CATS IN SPACE 「Time Machine」'24 70~80年代初頭にかけての多くの優れたバンド達が遺したクラッシック・ロック要素を巧みに取り込んだキャッチーでポップなノスタルジック・サウンドが特徴の、SWEET、AIRRACE、MORTIZ等で活動してきた英国ベテラン・ミュージシャン達によって結成されたキーボード入りツインギター6人組メロディアス・ロック・バンドが、前作『Kickstart The Sun』'22 から約2年振りに6thアルバムを遂に自主制作をやめて英国 Cherry Red Records傘下のインディ・レーベル Esoteric Antennaと契約し初リリースしたので即GET! 2015年のデヴュー作『Too Many Gods』でUKロック・シーンに登場すると SWEET、QUEEN、E.L.O、STYX、URIAH HEEP、MAGNUM、BOSTON、10cc、THE WHO、Elton John、Billy Joel、Herbie Hancock、Dire Straits等々の70年代~80年代初期にチャートを賑わした欧米メジャー・アーティスト達のサウンド全てをMIXしたような、クラシック・ロックの最高のサウンドを思い起こさせるキャッチーなレトロ・ポップロックが聴衆の心を捉えたのか彼等らのアルバムは自主盤にも関わらず全作品がUKチャートの上位にランクインし、過去2作は全米ロック・チャートで1位も獲得と、今世紀に登場した最も優れたクラッシック・ロック・バンドの1つという評判を瞬く間に築き上げ、DEEP PURPLE、STATUS QUO、THUNDERとのUKアリーナ・ツアー、Phil Collinsや BLONDIEとのHyde Parkでの共演、その後のヘッドライン・ライヴ、続くアルバムのフォロー・アップツアー、主要フェスティバルへの出演( Bonnie TylerとのLondon Palladium Theatreでの特別公演を含む)により名声は確固たるものとなっていった。 結成9年目を迎えるCATS IN SPACEだが、当初はサイド・プロジェクトとして幾つかの楽曲をレコーディングする為だけにスタートしたシリアスでない半ばお遊びバンドであったというのが面白い。 そんなお遊びバンドが今ではチャート1位を獲得し、レーベルともレコード契約を結ぶとは、本当に何が売れるのか分からないショービジネスってのはタイミングが重要で、意図してヒットさせるのが難しいものなんですなぁ… きっと数多くのバンドに関わって来たメンバー達はその事を嫌と言う程に思い知っているベテランばかりですし、CATS IN SPACEの思わぬ成功を本当に喜んでいる事でしょう。 前々作でシンガー交代劇があったが本作にメンツの変化はなく、ゴタついたフロントマン問題(前作紹介で既述)も治まりレコード契約も得て、そんなバンドを取り巻く状況も反映されたのかソングライティング、パフォーマンス、(臆面もなくレトロな)プロダクションに至るまで全てのクオリティが高く、これまで以上に豊かで感染力あるハーモニー・コーラス、耳を捉えて放さないメロディアスなギター・リフ、一糸乱れぬアンサンブル、伸びやかでフックあるエモーショナルなヴォーカルは絶品で、クラッシック・ロック、パワー・ポップ、グラム・ロックが絶妙にブレンドされ凝縮された、70~80年代の伝説的ビッグネーム・バンド達から受けたインスピレーションのみならず、今回は Jim Steinman、THE RASPBERRIES、さらにはHenry Mancini等の60年代後半まで遡ったテイストも披露するなど、本作の持つストーリー性とコンセプチュアルな要素がバンドの高い音楽性と相まって、ノスタルジックでありながら遊び心も交えた、時代を超越するコンテンポラリー・ロックへと一段階サウンドのスケール・アップが図られている。 この更なる進化は、抜群の歌唱力と表現力を誇るミュージカル畑のシンガー Damien Edwardsを得た事が起爆剤となっているのは間違いなく、パンデミックがCATS IN SPACEにアクシデントと不幸をもたらしたのは確かだが、それ以上の幸運も運んできたとも言えるだろう。 実は最初に本作のリリース・インフォを見た時、70年代~80年代初期のレトロ・ロックをモダン・リヴァイバルしてきたCATS IN SPACEに『Time Machine』というコンセプトは『成程、彼等にピッタリだな』と思った訳です。 前作の壮大な叙事詩では星々を訪れ、海の中にも行ったし、ナルニア国にも赴いたり、とCATS IN SPACEが得意とする事の1つはストーリーテリングなので、きっと古典的な H.G. Wellsの小説をネタにしたコンセプト作か、それとも『Back To The Future』や『Terminator』の様な娯楽アドベンチャー風の彼等お得意な80年代風の豪奢で煌びやかなレトロ・ポップサウンドで彩る楽しい作品になるに違いないと予想したのですが、その辺りはリーダーの Greg Hartをはじめメンバー達も予想していた模様で彼等は違う選択をしたのでした。 『すぐに誰もが『Time Machine』= H.G. Wellsになるだろうと予想した。タイムマシンに乗って70年代に戻るんだ。イヤ、それは止めよう。我々がやると思われている事とは正反対の事をやろう、と』 『我々が『Time Machine』で発信するポジティヴなメッセージには、タイムマシンは必要ないという事。 そのポータルを通り抜けるんだ』 前作『Kickstart The Sun』での大成功によってバンドは高いハードルを課せられた為、次のアルバムがどのような方向性を示すのか憶測が飛び交っていた中で、敢えて逆方向へ行く重大な決断だったのは言うまでもない。 『このアルバムは良い意味で今までとは違ったモノになった。明らかにレーベルと契約した事で、僕らがどうやって行くかという事に、これまでとは違った傾斜が付けられた。ちょっとプレッシャーも有ったかもしれない。このアルバムは今まで僕らがヒットした事の無い場所の全てでヒットさせる事がとても重要なんだ』 レーベルからの資金的援助で今までの自主盤は紙ジャケでリリースでしたが今回はデジパックでリリースとなり、細かい所ですが恩恵を感じます。 『これまでのアルバムにはそれぞれテーマやコンセプトがあったが『Time Machine』もそうだ。 タイムマシンはタイムトラベルを楽しむ作品じゃない』 『より直接的で個人的なモノで、今を生きる事を促している。Greg と Steevi が作曲を始めた時このコンセプトはすぐに纏まったよ』 彼等は70年代~80年代のムードを取り入れたアルバムを制作するのが得意で、そのサウンドはノスタルジーを誘うかもしれないが、最初から彼等は現代を生きるバンドなのだ。 『これは落ち込んだ暗いアルバムじゃない』 『というのも、私達は世界がかつて見た事もない大バカをやってのけ、大きなダメージを受けたからだ。 多くの人々をメチャクチャにしたんだ』 『正直言って、今の我々はメッセージを発信する必要があると思う。曲はとても簡潔で、我々が経験しうるさまざまな感情の状態を表現している』 『今しか生きられないし、それはとても難しい事なんだ』 彼等が進む旅は心の内側にあり、強烈に個人的で、感情的で、内省的で、死と不死について歌詞は触れている。 陰鬱で、おざなりで、メランコリックな内容では全くない、その代わりに高揚感や胸に迫るものがあり、大人の為のラブソングであり、メロディアスなHRが詰め込まれた一枚だ。 お決まりのユーモアと示唆に富んだアイデアがミックスされた、自分の中にある青春を取り戻すチャンスと訴える歌や、自分の父親との関係について考えさせられるロック・バラード、定番な失恋の余波を歌ったモノ、グラム・ロックに影響を受けたノリノリの朗らかなポップロック、実にキャッチーでメンバーそれぞれの長所が見事に融合したメロディアス・ポップ、10cc風のは流行遅れのシンガーを揶揄するようなキャッチーで瑞々しいロック曲、ロックの重要性を賛美するナンセンスなアンセム、甘いストリングスが響き渡る繊細なバラード等々、ノスタルジー=タイムマシンというセンチメンタルな切り口で幅広い題材を扱いつつポップでキャッチーに纏め上げたカラフルでブライトな作品に仕上がっていて、レコード契約を得た事でバジェットに余裕が出たのかこれまで以上に華やかなブラスや優美なストリングスがフィーチャーされており、プロダクションの良さが際立った素晴らしい楽曲とサウンドのアルバムとなっている。 Greg Hart 曰く、『Time Machine』は2ndアルバム『Scarecrow』の姉妹作だろうと語っていて『このアルバムは、パワー・バラードを含むロック・アルバムだ』との事だ。 なーんて大真面目に語ってますが、オープニング・タイトル曲の“Time Machine”で THE WHOの『Baba O’Riley』のオープニング・リフを丸ごとパク…少々やり過ぎなオマージュしたり、クローズ・トラックの“When Love Collides”が Alice Cooperの『Only Women Bleed』に少々似過ぎていたりと、相変わらずなんですけどね(汗 まぁ、Alice Cooperの『Only Women Bleed』は大仰なストリングスとメランコリックなアコギが大きくフィーチャーされているが、こちらはストリング控えめでピアノ・メインで進行し、ヴォーカルの巧さや盛り上げるQUEEN張りの分厚くセンチメンタルなヴォーカル・コーラスの華麗さでも明らかにCATS IN SPACEの方に軍配が上がり、元々ストリングスをフィーチャーしたバラード系の楽曲は曲調が似るのは仕方が無い事とも言え、丸パクと言う事もないんでしょうが全体の雰囲気がどうにも似てるのは確かなので、彼等的なオマージュだったのか偶然に似たのかは判別つきかねます…(´~`) って、今まで散々QUEENやE.L.Oを擦りまくって来たし、本作も他にもチラホラ顔を出しているし今更っちゃ今更かもしれませんが… また、CDのみボーナス・トラックが4曲収録されており、THE WALKER BROTHERSの『No Regrets』、SLADEの『How Does It Feel』、John Milesの『Music』程バンドに相応しいカヴァー曲はないだろう。 Greg Hart はこの3曲が彼のお気に入りで、何せ彼等の2019年リリースの3rdアルバム『Day Trip To Narnia』のNARNIA BOXなる豪華アナログLPボックスにも、THUNDERのフロントマン Danny Bowesをフィーチャーした『How Do You Feel』のカヴァーが7インチLPにて披露済みで、これまでのLIVEでの定番曲が今回遂にフロントマンの Damien Edwards の歌声で収録されたスタジオ・ヴァージョンがお披露目された訳です。 尚、『No Regrets』には特別ゲストとしてオリジナル曲にも参加していた BJ Coleによるペダル・スティールをフィーチャーした完全版となっている。 彼がCATS IN SPACEのアルバムに参加するのは『Kickstart The Sun』へのゲスト参加に続いて2作目となり、そのアルバムのセッション中に自分のパートを録音したというオマケつきだ。 他の2曲のボーナス・トラックは、今年初めに開催された fan VIP DayでLIVE収録されたもので、このバンドのLIVEでの実力を正確に示していると言えるだろう。 『John Milesの曲は、僕等がスーパーソニック70sで演奏した事が有るし、Jeff Brownも彼のバンドで演奏しているから、僕等が演奏出来る事は皆知っている』 『この曲をツアーに組み込んで皆の頭を吹っ飛ばしたいね。 あれはLIVEヴァージョンだけど、オーケストラとトランペットだけ後からオーバーダブしてるんだ』 生演奏で John Milesのディープ・カット『Music』に挑み、それを完璧に歌いこなしたCATS IN SPACEは正に本物のバンドで、このカヴァーだけでもノスタルジック・ライドの入場料を払う価値があるだろう。 CATS IN SPACEは Cherry Red Recordと3枚分のアルバム契約を結んでおり、早くも Greg Hart は次作の構想を練っている模様だ。 『次のアルバムは、本格的なコンセプト・アルバムになるかもしれない。イヤ、まだ誰にも分からないよ』 つらつらデータ的な事を書き連ねましたが、全てファンタスティックに演奏されたキャッチーなノスタルジック・サウンドは、以前よりもコンテンポラリー・ロックへ傾いた作風なのは確かではありますが、未だに彼等を最初に気に入る要因となった70~80年代風ジュークボックス・ミュージカル・ポップスなのに些かの変わりもなく、もし貴方が既述の一連のバンドのファンであるならば破顔するのが止まらぬハズなので、楽しく秋の夜長を過ごしたいのなら一度ご自身の耳で本作をチェックしてみては如何だろうか? Track List: 01. Time Machine 02. My Father's Eyes 03. Crashing Down 04. Occam's Razor (Not The End Of The World) 05. Forever And Ever 06. Ivory Anthem 07. Run For Your Life 08. This Velvet Rush 09. Yesterday's Sensation 10. Immortal 11. When Love Collides -Bonus tracks- 12. No Regrets 13. Music 14. How Does it Feel 15. This Velvet Rush (Ghost Mix) CATS IN SPACE Line-up: Damien Edwards : Lead & Backing Vocals Greg Hart : Electric & Acoustic Guitars、Synthesizers、Backing Vocals ex:MORTIZ ex:IF ONLY ex:GTS、etc... Steevi Bacon :Drums、Percussion、Timpani ex:Robin Trower Band、etc... Dean Howard:Electric Guitars ex:BAD COMPANY ex:IAN GILLAN BAND ex:T'Pau ex:再結成AIRRACE、etc... Andy Stewart :Piano、Synthesizers ex:MORTIZ ex:IF ONLY、etc... Jeff Brown :Bass、Backing Vocals ex:Andy Scott's SWEET ex:STATETROOPER ex:WILDFIRE、etc... Additional Musicians: Mick Wilson : Vocals Julie maguire : Vocals BJ Cole : Pedal Steel Jack Birchwood : Brass Produced By Greg Hart #
by malilion
| 2024-11-05 18:07
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UFO 「Ain't Misbehavin' -2024 Deluxe Edition-」'24 英国ベテランHRバンドUFOが80年代の再結成後にリリースしたマイナーなEPがボートラ追加で2024年度リイシュ-されたのを少々遅れてGET! 1982年に10thアルバム『Mechanix』をリリースするもシンセを大きくフィーチャーしたバランス重視のポップな音楽性が気に入らずバンドの両輪であったベーシスト Pete Wayが脱退し、残されたリーダーでシンガーの Phil Moggは専任ベーシスト不在のまま11thアルバム『Making Contact』を1983年にリリース、シンフォニックなキーボードとメタリックなギターを前面に打ち出した前作以上にキャッチーでモダンな新サウンドを披露するもセールスは不振で、ベーシストに元TALASの Billy Sheehanを加えてヨーロッパ・ツアーを敢行、その後の英国ツアーでベーシストを元THE DAMNEDの Paul Grayにチェンジし活動を続行するも不安定なメンバー構成やアルバム・セールスが伸び悩んだのが響いたのか、遂に1983年4月に解散する事に。 が、1984年にはUFOは再始動する。 当時、HMシーン最注目の超絶速弾きギタリスト Yngwie J. Malmsteenの名も上がるが再結成ギタリストには日系米国人 Tommy McClendonこと Atomik Tommy "M"を迎え、ベースは前作ツアーから引き続いて Paul Grayが、キーボード兼リズム・ギターには Paul Raymondが復帰し、ドラムは元MAGNUMの Jim Simpsonという布陣で12thアルバム『Misdemeanor』を1985年にリリース。 モダンなキーボード・サウンドと Atomik Tommy "M"のトリッキーでフラッシーンなギター・ワークをフィーチャーしたHMサウンドは、前作『Making Contact』で示した音楽性を更に洗練させキャッチーに発展させた Phil Mogg入魂の新生UFOサウンドであったが満足いく商業的な成功は掴めず、徐々にメンバー間の不和も大きくなり Paul Grayが脱退、さらに次作制作途中 Atomik Tommy "M"も脱退しバンドは再び空中分解してしまう… 商業的に失敗した前作の路線を押し進めるとか冷静に考えれば自殺行為なんですが、余程前作のサウンドに自信があったのか頑固な英国人 Phil Moggの意地だったのか…確かに悪い出来でない『Making Contact』ですが、やはり米国メインストリームの流れを意識しつつも米国市場にアジャストしたサウンドに成り切れなかったのが致命的だったんでしょうね… 本作のオリジナル盤はその『Misdemeanor』フォローアップ・ツアー直後の1987年にレコーディングされた未発表曲やツアー中に制作されたデモ曲、そして『Misdemeanor』収録から漏れたと思しきアウトテイクで構成されたEPで、再解散後の1988年に Atomik Tommy "M" 加入後第2弾作となるハズだった幻の作品として日本盤リリースは東芝EMIから、英欧はFM、米国はMetal Bladeから、当時の日本盤LPとCD、そして外盤CDのみに追加収録だった『Lonely Cities (Of The Heart)』も含む全7曲でリリースされ、今回のリイシューにあたって1986年のUSツアーのMilwaukee公演からの4曲と『Between A Rock & A Hard Place』のインスト・ヴァージョンを追加した全12曲収録のフル・アルバムとなっている。 今一つ知名度が低く2000年の東芝EMIからの再発や2014年のWarner Forever Young再発時にもスルーされリイシューされずじまいだったマイナーなEPがやっと米国インディ Cleaopatra Recordsからリイシューされ若いUFOファンは歓喜している事でしょう、ただどこにもデジタル・リマスターの文言が見当たらないのでオリジナル・マスターの音量だけを上げたションボリな新装再発作と思われるのだけが残念だ…orz まぁ、リリース元もそもそも売れなかった知名度の低いEPをそのままリイシューでは不安だったのか、ボーナスとして Atomik Tommy "M"を擁する編成での1986年LIVEトラックを追加&オリジナル盤よりセクシーさアップなおねぃさんの際どい姿をあしらったジャケット・イメージのNEWアートワークとなっているので、オリジナル盤をお持ちの忠実なUFOファン以外にも多少は訴求する仕様となっております。 個人的には『Misdemeanor』で提示された、80年代特有の煌びやかでキャッチーなUSメインストリームで趨勢を極めたアメリカンHMテイストと、70年代から連綿と続く伝統的ブリティッシュ・ハード・テイストを絶妙にブレンドし、さらにモダンでアダルトに洗練した意欲的な新サウンドが大好きだっただけに、本作の Paul Grayが脱退した事によってキーボード・サウンドが後退し、より Atomik Tommy "M"のヒステリックに咽び泣くメタリックでエフェクティヴなギター・サウンドがストレートに前面に押し出された、フィメール・バックシンガーも大きくフィーチャーされた未完成ながら決して捨て曲を集めたような作品とは感じられぬ、ポップでメロディアスな幾分かアメリカンHMに寄った作風のダイナミック・サウンドは当時から好印象でありました (*´ω`*) しかし、今回の未完成なEPやLIVEトラックを改めて聴き直して思うのは、UFOのアルバムってどれもバックのサウンドが派手でメロディアスに成れば成る程に、音域が狭く、伸びやかさもイマイチで、さして上手くもない Phil Moggのヴォーカルが何故か冴え渡って『これぞ Phil Mogg節炸裂!』な独特なグルーヴと唯一無二のフックを生み出すんですよねぇ、ホント不思議ですわ~(w 因みにUFO解散後、新世代ギター・ヒーローとして大注目だった Atomik Tommy "M" は、TESLAの Brian Wheat(Bass)とのSOULMOTORでアルバムを4枚出したが、2018年には Atomik Tommy's THUNDERWING名義でMVと配信シングルを2曲を発表し、その後特に何も起こらぬまま現在に至っている… Atomik Tommy "M" 擁する新生UFOがリリースした『Misdemeanor』と比べるとサウンドはデモ的で改善の余地や音質的にも厳しいものがあり明らかに未完成なEP作ではありますが、国内盤CDでの再発が見込めぬ80年代後期UFOのレア作品としてファンならば確実に押さえて置くべきリイシュー作と言えるでしょう。 ボーナスで聴けるLIVEトラックの『Doctor Doctor』『Only You Can Rock Me』等々、シンプルながらもクールなリフと直ぐに覚え口づさめる耳に馴染み易いメロディの数々で構成されたドラマティックなブリティッシュHRの普遍的な魅力を端的に伝えてくれる佳曲揃いなので、是非この時のフル・ステージを収めたLIVE作をリリースして欲しいくらい、エネルギッシュで勢いがありますのでUFOファンの方は是非チェックしてみて下さい。 尚、限定でLP盤もリリースされるが、ボーナストラックのうち『The Chase』『Night Run』のLIVE音源と『Between A Rock & A Hard Place』のインスト・ヴァージョンはCDのみの収録となる予定だ。 Track listing: 01. Between A Rock & A Hard Place 02. Another Saturday Night 03. At War With The World 04. Hunger In The Night 05. Easy Money 06. Rock Boyz, Rock 07. Lonely Cities (Of The Heart) Bonus tracks 08. Only You Can Rock Me (Live In Milwaukee 1986) 09. The Chase (Live In Milwaukee 1986) 10. Night Run (Live In Milwaukee 1986) 11. Doctor Doctor (Live In Milwaukee 1986) 12. Between A Rock & A Hard Place (Instrumental Version) UFO Line-Up: Phil Mogg : Vocals Paul Gray : Bass Atomik Tommy "M" : Guitars、Backing Vocals Jim Simpson : Drums、Backing Vocals #
by malilion
| 2024-11-04 16:41
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PLEASURELAND 「Same」'24 既にメンバー各自それぞれキャリアを築いてきたメンツが集まって立ち上げられた男女ツイン・ヴォーカルを擁するキーボード入り6人組メロハー・バンドがデヴュー作をリリースしたので即GET! フロントの一翼を担う Jonna Sailon嬢は、スウェーデンのTV番組『Fame Factory』出場者の一人として知られ、後にスウェーデン・ヨーテボリ出身のオルタナティヴHMバンドALL ENDSへ二代目シンガーとして加入した経歴の持ち主で、ALL ENDSには元IN FLAMESの Bjorn Gelotteと Jesper Strombladが在籍していた事で有名だ。 元MAJESTIC、元TIME REQUIEM、元FIREWIND、元EVIL MASQUERADE、そして現在はSPIRITUAL BEGGARSの3代目シンガーで2016年にはソロ・アルバム『APOLLO』もリリースした実力派スウェーデン人シンガー Apollo Papathanasioを擁する北欧シンフォニック・パワーメタル・バンドARTURIUSの創設メンバーでギタリストの Jalle Westergrenは本バンドでもギター、キーボード、プロデュース、作詞を担当している。 他のメンバーも何れれもスウェーデン国内で活動してきた経験豊富なミュージシャンで、本作に収められている新人インディ・バンドらしからぬ楽曲とサウンドの完成度を聴けばそれは直ぐに察する事が出来るだろう。 中心人物であるベーシストの Tom Rydellやシンガーの Bjorn SegerbladはGIANT、HARDLINE、JOURNEYからの影響を語るが、正直それらのバンドのハード・ドライヴィンするサウンドからのインスパイアは余り感じられず、恐らくキーボーディスト Mattias Andrenの嗜好だろうTOTOを思わす小気味よいアレンジと洒落たシンセが楽曲を華やかに彩り、如何にも北欧バンドらしい雰囲気を感じさせる叙情と郷愁漂う美旋律をバンドは尽きる事無く紡ぎ、キャッチーで爽快なヴォーカル・メロディとコーラス・ワークが最後まで心地よい、オクトジェニックなUSメロディアスHRやAORをベースにしつつウェストコースト要素やキーボードを多用したアメリカン・クラシック・ロック要素もまぶした軽目で柔和なAOR寄りのメロハー作だ。 非常にプロフェッショナルなサウンドのインディ作なれどやはりプロダクションに重厚さが足りず、ボトム・サウンドが些か軽すぎる点は気になるが、それでも十分にソリッドでタイトなサウンドには聴こえ、無名の新人バンドのデヴュー作としては上々の仕上がり具合と言えるのは間違いない。 ただ、USクラッシック・サウンドのエミューレートを試みているのは分るが、モダンな方向性のメロハー・サウンドに纏め上げた為か致命的なまでにUSバンドに特有な泥臭いブルージー・テイストが希薄で、メンバー達が培ってきた豊富な経験が逆に洗練されたアーバン・タッチのスタリッシュなポップロック・サウンドへ昇華され過ぎてしまい、演奏もソングライティングも余りに小慣れ過ぎていて平均的な印象しか残らず、新人バンドらしい無謀な試みや勢い余った熱いパッションや新人ならではの灰汁の強さ等、不完全ながら未知の可能性を感じさせるフレッシュさがどうにも薄く、良く出来ているアルバムなれど『コレ!』と言う個性に乏しく『カヴァー・バンドのヒット曲コンピアルバムを聴いているみたい…』というのが偽らざる感想だろうか。 ギターもキーボードも全編に渡ってソツなくツボを心得えたノスタルジックな雰囲気を漂わす多彩なメロディと美しい音色を紡ぎ、エモーショナルでソウルフルなヴォーカルも終始耳に馴染み易い歌唱を聴かせてくれているのですが、メロディかフックかアレンジなのか『なんだろう…何かがもうちょっとだけ足りない…』そんなもどかしい思いがアルバムを聴き進めるうちにどんどん募っていく、なんとも言えぬ惜しい一枚でした。 後は本バンドの一番の売りだと思う男女ツイン・ヴォーカルなんですが今一つ巧く有効活用されていないような、なんだか Jonna Sailon嬢がバッキング・ヴォーカルばかり担当している風な、もう一つ男女ヴォーカルの差異やハーモニーを活かしきれていないアンバランスな印象で、そこもちょっとインフォから想像したサウンドと違う点でしたね。 言葉は悪いが毒にも薬にもならない、良く出来ているけど平々凡々とした薄味で引っ掛かりが少なく耳を通り過ぎていく作品、というのが残念ながら今の時点での彼等のアルバムへの評価だと思う… 決して酷評されるような作品でもないしバンドの方向性やサウンド、アルバムの仕上がり具合も大変好ましいのですが、今のままだと個性豊かで尽きる事なく次々と北欧からデヴューしてくるエネルギッシュでフレッシュな新人メロハー・バンド達の勢いで脇い追いやられてしまいそう、そんな現時点でのバンドイメージが残念です。 とまれこの先に期待の持てる新人メロハー・バンドなのには違いありませんので、80年代USロックやTOTO、GIANT、HARDLINE、JOURNEY、FOREIGNER等がお気に入りな方なら一度はチェックしてもいいかもしれない新人バンドでありますので、後はご自身の耳で確かめてみてください。 Track listing: 01.Before I Die 02.Hardly Believe It 03.The Game 04.City Of Rain 05.Right Before My Eyes 06.Shotgun City 【 HABIT のCover 】 07.Waiting In The Wing 08.White Light 09.King Of Confusion 10.Hate Stronger Than Love 11.Mr Jackson PLEASURELAND Line-Up: Bjorn Segerblad : Lead & Backing Vocals Jonna Sailon : Lead & Backing Vocals Jalle Westergren : Guitars、Keyboards、Vocals Mathias Andren : Piano、Keyboards Tom Rydell : Bass Martin Fernandez : Drums、Percussion Recorded mixed & Produced By Jalle Westergren
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by malilion
| 2024-10-28 17:28
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LEE ABRAHAM 「Origin Of The Storm」'24 UK第二世代ポンプバンドの生き残りGALAHADの二代目ギタリストでマルチ・ミュージシャン Lee Abrahamの11枚目となるソロアルバムがリリースされたのを即GET! パンデミックの影響を受けてかここ数作ダークなコンセプト作をリリースしてきたが、心の傷も癒えたのか同じ事の繰り返しが嫌いな Lee Abrahamの冒険心がまたぞろ頭をもたげてきたのか、ファンタジックなポンプ、キャッチーなAOR、物憂げなシンフォ、ダークなモダンHM、シネマティックなコンセプト作等々今までにも多彩な音楽性と挑戦的な作風のソロ・アルバムをリリースしてきた流れに従って、ここ数作ゲスト陣の参加数が抑えられた最小編成作が続いたが今回は英シンフォ&メロディアス・ロック系人脈を生かし久しぶりに豪華なゲスト奏者を招いた作品となっている。 冒頭のインスト曲以外で Lee Abrahamは基本ギターとキーボードをプレイするのみで他パートの多くをゲスト奏者やThe Lee Abraham Bandの面々に任せる形で制作されており、全パートを彼が手掛ける時は決まってシリアスな作風になりがちだが、ゲスト奏者を迎えた本作は様々なプレイヤーの音楽性や個性も反映させたカラフルな印象の彩り優れたネオ・プログレ作となったのが一番の特徴だろう。 ヴォーカル・パートは常ならば複数人のゲスト・シンガーに任せるのだが、近年のソロ作で常にそのエモーショナルで伸びやか、情感タップリに力強く歌い上げる抜群の歌声を聴かせてくれている、自身のソロ・シンフォ・プロジェクトTIGER MOTH TALESやCAMELのキーボード奏者としても活躍する英国出身の盲目の天才マルチ・ミュージシャン Peter Jonesと、これまでにも幾度も Lee Abrahamのソロ作に参加し、RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MOON HALO、MANDALABAND等でも深味あるリードヴォーカルを聴かせる Marc Atkinsonの2人だけをシンガーに迎え、ドラムスにはThe Lee Abraham BandのメンバーでありCREDOのドラマーでもある Lee Abrahamソロ作ではお馴染みの Gerald Mulliganが参加している。 他にもゲスト奏者に、90年代英国ポンプ界を代表するプレイヤーでシンフォ系ファンで知らぬ人は居ないだろう鍵盤奏者 Clive Nolan(ARENA、PENDRAGON、etc...)やバンドメイトでもあるGALAHADのベーシスト Mark Spencer(GALAHAD、TWELFTH NIGHT)をはじめ、Paul Drew(THE STUDIO RATSの中心メンバーでGuitar、Production、Mixingをこなす)、Alistair Martin(マルチ・ミュージシャン Robin Armstrong率いるCOSMOGRAFのLIVE Band要員)等と、お馴染みのメンツや今回はじめてソロ作に招かれたプレイヤーも交え大人数で制作され興味深いコラボレーションが行われているので各ゲストのファンな方も見逃せぬ一作だろう。 さて、本作の内容についてだが Clive Nolanという名うてのキーボーディストを招いたのが起爆剤になったのか、それとも楽曲が先に出来て彼を呼ぶ必要にかられたのか、これまでGALAHADと被る様なシンフォ系サウンドのソロ作は意図的に距離を置いてきた Lee Abrahamだが、本作ではのっけからGENESISチックなポンプ風の音数多い華やかなキーボード・サウンドが大活躍し、それが呼び水になったかの様な00年代シンフォのさらに前の自身のバックグラウンドにあるだろう80年代ポンプ・サウンドをコンパクトにモダンに今風に改めたセンチメンタルな叙情感が随所に散りばめられた美しくメロディアスなモダン・シンフォ作となっている! ('(゚∀゚∩ 咽び泣くエモーショナルで繊細なギター・ワーク、優美で幻想的なキーボード・パート、終始メロディアスでコンパクトな楽曲を主導する Lee Abrahamのツボを心得た弾き過ぎぬマルチプレイに加え、ハートフルな叙情を紡ぐヴォーカル・パートを Peter Jonesと Marc Atkinsonがシットリと伸びやかに歌い上げ、随所でゲスト奏者達が印象的な音色を奏でつつ、昨今の世界を揺るがしているウクライナ紛争や自身の幼少期の思い出、精神衛生上の葛藤、そして神話に登場する海のサイレンをテーマにした叙事詩など、大小問わなず様々なテーマを扱い、 自身が得意とする内省的でメランコリックな美旋律とポンプ風味あるメロディアスなロックサウンドで綴っていく、有りそうで無かった英国風味香るネオ・プログレ・サウンドが実に懐かしく知らぬ間に顔がほころんでしまう (*´∀`*) 時折、ハードエッヂの立ったメタリックなギター・サウンドがザクザクとダークなリフを刻むパートが挟まれるが、この辺りのプログHM風ギター・プレイは所謂定番のポンプ作では余り聴かれぬサウンドなので、Lee Abraham的なギタリストとしての“今”の主張なのか、柔和で美しい旋律ばかりになるのを引き締める為のアクセントなのか分かりませんが、確かにアタック感ある荒々しいギター・サウンドがアルバムにメリハリを生んでいるので必要なのでしょう、古式ゆかしいプログレやポンプ・サウンドを求める向きには耳障りなノイズ成分に思えるかもしれませんけど(汗 プロデュースは自身が手掛け、マスタリングはGALAHADのアルバムやモダン・シンフォ作でお馴染みなTHRESHOLDの Karl Groomの手によりダイナミックなサウンドへ仕上げられている。 これだけの充実作の楽曲をGALAHADの最新作『The Long Goodbye』のギター・トラッキング作業に忙殺されていた2023年を通して書き、GALAHADヨーロッパ・ツアーの合間を縫って2024年初頭を通してレコーディングしアルバムを仕上げたとはちょっと信じられない、Lee Abrahamは本当に作業が早くアイディア豊富でその上バイタリティに溢れた活動的ミュージシャンなんだなぁ、良く彼の様な優れたギタリストを再びGALAHADは迎えられたものだ、とGALAHADの選択眼は間違っていなかったと再認識した次第であります。 Lee Abrahamの留まる所を知らぬ音楽的才能を最大限に活用する事が出来れば、長くお手本としてきたMARILLIONと決別した新たなる方向性で更なる高みへ必ずや上り詰めれるだろうと容易く予想でき次なるGALAHADの新作が待ち遠しくなってしまう、そんな Lee Abrahamのソロ作なのでした♪ (゚∀゚) Track listing: 01. Origin Of The Storm 02. The Same Life 03. Chalk Hill 04. Isolation / Disconnection 05. Hole In The Sky 06. When I Need A Friend 07. Siren's Song Musicians: Lee Abraham : Electric & Acoustic Guitars、Piano、Taurus Bass、Keyboards Additional Musicians: Clive Nolan : Keyboards Peter Jones : Vocals Marc Atkinson : Vocals Gerald Mulligan : Drums Mark Spencer : Backing Vocals Paul Drew : Guitars Alistair Martin : Bass Rob Arnold : Piano Ken Bryant : Bass #
by malilion
| 2024-10-27 15:30
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YOUNG GUN 「Bite The Bullet」'89 2002年に英国Escape Musicからセルフタイトルのデヴュー作をリリースしていたDANGER DANGERとMOTLEY CRUEをMIXしてGUNS N' ROSESフレーバーをまぶした様なゴージャスでキャッチー、スリージィでバッドボーイズな90年代アメリカンHRサウンドを轟かせていた、CANADAはBritish Columbia州南西部の都市 Vancouverを拠点に活動していたツインギター5人組バンドFURYの前身バンドに当るツイン・ギター&ツイン・キーボードな5人組YOUNG GUN が1989年にカセット・テープのみで自主制作リリースした唯一のEPが限定200枚でコレクターズCDでリイシューされたので即GET。 2006年に一度、Retrospect RecordsからCD-R盤でリイシューされた事があり、恐らくその音源のコーピーと思われるBoot盤で、一部にノイズが確認出来るのでオリジナル・マスターからのCD化でないのが残念だ… とは言えRetrospect Records盤はRでしたから、今回のBoot盤はちゃんとプレスCDですので経年劣化等が心配な方は買い直しても損は無いでしょう。 元々はPRETTY BOYZという名前で活動していたがYOUNG GUNに名を改め、満を持して6曲入りEPをカセット・オンリーで自主リリースすると、キーボードをフィーチャーした80年代産業ロック風味もあるキャッチーで華やかなUSメロディアス・ロック・サウンドは、当時に趨勢を誇っていた80年代メインストリーム・サウンドに忠実に倣ったブライト・サウンド作だったが、折しも訪れたグランジー・ブームでシーンが様変わりしてしまい、混乱するシーンの中で上手く立ち回れぬ80年代同期バンド達を尻目に些か時間を要したが従来の音楽性を残しつつ産業ロック風味を抑え、器用に当時流行っていたストーリート要素を巧みに取り入れたサウンドへドラマーのみ Paul Coxから Bobby Macへチェンジしバンド名共々変わり身するとEscape Musicからデヴュー作をリリース、したまでは良かったが、やはり80年代風のゴージャスな残り香満載なサウンドが徒になったのかアルバム一枚を残してシーンの闇に消えてしまう… FURY改名とドラムス交代ですが、YOUNG GUNのEP時点でドラムスが複数名参加して録音しているので、もしかしたらそもそもドラムスの席が不安定だったのと同名バンドが複数存在していた可能性(イヤ、FURYも他に居るけど…)は有るでしょう。 FURYではゴージャスで分厚い華やかなバッキング・コーラスを多用しつつ、ヘヴィでリズミックなギターを主軸に展開するタフでフックある90年代風バッドボーイズHMサウンドを聴かせていたが、YOUNG GUN当時はギタリスト2人がそれぞれキーボードもプレイ出来るのを活かし、煌びやかでセンチメンタルな音色のシンセをフィーチャーしつつメロディを第一に考えたフラッシーなギターと朗らかでキャッチーなコーラスと少しハスキーながら良く伸びる Chris Comleyのブライトでパワフルなヴォーカルを主軸に据えた軽やかでフック満載な80年代風グラムHRサウンドを展開していた彼等、どちらの路線のアルバムも素晴らしい出来栄えで、多少没個性なものの当時の激動のシーンの移り変わりを敏感に察知し売れ線サウンドへ巧みにアジャストした器用さに驚かされます。 まぁ、多少後手に回ってしまい当時で言う古臭いサウンドを鳴らしているのは確かですが、それでもダルくて重苦しいグランジーまんまなポーザーと化し、元のサウンドやアイデンティティを見失って迷走する80年代デヴュー・バンド達が当時は多数いましたからね… 因みにFURYのデヴュー作には、当時DANGER DANGERに加入してメロハー・ファンを喜ばせたカナダ人ミュージシャン Paul Laineやカナダ人フィメール・ロック・シンガーとして有名な Chirssy Steele嬢をはじめ大勢の同郷有名シンガー達がバッキング・ヴォーカルでゲスト参加して彼等のデヴュー作に華を添えていました。 流石にプロダクションに金の掛かっているFURYの方がヘヴィ・サウンドの質も楽曲の出来栄えや完成度は上ですが、自主制作EP時点で後の飛躍を十分感じさせるヴォーカル・アプローチやコーラス・ワーク、そして楽曲に巧みにフックを生む作曲能力は既にかなりのレベルで、YOUNG GUN、FURYで彼等が残したアルバムの充実ぶりを鑑みると時代の節目でシーンが混乱しなければ十分にメジャー契約を果たせていただろう実力あるインディ・バンドであっただけに短命に終ってしまったのが本当に悔やまれる… YOUNG GUN、FURY共にUSメジャー・サウンドを研究し巧みに再現しているのだが、やはりそこはカナダ人の血がそうさせるのか、米国バンドと違いメロディに叙情感が仄かに感じられ、サウンドがカリカリに渇いておらず適度な湿り気があり、更に泥臭いブルーズ風味が弱いのが実に日本人好みなサウンドなんですよねぇ (*´ω`*) 殆んど無名に近い存在なYOUNG GUNではありますが、キャッチーでフックあるサウンドはかなりの掘り出し物だしFURYも既に廃盤なので、どうせならカップリング2枚組でどこかのリイシュー専門レーベルがYOUNG GUN、FURYをデジタル・リマスターしてオフィシャル再発してくれないかなぁ~ Track listing: 01. Bite the Bullet 02. Trouble 03. Desire 04. Lady 05. Save Your Love 06. Kiss Away YOUNG GUN Line-Up: Chris Comley (Lead Vocals) Brett Anthony (Guitars、Keyboards、Backing Vocals) Brian Howes (Guitars、Keyboards、Backing Vocals) David Warden (Bass) Paul Cox (Dums) With Additional Musicians: George Criston (Backing Vocals) Larry Gillstrom (Guitars) Pete Olster (Bass) Shane Lansen (Drums) Gary Langen (Drums) #
by malilion
| 2024-10-26 15:35
| 音楽
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