バンド名が誤解を与えた悲劇(?)のバンド。メロディアス・ロックバンドFOR ABSENT FRIENDS。

c0072376_16051912.jpgFOR ABSENT FRIENDS 「Square One」'06

MARATHONを聴いていて思い出したので同郷オランダの5人組ポップロック・バンドFOR ABSENT FRIENDSの最終作をご紹介。

GENESISの『Nursery Cryme』'71 収録のアコースティックバラードからバンド名を拝借しているが、彼等の奏でるサウンドはポンプバンドお約束な典型的コテコテGENESISフォロワーではないのが面白い点と言えましょう。

無論、MARILLIONのファンクラブの集いでカヴァーバンドとして彼等は演奏をしていた訳だから、MARILLIONが絶大な影響を受けたGENESISの影響も当然の如く受けているからこそのバンド名なんでしょうけどね(汗

1987年にオランダのロッテルダムで結成され、88年に自主盤シングル『Let Me In』でデビュー、続く3曲入り自主EP『Illusions』を90年にリリースし、次いで91年にポンプ総本山レーベルSIミュージックから『Both Worlds』(カタログナンバーは10番)でアルバムデビューを果たす。

94年リリースの2ndアルバム『Running In Circles』は、なんと日本盤もリリース(!)されるという快挙を成し遂げているが、その後はバンドの音楽性の変化の為か日本盤は一切リリースされる事はなかった…(つд`)

彼等はこれまでに6枚のスタジオアルバムと1枚の二枚組BEST、及び5枚のシングルをリリースしている。

音楽性の変化もあるし、そもそも Edwin Roes(G)も Peter de Jong(Key)も派手でテクニカルなプレイに走る訳ではない、プログレ&ポンプ臭の薄い強烈な個性のない木訥なサウンドなのが災いしてか、ここ日本や欧米のポンプ&シンフォ系のファンには今一つの人気(そもそもポンプとさえ認められてない節がある)のバンドでしたが、唯一例外はフランスで、なんと本国以上に彼等の人気が高かった(ANGEに迫る人気だったとか…マジ!?)事が知られております。

カテゴライズとしてポンプとして語られる彼等だが、Alex Toonenの線は細いものの灰汁の無い良く伸びる歌声がポンプGENESISフォロワーお約束のガブリエル臭いヴォーカルでない点からも窺える、むしろPENDRAGONやJADIS、そしてMARILLION等のバンドが持つ最もメロディアスな要素を集めた、コンパクトでストレートなメインストリーム寄りのサウンドを奏でるポップロック・バンドと言った方が正しくもあり、実際ポンプ色の強いサウンドはHR的要素も加味した2nd『Running In Circles』'94までで、95年リリースの半LIVE半アコースティック曲構成の『FAF Out Of HAL』から一気に音楽性がポピュラー・ミュージックへと傾倒していった、ポンプサウンドは実は活動初期のみなのに以降もバンド名故にポンプバンドとして語られる、というチグハグさが今から考えると彼等の人気を阻害していた一因かもしれません…

HR要素とポンプ要素のより洗練されたブレンドを『Running In Circles』で果たしたバンドは、以降ますますポップでメロディアスさに磨きをかけ、よりコンパクトでモダンなサウンドへ突き進む訳だが、初期に彼等がカヴァーでプレイしてきたIQ、MARILLION、ASIA、SAGAといったバンドの持つメロディアスな要素を以降もちゃんと受け継いでいったのと同様にプログレ的要素も捨て去らなければ、きっとポンプファンベースでも長らく支持されたんでしょうにねぇ…orz

続く96年リリース『Tintinnabulation』でも Edwin Roesが刻むダイナミックでエモーショナルなエッジあるギター、Alex Toonenが歌い上げるナイーヴなヴォーカル、Peter de Jongの奏でるコンパクトで無駄ない華麗なキーボード、そして力強くキャッチーなメロディとベーシスト Rene Bacchusがバッキングヴォーカルでカバーするポップなコーラスに焦点を当て、ますますバンドはアンサンブルの洗練度を上げていく。

そのサウンドは大仰な展開等のポンプ要素は僅かに残るのみで、全ての楽曲は非常にメロディアスな上にブライトで殆どポップと言っても差し支えないモダンポップロック作(リリースもSIレーベルからでなくなる…)であった。

またアルバムタイトルが示す通り、ポップでメロディアスな楽曲だけでなく、仄かにフュージョンテイストを漂わすサウンドだったり、ノスタルジックでメランコリックなサウンド等々、実にバラエティに富んだ穏やかな楽曲が詰め込まれたバランス良い一枚に仕上がっていて、バンドの作曲能力の高まりの程が如実に示されていると言えよう。

ただ、ポップバンドとしてそのバランスの取れた上品なサウンドを聴くと、その他大勢のポップバンドのサウンドと比べてフックも抑揚もイマイチな、刺激が乏しく扇動力や即効性の低いサウンドだったというのは否めないけれど……

バンド自体がそのウィークポイントを理解していたかは定かではないが、続く5thアルバムでサウンドの変化はさらに加速する。

このまま普通のポップバンドになるかと思われた矢先、98年に Alex Toonenがバンドを脱退し、代わって Hans van Lintなる新フロントマンを迎え、新生FOR ABSENT FRIENDS第一弾作『The Big Room』を01年にリリースする。

幾分か線の細い歌声なものの甘いメロディ主体のバンドサウンドにフィットしていた Alex Toonenの穏やかな歌声を捨てて新たに獲得しただけあって Hans van Lintの歌声は前任者と似た声質ながらもよりフレッシュでパワフル、そしてよりディープで感傷的な歌声を披露し、フロントマンの交代劇を心配するファンを安堵させた。

この最大の転機を“攻め時”と考えたのか、バランス重視だったサウンドがよりパワフルなサウンドへ移行し、また Hans van Lintの振り幅の広い表現力(ある意味ガブリエル的)ある歌唱スキルと力強くクリアーな歌声を活かす為か、ニューウェーブにも片足突っ込んだような90年代初期ブリティッシュ・テイストがそこかしこから強烈に発散されるモダン・ロックサウンドへスタイリッシュに様変わりするとは当時随分驚かされたものです(*´ω` *)

バンドロゴがモダンなデザインに変わった事を見ても明らかなように、事ここに至って初期から持っていたポンプ的な大仰さや音楽要素は完全に姿を消し、コンパクトでモダンなロックサウンドを披露する完全に別バンドになってしまった……

センチメンタルでメロゥなサウンドはそのままに、よりハードなロック寄りにサウンドが偏った為 Edwin Roes(G)のギターが活躍する場面が一気に増え、その分 Peter de Jong(Key)の表現出来る領域が減ったのは当然の帰結であったが、メロディアスでリリカルなソロパートや印象的なイントロ、効果的なバッキングに楽曲のスケールを増すSE的なサウンド等々でアルバム全体に華を添えるプレイをみせ、以前にも増して細やかな活躍をする Peter de Jongの演奏からは、次に起こる転機を誰もこの時は予想し得なかっただろう。

音楽の方向性故か、バンドサウンドに対する理想像のズレ故か、長らくバンドサウンドに華を添えてきたオリジナルメンバー Peter de Jongが02年にバンドを脱退し、代わって Ron Mozerなる新キーボーディストを迎え最終作『Square One』は製作され、06年にリリースされた。

さて、本作の内容だが、バンドサウンドを支えてきた両輪の片方を失った影響は思いの外に大きかったのか、バンド内の発言力のバランスが変化した為か、ハードでノイジーなギター中心で展開していくシンプルでヘヴィな楽曲というパターンが殆どで、これまでのようにキーボーディストの活躍の場は与えられず殆どバッキング的な扱いに終始している。

むしろ楽曲がさらにシンプルでストレートになった為か、流暢なギター・プレイと相まってリズム隊の活躍の方が目立っているくらいで、確かにこの方向性へ進んでいたら Peter de Jongも遠からず鍵盤をブン投げて脱退していただろうと納得するサウンドだ(汗

ただ Ron Mozerが持ち込んだキーボードプレイのスタイルが、所謂ポンプらしい柔和なキーボードサウンドによるキラキラするシンセシンセしたサウンドがメインのプレイで、ここに来てバンドサウンドが完全にポンプの影を払拭しているのにキーボードだけポンプっぽいテイストを露骨に感じさせるギャップが面白いと言えば面白い点かもしれない。

巷で流行するグランジのサウンドを横目に Edwin Roesなりにハードでメタリックなサウンド要素を加えバンドサウンドの進化を試みたのだろうが、如何せん元より穏やかなプレイが中心だった彼にHM的なヘヴィサウンドを表現出来るはずもなく、いくらノイジーなギターを掻き鳴らそうともスリリングさは今一つなどこか居心地の悪さを終始感じさせるサウンドになってしまったのは残念な結果と言えるだろう……

まぁ、このグランジ風味なポンプサウンドっていう変わり種が聴衆に受け入れられていたならばその後の展開も変わったのかもしれないが、彼等の内包していないサウンド要素である夢劇場のようなドヘヴィなテクニカル・プログレサウンドでしか当時は生き残れなかったのは皆さんご承知でしょうから、彼等が提示した方向性は選択ミスであったんですよね。

せめてポップでメロディアスな要素だけは変わらず堅持してくれれば良かったのですが、どうしたって新たに模索したヘヴィでドライなサウンドの方向性とは相性が悪く、結局のところヘヴィさも中途半端な上にメロディアスさもイマイチというどっちつかずな今まで彼等の売りであったサウンドをスポイルするだけの結果となってしまったのが致命的だったと今ならハッキリ言えます。

その後、Ron Mozerに代わって同郷ポンプ・バンドTIMELOCKの元キーボーディスト Julian Driessen(ex:The Last Detail、Dreamcarnation)を迎えて活動を続行するも、程なくしてバンドは解散してしまう……

ポンプではないけれど完成度の高い『The Big Room』の方向性のまま、シンプルなポップサウンドへ進む方向なら今しばらく彼等はメインストリームで活躍出来ていたかもしれないのが悔やまれますが、変化を恐れず常に自身のサウンドを発展させてきたFOR ABSENT FRIENDSは本当の意味での“プログレ”するバンドであったと言えるのかもしれません。

本作はフランスインディの大手MUSEAレーベルのディストリビュートだったので、比較的今でも容易に入手可能と思われますので、ご興味のある方は中古盤屋等をのぞいて見るといいかもしれない。
まぁ、音源自体はDLすりゃすぐ手に入るんですけどね。

個人的には『The Big Room』が彼等の目指したサウンドの最終到達点にして最高傑作だと思うので、FOR ABSENT FRIENDSのサウンドを聴いてみたいという方はまずこの辺りを試してみるのをお薦めします。


# by malilion | 2018-03-02 15:58 | 音楽 | Trackback

この時期TV放送が多いので、思い出して…オランダのポンプバンドMARATHONの最終作。

c0072376_18441560.jpgMARATHON 「Marathon Live」'98

オランダの5人組ポンプ・バンドの最終作にして唯一のLIVE作をご紹介。

イタリアとドイツに同名同ジャンルの2バンドが存在(なんでこんなバンド名が人気なの?)するが、こちらはオランダのバンドなので混同されぬようご注意を。

94年にデビュー作『The First Run』をリリースし、96年に2nd『Norm』をリリース、そして最終作の本作をリリースする前にバンドは解散してまった、じわじわ生き長らえるポンプ系バンドが多い中たった4年で消えた短命バンドだ。

デビュー作は一聴して即カナダのプログレ・ポップバンドSAGA(特にギタリストの Erik Ten Bosが Ian Crichtonのプレイやフレーズの影響をモロ受け)の影響が分かり、さらにRUSHのフレーバーを全体にまぶしつつポンプ特有の柔和なキーボードサウンドで煌びやかに飾り立て、ここぞという所でMARILLIONの Steve Rothery張りな泣きのロングトーン・ギターが哀愁を漂わせる、というなかなかポンプ系好みな爽快感も併せ持つUK産ポンプとUSA産プログレのいいトコ取りしたようなキャッチーなクリアー・サウンドであった(*´ω` *)

続く2ndでは自主製作からドイツのSPVレーベルからのリリースとなった影響でか、ドラムスを Willem van der Horstから Ferry Bultへチェンジした影響か、SAGA風味が薄れてオリジナリティを感じさせる比重とサウンドのヘヴィさが増したものの、その反動でかメロディの質やキャッチーさ、楽曲のフック等が軒並み後退してまい、デビュー作でも感じられた楽曲の出来のバラつきもという問題も解決出来ぬままの惜しい一作に終わってしまう…

ただ、それでもこのバンドを有象無象なポンプバンドより好ましく思わせるのは、当時のポンプ系に多かった楽器兼任ヴォーカリストや専任ヴォーカリストなのにヘッポコな歌声を聞かせてサウンドをブチ壊してバンドをC級クラスへ貶めて辟易させるような事がなく、PALLASの Alan Reed っぽい歌声を聴かせる Erik ten Bosの癖のない声質と力強く歌い上げるキャッチーな歌メロやバンドコーラスが優れていた点が大きいだろう。

その他にはポンプ系にしては楽曲がコンパクトに纏まってスタイリッシュなサウンドだったのと、Tony ten Woldeが奏でるキーボードが控え目で幾分かハード寄りなサウンドだったのも、その他の70年代プログレの焼き直しが多いポンプ系サウンドとの差別化を大きくしたかもしれない。

まぁ、この辺りは大抵のポンプ系がお手本にする70年代ブリティッシュ・バンド達でなかったという出発点の違いによって意識せずとも生み出された差異かもしれないけれど…(汗

そして最終作である本作だが、2枚のアルバムから適切にチョイスされた楽曲で構成された、ある意味でBEST的な楽曲構成のアルバムとも言え、アコギアレンジした楽曲をしっとり聴かせたり、LIVEならではのラウンドさとラフさを十分に表現しつつ、堅実なバンドアンサンブルと優れたミュージシャンシップを感じさせる優等生的な創りとなっている。

デビュー作と程よくシャッフルされて構成された楽曲の並びのせいか、LIVEで試行錯誤を重ねてよりブラッシュアップされた成果か、実はスタジオでは上手くサウンドを表現出来無ていなかったのではないかと思うくらい良く2ndの楽曲が1stの楽曲に馴染んでいて、欠けていたポップなフィーリングやクリアーな感覚が本作では十分表現されているのは嬉しい驚きだろう。

聴衆の歓声や手拍子等が余り聞き取れぬ点は少々残念な点ではありますが、スタジオアルバムでは余り自己主張しない Ferry Bult(Ds)と Jacques Suurmond(B)のリズム隊のタイトな激しいプレイや、バランスを重視して抑え気味で控えめなプレイの Tony ten Woldeが思う存分派手にキーボード鳴らしまくっているのが聞ける(コーラス再現も頑張ってる!)点など、LIVE作ならではの聞き所も多い一枚と言えましょう。

海外では、SAGA、WINGS OF STEEL、FOR ABSENT FRIENDS、EGDON HEATH等のファン向けと紹介されているが、幾分かAORっぽいキャッチーさとメロディアスさも加味した彼等のメインストリーム寄りなポンプ・サウンドは、実際はもっとより広い層に受け入れてもらえるポテンシャルを十分に秘めていたように思える。

惜しむらく短命に終わったのは、ポンプ系というカテゴライズとインディな活動がメインであった為、そしてバンドが進もうとする方向性故に必要であったシングルヒットするようなキラーチューンが創れなかったのが大きな要因ではなかったかと予想します…(つд`)

ポンプの隆盛から来る次のシンフォ・ブームの間に生まれ、ネクストウェーブが来る前に消えてしまったバンドではありますが、もし短命に終わらずあのまま次のシンフォサウンドへの流れへ乗っていたなら一体どんなスタイリッシュでキャッチーなサウンドを届けてくれたのだろうか、と遂想像してしまう、そんなバンドの1つでありました。




# by malilion | 2018-02-26 18:37 | 音楽 | Trackback

頑固一徹、時代が移ろうとも決してサウンドがブレぬ英国シンフォの雄 JADISがアニバーサリー盤をリリース!

c0072376_13373285.jpgJADIS 「More Than Meets The Eye 25 ~25th Anniversary Collectors Edition~」'17

英国メロディック・シンフォニック・バンドJADISの、2nd『More Than Meets The Eye』'92 のアルバムリリース25周年記念盤を即GET!

2005年にもデビューアルバムとの2in1でREMIX&REMASTER盤がアメリカのINSIDEOUTレーベルからリリースされた事があったが、本作はバンドのリーダーでありバンドそのものとも言える Gary Chandler(Vo&G)のみの手によって新たにREMIX&REMASTERが施された新規音源を使用した新装アニバーサリー盤である。

05年盤に負けず劣らず本作もボーナス音源を多数収録した注目の二枚組盤で、オリジナル盤の2ndや05年REMIX&REMASTER盤をお持ちの方でも手を出しても損はない(INSIDEOUTのは10年以上前の音源だしね)自主製作盤です。

しかし、25年記念って…もう四半世紀もなるんですねぇ…彼等のサウンドを初めて耳にして、もうそんなになるのか…感慨深いですわぁ…

今回はディスク2に、2nd収録曲のアコースティックバージョンを新録で2曲、93年のオランダでのライヴ2曲、当時アルバムに先駆けてリリースされたEP『ONCE APON A TIME』'93 収録の3曲(の、コンピ盤MEDIUM RARE収録のREMASTERver)、そしてデビュー作『Jadis』'89 収録曲のアコースティックバージョン1曲を収録しているので、前回のREMIX&REMASTER盤を買い逃した方や、EPの音源を耳にした事が無い方などにお薦めと言えるでしょう。

まぁ、新録音源はアコースティックバージョンの3曲とLIVE音源のみと、厳密な意味での新曲は収録されておりませんが、この記念盤に手をだす大多数の方はJADISの忠実なファンでしょうから、その辺は大した問題じゃないよね?(w

今回こうして改めて『More Than Meets The Eye』を聞き直して思うのは、つくづく Gary Chandlerの爽快感あふれるクリアーでキラキラとした美旋律を奏でるギターの圧倒的な存在感と、当時から他のUKポンプ勢とは一線を画していたシンプルでストレートでありながら他では聞けぬメロディアスでキャッチーなポップ・センスはズバ抜けていたんだなぁ、とREMIX&REMASTERが施されて一層に輝きをましたそのサウンドに感動しきりです(*´ω` *)

IQの Martin Orford(Key)と John Jowitt(B)が参加して生まれた新ポンプ・バンドとして当時注目を集めたのと、英国産らしいリリカルで湿り気を帯びた叙情感も漂わせる Martin Orfordのキーボードとフルートがフィーチャーされた事などで、プログレ&シンフォ系のカテゴリーで当初から語られて来た彼等ですが、改めて今じっくりと聞き返すとそのサウンドはHRサイドからポンプ&シンフォ系へアプローチしたTWELFTH NIGHTと同じようにフュージョンサイドからポンプ&シンフォ系へアプローチして変異したモダン・メロディアス・シンフォロックではなかったのか、と独断と偏見を交えて断言しましょう!(汗

まぁ、出発点がどこだろうと結局聞こえてくるその軽やかでコンパクトなサウンドは、爽やかに歌い上げる歌モノ・ハードポップ・バンド的な実にポピュラリティの高いサウンドだと言う事は動かしがたい事実なんだし、どうだっていい事なんですけどね♪

この2nd、二回もリイシューするなんて Gary Chandlerの大のお気に入りアルバムなのかもしれませんが、今度は新スタジオアルバムを是非に届けて欲しいものであります。



# by malilion | 2018-02-24 13:31 | 音楽 | Trackback

激渋ブルーズから路線を変え、ちょい甘メロ有のメジャー路線ブルーズHR作をRIVERDOGSがリリース!

c0072376_22462759.jpgRIVERDOGS 「California」'17

USA産ブルーズHRバンドRIVERDOGSの6年ぶりとなる再結成第二弾にしてスタジオ作としては通算4枚目となるアルバムを、かなーり遅れてGET!

Vivian Campbellは知っての通り現在はDEF LEPPARDで活動してる訳だし、元DIOメンツ集めてDIOトリビュートバンドLAST IN LINEなんかも始めてしまって、こりゃぁRIVERDOGSの新作は望み薄かなぁ…なんて勝手な想像をしておりましたが、裏切られる事なくちゃーんと新作が届けられてファンの皆さんは喜色満面でしょう(*´ω` *)

03年に再結成した、という情報が流れたものの一向に新譜リリースの報は届かず、なんだかんだと難産の末生み出された前作は、あの Vivian Campbellがバンドに復帰したという話題性があったものの、その余りの渋ぅ~い音楽性故か日本盤リリースは見送られましたが、本作で再び日本盤リリース(しかも日本先行リリース!)と相成った模様でこれは何より目出度いですね。

製作メンツは前作と同じく、Rob Lamothe(Vo&G)、Nick Brophy(B&Key)、Vivian Campbell(G&Vo)、Marc Danzeisen(Ds&Vo)の四人で、どうやらメンバーチェンジ等のゴタゴタはなかった模様で一安心と言った所でしょうか。

で、その新作ですが、のっけからノリノリなアメリカンHRが飛び出してきて度肝を抜かれました(w

『あぁ、前作の方向性じゃ余りにも玄人向け過ぎて売れなかったから軌道修正してきたかぁ』と思いつつ聴き進めていくと、次第にいつもの渋ぅ~いブルーズフィール濃密なサウンドが飛び出してくるものの前作程の枯れた埃っぽい乾いたサウンドではなく、幾分ポップフィールも感じさせる如何にもアメリカンというアーシーなギターサウンドが響き渡る、贅肉を削ぎ落としたシンプルでドストレートなロックサウンドが展開され、丁度メジャーな1stのサウンドと前作のレイドバックしたサウンドを上手くMIXした(彼等にとっては)中庸サウンドのように感じられなかなか好印象です。

2ndで Vivian Campbellが抜け、一気に飾り気の無い泥臭いブルーズ路線へ傾倒していった彼等ですが、もしあの脱退劇が無くそのまま活動を続行させていたなら、きっとこんな豪快なギターサウンドが聴けるメジャー路線寄りのメロディを充実させつつ味わい深いブルーズHRアルバムをリリースしていたのじゃないだろうか、と思わせるようなモダンサウンドなアルバムだ。

DEF LEPPARDでのポップでドメジャーな歌モノサウンドを追求している現在の活動とLAST IN LINEでのピロピロ派手に弾きまくるピッキングハーモニクスを多用したワイルドなプレイが影響したのか Vivian CampbellはHR寄りの自由奔放でフックあるメロディアスなプレイと哀愁タップリな泣きのギターサウンドをアルバムへたっぷりと刻みつけているし、個人的にお気に入りのヴォーカルである Rob Lamothe(Vo&G)のデビカバ張りのソウルフルでハートウォーミングな渋い歌声と、今では彼のソロ作で聞く事の叶わぬポップ寄りなヴォーカルメロディが久しぶりに堪能出来て、前作の反省をふまえてか幾分メジャー・ロック路線へ近づいた本作のサウンドは個人的に大満足な一枚と言えましょう('(゚∀゚∩

まぁ、本作の方向性は、そもそもFrontiers Recordsから連絡があってキャッチーで洗練されたHRサウンドにブルーズ・テイストを融合させたデビュー・アルバムと同じスピリットやスタイルの新作を製作する、という話から出発した訳だから新譜のサウンドがこうなるのも当然の帰結とも言えるんですけどね。

LAST IN LINEでのメタリックな如何にも80年代ブリティッシュHMなギターヒーローかくあるべしという弾き倒しプレイとは一味違う、よりレイドバックしたアーシーでドライなサウンドでありながら、フックが効いた感傷的でエモーショナルなギタープレイや疾走感溢れるドライヴィングするギターを気持ち良く弾き倒す迸るプレイが全編に渡ってフィーチャされているので、Vivian Campbellのファンやギターキッズにとってはそこも聴き逃せぬポイントでしょう。

次作がいつになるか分かりませんが、是非ともこの方向性で新作を届けて欲しいものです。



# by malilion | 2018-02-19 22:42 | 音楽 | Trackback

英国産メロハー・バンドNEWMANの新作はワンランク上のレベルへ!

c0072376_03054602.jpgNEWMAN 「Aerial」'17

イギリス人マルチ・プレイヤー Steve Newman(Vo,G,Key)率いる英国産メロディアスHRバンドの2年ぶりとなる11th(LiveとBEST含まず)がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

まぁ、このワンマンバンドにあっては1997年に結成されて以来、常にメロディアスでキャッチーなHRサウンドという一貫性と品質を提供して来た訳だし、Steve Newmanのエモーショナルかつソウルフルな歌唱と洗練されたAOR風メロディを軸とした美旋律作という方向性やサウンドがガラリと変わるまいと安心して購入を後回しにしてたんですけどね…

予想通り音楽性には特に大きな変化は無かったものの、バンド結成20周年作と言う事もあってかタップリ八ヶ月の時間をかけて製作されたのと、ご存じカナディアン・メロハーバンド筆頭のHAREM SCAREMの Harry Hessがマスタリングした成果か、今まで以上に造り込まれ細部にまで気を遣われ録音された事が分かる高品質なアルバムで、ややもすると薄ッペラで奥行きが乏しくなりがちだったNEWMANのサウンドがググッと分厚くタイトでヘヴィになっていたのは嬉しい予想外でした。

製作メンツはいつも通り、今回も06年作からずっとアルバム収録に名を連ねるドラムス Rob McEwenのみ引き続き参加しているだけなワンマン体制に変化はなく、ゲストで元PRAYING MANTISのヴォーカルだった Mark Thompson-Smithが二曲でバッキングヴォーカルに参加している以外、これといったゲストは招かれておりません。

これまでNEWMANのアルバムは滅多にメロハー・ファンを失望させて来なかった訳ですが、本作では前作の紹介時にも述べたマンネリ感をどう払拭してくるのかという点に個人的に注目しておりました。

で、一聴してNEWMANと分かるキャッチーなコーラス、活気に満ちたフック、そして楽しく朗らかなメロディーと、コンパクトでよりモダンなサウンドへ進化した80年代後期USAロック風な楽曲という定番路線をキープしつつ、よりメロディの充実度を図りながら、以前からヘヴィ・ロック、AOR、プログレッシヴ・ロック、シンフォ・ロックの要素を巧みに散りばめてきた試みを更に推し進め、より複雑でありながら繊細な美旋律と骨太なタフさが絶妙にブレンドされた、一段レベルの上がったメロハー会心作が届けられたのには少々驚かされました(*´ω` *)

ただ、問題視していたマンネリズムを完全に払拭するには至っていないのと、ヘヴィさと分厚いサウンド造りが強調された為か、本作には以前からこのバンドの持ち味として個人的に気に入っていた突き抜ける爽快感と軽やかなAORテイストが薄れて感じられる点だけが個人的には残念に思うポイントですかね…

まぁ、ここまで優等生的にバランスの取れた各種音楽要素を組み合わせたサウンドのアルバムにケチをつけるなんて、それこそ難癖みたいな些細なポイントでしかないんですけどね(苦笑

プレイヤーのミュージシャンシップも優れ、サウンドの質も高く、音楽性も上品、そしてアートワークもセクシーでありつつエレガントと、メロディアスHR作に求める要求を高い次元で満たす本作は、NEWMANの新たなスタンダードと呼ばれる一作と言っていいでしょう。

相変わらず録音メンツとLIVEバンドのメンツは全然違う、完全にバンド体制に興味ないワンマン体制は変わることないのも、ちょっと残念ではあります…このままネタ切れにならなきゃいいけど…




# by malilion | 2018-02-18 03:00 | 音楽 | Trackback

STYX待望の新作『The Mission』を、待ち疲れて外盤で購入…

c0072376_02080779.jpgSTYX 「The Mission」'17

去年6月にリリースされていた本作だが、ユニバーサルから日本盤が出るかな~、と待って待って待ち続けて、遂に諦めて外盤を今頃購入しました…(つд`)

USAメロディアス・ロックバンドのベテラン6人組(Bが2人いる…)STYXによる、17年に自主レーベル Alpha Dog 2Tを設立して初となる待望新作の登場だ!('(゚∀゚∩

スタジオアルバムのリリースは05年のカヴァー集『Big Bang Theory』以来で、オリジナル・アルバムとしては03年の『Cyclorama』以来14年ぶり(間にClassic Styx Songsの再レコーディング作『Regeneration』'13があるけど)となる通算16作目で、本作は2033年の初の有人火星探査をテーマにしたコンセプト・アルバムになっている。

オリジナルメンバーは2人、メジャーになってからを入れても3人しか全盛期メンツはおらず、その内1人 Chuck Panozzo(B)は健康問題等でフルタイムの活動を控えるようになっている現状や、かってのリーダーだった Dennis De Young(Key&Vo)との決裂等の話や、半ばドサ周りの懐メロバンド状態とも言える近年の活動を知るファンは、なかなかリリースされる事のなかった新作の情報を知っても、その出来には期待より不安の方が大きかったのじゃないだろうか?

ご安心下さい。
久々のコンセプト・アルバムという事で触発されたのか、07年から15年の間、DEF LEPPARD、FOREIGNER、BOSTON、REO SPEEDWAGON、38 SPECIAL、YES、TESLA等のバンド達とツアーに継ぐツアーを続けたのが影響したのか、本作で聞けるキーボードの音色やコーラス、そして楽曲の方向性等、明らかにプログレの残り香を漂わせていた頃の中期STYXサウンドで、産業ロック過ぎるきらいのあった活動休止前のサウンドより断然STYXらしさが溢れた仄かにユーロテイストを感じさせる叙情感あるメロディアスサウンドで、初期から彼等を支持し続けてきたファンは大歓喜間違いない出来となっております(*´ω` *)

Tommy Shaw(Vo&G)と長年のコラボレーターであり本作ではプロデュースも務める Will Evankovich(SHAW/BLADES、THE GUESS WHO)が共作した全14曲が収録されるという前情報を耳にしておりましたが、確かにそのサウンドは中期STYX的作風なものの Tommy Shawカラーが全面に押し出されたアルバムで、もう一人のオリジナルメンバーである James "JY" Young(G&Vo)の影がいささか薄く感じる点を除けば、新たに加わったメンバー、特に Lawrence Gowan(Key&Vo)がコンポーザーとしてもプレイヤーとしても大活躍しており、前任者である Dennis De Youngの不在を全く感じさせぬパワフルな歌声(かなりDennis De Youngっぽいw)と華麗なキーボードプレイを聞かせ、新生STYXのニューカラーを強く主張するモダンでメロディアス、そしてカラフルなコーラスが活きる、クオリティの高い楽曲が光る一品に仕上がっていると言えよう。

現状のメジャーシーンでの彼等の訴求率は決して高いとは言えないだろうが、ベテランの彼等が無理して今風のヘヴィなサウンドのアルバムをリリースしてやらかすより、多少ノスタルジックな作風の完成度の高いアルバムを披露してくれる方がなんぼか精神衛生上よろしい、というのが偽らざるファンとしての心境ですよね(汗

ただ、諸手を挙げて大歓迎って事もなく、コンセプト・アルバムと言う事もあってか各楽曲のキャッチーさやコンパクトさは活動休止前に及ばない感は否めず、ちょっと聞き古っぽいサウンドに聞こえるけど実はしっかりモダンサウンドになっているものの、これでもう少し James "JY" YoungのカラーであるHR風味が全体に効いていれば文句無しだったのになぁ、とないものねだりをしてみたりして…

とまれ、このノスタルジア路線を続けていくと完全に懐メロバンドに成り下がってしまうので、せっかくリズム隊は新しい血を導入して若返り、キーボーディストも多彩なサウンドを奏でる派手なパフォーマンスが得意(w)な新人カナダ人へチェンジしたんだし、個人的にHR風味マシマシで大好き(Glen Burtnik大好き!)な90年作『Edge of the Century』を超えるハードドライヴィンなギターが活躍する彼等なりのメロハー・アルバムを是非とも聞かせて欲しいものです。

旧曲のリレコーディング作やカヴァー作でタップリ肩慣らしは済んだだろうし、今度はこんなに待たせず新体制の新作を届けてくれるのを祈って、今暫くこのアルバムを聞き込みますかね。



# by malilion | 2018-02-15 01:59 | 音楽 | Trackback

冬の寒空に癒やしを求めて…アルゼンチン産トラッドユニット RHAGAIR

c0072376_14553669.jpgRHAGAIR 「Prologo」'02

……とにかくクッソ寒いっ!!!

隙あらば雪が舞い踊るこの数日、余りの寒さに布団からなかなか抜け出せませぬ…('A`)

んで、そんな凍てつき荒んだ心を癒やすアルバムに本日は耳を傾けておりました。

メランコリックなハープのトーンが美しくも儚い、淡く繊細なその音色が心安らがせる、クラシックハープ、ヴァイオリン、フルート、フィメール・ボーカリスト、そして朗読者の5人からなるアコースティック・トラッドユニットの唯一作をご紹介。

お馴染みのトラッド音楽を奏でているこのケルトユニットですが、なんとアルゼンチン産の音楽集団で驚かされます。

ヴォーカル入り楽曲は12曲中4曲と殆どインスト作なアルバムですが、この穏やかなフルートに華麗なハープの爪弾き、そして艶やかなヴァイオリンが描き出す繊細でメランコリック、そして朗らかな伝統的なケルト楽曲スタンダードの数々を演奏する作風にピッタリで、少しも気になりません。

むしろ、全くヴォーカルが無かったとしてもこの癒やし満載のアルバムの評価を下げる事にはならないでしょう。

まぁ、フィメールヴォーカル・ファンな方なら、ここで聞ける Eva Triguero嬢のしっとりとした美しく艶やかな歌声をもっと聞かせろ! と思われるかもしれませんけど(w

Lorrena Mc Kenittのカヴァーなんぞも含みアルバムタイトルがプロローグなので、きっとオリジナル楽曲で固められた次作がすぐにリリースされるものと思っておりましたが、現在に至るまで新たな音源はリリースされておりません。
残念ながら、既にこのトラッドユニットは現存していないと思われます…orz

ブックレット最後にアイルランドの伝説的な盲目のハープ奏者にして作曲家である Turlough O'Carolanの詳細が明記されている所を見ると、サウンドの主導権を握っている Edith Gorini嬢が敬意を表したのかもしれません。

残念ながらこのユニットの詳細については良く分かっておりませぬ。
ポルトガル語じゃなきゃ、もうちょい色々分かったのかもしれませんけど…スマヌ(汗

Musico:
Edith Gorini(Arpa clasica:クラシックハープ)
Patrica Avila(Flauta Transversa:フルート)
Ruben Monni(Violin:ヴァイオリン)
Eva Triguero(Voz:ヴォーカル)
Natalia Marcet(Narracion:ナレーション)

Musico invitado:ゲストミュージシャン
Andy Grimsditch(Bodhran:アイルランドの打楽器(小太鼓?))



# by malilion | 2018-02-12 14:47 | 音楽 | Trackback

えぇ!? MR.BIGのドラマー、Pat Torpeyが2月7日、死去…だと…!?


訃報は続くもの、って…そんなまさか…

USA産HRバンド MR.BIGのドラマー、Pat Torpeyが2月7日、パーキンソン病の合併症のため死去。64歳でした。

えー、遂この前、MR.BIGが新譜をリリースしたばっかじゃん…orz

確かに前々から、パーキンソン病と見られる症状があらわれ始めてる、とは公表されてはいましたけど…

これでオリジナルメンバーでの再結成は、本当に幻となってしまった訳ですね…

Pat Torpey...R.I.P.


# by malilion | 2018-02-09 19:46 | 音楽 | Trackback

ウリ・ジョン・ロートの実弟、ZENOのジーノ・ロートが死去…


ガーン!!

スカイギターを操る仙人と渾名されるSCORPIONSの初期メンバーとしても有名な Uli Jon Rothの実弟で、メロハー・バンドとしてマニア以外にもその名を轟かせたZENOなどの活躍で知られるギタリスト Zeno Rothが2月5日に死去していた…

ええええ…ZENOの3rdアルバム『Runway To The Gods』'06 を最後にとんと音沙汰の無かった彼のニュースが、まさかこんな形で耳に入ってくるとは…

寡作な彼だけど、いつかは新作を届けてくれると信じていたのに…メロハーの名バンドZENOの新作アルバムは…もうこれで本当に幻となってしまった…

長年の病気が原因らしいですが…61才とは…早すぎる…

Uli Jon Rothが伝える所によると、Zeno Rothは昨年のクリスマス前に新曲3曲のデモを作っていたらしく、その楽曲を Uli Jon Rothが完成させてリリースしたい模様だ。

去年もそうだったけど、年が変わってからも訃報が相次ぐなぁ…

その最期に Zeno Rothが残してくれた楽曲が届けられる事を静かに待ちたいですね…

Zeno Roth…R.I.P.


# by malilion | 2018-02-08 19:46 | 音楽 | Trackback

80年代風バッドボーイズが80年代風北欧HMサウンドへ変化!? CRAZY LIXX

c0072376_17191945.jpgCRAZY LIXX 「Ruff Justice」'17

スウェーデン出身のツインGを擁する5人組スリージーHRバンド3年ぶりの新作となる5thを1年遅れでご紹介。

個人的にそれ程バッドボーイズ系ロックンロール定番のスリージー・サウンドが好みでないので余りこの手のバンドをチェックしたり購入したりしないので、前々からご紹介しようと思っていたのですが遂々今の今まで遅れてしまいました。

既にココでも紹介している“北欧のSKID ROW”こと DYNAZTYの09年デビュー作をチェックした時に同一路線で一足先に06年にデビューを果たしていた同郷バンド CRAZY LIXXもチェックしアルバムも購入済みでしたが、まぁこの手のL.A METAL系をよりお好きな方が他サイトで紹介してるし、わざわざロックンロール系が主食じゃない自分が浅い紹介せんでもいいか、とっずっとアルバムを購入してたのに怠慢ブッコいていただけなんスけどね(汗

デビュー以来メンバーチェンジが絶えず、出戻りがあったりリズム隊がゴッソリ抜けたりと落ち着かぬ状況が多い彼等ですが、本作も Chrisse Olsson と Jens Lundgrenへゴッソリとギタリストをチェンジしてのスタジオ作となっております。
デビュー10周年作である本作を聞くまでもなく、リーダーでバンドの顔である Danny Rexon(Vo)さえ居ればバンドの態は保てるという事はこれまででも証明されているんですけど…

新世代の北欧バッドボーイズ系バンドに共通している、そのサウンドのルーツがMOTLEY CRUE、GUNS N'ROSES、SKID ROW等の華やかでゴージャス感あるサウンドがトレードマークな80年代風アリーナ・ロック&グラムHMである事は疑う余地もない訳だが、アルバム毎に着実に音楽性の幅を拡げ楽曲のクオリティを上げてきている彼等が、本作ではサウンドの方向性を哀愁漂う80年代風北欧HM&メロハー・サウンドへググッと接近させたのでここでご紹介せねば、と思った次第です。

これまでのアルバムはメインがキャッチーな80年代風グラムHM路線なハードライヴィンする楽曲で、その楽曲に仄かに80年代風北欧メロディアスHM要素の哀愁感が香る作風だったとすれば、本作はギタリストの交代が大きく影響したのかウェット感あるマイナーなメロが光る80年代風北欧メロディアスHM路線な楽曲がメインで、端々に80年代風アリーナ・ロック&グラムHM要素が散りばめられた、という風に大きくバランスが変化した作風で、北欧HM定番な煌びやかなキーボードと透明感ある爽快でキャッチーなメロディだけ聞いているとECLIPSEやH.E.A.Tと同ジャンルのバンドじゃないかと思える程で驚かされました。

個人的には北欧HM要素が増えるのは大歓迎なんですが、彼等の元からのファン層であるバッドボーイズ系ロックンロール定番のタフでスリージなサウンドが好みな方からすると、コーラスも控え目になったし勢いも緩んで曲調もマイルドになった上、小綺麗になり過ぎて少々ダーティーさやワイルドさが減退したように感じられ不満に思われるかもしれません。

まぁ、とは言ってもデビュー当時からUSA産バッドボーイズ達が奏でるドライなサウンドでも、無軌道で馬鹿みたいにマッチョでパワフルな毒のあるサウンドって訳でもなかったんで、ソレ系がお好みな方は最初っから“紛い物”でないUSA産バンドのみを聞いてたかもしれないけど…

そのルックスからバッドボーイズ系な要素ばかり注目される彼等ですが、元からBON JOVIを筆頭にDANGER DANGERやFIREHOUSE等のブライト感ある80年代風アリーナ・ロックも大きなサウンド要素であったのは周知の事実なので、そこへ北欧要素が結びつく事でよりキャッチーでフック満載なメロディアス・サウンドへ接近するのは何ら驚く事でないのかも(*´ω` *)

ただ、勢い重視なダーティー・ロックンロールならさほど問題にならないんですが、歌唱力や声質なんかも問題視される北欧HMサウンドへ接近すればする程に Danny Rexonのちょっと音域狭い、ザラつき気味な歌声と歌唱力が不足して感じられてしまうという新たな問題点が本作で浮き彫りにされてしまったのがなんとも……(汗

とは言えバンドの顔のみならず、作詞作曲、そしてプロデュースも引き受ける Danny Rexonは今やバンドの頭脳、バンドそのものとも言える立場なので、メンバーチェンジで早々に解決、ってな訳にはいかないんですよねぇ…('A`)

せっかく本作で合成っぽい分厚いバッキングコーラスを控え目(Danny Rexonがヴォーカルに自信を持ったって事かな?)にした彼等にこう言うのも何なんですが、新たに歌えるギタリストか歌えるベーシストを加入させハモらせるか、もしくはMOTLEY CRUEみたいにバックコーラス・ガールをズラリと従えでもしないと、現状のままでは北欧風味も香る80年代風アリーナ・ロック&グラムHMな方向性の楽曲を完全に歌いきれるヴォーカル・パートは聞けないんじゃないかと、個人的には思いますね。

なぁーんてこんな失礼な心配をよそに、あっさり前作の合成コーラス満載な人工甘味料的グラムHM風へ回帰するかもしれないし、まさかの Danny Rexonのヴォーカルスキルが劇的に上達して音域が拡がったりって事もなきにしもあらずなんで、ここは静かに次作を待つとしましょうか…



# by malilion | 2018-02-04 17:11 | 音楽 | Trackback

カンダの一人プログ・ポップバンドAnton Evansの爽快キャッチー3rdソロ作をご紹介。

c0072376_00161940.jpgAnton Evans 「Outliers」'17

カナダ産プログレッシヴ・ポップ・アーティストの7年ぶりとなる3rdソロアルバムが去年末頃にリリースされていたのですが今頃ご紹介。

Anton Evansは94年に1stソロアルバム『Eye』でデビュー(ヨーロッパではMega Rockレーベルのサポート)して以来、20数年以上にわたってプログレッシヴ・ポップ・ミュージックをクリエイトしてきたソングライターで、10年には待望の2nd『Ever heard the one abou..』を北米のインディレーベルVillage Works Canadaからリリースし、本作も同じレーベルから再びリリースしている。

基本的に Anton Evansがヴォーカル、キーボード、ドラム&ベースプログラミングを駆使してサウンドをクリエイトしていて、その他は少数のゲストを招いている程度で、ほぼ全てを一人で手がけているワンマン・プロジェクトだ。

ただしワンマンにありがちな自己中なインタープレイのひけらかしは無く、Anton Evansのマイルドな声質ながらロック系の熱唱が活きる分厚いヴォーカルハーモニーが爽快な歌モノバンド的なポップでキャッチーなサウンドが基本で、時折見せるテクニカルなGENTLE GIANT&YES風コーラスワークや屈折したリズム・アプローチ、そして複雑な楽曲展開やキーボードとギターにKANSAS風なプログレ・テイストが仄かに感じられる明らかに80年代後期USAプログ・ハードサウンドが音楽的バックボーンと分かり、さらにカナダ産らしい適度にウェット感のあるユーロ圏の香りもするメロディアス・サウンドと言えば伝わるだろうか?

90年代ならZEROコーポレーション辺りから日本盤が出ていそうな適度にポップでキャッチー、だけどポンプ&プログレっぽいとこもあるB級メロディアスHRバンドに近いサウンド、と言った方が分かりやすいかもw

実際、デビューソロ作はハードポップ系と言う事で輸入盤が雑誌等で紹介され、そこそこ好評だったように記憶しておりますし、比較的簡単に入手出来ました。

因みに本作では、夢劇場フォロワーのUSAプログHMバンドTHE QUIET ROOMの元ギタリスト George Glascoが3曲でソロプレイを披露している他、カナダのフォーク&カントリーバンドTANGLEFOOTの元ヴァイオリニスト Sandra Swannell嬢が1曲だけヴァイオリンで参加している。

ただ今回はそのゲストの影響が思いの外に大きかったのか、George Glascoのハードエッジなギターが効果的にフィチャーされているのみならず全体的にこれまで以上にハード寄りなサウンドになっているのと、エスニックなギターのメロディとリズムが導入されているのが1st、2ndで聞けなかった大きな変化と言えよう。

ヴォーカルとキーボード主体の爽快なポップサウンドと聞くと軟弱なイメージを抱きがちだが、以前から意識してなのか適度にギターによるハードタッチなサウンドを楽曲に織り込んで来たので惰弱なサウンドには一切聞こえず、プログレチックな緊張感もソコソコ感じるバランス感覚あるAnton Evansのコンパクトにまとめられたサウンドはメロハー好きな方にもきっと好評だろうと思う。

まぁ、打ち込み系サウンド(特にドラムは、ね…それ以外もドライ気味なサウンドなのは否めない)がどうしても許せないって方には“生”っぽさは希薄なので受け入れ難いサウンドかもしれない('A`)

残念な事にゴリゴリのHM系からもポップなAOR系からも、そしてプログレ系からもソッポを向かれてしまう中庸サウンドな上に情報が入って来にくいカナダ産ソロアーティストという事もあってここ日本での知名度は皆無に近い状況ですが、一度チェックしてみても損はないアーティストです。

例によって例の如く音源は簡単に公式からDL購入できますので、気になる方はポチってみて下さい。


# by malilion | 2018-02-01 00:09 | 音楽 | Trackback

自主製作にして高品質、ただ一つの欠点を除けば…

c0072376_00374797.jpgCOS 「The Turning Around」'02

米国出身マルチ・ミュージシャン Mark W. Costosoによるワンマン・ユニットの自主製作デビュー盤をご紹介。

確か購入した時は、お店の“プログレッシヴ・ポップ作”とかいう本作の売り文句に惹かれて手を出したように覚えております。

Mark W. Costoso自身が語る所によると、13歳でピアノに興味を持ちJAZZを学びだしたのを切っ掛けに、高校でも4年間クラシック音楽理論を学びつつ作曲も始めた頃からギターもプレイするようになり、いくつかのローカルクラブバンドでの演奏を始めたのがミュージシャン歴(作曲とピアノの準学士号を持つギタリスト)の始まりだったそうだ。

10代後半から20代初めにかけて、様々なロック、ダンス、クラブ、結婚式のバンド等でキーボードとギターを演奏しながら、結局自身の音楽的欲求を満たすバンドに居たことがなかった為、ソロ・プロジェクトを立ち上げアルバムを製作する事にしたらしい。

で、本作だが、影響を受けたバンドは、YES、KANSAS、GENESIS、KING CRIMSON、GENTLE GIANT、UTOPIA、らしいが、アルバムにはプログレ系の影響は余り窺えず、むしろUTOPIA(というかTodd Rundgrenか)やTOTO、そしてAOR系の影響の方が強く感じられる。

テクニカルで軽やかなピアノやキーボード・プレイにKANSASっぽさ、コーラスパートにYESっぽさを感じるものの、入り組んだ変拍子展開等にプログレの香りが僅かにするだけで所謂プログレ系やシンフォ的な要素は微弱で、基本はシンセサイザーをはじめ鍵盤系のメロディアスなサウンドで楽曲を形作り、透明感あるポップでメロゥなコーラスや歌メロで飾り立てつつギターで全体を引き締めるというイメージの、実にバランスが取れた楽曲構成もハイソで完成度も高く、ある一点を除いてソロ・プロジェクトとは思えぬ高品質な80年代風ポップアルバムに仕上がっていると言えよう。

まぁ、その一点がデカいんですが…

どうしてそんなに素晴らしいミュージシャンのアルバムがマイナーで殆ど知名度が無いか、って考えると察する方もいらっしゃるかと…

色々なカバーバンドやジャンル問わずに様々な裏方経験を積んだ結果か、楽曲の出来はポップでキャッチーでコンパクトで個人製作の自主盤にしてはかなりのレベルにあるのですが、その素晴らしい楽曲のレベルを著しく下げてしまっている Mark W. Costoso自身の、高音が出ないSTYXの James“JY”Youngがガナってるみたいなイケてない野太い歌声が非常に非常に残念で仕方がありません…('A`)

お得意のピアノが活きるバラード系の楽曲ならその違和感も少なくて済むし、もっとドプログレな方向性で殆どインスト作みたいなアルバムならこのヘッポコなヴォーカルでもなんとかなったかもしれませんが、如何せん目指す方向性がコーラスたっぷりのブライトなポップ系で歌メインな楽曲なのでどうにも避けて通れないウィークポイントなんスよね。

実際、海外でも楽曲を褒める声は多々聞こえるものの、総じて批評する皆がそのヴォーカルに苦言を呈してますから…

14年ぶりに『COS』'16 なる2nd(残念ながらR盤…)をリリースしたのですが、その2ndでせめて巷の批評に耳を傾けて歌えるヴォーカリストを招いてくれていれば、間違いなくAOR&ポップ系の話題作(そこはかとRUSHっぽいイメージもある!)になっていただろうに…2ndでも、なぁーんも変わってませんわ…orz

アルバム全体の雰囲気や楽曲、インストルメンタル・パートのプレイやサウンドは総じて心地よいものの、コーラス厚塗りしてみてもC級な歌声が全てをダメにしまっているという悲しい例ですね。

スタジオでのエンジニアリングが忙しそうですが、もし3rdがあるなら、今度こそ専任ヴォーカリストを迎え入れてアルバムを製作して(後、もうちょい音良くして…)欲しい、切にそう願う惜しいアーティストであります。

彼の楽曲をお求めの方は今なら手軽にDL出来ますが、同名のバンドやプロジェクトが多数多ジャンルに渡って数多く存在するので、その際はお間違いのないように。


# by malilion | 2018-01-31 00:30 | 音楽 | Trackback

そのまま活動を続ければ、間違いなく好リリースを記録したのに…正統派メロディックHMバンドPORTRAIT。

c0072376_01542949.jpgPORTRAIT 「Same」'90

またラックから懐かしいアルバムが転がり出てきたので本日はコレを聞いておりました。

アメリカ出身マルチ・プレイヤー Gordon W. Chapman(Vo、G、B)率いる正統派メロディックHMバンドが'90年に自主盤でリリースした唯一作をご紹介。

なんだかオリジナル盤はレア盤(当然、今は廃盤)扱いらしいですけど近年リプロ盤が出回っているとの事で意外に簡単に中古盤も見つかるかも?
それに音源は今なら簡単に公式音源をDL購入出来ます(いい時代になったなぁ…)ので、別に幻の音源って訳でもありません。

まぁ、購入した当時はそんなレア盤になるなんて予想もつくわけもなく、伝え聞いていた情報ではすぐに2ndがリリースされると言われていたんですが、結局待てど暮らせど今日まで2ndはリリースされませんでした…(つд`)

さて、このバンドですが、Gordon W. Chapman(Vo、G、B)の他は John Garett Gormanなるドラマーが製作に関わっているだけで、ゲストで一曲ベーシスト Chris Olsenがベースを弾いているのみの完全ワンマン・プロジェクト(プロデュースもGordon W. Chapman自身とエンジニア)というのが実情のようです。

アメリカ産バンドでありながら、そのサウンドはウェット感あるブリティッシュHM臭と透明感ある北欧様式美HMの影響が強く感じられるシンプルな正統派メロディックHMで、Gordon W. Chapmanのヴォーカルが意外と上手く、癖のない声質の歌声でキャッチーでメロディアスな歌メロを無理なく歌いこなしており、強引に金切り声を張り上げるヘッポコギタリスト兼任ヴォーカルなレベルでないのが嬉しい誤算でしょう。

US産HMながらリフとスピードで推し通すゴリゴリのストロング・スタイルではなく、憂い有るマイナーな甘いメロディが疾走する楽曲が中心な哀愁や叙情を湛えた80年代初期北欧系HMスタイル故か、リリース当時輸入盤店でそこそこ話題になって良いセールスを記録したという逸話も残っている実に日本人受けするサウンドなので、是非2ndを届けて欲しかったなぁ…orz

ギタープレイにはインギーの影響も窺える、所謂ネオクラシカル・フレーズをフィーチュアした早弾き系のプレイが基本なものの、テクを見せびらかす(そもそもテクはそんなに…)自己満プレイに陥っておらず、しっかりと楽曲を聴かせようという意識(初期インギー作をよりバランス重視にしたイメージに近いかな?)が窺えるなかなかの佳曲が揃っております。

また、自主制作盤アルバムなのにプロダクションもしっかりしており、当時としてはかなり良い音を聴かせてくれているのもポイントでしょう。

今回、久しぶりに彼等のサウンドを耳にして、ちゃんとしたフルメンバーによるバンド体制でのアルバムを聞いてみたかったプロジェクトだと再び思ったのでした。

Gordon W. Chapmanはこの他『Gelatinous Goo』なるソロアルバムを1枚リリースしているのと、近年は SARAHKX & Gordon W Chapmanなるバンドで活動している模様ですが、詳細はよく分かっておりません。




# by malilion | 2018-01-30 01:47 | 音楽 | Trackback

まさかの先祖返り!? GALAHADが壮大な組曲1曲のみのコンセプトNEWアルバムをリリース!

c0072376_13444674.jpgGALAHAD 「Seas Of Change」'18

同期が次々と姿を消しゆく中で未だ激しく気を吐き続け、UK産第二世代ポンプ・バンドの代表格になりつつある彼等のオリジナルフルアルバムとしては5年ぶりとなる11thアルバムを即GET!

近年はプログメタルに接近したり、ダンサンブルなアレンジの楽曲も含んだ前作『Beyond The Realms Of Euphoria』をリリースしたり、去年は旧曲のアコースティックアレンジBEST盤『Quiet Storms』を出したりとサウンドの幅とモダン化を加速的に拡げていた彼等だが、本作は70年代プログレバンドが盛んに試みた手法と同じくアルバム全てを使った大きな組曲1曲(43分!)のみで構成されているシンフォニック・コンセプト・アルバムへ挑んでいる。

そして再びメンバーチェンジがあった模様で、去年アコ-スティックメインによる旧曲BESTをリリースした際に最初期のベーシスト Tim Ashton が復帰したが、今度はバンド立ち上げメンバーにして長らくギタリストの座をつとめていた Roy Keyworthが脱退し、代わって迎えられたのは一時期バンドに在籍していたにも関わらず公式から存在を抹消されていた、現在はソロ活動も盛んな Lee Abrahamが本作ではベーシストとしてではなくギタリスト(!)として復帰(17年春から復帰していた模様)し、デリケートだったりパワフルだったりと、変幻自在なギターワークをモダン・サウンドに乗せてセンチにエモーショナルに響かせている。

ベーシストが昔からこのバンドはなかなか定まらなかったのは周知の事実ですが、まさか初期からずっと安定していた(と思っていた)ギタリストの交代劇が30周年を迎えた後に起こるとは正直驚きでした。
GALAHAD脱退後のソロ活動を見るに、恐らく Lee Abrahamはあくまでギターをプレイしたかったもののバンドにはベーシストとして迎えられ、結果的にフラストレーションが溜まって脱退した、だけどバンド側はその才能を高く評価していたのでギタリストが抜けた際に即連絡して迎え入れた、というような顛末な気がします。
今回のギタリストの交代劇でバンドサウンドが一層に若返る事に成功したと思うので、これは双方にとってWin-Winな結果でしょう。

遂に黒歴史から開放されたんやな…良かったなぁ、Lee Abraham…(つд`)

さて、組曲1曲のみの本作サウンドについてだが、その形態からの察せられるように最初期の如何にもポンプ然としていたGALAHADサウンドを思い起こさせるメロトロン系キーボードやオーケストレーションも加えた伝統的プログレ要素と、彼等の初期に顕著だった牧歌的な要素を組み合わせ、近年のプログメタルな方向性の壮大なシンフォニック・サウンドでコーティングしつつ、二十年前から試みていた現代的なテクノ風キーボードサウンドも隠し味にピリリと利いている、如何にも英国風な湿り気を帯びた繊細でドラマチックな叙情感とパワフルでモダンなダイナミズムがハイブリッドに融合した新生GALAHAD第一弾に相応しい意欲作と言えるだろう。

同じようにコンセプトアルバムをリリースしている長らく彼等のお手本であったMARILLIONが、枯山水的な仙人世界へ旅立ってしまったのと比べると、彼等のサウンドは未だに俗っぽくそしてパワフルで生々しいロック・スピリット(スケール感では負けてるけど…)を感じさせるのが実に興味深く、そして個人的には嬉しい点でもあります。

また、一大コンセプト作なものの大勢のゲストプレイヤーを招くような事はなく、バンド曰く“長期名誉メンバー”と讃える Sarah Bolter(元Sarah Quilter)嬢(最初期アコースティック作『Galahad Acoustic Quintet: Not All There』'94 から断続的に製作に参加している)による、コーラス&バッキングヴォーカル、フルート、クラリネット、ソプラノサックスのみを加えて本作は製作されている事からも、新生GALAHADのポテンシャルにメンバーが絶対の自信を持っている事が窺える。

ここ数作のようなコンパクト感とメタリックなタッチは若干後退して感じるものの、それはアルバム形態によるものでしょうから不安材料とはならないでしょう。
寧ろ Lee Abrahamを迎えた事により、新生GALAHADのサウンドはポップ度とキャッチーさ、そしてモダンさを今後ますます増していくのじゃないかと予想出来ますね。

プロデュース、ミックス、マスタリングは、00年代に消えかけていた彼等を華麗に復活させたお馴染み Karl Groomが手がけているので品質に些かの疑いもないのでご安心を。

初回デジパック盤は限定なのか不明ですが、組曲内の曲2曲がエディット版でボートラとして収録(つまりアルバムには3曲収録されてる)されております。

そうそう、限定でCD付きターコイズカラー&ピクチャーLPも同時期にリリース(プログレ的なマニアックさですねぇ~)される模様なので、アナログマニアな方は是非そちらの方もチェックしてみて下さい。



# by malilion | 2018-01-27 13:37 | 音楽 | Trackback

如何にも気品漂う英国ポップス♪ DOWNES BRAIDE ASSOCIATIONの3rdをご紹介。

c0072376_12295779.jpgDOWNES BRAIDE ASSOCIATION 「Skyscraper Souls(DBA3)」'17

御存知ASIAのキーボーディストにして近年はYESにも在籍する、プログレ系ミュージシャンとしてだけでなくポップ・ヒットメイカーとして80年代初期から第一線で活動を続ける Geoff Downesが、英国人シンガー Chris Braideと組んだUKポップ・ユニットが2年ぶりに3rdをリリースしたのをちょい遅れてGET!

前作の80年代USポップス風なレトロなジャケデザから一転、YESでお馴染みの Roger Deanの手によるジャケ画を見るだけで今回は前作と違う路線と予想出来る新作だ。

で、聞いてみると、基本路線は以前からの2人のソング・ライターとしての才能が発揮された、プログレ、ポップ、ニューウェーブをベテランの風格たっぷりMIXしたアダルト&モダンでシャレオツなメジャー路線の高品質UKポップ・ロックなのだが、今回はその基本スタンスを護りつつシンフォサウンド寄りにアプローチしたサウンドというイメージで、タイトルトラックが約18分の長尺曲でプログレお約束な構成曲なものの全体的に若干シンフォテイスト(フロイド風?)を感じる程度の変化なので前作までの親しみやすいポップでキャッチーなサウンドを気に入っていた方でも問題なく楽しめるプロフェッショナルなアルバムと言えよう。

また本作から、Geoff DownesとChris Braide2人のキーボード、ピアノ、プログラミング、ヴォーカルに加え、ギターや可憐で幻覚的なフィメール・バッキングヴォーカルや男女デュエット、さらに各曲毎に米英の著名なゲスト・プレイヤーやゲスト・ヴォーカリストを多数迎えつつ、打ち込みを捨てて生演奏のリズム・セクションを取り入れたよりバンド・サウンドへ近いサウンドとなっており、さらに深みと華麗さの増した美旋律が薫るサウンドへと進化したシンフォニック・コンセプト・アルバムとなっている。

ゲスト陣の中で特に注目なのは、XTCの Andy Partridgeだろう。
アルバム全9曲のうち4曲(tracks 1,3,8 & 9)のギター・パートをプレイしていて、本作の淡く英国叙情漂うウェットなモダンサウンドのテイストを決定づけている立役者とも言えるのは間違いない。

また、BIG BIG TRAINの三代目フロントマン David Longdonがヴォーカル&フルートで参加したtrack5では、Chris Braideと David Longdonのツインヴォーカルが聞けるドラマチックで気品溢れるUKポップサウンドも聞き所の一つだろう。

しかしギタリストの参加でここまでサウンドにエモーショナルでハードなフックと陰影が生まれるとは驚きでした。
前の2枚のアルバムとは異なり、Ash Soan(Ds)、Andy Hodge(B)、Dave Colquhoun(G)のコアバンドで本作は製作されており、次作でも同じ構成で是非バンドサウンド寄りの魅力的なアルバムを製作して欲しいものです(*´ω` *)

MUSICIANS

Geoff Downes (Keyboards & Vocals)
Chris Braide (Vocal & Keyboards)

with:

Andy Hodge (Bass)
Ash Soan (Drums:イギリス人名セッションドラマーで Trevor Horn、Squeeze、Adele、Robbie Williams、Gary Barlow等の仕事で知られる)
Dave Colquhoun (Guitars:Rick Wakemanのソロアルバムに多数参加しているギタリスト)

Andy Partridge (Guitar & Mandolin :XTCのリーダーでVo&G)
Kate Pierson (Vocals USAニュー・ウェイヴ・バンド:The B-52'sのシンガー)
Matthew Koma (Vocals USAのミュージシャン、シンガーソングライター)

David Longdon (Vocals & Flute :UKシンフォバンドBIG BIG TRAINのフロントマン)
Tim Bowness (Vocals イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター)
Marc Almond (Vocals イギリスのミュージシャン、シンガー)



# by malilion | 2018-01-24 12:21 | 音楽 | Trackback

HMプロデューサー&レコーディングエンジニアのクリス・タンガリーディスが1月7日に死去…R.I.P

まさかの新年早々の訃報…orz

メタル系を愛聴する諸兄なら数々の名バンドのアルバムで一度はその名を目にした事もあるはずのベテランプロデューサーにしてエンジニア、Chris Tsangaridesが逝ってしまわれた…

個人的にはANTHEMのアルバムでいつもその名を目にしていただけに、途方も無くショックです…

彼が手がけたバンドは、ANGRA、ANVIL、BLACK SABBATH、COLOSSEUM II、EXODUS、HELLOWEEN、JUDAS PRIEST、MAGNUM、Yngwie Malmsteen、Gary Moore、PRAYING MANTIS、TNT、UFO等々、上げていったら枚挙にいとまがありません…


R. I. P Chris.
# by malilion | 2018-01-08 12:19 | 音楽 | Trackback

一気にASIA化!? LEE ABRAHAMがソロ6作目をリリース!

c0072376_02315726.jpgLEE ABRAHAM 「Colours」'17

第二世代UKポンプとして未だ気を吐くGALAHADに05年から09年にかけて在籍しアルバム制作にベーシストとして参加したのに、その存在をバンドに抹消された(涙)ポンプ系UKマルチミュージシャンのソロ作6thがリリースされたのを幾分遅れてGET!

まずは前作の如何にもプログレ系という淡くファンタジックな美しいジャケアートから一転、いきなりアーバンでカラフルになったジャケットに驚かされる。

そしてアルバムのサウンドを耳にした今までの彼のファンなら、その予想を上回るポップでキャッチーなモダンサウンドに愕然とするだろう。

で、この変化は製作メンツが原因かと思ったが、ソロ作ながらもドラム、ベース、ギター&キーボードの最小3ピースなバンド構成を基本に複数のヴォーカリスト等の豪華ゲスト勢を多数招くこれまでのソロ作と同じパターンに変化はなかった。

その注目のゲストの方は、ほぼ00年代デビューのUKネオプログレ・バンドのメンツばかりで殆ど前作にも参加しているメンツばかりだ。

Lee Abraham(Guitars、Keyboards)

Gerald Mulligan (CREDO:Drums)
Alistair Begg(Bass)
Rob Arnold(Piano、Electric Piano)

Dec Burke (ex-Darwin's Radio、FROST*、AUDIOPLASTIK:Vocals)
Marc Atkinson (RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MANDALABAND:Vocals)
Simon Godfrey (TINYFISH, Shineback, Valdez:Vocals)
Robin Armstrong (COSMOGRAF:Vocals)
Gary Chandler(JADIS:Vocals)
Steve Overland(FM:Vocals)

全体的なサウンドにシンフォ系の香りが漂うものの、タイトル・トラックの『Colors』などは露骨にニュー・ウェーヴ・サウンドと80年代アリーナロック的なテイストを感じさせ、TOTO、ASIA、FM等に通じる軽快で古典的なAORサウンド要素が全面に押し出されていて、明らかにこれまでのアルバムと感触が違っている。

全楽曲が非常に旋律的で、ややもするとウェットでダークな雰囲気の強かった彼のシンフォニックな作品の中でも随一のブライトさと幅広いサウンドカラーが聞き取れ、主要なメロディーとコーラスなどは殆どラジオフレンドリーなメロディアス・ポップそのものと言っても差し支えないだろう。

無論、これまで通りにHRテイストやシンフォ・ロックなテイストを感じさせる楽曲もあるものの、これまで折衷的に微妙なバランスを取ってきたアルバムのサウンドが、本作で一気にポップな方へ傾いたのは明白だ。

とは言っても、未だに柔らかなキーボードの音色に包まれた、穏やかな叙情をたたえたドラマチックで感傷的なサウンドは健在なので、余りの変わりように落胆した、なんて事はないので旧来のファンの方々もご安心を。

前作以上に6名のゲスト・ヴォーカルが代わる代わる個性豊かな歌声を披露し、それだけでも各曲の顔つきがガラリと変わって、アルバムタイトル通りにカラフルでヴァラエティ豊かなサウンドを一層に華やかにするのに一役かっている。

前作では咽び泣くエモーショナルな哀愁のギターが、ゆったりと流れゆく楽曲を盛り上げる主導権を担っていて鍵盤系サウンドは完全に脇役であったが、本作ではハードなギターリフに負けぬ Geoff Downesスタイルのオーケストレーション・キーボードや魅力的なメロトロン、そしてハモンドなどなどセンチメンタルなメロディと繊細な叙情性を引き立てる重要な役割を果たしており、基本歌モノ中心で穏やかな曲調の多い Lee Abrahamのアルバムのメリハリを一段と強調し、サウンドに深みとウェット感を与えていると言えよう。

また、ポップな方向性のアルバムではあるもののUSA系ポッフスのような軽薄さは皆無で、多数招かれたゲスト・ヴォーカリストの中でも Steve Overlandのソウルフルでディープな歌声は本作の中でも随一に光を放っており、それ以外にも賛美歌風な合唱コーラスなど華麗にして重厚な英国的要素もしっかりと楽曲のそこかしこに散りばめられているのは流石の一言だ。

プロデュースは Lee Abraham自身で、マスタリングはお馴染みの Karl Groomという安心印なので、サウンドの品質は自主製作盤ながら折り紙付きでしょう。

個人的には大変好ましいこの一作ですが、シンフォ系という目線から見るとお薦めにはならぬだろう一品だし、ポップ系で売るには毛色が少々違う、という、余り爆売れしそうに思えないアルバムですので、ファンは勿論のことポップ目なシンフォ作が好きな方はお早めにね!



# by malilion | 2018-01-01 02:21 | 音楽 | Trackback

フレンチ・シンフォ TAI PHONGがアルバムに先駆けてまさかのシングルをリリース!

c0072376_18115734.jpgTAI PHONG 「Before The Dragons」'17

LIVE作を先日遅れてご紹介しました彼らが、現在製作中と伝えられるアルバムに先駆けてまさかのシングルをリリースしたので即GET!

内容はと言うと、新曲2曲入(内1曲がインスト)という内容で、メンバークレジットなど詳しい情報が一切記されていない紙ジャケ&お手製R製という如何にもな自主製作シングルな為に色々と不明な点が多く、サウンドを聞く限りではリーダーの Khanh Mai(G&Vo)は当然として、Aina Quach嬢(Vo)と息子の Davy Mai(G)は製作に関わっているのは確実なものの、それ以外の参加メンツが現在どうなっているのか分かりません。

Khanh Mai作の1曲目『Summer Nights...』は、これまでのイメージ通りな、甘くロマンチックなメロディが耳を惹くサウンドで、Aina Quach嬢のリラックスした美声が実によく映える抒情シンフォ風フレンチ・ポップスだ。

もう1曲の『A Sustained Moment Of Silence』はインストゥルメンタル・シンフォ・ナンバーで、Khanh Maiの息子Davyが作曲に関わっている為か、TAI PHONGのイメージのままにメロディアスなものの、今までになくフレッシュで今風の硬質でテクニカルなギターフレーズやハードフュージョン風のモダンサウンドが耳を惹く曲となっている。

現在製作中のアルバムがそうなのか、このシングル曲のみがそうなのか判断つきませんが、RPGゲーム『DRAGONS OF THE 7TH SEAS』にインスパイアされた楽曲ということだ。

たったこれだけの情報ではニューアルバムの内容について何も断定出来無いが、少なくとも彼らは変わらず日本人好みなセンチでメロゥなサウンドを追求してくれているのは間違いない。

もしかしたらまた日本盤が出た際に、リミックスやリマスターされてボートラとして収録されるかもしれないが、まぁバンド活動を継続して欲しい願いも込めてマニアな諸兄は今のうちにGETしておきましょう。

アルバムでさえプレス数が限られているマイナー・ジャンルのしかも復活した大昔のプログレバンドの自主製作シングルですからね、いつ入手不可能になってもおかしくないアイテムなので、お早めに!

相変わらずジャケのセンスにはもの申したくなるけど…まぁ、コレは昔からだから今更だよなぁ…



# by malilion | 2017-12-29 18:01 | 音楽 | Trackback

ブラジル産クサメロHRバンドSTILL LIVINGが3rdアルバムをリリース!('(゚∀゚∩

c0072376_20163055.jpgSTILL LIVING 「Ymmij」'17

以前ここでもご紹介した日本人の心の琴線に触れまくる臭メロが堪らないブラジル産メロディアスHRバンドの、前作より2年ぶりとなる3rdアルバムを速やかにGET!

徹底的にメロディアスな美旋律にこだわり抜いていた、けれど自主製作故のどうしょうもなくチープで垢抜けぬドマイナー・サウンドだった彼等が、遂にインディとはいえレーベル契約を果たし、今後は世界進出を目指すようで期待が否応なしに膨らんでしまいます('(゚∀゚∩

そんな風にせっかく契約を手に入れたものの、デビュー以来不動のメンツが崩れて本作はベーシスト不在の4人組でのアルバム製作だったのは少々残念ですね(つд`)

で、本作についてですが、資金的なバックアップを得た効果は覿面で、バンドサウンドの厚みとクオリティが数段アップしており、以前のシケシケサウンドに閉口しておられたメロディアス愛好家の方もコレならばニッコリでしょう。

音楽の方向性は前作同様オールドタイプのメロディアスHRなものの、サウンドのプロダクション向上の効果もあってか若干ヴォーカリストの力量が足りていない、高音域でフラット寸前なシャウト(前二作より本作は低音な歌唱部分が多いにも関わらず…)を聞くまでもなく所々でメロディを歌い切れぬのが露骨に浮き彫りにされてしまったのが少々残念ではありますが、その点についてはこれからLIVEを重ねて力量を上げていけば十分カヴァー可能なので次作の成長に期待しましょう。

本作はジャケから連想される通りJimmyと呼ばれる人物のコンセプト・アルバムになっており、アルコールと薬物まみれなライフスタイルに閉じ込められた男が、鏡を通して彼の人生を反映しているBARに座って自分の内に潜む悪魔と(酩酊状態で)戦っている様子を描写した悲劇的な結末を迎える物語だ。

収録曲の幾つかはSE込みのBAR内での語りで、物語りを盛り上げる(って程でもないけど…)効果音的に楽曲を繋ぐ小曲になっているなど、バンドは新しい試みにも挑んでいる。

ただ、新しい事に挑むのは結構なのですが、まだインディ・デビュー三作目な彼等が挑むには力量的に時期尚早だったのか、コンセプト作というアルバム形態にひっぱられたのか前作まで聞かれた徹底的に臭いメロディアスさにこだわった比重が減り、楽曲のコンパクトさも幾分薄れ、楽曲が少々間延びしたように聞こえ、その点はこれから改善されるべきポイントだろう。

また本作では、所々でギタリストのリフやキーボードの刻むサウンドにサバスやパープルの影響がチラリと垣間見え、今まで聞けなかったこの新要素が、今後よりハード目な方向へ進化して70年代風のテイストとして顕著に表れるのか、それとも当初のサウンドコンセプトをより洗練させた80年代風AORな路線へ接近して消えるのか興味は尽きません。

かなり頑張っているギターサウンド一つとってもまだまだサウンドの厚みが不足していて極上のプロダクションという訳にいかぬのは明白なB級バンドではありますが、甘いギターリフ、魅力的なキーボード、キャッチーなコーラスが詰まったメロディアスなHRサウンドを愛聴される方ならば十分に訴求するバンドサウンドでありますので、一度チェックしてみても損にはなりませんぞ!(*´ω` *)



# by malilion | 2017-12-26 20:09 | 音楽 | Trackback

80年代当時、USプログポップバンドでブレイク出来無かった数は如何ほどなのか…GLASS MOONのリイシュー作。

c0072376_04025278.jpgGLASS MOON 「Glass Moon & Growing In The Dark」'04

MATRAZと一緒に転がり出てきたこちらもご紹介。

本作は、マイナーなメロディアスバンドやUSプログレハードバンドをリリースしマニアを狂気乱舞させていた今は亡き(?)Renaissance Recordsから、04年にUS産産業ロック寄りニューウェーブ&ポップロック・バンドGLASS MOONの1979年と1982年にリリースした1stと2ndアルバムを2in1CDでリイシュー(残念ながら板起こしモノ)したものです。

GLASS MOONは、USAはNorth Carolina州Raleighのニューウェーブ&ポップロック・バンドで、1980年から1984年の間に3枚のアルバムを発表し、3枚のシングルをスマッシュヒットさせているマイナーバンドです。

John Wheliss(G)、Rodney Barbour(Vo、Acoustic G、Flute)、Nestor Nunez(B、Vo)によって1970年代初期に結成さ、結成当初はGENESIS、YES、GENTLE GIANT、PFMに影響されたシンフォニック・ロックを演っていたが、David Adams(Vo、Key)が加入した時から音楽性が急激に変化していく事になる。

立ち上げメンツ3人に加え、David Adams(Vo、Key)、Chris Jones(Ds)の5人組で活動していたが産業ロックブーム到来という時流の変化に合わせポップ化するバンドサウンドの急激な音楽性の変化に伴い、当然の如く John WhelissとRodney Barbourが77年に揃って脱退し、78年に一度は解散するものの、直ぐに David Adams(Vo、Key)、Chris Jones(Ds)、Nestor Nunez(B、Vo)の3人組バンドとして再結成し、活動を開始する。

オリジナルメンバーは Nestor Nunez(B、Vo)のみなものの、3人組バンドになった事で完全にバンド主導権が David Adamsへ移り、ポップロック・バンドとしてインディレーベルRadio Recordsから79年にアルバムデビュー(ディストリビューションはRCAレコード)を果たす。

デビュー作の時点では、キーボーディストのDave Adams主導という事もあって、キーボード主体のキャッチーでメロディアスなポップロックという感じでハードなテイストは殆どないものの、キーボードのプレイスタイルやオルガンの音色に初期のプログレテイストの残り香が漂っていて、サウンドが古臭かったり新しかったりと幾分か整合性が取れていないものの産業ロック化し切る前の初期STYXっぽいテイストなどを感じるなかなか興味深い一作となっていました。

続く2nd「Growing In The Dark」は、ギリシャ人のセッション・ギタリスト Jaime Glaser(G)を迎え製作され、81年に完成したもののアトランティック・レコードとのディストリビューション契約を結んだ影響でリリースは82年まで延期されてしまう。

因みに Jaime Glaserはこの後、Jean-Luc Pontyや Chick Coreaとの仕事でその名を馳せる事になります(*´ω` *)

産業ロックの一大ムーブメント(JOURNEYの『Escape』は81年)が盛り上がっている時にアルバムをリリース出来無かったのは痛手であったが、大手レコード会社のバックアップもあってシングル曲がそこそこのヒットを記録したのでバンド的に見てプラスになったのは確かだろう。

2ndでは一気にポップ化が進み、元々甘い声質でハードな音楽性と相性の良くない David Adamsの穏やかな歌声が良くマッチするコンパクトでキャッチー、そしてリズミックなサウンドからは完全にプログレテイストは払拭され、モダン化したデジタリーで煌びやかなシンセサウンドが実に心地よく、明らかにシングルヒットを狙ったラジオフレンドリーな楽曲創りがなされているのが分かる。

ただ、残念な事にシングルヒットを狙った完成度の高い楽曲を詰め込んだアルバムなものの今一つブレイク仕切れずマイナーな地位に甘んじる結果になったのは、やはり David Adamsの歌声にパワーや強烈な個性と言ったものが感じられず、当時のキラ星の如く活躍していた産業ロックバンドの名ヴォーカリスト達に及ばぬレベルだったからでしょうか?('A`)まぁ、相手が悪いよなぁ…

84年にレコード会社をMCAへ移籍してリリースした3rd「Sympathetic Vibration」では、David Adams(Vo、Key)を除くメンツの総入れ替えし、Doug Morgan(Ds ex:3PM)、Bobby Patterson(B、Vo)、Rod Dash(G 後に改名しRod Abernethy)を新たに迎えて製作されている。

産業ロック路線での成功は難しいと考えてのメンツ変動だったのか、新たなブームを察知し時流に迎合する形でロックテイストの薄いまんまニューウェイブ系というシンセシンセしたドライでデジタリーな軽めの薄口サウンドに変化した為か、正直完全に別バンドと思える退屈なサウンド(数曲耳を惹く曲はあるけど)の作品と言わざる終えないのが残念だ…orz

その為か、現在まで3rdがCD化されリイシューされた話は聞いた事がありません(つд`)

レコーディングが終了して間もなくの6月に Rod Dashが脱退し、新たに Dick Smith(G)を迎え活動を続けるものの、シングルのチャートアクションはTOP100台以下と伸び悩み、その状況を見たMCA Recordsは続く2枚目のアルバムリリースの予定をキャンセルしてしまう。

満足なサポートを得られなくなったバンドは86年に解散した。

バンド消滅と前後して、Dave Adamsは86年にソロ・アルバム「Dancing in My Sleep」を録音しElektra Recordsからリリースする。
ググッとAOR寄りになったソロ作には Rod Dashが招かれ、多数のゲストに混じって華麗なギタープレイを披露している。

その後、Raleigh地区に拠点を置くSUICIDE BLONDEなるバンドへDave Adamsは加入したらしいが詳細は不明だ。

最後の新メンバーとなった Dick Smith(G)はその後、Earth、Wind&Fireや Kenny Logginsのツアー要員として忙しくしていると言う…

本リイシュー作に合わせるように、05年に Dave Adams' GLASS MOON 「Moon Hits & More」なるアルバムがRenaissance Recordsのディストリビューションでリリースされたが、その内容はGLASS MOONの3枚のアルバムから楽曲をチョイスし、さらに未発表曲(幻の4th用の音源?)や Dave Adamsのソロアルバムの楽曲も収録したコンピレーションBEST盤でありました。

音源自体はDL販売されているので比較的安易に入手する事は可能ですが、GLASS MOONのアルバムは何れも廃盤となっておりますので、CD、LP共に中古盤などで見かけたら一度チェックして見るといいかもしれません。




# by malilion | 2017-12-22 03:56 | 音楽 | Trackback

南米チリの忘れられた名プログHMバンドMATRAZの最終作をご紹介。

c0072376_03072059.jpgMATRAZ 「Gritare」'04

別のアルバムを探していてヒョッコリ転がり出てきたので今日はコレを聞いておりました。

南米チリのSantiagoで96年に結成されたテクニカル・シンフォ&プログHMバンドの2ndにして最終作をご紹介。

Marcelo Stuardo(Ds)、Diego Aburto(Key)、Jorge Diaz(G)により1996年結成され、アルバムデビュー前の97年に「El Reflejo」と「Tierra Herida」なる(それぞれ1曲入り)デモテープを二本リリースした後、Inti Oyarzun(B&Vo)が加わり4人となってバンド体勢が整った99年に「Tiempo」でインディのMylodon Recordsからデビューする。

デビュー作を一聴してすぐ分かるのが、彼等はDREAM THEATERのフォロワーに属するサウンドを披露しているという事だ。

ただ有象無象のフォロワー達と違うのは、ヴォーカルがスペイン語の為に独特な巻き舌発音の歌メロになる点と、フュージョンやジャズが混ざった非HM的でユニークなテイストが楽曲の中で大きなウェイトを占めていて、テクニカルでスピーディーなのは勿論の事、お約束の一筋縄でいかぬ強引な変拍子や楽曲展開で攻めまくるだけでなく、一気に力を抜いた美しく透明感ある洗練されたメロディや、ヘヴィさやダイナミックさを捨ててリズム隊が恰もメロディ楽器であるかのように楽曲をリードしたり、華麗なピアノやシンセの涼やかな音色を織り交ぜた所謂シンフォニックな流れるようなサウンドが際立つ、静と動の対比を活かした多彩でスタイリッシュな楽曲が耳を惹く全四曲の大作志向なハイクオリティな快作であった点だろう。

メロディアスさを損なわぬ奇妙で複雑なアレンジをしてシンフォニック・ジャズメタルとも呼ばれる1stの時点で、このバンドは単なるプログレッシヴHMバンド以上の“何か”を提示しようとしているのは誰の目にも明らかであったと言えましょう。

そしてデビュー作から5年、続く2ndであり最終作である本作は、フロントマンだった Inti Oyarzunに変わり新たなベーシスト Jorje Garcia(B)が加入し、さらに女性ヴォーカルの Loreto Chaparro嬢を迎えた5人組となった新編成によって製作された。

まず耳に付くのが Loreto Chaparro嬢のパワフルで上から下まで幅広くカヴァーする美しい歌声だろう。

声質は良かったもののパワーという点では問題もあった Inti Oyarzunのヴォーカルパートの強化に加え、従来のテクニカルさはそのままに、よりヘヴィ且つエッジの立ったハードなHM色を強めたプログHM要素が濃厚になり、疾走感溢れるバンド・アンサンブルにも一段と磨きが掛かってよりサウンドのスリリングさと重厚さが増したのは見事の一言(*´ω` *)

インストゥルメンタル・パッセージや作曲面で依然として夢劇場の影響は窺えるものの、非常に複雑なプログレッシヴHMの一部のパートでは1stアルバムより実験的な試みに挑むなど、HMとJAZZという2つの矛盾したジャンルのハーモニーを熟練と情熱で美しく融合させて見せた1stで聞けたシンフォニック・ジャズメタルは更にシャレオツでモダンなサウンドへ進化し、前作を上回る独創性の高さを証明して見せたのは驚きだろう。

ジャズの流動性を内包した音楽は落ち着いていて、そして刺激的で爽快で、何より知的な2ndの中でも特筆すべきはキーボーディストの Diego Aburtoのプレイヤースキルとアレンジ力で、流暢で華麗なピアノの美しくロマンチックな音色がバンドサウンドのオリジナリティを高めるのに多大な役割を果たし、このアルバムを本当に輝かしい作品にしていると言えましょう。

高いレベルで纏まっているものの、あと一歩ユーロ系プログHMのような艶やかさに至らぬのはお手本がUSグレHMだからなのか定かではありませんが、新人インディバンドが2ndにしてここまでのレベルへサウンドを昇華せしめた事を見ても、彼等は決して凡百のフォロワーでないのは確かだ。

けれど、そんなプログレッシヴHMの傑作をリリースしたにも関わらずMATRAZ活動中に Jorge Diaz(G)とJorje Garcia(B)は、CLAUDIO CORDEROなるスリーピースのデス・プログHMバンドを05年に結成し、立ち上げメンバーのバンド掛け持ちが原因だったのか以降MATRAZの活動は停滞してしまう。

2ndアルバム・リリース後の彼等の活動状況については不明だが、彼等はシンフォ系のプログHM路線を追求するのを止めたようで、結局3rdアルバムをリリースする事なく14年に解散してしまった…orz

因みにCLAUDIO CORDEROは現在も活動中だが、Jorge Diaz(G)とJorje Garcia(B)の2人は既にバンドを脱退している。

名手 Diego Aburto(Key)のその後の活動は分からない…出来る事ならどこかのインディ・プログHMバンドで今も活躍していて欲しいものです…




# by malilion | 2017-12-20 02:57 | 音楽 | Trackback

初来日の姿が遂にLIVE作となってリリース! TAI PHONGの限定紙ジャケ作!


c0072376_22350858.jpgTAI PHONG 「Live in Japan」'17

70年代に活躍したフレンチ・プログレ・バンドの中でも、特にここ日本で人気が高いフランス出身バンド(メンバーは多国籍)が遂に14年に初来日を果たし、その姿を伝えるLIVE盤が今年リリースされたのを遅れてGET!

2014年10月に大阪・東京で行われた初来日公演をCD2枚に完全収録したLIVE作で、色違いの同デザインのジャケで2CD+DVD盤もあるが、私は限定紙ジャケット仕様でボーナス・ディスク(オリジナル「Return of the Samurai」盤からカットされた曲集でオリジナルR盤のデュプリ盤)付3枚組の方を購入しました。

来日前は『当時のオリジナルメンバー Khanh Maiが一人いるだけで、ほぼTAI PHONGのカバーバンド』だとか現状のバンドを不安視する声もチラホラありましたが、近年リリースの再結成以降作「Sun」'00や「Return of the Samurai」'13の、『メロディアスでポップ色が強いけれど、全部カーンの曲なんで泣きメロ全開&泣きのギターソロも多く悪くない印象』という声の通り、既にプログレでもシンフォでも無いけれど、デビュー当時日本で受けたHR的なアグレッシヴさとプログレ的なシンフォニックな厚みある音色を融合させたオリエンタルな風味が漂う独特な淡く儚いセンチメンタルな美旋律は健在で、幾分リズムが現代風なものの往年の叙情性の残り香は愉しめ、今回の来日でそのサウンドが無事再現されるのか注目しておりました。

で、そのLIVEの内容ですが、さすがに Khanh Mai(G&Vo)はかなりお年を召しておりその歌声やプレイはヘロヘロ(往年のトーン再現はならず…)なものの、ツイン・キーボード&トリプル・ギター(Khanh の息子 Davyもギタリスト)+リズム隊という計7人のベテラン・ミュージシャンでバックをガッチリ固めて盛り立て、フロントには新たな黒人歌姫 Aina Quach嬢を招き総勢8名編成の大所帯バンドが奏でるサウンドは丁寧なプレイに終始し、Khanh Maiの性格を反映したかのように穏やかな進行(LIVE構成には難あり…)もあって熱演というイメージは薄く、音のバランスが悪かったりハウリングや演奏ミス等々(アルバムは修正されてる…)あったものの「Sun」の楽曲を中心に今なお人気の高い初期2作品の楽曲を交えたベスト・オブ・ベストなセット・リストは、長らく来日を待ち望んだファンの期待に十二分に応える出来と言えましょう。

「Return of the Samurai」で透明感ある美声を披露した Sylvie Tabary嬢に変わった Aina Quachの歌声は如何にと不安視(Return of the Samuraiでも一曲歌ってるんだけどね…)するファンもいただろうが、結果から言って今まで迎えられたフロントマンの中で最もパワフルな歌声の持ち主で、ソウル&ゴスペルの素養も感じさせる相当な実力派で、再結成作に欠け気味だったパワー要素を加味する彼女の美声は旧来からのファンの皆さんを間違いなく喜ばせる事だろう。

TAI PHONGの現編成は以下の通り。

Khanh Mai(G&Vo)
Davy Mai(G)
Gilles Le Moyn(G)
Aina Quach(Vo)
Klod (B)
Bastien Mc One(Key&Back Vo)
Jean-Philippe Dupont(Key&Back Vo)
Romuald Cabardos(Ds)

「Return of the Samurai」'13 発表時のメンバーで残っているのはキーボーディストの Jean Philippe Dupontのみで、LIVE前に大幅なメンバーチェンジが行われた事が分かる。

LIVEでは Davy Maiが若いだけあって今風HMチックなテクニカルな早弾きを披露したりしていて、新メンバーがフレッシュな新風を持ち込むだろう既にアナウンスされている新譜の出来に俄然期待してしまいます(*´ω` *)



# by malilion | 2017-12-17 16:25 | 音楽 | Trackback

まさかのリユニオン作!? BABYLON A.D.が待望の4thをリリース!

c0072376_18353877.jpgBABYLON A.D. 「Revelation Highway」'17

1985年サンフランシスコにて結成され、1989年に大手メジャー・レーベルARISTAから華々しいデビューを飾った彼等が、スタジオアルバムとしては17年ぶりとなる通算4枚目のアルバムを少々遅れてご紹介。

2015年のLIVE音源以来、音源リリースの無かった彼等が、音源初リリースから30周年を記念するように新譜をリリースしてきた訳ですが、なんとアニバーサリー盤と言う事でなのかメジャーデビュー前のメンツ5人組(!)でリユニオンして今回はアルバムを製作しリリースしてきたのには驚かされました。

ゴージャスなグラム系サウンドでデビューしたにも関わらず直ぐにガンズのストリート系ラフサウンドの波やブルーズ回帰の波、そしてグランジー時代と連続する不遇な時代の中でも活動を続けて来た彼等ですが、メジャーデビュー前にギタリストを John "Jones" Mathewsから Danny De La Rosaへチェンジしたのと、00年の3rdリリース時に Robb Reidから Eric Pachecoへベーシストをチェンジした(後に Robb Reidはバンドへ復帰)くらいで、非常にラインナップは安定してたんですよね。

今回のメジャー・デビュー前のバンド創立時ラインナップへのリユニオンが一時的なものなのか今後も続くのか定かではありません(オフィシャル・サイトではオリジナルメンバーで活動を続けて来たかのような説明が…)が、メジャー時代の如何にもアメリカンHMというドライでキャッチーなサウンドも悪くないが、メジャーデビュー前のユーロテイスト漂うウェット感ある80年代UK風なツインGのハーモニーを活かしたマイナー調で美麗なメロディアス・サウンドも実に味わい深く個人的にも大好物なので、今回のリユニオンは地味に嬉しかったりして(*´ω` *)

で、待望の新作ですが、バンド創立時ラインナップへのリユニオンと言う事もあってか06年にリリースしたメジャーデビュー前のデモをアーカイヴ作としてリリースした「In The Beginning... Persuaders Recordings 8688」から4曲を今回再び録り直して収録(他の楽曲も以前の音源なのかは不明)しており、その他の楽曲も明らかにデビュー前のイメージを意識したグラム化する前のブリティッシュ風HMサウンドなテイストも漂わせていて、メジャーデビュー後のブライトなアメリカンHMサウンドを好んでいた方々には少々違和感があるかもしれませんが、相変わらずキャッチーでメロディアスな事には変わりありませんので安心して購入されてもよろしいかと。

まぁ、いくらリユニオン作だと言っても流石に30年も前の方向性とサウンドを今再現しても完全に懐メロで場違いでしょうし、デビュー作のような音圧高めのハッピーなグラムサウンドも今さらなのは確実ですから、本作のような今風なモダンさと00年を経過したダークで硬質な男臭いマッチョなテイストを旧来の楽曲に組み込んで現在の音楽市場にもしっかり対応した折衷案のようなバランスの取れたサウンドに落ち着いたのは当然と言えましょう。

デビューこそ華々しかったものの時代の荒波に揉まれ、中断時期や解散を挟んだせいでその実力に相応しい評価を得られずイマイチここ日本では知名度が低い彼等ですが、この新作が少しでも多くの方の耳に届き、再び華々しいメジャーの表舞台で活動出来るよう願わずにはおれません。

P.S. 国内盤を後日購入してライナーの解説で判明したのは、メンバーチェンジは一時的なものでないリユニオンという事と、旧曲と新曲の混在したアルバムという事でした。
   また国内盤ボートラは本作収録曲のデモ音源なので、特に音源マニアでない限り国内盤を強いて購入する意味は余りないと言えます。


# by malilion | 2017-12-09 18:30 | 音楽 | Trackback

爽やか北欧メロハー HOUSTON待望のオリジナル・フルアルバム3枚目をリリース!('(゚∀゚∩

c0072376_15031201.jpgHOUSTON 「III」'17

14年にカバーアルバム第二弾「Relaunch II」をリリースしていたが、オリジナルアルバムとしては13年の「Ⅱ」以来となるスウェーデン産メロディアスHRバンドの3rdアルバムがリリースされたのでご紹介!

前カバーアルバムではツインKey体制の6人組だった彼等ですが、再びメンツ変動が起こり古株のキーボーディスト Ricky Delinだけが抜けてキーボード入り5人組というスタンダードな体制に落ち着いた模様です。

FORIGNERの名曲と同タイトルのオープニングトラックを聞くまでもなく、今さら一人欠けたくらいで中心人物でありボスである Hank Erix(Vo)がいる限り、クラッシックタイプの爽やかメロディアスHRなサウンドの方向性が変化するはずもなく、メロハー・ファンが期待する通りのキャッチーでコンパクトでラジオフレンドリーな楽曲が詰め込まれたアルバムを届けくてれている。

ただ、毎度お馴染みなマンネリズムの権現の如く懐メロサウンドをセルフコピーするのではなく、元々プロジェクト体制だった彼らが3年前からメンツが固まって活動を続けた結果、作り物臭くレンジの狭い固く音圧高めだったサウンドから楽器の鳴りを活かした隙間のあるナチュラルな広がりのあるバランスのとれたモダン・サウンドへ進化していて、れっきとしたバンドとして成熟した模様が見て取れるのが嬉しい(*´ω` *)

なので、デビュー当時のようなキンキンの煌びやか&コンパクトで計算された整合性とヒットポテンシャルを追求したド・ポッピー・サウンドではなく、より自然でスケールの大きいロックサウンドに近づいているので、ちょっと大人しく感じたり、キャッチーさや勢いが減退したと感じる向きもあるかもしれないが、まぁ、そこはバンドのレベルが一段上がったのとAORテイストが増えたんだと解釈しましょう。

そうした変化はあるものの、総じていつも通りなAOR寄りのキラキラした北欧特有のKeyが耳に心地よいハードポップ&HRサウンドに違いはありませんので、ファンは勿論、80年代風なクラッシックタイプのメロディアス・ロック愛好家にもお薦めな一枚です。

そうそう、やっとジャケのデザイン(と、LPチックな汚し入り)にも気を使い始めた模様で一安心であります(w



# by malilion | 2017-12-06 14:57 | 音楽 | Trackback

カナダのメロディアスHRバンドBOULEVARD、27年ぶりの新譜がイイ出来♪('(゚∀゚∩

c0072376_21352422.jpgBOULEVARD 「Boulevard IV ~ Luminescence」'17

サックスプレイヤーを含む6人組カナディアンAOR&メロディアスHRバンドの27年ぶりとなる再結成第一弾、通算三枚目のアルバムがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

BOULEVARDは1991年に解散する前に、88年のセルフタイトルのデビューアルバムと90年の「Into the Street」の二枚のアルバムをMCAからリリースしていたドイツでシングルをリリースしてスタートしたカナダのバンド(スウェーデンにも同名の80年代風メロハー・バンドあり)で、それもあってデビュー当時からユーロ圏のAORファンやメロディアスHRファンに好評であり、居をカナダへ移してGLASS TIGERやBOSTONともツアーをして益々バンドの名声は高まったものの、時流の変化も影響してかメジャーな成功を収めるには至らなかった…

常にメロディアスロック・ファンの間では再結成の噂が囁かれてきた彼等だが、遂に14年に再結成し、その年のFirefestへ出演して好評を博す。
そして再結成作をリリースするより一足先に14年のLIVEを納めたDVD作「Live From Gastown」を15年にリリースしていた訳だが、待ちに待ったフルアルバムが満を持して今回届けられた訳だ。

因みに本作のタイトルに「Ⅳ」の文字があるのは、その映像作品も含めて四作目という事だろう。

このバンドを特徴付けている最大のポイントはサックス奏者をメンバーに含む事で、再結成作である本作にもオリジナルメンバーである Mark Holden(Saxophone)がちゃんと在籍して以前にも増して大活躍しているのでファンは一安心でしょう。

ただ、さすがにこれだけ時間が経っての再結成なのでオリジナルメンバーでのリユニオンは叶わず、デビュー作から2ndリリースの間にもリズム隊がゴッソリ入れ替わったが本作でもメンツに変動があり、オリジナル・ギタリストだった Randy Gouldに代わって Dave Cormanが迎えられ、2ndからベーシストだった Tom Christiansenに代わって Cory Curtisが新たに迎えられている。

作曲の中心人物であった Randy Gouldが抜けたのは痛手なものの、このバンドの顔である David Forbes(Vo)やサウンドのキーマン Mark Holden(Saxophone)や Andrew Johns(Key&Vo)は健在で、これまでのバンドサウンドを再現するだけでなくより現代的で魅力的なサウンドにリニューアルされた、カナダ産バンドらしい哀愁を交えた心地よくウェットなメロディ満載のアルバムを届けてくれているのが嬉しい。

以前のマイルドで甘い声質の David Forbesの優しい歌声に幾分か渋みが増してはいるが、分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカルやソリッドで情熱的なリズム、そして煌びやかな美旋律を描き出すキーボードの音色の涼やかさは相変わらずで、ラジオフレンドリーでキャッチーなモダンサウンドが、ムーディーで優雅なサックスの音色を交えてシャレオツな調べに乗って繰り広げられるユーロティストな楽曲の数々は、長い長いブランクが嘘のような素晴らしい仕上がりだ(*´ω` *)

無論、さすがに90年代初期のようなポップでブライトなサウンドまんまではなく、長い創作活動を経て円熟味の増したサウンドにはAORテイストが多分に感じられ(特にキーボードとサックスに)るが十分に今でもロックのエッジを保っているし、経てきた年月が彼等のサウンドに渋みと枯れた味わいをもたらしているけれど、以前からのファンの期待にこたえるサウンドなのは間違いない。

ゲストで長年 Bryan Adamsバンドのギタリストを務めてきた Keith Scottが「Slipping Away」で如何にもといったワイルドでアーシーな音色を聞かせてくれているのもカナディアン・ロックファンにとっては話題の一つと言えるだろう。

またカナダはヴァンクーヴァーのスタジオエンジニアで裏方作業メインの Al Vermueなる人物もギターで「Slipping Away」に客演しているのは、解散後の各自の創作活動で地元で知り合った親しい友人を招いて、という事だろうか?

決してメロハー&AORのA級メジャー最高傑作とは言わないが、クラッシック・タイプのメロディロック・ファンやAORファンであるなら正しくこのアルバムは「必携」作で、併せてTOTOやCHICAGOなどの産業ロック系ファンにもお薦め出来る一枚とも言えるでしょう。




# by malilion | 2017-11-23 21:29 | 音楽 | Trackback

バンドは鈍色、ソロは華やか、ってハッキリ鮮明。JEFF SCOTT SOTOが久しぶりにソロ作リリース。


c0072376_23212303.jpgJEFF SCOTT SOTO 「Retribution」'17

相変わらず多忙なセッションワークの他、自身のリーダーバンドでのアルバム発表がここの所続いていたが、ソロとしてのアルバムは5年ぶりとなる7作目がリリースされたのをちょい遅れてご紹介。

自身のリーダーバンドSOTOが、ヘヴィでダーク、そしてマッチョで男臭い今風モダンHMな方向性であり、バンドで存分に時流とUSマーケットを意識したサウンドを披露している事もあってか、ソロ作は全く別の方向性、もっと言えば彼のこれまでのキャリアの主戦場であったオールドタイプのメロディアスHM路線を前作に引き続き本作でも追求したアルバムを製作してくれて、これは彼の旧来からのファンにとっては正に望んでいた通りの新譜と言えるだろう。

多彩な音楽的バックボーンを持つ Jeff Scott Sotoのソロ作はいつもバラエティに富んだ楽曲が収録されているが、本作もその例に漏れず、ちょい今風なハードサウンドな楽曲や、お約束のポップなAOR風だったり、これまた定番のしっとりバラードだったりと、彼の幅広い歌唱力を存分に活かしたキャッチーでコンパクトなメロハー風楽曲を楽しむ事が出来る、安心印がバッチリのアルバムだ。

まぁ、その分意外性だったり強烈な刺激だったりは希薄だけれども、彼のソロ作にソレを求める向きは居ないだろうから何の問題もないでしょうけど。

本ソロ作は、Jeff Scott Sotoを中心に、初期からJeffのソロ作に参加し、TAMPLINやALCATRAZZに在籍し、TVコマーシャルや映画のサントラ等でその手腕をふるってきた凄腕ギタリストで、本作でもその華麗なギターワークを披露するのみならず Jeffと共同プロデュースも行っている Howie Simon(G、B)、そしてSOTOのドラムスでもあり、以前からソロ作にも参加しているJeffのお気に入りドラマー Edu Cominato(Ds)の三人を基本構成として、多数のゲストを迎えて製作されている。

有名所では、Dennis De YoungのSTYX曲演奏LIVEに参加していたギタリスト Stephen Sturmや、ダブルベース・プレイヤーの名手でジャズ、ポップ、ファンクとジャンルを超えて多数のセッションに参加している Carlos Costa、そして元々北欧バンドのドラマーだったファンク系ギタリストで、本作ではキーボードやベースもプレイし、その多彩な才能で愉しませてくれる Paul Mendoncaだろうか?

収録曲の『Retribution』のPVでは、バックに美貌のベーシスト Julia Lage嬢を筆頭に美人ドラマー Emily Dickinson嬢やJeffの奥様 Elena Sotoがキーボードを担当した華やかでセクシーなバンドを従え軽やかな歌声を披露する Jeff Scott Sotoの姿に驚かされたけれど、まぁメジャーで明るいイメージのソロ作ならでは、って感じの画面構成で、憤怒の顔で轟音が叩きつけられる中、燃え上がらんばりにシャウトを張り上げる暗いイメージのSOTOでの姿とのギャップにちょっと苦笑してしまいました(w

とまれ、ファンは当然ですが80年後期から90年代スタイルのサウンドで、抜群に上手いヴォーカリストの歌が聴けるキャッチーでメロディアスなサウンドを好む諸兄に安心してお薦め出来る一枚なのは間違いないでしょう。



# by malilion | 2017-11-17 23:16 | 音楽 | Trackback

ポーランドから再び! BELIEVEの哀愁漂う優雅な美メロに酔え!

c0072376_15125753.jpgBELIEVE 「Seven Widows」'17

前身バンドCOLLAGEから数えると、既にキャリア25年以上になるベテラン・ミュージシャンからなるポーランドのヴァイオリン入り5人組ネオ・プログレバンドが待望の新譜6thを4年ぶりにリリースしたのでGET!

元COLLAGEメンバー Tomek Rozycki(Vo)とMirek Gil Sieradzki(G)と、最初期のCOLLAGEメンバーであった Przemek Zawadzki(B)等によって結成されたCOLLAGEの持つメランコリックなメロディ要素を集めたようなネオ・プログレバンドとして06年にデビューして注目を集めた彼等だが、長い活動の中で度々メンバーチェンジが起こり、今作ではドラムスとヴォーカリストが再びチェンジし、新たに Lukasz Ociepa(Vo)と Robert "Qba" Kubajek(Ds)の二名が迎えられている。

結局、オリジナルメンツで残っているのはリーダーの Mirek Gilと Przemek Zawadzkiのみとなってしまった。

まぁ、COLLAGEはこの Mirek Gil率いるBELIEVEと Robert Amirian率いるSATELLITEに分裂したようなモノなので、デビュー以降もお互いバンドメンバーだったりゲスト参加だったりとポーランドのグロプレ・シーンが狭いせいか人脈がかなり重なっているんですよね。

これでフロントマンは三度目のチェンジなのでメンツ変動にそう驚かないが、何よりこれまでバンドサウンドに艶と優美さを与えていた、前作「The Warmest Sun In Winter」'13 で脱退していたオリジナルメンバーの日本人女性ヴァイオリニスト Satomi嬢が無事バンド復帰し、さらに本作からキーボードもプレイ(専任キーボーディスト Konrad Wantrychは脱退)して一層にバンドサウンドのキーマンと呼ぶに相応しい立ち位置になっているのが大変に喜ばしい('(゚∀゚∩

で、注目の新フロントマンですが、マイルドな声質の中域メインな歌唱でシンフォ系にマッチした優しげな歌声(個人的には前任者の歌声の方が好みだけど…)なので、メンバーチェンジの一報に心配していたファンの方はご安心を。

前作まではフルートとヴァイオリンのクラシカルで優美な調べに絡む穏やかで甘美なピアノの音色と心くすぐるメロウさが売りの、淡い物悲しさが漂う仄暗い叙情的なシンフォニック・ロックだった訳ですが、メンバーチェンジも影響したのか全体的なサウンドの方向性や感触に変わりないものの、幾分かサウンドがパワフルになった印象を受けました。

そして、復帰した Satomi嬢のヴァイオリンがしょっぱなからタップリとフィーチャーされていて、その信じられない程にロマンチックでセクシーな音色は壊れ物のようにデリケートで美しく、バンドがゆったりと奏でるほろ苦く切ない哀愁と優雅さ漂うメロディアスなサウンドと相まって、薫り立つようなクラシカルな美メロが胸に迫る、その柔和でモダンなシンフォサウンドは正に絶品だ!('(゚∀゚∩

注目すべきは、スリリングさやテクニカルさよりもシンプルさと美しさを何よりも追求する、LatimerやHackettに肉薄する Mirek Gilの渾身のリードソロがここぞという所で冴え渡り、その全ての感情と情熱を解き放つかの如き儚くも美しい音色が淡く幽幻なシンフォサウンドに眩い輝きを与え、改めてスピードやテク、そしてパワーといったロック要素が無くとも甘美でメロゥなサウンドだけでここまで人を惹きつけ感動せしめるのだと驚かせてくれる。

サウンドの艶やかさや優美さの殆どを紡ぎ出しているのは Satomi嬢のヴァイオリンなものの、彼女の操るキーボードが奏でる控え目なストリングスや柔らかなシンセのアレンジが実に的確で(同一人物がプレイしているのだから当然だが)互いの楽器の音色を邪魔せぬ絶妙のバランス(前作よりもキーボードは控え目)も実によろしく、もし専任キーボーディストが在籍したままだったならば、果たしてここまで高い完成度のアルバムになっただろうかと考えてしまいますね。

個人的にはポップさやモダンさでは前作の方が上ですが、本作の方が優美でセンチメンタルなメロディの質という点で大きく勝っているように思います。

東欧故かどこか冷ややかで、けれど甘く切ない美旋律が詰め込まれたシンフォニック・ロック作ですので、メロディアス・ロック愛好家なら絶対押さえておいて損はない一品ですよ! 是非!

そうそう、近年COLLAGEの方も再結成されLIVE活動を行っているので Mirek Gilは“元”ではなく、現メンバーって事になりますね。

BELIEVEやソロ、そしてCOLLAGEと大忙しの Mirek Gilですが、次はどんな形態でか分かりませんがまた素晴らしい作品をそんなに待たせず届けて欲しいものです。





# by malilion | 2017-11-13 15:04 | 音楽 | Trackback

米国シンフォ・ロック・バンドGLASS HAMMERがデビュー25周年記念スペシャル・アルバをリリース!

c0072376_00313481.jpgGLASS HAMMER 「Untold Tales」'17

現YESのフロントマン Jon Davisonが在籍していたインディ・バンドとして一躍メジャーシーンにその名を知らしめた米国産シンフォニック・ロック・バンドのデビュー25周年を記念したスペシャル・アルバをGET!

前作が個人的に彼等のディスコグラフィ中で最悪な出来だっただけに新譜リリース情報にも及び腰でしたが、蓋を開けてみれば結成25周年を記念し未発音源を集めたメモリアル・コンピレーション・アルバムとの事で、安心して手を出してみました。

93年~17年の間に録音されていた8曲の未発スタジオ&レア・トラックを中心に、キーボードを大きくフィーチャーしていた70年代UKロックバンドARGENTのカヴァー曲(メリーランド州ボルチモアのProgscape'96で、初めてこの曲のカヴァーをLIVE披露した)とTHE BEATLES(09年に「Three Cheers For The Broken Hearted」のセッション中に録音された。いくつかのLIVEのアンコール曲として披露された事がある)を2曲、既発曲に一部手を加えた新録曲を1曲、そして脱退前の Jon Davisonの歌声をフィーチャーした16年リリースのアルバム未収録の最新シングル1曲、さらに最新LIVEからの未発音源を1曲を加えた計13曲から成る、まさにバンド史を彩る音源を連ねた記念碑的な内容となっている。

Fred Schendel(Key)と Steve Babb(B)を中心に'92年に結成され90年代以降の米国産シンフォニック・ロック・シーンを代表するバンドになるまでの25年の間に残してきた未発音源というその内容の希少度もさる事ながら、長いキャリアの中で大きく変遷してきた音楽性(出発点はゲームBGMだったんですよね…)の多様さや意外な音楽的影響まで、アルバム製作に参加した多岐に渡るメンバーの数々や、ゲストプレイヤーのプレイ記録を改めて再確認できる献身的なGLASS HAMMERファン必携のマストアイテムだ。

こうして古い未発音源を今聞き直してしみじみ思うのは、やはり個人的には初期のエマーソンへの憧憬を隠さぬドプログレな渦巻くキーボードサウンドの洪水と怒濤のオーケストレーションがリスナーの耳を容赦なく攻め立てていた時代のエネルギー、ダイナミズム、そしてフックが炸裂するテクニカル・サウンドが一番好ましく、今は随分と音楽性が拡散し変容してしまった彼らの音楽の本質を如実に現しているなぁ、と…

プログレスするのがプログレ・バンドなんだし、初期からどんどん音楽性が発展変容(最近の露骨なYESフォロワーっぷりは辟易だった)するのは当然な事なので、このイチャモンはナンセンスでファンの身勝手なエゴであるとは重々承知していますけどね(汗

それと、やはり個人的にフィメール・ヴォーカルは好みじゃないので初期のような男性フロントマンのみで構成されているバンド形態のEL&P+YESだったサウンド時代の方が好ましい、としみじみ思えました。

興味深いレアトラックばかりの中でもとりわけ注目を集めるのは、あのカナダの至宝RUSHのドラマーにして詩人 Neil Peartが音楽制作用ソフトウェア・メーカー SONIC REALITYの音源サンプル・ライブラリーの製作中に残したドラム・トラックを用いたRUSH風な未発曲や、12年企画コンピレーション・アルバム「THE STORIES OF H.P. LOVECRAFT: A SYNPHONIC COLLECTION」に提供したアルバム未収録のシングル曲「Cool Air」に、17年北米Tennessee公演にて現メンバーの繰り広げる15分近くに及ぶドラマティックでスケールの大きな最新LIVE音源は聴きものだろう。

Tracks Listing:
01.Shadows of the Past 2008(2008 Re-recording of "Shadows of the Past" from Journey of the Dunadan)
02.Infusion(Originally released on the album "Love Changes - Featuring Glass Hammer" by artist Tracy Cloud)
03.Identity Principle
04.Hold Your Head Up(ARGENT cover)
05.Babb's Bach
06.And Then She Sighed
07.Eiger Dreams
08.It's All Too Much(THE BEATLES cover)
09.Troll
10.A Grain of Sand
11.Cool Air(from The Stories of H.P. Lovecraft)
12.The Impulsive Type(Featuring Neil Peart)
13.No Man’s Land(2017 Live performance of "No Man's Land" from Valkyrie)


Line-up:
Steve Babb (Bass、Keyboards、Vocals)
Fred Schendel (Keyboards、Guitars、Vocals)
Kamran Alan Shikoh (Guitars)
Aaron Raulston (Drums)
Susie Bogdanowicz (Vocals)

Former Member:
Walter Moore (Vo)
Jon Davison (現YES) (Vo)
Carl Groves (現SALEM HILL) (Vo)
Laura Lindstrom (Vo)
David Wallimann (G)
Matt Mendians (Ds)

しかし、近年Jon DavisonのYES絡みな話題でプログレ界を賑わせた彼等が、まさか Neil Peartのドラム音源を流用した異色曲という隠し球を放ってくるとは…これはRUSHファンならずとも興味惹かれるレア音源ですよね? 是非チェックしてみて下さい。

GLASS HAMMERはこのアーカイブ作でこれまでの活動の総括をした訳で、今度こそ次なる新作スタジオ・アルバムで期待に見事に応えて欲しいものです。



# by malilion | 2017-11-01 00:23 | 音楽 | Trackback

EL&PとGENTLE GIANTへの壮大なオマージュ? いいえ、商業主義へ走らなかった70年代プログレの幻影。それがRT FACTです。

c0072376_16195574.jpgRT FACT 「Life Is Good」'17

米国在住のロシア人コンポーザー Yuri Volodarsky指揮による米国人ミュージシャン等とのシンフォニック・ロック・プロジェクトのデビュー作がリリースされたので即GET!

まずネット上でシングル「Artifact - Life Is Good」がデジタル音源でリリースされ、次に8月にフルアルバムがデジタル音源でリリース、9月にCDで現物がリリース、そして10月にはアナログLPで音源がリリースされる予定だという。
この辺の多数のメディアで順次音源がリリース(マニアックだなぁ)される一連の流れが、如何にも“今”のバンドである事を象徴してますね。

まもなく新たなソロアルバムをリリースする予定の、Yngwie Malmsteen BandやJOURNEY(涙)、幻のSOUL SIRKUS(涙)、そしてTALISMANや各種メロハー・プロジェクト等でその抜群の歌唱力を披露してきた Jeff Scott Sotoが参加(自身のリーダーバンドは??)していると言う事でこの新プロジェクト・バンドの新譜が目についたのですが、全く予想外の傑作アルバムに出会えて大変ラッキーでした。

現在は米国へ身を置く Yuri Volodarskyだが、若かりし頃の彼が育ったソビエト連邦(懐かしい…)では西側諸国のロック音楽への接触が制限されていた為、僅かに入ってくる情報や有名バンドのLPを元に想像力を羽ばたかせるしかなく、その逆境と渇望が音楽への情熱を高め続けさせた故か流行と無関係なシーンで創作活動を続けた為か、今の時代のサウンドとは隔絶した“もしかしたら西側諸国のバンド達が進んでいたかもしれぬ並行世界のサウンド”を育んで来た異色のアーティストだ。

情報統制が厳しくなる前の70年代初期のロック要素を元に、ロシアお得意のオーケストラ音楽要素を加えてオリジナルなサウンドを構築したのでしょうが、ソレが今の耳で聞くと70年代直系サウンドに今風なモダン・アレンジを加えられ、若干現代風になって聞こえるのが妙に新鮮な感触を与えてくれ、ロシア人とアメリカ人のコラボレーションなのに聞こえてくるサウンドはブリティッシュサウンドって所も非常に面白い。

しょっぱなのSPOCK'S BEARD風の複雑なコーラスが炸裂するサウンドにまず驚かされるが、Yuri Volodarskyの音楽的バックボーンは明らかに初期ブリティシュ・プログレシッヴロック、もっとハッキリ言えばEL&PとGENTLE GIANTなのは明白で、その二つのバンドの持つ雄大なクラッシク要素と複雑な多重ヴォーカル要素をミックスさせ、オーケストラや管弦楽のソリストも加えて本格的なクラシカルさを配し、さらに様々な音楽的要素を加味して新人らしからぬ圧倒的スケールでもって荘厳で幻想的な一大叙事詩を描ききっている点は見事の一言。

その他にもオーケストレーションと相性抜群なイタリアン・プログレ要素もチラホラ散見されるし、時には牧歌的だったり、ジャジーなテイストだったりと、複雑でテクニカルなだけでなく初期プログレッシヴ・ロックが持っていた遊び心あるユーモラスな雰囲気も多分に感じさせ、その点で言うと“叙事詩”にはマイナス要素かもしれないが、そんな楽曲の数々は非常に創造的な上に緻密で豊かなメロディーで最初から最後まで彩られていて、アルバムを貫く流動的でエネルギーに満ちた大きな流れの妨げにはなっていない。

決して先鋭的な最先端のサウンドではないけれど、レトロテイストな温かみある70年代クラシック・ロックのような安心感に満ちているのと、通常ならば直接的な音楽的影響が露呈する事はマイナス要素なのだが、巧みに楽曲を構成する単なる一要素として注意深く細工され、非常に抑止的な楽器セグメントで構成されている為に全くフォロワー的なサウンドに聞こえぬ上に、オペラチックなコーラスや壮大なクラシカルさだけでなくゲスト・アメリカ人ヴォーカリスト達のキャッチーな歌メロでコンテンポラリーさも感じさせるコンポジションの妙は、Yuri Volodarskyの類い希なる才能と手腕によるものだろう。

唯一の不満点と言えば、本作は約45分しかないので、このバラエティ豊かな音楽要素で彩られた魅力的なアルバムは飛ぶように終わってしまい、そこだけは次作で解消して欲しい不満点と言えましょう(*´ω` *)

Line-up:
Jeff Scott Soto (ex:JOURNEY、ex:Yngwie Malmsteen Band) Vocals
Nad Sylvan (ex:Steve Hackett Band、AGENTS OF MERCY、ex:UNIFAUN) Vocals
Will Champlin(CHICAGOのBill Champlinの息子!) Vocals

Oz Noy solo Guitar
Jeff Kollman (COSMOSQUAD) solo Guitar
Rafael Moreira Guitar
Josh Smith Guitar
Gary Meek (ex:Brian Bromberg、ex:Flora Purim) Flute、Sax
Edward Tsiselsky Keyboards
Dmitry Ilugdin Synthesizers
Eugene Sharikov Bass
Joel Taylor(ex:Brian Bromberg、ex:Jeff Richman) Drums


Yuri Volodarskyは今回はプレイヤーとしては本作に参加していないので、是非とも次作ではその腕前を是非披露して欲しいですね。

あと、4曲目中にデカいノイズがあるのが残念です…('A`)




# by malilion | 2017-10-30 16:12 | 音楽 | Trackback

天上の癒やしサウンドを貴方に…米国産シンフォニック・クリスチャンロック・プロジェクトNO NATIONの唯一作。

c0072376_16430177.jpgNO NATION 「Illumine」'05

GALINVERNAと一緒に転がり出てきたので、マニアックなメロハー作やアメリカン・プログレハードバンドのリイシューなどで有名な英国インディレーベルRenaissance Recordsよりディストリビューションされた米西海岸のトップ・セッション・ミュージシャン等によるクリスチャン・プログレ・ユニットの自主製作デビュー盤にして唯一作をご紹介。

エノク、インクナートン、モーセ、ブッダ、ゾロアスター、ナザレのイエス、ムハマドなど、私達の霊的啓蒙に貢献した偉大な先人を讃え、人類の霊的進化を促す為に平和と団結と希望の音楽メッセージを届ける、という大真面目なコメント(汗)からも窺える地球&自然をテーマにしたコンセプチュアルな作品で、どこまでも美しく、AORをはじめワールド・ミュージックやニューエイジ要素も多分に反映させつつ、煌びやかでスケールの大きい荘厳なシンフォニック・プログレッシヴ・ロックの一作だ。

主要メンバーは、1960年代後半からJOURNEYとの多数のセッション・ワークやライブミュージシャンとして活動してきた Steve Roseman(Key)、そしてJOURNEY、YES、Peter Gabriel、ABRAXESとのセッション、Neal Schonsの2枚のソロアルバムにも参加しているJohn Hernandez(Ds)、クリアで優しげな歌声がその厳つい風貌にそぐわない(汗)Ed Ulibarri(Vo)の三名で、その三名と関係の深いJOURNEYの Ross Valory (B、Fretless-B)を筆頭に、Sheena EastonやSheila Eの作品に参加したりクリスチャンHMのTHE VUや、Huey Lewis & The NEWSのメンバーでもある Stef Burns(G)、TOWER OF POWERのリズムギターだったJeff Tamelier(G)や、元YESの Jon Anderson(Vocalisation)、元MOODY BLUESの Mike Pinder(Narration…Keyはプレイしないのね…)等々の豪華ゲストが参加してのロックオペラ作となっている。

“啓蒙する”というタイトル通りに、死海文書や聖書、そして聖書の登場人物をモデルにした作品なので、ロック的な荒っぽさや熱は殆ど無い小綺麗な楽曲ばかりとなっており、テク応酬のハイテンションなインタープレイだとかスリリングでワイルドなソロパートが交錯するなんて箇所は一瞬(ほんの少し、有るっちゃ有るけど…)たりともありません。悪しからず。

逆にどこまでも美しく素晴らしいメロディとアンサンブル、そしてエスニック風味な癒やしに満ちた淡い輪郭の柔和なサウンド(センチなメロを奏でるヴァイオリンがめちゃいいアクセンソになってるんだなぁ、コレが)が幾重にも組み合わさり、ひたすらに心地よさと爽快感を終始演出してくれるので、容赦ない現代社会のストレスに心荒んでいるような方にとって一服の清涼剤となる事は間違いありません(*´ω` *)

Ed UlibarriのAOR風ヴォーカルと透明感あるリリカルで優しげなメロディや民族音楽的なエスニックなリズムも相まって Jon Andersonの一連のソロ作を思い起こさせるが、全体的にYESの「Tales from Topographic Oceans」'73と「Relayer」'75 時期風なサウンドをベースにエキゾチッチな音階やサウンドで各楽曲がアレンジされたシンフォ・サウンドで、Jon Andersonのソロ作などでよく聞かれる分厚く壮大な多重コーラスがオーケストレーションのように楽曲を優しく包み込み、深い癒やしと壮麗さを描き出す手助けをしている。

また本作は、太鼓、ヴァイオリン、三味線、ディジーフルート、ダンベク、ジャンベなど本物のアコースティック楽器を使ってレコーディングされており、古典的なプログレッシヴ・ロックと民族音楽的なテイストが巧みに組み合わされた意欲作と言えるだろう。


Line-up:
Ed Ulibarri(Vocals)
Steve Roseman(Keyboards)
John Hernandez(Synthesizer、Ds、Djembe、Dumbek、Taiko、Percussion)

Additional personnel:
Ross Valory(Bass、Fretless B)
Mike Pinder(Narration)
Jon Anderson(Vocals)
Stef Burns(G)
Jeff Tamelier(Rhythm G)
Erik Frykman(Acoustic G)
Kallan Nishimoto(Shamisen、Taiko、Dizi)
Stu Sweatman (Acoustic G)
Deby Benton-Grosjian(Violin)
Hikroyuki'Jimi'Nakagawa(Taiko)

まぁ、色々解説しておいてなんですが、ご大層なコンセプトやクリスチャン・ロックだと妙に意識せず、その美しいサウンドをただ愉しめばいいのはないでしょうか?

YESや Jon Andersonのソロ作、そしてSAGRADO CORACAO DA TERRA等がお好きな方ならきっと気に入るハズ、そんな優しく美しいサウンドです。

Peace be upon you.


# by malilion | 2017-10-28 16:31 | 音楽 | Trackback