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北欧ノルウェーから80年代リバイバル・メロハー・バンドNIGHTFOXがデヴュー作をリリース!!

北欧ノルウェーから80年代リバイバル・メロハー・バンドNIGHTFOXがデヴュー作をリリース!!_c0072376_20261144.jpgNIGHTFOX 「White Cobra」'21

北欧ノルウェーのトロンヘイム出身のマルチ・インストゥルメンタリスト Erik Wintherが結成したプロジェクト・バンドのデヴュー作をリリースしたので即GET!

NIGHTFOXは Erik Wintherのソロ・プロジェクトで、曲作りからレコーディングまで全て自らの手で行い、全ての楽器とプログラミングを担当する Erik Wintherと、チリ人メタル・シンガーの Felipe del Valle Briecenoのみで構成されている。

そもそも本バンドは2012年にシンセウェイブ・プロジェクトとして設立されており、最初全曲がインストゥルメンタルで作曲されたが初期段階でシンセウェイブの一要素である80年代風ロック・サウンドのカラーが色濃く楽曲から感じられる事からヴォーカルが入った方がより良い楽曲に仕上がると Erik Wintherは考え、2018年にシンセウェイブのEPをリリースする当初の予定を中止し、2017年頃から『NIGHTFOX』をシンセウェイブ・プロジェクトからHRサウンド・プロジェクトへと転向させた、ちょっと変わり種なソロ・プロジェクトだ。

HRプロジェクト転身に合わせ、2019年から2020年にかけて新曲が作られ、古い楽曲もリメイクされて歌詞が書かれ、チリのHMバンドを数多く渡り歩き、現在はチリのHMバンドDOLEZALLやDRAKEでフロントマンを務めているシンガーの Felipe del Valle Briecenoが雇われてレコーディングが開始され、当初は曲が完成する毎に1曲ずつシングル・リリースする計画であったが、最初のシングル『Ride The Sky Tonight』を2020年3月初旬にリリースすると、その直後にデンマークに拠点を置くメロディックHRレーベル Lions Pride Musicから契約の申し出を受け、これを機に連続シングル・リリース計画は白紙に戻されフルアルバム制作へと舵が切られる事に。

ここまで予定が二転三転して来た『NIGHTFOX』プロジェクトだが、21年夏頃にLions Pride Musicからリリース予定であったフルアルバムは、全世界を襲ったパンデミックの影響もあったのかリリースデーが遅れに遅れ、紆余曲折を経て21年年末ギリギリに間に合いやっとリリースされたのが本作となっている。

余談だが、北欧 Lion Musicの主催者でHMバンドLARS ERIC MATTSSON Eternityを率いていた Lars Eric Mattssonとデンマークの Lions Pride Musicの主催者 Carsten Nielsenが良くごっちゃになります(汗) だってメチャ似てるレーベル名なんだもん…orz

さて、本作のサウンドだがシンセウェイブ・プロジェクトが出発点とは思えぬザクザクしたハードエッジで硬質なギター・サウンドが全面的にフィーチャーされており、シンセ主導で柔和でノスタルジックなサウンドが特徴のシンセウェイブの面影が随所で伺えるものの、80年代中期、具体的に言うと84年頃を彷彿とさせるキャッチーでメロディアスなアメリカンHRとウェットで叙情感ある美旋律が日本人の心の琴線をくすぐり続ける80年代北欧HMの折衷メロハー・サウンドを聴かせており、意図的なのだろうが Erik Wintherが弾くドライでフラッシーなギター・プレイ(George Lynchのファンなんだろうか?)が初期DOKKENやKEEL、そしてBLACK N'BLUEを強く思い起こさせる80年代ディテールが施されたフック満載のハード・サウンドは、80年代ベースな北欧メロハー・ファンやメロディアスなアメリカンHR/HM・ファンな方には堪らぬデヴュー作だろう(*´∀`*)

シンセウェイブ・ミュージシャンは総じてそうだが Erik Wintherも80年代のサウンド、特にメロディアスなHRに傾倒しているのが見て取れ、その影響は本作を貫くキャッチーな美旋律の数々、力強く伸びやかなヴォーカル、フックある爽快なコーラス、印象的でワイルドなギターリフと独創的なソロ、そして軽やかで煌びやかなシンセサイザーの派手なソロと刻むバッキングの数々に否応なく現れている。

幾多のHMバンドで培ってきた強靭な喉から繰り出される少しザラついた苦りのある Felipe del Valle Briecenoのパワフルなヴォーカルやエネルギッシュな歌メロにはBON JOVIやDEF LEPPARDっポイ雰囲気が感じられ、バックのサウンドは煌びやかなシンセが随所で聴けるものの、ドライでハードエッジなギターが主役で、終始メロディーを失うことなく、デヴュー作に相応しく疾走するHRサウンドにはSHYやDOKKEN、TNT、KEEL等の欧米のHMバンドからの影響が色濃く滲み、さらに本作のプロダクションにはレトロなタッチが意図的に加えられており、最近欧米でデヴューしている80年代リスペクトな新世代メロハー・バンド達のサウンドと少し毛色が違って感じられるのは、そういった仕掛け以外にもやはり本バンドの出発点がシンセウェイブ・プロジェクトであった事が大きな原因なのかもしれません。

たった8つの楽曲はコンパクトに纏められておりアッと言う間にアルバムが終ってしまい、マイナーなインディ・レーベル・リリースなので仕方がないが音質やプロダクションはお世辞にも上質とは言えず、楽曲の幅も狭くサウンドのスケールもワンマン・バンドな為か些かこぢんまりとしており、オリジナリティという点でもまだまだなのは否めないが、80年代の輝かしきHRサウンドを現代に甦らせたかのようなキャッチーでワイルドなメロディアスHRサウンドは、その筋のマニアの心を鷲掴みにして放さぬ一作になるのは間違いないだろう。

Track list:
01. Dream Come True
02. Resurrection
03. Ride The Sky Tonight
04. White Cobra
05. Your Broken Heart
06. Phoenix
07. Storm Fighter
08. What Matters In The End


NIGHTFOX Musicians:
Erik Winther        (All Instruments & Programming)
Felipe del Valle Brieceno  (Vocals)



# by malilion | 2021-12-02 20:25 | 音楽 | Trackback

フランス産モダン・メロディアス・プロジェクト・バンドHEART LINEがデヴュー作をリリース!!

フランス産モダン・メロディアス・プロジェクト・バンドHEART LINEがデヴュー作をリリース!!_c0072376_23382185.jpgHEART LINE 「Back In The Game」'21

フランス人ギタリスト兼プロデューサーの Yvan Guillevic(YGAS、PYG、UNITED GUITARS)による新しいメロディアス・ロック・プロジェクトである新バンドがデヴュー作をリリースしたので即GET!

フロントマンにフランスのプログレッシヴHMバンドSHADYONのヴォーカリストで、同じくフランスのプログレッシヴ・シンフォニックHMバンドEQUINOXでもヴォーカルを担う Emmanuel Creis、キーボードにSHADYONのギタリストでもある Mael Saoutを中心としたメロディックHMバンドDEVOIDにも在籍し、同じくSHADYONでもキーボードを弾く Jorris Guilbaud、ドラマーにSHADYONでも叩く Walter Francais、ベーシストには Yvan GuillevicのバンドメイトでもありEBHでも活動する Dominique Braudという5人編成で、メンバーの内3名がSHADYONと重複している、見ようによってはSHADYONに Yvan Guillevicがギタリストとして加入したようにも見えるが、そこはハッキリとプログレHMのSHADYONとは音楽性もサウンドも違う創作をしているのでSHADYONファンな方々はご安心を。

Yvan Guillevic主導で2020年に結成されたHEART LINEは、キーボード主導な煌びやかでキャッチーな80年代風のモダン・メロディアス・ロックをプレイしており、WHITESNAKEをはじめ、BAD ENGLISH、FOREIGNER、JOURNEY、WINGER、GIANT等の80年代~90年代前半にアメリカのメインストリームで持て囃されたアリーナロックやAOR&産業ロックから強くインスパイアされたクラシック・ロックサウンドを鳴らしているのは明らかで、かなりアメリカナイズされたそのサウンドは一聴するとフランス産バンドと思えないが、所々にユーロ・バンドらしいウェットなメロディや隠し切れぬ叙情感が漂っており、最近欧州や北欧を中心にアメリカでも徐々に復権しつつあるメロディアス・ロックの流れに乗ったバンドと言えるだろう。

Emmanuel Creisのちょっと掠れたハイトーンのヴォーカルは伸びやかで上手い(JOURNEYがフェバリット・バンドらしい)けれども、所謂ロック的にパワフルにガナったりダーティな声を使ったりせずスムースで滑らかな印象が強く、Yvan Guillevicの弾くギターもハードエッジやヘヴィさ、勢いよりもバランス重視の丁寧なギターワークを心掛けており、派手さは無いもののフックある甘い美旋律を紡ぐ事に重きを置いたギターとキーボードの流麗な音色も相まって、全体的な印象はメロハーと言うには些か穏やか過ぎてキャッチーなハードポップ・サウンドと言った方がより正しく彼等の音楽を表現しているかもしれない。

この手の80年代風クラシック・ロックにお約束の古典的なAOR&産業ロック風の煌びやかでフワフワした軽やかなキーボード・サウンドがふんだんに楽曲にフィーチャーされており、80年代風クラシック・ロック好きならば間違いなく破顔してしまう古き良きサウンドには親しみやすさがあるが、至ってオーソドックスでベーシックなサウンドとアレンジに幾分かモダンな味付けがされている楽曲に驚くような仕掛けもヒネリもなく、最近デヴューした活きの良いメロハー・バンド達のアルバムで聴けるようなロック的なスリリングさで劣るのは否めないだろう。

ただ、そういったロック特有な衝動を呼び起す即効性は薄いけれども何度も聴き込む事で味わいが増すアルバムなのは間違いなく、キーボードをフィーチャーしたキャッチーな80年代風ハードポップが好きな方にならば是非お薦めしたい、後々でマイナーながら隠れた名盤扱いされそうな一枚ではあります。

後は、メジャー作ではないので仕方がないのですけれど、プロダクションが少し残念な仕上がりな事なのですが、勿論注意深く耳を澄ませねば分らぬレベルなので特に大きな問題にはならないでしょう。

本バンドの刺激が弱いサウンドでは、メロディアスな秀作が世界中から矢継ぎ早にリリースされる現在のメロハー・シーンでなかなか注目され難いだろうが、何かシングル・カットされた楽曲がヒットしてキラーチューンにでも成れば状況が一変してポピューラー・ミュージック・シーンで活躍出来そうな普遍性の高い音楽でもあるので、今後の活動に期待が持てるバンドだ。

如何にもバブリーな80年代米国風のアルバム・ジャケットを見てビビッと何かを感じ取った方や、上述した古典的なロックバンドのファンな方、そして80年代風メロハー・バンドがお好みであるならば、本作はチェックしてみても決して損はしないだろう一枚であるのは間違いありません。


Track listing
01. Figting To Live
02. One Night In Paradise
03. Hold On
04. I'm In Heaven
05. On Fire
06. Back In The Game
07. Once In A Lifetime
08. Fire Dance
09. Stranger In The Night
10. In The City
11. I Long To Rise


HEART LINE Musicians:
Yvan Guillevic      (Guitars :YGAS、PYG、UNITED GUITARS)
Emmanuel Shadyon Creis (Vocals :SHADYON、EQUINOX)
Jorris Guilbaud     (Keyboards :DEVOID、SHADYON)
Dominique Braud    (Bass :YGAS、EBH)
Walter Francais     (Drums :SHADYON)

P.S.
Emmanuel Shadyon Creisが在籍するEQUINOXは米国のプログHMバンドと同名別バンドです、念の為。


# by malilion | 2021-11-29 23:38 | 音楽 | Trackback

バンドリーダー Graham Bonnet脱退後、初となる5枚目のアルバムをALCATRAZZがリリース!!

バンドリーダー Graham Bonnet脱退後、初となる5枚目のアルバムをALCATRAZZがリリース!!_c0072376_23502366.jpgALCATRAZZ 「V」'21

バンド立ち上げの張本人で長きに渡ってバンドを率いて来た文字通りバンドの顔でもあった Graham Bonnetが脱退(!?)して初となるUSメロディアスHMバンドの5枚目となるフルアルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてご紹介。

前作『Born Innocent』は34年(!!)ぶりにオリジナル・メンバーの Jimmy Waldo(Keyboards)と Gary Shea(Bass)が復帰したALCATRAZZとして4thがリリースされただけでなく、Chris Impellitteriや Steve Vai、Bob Kulick、Dario Molloといった、過去に Graham Bonnetと活動を共にした事があるギタリスト達が作曲とギターでゲスト参加し、ある意味 Graham Bonnetのキャリア集大成的な構成が話題でもあったし、モロに Yngwie Malmsteenフォロワーなギタリスト Joe Stumpを迎えて制作されたアルバムは、これまで敢えて避けてきたネオクラ早弾きギターもフィーチャーしつつ、苦労人 Graham Bonnetがこれまでの長い長い活動(当時、既に73歳!)で培ってきた音楽要素をふんだんに取り入れた、キャッチーでフックある歌メロと意外な程にメタリックでエッジあるハードサウンドと幅広くバラエティに富んだ如何にもアメリカンHMというブライトさと初期っぽいネオクラシカル風味あるミステリアスでダークな雰囲気が混在する楽曲は新鮮な驚きをもたらしてくれたが、それ故にイマイチ作品としてのまとまりに欠ける散漫な仕上がり具合であった感は否めない一枚でありました。

それでも殆どのファンはオリジナル・メンバーを迎えたALCATRAZZの復帰を歓迎したでしょうし、そもそもALCATRAZZ名義の活動は06年以降LIVE活動のみで、10年と13年に来日公演も行なっていたが80年代当時のオリジナル・メンバーはフロントマンの Graham Bonnet以外は誰一人おらず、彼とバックバンド的なニュアンス、もっと言えば殆ど実質的にGRAHAM BONNET BANDであった訳ですから、古くからのファン程にオリジナル・メンバーの復帰に涙した事でしょう。

まぁ、17年のGRAHAM BONNET BAND来日公演時に、既に Jimmy Waldoとはバンドメンツとして復帰していたし Gary Sheaがゲスト参加していたしで、勘の良いファンはその先の流れが読めていたかもしれませんけどね。

ただ、Yngwie Malmsteenフォロワーなギタリストとして知られる Joe Stumpを加えた編成でALCATRAZZの83年デヴュー作『No Parole from Rock 'n' Roll』とRAINBOWの79年アルバム『Down to Earth』の完全再現を含む企画公演がALCATRAZZの本格活動再開の呼び水になったのは確かなのですが、まさか Joe Stumpを残留させたまま『Born Innocent』制作に入るとは思ってもみませんでした…

デヴュー作で Yngwie Malmsteen、2ndで Steve Vaiとバンドが凄腕の天才ギタリスト達のステップストーンにされた教訓から3rdでは無名で地味な Danny Johnsonを加入させ、その為か楽曲の出来栄えや話題性はイマイチになって結局バンドの人気は凋落の一途を辿った流れはファンに良く知られているので、Joe Stumpはあくまで企画再現の為に迎えたギタリストで、これまで彼がリリースしてきたソロ作等を聴いた方なら分ると思うのですが、プレイのコピー度の程はまだ良いとしてお手本に全く及ばぬ作曲能力を露呈していた彼をそのまま残留させ新作制作へ突入するとは全くの予想外だったのです。

そういう訳で Joe Stump在籍のままに制作される楽曲の出来栄えに些かの不安を感じていたのですが、さすが Graham Bonnetです、そんな不安を払拭するように Steve Vai提供の楽曲や、若井 望(Guitars: DESTINIA、METAL SOULS)が作曲&ギターで参加した楽曲等の外部ライター達のインプットを取り入れて作られたアルバム収録曲は、テクニカルな速弾きをフィーチャーしつつもALCATRAZZ史上一番の音楽性の幅広さとバラエティに富んでいて、Don Van Stavern(Bass :RIOT)などの予想外の参加もあったりで個人的には前作『Born Innocent』は非常に楽しめた作品でありました。

前置きが長くなりましたがそんな状況に続き1年2ヵ月という比較的短いブランクでリリースされた5枚目のアルバムである本作は、まさかのフロントマンが Graham Bonnetからソロ活動や複数のバンドに在籍するスコットランド人ヴォーカリスト Doogie White(ex:PRAYING MANTIS、ex:Ritchie Blackmore's RAINBOW、ex:Yngwie Malmsteen's RISING FORCE、TANK、MICHAEL SCHENKER FEST、etc...)へチェンジするという最大の変化と、前作と違って外部のインプットが大幅に減った本当の意味でのバンド単体での能力が問われる再始動作であります。

TANKのギタリスト Cliff Evansがベースで参加したり、前作に続きRIOTの Don Van Stavernの参加や、SAXONのドラマー Nigel Glocklerといったゲスト・ミュージシャン達が参加しているものの前作のような楽曲の幅を広げる使われ方はしておらず、前作制作時に予想していた『Joe Stumpが Yngwieに成り切ったネオクラシカルHM路線のアルバムが出来る?』という悪い予想が今回は当ってしまっており、音楽性の幅は狭まって良く言えば焦点がしっかり定まった初期ALCATRAZZ風の、悪く言えば Yngwie Malmsteenのフォロワーが没個性な速弾きプレイを縦横無尽に繰り出しまくっている些か古臭い感の否めないマイナー調のメロディがユーロ風味を強く感じさせる80年代風アメリカンHMアルバム、という印象でしょうか。

無論、初期ALCATRAZZよりモダンな要素や今風のアレンジ、そして意図的にユーロ風HMな楽曲のテイストなど、これまでのALCATRAZZのアルバムで耳にした事のない鮮烈な要素が満載な勝負作に相応しい新機軸ではあるのですが、なんでも起用に歌いこなせる抜群の歌唱スキルを持つ、それ故に些か個性が薄く灰汁の無い Doogie Whiteの歌声と、これまた Yngwie Malmsteenのフォロワーで没個性な速弾きプレイの Joe Stumpの音数の多く派手な、だけどメロディに魅力が乏しいギターが合わさって、なんとも楽曲とメロディの引っ掛かりが乏しく感じられてしまうのです…

多くのALCATRAZZファンが望むだろう Yngwie Malmsteen時代の初期ALCATRAZZを彷彿とさせるネオクラシカル系サウンドの装飾とユーロ風味な味付けが施された、ベーシックで古典的なスタイルのアメリカンHMである楽曲自体の出来が著しく悪い訳ではないのですが、どうにも借り物臭いと言うか没個性に聴こえてしまって…ウーン…(汗

なんでも歌いこなせる巧いヴォーカリストである Doogie Whiteの歌声が浮き彫りにしたのは、お世辞にも幅広いとか絶品とは言えぬ歌唱スキルな Graham Bonnetの灰汁の強い歌声がALCATRAZZをALCATRAZZたらしめていたのだという事実と、逆説的に Graham Bonnetのあの力みまくった一本調子の苦し気な歌声(笑)の唯一無二な魅力を再認識させられた事でしょうか。

ギタリストの脱退劇の煽りではあるのですが今までALCATRAZZはコロコロと音楽性を変えた、けれど魅力的なアルバムをリリースし、それ故かなかなか売れ行きに繋がらず伸び悩んで来ていたとも取れるので、初めて本作のような個性の弱い、しかしオーソドックスなHMアルバムをリリースしたのはマーケット的には間違いだとも強く言いきれず、なんとも評価しにくい一作だと言えましょう。

幅広い表現力を持つ Doogie Whiteのヴォーカル・パフォーマンス自体は素晴らしく、テクニカル的な面で Joe Stumpのプレイにも勿論問題も無く、その他のバックのプレイも前作よりネオクラシカルHMとしての焦点がしっかり定まったプレイとソリッドでタイトな仕上がり具合のサウンドですので、幾分か楽曲のスケールがこじんまりとはしているものの、この手のネオクラシカルHM作品が好きな方であれば満足は出来るだろうアルバムでありますので、ご興味あるようでしたら一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。

ALCATRAZZ Line-up:
Doogie White     (Vocals)
Joe Stump      (Guitars)
Jimmy Waldo     (Keyboard)
Gary Shea      (Bass)
Mark Benquechea   (Drums)





# by malilion | 2021-11-28 23:50 | 音楽 | Trackback

ドイツのイングヴェイ・フォロワー Michael Schinkel率いるETERNAL FLAMEが3年ぶりに4thをリリース!!

ドイツのイングヴェイ・フォロワー Michael Schinkel率いるETERNAL FLAMEが3年ぶりに4thをリリース!!_c0072376_20304449.jpgMichael Schinkel's ETERNAL FLAME 「Gravitation」'21

ドイツ人ギタリスト兼ヴォーカリストの Michael Schinkel率いるキーボード入り4人組ネオクラシカルHMバンドETERNAL FLAMEが前作から3年ぶりとなる4thをリリースしたので即GET!

93年にドイツで結成され、99年にETERNAL FLAME名義のデヴュー作『Desire』をリリースし、当時は国内盤もリリースされB級マイナー作であったものの日本人好みなそのマイナー調のメロディアス・サウンドがその筋では好評を博したと記憶しているので、意外に彼等のデヴュー作を所有しているネオクラHMマニアな方は多くおられるかもしれない。

しかし、残念ながら続く02年リリースの2nd『King Of The King』は前作に劣らぬマニア受けする内容であったからか国内盤リリースは見送られ、その後長らく彼等の活動について伝わって来なかったが、2018年に突如として復活して Michael Schinkel's ETERNAL FLAME名義で約16年ぶりとなる3rd『Smoke on the Mountain』をリリースし、往年のYngwieフォロワー系ネオクラHMファンを歓喜に沸かせた Michael Schinkelが久々の新譜を届けてくれた。

前作はスウェーデン出身で幅広いジャンルで活躍するヴォーカリスト Goran Edmanやアメリカ人ヴォーカリスト Mark Boalsという元 Yngwie Malmsteen Bandのフロントマン達をゲストに迎えつつ、デヴュー作参加のベーシスト Tom Kellyのみ復帰しているだけで他メンツは一新されていた訳だが、本作はドラムスのみ Michael Henckyから Tommy Wagnerへチェンジしており、1st、2ndでは露骨な YngwieフォロワーなギタープレイやRAINBOWっぽいメロディ、そしてほんのり北欧HMのEUROPEやTALISMANを思わせる透明感のある音楽性をMIXしたマイナー調の美旋律が堪らないネオクラシカルHMサウンドが、Yngwieフォロワーなギタープレイはそのままに欧州HMは元よりアメリカン・ロック等の新しい要素を含む長いキャリアに相応しく幅広いジャンルを消化し自らの血肉としたユーロHMサウンドへ反映させた音楽性の進化を見せた訳だが、続く本作でも Goran Edmanと Mark Boalsの二人をゲストに迎え、音楽性にも大きな変化はなく、よりコンパクトでフックあるメロディが心地よい、モダンにヘヴィに進化したダークなネオクラシカルHMを聴かせてくれている(*´∀`*)

ちょっとサウンドがヘヴィでモダンになったと言えど、宗家 Yngwiが酷い完成度と劣悪な音でボロボロな手癖アルバムをリリースし続けて人気がすっかり凋落してしまった昨今、メジャー・シーンではとっくに絶滅しインディ・シーンでさえ珍しいネオクラシカルHMスタイルのサウンドを届けてくれるバンドが今も活動中だなんて、ソレ系のファンな諸兄は感涙にむせんでいる事でしょうネ(w

しかも、Goran Edmanと Mark Boalsの二人がネオクラシカルHMサウンドをバックにその抜群の歌唱スキルを披露してくれるんだから、文句がある訳ありません!(゚∀゚)

デヴュー当時の赤面してしまうくらいモロに Yngwie Malmsteenサウンドと奔放なギタープレイが今となっては懐かしいですが、本家 Yngwie Bandと違ってリードヴォーカリストも兼ねていたのが幸いしたのか Michael Schinkelは元々楽曲全体のバランスを考慮したプレイを心掛けていたし、RAINBOW風のキーボードやギターフレーズが活かされたマイナー調のネオクラシカルHMサウンドは奇をてらった所が無く、楽曲自体はオーソドックスな如何にも欧州的なマイナー調のメロディと劇的さを併せ持つ佳曲を聴かせてくれていたので、復活してからのより音楽性の幅が広がって小洒落たアレンジとポップさやキャッチーさが増したモダン・ユーロHMサウンドは、別段驚くような変化でもなく順当な音楽性の進化を示していると言えましょう。

それにしても経年のせいか、デヴュー当時のミドルレンジ主体な時はSAXONの Biff Byfordっポイ歌声で、ここぞという所でハイトーンを絞りだす Michael Schinkelの若々しくも勢い任せで不安定さを感じさせたヴォーカルが、ググッと渋さと伸びやかさを増していて、ハイトーンを聴かせるパートは減ったがその分メロディアスでセンスあるアレンジが活かされた楽曲のキャッチーな歌メロを以前に比べ随分上手く歌いこなすその力強いヴォーカルを聴くに、実は未だに Yngwi風なフレーズやリフを連発する彼の流麗なギター・テクより彼のヴォーカル・スキルの進化の程が本バンドの評価をこの先左右する最大の鍵になるのではないかと思えて来ます。

そして復活してから参加したキーボーディスト Helmut Kohlpaintnerの操る楽曲を華やかに彩るシンセを中心とした鍵盤サウンドが、目立たないけれどさりげなく実に良い働きぶりをしており、このバンドはデヴュー作参加のキーボーディスト Ferdinand Jamitzkyも2ndのキーボーディスト Thomas Streckも、同様に主役である Michael Schinkelの派手でテクニカルなギター・サウンドとヴォーカルをスポイルしないツボを心得たプレイを心掛けているのが分ります。

まぁ、バンドのボスで顔でもある Michael Schinkelの紡ぐ魅力的なメロディーやプレイの邪魔になるような演奏をしても変えさせられてた、という線も捨てきれませんが(笑)少なくともこの手のネオクラ系の派手なプレイが得意なキーボーディストがよく聴かせる自身のプレイヤー・スキルを誇るような長く複雑なソロ・キーボードパートは無く、あっても様式美HMお約束のギターとキーボードの長い絡みのあるユニゾンやソロ・パートのみで、総じて自分の立ち位置を弁えた楽曲の完成度を上げるプレイを心掛けているのは好印象ですね。

プロモ・クリップで Michael Schinkelと Tom Kellyがリードヴォーカル・パートを分けあって歌う三期DEEP PURPLEみたいなツイン・ヴォーカル体制を見せちょっと驚かされましたが、確かに Yngwie風の激しいアクションをしながらヴォーカルを一人で歌いきるのはキツイ仕事でしょうから、ベーシストとヴォーカルを分け合うのはLIVEでの喉の負担を考えても上手い方法かもしれません。

決してAクラスのハイクオリティな楽曲だとかメジャー・クラスの高品質サウンドと言えませんし、オリジナリティ云々と言った問題や革新的な音楽的な冒険を挑んで居る訳でもありませんのでそういった点が気になる方にはお薦めしかねますが、Yngwie Malmsteenからの影響がモロに分かる Michael Schinkelのマイナー調のテクニカルな早弾きギターが冴え渡る80年代風モダン・ネオクラシカルHMや様式美HMのRAINBOW、初期EUROPEや初期TALISMAN等の透明感ある北欧HMサウンドがお好きな方なら一度チェックしても決して損はしない、そんな一作であります。

Michael Schinkel's ETERNAL FLAME Musicians:
Michael Schinkel   (Lead Vocals、Guitars)
Thomas Keller     (Bass、Vocals)
Helmut Kohlpaintner  (keyboards、Backing Vocals)
Tommy Wagner    (Drums、Backing Vocals)




# by malilion | 2021-11-25 20:30 | 音楽 | Trackback

英国シンフォ・バンドMAGENTAを率いる Robert Reedのデヴュー・ポンプバンドCYANの1stが豪華ゲストを迎えて再録されリリース!!

英国シンフォ・バンドMAGENTAを率いる Robert Reedのデヴュー・ポンプバンドCYANの1stが豪華ゲストを迎えて再録されリリース!!_c0072376_14214302.jpgCYAN 「For King And Country」'21

00年代以降の英国シンフォ・シーンを代表するメロディアス・シンフォニックのトップ・アクトMAGENTA、そのMAGENTAを率いるイギリス人マルチ・プレイヤー Robert Reedがバンド結成前の最初期の90年代初頭に活動していたポンプ・バンドCYANのデヴュー作が、最新のテクノロジーを用いられて再録された完全新作が自主制作リリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

今は亡きオランダのSI Musicリリース作のナンバー28番として93年にリリースされていたオリジナルのデヴュー作は、チープなイラストのジャケに Robert Reedが全てのパートをこなすソロ・ポンプ・プロジェクト作でありました。

全て Robert Reedの独力でオリジナル作は制作されていた為、PENDRAGONの Nick Barrettと大差ない歌唱力(汗)でたどたどしく歌うヴォーカル・パートはお世辞にも上手いとは言えず、ドラムパートも打ち込みの軽く固いサンプルながら既にこの時点でGENESISや Mike Oldfieldの影響が伺えるストリングス・オーケストラを意識したアレンジを交えたキーボード・パートに後のMAGENTAを彷彿とさせる美しいシンフォニックなプレイが垣間見え、ウェットな叙情感香るメロディアスな楽曲の出来はインディ・バンドのデヴュー作としてはまずまずのレベルで実に興味深かったですね。

その後、Nigel Voyleという相棒のヴォーカリストを得てCYANは99年までコンビ体制でアルバムをリリースし活動を続けるものの当時のメジャー・シーンはダークなグランジーが持て囃される時代、80年代に勃発したポンプの勢いもとっくに消え失せていた英国シーンで彼等の活動が上手くいくはずもなく敢え無く解散してしまう…

その途中の95年に Robert Reedは既にTVや映画の作曲家としてキャリアを築いていたミュージシャン Danny Chang(Guitars、Percussion、Backing Vocals)の呼びかけに応じて Andy Edwards(Lead vocals、Guitars)、Doug Sinclair(Bass、Guitar、Sound F/X、Backing Vocals)、Tim Robinson(Drums)等5人でTHE FYREWORKSなるシンフォ・プロジェクト・バンドを立ち上げ97年に自主制作アルバムを一枚リリースするものの、Danny Changが本業を優先したので現在まで活動再開の情報も無く、THE FYREWORKSは一作のみを残すだけとなっている。

VAN DER GRAAF GENERATOR、GENTLE GIANT、JETHRO TULLからの影響を受け、ハモンド、メロトロン、ムーグ、ピアノなどの『ヴィンテージ』タイプに限定したキーボードだけを使用して制作された70年代テイストあるTHE FYREWORKSのサウンドは非常に面白く、ゲストにフルート奏者を迎え、Robert Reedはキーボード類だけでなくスライド・ギターとバッキング・ヴォーカルも担当しているので、彼のファン的には珍しい Robert Reedのプレイが聴ける一作と言えるだろう。

面白いのは後にMAGENTAで活動を共にする Tim Robinsonと Robert ReedがTHE FYREWORKSで既に顔を合わせているという事実で、そういう意味でもMAGENTAファンにとってTHE FYREWORKSの唯一作は興味深いアルバムだと言えるに違いない。

さて、今回の再録作だが、ジャケのデザインはそのままに、イラストのレベルが上がっている事や楽曲タイトルや楽曲の並びも全て同一となっており、インナーに記されている Robert Reedの語る通りなら、元々学校の友達と83年にオリジナルのCYANは結成され、35ポンドの金を皆で出し合って4トラック録音された楽曲が元になっているのが『For King And Country』との事なので Robert Reed的にかなり本作に思い入れがあるのと、当時は全て己の手でこなさなければならず思うようにアルバムが仕上がらなかっただろう後悔が垣間見えます。

アルバム制作バジェットの確保や録音機材の向上、そして自身の演奏スキルも向上し、人脈も以前と比べものにならぬくらい多岐に渡るようになった現在の Robert Reedが、彼の持てるスキルを存分に注ぎ込んで丁寧に再構築した本作は、93年リリースのオリジナル作が宿していた情熱をそのままに2020年代に相応しく新パート追加と再アレンジを施され堂々の一級シンフォニック・ロック作として新たに甦っており、オリジナル作を遥かに凌駕する傑作に仕上がっているのに異論を誰も唱えぬだろう。

本作の再録音に際して招かれたメンツは、自身が率いるバンドTIGER MOTH TALESやCAMELのキーボード奏者としても活躍する英国出身の盲目の天才マルチ・ミュージシャン Peter Jonesをリード・ヴォーカルに、英国シンフォ・バンドTHE TANGENTや自身が率いるプログ・バンドMASCHINEでの活躍が知られる Luke Machinをリード・ギタリストに、ベースにはMAGENTAでも活動を共にしGODSTICKSにも在籍する Dan Nelsonを、THE FYREWORKや初期MAGENTAで活動を共にした Tim Robinsonをゲスト・ドラムスに、Robert Reedのソロ作に何度か参加していた英国人フィメール・シンガー Angharad Brinn嬢と既に解散している英国ポップ・グループXYPに在籍し、英国のTVショー『The Voice UK 2018』でも活躍したフィメール・シンガー Tesni Jones女史をバッキング・ヴォーカリストに迎え制作されている。

中期GENESISや Mike Oldfield、そしてIT BITES等のオリジナル作で伺えた影響を残しつつ現在のMAGENTAとは方向性の異なるモダンなアプローチやセンス良い洒落たアレンジが楽しめる、Robert Reed お得意のカラフル且つダイナミックなオーケストレーションをたっぷりフィーチャーした英国バンドらしい美しいメロディとウェットな情緒が香るドラマティックなシンフォ・サウンドで、やはりオリジナル作との大きな違いにして本作の素晴らしい仕上がり具合に多大な貢献を果たしているのが Peter Jonesの太くエモーショナルな力強い歌声と、ヴォーカルパートの深みと鮮やかさ、そして艶やかさを二割増しに輝かせている清らかな美声を操る女性バッキング・ヴォーカル陣の仕事ぶりなのは間違いないだろう。

本作の主人公である Robert Reedの華麗な鍵盤捌きは当然として、シャープで透明感あるサウンドとスリリングなフレーズで楽曲を盛り立てる Luke Machinのテクニカルなギター・プレイや、リリカルでなんとも言えぬ温かなサウンドを紡ぎ続ける Peter Jonesのホイッスルや、一転ムーディ-に響き渡るJAZZっぽいサックスも聴きどころであります。

ぶっちゃけここまでスケールを増して高いレベルで結実している高品質サウンドだとオリジナル・ヴァージョンうんぬん関係なく独立したアルバムとして本作を問題なく楽しめるので、変にオリジナル盤にこだわらず今回届けられたこの美しい調べに耳を傾け味わうだけで十分だと思うが、まぁ自分もそうなので良く分かるんですがマニアックな性のプログレ・ファン達は、きっとさして良い出来でもないと分っている本作のオリジナル盤を探し求めちゃう因果な生き物なんですよねぇ(w

本作に招かれたゲスト陣の名前や、各人が参加しているバンド、そして Robert Reed率いるMAGENTAや彼のソロ作のファンの方にも間違いなく満足してもらえるだろう、Robert Reedの過去から絶える事なく続く情熱の煌めきを楽しめる英国情緒香る美しくセンチメンタルなシンフォ作を是非一度チェックしてみて下さい。

Musicians:
Robert Reed   (Keyboards、Guitar、Backing Vocals)
Peter Jones    (Lead vocals、Saxophone、Whistles)
Luke Machin   (Lead Guitars)
Dan Nelson    (Bass)

with:
Tim Robinson   Drums
Angharad Brinn  Backing Vocals
Tesni Jones     Backing Vocals

尚、ボーナスのDVDには、インタビューと、プロモ・ヴィデオ映像3曲、5.1 SURROUND音源等を収録しているのでそちらもお見逃しなく!


# by malilion | 2021-11-23 14:21 | 音楽 | Trackback