そして複雑な楽曲展開やキーボードとギターにKANSAS風なプログレ・テイストが仄かに感じられる明らかに80年代後期USAプログ・ハードサウンドが音楽的バックボーンと分かり、さらにカナダ産らしい適度にウェット感のあるユーロ圏の香りもするメロディアス・サウンドと言えば伝わるだろうか?

90年代ならZEROコーポレーション辺りから日本盤が出ていそうな適度にポップでキャッチー、だけどポンプ&プログレっぽいとこもあるB級メロディアスHRバンドに近いサウンド、と言った方が分かりやすいかもw

実際、デビューソロ作はハードポップ系と言う事で輸入盤が雑誌等で紹介され、そこそこ好評だったように記憶しておりますし、比較的簡単に入手出来ました。

因みに本作では、夢劇場フォロワーのUSAプログHMバンドTHE QUIET ROOMの元ギタリスト George Glascoが3曲でソロプレイを披露している他、カナダのフォーク&カントリーバンドTANGLEFOOTの元ヴァイオリニスト Sandra Swannell嬢が1曲だけヴァイオリンで参加している。

ただ今回はそのゲストの影響が思いの外に大きかったのか、George Glascoのハードエッジなギターが効果的にフィチャーされているのみならず全体的にこれまで以上にハード寄りなサウンドになっているのと、エスニックなギターのメロディとリズムが導入されているのが1st、2ndで聞けなかった大きな変化と言えよう。

ヴォーカルとキーボード主体の爽快なポップサウンドと聞くと軟弱なイメージを抱きがちだが、以前から意識してなのか適度にギターによるハードタッチなサウンドを楽曲に織り込んで来たので惰弱なサウンドには一切聞こえず、プログレチックな緊張感もソコソコ感じるバランス感覚あるAnton Evansのコンパクトにまとめられたサウンドはメロハー好きな方にもきっと好評だろうと思う。

まぁ、打ち込み系サウンド(特にドラムは、ね…それ以外もドライ気味なサウンドなのは否めない)がどうしても許せないって方には“生”っぽさは希薄なので受け入れ難いサウンドかもしれない('A`)

残念な事にゴリゴリのHM系からもポップなAOR系からも、そしてプログレ系からもソッポを向かれてしまう中庸サウンドな上に情報が入って来にくいカナダ産ソロアーティストという事もあってここ日本での知名度は皆無に近い状況ですが、一度チェックしてみても損はないアーティストです。

例によって例の如く音源は簡単に公式からDL購入できますので、気になる方はポチってみて下さい。


# by malilion | 2018-02-01 00:09 | 音楽 | Trackback

自主製作にして高品質、ただ一つの欠点を除けば…

c0072376_00374797.jpgCOS 「The Turning Around」'02

米国出身マルチ・ミュージシャン Mark W. Costosoによるワンマン・ユニットの自主製作デビュー盤をご紹介。

確か購入した時は、お店の“プログレッシヴ・ポップ作”とかいう本作の売り文句に惹かれて手を出したように覚えております。

Mark W. Costoso自身が語る所によると、13歳でピアノに興味を持ちJAZZを学びだしたのを切っ掛けに、高校でも4年間クラシック音楽理論を学びつつ作曲も始めた頃からギターもプレイするようになり、いくつかのローカルクラブバンドでの演奏を始めたのがミュージシャン歴(作曲とピアノの準学士号を持つギタリスト)の始まりだったそうだ。

10代後半から20代初めにかけて、様々なロック、ダンス、クラブ、結婚式のバンド等でキーボードとギターを演奏しながら、結局自身の音楽的欲求を満たすバンドに居たことがなかった為、ソロ・プロジェクトを立ち上げアルバムを製作する事にしたらしい。

で、本作だが、影響を受けたバンドは、YES、KANSAS、GENESIS、KING CRIMSON、GENTLE GIANT、UTOPIA、らしいが、アルバムにはプログレ系の影響は余り窺えず、むしろUTOPIA(というかTodd Rundgrenか)やTOTO、そしてAOR系の影響の方が強く感じられる。

テクニカルで軽やかなピアノやキーボード・プレイにKANSASっぽさ、コーラスパートにYESっぽさを感じるものの、入り組んだ変拍子展開等にプログレの香りが僅かにするだけで所謂プログレ系やシンフォ的な要素は微弱で、基本はシンセサイザーをはじめ鍵盤系のメロディアスなサウンドで楽曲を形作り、透明感あるポップでメロゥなコーラスや歌メロで飾り立てつつギターで全体を引き締めるというイメージの、実にバランスが取れた楽曲構成もハイソで完成度も高く、ある一点を除いてソロ・プロジェクトとは思えぬ高品質な80年代風ポップアルバムに仕上がっていると言えよう。

まぁ、その一点がデカいんですが…

どうしてそんなに素晴らしいミュージシャンのアルバムがマイナーで殆ど知名度が無いか、って考えると察する方もいらっしゃるかと…

色々なカバーバンドやジャンル問わずに様々な裏方経験を積んだ結果か、楽曲の出来はポップでキャッチーでコンパクトで個人製作の自主盤にしてはかなりのレベルにあるのですが、その素晴らしい楽曲のレベルを著しく下げてしまっている Mark W. Costoso自身の、高音が出ないSTYXの James“JY”Youngがガナってるみたいなイケてない野太い歌声が非常に非常に残念で仕方がありません…('A`)

お得意のピアノが活きるバラード系の楽曲ならその違和感も少なくて済むし、もっとドプログレな方向性で殆どインスト作みたいなアルバムならこのヘッポコなヴォーカルでもなんとかなったかもしれませんが、如何せん目指す方向性がコーラスたっぷりのブライトなポップ系で歌メインな楽曲なのでどうにも避けて通れないウィークポイントなんスよね。

実際、海外でも楽曲を褒める声は多々聞こえるものの、総じて批評する皆がそのヴォーカルに苦言を呈してますから…

14年ぶりに『COS』'16 なる2nd(残念ながらR盤…)をリリースしたのですが、その2ndでせめて巷の批評に耳を傾けて歌えるヴォーカリストを招いてくれていれば、間違いなくAOR&ポップ系の話題作(そこはかとRUSHっぽいイメージもある!)になっていただろうに…2ndでも、なぁーんも変わってませんわ…orz

アルバム全体の雰囲気や楽曲、インストルメンタル・パートのプレイやサウンドは総じて心地よいものの、コーラス厚塗りしてみてもC級な歌声が全てをダメにしまっているという悲しい例ですね。

スタジオでのエンジニアリングが忙しそうですが、もし3rdがあるなら、今度こそ専任ヴォーカリストを迎え入れてアルバムを製作して(後、もうちょい音良くして…)欲しい、切にそう願う惜しいアーティストであります。

彼の楽曲をお求めの方は今なら手軽にDL出来ますが、同名のバンドやプロジェクトが多数多ジャンルに渡って数多く存在するので、その際はお間違いのないように。


# by malilion | 2018-01-31 00:30 | 音楽 | Trackback

そのまま活動を続ければ、間違いなく好リリースを記録したのに…正統派メロディックHMバンドPORTRAIT。

c0072376_01542949.jpgPORTRAIT 「Same」'90

またラックから懐かしいアルバムが転がり出てきたので本日はコレを聞いておりました。

アメリカ出身マルチ・プレイヤー Gordon W. Chapman(Vo、G、B)率いる正統派メロディックHMバンドが'90年に自主盤でリリースした唯一作をご紹介。

なんだかオリジナル盤はレア盤(当然、今は廃盤)扱いらしいですけど近年リプロ盤が出回っているとの事で意外に簡単に中古盤も見つかるかも?
それに音源は今なら簡単に公式音源をDL購入出来ます(いい時代になったなぁ…)ので、別に幻の音源って訳でもありません。

まぁ、購入した当時はそんなレア盤になるなんて予想もつくわけもなく、伝え聞いていた情報ではすぐに2ndがリリースされると言われていたんですが、結局待てど暮らせど今日まで2ndはリリースされませんでした…(つд`)

さて、このバンドですが、Gordon W. Chapman(Vo、G、B)の他は John Garett Gormanなるドラマーが製作に関わっているだけで、ゲストで一曲ベーシスト Chris Olsenがベースを弾いているのみの完全ワンマン・プロジェクト(プロデュースもGordon W. Chapman自身とエンジニア)というのが実情のようです。

アメリカ産バンドでありながら、そのサウンドはウェット感あるブリティッシュHM臭と透明感ある北欧様式美HMの影響が強く感じられるシンプルな正統派メロディックHMで、Gordon W. Chapmanのヴォーカルが意外と上手く、癖のない声質の歌声でキャッチーでメロディアスな歌メロを無理なく歌いこなしており、強引に金切り声を張り上げるヘッポコギタリスト兼任ヴォーカルなレベルでないのが嬉しい誤算でしょう。

US産HMながらリフとスピードで推し通すゴリゴリのストロング・スタイルではなく、憂い有るマイナーな甘いメロディが疾走する楽曲が中心な哀愁や叙情を湛えた80年代初期北欧系HMスタイル故か、リリース当時輸入盤店でそこそこ話題になって良いセールスを記録したという逸話も残っている実に日本人受けするサウンドなので、是非2ndを届けて欲しかったなぁ…orz

ギタープレイにはインギーの影響も窺える、所謂ネオクラシカル・フレーズをフィーチュアした早弾き系のプレイが基本なものの、テクを見せびらかす(そもそもテクはそんなに…)自己満プレイに陥っておらず、しっかりと楽曲を聴かせようという意識(初期インギー作をよりバランス重視にしたイメージに近いかな?)が窺えるなかなかの佳曲が揃っております。

また、自主制作盤アルバムなのにプロダクションもしっかりしており、当時としてはかなり良い音を聴かせてくれているのもポイントでしょう。

今回、久しぶりに彼等のサウンドを耳にして、ちゃんとしたフルメンバーによるバンド体制でのアルバムを聞いてみたかったプロジェクトだと再び思ったのでした。

Gordon W. Chapmanはこの他『Gelatinous Goo』なるソロアルバムを1枚リリースしているのと、近年は SARAHKX & Gordon W Chapmanなるバンドで活動している模様ですが、詳細はよく分かっておりません。




# by malilion | 2018-01-30 01:47 | 音楽 | Trackback

まさかの先祖返り!? GALAHADが壮大な組曲1曲のみのコンセプトNEWアルバムをリリース!

c0072376_13444674.jpgGALAHAD 「Seas Of Change」'18

同期が次々と姿を消しゆく中で未だ激しく気を吐き続け、UK産第二世代ポンプ・バンドの代表格になりつつある彼等のオリジナルフルアルバムとしては5年ぶりとなる11thアルバムを即GET!

近年はプログメタルに接近したり、ダンサンブルなアレンジの楽曲も含んだ前作『Beyond The Realms Of Euphoria』をリリースしたり、去年は旧曲のアコースティックアレンジBEST盤『Quiet Storms』を出したりとサウンドの幅とモダン化を加速的に拡げていた彼等だが、本作は70年代プログレバンドが盛んに試みた手法と同じくアルバム全てを使った大きな組曲1曲(43分!)のみで構成されているシンフォニック・コンセプト・アルバムへ挑んでいる。

そして再びメンバーチェンジがあった模様で、去年アコ-スティックメインによる旧曲BESTをリリースした際に最初期のベーシスト Tim Ashton が復帰したが、今度はバンド立ち上げメンバーにして長らくギタリストの座をつとめていた Roy Keyworthが脱退し、代わって迎えられたのは一時期バンドに在籍していたにも関わらず公式から存在を抹消されていた、現在はソロ活動も盛んな Lee Abrahamが本作ではベーシストとしてではなくギタリスト(!)として復帰(17年春から復帰していた模様)し、デリケートだったりパワフルだったりと、変幻自在なギターワークをモダン・サウンドに乗せてセンチにエモーショナルに響かせている。

ベーシストが昔からこのバンドはなかなか定まらなかったのは周知の事実ですが、まさか初期からずっと安定していた(と思っていた)ギタリストの交代劇が30周年を迎えた後に起こるとは正直驚きでした。
GALAHAD脱退後のソロ活動を見るに、恐らく Lee Abrahamはあくまでギターをプレイしたかったもののバンドにはベーシストとして迎えられ、結果的にフラストレーションが溜まって脱退した、だけどバンド側はその才能を高く評価していたのでギタリストが抜けた際に即連絡して迎え入れた、というような顛末な気がします。
今回のギタリストの交代劇でバンドサウンドが一層に若返る事に成功したと思うので、これは双方にとってWin-Winな結果でしょう。

遂に黒歴史から開放されたんやな…良かったなぁ、Lee Abraham…(つд`)

さて、組曲1曲のみの本作サウンドについてだが、その形態からの察せられるように最初期の如何にもポンプ然としていたGALAHADサウンドを思い起こさせるメロトロン系キーボードやオーケストレーションも加えた伝統的プログレ要素と、彼等の初期に顕著だった牧歌的な要素を組み合わせ、近年のプログメタルな方向性の壮大なシンフォニック・サウンドでコーティングしつつ、二十年前から試みていた現代的なテクノ風キーボードサウンドも隠し味にピリリと利いている、如何にも英国風な湿り気を帯びた繊細でドラマチックな叙情感とパワフルでモダンなダイナミズムがハイブリッドに融合した新生GALAHAD第一弾に相応しい意欲作と言えるだろう。

同じようにコンセプトアルバムをリリースしている長らく彼等のお手本であったMARILLIONが、枯山水的な仙人世界へ旅立ってしまったのと比べると、彼等のサウンドは未だに俗っぽくそしてパワフルで生々しいロック・スピリット(スケール感では負けてるけど…)を感じさせるのが実に興味深く、そして個人的には嬉しい点でもあります。

また、一大コンセプト作なものの大勢のゲストプレイヤーを招くような事はなく、バンド曰く“長期名誉メンバー”と讃える Sarah Bolter(元Sarah Quilter)嬢(最初期アコースティック作『Galahad Acoustic Quintet: Not All There』'94 から断続的に製作に参加している)による、コーラス&バッキングヴォーカル、フルート、クラリネット、ソプラノサックスのみを加えて本作は製作されている事からも、新生GALAHADのポテンシャルにメンバーが絶対の自信を持っている事が窺える。

ここ数作のようなコンパクト感とメタリックなタッチは若干後退して感じるものの、それはアルバム形態によるものでしょうから不安材料とはならないでしょう。
寧ろ Lee Abrahamを迎えた事により、新生GALAHADのサウンドはポップ度とキャッチーさ、そしてモダンさを今後ますます増していくのじゃないかと予想出来ますね。

プロデュース、ミックス、マスタリングは、00年代に消えかけていた彼等を華麗に復活させたお馴染み Karl Groomが手がけているので品質に些かの疑いもないのでご安心を。

初回デジパック盤は限定なのか不明ですが、組曲内の曲2曲がエディット版でボートラとして収録(つまりアルバムには3曲収録されてる)されております。

そうそう、限定でCD付きターコイズカラー&ピクチャーLPも同時期にリリース(プログレ的なマニアックさですねぇ~)される模様なので、アナログマニアな方は是非そちらの方もチェックしてみて下さい。



# by malilion | 2018-01-27 13:37 | 音楽 | Trackback

如何にも気品漂う英国ポップス♪ DOWNES BRAIDE ASSOCIATIONの3rdをご紹介。

c0072376_12295779.jpgDOWNES BRAIDE ASSOCIATION 「Skyscraper Souls(DBA3)」'17

御存知ASIAのキーボーディストにして近年はYESにも在籍する、プログレ系ミュージシャンとしてだけでなくポップ・ヒットメイカーとして80年代初期から第一線で活動を続ける Geoff Downesが、英国人シンガー Chris Braideと組んだUKポップ・ユニットが2年ぶりに3rdをリリースしたのをちょい遅れてGET!

前作の80年代USポップス風なレトロなジャケデザから一転、YESでお馴染みの Roger Deanの手によるジャケ画を見るだけで今回は前作と違う路線と予想出来る新作だ。

で、聞いてみると、基本路線は以前からの2人のソング・ライターとしての才能が発揮された、プログレ、ポップ、ニューウェーブをベテランの風格たっぷりMIXしたアダルト&モダンでシャレオツなメジャー路線の高品質UKポップ・ロックなのだが、今回はその基本スタンスを護りつつシンフォサウンド寄りにアプローチしたサウンドというイメージで、タイトルトラックが約18分の長尺曲でプログレお約束な構成曲なものの全体的に若干シンフォテイスト(フロイド風?)を感じる程度の変化なので前作までの親しみやすいポップでキャッチーなサウンドを気に入っていた方でも問題なく楽しめるプロフェッショナルなアルバムと言えよう。

また本作から、Geoff DownesとChris Braide2人のキーボード、ピアノ、プログラミング、ヴォーカルに加え、ギターや可憐で幻覚的なフィメール・バッキングヴォーカルや男女デュエット、さらに各曲毎に米英の著名なゲスト・プレイヤーやゲスト・ヴォーカリストを多数迎えつつ、打ち込みを捨てて生演奏のリズム・セクションを取り入れたよりバンド・サウンドへ近いサウンドとなっており、さらに深みと華麗さの増した美旋律が薫るサウンドへと進化したシンフォニック・コンセプト・アルバムとなっている。

ゲスト陣の中で特に注目なのは、XTCの Andy Partridgeだろう。
アルバム全9曲のうち4曲(tracks 1,3,8 & 9)のギター・パートをプレイしていて、本作の淡く英国叙情漂うウェットなモダンサウンドのテイストを決定づけている立役者とも言えるのは間違いない。

また、BIG BIG TRAINの三代目フロントマン David Longdonがヴォーカル&フルートで参加したtrack5では、Chris Braideと David Longdonのツインヴォーカルが聞けるドラマチックで気品溢れるUKポップサウンドも聞き所の一つだろう。

しかしギタリストの参加でここまでサウンドにエモーショナルでハードなフックと陰影が生まれるとは驚きでした。
前の2枚のアルバムとは異なり、Ash Soan(Ds)、Andy Hodge(B)、Dave Colquhoun(G)のコアバンドで本作は製作されており、次作でも同じ構成で是非バンドサウンド寄りの魅力的なアルバムを製作して欲しいものです(*´ω` *)

MUSICIANS

Geoff Downes (Keyboards & Vocals)
Chris Braide (Vocal & Keyboards)

with:

Andy Hodge (Bass)
Ash Soan (Drums:イギリス人名セッションドラマーで Trevor Horn、Squeeze、Adele、Robbie Williams、Gary Barlow等の仕事で知られる)
Dave Colquhoun (Guitars:Rick Wakemanのソロアルバムに多数参加しているギタリスト)

Andy Partridge (Guitar & Mandolin :XTCのリーダーでVo&G)
Kate Pierson (Vocals USAニュー・ウェイヴ・バンド:The B-52'sのシンガー)
Matthew Koma (Vocals USAのミュージシャン、シンガーソングライター)

David Longdon (Vocals & Flute :UKシンフォバンドBIG BIG TRAINのフロントマン)
Tim Bowness (Vocals イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター)
Marc Almond (Vocals イギリスのミュージシャン、シンガー)



# by malilion | 2018-01-24 12:21 | 音楽 | Trackback

HMプロデューサー&レコーディングエンジニアのクリス・タンガリーディスが1月7日に死去…R.I.P

まさかの新年早々の訃報…orz

メタル系を愛聴する諸兄なら数々の名バンドのアルバムで一度はその名を目にした事もあるはずのベテランプロデューサーにしてエンジニア、Chris Tsangaridesが逝ってしまわれた…

個人的にはANTHEMのアルバムでいつもその名を目にしていただけに、途方も無くショックです…

彼が手がけたバンドは、ANGRA、ANVIL、BLACK SABBATH、COLOSSEUM II、EXODUS、HELLOWEEN、JUDAS PRIEST、MAGNUM、Yngwie Malmsteen、Gary Moore、PRAYING MANTIS、TNT、UFO等々、上げていったら枚挙にいとまがありません…


R. I. P Chris.
# by malilion | 2018-01-08 12:19 | 音楽 | Trackback

一気にASIA化!? LEE ABRAHAMがソロ6作目をリリース!

c0072376_02315726.jpgLEE ABRAHAM 「Colours」'17

第二世代UKポンプとして未だ気を吐くGALAHADに05年から09年にかけて在籍しアルバム制作にベーシストとして参加したのに、その存在をバンドに抹消された(涙)ポンプ系UKマルチミュージシャンのソロ作6thがリリースされたのを幾分遅れてGET!

まずは前作の如何にもプログレ系という淡くファンタジックな美しいジャケアートから一転、いきなりアーバンでカラフルになったジャケットに驚かされる。

そしてアルバムのサウンドを耳にした今までの彼のファンなら、その予想を上回るポップでキャッチーなモダンサウンドに愕然とするだろう。

で、この変化は製作メンツが原因かと思ったが、ソロ作ながらもドラム、ベース、ギター&キーボードの最小3ピースなバンド構成を基本に複数のヴォーカリスト等の豪華ゲスト勢を多数招くこれまでのソロ作と同じパターンに変化はなかった。

その注目のゲストの方は、ほぼ00年代デビューのUKネオプログレ・バンドのメンツばかりで殆ど前作にも参加しているメンツばかりだ。

Lee Abraham(Guitars、Keyboards)

Gerald Mulligan (CREDO:Drums)
Alistair Begg(Bass)
Rob Arnold(Piano、Electric Piano)

Dec Burke (ex-Darwin's Radio、FROST*、AUDIOPLASTIK:Vocals)
Marc Atkinson (RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MANDALABAND:Vocals)
Simon Godfrey (TINYFISH, Shineback, Valdez:Vocals)
Robin Armstrong (COSMOGRAF:Vocals)
Gary Chandler(JADIS:Vocals)
Steve Overland(FM:Vocals)

全体的なサウンドにシンフォ系の香りが漂うものの、タイトル・トラックの『Colors』などは露骨にニュー・ウェーヴ・サウンドと80年代アリーナロック的なテイストを感じさせ、TOTO、ASIA、FM等に通じる軽快で古典的なAORサウンド要素が全面に押し出されていて、明らかにこれまでのアルバムと感触が違っている。

全楽曲が非常に旋律的で、ややもするとウェットでダークな雰囲気の強かった彼のシンフォニックな作品の中でも随一のブライトさと幅広いサウンドカラーが聞き取れ、主要なメロディーとコーラスなどは殆どラジオフレンドリーなメロディアス・ポップそのものと言っても差し支えないだろう。

無論、これまで通りにHRテイストやシンフォ・ロックなテイストを感じさせる楽曲もあるものの、これまで折衷的に微妙なバランスを取ってきたアルバムのサウンドが、本作で一気にポップな方へ傾いたのは明白だ。

とは言っても、未だに柔らかなキーボードの音色に包まれた、穏やかな叙情をたたえたドラマチックで感傷的なサウンドは健在なので、余りの変わりように落胆した、なんて事はないので旧来のファンの方々もご安心を。

前作以上に6名のゲスト・ヴォーカルが代わる代わる個性豊かな歌声を披露し、それだけでも各曲の顔つきがガラリと変わって、アルバムタイトル通りにカラフルでヴァラエティ豊かなサウンドを一層に華やかにするのに一役かっている。

前作では咽び泣くエモーショナルな哀愁のギターが、ゆったりと流れゆく楽曲を盛り上げる主導権を担っていて鍵盤系サウンドは完全に脇役であったが、本作ではハードなギターリフに負けぬ Geoff Downesスタイルのオーケストレーション・キーボードや魅力的なメロトロン、そしてハモンドなどなどセンチメンタルなメロディと繊細な叙情性を引き立てる重要な役割を果たしており、基本歌モノ中心で穏やかな曲調の多い Lee Abrahamのアルバムのメリハリを一段と強調し、サウンドに深みとウェット感を与えていると言えよう。

また、ポップな方向性のアルバムではあるもののUSA系ポッフスのような軽薄さは皆無で、多数招かれたゲスト・ヴォーカリストの中でも Steve Overlandのソウルフルでディープな歌声は本作の中でも随一に光を放っており、それ以外にも賛美歌風な合唱コーラスなど華麗にして重厚な英国的要素もしっかりと楽曲のそこかしこに散りばめられているのは流石の一言だ。

プロデュースは Lee Abraham自身で、マスタリングはお馴染みの Karl Groomという安心印なので、サウンドの品質は自主製作盤ながら折り紙付きでしょう。

個人的には大変好ましいこの一作ですが、シンフォ系という目線から見るとお薦めにはならぬだろう一品だし、ポップ系で売るには毛色が少々違う、という、余り爆売れしそうに思えないアルバムですので、ファンは勿論のことポップ目なシンフォ作が好きな方はお早めにね!



# by malilion | 2018-01-01 02:21 | 音楽 | Trackback

フレンチ・シンフォ TAI PHONGがアルバムに先駆けてまさかのシングルをリリース!

c0072376_18115734.jpgTAI PHONG 「Before The Dragons」'17

LIVE作を先日遅れてご紹介しました彼らが、現在製作中と伝えられるアルバムに先駆けてまさかのシングルをリリースしたので即GET!

内容はと言うと、新曲2曲入(内1曲がインスト)という内容で、メンバークレジットなど詳しい情報が一切記されていない紙ジャケ&お手製R製という如何にもな自主製作シングルな為に色々と不明な点が多く、サウンドを聞く限りではリーダーの Khanh Mai(G&Vo)は当然として、Aina Quach嬢(Vo)と息子の Davy Mai(G)は製作に関わっているのは確実なものの、それ以外の参加メンツが現在どうなっているのか分かりません。

Khanh Mai作の1曲目『Summer Nights...』は、これまでのイメージ通りな、甘くロマンチックなメロディが耳を惹くサウンドで、Aina Quach嬢のリラックスした美声が実によく映える抒情シンフォ風フレンチ・ポップスだ。

もう1曲の『A Sustained Moment Of Silence』はインストゥルメンタル・シンフォ・ナンバーで、Khanh Maiの息子Davyが作曲に関わっている為か、TAI PHONGのイメージのままにメロディアスなものの、今までになくフレッシュで今風の硬質でテクニカルなギターフレーズやハードフュージョン風のモダンサウンドが耳を惹く曲となっている。

現在製作中のアルバムがそうなのか、このシングル曲のみがそうなのか判断つきませんが、RPGゲーム『DRAGONS OF THE 7TH SEAS』にインスパイアされた楽曲ということだ。

たったこれだけの情報ではニューアルバムの内容について何も断定出来無いが、少なくとも彼らは変わらず日本人好みなセンチでメロゥなサウンドを追求してくれているのは間違いない。

もしかしたらまた日本盤が出た際に、リミックスやリマスターされてボートラとして収録されるかもしれないが、まぁバンド活動を継続して欲しい願いも込めてマニアな諸兄は今のうちにGETしておきましょう。

アルバムでさえプレス数が限られているマイナー・ジャンルのしかも復活した大昔のプログレバンドの自主製作シングルですからね、いつ入手不可能になってもおかしくないアイテムなので、お早めに!

相変わらずジャケのセンスにはもの申したくなるけど…まぁ、コレは昔からだから今更だよなぁ…



# by malilion | 2017-12-29 18:01 | 音楽 | Trackback

ブラジル産クサメロHRバンドSTILL LIVINGが3rdアルバムをリリース!('(゚∀゚∩

c0072376_20163055.jpgSTILL LIVING 「Ymmij」'17

以前ここでもご紹介した日本人の心の琴線に触れまくる臭メロが堪らないブラジル産メロディアスHRバンドの、前作より2年ぶりとなる3rdアルバムを速やかにGET!

徹底的にメロディアスな美旋律にこだわり抜いていた、けれど自主製作故のどうしょうもなくチープで垢抜けぬドマイナー・サウンドだった彼等が、遂にインディとはいえレーベル契約を果たし、今後は世界進出を目指すようで期待が否応なしに膨らんでしまいます('(゚∀゚∩

そんな風にせっかく契約を手に入れたものの、デビュー以来不動のメンツが崩れて本作はベーシスト不在の4人組でのアルバム製作だったのは少々残念ですね(つд`)

で、本作についてですが、資金的なバックアップを得た効果は覿面で、バンドサウンドの厚みとクオリティが数段アップしており、以前のシケシケサウンドに閉口しておられたメロディアス愛好家の方もコレならばニッコリでしょう。

音楽の方向性は前作同様オールドタイプのメロディアスHRなものの、サウンドのプロダクション向上の効果もあってか若干ヴォーカリストの力量が足りていない、高音域でフラット寸前なシャウト(前二作より本作は低音な歌唱部分が多いにも関わらず…)を聞くまでもなく所々でメロディを歌い切れぬのが露骨に浮き彫りにされてしまったのが少々残念ではありますが、その点についてはこれからLIVEを重ねて力量を上げていけば十分カヴァー可能なので次作の成長に期待しましょう。

本作はジャケから連想される通りJimmyと呼ばれる人物のコンセプト・アルバムになっており、アルコールと薬物まみれなライフスタイルに閉じ込められた男が、鏡を通して彼の人生を反映しているBARに座って自分の内に潜む悪魔と(酩酊状態で)戦っている様子を描写した悲劇的な結末を迎える物語だ。

収録曲の幾つかはSE込みのBAR内での語りで、物語りを盛り上げる(って程でもないけど…)効果音的に楽曲を繋ぐ小曲になっているなど、バンドは新しい試みにも挑んでいる。

ただ、新しい事に挑むのは結構なのですが、まだインディ・デビュー三作目な彼等が挑むには力量的に時期尚早だったのか、コンセプト作というアルバム形態にひっぱられたのか前作まで聞かれた徹底的に臭いメロディアスさにこだわった比重が減り、楽曲のコンパクトさも幾分薄れ、楽曲が少々間延びしたように聞こえ、その点はこれから改善されるべきポイントだろう。

また本作では、所々でギタリストのリフやキーボードの刻むサウンドにサバスやパープルの影響がチラリと垣間見え、今まで聞けなかったこの新要素が、今後よりハード目な方向へ進化して70年代風のテイストとして顕著に表れるのか、それとも当初のサウンドコンセプトをより洗練させた80年代風AORな路線へ接近して消えるのか興味は尽きません。

かなり頑張っているギターサウンド一つとってもまだまだサウンドの厚みが不足していて極上のプロダクションという訳にいかぬのは明白なB級バンドではありますが、甘いギターリフ、魅力的なキーボード、キャッチーなコーラスが詰まったメロディアスなHRサウンドを愛聴される方ならば十分に訴求するバンドサウンドでありますので、一度チェックしてみても損にはなりませんぞ!(*´ω` *)



# by malilion | 2017-12-26 20:09 | 音楽 | Trackback

80年代当時、USプログポップバンドでブレイク出来無かった数は如何ほどなのか…GLASS MOONのリイシュー作。

c0072376_04025278.jpgGLASS MOON 「Glass Moon & Growing In The Dark」'04

MATRAZと一緒に転がり出てきたこちらもご紹介。

本作は、マイナーなメロディアスバンドやUSプログレハードバンドをリリースしマニアを狂気乱舞させていた今は亡き(?)Renaissance Recordsから、04年にUS産産業ロック寄りニューウェーブ&ポップロック・バンドGLASS MOONの1979年と1982年にリリースした1stと2ndアルバムを2in1CDでリイシュー(残念ながら板起こしモノ)したものです。

GLASS MOONは、USAはNorth Carolina州Raleighのニューウェーブ&ポップロック・バンドで、1980年から1984年の間に3枚のアルバムを発表し、3枚のシングルをスマッシュヒットさせているマイナーバンドです。

John Wheliss(G)、Rodney Barbour(Vo、Acoustic G、Flute)、Nestor Nunez(B、Vo)によって1970年代初期に結成さ、結成当初はGENESIS、YES、GENTLE GIANT、PFMに影響されたシンフォニック・ロックを演っていたが、David Adams(Vo、Key)が加入した時から音楽性が急激に変化していく事になる。

立ち上げメンツ3人に加え、David Adams(Vo、Key)、Chris Jones(Ds)の5人組で活動していたが産業ロックブーム到来という時流の変化に合わせポップ化するバンドサウンドの急激な音楽性の変化に伴い、当然の如く John WhelissとRodney Barbourが77年に揃って脱退し、78年に一度は解散するものの、直ぐに David Adams(Vo、Key)、Chris Jones(Ds)、Nestor Nunez(B、Vo)の3人組バンドとして再結成し、活動を開始する。

オリジナルメンバーは Nestor Nunez(B、Vo)のみなものの、3人組バンドになった事で完全にバンド主導権が David Adamsへ移り、ポップロック・バンドとしてインディレーベルRadio Recordsから79年にアルバムデビュー(ディストリビューションはRCAレコード)を果たす。

デビュー作の時点では、キーボーディストのDave Adams主導という事もあって、キーボード主体のキャッチーでメロディアスなポップロックという感じでハードなテイストは殆どないものの、キーボードのプレイスタイルやオルガンの音色に初期のプログレテイストの残り香が漂っていて、サウンドが古臭かったり新しかったりと幾分か整合性が取れていないものの産業ロック化し切る前の初期STYXっぽいテイストなどを感じるなかなか興味深い一作となっていました。

続く2nd「Growing In The Dark」は、ギリシャ人のセッション・ギタリスト Jaime Glaser(G)を迎え製作され、81年に完成したもののアトランティック・レコードとのディストリビューション契約を結んだ影響でリリースは82年まで延期されてしまう。

因みに Jaime Glaserはこの後、Jean-Luc Pontyや Chick Coreaとの仕事でその名を馳せる事になります(*´ω` *)

産業ロックの一大ムーブメント(JOURNEYの『Escape』は81年)が盛り上がっている時にアルバムをリリース出来無かったのは痛手であったが、大手レコード会社のバックアップもあってシングル曲がそこそこのヒットを記録したのでバンド的に見てプラスになったのは確かだろう。

2ndでは一気にポップ化が進み、元々甘い声質でハードな音楽性と相性の良くない David Adamsの穏やかな歌声が良くマッチするコンパクトでキャッチー、そしてリズミックなサウンドからは完全にプログレテイストは払拭され、モダン化したデジタリーで煌びやかなシンセサウンドが実に心地よく、明らかにシングルヒットを狙ったラジオフレンドリーな楽曲創りがなされているのが分かる。

ただ、残念な事にシングルヒットを狙った完成度の高い楽曲を詰め込んだアルバムなものの今一つブレイク仕切れずマイナーな地位に甘んじる結果になったのは、やはり David Adamsの歌声にパワーや強烈な個性と言ったものが感じられず、当時のキラ星の如く活躍していた産業ロックバンドの名ヴォーカリスト達に及ばぬレベルだったからでしょうか?('A`)まぁ、相手が悪いよなぁ…

84年にレコード会社をMCAへ移籍してリリースした3rd「Sympathetic Vibration」では、David Adams(Vo、Key)を除くメンツの総入れ替えし、Doug Morgan(Ds ex:3PM)、Bobby Patterson(B、Vo)、Rod Dash(G 後に改名しRod Abernethy)を新たに迎えて製作されている。

産業ロック路線での成功は難しいと考えてのメンツ変動だったのか、新たなブームを察知し時流に迎合する形でロックテイストの薄いまんまニューウェイブ系というシンセシンセしたドライでデジタリーな軽めの薄口サウンドに変化した為か、正直完全に別バンドと思える退屈なサウンド(数曲耳を惹く曲はあるけど)の作品と言わざる終えないのが残念だ…orz

その為か、現在まで3rdがCD化されリイシューされた話は聞いた事がありません(つд`)

レコーディングが終了して間もなくの6月に Rod Dashが脱退し、新たに Dick Smith(G)を迎え活動を続けるものの、シングルのチャートアクションはTOP100台以下と伸び悩み、その状況を見たMCA Recordsは続く2枚目のアルバムリリースの予定をキャンセルしてしまう。

満足なサポートを得られなくなったバンドは86年に解散した。

バンド消滅と前後して、Dave Adamsは86年にソロ・アルバム「Dancing in My Sleep」を録音しElektra Recordsからリリースする。
ググッとAOR寄りになったソロ作には Rod Dashが招かれ、多数のゲストに混じって華麗なギタープレイを披露している。

その後、Raleigh地区に拠点を置くSUICIDE BLONDEなるバンドへDave Adamsは加入したらしいが詳細は不明だ。

最後の新メンバーとなった Dick Smith(G)はその後、Earth、Wind&Fireや Kenny Logginsのツアー要員として忙しくしていると言う…

本リイシュー作に合わせるように、05年に Dave Adams' GLASS MOON 「Moon Hits & More」なるアルバムがRenaissance Recordsのディストリビューションでリリースされたが、その内容はGLASS MOONの3枚のアルバムから楽曲をチョイスし、さらに未発表曲(幻の4th用の音源?)や Dave Adamsのソロアルバムの楽曲も収録したコンピレーションBEST盤でありました。

音源自体はDL販売されているので比較的安易に入手する事は可能ですが、GLASS MOONのアルバムは何れも廃盤となっておりますので、CD、LP共に中古盤などで見かけたら一度チェックして見るといいかもしれません。




# by malilion | 2017-12-22 03:56 | 音楽 | Trackback

南米チリの忘れられた名プログHMバンドMATRAZの最終作をご紹介。

c0072376_03072059.jpgMATRAZ 「Gritare」'04

別のアルバムを探していてヒョッコリ転がり出てきたので今日はコレを聞いておりました。

南米チリのSantiagoで96年に結成されたテクニカル・シンフォ&プログHMバンドの2ndにして最終作をご紹介。

Marcelo Stuardo(Ds)、Diego Aburto(Key)、Jorge Diaz(G)により1996年結成され、アルバムデビュー前の97年に「El Reflejo」と「Tierra Herida」なる(それぞれ1曲入り)デモテープを二本リリースした後、Inti Oyarzun(B&Vo)が加わり4人となってバンド体勢が整った99年に「Tiempo」でインディのMylodon Recordsからデビューする。

デビュー作を一聴してすぐ分かるのが、彼等はDREAM THEATERのフォロワーに属するサウンドを披露しているという事だ。

ただ有象無象のフォロワー達と違うのは、ヴォーカルがスペイン語の為に独特な巻き舌発音の歌メロになる点と、フュージョンやジャズが混ざった非HM的でユニークなテイストが楽曲の中で大きなウェイトを占めていて、テクニカルでスピーディーなのは勿論の事、お約束の一筋縄でいかぬ強引な変拍子や楽曲展開で攻めまくるだけでなく、一気に力を抜いた美しく透明感ある洗練されたメロディや、ヘヴィさやダイナミックさを捨ててリズム隊が恰もメロディ楽器であるかのように楽曲をリードしたり、華麗なピアノやシンセの涼やかな音色を織り交ぜた所謂シンフォニックな流れるようなサウンドが際立つ、静と動の対比を活かした多彩でスタイリッシュな楽曲が耳を惹く全四曲の大作志向なハイクオリティな快作であった点だろう。

メロディアスさを損なわぬ奇妙で複雑なアレンジをしてシンフォニック・ジャズメタルとも呼ばれる1stの時点で、このバンドは単なるプログレッシヴHMバンド以上の“何か”を提示しようとしているのは誰の目にも明らかであったと言えましょう。

そしてデビュー作から5年、続く2ndであり最終作である本作は、フロントマンだった Inti Oyarzunに変わり新たなベーシスト Jorje Garcia(B)が加入し、さらに女性ヴォーカルの Loreto Chaparro嬢を迎えた5人組となった新編成によって製作された。

まず耳に付くのが Loreto Chaparro嬢のパワフルで上から下まで幅広くカヴァーする美しい歌声だろう。

声質は良かったもののパワーという点では問題もあった Inti Oyarzunのヴォーカルパートの強化に加え、従来のテクニカルさはそのままに、よりヘヴィ且つエッジの立ったハードなHM色を強めたプログHM要素が濃厚になり、疾走感溢れるバンド・アンサンブルにも一段と磨きが掛かってよりサウンドのスリリングさと重厚さが増したのは見事の一言(*´ω` *)

インストゥルメンタル・パッセージや作曲面で依然として夢劇場の影響は窺えるものの、非常に複雑なプログレッシヴHMの一部のパートでは1stアルバムより実験的な試みに挑むなど、HMとJAZZという2つの矛盾したジャンルのハーモニーを熟練と情熱で美しく融合させて見せた1stで聞けたシンフォニック・ジャズメタルは更にシャレオツでモダンなサウンドへ進化し、前作を上回る独創性の高さを証明して見せたのは驚きだろう。

ジャズの流動性を内包した音楽は落ち着いていて、そして刺激的で爽快で、何より知的な2ndの中でも特筆すべきはキーボーディストの Diego Aburtoのプレイヤースキルとアレンジ力で、流暢で華麗なピアノの美しくロマンチックな音色がバンドサウンドのオリジナリティを高めるのに多大な役割を果たし、このアルバムを本当に輝かしい作品にしていると言えましょう。

高いレベルで纏まっているものの、あと一歩ユーロ系プログHMのような艶やかさに至らぬのはお手本がUSグレHMだからなのか定かではありませんが、新人インディバンドが2ndにしてここまでのレベルへサウンドを昇華せしめた事を見ても、彼等は決して凡百のフォロワーでないのは確かだ。

けれど、そんなプログレッシヴHMの傑作をリリースしたにも関わらずMATRAZ活動中に Jorge Diaz(G)とJorje Garcia(B)は、CLAUDIO CORDEROなるスリーピースのデス・プログHMバンドを05年に結成し、立ち上げメンバーのバンド掛け持ちが原因だったのか以降MATRAZの活動は停滞してしまう。

2ndアルバム・リリース後の彼等の活動状況については不明だが、彼等はシンフォ系のプログHM路線を追求するのを止めたようで、結局3rdアルバムをリリースする事なく14年に解散してしまった…orz

因みにCLAUDIO CORDEROは現在も活動中だが、Jorge Diaz(G)とJorje Garcia(B)の2人は既にバンドを脱退している。

名手 Diego Aburto(Key)のその後の活動は分からない…出来る事ならどこかのインディ・プログHMバンドで今も活躍していて欲しいものです…




# by malilion | 2017-12-20 02:57 | 音楽 | Trackback

初来日の姿が遂にLIVE作となってリリース! TAI PHONGの限定紙ジャケ作!


c0072376_22350858.jpgTAI PHONG 「Live in Japan」'17

70年代に活躍したフレンチ・プログレ・バンドの中でも、特にここ日本で人気が高いフランス出身バンド(メンバーは多国籍)が遂に14年に初来日を果たし、その姿を伝えるLIVE盤が今年リリースされたのを遅れてGET!

2014年10月に大阪・東京で行われた初来日公演をCD2枚に完全収録したLIVE作で、色違いの同デザインのジャケで2CD+DVD盤もあるが、私は限定紙ジャケット仕様でボーナス・ディスク(オリジナル「Return of the Samurai」盤からカットされた曲集でオリジナルR盤のデュプリ盤)付3枚組の方を購入しました。

来日前は『当時のオリジナルメンバー Khanh Maiが一人いるだけで、ほぼTAI PHONGのカバーバンド』だとか現状のバンドを不安視する声もチラホラありましたが、近年リリースの再結成以降作「Sun」'00や「Return of the Samurai」'13の、『メロディアスでポップ色が強いけれど、全部カーンの曲なんで泣きメロ全開&泣きのギターソロも多く悪くない印象』という声の通り、既にプログレでもシンフォでも無いけれど、デビュー当時日本で受けたHR的なアグレッシヴさとプログレ的なシンフォニックな厚みある音色を融合させたオリエンタルな風味が漂う独特な淡く儚いセンチメンタルな美旋律は健在で、幾分リズムが現代風なものの往年の叙情性の残り香は愉しめ、今回の来日でそのサウンドが無事再現されるのか注目しておりました。

で、そのLIVEの内容ですが、さすがに Khanh Mai(G&Vo)はかなりお年を召しておりその歌声やプレイはヘロヘロ(往年のトーン再現はならず…)なものの、ツイン・キーボード&トリプル・ギター(Khanh の息子 Davyもギタリスト)+リズム隊という計7人のベテラン・ミュージシャンでバックをガッチリ固めて盛り立て、フロントには新たな黒人歌姫 Aina Quach嬢を招き総勢8名編成の大所帯バンドが奏でるサウンドは丁寧なプレイに終始し、Khanh Maiの性格を反映したかのように穏やかな進行(LIVE構成には難あり…)もあって熱演というイメージは薄く、音のバランスが悪かったりハウリングや演奏ミス等々(アルバムは修正されてる…)あったものの「Sun」の楽曲を中心に今なお人気の高い初期2作品の楽曲を交えたベスト・オブ・ベストなセット・リストは、長らく来日を待ち望んだファンの期待に十二分に応える出来と言えましょう。

「Return of the Samurai」で透明感ある美声を披露した Sylvie Tabary嬢に変わった Aina Quachの歌声は如何にと不安視(Return of the Samuraiでも一曲歌ってるんだけどね…)するファンもいただろうが、結果から言って今まで迎えられたフロントマンの中で最もパワフルな歌声の持ち主で、ソウル&ゴスペルの素養も感じさせる相当な実力派で、再結成作に欠け気味だったパワー要素を加味する彼女の美声は旧来からのファンの皆さんを間違いなく喜ばせる事だろう。

TAI PHONGの現編成は以下の通り。

Khanh Mai(G&Vo)
Davy Mai(G)
Gilles Le Moyn(G)
Aina Quach(Vo)
Klod (B)
Bastien Mc One(Key&Back Vo)
Jean-Philippe Dupont(Key&Back Vo)
Romuald Cabardos(Ds)

「Return of the Samurai」'13 発表時のメンバーで残っているのはキーボーディストの Jean Philippe Dupontのみで、LIVE前に大幅なメンバーチェンジが行われた事が分かる。

LIVEでは Davy Maiが若いだけあって今風HMチックなテクニカルな早弾きを披露したりしていて、新メンバーがフレッシュな新風を持ち込むだろう既にアナウンスされている新譜の出来に俄然期待してしまいます(*´ω` *)



# by malilion | 2017-12-17 16:25 | 音楽 | Trackback

まさかのリユニオン作!? BABYLON A.D.が待望の4thをリリース!

c0072376_18353877.jpgBABYLON A.D. 「Revelation Highway」'17

1985年サンフランシスコにて結成され、1989年に大手メジャー・レーベルARISTAから華々しいデビューを飾った彼等が、スタジオアルバムとしては17年ぶりとなる通算4枚目のアルバムを少々遅れてご紹介。

2015年のLIVE音源以来、音源リリースの無かった彼等が、音源初リリースから30周年を記念するように新譜をリリースしてきた訳ですが、なんとアニバーサリー盤と言う事でなのかメジャーデビュー前のメンツ5人組(!)でリユニオンして今回はアルバムを製作しリリースしてきたのには驚かされました。

ゴージャスなグラム系サウンドでデビューしたにも関わらず直ぐにガンズのストリート系ラフサウンドの波やブルーズ回帰の波、そしてグランジー時代と連続する不遇な時代の中でも活動を続けて来た彼等ですが、メジャーデビュー前にギタリストを John "Jones" Mathewsから Danny De La Rosaへチェンジしたのと、00年の3rdリリース時に Robb Reidから Eric Pachecoへベーシストをチェンジした(後に Robb Reidはバンドへ復帰)くらいで、非常にラインナップは安定してたんですよね。

今回のメジャー・デビュー前のバンド創立時ラインナップへのリユニオンが一時的なものなのか今後も続くのか定かではありません(オフィシャル・サイトではオリジナルメンバーで活動を続けて来たかのような説明が…)が、メジャー時代の如何にもアメリカンHMというドライでキャッチーなサウンドも悪くないが、メジャーデビュー前のユーロテイスト漂うウェット感ある80年代UK風なツインGのハーモニーを活かしたマイナー調で美麗なメロディアス・サウンドも実に味わい深く個人的にも大好物なので、今回のリユニオンは地味に嬉しかったりして(*´ω` *)

で、待望の新作ですが、バンド創立時ラインナップへのリユニオンと言う事もあってか06年にリリースしたメジャーデビュー前のデモをアーカイヴ作としてリリースした「In The Beginning... Persuaders Recordings 8688」から4曲を今回再び録り直して収録(他の楽曲も以前の音源なのかは不明)しており、その他の楽曲も明らかにデビュー前のイメージを意識したグラム化する前のブリティッシュ風HMサウンドなテイストも漂わせていて、メジャーデビュー後のブライトなアメリカンHMサウンドを好んでいた方々には少々違和感があるかもしれませんが、相変わらずキャッチーでメロディアスな事には変わりありませんので安心して購入されてもよろしいかと。

まぁ、いくらリユニオン作だと言っても流石に30年も前の方向性とサウンドを今再現しても完全に懐メロで場違いでしょうし、デビュー作のような音圧高めのハッピーなグラムサウンドも今さらなのは確実ですから、本作のような今風なモダンさと00年を経過したダークで硬質な男臭いマッチョなテイストを旧来の楽曲に組み込んで現在の音楽市場にもしっかり対応した折衷案のようなバランスの取れたサウンドに落ち着いたのは当然と言えましょう。

デビューこそ華々しかったものの時代の荒波に揉まれ、中断時期や解散を挟んだせいでその実力に相応しい評価を得られずイマイチここ日本では知名度が低い彼等ですが、この新作が少しでも多くの方の耳に届き、再び華々しいメジャーの表舞台で活動出来るよう願わずにはおれません。

P.S. 国内盤を後日購入してライナーの解説で判明したのは、メンバーチェンジは一時的なものでないリユニオンという事と、旧曲と新曲の混在したアルバムという事でした。
   また国内盤ボートラは本作収録曲のデモ音源なので、特に音源マニアでない限り国内盤を強いて購入する意味は余りないと言えます。


# by malilion | 2017-12-09 18:30 | 音楽 | Trackback

爽やか北欧メロハー HOUSTON待望のオリジナル・フルアルバム3枚目をリリース!('(゚∀゚∩

c0072376_15031201.jpgHOUSTON 「III」'17

14年にカバーアルバム第二弾「Relaunch II」をリリースしていたが、オリジナルアルバムとしては13年の「Ⅱ」以来となるスウェーデン産メロディアスHRバンドの3rdアルバムがリリースされたのでご紹介!

前カバーアルバムではツインKey体制の6人組だった彼等ですが、再びメンツ変動が起こり古株のキーボーディスト Ricky Delinだけが抜けてキーボード入り5人組というスタンダードな体制に落ち着いた模様です。

FORIGNERの名曲と同タイトルのオープニングトラックを聞くまでもなく、今さら一人欠けたくらいで中心人物でありボスである Hank Erix(Vo)がいる限り、クラッシックタイプの爽やかメロディアスHRなサウンドの方向性が変化するはずもなく、メロハー・ファンが期待する通りのキャッチーでコンパクトでラジオフレンドリーな楽曲が詰め込まれたアルバムを届けくてれている。

ただ、毎度お馴染みなマンネリズムの権現の如く懐メロサウンドをセルフコピーするのではなく、元々プロジェクト体制だった彼らが3年前からメンツが固まって活動を続けた結果、作り物臭くレンジの狭い固く音圧高めだったサウンドから楽器の鳴りを活かした隙間のあるナチュラルな広がりのあるバランスのとれたモダン・サウンドへ進化していて、れっきとしたバンドとして成熟した模様が見て取れるのが嬉しい(*´ω` *)

なので、デビュー当時のようなキンキンの煌びやか&コンパクトで計算された整合性とヒットポテンシャルを追求したド・ポッピー・サウンドではなく、より自然でスケールの大きいロックサウンドに近づいているので、ちょっと大人しく感じたり、キャッチーさや勢いが減退したと感じる向きもあるかもしれないが、まぁ、そこはバンドのレベルが一段上がったのとAORテイストが増えたんだと解釈しましょう。

そうした変化はあるものの、総じていつも通りなAOR寄りのキラキラした北欧特有のKeyが耳に心地よいハードポップ&HRサウンドに違いはありませんので、ファンは勿論、80年代風なクラッシックタイプのメロディアス・ロック愛好家にもお薦めな一枚です。

そうそう、やっとジャケのデザイン(と、LPチックな汚し入り)にも気を使い始めた模様で一安心であります(w



# by malilion | 2017-12-06 14:57 | 音楽 | Trackback

カナダのメロディアスHRバンドBOULEVARD、27年ぶりの新譜がイイ出来♪('(゚∀゚∩

c0072376_21352422.jpgBOULEVARD 「Boulevard IV ~ Luminescence」'17

サックスプレイヤーを含む6人組カナディアンAOR&メロディアスHRバンドの27年ぶりとなる再結成第一弾、通算三枚目のアルバムがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

BOULEVARDは1991年に解散する前に、88年のセルフタイトルのデビューアルバムと90年の「Into the Street」の二枚のアルバムをMCAからリリースしていたドイツでシングルをリリースしてスタートしたカナダのバンド(スウェーデンにも同名の80年代風メロハー・バンドあり)で、それもあってデビュー当時からユーロ圏のAORファンやメロディアスHRファンに好評であり、居をカナダへ移してGLASS TIGERやBOSTONともツアーをして益々バンドの名声は高まったものの、時流の変化も影響してかメジャーな成功を収めるには至らなかった…

常にメロディアスロック・ファンの間では再結成の噂が囁かれてきた彼等だが、遂に14年に再結成し、その年のFirefestへ出演して好評を博す。
そして再結成作をリリースするより一足先に14年のLIVEを納めたDVD作「Live From Gastown」を15年にリリースしていた訳だが、待ちに待ったフルアルバムが満を持して今回届けられた訳だ。

因みに本作のタイトルに「Ⅳ」の文字があるのは、その映像作品も含めて四作目という事だろう。

このバンドを特徴付けている最大のポイントはサックス奏者をメンバーに含む事で、再結成作である本作にもオリジナルメンバーである Mark Holden(Saxophone)がちゃんと在籍して以前にも増して大活躍しているのでファンは一安心でしょう。

ただ、さすがにこれだけ時間が経っての再結成なのでオリジナルメンバーでのリユニオンは叶わず、デビュー作から2ndリリースの間にもリズム隊がゴッソリ入れ替わったが本作でもメンツに変動があり、オリジナル・ギタリストだった Randy Gouldに代わって Dave Cormanが迎えられ、2ndからベーシストだった Tom Christiansenに代わって Cory Curtisが新たに迎えられている。

作曲の中心人物であった Randy Gouldが抜けたのは痛手なものの、このバンドの顔である David Forbes(Vo)やサウンドのキーマン Mark Holden(Saxophone)や Andrew Johns(Key&Vo)は健在で、これまでのバンドサウンドを再現するだけでなくより現代的で魅力的なサウンドにリニューアルされた、カナダ産バンドらしい哀愁を交えた心地よくウェットなメロディ満載のアルバムを届けてくれているのが嬉しい。

以前のマイルドで甘い声質の David Forbesの優しい歌声に幾分か渋みが増してはいるが、分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカルやソリッドで情熱的なリズム、そして煌びやかな美旋律を描き出すキーボードの音色の涼やかさは相変わらずで、ラジオフレンドリーでキャッチーなモダンサウンドが、ムーディーで優雅なサックスの音色を交えてシャレオツな調べに乗って繰り広げられるユーロティストな楽曲の数々は、長い長いブランクが嘘のような素晴らしい仕上がりだ(*´ω` *)

無論、さすがに90年代初期のようなポップでブライトなサウンドまんまではなく、長い創作活動を経て円熟味の増したサウンドにはAORテイストが多分に感じられ(特にキーボードとサックスに)るが十分に今でもロックのエッジを保っているし、経てきた年月が彼等のサウンドに渋みと枯れた味わいをもたらしているけれど、以前からのファンの期待にこたえるサウンドなのは間違いない。

ゲストで長年 Bryan Adamsバンドのギタリストを務めてきた Keith Scottが「Slipping Away」で如何にもといったワイルドでアーシーな音色を聞かせてくれているのもカナディアン・ロックファンにとっては話題の一つと言えるだろう。

またカナダはヴァンクーヴァーのスタジオエンジニアで裏方作業メインの Al Vermueなる人物もギターで「Slipping Away」に客演しているのは、解散後の各自の創作活動で地元で知り合った親しい友人を招いて、という事だろうか?

決してメロハー&AORのA級メジャー最高傑作とは言わないが、クラッシック・タイプのメロディロック・ファンやAORファンであるなら正しくこのアルバムは「必携」作で、併せてTOTOやCHICAGOなどの産業ロック系ファンにもお薦め出来る一枚とも言えるでしょう。




# by malilion | 2017-11-23 21:29 | 音楽 | Trackback

バンドは鈍色、ソロは華やか、ってハッキリ鮮明。JEFF SCOTT SOTOが久しぶりにソロ作リリース。


c0072376_23212303.jpgJEFF SCOTT SOTO 「Retribution」'17

相変わらず多忙なセッションワークの他、自身のリーダーバンドでのアルバム発表がここの所続いていたが、ソロとしてのアルバムは5年ぶりとなる7作目がリリースされたのをちょい遅れてご紹介。

自身のリーダーバンドSOTOが、ヘヴィでダーク、そしてマッチョで男臭い今風モダンHMな方向性であり、バンドで存分に時流とUSマーケットを意識したサウンドを披露している事もあってか、ソロ作は全く別の方向性、もっと言えば彼のこれまでのキャリアの主戦場であったオールドタイプのメロディアスHM路線を前作に引き続き本作でも追求したアルバムを製作してくれて、これは彼の旧来からのファンにとっては正に望んでいた通りの新譜と言えるだろう。

多彩な音楽的バックボーンを持つ Jeff Scott Sotoのソロ作はいつもバラエティに富んだ楽曲が収録されているが、本作もその例に漏れず、ちょい今風なハードサウンドな楽曲や、お約束のポップなAOR風だったり、これまた定番のしっとりバラードだったりと、彼の幅広い歌唱力を存分に活かしたキャッチーでコンパクトなメロハー風楽曲を楽しむ事が出来る、安心印がバッチリのアルバムだ。

まぁ、その分意外性だったり強烈な刺激だったりは希薄だけれども、彼のソロ作にソレを求める向きは居ないだろうから何の問題もないでしょうけど。

本ソロ作は、Jeff Scott Sotoを中心に、初期からJeffのソロ作に参加し、TAMPLINやALCATRAZZに在籍し、TVコマーシャルや映画のサントラ等でその手腕をふるってきた凄腕ギタリストで、本作でもその華麗なギターワークを披露するのみならず Jeffと共同プロデュースも行っている Howie Simon(G、B)、そしてSOTOのドラムスでもあり、以前からソロ作にも参加しているJeffのお気に入りドラマー Edu Cominato(Ds)の三人を基本構成として、多数のゲストを迎えて製作されている。

有名所では、Dennis De YoungのSTYX曲演奏LIVEに参加していたギタリスト Stephen Sturmや、ダブルベース・プレイヤーの名手でジャズ、ポップ、ファンクとジャンルを超えて多数のセッションに参加している Carlos Costa、そして元々北欧バンドのドラマーだったファンク系ギタリストで、本作ではキーボードやベースもプレイし、その多彩な才能で愉しませてくれる Paul Mendoncaだろうか?

収録曲の『Retribution』のPVでは、バックに美貌のベーシスト Julia Lage嬢を筆頭に美人ドラマー Emily Dickinson嬢やJeffの奥様 Elena Sotoがキーボードを担当した華やかでセクシーなバンドを従え軽やかな歌声を披露する Jeff Scott Sotoの姿に驚かされたけれど、まぁメジャーで明るいイメージのソロ作ならでは、って感じの画面構成で、憤怒の顔で轟音が叩きつけられる中、燃え上がらんばりにシャウトを張り上げる暗いイメージのSOTOでの姿とのギャップにちょっと苦笑してしまいました(w

とまれ、ファンは当然ですが80年後期から90年代スタイルのサウンドで、抜群に上手いヴォーカリストの歌が聴けるキャッチーでメロディアスなサウンドを好む諸兄に安心してお薦め出来る一枚なのは間違いないでしょう。



# by malilion | 2017-11-17 23:16 | 音楽 | Trackback

ポーランドから再び! BELIEVEの哀愁漂う優雅な美メロに酔え!

c0072376_15125753.jpgBELIEVE 「Seven Widows」'17

前身バンドCOLLAGEから数えると、既にキャリア25年以上になるベテラン・ミュージシャンからなるポーランドのヴァイオリン入り5人組ネオ・プログレバンドが待望の新譜6thを4年ぶりにリリースしたのでGET!

元COLLAGEメンバー Tomek Rozycki(Vo)とMirek Gil Sieradzki(G)と、最初期のCOLLAGEメンバーであった Przemek Zawadzki(B)等によって結成されたCOLLAGEの持つメランコリックなメロディ要素を集めたようなネオ・プログレバンドとして06年にデビューして注目を集めた彼等だが、長い活動の中で度々メンバーチェンジが起こり、今作ではドラムスとヴォーカリストが再びチェンジし、新たに Lukasz Ociepa(Vo)と Robert "Qba" Kubajek(Ds)の二名が迎えられている。

結局、オリジナルメンツで残っているのはリーダーの Mirek Gilと Przemek Zawadzkiのみとなってしまった。

まぁ、COLLAGEはこの Mirek Gil率いるBELIEVEと Robert Amirian率いるSATELLITEに分裂したようなモノなので、デビュー以降もお互いバンドメンバーだったりゲスト参加だったりとポーランドのグロプレ・シーンが狭いせいか人脈がかなり重なっているんですよね。

これでフロントマンは三度目のチェンジなのでメンツ変動にそう驚かないが、何よりこれまでバンドサウンドに艶と優美さを与えていた、前作「The Warmest Sun In Winter」'13 で脱退していたオリジナルメンバーの日本人女性ヴァイオリニスト Satomi嬢が無事バンド復帰し、さらに本作からキーボードもプレイ(専任キーボーディスト Konrad Wantrychは脱退)して一層にバンドサウンドのキーマンと呼ぶに相応しい立ち位置になっているのが大変に喜ばしい('(゚∀゚∩

で、注目の新フロントマンですが、マイルドな声質の中域メインな歌唱でシンフォ系にマッチした優しげな歌声(個人的には前任者の歌声の方が好みだけど…)なので、メンバーチェンジの一報に心配していたファンの方はご安心を。

前作まではフルートとヴァイオリンのクラシカルで優美な調べに絡む穏やかで甘美なピアノの音色と心くすぐるメロウさが売りの、淡い物悲しさが漂う仄暗い叙情的なシンフォニック・ロックだった訳ですが、メンバーチェンジも影響したのか全体的なサウンドの方向性や感触に変わりないものの、幾分かサウンドがパワフルになった印象を受けました。

そして、復帰した Satomi嬢のヴァイオリンがしょっぱなからタップリとフィーチャーされていて、その信じられない程にロマンチックでセクシーな音色は壊れ物のようにデリケートで美しく、バンドがゆったりと奏でるほろ苦く切ない哀愁と優雅さ漂うメロディアスなサウンドと相まって、薫り立つようなクラシカルな美メロが胸に迫る、その柔和でモダンなシンフォサウンドは正に絶品だ!('(゚∀゚∩

注目すべきは、スリリングさやテクニカルさよりもシンプルさと美しさを何よりも追求する、LatimerやHackettに肉薄する Mirek Gilの渾身のリードソロがここぞという所で冴え渡り、その全ての感情と情熱を解き放つかの如き儚くも美しい音色が淡く幽幻なシンフォサウンドに眩い輝きを与え、改めてスピードやテク、そしてパワーといったロック要素が無くとも甘美でメロゥなサウンドだけでここまで人を惹きつけ感動せしめるのだと驚かせてくれる。

サウンドの艶やかさや優美さの殆どを紡ぎ出しているのは Satomi嬢のヴァイオリンなものの、彼女の操るキーボードが奏でる控え目なストリングスや柔らかなシンセのアレンジが実に的確で(同一人物がプレイしているのだから当然だが)互いの楽器の音色を邪魔せぬ絶妙のバランス(前作よりもキーボードは控え目)も実によろしく、もし専任キーボーディストが在籍したままだったならば、果たしてここまで高い完成度のアルバムになっただろうかと考えてしまいますね。

個人的にはポップさやモダンさでは前作の方が上ですが、本作の方が優美でセンチメンタルなメロディの質という点で大きく勝っているように思います。

東欧故かどこか冷ややかで、けれど甘く切ない美旋律が詰め込まれたシンフォニック・ロック作ですので、メロディアス・ロック愛好家なら絶対押さえておいて損はない一品ですよ! 是非!

そうそう、近年COLLAGEの方も再結成されLIVE活動を行っているので Mirek Gilは“元”ではなく、現メンバーって事になりますね。

BELIEVEやソロ、そしてCOLLAGEと大忙しの Mirek Gilですが、次はどんな形態でか分かりませんがまた素晴らしい作品をそんなに待たせず届けて欲しいものです。





# by malilion | 2017-11-13 15:04 | 音楽 | Trackback

米国シンフォ・ロック・バンドGLASS HAMMERがデビュー25周年記念スペシャル・アルバをリリース!

c0072376_00313481.jpgGLASS HAMMER 「Untold Tales」'17

現YESのフロントマン Jon Davisonが在籍していたインディ・バンドとして一躍メジャーシーンにその名を知らしめた米国産シンフォニック・ロック・バンドのデビュー25周年を記念したスペシャル・アルバをGET!

前作が個人的に彼等のディスコグラフィ中で最悪な出来だっただけに新譜リリース情報にも及び腰でしたが、蓋を開けてみれば結成25周年を記念し未発音源を集めたメモリアル・コンピレーション・アルバムとの事で、安心して手を出してみました。

93年~17年の間に録音されていた8曲の未発スタジオ&レア・トラックを中心に、キーボードを大きくフィーチャーしていた70年代UKロックバンドARGENTのカヴァー曲(メリーランド州ボルチモアのProgscape'96で、初めてこの曲のカヴァーをLIVE披露した)とTHE BEATLES(09年に「Three Cheers For The Broken Hearted」のセッション中に録音された。いくつかのLIVEのアンコール曲として披露された事がある)を2曲、既発曲に一部手を加えた新録曲を1曲、そして脱退前の Jon Davisonの歌声をフィーチャーした16年リリースのアルバム未収録の最新シングル1曲、さらに最新LIVEからの未発音源を1曲を加えた計13曲から成る、まさにバンド史を彩る音源を連ねた記念碑的な内容となっている。

Fred Schendel(Key)と Steve Babb(B)を中心に'92年に結成され90年代以降の米国産シンフォニック・ロック・シーンを代表するバンドになるまでの25年の間に残してきた未発音源というその内容の希少度もさる事ながら、長いキャリアの中で大きく変遷してきた音楽性(出発点はゲームBGMだったんですよね…)の多様さや意外な音楽的影響まで、アルバム製作に参加した多岐に渡るメンバーの数々や、ゲストプレイヤーのプレイ記録を改めて再確認できる献身的なGLASS HAMMERファン必携のマストアイテムだ。

こうして古い未発音源を今聞き直してしみじみ思うのは、やはり個人的には初期のエマーソンへの憧憬を隠さぬドプログレな渦巻くキーボードサウンドの洪水と怒濤のオーケストレーションがリスナーの耳を容赦なく攻め立てていた時代のエネルギー、ダイナミズム、そしてフックが炸裂するテクニカル・サウンドが一番好ましく、今は随分と音楽性が拡散し変容してしまった彼らの音楽の本質を如実に現しているなぁ、と…

プログレスするのがプログレ・バンドなんだし、初期からどんどん音楽性が発展変容(最近の露骨なYESフォロワーっぷりは辟易だった)するのは当然な事なので、このイチャモンはナンセンスでファンの身勝手なエゴであるとは重々承知していますけどね(汗

それと、やはり個人的にフィメール・ヴォーカルは好みじゃないので初期のような男性フロントマンのみで構成されているバンド形態のEL&P+YESだったサウンド時代の方が好ましい、としみじみ思えました。

興味深いレアトラックばかりの中でもとりわけ注目を集めるのは、あのカナダの至宝RUSHのドラマーにして詩人 Neil Peartが音楽制作用ソフトウェア・メーカー SONIC REALITYの音源サンプル・ライブラリーの製作中に残したドラム・トラックを用いたRUSH風な未発曲や、12年企画コンピレーション・アルバム「THE STORIES OF H.P. LOVECRAFT: A SYNPHONIC COLLECTION」に提供したアルバム未収録のシングル曲「Cool Air」に、17年北米Tennessee公演にて現メンバーの繰り広げる15分近くに及ぶドラマティックでスケールの大きな最新LIVE音源は聴きものだろう。

Tracks Listing:
01.Shadows of the Past 2008(2008 Re-recording of "Shadows of the Past" from Journey of the Dunadan)
02.Infusion(Originally released on the album "Love Changes - Featuring Glass Hammer" by artist Tracy Cloud)
03.Identity Principle
04.Hold Your Head Up(ARGENT cover)
05.Babb's Bach
06.And Then She Sighed
07.Eiger Dreams
08.It's All Too Much(THE BEATLES cover)
09.Troll
10.A Grain of Sand
11.Cool Air(from The Stories of H.P. Lovecraft)
12.The Impulsive Type(Featuring Neil Peart)
13.No Man’s Land(2017 Live performance of "No Man's Land" from Valkyrie)


Line-up:
Steve Babb (Bass、Keyboards、Vocals)
Fred Schendel (Keyboards、Guitars、Vocals)
Kamran Alan Shikoh (Guitars)
Aaron Raulston (Drums)
Susie Bogdanowicz (Vocals)

Former Member:
Walter Moore (Vo)
Jon Davison (現YES) (Vo)
Carl Groves (現SALEM HILL) (Vo)
Laura Lindstrom (Vo)
David Wallimann (G)
Matt Mendians (Ds)

しかし、近年Jon DavisonのYES絡みな話題でプログレ界を賑わせた彼等が、まさか Neil Peartのドラム音源を流用した異色曲という隠し球を放ってくるとは…これはRUSHファンならずとも興味惹かれるレア音源ですよね? 是非チェックしてみて下さい。

GLASS HAMMERはこのアーカイブ作でこれまでの活動の総括をした訳で、今度こそ次なる新作スタジオ・アルバムで期待に見事に応えて欲しいものです。



# by malilion | 2017-11-01 00:23 | 音楽 | Trackback

EL&PとGENTLE GIANTへの壮大なオマージュ? いいえ、商業主義へ走らなかった70年代プログレの幻影。それがRT FACTです。

c0072376_16195574.jpgRT FACT 「Life Is Good」'17

米国在住のロシア人コンポーザー Yuri Volodarsky指揮による米国人ミュージシャン等とのシンフォニック・ロック・プロジェクトのデビュー作がリリースされたので即GET!

まずネット上でシングル「Artifact - Life Is Good」がデジタル音源でリリースされ、次に8月にフルアルバムがデジタル音源でリリース、9月にCDで現物がリリース、そして10月にはアナログLPで音源がリリースされる予定だという。
この辺の多数のメディアで順次音源がリリース(マニアックだなぁ)される一連の流れが、如何にも“今”のバンドである事を象徴してますね。

まもなく新たなソロアルバムをリリースする予定の、Yngwie Malmsteen BandやJOURNEY(涙)、幻のSOUL SIRKUS(涙)、そしてTALISMANや各種メロハー・プロジェクト等でその抜群の歌唱力を披露してきた Jeff Scott Sotoが参加(自身のリーダーバンドは??)していると言う事でこの新プロジェクト・バンドの新譜が目についたのですが、全く予想外の傑作アルバムに出会えて大変ラッキーでした。

現在は米国へ身を置く Yuri Volodarskyだが、若かりし頃の彼が育ったソビエト連邦(懐かしい…)では西側諸国のロック音楽への接触が制限されていた為、僅かに入ってくる情報や有名バンドのLPを元に想像力を羽ばたかせるしかなく、その逆境と渇望が音楽への情熱を高め続けさせた故か流行と無関係なシーンで創作活動を続けた為か、今の時代のサウンドとは隔絶した“もしかしたら西側諸国のバンド達が進んでいたかもしれぬ並行世界のサウンド”を育んで来た異色のアーティストだ。

情報統制が厳しくなる前の70年代初期のロック要素を元に、ロシアお得意のオーケストラ音楽要素を加えてオリジナルなサウンドを構築したのでしょうが、ソレが今の耳で聞くと70年代直系サウンドに今風なモダン・アレンジを加えられ、若干現代風になって聞こえるのが妙に新鮮な感触を与えてくれ、ロシア人とアメリカ人のコラボレーションなのに聞こえてくるサウンドはブリティッシュサウンドって所も非常に面白い。

しょっぱなのSPOCK'S BEARD風の複雑なコーラスが炸裂するサウンドにまず驚かされるが、Yuri Volodarskyの音楽的バックボーンは明らかに初期ブリティシュ・プログレシッヴロック、もっとハッキリ言えばEL&PとGENTLE GIANTなのは明白で、その二つのバンドの持つ雄大なクラッシク要素と複雑な多重ヴォーカル要素をミックスさせ、オーケストラや管弦楽のソリストも加えて本格的なクラシカルさを配し、さらに様々な音楽的要素を加味して新人らしからぬ圧倒的スケールでもって荘厳で幻想的な一大叙事詩を描ききっている点は見事の一言。

その他にもオーケストレーションと相性抜群なイタリアン・プログレ要素もチラホラ散見されるし、時には牧歌的だったり、ジャジーなテイストだったりと、複雑でテクニカルなだけでなく初期プログレッシヴ・ロックが持っていた遊び心あるユーモラスな雰囲気も多分に感じさせ、その点で言うと“叙事詩”にはマイナス要素かもしれないが、そんな楽曲の数々は非常に創造的な上に緻密で豊かなメロディーで最初から最後まで彩られていて、アルバムを貫く流動的でエネルギーに満ちた大きな流れの妨げにはなっていない。

決して先鋭的な最先端のサウンドではないけれど、レトロテイストな温かみある70年代クラシック・ロックのような安心感に満ちているのと、通常ならば直接的な音楽的影響が露呈する事はマイナス要素なのだが、巧みに楽曲を構成する単なる一要素として注意深く細工され、非常に抑止的な楽器セグメントで構成されている為に全くフォロワー的なサウンドに聞こえぬ上に、オペラチックなコーラスや壮大なクラシカルさだけでなくゲスト・アメリカ人ヴォーカリスト達のキャッチーな歌メロでコンテンポラリーさも感じさせるコンポジションの妙は、Yuri Volodarskyの類い希なる才能と手腕によるものだろう。

唯一の不満点と言えば、本作は約45分しかないので、このバラエティ豊かな音楽要素で彩られた魅力的なアルバムは飛ぶように終わってしまい、そこだけは次作で解消して欲しい不満点と言えましょう(*´ω` *)

Line-up:
Jeff Scott Soto (ex:JOURNEY、ex:Yngwie Malmsteen Band) Vocals
Nad Sylvan (ex:Steve Hackett Band、AGENTS OF MERCY、ex:UNIFAUN) Vocals
Will Champlin(CHICAGOのBill Champlinの息子!) Vocals

Oz Noy solo Guitar
Jeff Kollman (COSMOSQUAD) solo Guitar
Rafael Moreira Guitar
Josh Smith Guitar
Gary Meek (ex:Brian Bromberg、ex:Flora Purim) Flute、Sax
Edward Tsiselsky Keyboards
Dmitry Ilugdin Synthesizers
Eugene Sharikov Bass
Joel Taylor(ex:Brian Bromberg、ex:Jeff Richman) Drums


Yuri Volodarskyは今回はプレイヤーとしては本作に参加していないので、是非とも次作ではその腕前を是非披露して欲しいですね。

あと、4曲目中にデカいノイズがあるのが残念です…('A`)




# by malilion | 2017-10-30 16:12 | 音楽 | Trackback

天上の癒やしサウンドを貴方に…米国産シンフォニック・クリスチャンロック・プロジェクトNO NATIONの唯一作。

c0072376_16430177.jpgNO NATION 「Illumine」'05

GALINVERNAと一緒に転がり出てきたので、マニアックなメロハー作やアメリカン・プログレハードバンドのリイシューなどで有名な英国インディレーベルRenaissance Recordsよりディストリビューションされた米西海岸のトップ・セッション・ミュージシャン等によるクリスチャン・プログレ・ユニットの自主製作デビュー盤にして唯一作をご紹介。

エノク、インクナートン、モーセ、ブッダ、ゾロアスター、ナザレのイエス、ムハマドなど、私達の霊的啓蒙に貢献した偉大な先人を讃え、人類の霊的進化を促す為に平和と団結と希望の音楽メッセージを届ける、という大真面目なコメント(汗)からも窺える地球&自然をテーマにしたコンセプチュアルな作品で、どこまでも美しく、AORをはじめワールド・ミュージックやニューエイジ要素も多分に反映させつつ、煌びやかでスケールの大きい荘厳なシンフォニック・プログレッシヴ・ロックの一作だ。

主要メンバーは、1960年代後半からJOURNEYとの多数のセッション・ワークやライブミュージシャンとして活動してきた Steve Roseman(Key)、そしてJOURNEY、YES、Peter Gabriel、ABRAXESとのセッション、Neal Schonsの2枚のソロアルバムにも参加しているJohn Hernandez(Ds)、クリアで優しげな歌声がその厳つい風貌にそぐわない(汗)Ed Ulibarri(Vo)の三名で、その三名と関係の深いJOURNEYの Ross Valory (B、Fretless-B)を筆頭に、Sheena EastonやSheila Eの作品に参加したりクリスチャンHMのTHE VUや、Huey Lewis & The NEWSのメンバーでもある Stef Burns(G)、TOWER OF POWERのリズムギターだったJeff Tamelier(G)や、元YESの Jon Anderson(Vocalisation)、元MOODY BLUESの Mike Pinder(Narration…Keyはプレイしないのね…)等々の豪華ゲストが参加してのロックオペラ作となっている。

“啓蒙する”というタイトル通りに、死海文書や聖書、そして聖書の登場人物をモデルにした作品なので、ロック的な荒っぽさや熱は殆ど無い小綺麗な楽曲ばかりとなっており、テク応酬のハイテンションなインタープレイだとかスリリングでワイルドなソロパートが交錯するなんて箇所は一瞬(ほんの少し、有るっちゃ有るけど…)たりともありません。悪しからず。

逆にどこまでも美しく素晴らしいメロディとアンサンブル、そしてエスニック風味な癒やしに満ちた淡い輪郭の柔和なサウンド(センチなメロを奏でるヴァイオリンがめちゃいいアクセンソになってるんだなぁ、コレが)が幾重にも組み合わさり、ひたすらに心地よさと爽快感を終始演出してくれるので、容赦ない現代社会のストレスに心荒んでいるような方にとって一服の清涼剤となる事は間違いありません(*´ω` *)

Ed UlibarriのAOR風ヴォーカルと透明感あるリリカルで優しげなメロディや民族音楽的なエスニックなリズムも相まって Jon Andersonの一連のソロ作を思い起こさせるが、全体的にYESの「Tales from Topographic Oceans」'73と「Relayer」'75 時期風なサウンドをベースにエキゾチッチな音階やサウンドで各楽曲がアレンジされたシンフォ・サウンドで、Jon Andersonのソロ作などでよく聞かれる分厚く壮大な多重コーラスがオーケストレーションのように楽曲を優しく包み込み、深い癒やしと壮麗さを描き出す手助けをしている。

また本作は、太鼓、ヴァイオリン、三味線、ディジーフルート、ダンベク、ジャンベなど本物のアコースティック楽器を使ってレコーディングされており、古典的なプログレッシヴ・ロックと民族音楽的なテイストが巧みに組み合わされた意欲作と言えるだろう。


Line-up:
Ed Ulibarri(Vocals)
Steve Roseman(Keyboards)
John Hernandez(Synthesizer、Ds、Djembe、Dumbek、Taiko、Percussion)

Additional personnel:
Ross Valory(Bass、Fretless B)
Mike Pinder(Narration)
Jon Anderson(Vocals)
Stef Burns(G)
Jeff Tamelier(Rhythm G)
Erik Frykman(Acoustic G)
Kallan Nishimoto(Shamisen、Taiko、Dizi)
Stu Sweatman (Acoustic G)
Deby Benton-Grosjian(Violin)
Hikroyuki'Jimi'Nakagawa(Taiko)

まぁ、色々解説しておいてなんですが、ご大層なコンセプトやクリスチャン・ロックだと妙に意識せず、その美しいサウンドをただ愉しめばいいのはないでしょうか?

YESや Jon Andersonのソロ作、そしてSAGRADO CORACAO DA TERRA等がお好きな方ならきっと気に入るハズ、そんな優しく美しいサウンドです。

Peace be upon you.


# by malilion | 2017-10-28 16:31 | 音楽 | Trackback

秋の夜長に、たまにはマッタリ癒やされる清らかなサウンドも悪くない。イタリアン古楽演奏グループGALINVERNA。

c0072376_00372367.jpgGALINVERNA 「Ladri arditi」'98

イタリア共和国北西部に位置するピエモンテ州で“樹氷”を意味するGalaverna(ガラヴェルナ)の方言、Galinvernaがバンド名だという中世音楽を中世楽器で再現する趣あるイタリアン・グループのアルバムをご紹介。

随分前に古楽器を用いた中世音楽を演奏するスタイルから出発し徐々にロック色を強めていった異色のUKクラシカル・プログレ・バンドGRYPHONが好きで、彼等が影響を受けたという中世音楽を聞き漁っている時に行き着けの輸入盤店で紹介されて入手したように覚えているのが本作です。

彼等はGRYPHONと違いアコースティック楽器のみの中世楽器で演奏し、楽曲はオリジナルではなくその多くが失われて完全に残っている訳ではない中世イタリア音楽の数々を研究の上でオリジナルに近い状態へ再現したり、古代の地中海音楽や古代中東や中世スペインの音楽、そして中世宗教音楽、イタリア各地方の訛りによる賛美歌であったり、巡礼者を題材にした中世音楽(中世の巡礼者が伝えたスペイン語の土地で使用される楽曲等)等やキリスト教お決まりの古代から中世のクリスマス関係の楽曲等を再現プレイしている。

バンド活動の範囲はイタリア、フランス中央と北部のみと狭く、オールアコースティック楽器での演奏と言う事もあってプレイしているのも古城だったりと通常のバンドが余りプレイしない趣ある場所等がメインなので、演奏している優美で感傷的、そして宗教色の強いその音楽と相まってお察しの通りここ日本での知名度は皆無と言ってもいい状況なのが少々残念であります…

これまでに1998年にデビュー作「Ladri arditi、2002年に「Ratones Gordos」、2004年に「Ogn'om canti novel canto」、2008年に「Congaudeant Catholici」、同年に「Gaudete! Christus est natus」リリースと十年で5枚しかアルバムをリリースしていないが、各メンバーは他アーティストとのコラボレーションやソロ作を多数リリースしているので多忙な模様だ。

またアルバム毎にメンツの変動が激しいが、メインの4人は固定でその都度アルバムコンセプトに合ったゲストプレイヤー(メインメンツも演奏してる楽器が変化してるのがややこしぃ…)を招いてアルバムを製作している為と思われる。

「Ladri arditi」'98------

Line-up:
Mauro Basilio : guitar, saz, bass
Paola Zambon : flutes
Marco Suppo : bass, hurdy-gurdy
Elisa Fighera : violin, viola

Marco Audano : percussions
Maurizio demichelis : vocals, bass, guitar


「Ratones Gordos」'02------

Line-up:
Mauro Basilio : guitar, saz, bass
Paola Zambon : flutes
Marco Suppo : hurdy-gurdy
Elisa Fighera : fiddle, viola

Barbara Scaringella : vocals


「Ogn'om canti novel canto」'04------

Line-up:
Mauro Basilio : oud, tenor fiddle, percussions
Paola Zambon : flutes, bombardes
Marco Suppo : hurdy-gurdy, nyckelharpa
Elisa Fighera : fiddle, percussions

Silvia Prot : vocals
Massimo Givonetti : flutes, bombardes
Sergio Pugnalin : luth, percussions, vocals
Elisa Chiaraviglio : vocals


「Congaudeant Catholici」'08-----

Line-up:
Mauro Basilio : luth, oud, tenor fiddle, percussions
Marco Suppo : hurdy-gurdy, nyckelharpa
Paola Zambon : flutes, bombardes
Elisa Fighera : fiddle, lyra, percussions

Silvia Prot : vocals
Maurizio Givonetti : flutes, bombardes, vocals
Claudio Poggi : vocals
Marcella Tessarin : vocals
Alessandra Vaglienti : vocals


「Gaudete! Christus est natus」'08-----

Line-up:
Mauro Basilio : luth, tenor fiddle, percussions
Marco Suppo : hurdy-gurdy, nyckelharpa
Paola Zambon : flutes, bombardes
Elisa Fighera : fiddle, lyra, percussions

中心人物の弦楽器奏者 Mauro Basilioは他にも多数ソロやコラボ作をリリースしているので興味が有る方はチェックしてみてもいいかもしれない。

“ろう者(聴覚障害者)の泥棒”と名付けられたこのデビュー作は、M.A.Pの制作のもとミラノで録音されている。
R製ながらちゃんとAssociated Musicians Productionsと刻印されており、Ethnoworldレーベルカタログにも掲載されているので、もし興味がある方はチェックしてみるといいだろう。

自身で“さまざまな伝統からスタイルや楽器を選別している泥棒たちが新しい混合主義を探している”と本作を紹介しているのを見るに、古楽器を用いて中世音楽を優美にしっとり演奏してはいるものの、資料の散逸やそもそもの記録が元より残っておらずに目指す中世楽曲の完全再現は叶わず、多くの中世音楽要素を継ぎ接ぎして“模造品”をデッチ上げた自分等を皮肉っているのだろう。

デビュー作である本作はヴォーカル曲が三曲しか収録されておらず、そのヴォーカルも余り上手くない男性が抑揚少なく語っているような歌(古語だから歌いにくいのかも?)であり、殆どがインスト曲のみで構成されているので、この手にお決まりの美声フィメール・ヴォーカルを期待した方には残念な一作となってしまっている。

まぁ、続く次作からは専任のフィメールヴォーカルが招かれて弱点だった歌も改善されているので、歌モノ要素が重要な方は次作から手を出すのがよろしいかと。

枯れた味わいのあるAnce(Ciaramella Ciaramello 古式オーボエの一種)の音色や、GRYPHONを思い起こさせるCornamuse(中世のバグパイプの一種:コーンマスズでは無い)のサウンドに、軽やかに舞うFlauti(中東由来の中世のフルート)とGhironde(ハーディ・ガーディ:機械仕掛けのバイオリン)の絡みが堪りません(*´ω` *)

楽器自体の人気があまりなくなってしまい今では殆ど聞く事が出来無くなってしまっているNyckelharpa(ニッケルハルパ:弓で演奏する中世の擦弦楽器)やOud(マンドリンに似た形の中世の弦楽器)、そしてVielle(ヴァイオリンに似た形の中世の弦楽器)も活躍しておりますので、古楽器好きな方は是非とも一度彼らのアルバムをチェックしてみて下さい。



# by malilion | 2017-10-25 00:31 | 音楽 | Trackback

北欧HMの始祖EUROPEが新譜リリース! 再び魅力が蘇った彼等のニューアルバムは見逃せない!!

c0072376_23095116.jpgEUROPE 「Walk The Earth」'17

北欧スウェーデンHMの始祖EUROPEの、前作「War Of Kings」から2年ぶりとなる通算11作目の新譜がリリースされた。

正直、彼らの新譜には何も期待していなかった。
前作があんまりにも退屈でシミったれた出来だったもので…('A`)

で、本作はと言うと、再結成以来推し進めてきたダーク&ブルーズ路線に遂に変化が訪れたようだ!!('(゚∀゚∩

全体のダークでヘヴィなムードはそのままに、以前では聞く事が出来無かったLED ZEPPELINやBLACK SABBATH、再結成DEEP PURPLE等で耳にするミステリアスなウネるようなリズムとメロディにマジカルな雰囲気、そしてユーロ系モダンHMっぽい鈍色メロディが妖しく踊り、ブルーズ風味な John Norumのギターもそんな異彩を放つ楽曲の中でキレと渋さ、そして一瞬の美しいフレーズでキラリと光を放ち、少なくとも以前のような気の抜けた印象に残らぬ凡庸なメロディを奏でている訳じゃないのが嬉しい。

以前も Joey Tempestが盛んにルーツ回帰を唱えていたけれど余りサウンドに結実していなかったように思うのだが、今回はアルバムを聞き進めていくと、どうにもキーボードの使い方やエフェクト等のムードが70年代プログレっぽい重厚さと荘厳な香りを放っているように聞こえ、今ままで彼らが披露してこなかったこのグロプレ・テイストに再結成以来のダーク&ブルーズ路線が上手くブレンドされ、古臭いけど新しい、というオリジナリティある面白いサウンドへ化学変化を起こしているように感じる。

いやー、コイツはマジでキーボーディストの Mic Michaeli大活躍! って、感じの新譜ですねぇ(*´ω` *)

元々、Joey Tempestは70年代HR好き(北欧ミュージシャンは皆DEEP PURPLE好きだしね)を公言していたし、John Norumのギタープレイばかりにフォーカスしていた楽曲構成を変え、彼のプレイを少し抑え気味にして Mic Michaeliのグロプレっぽいサウンドとプレイの比重を増やしたらアラ不思議、類型的でつまらないダークな鈍色モダンHMが一気に70年代風なダークテイストのUK風HMに生まれ変わった、と言った所だろうか?

そんな変化が呼び水になったのか、平坦だったリズムにもメリハリと疾走感が生まれ、『やれば出来るじゃないか!』と、喝采を送りたくなる今風の格好いいスピーディーでスリリングなユーロ系モダンHMを聞かせてくれてるんですわ!

やっぱり北欧HMバンドには枯れた味わいより、湿り気を帯びた美メロと疾走感が必要なんスよぉ~! と、声を大にして私は訴えたい!

John Norumのプレイを抑え目にしたら以前みたいに不満で脱退しちゃうんじゃなの? と危惧されるファンもいらっしゃるかもしれませんが、流石に二度も同じ過ちを繰り返さぬよう注意したようで、これぞバランスのマジックといいましょうか、今回はここぞ、と言うポイントで今まで以上に泣き泣きのフレーズや早弾きなんぞを楽曲に刻み込むようにタップリ弾いているので、全体的な印象では以前と同じように十二分にギターを弾き倒しているように聞こえるんですねぇ~、ご安心を♪

再結成以来不足していたメランコリックなメロディや儚げな美旋律が Mic Michaeliのキーボードの大活躍のお陰で復活したのも新譜が魅力的になった大きなポイントですし、それ以上に見逃せないポイントが無理にダークでヘヴィなサウンドに合わせる必要がなくなった分、Joey Tempestの甘い歌声と歌メロも今回は違和感無くハマっていて素晴らしいと言うのが何よりも大きいんじゃないかと。

これ以上ダークでソリッドな方へ傾いても似合わないし、70年代HR風な荒々しくパワフルな作風へ接近しても力不足だし、そもそも猿マネの焼き直しになってしまう、というギリギリで Joey Tempestが踏ん張って熱唱を繰り広げている点は先々を考えると少々気がかりではありますが、再結成して以来長らく裏切られ続けてきたけれど本作でやっと彼等だけのレトロ・モダンな新路線を発見した模様ですので、是非ともこの魅力的な路線を突き進んで素晴らしい新譜をまた届けて欲しいものであります。

まぁ、旧来からのイメージなキャッチーでブライトな80年代風北欧HMとは完全に決別してますので、その路線を期待していた方は完全に諦めましょう。その方が精神衛生上よろしいかと……

と言う訳で、今まで彼らの新譜にガッカリしてきた旧来からのファンの皆さん! 溜飲を下げさせてくれる、この新譜はマジで買いですよ!!




# by malilion | 2017-10-20 23:01 | 音楽 | Trackback

CRIMSONへ米国からの返答? USAヘヴィ・プログバンドST.ELMO'S FIREのダークサンドは秋の長雨にぴったりな雰囲気…

c0072376_01544416.jpgST.ELMO'S FIRE 「Splitting Ions In The Ether」'98

いきなり冷え込んで季節感が狂ってしまう今日この頃、秋の長雨が鬱陶しい夜はダークでヘヴィなサウンドが馴染みます…('A`)

70年代末期に登場し、短期間活動して休止状態になり、再び近年断続的に活動し、現在は再び休止してしまっているツインギター&ツインキーボードの五人組USA産ヘヴィ・プログレッシヴ・ロックバンドの2ndLIVE作をご紹介。

本作は80年リリースの米国クリーブランドのアゴラでのLIVEを納めたデビュー作「Live At The Cleveland Agora」(オリジナルは800枚しかプレスされていない激レア盤!)に未発表分の30分の素材等の5曲を追加して再発したLIVEアルバムだ。

彼等は正式なスタジオ・アルバムは2001年リリースの「Artifacts Of Passion」のみしかリリースしておらず、79年バンド結成なのにも関わらずLIVE作やアーカイヴ作を併せてアルバムはたった4枚しかリリースしていない。

そもそもデビュー作が80年リリースの4曲入り自主製作LIVE盤「Live At The Cleveland Agora」な(いきなりLIVEとは、自身の演奏技術と即興プレイに余程自信があったんでしょうね)為、彼等のディスコグラフィの説明はややこしいんですわ…

バンドはリーダーの Paul M.Kollar(B、6&12 string G、B pedals、Key、Tape Loops、Prepared tapes)と Erich Feldman(G synthesizer、Effects)の二人によって1979年に結成された。
しばらくメンバーが入れ替わり立ち替わりしたが18ヶ月後にメンツは固まり、Mark Helm(Ds、Guns、Sandwiches)、Elliot Weintraub(G、Effects、Vo)、Stephen John Stavnicky(Key、Percussion、Flute、Vo)の五人組バンドとなる。
満を持して1980年にデビューLIVE盤「Live at The Cleveland Agora」をリリースし、ツアーを続けるものの音楽業界の時流はコンパクトでキャッチーなサウンドを求めていた為に彼等に活動の場は多くはなく、敢えなくバンドは活動休止してしまう。

十七年の後、突如活動を再開した彼等は、2ndLIVE作である「Splitting Ions In The Ether」を1998年にリリースする。
活動期に入ったからなのか、Paul M.Kollarは99年に「SUBTLE MATTER」なるソロアルバムもリリースした。
このソロアルバムはST.ELMO'S FIREのLIVE中、79年~81年の間に即興でテープループで演奏されたサウンドが元になっているTANGERINE DREAM風サウンドなLIVE作だ。

その後の2001年、バンド初となるスタジオ・アルバム「Artifacts Of Passion」をリリースする。
2ndLIVE作は純然たる新録作ではなかったので「Artifacts Of Passion」は、なんと二十年ぶりのニュー・アルバムであった。

残念ながら初スタジオ作ではメンツに変動があり、Erich Feldman、Paul M.Kollar、Mark Helm、Elliot Weintraubの四名は残留しつつ新たに Miner Gleason(Violin)と Philip Wylie(Tabla、Djembe)の二名の新メンバーを迎えた六人編成で製作されている。

2004年には、「Antiquities」と題された未発表曲の珍しいデモと既発曲の未完成版を集めたコレクターズアイテムの限定盤レコードがリリースされ、以降音源のリリースは無い。

Paul M.Kollarは、02年に「Brain Forest Wood Of Thought」、03年に「P3 Just Made It Up」、04年に「P3 Live at the FlipSide」「Brain Forest The Thought Horizon Sessions」とコンスタンスにソロ音源を発表している。

2020年(!?)リリース予定のソロ作が既に告知されているので、もしかしたらソロ活動に併せてST.ELMO'S FIREも20年に活動再開するのかもしれない…

本作「Splitting Ions In The Ether」を聞けばすぐ分かるが、モロにKING CRIMSONの影響、特にギターは Robert Frippのプレイを、ドラムスは Bill Brufordのプレイの影響が顕著だ。
まぁ、元々 Robert Frippが行っていたテープループと同じ事をし出してハマり Paul M.KollarはST.ELMO'S FIREを結成した訳ですから、似てるのは当然か(汗
とまれ鼻息荒くLIVE盤でデビューした当初の彼等が目指していた方向性は、間違いなく70年代UKヘヴィ・プログレ・サウンドだったのでしょう。
特に「Larks Tongues In Aspic」と「Red」の影響が色濃く感じられ、甘味の無い鈍色で硬派なプログレ・サウンドを、ポップさも脳天気さも捨ててUSAバンドとは思えぬ真摯な姿勢で再構築を試み、ダークな雰囲気はそのままに浮遊感あるサイケ色を加えてより暴力的にヘヴィにした重厚かつ叙情性を漂わすサウンドは見事だと思います。

後はまんまCRIMSONにならなかったのは、GENESIS的なメロディアスな要素も幾分かあったのとヴォーカルパートが殆どなく、歌入り(野太いオッサン声が下手クソな歌で唸ってる…)曲はわずか二曲だけで、しかもヴォーカルは弱々しい歌声の為にバックのド迫力でパワフルな演奏に埋没してしまい殆ど印象に残らなかったのも、しっかりと歌メロも優れていたCRIMSONとは違った印象を与えるのに役だったのかもしれません。

ただ、続く2001年のスタジオ・アルバム「Artifacts Of Passion」ではサウンドが大きく変化し、新メンバーの奏でるヴァイオリンやタブラの音色のせいか妙に民族音楽的なテイストが色濃く感じられ、以前のような張り詰めた緊張感のようなものも失せ、メロディにも今まで感じられなかった軽やかさと甘味のようなものがあって、サウンドのアンビエントな浮遊感も相まって既に70年代KING CRIMSONの影響から大方は抜け出した、似たサウンドが見当たらないCRIMSON+民族音楽+サイケ×ポップという癖の強い独自色あるサウンドをバンドが築き上げているのが分かる。

まぁ、コレは意図してと言うより、アルバム毎のインターバルが長過ぎたのと彼等自身が特に変化しようと画策せずとも時代の方が勝手に激しく変化したせいで、70年代ヘヴィ・プログレの残り香を纏った古臭い、でも今の耳には新鮮に聞こえる70年代直系プログ・サウンドを確立出来たのじゃないかと思うのだけれど…(汗

シャープさやテクニカルさでは劣るけれど、同じくCRIMSONフォロワーの一派なサウンドなのでANGLAGARDやANEKDOTENがお好きな方やメロトロン大活躍なバンドがお好みの方なら、彼等のダークで暴力的な鈍色サウンドが御気に召すのじゃないでしょうか? お試しあれ。



# by malilion | 2017-10-20 01:48 | 音楽 | Trackback

英国産バンドCATHEDRALE 幻の音源リリース!

c0072376_00410347.jpgCATHEDRALE 「J2=B2」'17

70年代UKプログレシーンに燦然とその名を残すRENAISSNCEの黄金期を支えたベーシスト Jon Campが、80年代末期に現LIFESINGSのキーボーディスト John Young、元MONEYのドラマー Tony Bodene等と共に結成した幻のバンドの、89年~91年に録音されていた未発表音源が初めて発掘CD化されたのを遅れて今頃GET!

CATHEDRALEというと70年代末期に活躍した米国産インディ・プログバンドが有名ですが、本作のCATHEDRALEは80年代のメジャーレーベル、この場合はWarnersと当時出版契約を交わした多くのバンドの1つで、米国のATLANTIC社とレコード契約を結び、ATLANTICレーベルからアルバムをリリースするべくデモ音源を作成していたが、レーベルの政治的思惑(John Young曰く、88年の「New Jergey」の大成功を見てか、WarnersはイギリスのBON JOVIになるよう圧力をかけてきたらしい…)に翻弄され、結局交渉は決裂してデビューが叶わなかった歴史の闇に消えたバンドだ。

そんな幻のデモ音源が26年の時を経て今回発掘再発レーベルからリリースされた訳ですから、Jon Campや John Youngのファンのみならず、80年代末期のプログレ・ファンやLIFESINGSのファンは興味津々な事でしょう。

結論から言ってしまうと、本作はプログレ・ファンにとって余り面白い音源とは言えません…('A`)

まぁ、時代が時代でしたし、メジャーからのリリースを狙っていたという事もあって、時流を多分に意識した当時世間を席巻していたニュー・ウェーヴ&ブリット・ポップスを色濃く反映したシャレオツでデジタリーなハードポップスを本デモでは披露しています。

ASIAのデビュー作が82年、YESの「90125」が83年、Steve HoweとSteve HackettのGTRデビューが86年、Keith EmersonとCarl Palmer、そしてRobert Berryの「3」が88年にデビューしていた当時、プログレ系ミュージシャンはこぞって米国受けする華やかでコンパクト、そしてキャッチーな売れ線サウンドへ傾倒していた時代ですから、彼等も同じ方向を目指していたとしてもなんら不思議ではありませんよね…

第2期RENAISSNCEのベーシストとしてバンド消滅の80年代後半まで在籍し、再結成RENAISSNCE作にも参加したJon Camp(B&Vo)はRENAISSANCE脱退後、Robin Georgeと彼のバンドDANGEROUS MUSICと一緒に仕事をしていた。
ツアーに出る際、新たにそのバンドに加入したキーボーディストが、再結成GREENSLADEに加入していた元ASIA&元Bonnie Tylerの John Young(Key)で、ツアーが終了した後に二人は新バンドCATHEDRALEを立ち上げる。

Line-up:
Jon Camp(B、Acoustic G、Moog Taurus、Vo)
John Young(Key、Vo)
Brett Wilde(E&Acoustic G、Backing Vo)
Tony Bodene(Ds、Percussion,、Backing Vo)
Mark Goddard-Parker(Lead Vocals)

本作に12曲収録されているデモ前半の7曲目まで、Jon Campと John Youngがそれぞれリードヴォーカルをとったりツインヴォーカルを披露したりしているが、お世辞にも上手い歌とは言えず、カラフルで派手なキーボードが活躍するアーバンでモダンな雰囲気漂うポップでキャッチーな楽曲の出来は良いもののヴォーカルの不味さが全体をスポイルしてしまい、デモ用ならば許されるその仮歌レベルには閉口させられる。

で、そのヴォーカルのレベルの低さが契約を難航させたと考えたマネージメントの提言に従い、新たに専任ヴォーカリスト Mark Goddard-Parkerを迎えて製作された後半5曲の出来はなかなかのモノで、GTRや90125YESと同系統のシンセサウンドに重点を置いた煌びやかなサウンド・メイキングに、一貫してコンパクトでシャープかつスタイリッシュな80年代UKポップサウンドで固めつつ、70年代末期から80年代初期のRENAISSANCEで披露した Jon Campのメロディアスなソングライティングが活かされた Mark Goddard-Parkerのウェットン系(John Payneの歌声に似てる?)な中音域メインのマイルド・ヴォイスが実によく映える楽曲で、このデモ音源が完成させられて当時アルバムデビュー出来ていたならば一体どういった評価を受けたのか、世間の音楽の流れはどう変化したのだろうか、と妄想は尽きません。

結局、メジャーからレコードデビューする事が叶わずバンドは Jon Campと John Youngを残すのみとなってしまい、二人は再起を賭けてGTRのヴォーカリスト Max Baconとのセッションを行い幾つかの楽曲を録音(残念な事に、全て失われてしまったらしい…)したが、最終的にバンド活動は上手く行かず音源をリリースすることなくCATHEDRALEは消滅してしまう…orz

プログレ好きな方にはお薦め出来無いのは既にお伝えしたが、その他にも色々と問題があって、発掘デモ音源なんだから当然っちゃ当然なんですが、本作はかなり音質が悪く、各パートのバランスも妙だし、音ヨレや雑音、テープヒス等々の劣悪な状況が刻まれた音源だと言う事が残念でなりません。

RENAISSNCEやLIFESINGSファンにとてもお薦め出来かねる音源ではありますが、ここで表現されている様々なセッションや試行錯誤を繰り返したアプローチは非常に興味深く、もし懐具合に余裕がある方や今は有名なミュージシャンの売れる前の仕事ぶりに興味がある方ならちょっと手を出してみるのも良いかもしれません。

それでは叶うことのなかった夢の欠片の煌めきを、ポップに傾倒したプログ・ミュージシャンの果敢な挑戦の跡を、一人でも多くの方が耳にする事を祈って…


# by malilion | 2017-10-18 00:32 | 音楽 | Trackback

ルクセンブルグ大公国のシンフォ・バンドTNNEが待望の2ndをリリース!

c0072376_11252195.jpgTNNE(THE NO NAME EXPERIENCE) 「Wonderland」'17

西ヨーロッパの真ん中に位置するルクセンブルグ大公国唯一のシンフォ・バンドだったNO NAMEが二十三年に渡る活動に2011年2月にピリオドを打ち、元メンバーの Alex Rukavina(Key)と Patrick Kiefer(Vo)が新たに立ち上げた5人組シンフォ・バンドの待望の2ndが3年ぶりにリリースされたので即GET!

1stリリース時点ではNO NAMEがどうなったのか情報不足で事の次第が不明でしたが、どうやらTNNE立ち上げ前の時点で既に解散していた模様です。
3rdアルバムリリースの後にメンバーのプライベートな理由で活動を一時休止していたのが、結果的に解散への秒読みを早めたようですね…
再起動して06年にリリースした4thアルバム「4」がなかなかの出来だった(それ以前のアルバムは皆廃盤…)のでその後の停滞が気になっていましたが、一度消えかけた情熱の炎は二度と燃え上がらなかったのか…orz
まぁ、インディ活動長かったしブレイクしたってそうそう大金持ちになれるジャンルでもないニッチな市場の音楽だし…無理ないよね…(涙

さて、ファンタジックでありながらミステリアスでほんのりダークな雰囲気を漂わす、近年のARENAっぽいジャケに俄然期待が高まる新作ですが、前作では欧州各国のバンドのテイストを取り入れつつ、如何にもユーロ圏バンドな透明感があり軽やかで叙情味あふれるサウンドをベースに、新バンドらしく若々しくメタリックなGをフィーチャーしたHMテイストも加味したバランス重視な優等生的ユーロ・シンフォサウンドに仕上げていた訳だが、続く本作でも同一路線のモダンでシャープな音像のシンフォニック・ロックを展開していて、前作が気に入った方なら迷わず購入しても後悔する事ない良作だろう。

ただ、残念な事にメンバーチェンジが起こったようで、アルバム収録前にオリジナル・ギタリスト Michel Volkmannとベーシスト Claude Zeimesが抜け、
ベースに Michel Casadei Della Chiesaを新たに迎えたギターレスの4人編成にゲストギタリストでメキシカン・シンフォ界の首領 CASTのギタリスト Claudio Cordero(!)を迎えて本作は製作されていて、随所でそのテクニカルで切れ味鋭いリード・プレイを聴かせている。

さらに収録の補佐ギタリストで Cedric Gilisがエモーショナルなプレイを聞かせているが、現在は彼がそのまま後任ギタリストとしてメンバーに迎えられ、いつも通りの5人組編成に落ち着いたのでファンは安心して欲しい。

とまれインディ・バンドながら三十年のキャリアに裏打ちされた確かな実力の程はそのサウンドに如実に現れていて、Patrick Kieferのポンプ系に多いジェントリで穏やかな歌声がややもすると優しげな雰囲気を増してしまうメロディアスなサウンドを、ちょっと『UNION』時のYESっぽい多彩な音色を奏でるカラフルなキーボードとエモーショナルでテクニカルなギターが濃密に絡み合ってピリリと引き締め、プログHM的なハードさとシンフォロック的な壮大さを巧くミックスした、前作以上に爽快感あふれる叙情派ユーロ・モダン・シンフォサウンドへ昇華させている。

高密度の音の壁で塗り固めた作りモノ臭さは薄く、適度に隙間を活かした楽器の自然な鳴りを感じさせつつもしっかりと作り込まれたプロフェッショナルなサウンドで、北欧モノほどシャープでも硬質でもなく、USAモノほどドライでもヘヴィでもなく、UKモノほど湿り気を帯びたメロディでも鬱屈もしていない、けれど微かに80年代ポンプ風な残り香が漂うメロディアスで透明感ある独特なバランス重視の中庸サウンドが実にいい塩梅なのですよねぇ~(*´ω` *)

もっともギタリスト不在がもたらしただろう前作で感じたメタリックな感触の減退、もっと言うと才気走った様な焦燥感にも似た情熱と言うか新鮮な感触が本作では薄れて聞こえ、キーボーディストの Alex Rukavinaが楽曲創作の中心な為に旧来のポンプな香りを強く残すNO NAMEっぽさが強まってしまったのと相まって、新たに獲得したファンには所々古臭く聞こえる時があってちょっとガッカリする所があるサウンドかもしれません…

まぁ、微妙な差と言えば微妙な差異なので、気にならない方にとっては些細な問題でしょうけどね。

強烈な個性のあるバンドサウンドも無論素晴らしいんですが、彼等のように奇をてらわずスタンダードな今風モダン・サウンドながらも、ちょっと古めかしいポンプチックな雰囲気も漂わすクリアーなシンフォ・サウンドって個人的に嫌いじゃないんですけどね。ええ。

ヘヴィさもスピードも強烈ではなく、超絶なテクニックを見せつけるでなし、唸る程に上手いヴォーカリストが居る訳でもなく、破天荒な勢いや抑えきれぬパッションが迸ってる事もなく、ドポップでフックありまくりな売れ線サウンドという訳じゃありませんが、彼等の灰汁の無いストレートな叙情派ユーロ・シンフォサウンドを嫌いだと言うシンフォ好きは少ないんではないでしょうか?

ハートフルなヴォーカルがしっとり穏やかに歌い上げる、モダンでシャープなユーロ・シンフォロック好きな方なら一度チェックしてみても損はない一枚と言えるでしょう。



# by malilion | 2017-10-16 11:20 | 音楽 | Trackback

エキゾチックなフォーキー・サウンドが心地よいイタリアン・プロジェクト REVERIE。

c0072376_22051443.jpgREVERIE 「Demo 1998」'98

ROSE AMONG THORNSと一緒に転がり出てきたので、古典的イタリアン・プログバンドLETHEとイタリアン・ネオプログ・バンドTHE WATCHに参加した作曲家&ギタリストの Valerio Vadoが率いるイタリア産プログ・フォーク・プロジェクトをご紹介。

LETHEで93年にデビューした後、01年にTHE WATCHのデビュー作へ参加するまでの間の98年にREVERIEは立ち上げられ、その後は Valerio Vadoにとってのメインバンドになった。

Valerio自身はREVERIEのサウンドをエスノ・プログレッシブと定義している模様で、古代の地中海音楽とユーロ圏の現代音楽をミックスさせ、ドラムレス(デモの一時期参加してたけど…)のフォーク形態で現在まで一貫して表現している。

デモ音源デビュー当初はフィメール・ヴォーカリスト Fanny Fortunatiと全楽器担当の Valerio Vadoのデユオ形態であったが、アルバムデビュー前にデモCDを三枚リリースする間に、まずはパーマネントメンバーにフルート&マンドリンの Fulvia Boriniを迎え、続いてキーボードとクラリネット等の管楽器担当の Alberto Sozziを迎えて徐々にメンツを固め、デビューアルバム「Shakespeare, la donna, il sogno」'08 はチェロプレイヤーを含むツインギター&ツインキーボードの6人編成でリリースされた。

続く2nd「Revado」'11 でチェロプレイヤーが抜け、他メンツはそのままの5人組になり、現在の所の最新作3rd「Gnos Furlanis Il Timp Dal Sium」'15 ではフルート&マンドリンの Fulvia Boriniとセカンドギタリストの Daniele Defranchisが抜け、3人組バンドを基本にゲストを多数迎える編成になっている。

当初よりギター、マンドリン、チェロ、ピアノ、パーカッション等の古典的楽器とキーボードやエフェクト等のエレクトロニクス楽器を組み合わせ、歌詞は現代の詩人の詩を引用したり、イタリア語、英語、そしてエスペラント語などの多様な言語で表現するというコンセプト・プロジェクトなので、恐らくフロントウーマンの Fanny Fortunati嬢さえいれば音楽表現は成り立つと中心人物でありバンドそのものでもある Valerio Vadoは考えているのではないだろうか?

実際 Valerio Vadoに協力しているのはミュージシャンのみでなく、俳優や教師、劇場音楽の作曲家等も力を貸しているとの事だし、REVERIEの楽曲は、音楽療法士やミラノ商工会議所などの民間及び公的施設でのサウンドトラックとして使用されているので、一般的なバンドの作品とは若干色合いが違うと捉えた方がいいのかもしれない。

とは言え、如何にもカラーコピーというジャケのお手製R盤(タイトルが盤面に手書きっスよw)なこのデビュー・デモ音源の時点では、打ち込みドラムとプログラミングのフルート、そしてメインのエレキギターが流暢なリードプレイを繰り広げる、余り上手くないフィメール・ヴォーカリスト(今はかなりスキル向上している)をメインに据えた、ちょっとプログレっぽいテクニカルなインストパートが垣間見える野暮ったいインディ・フォーキー・バンドでしかないのだが…

海外の批評では影響が窺えるアーティストの名は、Mike Oldfield、JETHRO TULL、GENESIS、NUOVA COMPAGNIA DI CANTO POPULAIRE、GIANLUIGI YTOVESI、CORDE OBLIQUE、という事らしく、個人的にはJETHRO TULLが民族音楽をダンサンブルにプレイしているような印象を最初に持ちました。

ドラムレスなのでロック的なパワフルさは無いし、かなり民族音楽的なテイストを感じるサウンドなので、ドプログレ好きな方やシンフォ好きな方にはお薦めは出来無いが、涼やかなフルートやリズミックなタブラが大活躍するエキゾチックな香り漂うアコースティックサウンドの軽妙な絡みがお好みな方なら変にプログレと意識せず一度チェックしてみるのをお薦めする。



# by malilion | 2017-10-11 21:58 | 音楽 | Trackback

兵どもが夢の跡…? 苦労が報われなかったマイナー・メロハーバンドTHE PROMISE。

c0072376_15422066.jpgTHE PROMISE 「Human Fire」'99

間もなく新譜がリリースされる北欧HMの雄 EUROPEですが、彼等の名を聞くといつも思い出すバンドがありまして、それが今回ご紹介する本バンドです。

同名バンドが多数存在してややこしいですが、本作はイギリスはスコットランド出身のキーボード入りツインギター5人組メロハー・バンドの2ndにして最終作であります。

彼等は80年代からUKで活躍したインディ・メロハー・バンドTOUR DE FORCEの改名バンドで、当時は4人組ツインギター編成で十年以上地道に活動を続け、そのサウンドは高い評価を得たもののグランジー旋風吹き荒れる時流も関係してか一向に陽の目を見ず、遂には一端解散してしまう…(つд`)

で、しばしの後に今は亡き新興インディ・メロハー・レーベル「Now&Then」からの求めに応えて再結成し95年にアルバムデビューを果たすが、それに合わせてUSAの同名バンドとの混同を避ける(それで同名の多いこの新名ってのもどうなの…)為にTHE PROMISEと名乗るようになります。

THE PROMISEとなる前に女性キーボーディスト Deanne Munro嬢を迎え5人組となった彼等は、FOREIGNEやSURVIVORを思わせる産業ロック寄りなものの適度に英国産らしいウェットな美旋律が光るメロディアスHRをプレイし、売りの分厚いコーラスをメインにしつつ、エッジの効いたハード・ナンバーや、お約束の泣きのバラード、そしてリリカルなキーボードの音色が美しくキャッチーなメロディ満載な楽曲のそこかしこにAORテイストも含んだ完成度が高くコンパクトなサウンドは、国内外のメロディアス愛好家に好評を博し、ここ日本でも国内盤がリリースされました。

しかし、苦労人な彼等の活動は順調に行かず、程なくしてドラマーが脱退し、続いて紅一点だった Deanne Munro嬢も寿脱退とメンバーチェンジが相次いだが、それにもめげずそれぞれ地元でメンバーを補充し、よりクオリティの高いサウンドに磨きをかけて前作より四年ぶりとなる本作を届けてくれる。

一聴して本作は前作よりサウンド全体のウェット感が増してよりユーロピアンサウンドに近づいた感触を与え、さらに前作以上にテクニカルかつエモ-ショナルでハードエッジなギターが縦横無尽に大活躍している点を見逃せないだろう。

さらにプレイヤーがチェンジしたのだから当然だが、前作では若干ポピュラーミュージック寄りな軽めで華やかなシンセ中心だったキーボードプレイが控え目になって、よりAOR的でさりげなく楽曲に彩りを添える風なプレイへシフトする事でサウンドが全体的にモダンで涼やかになり、さらにハードで切れ味鋭くなった印象を強める助けをしていると思う。

この傑作2ndをひっさげて果敢にサーキットを繰り広げ、00年にはアメリカ・ラスベガスでのLIVEまで実現させたものの、当時まだまだダーク&ヘヴィ路線のサウンドが巷で持て囃されていた為か活動は好転せず、二十年以上の活動がメジャーシーンで実ること無く2002年5月に残念ながらバンドは解散してしまった…orz

で、どうして北欧HM EUROPEの名が出てくるかと言うと、最初にこの2ndを聞いた時に連想したのが彼等が活動休止近くにリリースした産業ロック寄りなもののウェットでキャッチーなメロディが光る作風のアルバム「Out of This World」'88 や「Prisoner In Paradise」'91 の頃のサウンドに近く聞こえたんですね。

丁度EUROPEが活動休止し、そこへ現れた似たテイストのサウンドな彼等にEUROPEが休まず産業ロック寄りのセンス良いキャッチーなサウンドをクリエイトし続けてくれたならこうなってたかも、と一方的な幻想を見た訳です(汗

まぁ、今になって冷静に聞き返すとEUROPEにサウンドは殆ど似てませんし、方向性も全く違うし、インディレーベルの作品なんで完成度もクオリティもダンチなんですが、当時はそう思えたんですよねぇ~…('A`)

ともあれ彼等のUK産90年代後期メロハーは、LIONHEARTやTENなどの古き良きブリティッシュHRをベースに、AOR寄りにしたウェットなメロディが光るキャッチーなサウンドですので、キーボードが活躍する爽やかなメロディとでポップなメロハーがお好みの方ならチェックしても損は無い一品と言えましょう。



# by malilion | 2017-10-09 15:34 | 音楽 | Trackback