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フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いるユーロ・シンフォ・プロジェクト DRIFTING SUNが待望の8thアルバムをリリース!!

フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いるユーロ・シンフォ・プロジェクト DRIFTING SUNが待望の8thアルバムをリリース!!_c0072376_17165923.jpg
DRIFTING SUN 「Veil」'24

フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いるキーボード入り多国籍5人組ユーロ・シンフォ・プロジェクトの8thアルバムが3年ぶりに届けられたのを即GET!

現在は渡英しイギリスを拠点に活動する鍵盤奏者 Pat Sandersが中心となり、90年代半ばにフランスで結成されたポンプの残り香漂うユーロ・シンフォが出発点だったが、度重なるメンバーチェンジや幾多の音楽的変節を経過した現在は、リリカルで華麗なキーボード・ワーク主導のメランコリックな英国叙情と巧みなアンサンブルや“引き"の美しさが際立つ PENDRAGON、GENESIS、YES、MARILLION等の影響が透け見えるシアトリカルでドラマチックなメロディアス・シンフォ・サウンドへ様変わりしている。

前作時点で予見していたが案の定メンバーチェンジが勃発し、フロントには前作から参加なオルタナティブ&プログレ・ロックバンドVERBAL DELIRIUMの中心人物でありギリシャ人シンガー兼キーボーディスト John'Jargon'Kosmidisと、IQ、JADISをはじめ数々の有名UKポンプ&シンフォ系バンドでの仕事が知られるベテラン・ベーシスト John Jowittが引き続き参加な他は新メンバーが迎えられており、元KARNATAKAで現在はHENRY HOOL、Hayley Griffiths Bandやソロ活動、セッション、自身が率いるプログレ・バンドZIOでプレイする Jimmy Pallagrosiに代わり新ドラマーに元PENDRAGONの Fudge Smithが、2017年リリースの5th『Twilight』より長らく在籍したギタリスト Mathieu Spaeterに代わって加入は、マルチ・インストゥルメンタリスト、プロデューサー、映画監督としても活躍する英国人ギタリスト Ralph Cardallで、彼はシネマティックなインストゥルメンタル・プログレッシヴ・デュオ THE DEEPSTATEでも活動しており何れも経験豊富なミュージシャン達ばかりだ。

前作では John'Jargon'Kosmidisはミドルレンジ主体で歌い上げる非メタル系の英国シンフォ定番なジェントリー風で、シアトリカルなテイストや時折エキセントリックだったり芝居がかった語り口等の多様な歌声を聴かせていたが、レコードノイズ混じりに幕を開ける物悲しいオープニングからミステリアスな物語を予感させる本作サウンドがより雰囲気重視でスケール感の増したシネマティックな趣が強まった為か、バンドに馴染んだからなのかエモーショナルさはそのままにエキセントリックでシアトリカル&ダーティな熱唱(SHADOWLANDで歌っていた時の Clive NolanとTWELFTH NIGHTの Geoff Mannを足して2で割った風な歌声に聴こえる)を伸び伸び披露するパートが増し、ARENAっポい歌唱スタイルから一気に初期GENESIS風味が強まる変化を見せており、ギターを筆頭に以前感じられていたメタリックな感触がサウンドから大きく減退し、代わってクラシカルに響くピアノとリリカルで華麗なシンセ主導な瑞々しい美旋律や優美なストリングス・パートを絡めてゆったりとメランコリックな音色を奏でる、派手さは無くとも綿密に編み上げられたアンサンブルと“引き"の美しさが際立ったアレンジが効いた、古典的プログレへ大接近した情趣豊かな正統派シンフォニック・サウンドを披露している。

パンデミックの為に纏まりかけていたバンドが崩壊し、前作で再びプロジェクト感が強まって先行きが不安視されたがベテラン・ミュージシャンを迎えて一層に美旋律とアンサンブルの完成度を高め、特にギタリストの変化がここまで顕著な影響を与えるのかと驚く程に英国叙情が胸に染み渡る趣とシンフォニックさの度合が増しており、本作の飛躍は Ralph Cardallが持ち込んだであろう初期GENESIS、YES、RUSH、KING CRIMSON等に強くインスパイアされたと言う音楽性と映画音楽的な音使い等がリーダー Pat Sandersの好むサウンド・ヴィジョンと化学反応を起し大きな起爆剤となって一気に正統派シンフォニック・サウンドへ傾倒させたのだろう。

それまでにもミステリアスで物憂げな雰囲気やダークでシネマティックな音使い、そしてシンフォらしい楽曲にそれらのテイストを交えた展開等は垣間見せていたが、Ralph Cardallの影響もあってか本作で一気にそういった要素が強まって、結果的にシンガー John'Jargon'Kosmidis好みな音楽性へと大きく傾倒したのが吉と出たのだろう、プログレらしく革新的でもないし強烈に独創的と言う訳でもないものの彼等のアルバムの中でも一、二を争うドラマチックで色彩豊かなメロディアス・シンフォ作へ仕上がっており、その自主制作盤と思えぬ完成度には驚かされます。

この手のシアトリカル・シンフォ系バンドが選択し勝ちな定番のエモーショナルで咽び泣く様なギターを Ralph Cardallがグイグイと露骨にプレイしていたならば、MARILLION、PINK FLOYD系エミュレート・サウンドへ接近していたのだろうがその選択をせず、若しくはリーダー Pat Sandersが安直なフォロワー・サウンド化を嫌ってか別路線の音使いを指示したであろう選択が、大きく本作のシアトリカルさと美旋律の絶妙なバランスで構成された完成度と個性を強める成功の要因になっているようにも思いますね。

キーボーディストがリーダーのバンドですので、ピアノは無論、メロトロン系、シンセ、オルガンなど多種多様な鍵盤サウンドが大きくフィーチャーされており、生のヴァイオリンやオーケストレーション、そして合唱も導入されたドラマチックで哀愁の満ちたモダン且つスタイリッシュな英国叙情漂うシネマティックなシンフォニック・ロックがお好みな方には是非一度チェックしてみて欲しい一作であります。

Tracks Listing:
01. Veiled
02. Frailty
03. Eros and Psyche
04. The Thing
05. 2-Minute Waltz
06. Through the Veil
07. The Old Man
08. Cirkus

DRIFTING SUN Line-up:
John 'Jargon' Kosmidis  (Vocals)
Ralph Cardall        (Guitars、Mandolin)
Pat Sanders        (Keyboards)
Jon Jowitt         (Bass)
Fudge Smith        (Drums & Percussion)

With:
Suzi James     (Violin on Tracks 02、04、08)
Costas Molvalis   (Choir on Track 02)
Katerina Tepelena  (Choir on Track 02)
MIchalis Latousakis (Choir on Track 02)
Spyros Petratos   (Choir on Track 02)
Ben Bell       (Choir on Track 04)
Charlie Bramald   (Choir on Track 04)
Chris York      (Choir on Track 04)


# by malilion | 2024-03-23 17:19 | 音楽 | Trackback

イタリアのメロハー・バンド PLATENSの中心 Grillo兄弟が新たなメロハー・バンドNIGHTBLAZEを結成しデヴュー!

イタリアのメロハー・バンド PLATENSの中心 Grillo兄弟が新たなメロハー・バンドNIGHTBLAZEを結成しデヴュー!_c0072376_21033705.jpg
NIGHTBLAZE 「Same」'24

イタリア人コンポーザー兼マルチ・インストゥルメンタリスト兼プロデューサーの Dario Grillo (PLATENS、VIOLET SUN、ex:THY MAJESTIE、etc...)が兄弟の Alex Grilloと共に、2021年に結成した80年代リスペクトで華やかなキーボードをフィーチャーした4人組メロディアスHRバンドがデヴュー・アルバムをリリースしたのを即GET!

既にギタリストと言うよりも Dario Grilloは職業ライターと呼べるポジションのプロフェッショナルなミュージシャンなので器用に幅広い音楽性の楽曲を提供出来る訳だが、そんな彼が今回披露するのはJOURNEY、SURVIVOR、TOTO等の80年代USメジャー・シーンを賑わしたアリーナ・バンドやラジオフレンソドリーなUS産業ロック風のゴージャスでキャッチー&コンパクトな楽曲と、ユーロ圏ならではのウェットな美旋律と叙情感ある音色を融合させた、00年代以降メロハー・ミュージックの牙城と言えるイタリア Frontiers Recordsや英国 Escape Music等が好んでリリースしてきた、マニアックな80年代リイシュー作やベテラン・バンドのカムバック作だったり、新人メロハ‐・バンドの気鋭ミュージシャン達が集ったプロジェクト作等で数多く披露され世界中のメロハー・ファン達に歓迎されているお得意の〝古くて新しい”メロディアス・ロック路線作だ。

Dario Grilloはメロディアス・ロック系バンドを好むファンには良く知られたヴォーカルまでもこなせるマルチ・プレイヤーで、00年代初頭にRHAPSODYフォロワーのイタリアン・シンフォニック・エピックHMバンドTHY MAJESTIEで活躍して頭角を現し、バンド脱退後は自身も男女ツイン・ヴォーカルの一翼を担うイタリアン・ゴシックメタル・バンドVIOLET SUNなど、多方面に楽曲提供する中で近年は弟の Alex Grillo (VIOLET SUN、ex:VERDEMELA)と共にメロハー・バンドPLATENSを中心に活動していた訳だが、ヴォーカルに最近PERFECT VIEWを脱退したソロ・シンガー Damiano Libianchi、ドラムに Darioの弟 Alex、ベースに紅一点 Federica Raschella (STEEL TYRANT、EVIL EYES)という経験豊富でインスピレーションに溢れたミュージシャン達を迎えてカルテットを構成し、AORをベースに欧米折衷スタイルのコンパクトに纏まった期待に違わぬ完成度高いよりメジャー路線のキャッチーで80年代リスペクトなメロディアスHRを届けてくれている。

余りルックスの優れぬ髭面のくたびれたオッサンズ(汗)ばかりのバンドに、クールビューティーな Federica Raschella嬢が居る事で華やかさが付け加えられている点もスタジオ・プロジェクトではないNIGHTBLAZEの今後の活動を思うと、ステージ映えなどを考えても無視出来ないポイントですよね?

Dario Grilloはキーボードも兼任している事もあるだろうが、本作では特にギターを弾き過ぎる事なく楽曲第一のメロディ重視なプレイを心掛けており、要所で楽曲に華やかさと輝きを与えるシンセ・サウンドのツボを心得た使い方は流石で、Damiano Libianchiのミドルレンジ中心な少しハスキー気味の太いヴォーカルを活かしたフックある歌メロと爽快感ある耳に馴染み易いキャッチーなコーラスをタップリとフィーチャーし、目立たないがしっかりとボトムを支えるリズム隊の堅実なプレイに固められた小気味よいメロディと軽快な曲調に彩られた楽曲には、生々しい衝動や燃え上がるアグレッション、そして新鮮な驚きは皆無であるものの、綿密なアレンジと高水準にプロデュースされクオリティ的にも申し分なくとても新人バンドのデヴュー作と思えぬ手堅い仕上がりで、80年代HR&産業ロック、80年代メジャー・ロック・ファンや80年代リスペクト・メロハー作ファンにとって必聴な一枚と言えるだろう。

薄っすら聴こえるバッキング・コーラスの使われ方や、キーボードとギターの洒落たアレンジ、アコースティカルなギターの爪弾きや甘いストリングスの醸し出すリリカルさ、そんな音数が多くなく仄かにSURVIVORのオリジナル・シンガー Dave Bicklerっポイ雰囲気を漂わす Damiano Libianchiのヴォーカルを第一に考えた Dario Grilloの職人芸的プレイの端々から色濃くSURVIVORの影響が伺え、また彼の関わって来たバンド作の中で一番〝引き”の情感とイタリア人らしい濃厚な美旋律が活かされた楽曲とレイドバックしたプレイが収められたアルバムとも言え、そういう点からも Dario Grilloファンにとっては大変興味深い一作なのは間違いない。

また、何もかもが80年代偏重と言う訳でなく、しっかりと随所でデジタリーな音像も使われており、そういったさり気ない現代テクノロジーの80年代テイストを損なう事ない使われ方はプロデューサー Dario Grilloの流石の手腕と言えるでしょう。

唯一の懸念は Dario Grilloが複数バンドを掛け持ちしている事や、作曲、プロデュースなど裏方スタジオ・ワーク等が忙しく、同じ様にバンド掛け持ちしている他メンバーとの都合がつかずに満足なバンド活動が出来ぬ状況に陥り易い事くらいでしょうか? 

後は Damiano Libianchiがソロシンガー志向な人ッポイので、このバンドもヘルプで参加した立場な可能性が大きいのがちょっと残念…(汗

是非、そこの所は上手くスケジュール等を調整して順調な活動を願いたいものです。

Frontiers Music御用達ミュージシャンとしてのみならず、プロデューサー、ソングライター、そしてキーボーディストとして、有名所はHARDLINE、SUNSTORM、Jorn、REVOLUTION SAINTS、FIND ME、FIRST SIGNAL、HAREM SCAREM、HOUSE OF LORDS等々のプロジェクトやバンド作でメンバーや裏方プロデューサーとして参加したり、マイナー所ではVIANAやLIONVILLE、LANESLIDE等に参加と、数多くのアルバム制作に関わるそのワーカホリックぶりに驚かされるイタリア人ミュージシャン Alessandro Del Vecchioと“タメ”を張れる Dario Grilloの豊富で素晴らしい才能が遺憾なく発揮された本作を『所詮80年代メジャー作の焼き直しだ』とバッサリ切り捨てるには惜し過ぎる、20年代らしいモダンなタッチとフィーリングも付け加えられたコンパクトでシングルヒット向きな佳曲満載な注目のデヴュー作だと思うので、既述のバンド作を気に入った方は是非自身の耳でチェックして欲しい (*´∀`*)

Tracks Listing:
01. Sudden Blast
02. Take On Me
03. You're Gone
04. Diana
05. Tell Me
06. Hold On To Me
07. Carry On
08. Fading Away
09. Fragments Of Time
10. Daughter
11. Daughter (Acoustic Version)

NIGHTBLAZE Line-up:
Damiano Libianchi  (Lead Vocals)
Dario Grillo      (Guitars、Keyboards、Backing Vocals)
Federica Raschella  (Bass)
Alex Grillo       (Drums)

Produced 、Mixed 、Mastered by Dario Grillo



# by malilion | 2024-03-21 21:11 | 音楽 | Trackback

ロシアのバカテク暴走野郎 LOST WORLD BANDの待望の8thアルバムがリリース!('(゚∀゚∩

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LOST WORLD BAND 「A Moment Of Peace」'24

天才的ヴァイオリン奏者にしてロシア人マルチ・プレイヤー Andy Didorenko率いるテクニカル・シンフォニック・プロジェクトバンドLOST WORLD BANDが、2002年デヴュー・アルバム『Trajectories』以前のカセットテープ作品2本を新録にてリメイクしたアルバム『Lost World (1992)』'21 以来3年ぶりとなる新譜8thフルアルバムをリリースしたので即GET!

現在は渡米してNYを拠点に活動している Andy Didorenko、2019年リリースの6th『Spheres Aligned』では旧来のメンバーも交えたバンド体勢でアルバムが制作され今後もバンドとして結束を固めて活動していくのかと思いきや、パンデミックの影響や Andy Didorenkoが居を米国へ移したのも大きく影響したのだろう、本作で再び5thアルバム『Of Things And Beings』'16 時の様なワンマン・プロジェクト制作体勢へ戻ってしまい(涙)、ロシア系フルート奏者やカナダ人ドラマーなど在米ミュージシャンを多数ゲストに招いた Andy Didorenkoの多重録音体勢で本作は制作されている。

これまではKING CRIMSON風の攻撃的でヒステリックなヴァイオリンと叙情感と艶やかさを振り撒き麗しく乱舞するフルートの音色を裏打ちするようにソリッドで重厚なボトムがパワフルに唸りを上げ、クラシカルで硬質な楽曲をダークでミステリアス、そして狂気を孕んだヒリつくサウンドと鬼気迫る演奏力でスリリングに表現するド迫力と生々しさが〝売り”だった訳だが、怒りと欲求不満を抱えながら制作が開始されたとの本人談や、制作途中で勃発した母国ロシアのウクライナ侵攻等のネガティヴな要因がインスピレーションを激しく刺激したのか、2022年初頭から2023年秋にかけてヴォーカ、ドラム、フルートを除く全パートを Andy Didorenkoが打ち込みも交えて独力でレコーディングした本作は、ロシアならではの冷ややかな寂寞感を交えた従来のテクニカル・シンフォからフュージョンをはじめ様々な音楽要素が濃密に混在するミクスチャー・ロックへ傾倒しており、これは拠点を世界中の音楽が集まる米国とした影響なのは間違いなく、クリムゾン・カラーも更に強まった為か今までで最もメタリックでヘヴィな鈍色サウンド感が強まって以前のクラシカルな優美さや艶やかな美旋律を掻き消す程の印象で、従来作を聴き込んで来たファン程にダーティ且つアグレッシヴな音像へと変貌し多様な音楽性を巧みに織り成す攻撃的モダン・サウンドに驚かされる事だろう。

中でも一番の驚きは今まで常に楽曲の中で重要な役割を担ってきたフルート・サウンドが本作では僅か一曲でフィーチャーされるのみに留まっており、それだけ見ても従来の優美な音色が楽しめる作品とは趣が全く違う方向性なのが予想つくと言うものではないだろうか?

また、Andy Didorenkoが下手糞なリード・ヴォーカルを執るのを止めたのは英断で、数曲のみだがゲスト・フィメール・ヴォーカルの艶やかで華やかな美声がダークで硬質な楽曲とサウンドに一服の清涼剤の如く穏やかで柔和な雰囲気をもたらしており、バカテク超絶ヴァイオリンをメインに随所で Robert Fripp張りなエッヂが効いた圧巻の攻撃的なギター・サウンドをフィーチャーしつつ巧みな変拍子と絶妙なアレンジを効かせフュージョン風味やJAZZっぽいフリーフォームな展開と不協和音一歩手前で爆走する為か、MAHAVISHNU ORCHESTRAやRETURN TO FOREVERをも連想させる欧米バンド作とは一線を画すエキゾチックなハード・シンフォ・サウンドに上手い具合に緩急と深み、そして美しさを加える構成は見事の一言で、この辺りに Andy Didorenkoがこれまで培ってきた濃密な経験と米国でコンポーザー、アレンジャーとしてのセンスが磨かれた成果が見て取れるようだ。

どうせならもっとフィメール・ヴォーカルをフィーチャーしたポップなスタイリッシュさとケルトっぽいアンビエント・タッチな感覚がハイセンスに溶け合ったヴォーカル・ナンバーや、僅かにしか垣間見えない小気味よいピアノや12弦アコギによる Anthony Phillips風のGENESISタッチな牧歌的情景が広がるパートなどを増やし、繊細な優美さを際立たせた美旋律や古典的プログレッシヴ・ロック風の美しいサウンドを聴かせた方が一般的なシンフォ層やプログレ・ファに訴求するし経済的状況も知名度も向上するのだろうが、そこは Andy Didorenkoのアーティスティックな拘りであり安直な古典プログレ・エミュレートを良しとせぬ創作姿勢の現れなのだろう。

でもインスト曲が多目なシンフォ作では、なかなか米国じゃ売れないし受けないと思うんだが…知る人ぞ知るなマニアック路線で終らせるには惜しいバンドなんだけどなぁ…(´A`)

ワンマン多重録音だからこその打ち込みが活かされた上下運動の激しいストリングス・セクションや、シーケンシャルな打楽器サウンドを逆手にとった硬質で不意を突くリズム・ワーク、さらにスピードとテクニックを兼ね備えた重く歪んだギター・リフが容赦なくせめぎ合い、ザクザクと耳を刻みつけアヴァンギャルドなジャズ・テイストを強く想起させる複雑で強引な展開を交えてパワフルにエネルギッシュに駆け抜けていく様はいっそ清々しく、それでいて随所でロシア人らしいクラシカルな叙情派シンフォ・サウンドも垣間見せつつ、優美で甘いストリングスを絡めた物憂げなフィメール・ヴォーカルが歌い上げる艶やかでドラマチックな歌モノ曲のエモーショナルさを際立たせながら、JAZZ、フュージョン風味を帯びた緊張感漲る展開とスリルを積み重ねてゆく、そんな決して分かり易くも無いしカジュアルに広く受け入れられるサウンドな訳もないけれど、他に類を見ぬエキサイティングで創造性に満ちた本作のモダン・シンフォ・サウンドを是非一度ご自身の耳でチェックして欲しいですね。

Tracks Listing:
01. Overture 2024
02. Crumble Down
03. Aflame
04. Chimera's Jig
05. A Moment Of Peace
06. Urban Eye
07. A Touch Of Rain
08. Mercurial
09. In A Vortex
10. Castle In The Air
11. The Last Salvo
12. Ashes
13. Chimera's Grin
14. Near And Far
15. Still Love Now
16. Lighthearted

LOST WORLD BAND Musicians:
Andy Didorenko    (Acoustic and Electric Guitars、Bass、Violins、Percussion、Keyboard、Backing Vocal)

With:
Yulia Musayelyan     (Flute on track 15)
Phoebe Carter     (Vocals on Tracks 05、10、15)
Jordan Mcqueen    (Drums on Tracks 02、06、11)
Glenn Welman     (Drums on Tracks 03、08、09、16)
James Knoerl      (Drums on Track 04)

Produced by Alexander Akimov & Andy Didorenko


# by malilion | 2024-03-20 18:01 | 音楽 | Trackback

イタリアン・シンフォニックHMバンドSECRET SPHEREがオリジナル・シンガー Roberto "Ramon" Messinaを復帰させての第二弾作をリリース!

イタリアン・シンフォニックHMバンドSECRET SPHEREがオリジナル・シンガー Roberto \"Ramon\" Messinaを復帰させての第二弾作をリリース!_c0072376_18281940.jpg
SECRET SPHERE 「Blackened Heartbeat」'23

ギタリストの Aldo Lonobileに率いられ、既に25年以上の活動歴を誇りコンスタントに作品発表を続けるキーボード入り5人組イタリアン・シンフォニックHMバンドの通算11枚目となるスタジオ・フル・アルバムがリリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

本作は『超常現象と重ね研究する心理学者 ジュリアス・B博士の手法から心の闇を探る』というコンセプト・ストーリーを元に制作されており、個人的にダークなブルータリティや過剰なヘヴィネスは彼等に求めていないのですが、先行公開されたPV曲ではグロウルやブラスト・ビートも炸裂(!?)と今まで聴く事の無かった新基軸を披露し、テクニカルな演奏を交えつつ何時も通りに力強く大仰なメロディと常以上の攻撃性と邪悪さを織り成し激烈に疾走する、彼等の作品中でも一番アグレッションに満ち残虐な印象を与える本格的ブラックメタル・テイストが漂う意欲作だ。

1999年デヴュー当初はRHAPSODY、LABYRINTH等に続く90年代末期~00年代初期イタリアン・パワメタ・ムーブメント期待のニューカマー的な扱いを受けつつも、フロントマン Roberto "Ramon" Messinaの貧弱なヴォーカル・パフォーマス故にB級マイナー・バンドな印象が強かった彼等だが、最近はプロデューサーとしても八面六臂の活躍を見せる Aldo Lonobile(QUEENSRYCHEの元シンガー Geoff TateとのSWEET OBLIVION、SAVATAGEの元シンガー Zak StevenとのARCHON ANGEL、2017年以降、イタリアン・サタニック・ホラー・バンドのベテラン DEATH SSにも加入)に率いられ、数々のツアー、ヘッドライナー公演、フェスティバルへの出演など度重なるメンバーチェンジにも関わらず休む事なく前進する中、初期のパワメタ + シンフォHMなスタイルから出発し、メロスピ、ジャーマンHM、プログレッシヴHM等の様々な音楽要素を貪欲に取り込みサウンドを発展させ一時期は同郷のプログHMバンドDGMに近似したテクニカル志向に傾いていたが、遂に通算7枚目となる『Portrait Of A Dying Heart』'12 でフロントマンを Roberto "Ramon" Messinaから後にWHITESNAKEへキーボーディスト兼バッキング・シンガーとして加入するイタリア・シーン屈指の実力派シンガー Michele Luppi (Michele Luppi'S HEAVEN、LOS ANGELS、ex:VISION DIVINE、etc...)へチェンジし、懸念だった貧弱なヴォーカル・パートの大補強の結果一気にワールドワイド・クラスな洗練されたサウンドを披露するA級シンフォHMバンドへ駆け上がった、までは良かったのだが…(ツд`)

前作『Lifeblood』'21 の紹介時にも述べましたが、やはりと言うか当然と言うか元々USメジャー・サウンドを好む Michele Luppiが80年代ジャーマンHMをベースに疾走する過剰気味なアレンジとコッテリ重厚なアンサンブルに個性と魅力が詰まったB級路線なSECRET SPHEREサウンドに何時までも満足するハズも無く、Aldo Lonobileがもう少し Michele Luppiの嗜好を取り入れたメジャー路線に接近したユーロHMサウンドを展開してくれれば、やっと掴んだメジャー展開への切符を手放す事(涙)もなかったのでしょうが Michele Luppiは短期間で脱退し、前作に続きオリジナル・シンガー Roberto "Ramon" Messinaをフロントに据え本作でも初期の垢抜けないジャーマンHM風な疾走感とマイナー感強めな方向性を維持した大仰なB級シンフォニックHMを演っております…

ウーン、Roberto "Ramon" Messinaの細めのハイトーンというB級インディ・バンドに〝有り勝ち”なタイプながら意外に個性的で独特なヴォーカルは、実際SECRET SPHEREのマイナー調ベースなユーロ・シンフォ・サウンドに大変良く馴染んでいて悪くなく、寧ろ初期からのファン程に彼の復帰を歓迎したとは思いますし初期より幾分か逞しくなったその歌声は以前よりマイナー感が払拭はされているものの、やはり比較対象が抜群の広い音域と柔剛幅広くカヴァーしエモーショナルな表現力を誇った Michele Luppiのパワフル・ヴォイスとでは如何ともフォローし難いのが現状と言えましょう。

そんな Michele Luppiと袂を分かってまで Aldo Lonobileが選択した路線は、自身で『間違いなくバンド史上最速のアルバム。バンドのダークでヘヴィな面を見せるパワー・メタル・ストームだ』と豪語する通り、一時期のキャッチーな路線やプログレ化から距離を置き、より疾走感と美旋律の明瞭さを意識したジャーマンHMとパワメタ要素が強く打ち出された初期路線へと回帰した内容となっており、オーケストレーションもこれまでのシンフォHM風な重厚で華麗な音の壁的使われ方よりもドラマチックさや展開の劇的さを演出する使われ方になっているパートが数多く、さらにダークなバッキング・コーラスや荘厳なチャント部分もメロディアスさの演出よりもシンフォニック・ブラック等に通じる冷酷さに加え、高速バスドラや無機質なブラスト・ビートも無慈悲さの演出に使われている印象で、これはバンドのオリジナル・キーボーディストで現在は数多くのバンド作に協力しているシンフォニック・アレンジに関してはリーダー Aldo Lonobileにも勝るとも劣らぬ才能が有る Antonio Agate (ELVENKING、ACE OF HEARTS、ODD DIMENSION、HELL IN THE CLUB、Timo Tolkki's AVALON、etc...)がオーケストレーションやアレンジ等で関わっている事も大きく関係しているのは間違いない。

『Blackened Heartbeatでは、自分達のルーツであるパワー・メタル・サウンドを強く保ちつつ、リフに重点を置き、自分達の音楽のダークサイドに重点を置いてペダルを踏み込んだ』とリーダーの Aldo Lonobileは語る。

『本作のコンセプトは、陰鬱で幻想的な雰囲気の中で、ジュリアスB博士の超常現象とクロスオーバーする専門的な技術を通して、心の闇を探ることだ』とシンガーの Roberto "Ramon" Messinaは説明する。

『この優秀な心理学者は深刻な鬱病の危機の為に漂流している。自分の感情を生み出す事が不可能な彼は、患者の無意識を強迫的に掠め取り、生命維持に必要なリンパを抜き取り、彼の血管の中で脈打つ、今は眠っている情熱的なリズム、"Blackened Heartbeat "を再び感じる為に生きているんだ』とダークな物語の内幕が語られていく。

まぁ、Michele Luppiが居ない今、キャッチーでメジャーな路線へ接近しても良作が創れるとも思えないので、Aldo Lonobile的にもDEATH SSや数多くのバンド作に関わった経験を活かして思い切って正反対のダークでマイナーな、よりアンダーグラウンドへ接近したアグレッションに満ちたブラック・メタル路線の新基軸サウンドを試み、Michele Luppi在籍時のブライトでキャッチーなイメージやDGMに近似したプログHMの残像とキッパリ決別し、更に初期からのB級マイナー・シンフォHMな印象も覆す進化したバンドサウンドを提示したぞ! という意思表示なのかもしれませんね。

但し、強く打ち出されたブルータリティと高速バスドラの疾走感ばかり印象に残る為か些か歌メロの印象が弱いのと、ダークでシリアスな新基軸を際立たせようとした故かバンドのキャリアの中で最も速いアルバムであることは間違いないのだが、音数が多く密度が高い緩急が少々乏しい高速ヘヴィ・サウンドの轟音の嵐が吹き荒れるばかりで、以前感じられた〝押し引きの妙”やイタリアン・バンドならではのサウンドの艶やかさが薄れ、塗り潰されてしまったように感じられ非常に残念だ…

無論、ちゃんと彼等を彼等たらしめている、スピーディーな楽曲展開、シンフォニックなアレンジ、そして何より分かり易い合唱&サビという定型要素に、味わい深いユニークなヴォーカルとキャッチーな美旋律、テクニカルでフラッシーなギター・ワークと流麗で重厚なオーケストレーションに彩られた大仰でドラマチックな楽曲が織り成す、変拍子や複雑なドラム・パターンを交えてエネルギッシュに疾走する技巧派パワメタ・サウンド、というサウンド・フォーマットも未だにしっかりキープしているので、ブルータルだとかブラック・メタルという単語に及び腰になった従来のファンも心配無用だし、前作が気に入ったユーロ・シンフォHMファンな方や臭メロが印象的な彼等の初期作ファンにもお薦め出来る新作であります。

Tracks Listing:
01. The Crossing Toll
02. J.'s Serenade
03. Aura
04. Bloody Wednesday
05. Captive
06. Dr. Julius B
07. Confession
08. One Day I Will
09. Anna
10. Psycho Kid
11. Blackened Heartbeat
12. Captive(Acoustic Version)

SECRET SPHERE Line-up:
Roberto "Ramon" Messina  (Vocals)
Aldo Lonobile         (Guitars)
Andrea Buratto       (Bass)
Gabriele Ciaccia       (Keyboards)
Marco Lazzarini       (Drums & Acoustic Guitars)

with:
Antonio Agate        (Orchestrations)

Produced by Aldo Lonobile



# by malilion | 2024-03-19 18:30 | 音楽 | Trackback

イタリアン・プログHMの雄 DGMが自ら頂点を極めたと豪語する11thアルバムをリリース!!

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DGM 「Life」'23

今やイタリアを代表するプログレッシヴHMバンドと言っても過言ではない、活動歴27年を超えるキーボード入り5人組ベテラン・バンド DGMの前作『Tragic Separation』'20 以来約3年ぶりに去年末にリリースされた、Frontiers Music Srl 移籍後3作目で通算11枚目(EP、LIVE含まず)となるフルアルバムを少々遅れてGETしたのでご紹介。

1994年にイタリアのローマで結成され、4曲入りデヴューEP『Random Access Zone』を1996年に自主制作盤でリリースした当時はDREAM THEATERの2nd当時の音楽性にイングヴィ風なネオクラ早弾きギターが絡むマイナーで垢抜けぬユーロ・プログHMを演っていた彼等だが、アルバム枚数を重ねる毎に進化を加速させ、同時に度重なるメンバーチェンジも繰り返し、遂にはオリジナル・メンバーが誰一人として居なくなった新生DGM(バンド名はオリジナル・メンバーの名前の頭文字だった)へと成るに至っては、デヴュー当時の音楽性から遥か彼方な数段上のレベルへと到達し、キャッチーでフックあるメロディアスさとプログレらしいテクニカルさ、そしてインテリジェンスの全てを兼ね添え高次元で融合した、抜群のポテンシャルを誇るイタリア最高峰であるだけでなくワールドワイドなプログレッシヴHMシーンにおいても屈指の実力派へと生まれ変わっていたのはファンなら良くご存じな事と思う。

事前情報で本作収録曲は、パンデミックのロックダウン中に新生DGMの中心人物でギタリストのみならず今やプロデューサーやエンジニアとして同郷バンドのアルバム制作への協力をはじめ多方面で活躍する奇才 Simone Mularoniが約2年間かけ書き上げた膨大なマテリアルの中から厳選を重ね選ばれた楽曲で、当初は1枚はヘヴィ、もう1枚はメロディアスな作風曲を集めた2枚組アルバムになる構想もあったがレーベルと協議の結果ヘヴィ寄りな曲を中心に集めたアルバムが本作『Life』と伝わっていた訳だが、蓋を開けてみると従来作で聴けたサウンド以上に殊更にヘヴィと言う事もなく、プログレッシヴ・マインドを保ちつつもパワー・メタルのみならずAORやメロハー要素など幅広い音楽性も加味した、メタリックなオーガニック・サウンドな上に十分バランスも考慮されたキャッチーで美旋律満載な楽曲の隅々までコンポーズが行き届いた高品質アルバムで、インフォを見て感じていた不安が杞憂に終って何よりでありました。

本作の作曲からプロデュース、ミックス、マスタリングに至るまで八面六臂の活躍を見せている Simone Mularoniが語る所によると『このニュー・アルバムは、正にDGMの音楽を形成してきたあらゆる要素の集合体だ。我々は何年もの間、従来のプログ・メタルのテクニカルな部分よりも楽曲のクオリティに益々フォーカスし、各曲のアレンジに全力を注ぎ込み、その細部にまで気を配って来た。このアルバムは、我々のソングライティングのピークであると強く信じている』

また『私達は同じパターンを繰り返すのにウンザリしている。『life』というアルバムで、インスピレーションという意味では一先ず終わりを迎えたと実感している』とも語っていて、今までの路線のサウンドは本作までで、次回作からは大きく趣を変えた、アプローチの変化した斬新なサウンドを披露してくれそうで期待が高まります。

尚、収録されなかったメロディアス寄りな楽曲も殆ど完成している模様で、本作収録の『Eve』なるインストゥルメンタル・ソングが『次作ではこういうスタイルになるだろうというヒントだ』とも述べている事から、思いの他に次なるアルバムは早く届けられる事になるかも?

さて、ソングライティングのピークと言わしめる本作の仕上がり具合ですが、デヴュー以来メンバーチェンジが絶えなかった彼等がフロントマンを Titta Tani (ex:ABSTRACTA、ex:GLORY HUNTER)から Marco Basile (前作まで Mark Basile名義。ex:B.R.E.A.K、ex:MINDE KEY)へ7th『frame』'09 でチェンジしてからは安定期に入ったのかそれまでが嘘のように5枚同じメンツでアルバム制作に及ぶなど、14年に及ぶ固定メンバーでの活動が鉄壁のアンサンブルやステージでの絶妙な〝阿吽の呼吸”を生み出しているのは想像に難くなく、メロディアスさとインテリジェンスを兼ね備えたユーロ・プログHMらしい技巧的で緊張感漲るフレットワークが織り成す印象的なテクニカル・パッセージ、エモーショナルでフックある魅惑的なヴォーカルと爽快で高揚感あるアンセミックなコーラス等、これまで築き上げて来た〝彼等のアルバムに期待されるDGMのトレードマーク”をほぼ全てキッチリと踏襲し、さらに磨きを掛けてモダンにコンパクトに洗練された圧巻のイタリアン・プログレッシヴ・メタル・サウンドが耳を捕らえて放さない!

前作『Tragic Separation』'20 の紹介の時にも述べましたが、テクニカルでメロディアスでヘヴィでグルーヴィでコンパクト、オマケに歌メロもキャッチーというトンでもない欲張り構成な攻守隙無い殆ど完璧に近いモダン・ユーロ・プログHMサウンドを既に具現化していた彼等、『流石にもうこれ以上は無理なんじゃないか、次作では路線変更かな?』という勝手な予想を覆す、同一路線ながらもプロダクション・バリューの向上と楽曲の洗練により更なる高みへ昇り詰めリスナーを歓喜させるハイクオリティな楽曲満載の大傑作をこうして届けてくれるとは、本当に感無量であります (゚∀゚) ♪

表に裏に巧みに華麗な音色を響かせキーボードを操る Emanuele Casaliと時に火花散らすスリリングなデュエルを演じ、電光石火の高速ユニゾンを奏でる Simone Mularoniの変幻自在なギター・ワークは唖然とする程に抜群で、耳を惹く官能的なイントロ、グルーヴィで魅力的なリフ、狂気のメロディック・シュレッドが楽曲に多彩な表情を与え、上から下まで良く動くメロディアスでタイトなベースを刻む Andrea Arcangeliと Fabio Costantinoが豊かな表現力とソリッドなドラミングで屋台骨をしっかり支え、お得意の変拍子や高速バスドラも交えて熱烈に楽曲をキックし、そんな緻密なソングライティングとテクニカルな表現も相まって際立った楽曲展開と絶妙なアレンジ、そして高揚させるメッセージや感情がふんだんに盛り込まれた熟練のミュージシャン達が奏でるパワフルなインストゥルメンタル・セクションを嵐の夜の操舵手が如く完全に掌握し支配するのはシンガー Marco Basileのクリーンでありながらパワフル、高低域幅広くカヴァーする圧倒的な表現力と伸びやかでソウルフルな歌声で、彼の傑出した高らかに歌い上げるヴォーカル・パフォーマンス無くして極上のメロディとハーモニーを織り成すDGMの美旋律が強烈に煌めく楽曲の数々は完成しえないだろう。

世界を見渡せば他にも彼等と同じ様に、パワー・メタル、プログレッシヴ・メタル、メロハー、AOR等の様々な音楽要素を組み合わせ、高い技術力とアーティスティックな感性、そして素晴らしい音楽性を体現したバンドが、インディ、メジャー問わず数多く存在するが、DGMの楽曲はプログレの命題でありカジュアルなリスナーに拒否反応を生みかねないテクニカルさやインテリジェンスを垣間見せつつも決して複雑さや小難しさが鼻に付かず、圧倒的に判り易く、ポジティブで親しみ易いのは、バンドを率いる Simone Mularoniのセンスの高さは無論の事、やはり何を置いても Marco Basileの巧みで印象的な歌メロがリスナーの耳を容易く捕らえるのと、終始キャッチーでメロディアスさを重視したコンパクトな楽曲と複雑に入り組んだサウンドをサラリと聴かせてしまえる高いアレンジ力、そして並外れた構成力故に他ならず、今でもプログレ・ジャンルでカテゴライズされていると思えぬ聴き易さ抜群なその洗練されたサウンドには不思議な魅力が溢れていて、こんなに素晴らしい作品をリリースし続けている彼等が未だにマイナー・バンド扱いなのが納得いきません (#・ω・)

只、彼等はとっくの昔に自主制作盤をリリースし自由気ままに活動していれば良いインディ・バンドを卒業し、ワールドワイド・クラスでの成功を目論んでいるプロフェッショナルな音楽集団でありますので、新作『Life』をリリースしたばかりにも関わらずSpotifyの月間リスナー数の上限である2万人を下回ってしまった現実(涙)をしっかりと受け止め、直視し、何が更なる視聴者の拡大に必要なファクターであるのか、自身に何が欠けているのかを思案し、次なる展開を見据え、真剣に己が音楽を見つめ直さなければならぬ分水嶺に差し掛かっているのは確かでしょう…

EP時代から彼等を追いかけファンをしている自分からすると本作は手放しで絶賛したい作品ではありますが、売り上げや知名度の更なる拡大を考えると、どうしても音数や展開を減らした平坦な3分代のラジオフレンドリーな一般層向けのシングルヒットが必要になってくるのかもしれませんね…

メンツが安定してから14年間、同一路線の音楽の精度と完成度を高めて来たし、本作の収録曲の大半も彼等のトレードマークである定型を踏襲しており、それがこのバンドの魅力ではあるものの進化、変化するのが存在理由の一つでもあるプログレ・バンドとして考えると、確かに新鮮な驚きという点では少々物足りなさを感じさせ若いリスナーを呼び寄せる刺激に欠けているかもとは思えますが、パワフルで堂々としたヴォーカル、高揚感抜群な大合唱の爽快コーラス、変拍子の上でテクニカルなギターとキーボ-ドがシュレッドの応酬を繰り広げる等DGMはそれらの技巧がとにかく素晴らしく、目を見張るようなモダンで完成度高い音楽性を披露している点は確実にHMファンにも訴求するポイントであり、各曲に印象的なフックをいくつも詰め込んでいる点も実に見事で、それら自分達らしいアイデンティティとアプローチを捨ててまでカジュアル層へアピールせねばならないのか、旧来のファンを切り捨てる覚悟でリスキーな賭けに挑む必要が果たしてあるのか、次なるアルバムで Simone Mularoniがその答えを示してくれるのを待ちたいと思います。

所でジャケット・デザインが近作はミステリアスな近未来的イメージを感じさせていたのに、本作では70年代古典イタリアン・プログレの巨匠達、PREMIATA FORNERIA MARCONIやBANCO DEL MUTUO SOCCORSOを彷彿とさせる物語性を連想させる洒落たデザインとなっておりちょっと驚かされたのと、遂に彼等がその内で沸き起こる変化を匂わせ始めたか、とか勝手な予想をしたりして個人的には妙に嬉しかったですね (*´ω`*)

Tracks Listing:
01. Unravel The Sorrow
02. To The Core
03. The Calling
04. Second Chance
05. Find Your Way
06. Dominate
07. Eve
08. Journey To Nowhere
09. Leave All Behind
10. Neuromancer
11. Unravel The Sorrow(Acoustic Version)

DGM Line-up:
Marco Basile    (Vocals)
Simone Mularoni  (Guitars)
Andrea Arcangeli  (Bass)
Fabio Costantino  (Drums)
Emanuele Casali  (Keyboards)

Produced by Simone Mularoni
Recorded、Mixed 、Mastered by Simone Mularoni


# by malilion | 2024-03-17 21:36 | 音楽 | Trackback