人気ブログランキング |

北欧メロハーの新星 PALACEが3rdをリリース。

北欧メロハーの新星 PALACEが3rdをリリース。_c0072376_06473304.jpgPALACE 「Rock and Roll Radio」'20

北欧スウェーデン産メロハーのニューカマーが、前作『Binary Music』から2年ぶりとなる3rdアルバムを去年末12月に海外でリリースしていたのですが、ちょっと待っても国内盤リリースの情報が聞こえて来ないので待ち切れず輸入盤を購入してしまいました。

デヴュー前からメロハー界隈のプロジェクトや新バンドにギタリスト兼ベーシストとして参加したり、ソングライター兼ギタープレイヤーとして多方面で名を売り、満を持してFrontiers Recordsのレーベルオーナー Daniel Floresの肝いりで、マルチ・プレイヤー&ソングライター Michael Palace(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、etc...)が自身のリーダーバンドPALACEで16年『Master of the Universe』にてデヴューした訳ですが、マルチプレイヤーあるあるの症状が早くも露呈し2nd『Binary Music』でデヴュー作参加のメンツは全員居なくなり、ドラマーだけヘルプを仰いでゲスト参加してもらう体制でアルバムは制作されていたのですが、遂に本作に至ってはヴォーカルを筆頭に全ての楽器を Michael Palaceが手掛ける完全ワンマン・プロジェクトと化してしまいました…

ウーン…素朴な疑問だけどそこまでするなら、なんでバンド名義で活動するん?(汗

デヴュー作は80年代リスペクトなガチガチにスタジオで作り上げた古典的なメロハー・サウンドが詰まった、A級までいかぬ極上のB級メロハーにもう一歩、な出来の北欧特有の憂いを帯びた美旋律と(些か無理の見える)ハイトーン・ヴォーカルに分厚い爽快なコーラス、北欧お約束のキラキラ感満載の大仰なキーボードに透明感溢れフック連発のキャッチーな楽曲、そして繊細さも兼ね備えたハードエッジで徹底的にメロディアスなHRサウンドを新人離れした完成度を提示した Michael Palaceが、続く2ndでは北欧らしい叙情性を含みながら産業ロック、AOR、ニューウェーヴ、北欧HM等の要素をバランス良く取り入れつつ、より楽曲重視なスタンスで煌びやかなキーボード・サウンドの比重を増したコンパクトでキャッチーなサウンドで埋め尽くしたAOR寄りなアルバムを届けてくれた訳ですが、続く本作ではさらに従来の路線を推し進めたキーボードとヴォーカル、爽快コーラス中心な華やかでゴージャスな産業ロック&AOR路線のサウンドで楽しませてくれております(*´ω`*)

ただ、PALACEを北欧メロハーとして捉えていたファンにとって、本作の大々的にキーボードを導入した楽曲形態は少々好みからズレる恐れがあるように思えるのがちょっと不安かなぁ…

正直、Michael Palaceはギタリスト的なスタンスが基本のシンガー&プレイヤーかと思っていただけに、ここまでポップスに片足突っ込んだコンテンポラリー寄り(お約束のムーディーなサックスも導入!)のメロハー風楽曲をキーボードサウンドで埋め尽くすアルバムをリリースしてくるのは予想外でありました。

この辺が同じマルチプレイヤー・ミュージシャンである英国人 Steve Newmanとちょっと違い、だからなのかギタリスト的なスタンスも保ち続けている Steve Newman率いるNEWMANのアルバムは切れ味鋭いハードなギターがしっかりと未だにコンテンポラリー寄りな楽曲でもフィーチャーされているのが面白いですね。

無論、Michael Palaceだって『ここぞ!』という所でテクニカルで流暢な早弾きや魅力的なフレーズを奏でているのですが、どうにも分厚く華やかなシンセサウンドの方が楽曲内で目立っているバランスなので、アルバムを聴き終えた後のギターの印象が薄くなってしまうんですよねぇ…

方向性がよりコンテンポラリー寄りになったのは確かではありますが、さらにメロディックに構築されたコンパクトでキャッチーな楽曲と磨き抜かれ造り込まれた高品質なサウンド・クオリティ、幾重にも重ねられたブ厚い爽快なコーラス・ワーク、練り上げられ細部にも気を配った細かなアレンジ、派手で煌びやかなキーボード・サウンドばかりで惰弱になりがちなAOR寄りサウンドを引き締めるハードエッジなツボを心得たギターサウンドと、ギリギリでメロハーなサウンドのスタンスも保っているとも言え、Michael Palaceの抜群のコンポーズ能力が詰まった楽曲の数々は前作を遥かに凌駕する仕上がりなのは確かなので、是非とも彼のファン以外のメロハー・ファンな諸兄にも本作をチェックしてもらいたいものです。

後は、2ndで無理なハイトーン・ヴォーカルを披露するのを止めたのが大正解だったと、本作のミドルレンジ主体でパワフルに深みある歌唱を披露する Michael Palaceの自信に満ち溢れた七変化のヴォーカル・パフォーマンスを聴くに確信出来ますね(´∀`)

とは言え、殆ど3分台のキャッチーでコンパクトなバランス重視な楽曲ばかりなのは結構なのですが、ロックっぽい“生”な感触のサウンドは殆ど聴き取れないレンジの狭い固いデジタルサウンドばかりで、この路線がさらに推し進められるともうメロハーとは言えず、単なるポップロックの領域へ入ってしまうので、それはそれで聴いてみたい気もするけれど、そうなると相手にするのがポピュラー・ミュージックシーンの巨人達や大ベテランやプロ中のプロな天才的職人連中になる訳で、だとすれば先行きがちょっと不安ではありますけど……

北欧メロハー好きは勿論、80年代のAORやTOTO等の煌びやかなキーボードサウンドもフィーチャーしたUS産業ロックを好む方にも十分訴求する高品質なメロディアス作なので、華やかな80年代USサウンドへの憧憬を隠さず現代風にモダンに再構築した本作のサウンドの仕上がり具合を、是非ご自身の耳で確かめてみて下さい。




# by malilion | 2021-02-24 06:47 | 音楽 | Trackback

前作の不調が嘘のよう! 原点回帰したUNRULY CHILDの7thはメロハー・ファンにお薦めデス!!


前作の不調が嘘のよう! 原点回帰したUNRULY CHILDの7thはメロハー・ファンにお薦めデス!!_c0072376_00222881.jpg
UNRULY CHILD 「Our Glass House」'20

去年の12月に海外でリリースされ、国内盤リリースあるかとしばらく待ってみたけどそんな気配が微塵も無いので、諦めて今頃に新譜を購入してみました…(´д⊂)

購入を渋ったのは国内盤リリースの件もありますが、前作『Big Blue World 』'19 がその内容の余りの酷さにレビューするのを躊躇っていたら、いつの間にか他バンド作へ興味が移りその存在を(半ば意図的に)忘れていたのを思い出したのがもう一つの大きな原因でもあります…('A`)

世界の音楽シーンがグランジーの波に呑まれつつあった1992年、その造り込まれた煌びやかなUSAメロハー・サウンドでデビューし80年代王道HR/HMファンに熱い支持を得た彼等も世の流れには勝てず93年頃に解散、2010年にメロハー・レーベルFrontiersの音頭取りでオリジナルメンツで再結成して以来、微妙に音楽性を変化させつつコンスタントにアルバムをリリースして来たのだが、遂に前作でリズム隊がゴッソリと抜け、以降リズム隊を補充せず Mark Free改め Mercie Free(Lead Vocal:ex-KING KOBRA、ex-SIGNAL)、Bruce Gowdy(Guitars、Keyboards、Vocals:ex-STONE FURY、WORLD TRADE)、Guy Allison(Keyboards、Percussion、Vocals:ex-AIR SUPPLY、ex-THE DOOBIE BROTHERS)の初期からのコアメンバーのみのトリオ編成での活動になり、アルバム制作にはゲストプレイヤーやセッションマンによるリズム隊を迎える体制となっておりました。

前作と前後してアーカイヴBOX音源集等のリリースもあった事やメンバーのインタビュー等からバンドの存続が危ぶまれていたのですが、こうしてデヴュー29年目の今年に前作から約1年振りと短いスパンで元気に新譜をリリースしてくれたのをまずは素直に喜びたい。

さて本作についでですが、まずトリオ編成のままなのは今回も変わらずなのですが、本作はベーシストにあのフレットレスベース(!)の名手 Tony Franklin(ex-THE FIRM、ex-BLUE MURDER、etc..)を迎えて制作にあたっているのが一つ目の大きなトピックでしょう。

また二つ目の大きなトピックは、前作での気の抜けたコーラのような毒にも薬もならない、スーパーのBGM染みたヘッポコ・サウンドから一転、あのデヴュー作を彷彿とさせる(!!)ようなミステリアスでダークなメロディとムーディーなグルーヴある楽曲や、USAバンド特有な乾いた叙情感とプログレ由来の凝ったアレンジが効いた構築美ある楽曲だけでなく、近作で一番のハードエッジなギターがフィーチャーされた楽曲群には、これまでコンテンポラリー・ロックとクラシック・ロックを巧く取り込んでエキサイティングでキャッチーなモダン・サウンドへ生まれ変わらせて来た手法が随所で活かされており、至る所に散りばめられたフックある美旋律、そして爽快なコーラスと歌メロはソリッドなHRからスムースなAORまで何れも”UNRULY CHILDらしさ”がしっかり刻印された抜群の仕上がりで、前作のダメさ加減が嘘のような快作となっている点だ!('(゚∀゚∩

さらに三つ目のトピックとして、今回デヴュー作収録の楽曲を2曲(!)、ドラムレスなハーフ・アコースティック&ストリングスアレンジの優美で甘々なサウンドな2020ヴァージョンで収録しているのですから、明らかにメンバーもデヴュー作を意識して本作を制作したのが分かると言うものです。

バンドロゴもシンプルでモダンなデザインへ変更されているので、心機一転な想いで本作をバンドが制作した意気込みがヒシヒシと伝わってくるんですよねぇ(´∀`)

ここまで読むと『そんなに出来が良いのに、なんで国内盤出ないんだ!』と、思われるでしょうが、まぁ、国内盤がリリースされないにはそれなりの原因があるんですよ…ええ…(汗

本作の評価を落としているだろう要因の一つは、ドラマーを迎えずに制作した為か、ドラムーパートがドラムマシーンで録音されており、如何に名手 Tony Franklinのベースがファンキーでテクニカルであろうと、肝心要のサウンドの基礎であるドラムパートが平坦でのっぺりとした、人工的で魂のこもっていない、有機的な音が殆ど聞こえずパワー不足な、ロックっぽい生さの感じられない無機質サウンドという印象は拭い難いのが…orz

さらに前作の出来が散々だった影響か本作の制作費が余りレーベルから用意されなかったのか、致命的な事にプロダクションに問題を抱えており、楽曲はデヴュー作を思わす素晴らしい方向性なのにも関わらず、音の悪い(時間が無くてサウンドミックスが満足に仕上がらなかった? 濁って聴こえる…)アルバムとなってしまっているのです。

うーん、彼等のデヴュー作はガッツリと造り込まれたプロダクションとミックスでサウンドをピッカピカに磨き抜くので有名な Beau Hillが手掛けていた事もあって、同一方向性な楽曲の本作は余計にアラが目立ってしまうんですよねぇ…皮肉なもんだなぁ…orz

それなりのクオリティの音楽をリリースしてインディ活動を地味に続けている愚直でマイナーなB級HMバンドなら、このレベルのサウンドだろうと目くじら立てて騒ぎ立てる事もないかもしれないんですが、彼等はデヴュー作にして既にハイクオリティなトップレベルのA級サウンドを提示してしまった訳だし、その後も紆余曲折ありながらも一定レベル以上の楽曲とサウンドをクリエイトしてきた訳ですから、ここにきていきなりこの粗悪なサウンドのアルバムというのはいただけないんですよねぇ…('A`)

UNRULY CHILDのこれまでのアルバムや構成するバンドメンツのキャリアを考えると、本作はバンドに相応しい基準を下回っているクオリティのアルバムと言わざるを得ないが、にも関わらず、素晴らしい音楽性、親しみやすい楽曲、そして Marcie Freeの未だ衰えること無いワールドクラスな抜群の歌唱力は、本作を“駄作”とアッサリ切って捨ててしまうのを躊躇わせる強力な要素になっているように思う。

最近のメロハー・バンドの作品や彼等のデヴュー作のような切れ味鋭い即効性は無いが、何度も聴けば聴くほど本作は良く聴こえ、耳に馴染んでくる、非常に成熟されたサウンドで構成されたアルバムだと言えるので、プロダクションやドラムマシーン等なんだかんだとネガティヴな点を上げましたが、是非一度ご自身の耳でチェックして本作の出来映えを判断してみて欲しいですね。


UNRULY CHILD Line-up:

Marcie Free  (Vocals)
Bruce Gowdy (Guitars、Keyboards、Vocals)
Guy Allison  (Keyboards、Percussion、Vocals)

with:
Tony Franklin (Bass)




# by malilion | 2021-02-23 00:22 | 音楽 | Trackback

YES+ASIA×UKポップスなDOWNES BRAIDE ASSOCIATIONの4thをご紹介。

YES+ASIA×UKポップスなDOWNES BRAIDE ASSOCIATIONの4thをご紹介。_c0072376_16510934.jpgDOWNES BRAIDE ASSOCIATION 「Halcyon Hymns」'21

元々はMTVで派手なデヴューを飾ったUKポップ・デュオBUGGLESのオリジナルメンバーで、今では御存知ASIAのキーボーディストにして近年はYESにも在籍する、プログレ系ミュージシャンとしてだけでなくポップ・ヒットメイカーとして80年代初期から第一線で活動を続ける Geoff Downesが、プロデューサーとしても知られる英国人シンガー Chris Braideと組んだUKポップ・ユニットが前作より4年ぶりにCherry Red RecordsからCD+DVD2枚組/3面デジパック仕様となる4thアルバムをリリースしたのをちょい遅れてGET!

前作は、プログレ、ポップ、ニューウェーブをベテランの風格たっぷりにMIXしたアダルト&モダンでシャレオツなメジャー路線の高品質UKポップ・ロックを基軸にしつつシンフォサウンド寄りにアプローチしたサウンドというイメージの、XTCの Andy Partridgeをギターに迎えるのをはじめ Ash Soan(Ds)、Andy Hodge(B)、Dave Colquhoun(G)を加えたバンド編成で製作されたアルバムで、ハードエッジな感触も備えた淡く英国叙情漂うウェットなモダンサウンドであったが、待望の新作も同一路線なアコースティカルな味わいとほんのりセンチメンタルな雰囲気漂う軽快なプログレ・ポップなのに変わりなく、彼等のファンにとってはプロフェッショナルなミュージシャン達の仕事ぶりが堪能できる一作となっている(*´ω`*)

デビュー作から一貫して堅持している親しみやすいキャッチーな80年代風UKポップスのサウンド・フレイバーはそのままに、70年代のGENESISやYESを思い起こさせるサウンドテクスチャーや、70年代イーストコースト風のレイドバックしたヴァイブを感じさせるメロディアスな英国ライト・ロック風味、E.L.Oをはじめとする80年代USAポップロックや、MARILLION風のメランコリックなメロディ(と Steve Rothery風の泣きまくりギター)が光るポンプ風味までと幅広い要素が随所に編み込まれた楽曲の完成度は高く、よりヴォーカル・オリエンテッドな路線をさらに推し進めた爽快なメロディと英国ならではのウェットな美旋律が麗しく光る楽曲が詰め込まれた本作は、Geoff DownesとChris Braideが、コロナショックでそれぞれの音楽活動がままならぬ時に友人から『だったら気晴らしにDBAの新作を創ってみれば?』というなんの気無いアドバイスが切っ掛けで生み出されたというのが信じられぬ程に、モダンでソリッドに響き渡るさらに強まったバンド風なパワフル・サウンドに様々な音楽要素が詰まった充実作だ。

Ash Soan(Drums)と Andy Hodge(Bass)は前作に続いて本作にも参加しているが、今回も新たなゲスト奏者が数多く招かれており、中でも注目なのは英国シンフォ&トラッド・バンドIONAのリーダーであり、CELESTIAL FIRE、THE STRAWBSにも在籍している Dave Bainbridge(Guitars、Bouzouki、Mandolin、Keyboards)をレギュラー・メンバーに迎えて本作は制作されおり、他にも元SOFT CELLの Marc Almondと、BIG BIG TRAINの David Longdonがゲスト参加してその歌声を聴かせているので彼等のファンはチェックをお忘れなく。

個人的には前作のサウンドの方がロック色というかスピード感を感じられ、大仰なプログレ的な盛り上がりにも乏しく、よりマッタリとマイルドなサウンドになった本作より好みなサウンドではあったが、本作はAORアルバム的には何ら魅力を損なっていないし、前作参加のXTCの Andy Partridgeが持ち込んだエモーショナルなフックと陰影を生み出すモダンでハードエッジなギターテイストが本作では失せているが、代わって Dave Bainbridgeが持ち込んだアコースティカルでトラッドなギターテイストと枯れた味わい深いサウンドが新たな魅力となってDBAサウンドへ加わっているので、本質的にはサウンドは変わっていないが細かなアレンジが活かされたミッドテンポ中心の楽曲の感触が変わって感じられる、そんな差異も実に面白く聴ける完成度の高い本作を是非一度お試しあれ(*´ω`*)

尚、ボーナス・ディスクとなるDVDにはジャケットを手掛けた巨匠 Roger Deanが解説しながらジャケット・アートを制作していく模様とらえたドキュメンタリーと本編収録曲'Love Among The Ruins''Yur Heart Will Find The Day''Today'のプロモ・クリップを収録している。


MUSICIANS:
Geoff Downes (Keyboards)
Chris Braide (Vocal、Guitar、Keyboards)

With:
Andy Hodge (Bass)
Ash Soan (Drums:イギリス人名セッションドラマーで Trevor Horn BAND、Squeeze、Adele、Robbie Williams、Gary Barlow、etc…)
Dave Bainbridge (Guitars、Bouzouki、Mandolin、Keyboards:IONA、CELESTIAL FIRE、THE STRAWBS、etc…)
David Longdon (Vocals:BIG BIG TRAIN)
Marc Almond (Vocals:ex-SOFT CELL)
Tim Willer (Drums:セッションドラマー)
Barney Ashton-Bullock (Narration)
Joe Catcheside (Narration)



# by malilion | 2021-02-22 16:47 | 音楽 | Trackback

南米アルゼンチンからAOR&ポップ・バンドPERTICONEがデヴュー!!

南米アルゼンチンからAOR&ポップ・バンドPERTICONEがデヴュー!!_c0072376_17270811.jpgPERTICONE 「Underdog」'21

南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレス出身のシンガー兼ギタリスト Martin Perticoneが自身のリーダーバンドPERTICONEを立ち上げメロハー&AOR系ファンにはお馴染みのAOR Heavenからデヴューアルバムをリリースしたのを即GET!

地元ブエノスアイレスでは著名なミュージシャンである彼は、これまでアルゼンチン国内での音楽キャリアは25年を誇り、その間に音楽業界の多くの重要人物と知り合い07年にはMr.Bigの Eric Martinの南米エリアのツアー・マネージャーになったり、08年には元Mr Bigのギタリスト Richie Kotzenのラテン・アメリカン・ツアーにゲスト参加したりしているが、欧米ミュージックシーンにおいては殆ど無名と言える存在だ。

Martin Perticoneはこれまでに様々なアーティストに雇われ、南米、北米、ヨーロッパ、香港等をツアーしてきたが、19年頃からソロ活動に力を入れることを決意し、長年の友人でありラテンアメリカ・シーンでは著名ミュージシャンの Edu Giardinaと手を組み、プロデュース作業だけでなく様々な演奏パートも任せ、本作を制作している。

『南米のパリ』という異名を持つ都市ブエノスアイレス出身だからか、様々なアーティストをバックアップして来た長い活動でワールドワイドな感覚が培われたからなのか、本作のサウンドは南米アーティストの作品と言われても分からない程に、絶妙にユーロ感覚も織り込まれたアメリカン・テイストあるハイブリッドAORサウンドを表現していて驚かされました。

さて、本作の主役である Martin Perticoneの歌声はと言うと、ちょっと Eric Martinッポイ雰囲気もある中音域メインのマイルドな歌声で、キャッチーなAORやポップスを歌うのにピッタリな甘い声質の伸びやかな歌唱を披露しており、如何にもAOR Heavenからのデヴュー・アーティストと言った所だろう。

本作の楽曲は、総じてメロディアスでキャッチーな聴き易いクラシック・ロック風なAOR作品と言え、長いキャリアを誇るアーティストだけあって様々な音楽的影響が窺えるが、特にクラシック・ロックにAORを加えた作風や、南米の伝統を反映したワールド・ミュージック要素も薄目だがしっかりとフィーチャーされ、他にもサザンロック、カントリーがミックスされているだけでなく、Martin Perticoneが明らかにMr.Bigから影響を受けている点や、CHICAGOを始めとする80年代風の産業ロック・スタイルなサウンドも聴き取れるのが面白い点だろうか?

ハードエッジなサウンドの感触は殆ど無く、どちらかと言うとポップス要素が多目ではあるものの、しっかり創り込まれた楽曲とサウンドはタイトな演奏も相まって音圧高い固めな感触ながらもアコースティカルなサウンドが終始心地よく響いており、インディ・バンドのデヴュー作と言うにはレベルの高すぎる魅力的な曲が隙無く詰まったアルバムで、上品でありながら幾分かレイドバックしたAOR風サウンドが爽やかに駆け抜けていく(*´ω`*)

ただ、本作の出来自体に大きな問題点は無いものの、惜しむらくは Martin Perticoneの歌声が穏やか過ぎて強烈な個性に欠ける点(サイドメンとしてはそれで充分なんですけどね…)くらいが大きく、そしてどうしょうもなく重大な欠点でしょうか?

まぁ、AOR系なんで何かシングルヒットでもすれば器用にどんな歌でも歌いこなせるでしょうから、割とスルスルとメジャー街道を駆け上れもしそうですけど…

また、裏方作業で培った人脈が活かされたのか本作には豪華なゲストが招かれており、Eric Martin (Mr.Big)がそのハスキー・ヴォイスを披露しているので『南米の無名ミュージシャンのソロ作かぁ』と本作のチェックを怠るのはメロディアス愛好家であるならば得策ではありませんぞ!

Track List:
1. No One Else (But You)
2. Out Of Control
3. All You Can Trust(fearturing:Eric Martin)
4. Man On The Moon
5. Giselle
6. Dusty Road
7. Back To my Heart
8. Underdog

Bonus Track:
9. All You Can Trust (New Version)


PERTICONE Line-up:

Martin Perticone  Lead & Backing Vocals、Rhythm Guitar、Acoustic Guitars、12 String Guitars
Edu Giardina    Bass、Drums、Keyboards、Lead Guitar、Backing Vocals
Ale Malenky     Slide Guitar、Lap Steel Guitar

Guillermo De Medio Keyboards on “Back to My Heart”

Eric Martin     Lead Vocals on“All You Can Trust” and “All you Can Trust (Duet)”


# by malilion | 2021-02-06 17:22 | 音楽 | Trackback

幻の80年代USA産メロディアスHRバンドFORTRESSが未発音源を初CD化でリリース!

幻の80年代USA産メロディアスHRバンドFORTRESSが未発音源を初CD化でリリース!_c0072376_20355531.jpgFORTRESS 「Waiting For The Night ~Limited Edition~」'20

HMバンドでFORTRESSというバンドは古今東西問わず腐る程今までに存在してきたので『どのFORTRESS?』と、なるのは当然ですが、彼等は1983年に結成され80年代に活発に活動しながらもアルバムリリースに至らなかった、1989年には解散したUSAロサンゼルス出身のキーボード入り5人組メロディックHRバンド で、そんな彼等が1984年から1988年の間に創作し、1989年に録音したとされる音源7曲をリマスター&初CD化で限定500枚リリースしたのを即GET!

さらにボーナストラックとして86年録音のデモ音源と88年LIVE音源の2曲を追加収録しており、80年代半ばにサンセットストリップのHMシーンで、POISON、WARRANT、ALCATRAZZ、MALICE、HEAVEN等の後にメジャーデビューを果たし活躍するバンド達のオープニングを務めていた、当時の空気を感じる事が出来るマニアックな一枚となっている。

幾つかのデモ音源をまとめたコンピレーション・アルバムなので少し音源にバラつきがあるし、篭り気味なドラムの音に少々違和感があるが、それでもデモ音源のリマスターと思えば上々の仕上がり具合で、デジタルリマスターとは名ばかりな板起こしの劣悪で適当なリマスター&リイシュー盤と比べれば、妙な音ヨレや音量の上下のフラつき等が無い丁寧なリマスター作業(それでもノイズを全て取り除けなかった)が行われているのが分かって実に好印象だ。

内容の方は80年代中期のUSA産HRらしい、煌びやかなシンセをフィーチャーしつつハードエッジなギターとダイナミックなヴォーカル、そしてお約束のャッチーな分厚いコーラスが充実した、如何にもアメリカンHRという大味ながらストレートで勢いあるサウンドで、声質等に問題は無いが些かシンガーの Ted Heatの歌唱力に問題があるように思え、そしてヴォーカルメロディもイマイチなインディ・バンドらしいB級USA産HRといった印象で、当時彼等にメジャーレーベルからお声がかからなかったのも頷ける出来と言えよう。

ただ、彼等のサウンドが面白い点は、当時既にAORフレーバーを感じさせる産業ロック的な要素やユーロテイストもチラつかせる今で言うメロハーのはしり的なサウンドに聴こえる所で、これはキーボーディスト Chris Turbisが持ち込んでいる音楽的要素なのだろうが、テンポの良いリフメインでグイグイと疾走感満載に突き進むストレートで豪快なアメリカンHRに、AOR的音色の使い方やユーロ・ロック的な叙情感あるキーボードプレイやJAZZっぽい派手なソロ等で楽曲にアクセントをつけており、彼等のサウンドにその他大勢のインディ・アメリカンHRバンド達のサウンドとの差異をつけ、30年以上経った今でも独特な個性を感じさせる役割を果たしているように思えます。

リズムセクションにはIRON MAIDENやJUDAS PRIEST的なオーセンティックなプリティッシュHMバンドからの影響が窺え、LAメタル的ドライなサウンドやDOKKEN的なソフトでポップなテイスト、そしてラジオフレンドリーなAOR傾向を散りばめつつ、疾走感あるストレートでエネルギッシュなアメリカンHRサにほんのりユーロテイストをまぶしたサウンドは十分に個性的だし、キャッチーなメロディアスHR好きな方や伝統的なHMバンド達が好きな方になら十分訴求するサウンドではあるものの、やはり全体的な楽曲のメロディの質がイマイチなのと、キーボードプレイは随所で叙事詩的な雰囲気を醸し、ソロにバッキングにと手を変え品を変え楽曲を盛り立てて好印象だが、ギターワークは技術的に何の問題もないが特に個性的でもなく豪快なリフメインなのに肝心要のそのリフやソロでのフレーズが耳に残らず印象が薄く、そして最大の問題的はどうしようもなくヴォーカルメロディが垢抜けぬ所(デモだからコーラスもちょっと雑)だろう。

ぶっちゃけサンプルで Chris Turbisが操る印象的なキーボードプレイとサウンドを耳にしていなければ本作に手は出しませんでしたね、それくらい Chris Turbisの持ち込んだキーボードの音色とユーロロック的要素が変哲の無いUSAインディHRサウンドに華を添え、他に無い個性を生み出していると個人的には思いますね。

まぁ、それでも総合的には雰囲気で聴けてしまえる悪くないアルバムではあるので、80年代中期のキャッチーなUSAバンドの幻の音源、というフレーズに興味が湧いた方ならデジタル配信もしておりますので、一度本作をチェックしても損はないでしょう。

また、トルコのPENTAGRAMのギタリスト Demir DemirkanやTYTONのドラマーとギタリストも在籍し、FORTRESS解散後にシンガーの Ted Heathがフロントマンを務めていた1992年にデモカセット1本と1999年にアルバム一枚をCDーR盤でのみ残し、惜しくも解散したロサンゼルス出身のHMバンド MESHEENのアルバムも、今回同時にデュプリ盤で初リリースとなっているので本作が気に入った方は一度チェックしてみるとよろしいかもしれない。

と、言ってもFORTRESSは腐っても華やかな80年代USAロックなサウンドだが、 MESHEENはガッツリとグランジーな影響を受けている時代のバンドなのでダルく抑揚の少ない淡泊なメロディがメインな、だけどヘヴィさや各プレイヤーの演奏技術という点ではこちらの方が勝っているのは確かなので、グランジー系がお好きな方には90年代初期のグランジーHMの幻のレア音源と言う事になるから興味惹かれるかも?

尚、2016年に彼等はオリジナルラインナップで再結成した模様で、シンガーの Ted Heathは未だにディナーショーでタキシードに身を包みその喉を披露している様だが、現在もしっかり在籍して活動中で、もしかしたら近い将来音源のリリースがあるかもしれないので朗報をじっくりと待ちたいですね。

Band Line-up
Kevin Reyes    Guitars
Arthur Dominguez  Bass
Chris Turbis     Keyboards
Ted Heath     Vocals
Chris Silva     Drums




# by malilion | 2021-02-02 20:36 | 音楽 | Trackback