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オランダ産男女ツイン・ヴォーカルのモダン・シンフォ・バンドPERFECT STORM が待望の2ndをリリース!!

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PERFECT STORM 「Stairs」'24

Netherlands北東部Groningen州で Gert-Jan Schurer (Guitar)を中心に結成された、スタイリッシュでモダン、更にキャッチーで多彩なユニーク・サウンドが特徴の、男女ツイン・ヴォーカリストとキーボーディストを含むオランダ産6人組モダン・シンフォ・バンドの2ndアルバムが前作『No Air』'21 より3年ぶりに去年末にリリースされたのを少々遅れて即GETしたのでご紹介。

以前ここでも紹介した90年代末に活躍したオランダ産4人組プログレハード・バンドGALAXYの元鍵盤奏者 Ard Offersが脱退し、代わってWITHIN TEMPTATIONの“次”に来ると目される人気のオランダ産ゴシック・メタルバンドAUTUMNでも活動中の Jan Munnik (Key)を迎え、更にドラマーも Jesse Bosmanから新たにオランダのホーンをフィーチャーしたファンキーなTOP 100カヴァー・バンド GROOVE DEPARTMENTや同じくポップ・ソウルのカヴァー・バンド Mr. MUNGOで叩いていた Wieger Dijkstraを迎えた新体制で初めて制作されたアルバムとなっている。

とても新人バンドと思えぬ完成度と高品質なモダン・サウンドのデヴュー作に驚かされたが、中東Syria出身のリード・シンガー Adel Saflouはオランダ・アンダーグラウンド・シーンでカルトな人気を誇るProgressive Death Metalバンド AMBROTYPEを2013年にソロ・プロジェクトとして開始し現在もバンドリーダーとして絶賛活躍中で、その彼の伴侶である Hiske Oosterwijk嬢とのANATHEMA風のエモーショナルな男女ツイン・ヴォーカルのミステリアスでムーディな二重唱と、その複雑さにも関わらず強引さや悪目立ちは一切せず、要所で緻密なアレンジを効かせた心に残るメロディアスなフレーズや幻想的な音色でタイトでリッドなバンド・サウンドを主導する Gert-Jan Schurerの抜群のギター・ワークの多彩さは前作以上にスムースでモダンなサウンドに様々な表情や深みと美しさを与え、以前は聴かれなかったエキゾチックな民族音楽的アプローチやジャズ・エッセンス、そして如何にもオランダ産バンドらしいデジタリーなエレクトロ・パッセージや叙情的な美旋律が交錯し響き渡るユーロ・シンフォ・サウンドは期待を上回る幅広い音楽性と目を見張るモダンさを示していて、正直2ndにしてここまでサウンドに磨きをかけて来るとは予想外でありました。

本作の予想以上の飛躍は、間違いなく新加入の2人がもたらした多様な音楽要素と、特に人気カヴァー・バンドで様々な楽曲を独自にアレンジし披露する事で好評を博してきた Wieger Dijkstraの巧みでソリッドな表情豊かなドラム・サウンドが起爆剤となっているのは間違いなく、そんな新加入の2人に刺激されたのか Gert-Jan Schurerも時にハード・エッヂあるダークでヘヴィなギター・リフでアグレッシヴに攻め立て、またある時はメロゥでメランコリックな旋律をクラシカルに紡ぐなど、決してフラッシーではないものの前作以上にダイナミックで冒険的、そして繊細で華やかなハーモニーの響きが魅惑的なギター・プレイを聴かせてくれている。

また前作では幾分か典型的なシンフォ・スタイルのヴォーカル・パフォーマンスや歌唱を聴かせていた Adel Saflouと奥方 Hiske Oosterwijkのヴォーカル・アプローチにも大きな変化が見て取れ、力強いデュエットや表現力豊かな美しいハーモニーはそのままに、新たにANATHEMA風のエキゾチックでミステリアスな叙情美を加え楽曲で描き出される世界観を構築していく様はファンタジックでドリーミィなだけでなく前作以上の冷ややかさやダイナミックなパワーも感じさせ、様々なスタイルやジャンルの音楽要素を巧みに取り込み一糸乱れぬバンド・アンサンブルでバランス良く纏め上げた、まさかのLEVEL 42にも通じるモダンでスタイリッシュ、そしてエネルギッシュでキャッチーなシンフォニック・サウンドに印象的な特徴と色濃い陰影を生み出しているのは間違いない。

多彩なセッションや音楽活動で培った Gert-Jan Schurerの経験と幅広いギター・サウンドが本バンド・サウンドを特徴づけているのは間違いないが、本人も認めている様に間違いなく“第二のPINK FLOYD”と評価された Steven Wilson率いるPORCUPINE TREEからの影響は大きく、更に Pat Methenyの様なジャズ・タッチ、Hans Zimmerの様な映画風なサウンド・エフェクト、Aphex Twinの様なエレクトロニック・パイオニアからの影響をブレンドし生み出したユニークなモダン・ユーロ・シンフォサウンドだと自己分析しており、そこに Adel Saflouの持ち込む中近東要素やジャズ畑の Hiske Oosterwijk嬢が持ち込むヴォーカル・アプローチ、更に新加入の Jan Munnikが間違いなく持ち込んだであろうゴシック・メタル的な鍵盤サウンド、そしてどんなジャンルの音楽でも巧みに解析しタイトでソリッドなリズムに昇華してしまう Wieger Dijkstraの叩き出すグル-ヴィなビートが合わさって新生PERFECT STORMサウンドをその他のシンフォ・バンド達と一味違う捻りの効いた、けれど決して小難しく無い親しみ易い爽快感あるロック・サウンドにしているのだろう。

ただ、少々スタイリッシュに纏まり過ぎて所謂一般的なインディ・シンフォ・バンドの鳴らす素人臭さのあるサウンドと違い耳に馴染良過ぎて通り過ぎてしまうフュージョンっぽい無色透明なサウンドに聴こえる瞬間もあり、演奏も余りにコンパクトでバランス良く繰り広げるものだからロック作としては些か引っ掛かりの弱い、心地良過ぎる美旋律が滔々と流れ気が付けば曲が終わっているそんな灰汁や癖の無さが、上手過ぎて文句をつけるのもなんだがシンフォ定番のフォロワー臭さも極めて希薄なのが逆にインパクトを弱めている風にも思えたりする、既にベテラン級とも言えるソツ無い仕上がり具合にしか逆にケチをつける所が無い、けれどデヴュー作ほど強烈なインパクトや鮮烈な印象を残さない、多彩で巧み故に散漫な雰囲気に包まれているそんな風に思える一作であります。

まぁ、単純に私の音楽的な教養が足りず彼等の奏でる複合的な音楽性と高い演奏技術等を耳が捉え切れていないだけ、という可能性の方が高いと思うので戯言と思って聞き流して下さい…

とまれキャッチーでポップな楽曲を彩る爽快なコーラスハーモニーとエモーショナルでパワフルな歌声が特徴のクリアーな透明感あるデジタリー風味も隠し味にしたモダン・ユーロ・シンフォ作がお好みな方やANATHEMAやPORCUPINE TREEのファンな方、そして叙情感あるプログレとポッフスの折衷モダン・サウンド作がお好みな方などは、もし興味あるようでしたら是非一度ご自身の耳で本バンドのサウンドをチェックしてみて下さい。

Track List:
01. Demon's Dance
02. Skin Deep Sky
03. Don't Go
04. I Am Tomorrow
05. Misspend
06. Stairs
07. Depraved Mind

PERFECT STORM Line-up:
Gert-Jan Schurer : Guitars
Adel Saflou : Lead Vocals
Wieger Dijkstra : Drums
Jan Munnik : Keyboards
David Klompmakers : Bass
Hiske Oosterwijk : Vocals


# by malilion | 2025-02-11 16:38 | 音楽 | Trackback

ドイツ産アメリカンHMバンドCASANOVAのデヴュー作がEP音源を追加して最新デジタル・リマスターでオフィシャル・リイシュー!!

ドイツ産アメリカンHMバンドCASANOVAのデヴュー作がEP音源を追加して最新デジタル・リマスターでオフィシャル・リイシュー!!_c0072376_14132230.jpg
CASANOVA 「Casanova +6」'25

90年代にドイツを中心に活躍したアメリカンHRスタイルな4人組ジャーマン・メロディアスHMバンド CASANOVAの1991年リリースなデヴュー作『Casanova』がメロハー作リイシューで有名なフランス Bad Reputation レーベルから最新リマスター&ボーナストラック追加でリイシューされたのを即GET!

オリジナル・リリースは1991年ながらここ日本では2nd『One Night Stand』と同時リリースだった為に1992年リリースであった本作、その後1999年に一度国内盤でリイシューされ、2009年にロシア盤でリイシュー、2010年に2曲のボーナストラックと3曲のLIVEトラック、そして2ndリリース後に日本先行で1993年リリースのアコースティックEP『Some Like It Different... Acoustic』収録曲から2曲追加した米国Divebomb Records盤がリイシューと、その他にも海賊盤が幾度かリリースされて来たメロハー・マニアに好評な一作であります。

因みに最新リイシュー盤である本作ボーナストラック6曲は前記のEP『Some Like It Different... Acoustic』収録曲が全てリマスターを施され初収録されており、以前の米国盤の中途半端な収録でない完全リマスター状態で再び好盤EPが楽しめる、個人的に彼等のアルバムの中で一番好きな音源が遂にリマスター&リイシューが成された絶対に見逃せぬ一品でした♪ (゚∀゚)

とは言え米国リイシュー盤にはそこにしか収められていないボートラが2曲収録されているので音源的な価値は未だにある貴重盤なのに変わりありませんのでご注意を。

80年代中期頃からドイツ・シーンで活動を開始し、今やドイツのメロディアス・ロック界でも1、2を争うワーカホリックとして知られ数々のバンドで平行活動を続けながら、幾多のセッションやプロジェクト、ソングライター、ギターも弾けるのでLIVEヘルプ要員やプロデューサーとしても多岐に渡る仕事とレコーディングを無数にこなし、とても全てを追い切れぬ Michael Voss (MAD MAX、WOLFPAKK、CASANOVA、DEMON DRIVE、PHANTOM Ⅴ、Michael Schenker、ex:SILVER、etc...)と元WARLOCKのドラマー Michael Eurich (後にDOROの作品に参加)を中心に1988年に結成され、ドイツの地元バンドTIGERBEATで活躍していたギタリスト Stephan Neumeierを続いて迎え、RAINBIRDSの元ベーシスト Juergen Attigを最後に迎えてラインアップが完成し、Michael Vossのハスキーな良く伸びる歌声とメロディアスでキャッチーなフック満載な本作がリリースされたのでした。

Michael Vossのハスキー・ヴォイスにアメリカン・テイスト溢れるキャッチー・サウンドが特徴な為、当時『ドイツのBON JOVI』的な紹介のされ方をされていたように覚えていますが、90年代初頭と言えば80年代メジャーシーンを席捲したBON JOVIは燃え尽き症候群により活動休止中、そしてメインストリームには暗黒のグランジー・ブーム到来とメロディアス系バンドを愛聴するファンにとって喜ばしい時代ではなく、CASANOVAも売り上げが低迷した為かWEA Recordsとの契約が途切れて活動休止状態に陥り、1999年に6年ぶりに日本盤でのみ3rdフルアルバム『Heros』を、その後EP『Sway』を同年に Avexレコードからリリースし、後にAOR HEAVEN Classix盤で『Heros』と『Sway』そしてシングルの『Shine It All On』を収録しデジタル・リマスターを施された2枚組アルバムとして2010年にリリースした他、2004年に今の所最新作である4th『All Beayty Must Die』をリリースした後は主だった活動はしておらぬものの未だに正式な解散発表も無く、中心人物である Michael Vossさえその気になれば何時でも再始動出来るだろうバンドではありますので気長に新作が届られるのを待つしかありませんね。

80年代米国シングルヒットの教科書に倣った音楽性のアルバムを残してきたCASANOVAではありますが、デヴュー当時から露骨なアメリカン・テイストのサウンドながらその後ろに隠しようもなく叙情感あるユーロ・ロック特有な美旋律や音使いが感じられ、改めて聴き直して見ても今でいう欧米折衷サウンドの走りのようなバンド・サウンドと完成度高いアルバムだったんだなぁ、と再確認した次第で、月並みな表現ですが“時代が悪かった”としか言えぬ、そういう不運なバンドでありました…orz

今回のリマスターでクリアーで奥行あるサウンドと芯の増したボトムサウンドが楽しめ、鳴りの重要なアコースティツク作でその効果が特に感じられ個人的に大満足であります♪ (´∀`) スバラシー

とまれキャッチーでポップなキラキラした80年代アメリカンHRや軽めなアメリカンHMがお好みな方なら間違いなく気に入る事請け合いな一作ですので、気になるようでしたら是非一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。

Track List:
01. Don't Talk About Love
02. Burning Love
03. Living a Lie
04. The Girl is Mine
05. Rome Burns
06. Love Lies
07. Bang Bang
08. Sticky Sweet
09. Back to the Wall
10. Ride the Wings of Freedom
11. Hollywood Angels
12. Heaven Can Wait

Bonus Tracks: Some Like It Different... Acoustic (1993)
13. Judy
14. Hollywood Angels
15. I Believe in You
16. Out of the Blue
17. Seal it With a Kiss
18. Love Lies

CASANOVA 1991 Line-up:
Michael Voss : Lead Vocals、Guitars
Michael Eurich : Drums、Percussion、Backing Vocals
Stephan Neumeier : Lead Guitars
Juergen Attig : Bass

CASANOVA 1993 Line-up:
Michael Voss : Lead Vocals、Guitars
Michael Eurich : Drums、Percussion、Backing Vocals
Stephan Neumeier : Lead Guitars
Jochen Mayer : Bass、Backing Vocals

P.S.
プリントミスで楽曲数に誤りがあり、リイシュー作の総曲数が19曲とクレジットされていますが正しくは18曲収録で、何故か6曲目が抜けて5曲目の次に7曲目となっておりちょっと混乱させられますが、CD内の楽曲表示は間違っていないのでご安心下さい。

# by malilion | 2025-02-07 14:13 | Trackback

北欧デンマークのメロハー&AOR専門レーベル Lions Pride Musicが設立十周年を記念して所属バンドの未発音源コンピレーション盤をリリース!

北欧デンマークのメロハー&AOR専門レーベル Lions Pride Musicが設立十周年を記念して所属バンドの未発音源コンピレーション盤をリリース!_c0072376_17221605.jpg
LIONS PRIDE MUSIC 「King Of Beasts」'24

長らくメロハー系バンドを追いかけている洋楽ファンであればその名を一度は目にした事があるだろう、北欧デンマークのメロハー&AOR専門レーベル Lions Pride Music が設立十周年を祝うスペシャル・コンピレーション・アルバムを新年早々にリリースしたので即GET!

Lions Pride Musicに限らず欧州のメロハー・レーベルはこの手のコンピ盤を新人バンドサンプルとして良くリーズナブルなお値段でリリースしている印象ですが、本作も一連のメロハー系コンピ盤と同じくレーベル所属バンドのアルバム未発表曲、リミックス、別ヴァージョン等を収録し、所属バンドを全く知らぬ新規層に対してのサンプルとしての側面とそれぞれのバンドの熱心なファンにもしっかり訴求する“一粒で二度美味しい”コンピ盤であります。

個人的には北欧ハードポップ・バンドSTONEFLOWERの元メンバーが新たに立ち上げた北欧ノルウェーのAORバンド MASAKI、南米コロンビアのHR&AORバンド COUNTERLINE、ギリシアの80年代風シンセウェイヴ・ポップバンド SILVERNITE、ギリシャのAORプロジェクト STRANGERLAND、南米アルゼンチン出身のシンガー&ソングライター&ギターリスト Martin Perticone率いるメロディアス・ロックバンド PERTICONE、南米チリのメロハー・バンドHUNTERのヴォーカリスト Eddi Vantez、チリ産キーボード入り5人組メロハード・バンド LOUD SOLUTIONの新ヴォーカルをフィーチャーした新録音源等に惹かれ本コンピ盤を購入してみたのですが、意外や意外な事に他のメロハー系コンピと違いアルバム未収録な新曲の大盤振る舞いで大満足でした♪ ('(゚∀゚∩

恐らく来るべき2ndアルバムに収められるだろうMASAKIの新曲がデヴュー作収録曲以上にAORとハードポップのMIX具合が小慣れた爽快でキャッチーな洗練された仕上がりとなっており本コンピを購入していち早く新サウンドを確認したのは大正解だったと思います。

MASAKIの新譜リリース情報が伝えられたら即予約せねば! (゚∀゚)

ギリシアのAORプロジェクト STRANGERLANDのフィメール・ヴォーカルをフィーチャーした男女デュエット形式の新曲もアルバム収録曲以上の完成度で、ロック・バンド不毛の地ギリシアで、しかもプロジェクト形態な為に既にユニットが存在していないのかも、と危惧していたがちゃんと現在も活動継続中で一安心だ。

COUNTERLINEの音源もアルバム未収録の新曲で、2ndで披露した音楽性と同一方向ながらよりハードエッヂを際立たせ、更にここでアルバムを紹介した時に危惧していたヴォーカルの技量不足を感じさせぬヴォーカル・レンジとミッドテンポでしっとり歌い上げる楽曲形態は、バンドの顔である Harold Walleのソフトな歌声を上手くカヴァーする仕上がりとなっており、些か無理な歌唱レンジを歌わせていたアルバム収録曲と違い来るべき3rdアルバムの仕上がり具合には期待が持てそうだ。

SILVERNITEはアルバム収録曲のオーケストラ・ヴァージョンという、一見するとオクトジェニックな音使いと最近流行のシンセウェイヴ・サウンドをMIXしシンセナイズを施すバンドサウンドにミスマッチに思えるが、意外にノスタルジック・テイストと叙情感を強めた味付けをされた80年代風のセンチメンタルなロックバラードを思わす仕上がり具合がハマっており、シンセサウンドを抑え気味にする新境地を今回初披露しているファン注目の別ヴァージョン曲であります。

何れの音源も本コンピ収録のみというのが勿体ない、なかなかな優れものでありますので各バンドのファンは見逃すには勿体ない要チェックなコンピ盤なのは間違いありませんのでフィジカル盤をお求めの方はお早目にネ! (*´∀`*)

個人的には同じく Lions Pride Music所属で一度新譜インフォが伝えられたNIGHTFOXの続報が無い(何時の間にか7月までリリースデーが延びてる…)のが気になりますが、デヴュー作も拘りに拘って発売日が二転三転した経緯もあったので未だになんだかんだと手を加えてアルバムと楽曲の完成度を上げているのだと信じたいですね。

Track List:
01. MASAKI - Nowhere To Run
02. COLD DROP - One Life (AB Mix)
03. LOUD SOLUTION - Not Provided (2024 Version)
04. WILD ROSE - Alone (2012 Version)
05. STRANGERLAND - Don't Be Afraid Of Love
06. PERTICONE - Save Me Tonight (Alternative Version)
07. AILAFAR - As Long As I've Got You
08. COUNTERLINE - Alone
09. MASON - Whatever It Takes (Orchestral Version)
10. SILVERNITE - Show Me The Way (Orchestral Version)
11. Eddie Vantez - Healing Touch (Remix)
12. VOODOO ANGEL - Broken (Orchestral Version)


# by malilion | 2025-02-06 17:22 | 音楽 | Trackback

オランダ産ベテラン・シンフォ・バンドTIMELOCKが再始動第二弾作を2年ぶりにリリース!!

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TIMELOCK 「Atomic Swap」'24

前作『Sygn Yn』'22 で14年振りに復活しユーロ圏の90年代ポンプ総本山レーベルだったオランダSI-MUSICからの1992年デヴュー作以来彼等を追い続けていたポンプ~ネオ・プログレ・ファンを歓喜させた、女性バッキング・シンガー2人を含むツイン・キーボード8人編成オランダ産シンフォ・バンドが前作から2年ぶりに6thオリジナル・フルアルバムを去年末にリリースしていたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

前作をここで紹介した際に『再始動に合わせて旧譜を全てリマスターして収めたBOXがリイシューされるかも』とシンガー Ruud Stokerが語っていたがやはり高額となるBOXは見送られた模様(デジタル音源では纏め買い出来るDLセット有)で、代わって旧譜を一作毎にボーナストラックを追加した2枚組にしてリイシューしたり、再始動前にリリースされていた旧譜4枚の中でも評判が良く優れた楽曲に新アレンジを施し現メンバーで新録した再録BESTとも言える『Contemporary Vintage』がデジタルと限定アナログLPにて2023年に販売されるなど再始動後は矢継ぎ早に音源リリースが続いていたのでファンとしては『え? もう新作?』と、驚きを隠せぬがそれだけ現在バンドの状態が良くクリエイティビティが高まっている証左なのだろう。

デヴュー時はポンプ系としてはヘヴィなギターもフィーチャーしたソリッド・サウンドが異色なれど全体的にはポンプ~ネオ・プログレ路線の如何にもSI-MUSIC所属バンドという印象で、活動休止前作『Buildings』'08 時点で既にポンプから脱却したシンフォ・サウンドへ大きく変化していたのは以前お伝えしたが、Ruud Stoker (Vo)と元YWISの Julian Driessen (Key、Synth)のオリジナル・メンバーを中心に再始動した前作は久しぶりの復活作故か現在主流となるシンフォ・サウンドを意識したのだろう必要以上にモダンな音使いとデジタリーな響きの強い楽曲が占められており従来のファンを驚かせたが、殆んど休みなく活動していたから当然メンバーは前作から変化しておらず、そんな安定した創作環境が更なるメンバー間のコミュニケーションとアイデア交換を促進させたのか前作以上に一体感とアンサンブルの向上したメロディアスで荘厳な美旋律が詰め込まれた、フックある甘美なギターと初期ポンプ作を思い起こさせる音数多く派手なシンセと本物に迫るオーケストレーションが効いた鍵盤サウンド、そしてエモーショナルなヴォーカルとユーロ圏バンド特有の冷ややかでメランコリックなコーラス・ハーモニーが主導しつつネオ・プログレ・テイストも仄かに漂わす旧来からのファンへのフォローも忘れぬ気の利いた力作となっている。

前作から加入した鍵盤奏者 Arjen van den Boschの手によるオーケストラル・アレンジが前作以上に壮大で重厚な楽曲の随所で強調されており、そこに従来のTIMELOCKカラーを感じさせる Julian Driessenのポンプ・テイストある弾む様なシンセ・サウンドが軽快に絡みつつ色濃い陰影を刻みながら巧みに展開し、Coby女史と Laura女史により補強されたヴォーカル・パートの分厚く壮大な男女混成コーラスがある時はユーロ・シンフォらしくメランコリックに、ある時はUSシンフォの様なキャッチーで爽快な歌声を響かせ長尺曲を飽きさせる事なくドラマティックに彩る様は素晴らしく、生っぽさは希薄ながら逆に電子音楽の本場オランダらしくデジタル・アクセントが効いたモダン・サウンドの洗練され具合と相反する様に至る所で90年代ポンプ・ロックを彷彿とさせる懐かしい音色とファンタジックな旋律が奏でられ複雑なモザイク画を描くかの様なシンフォ・サウンドが実に個性的で大変興味深いアプローチと言えるだろう。

初期作で顕著な英国HRからの影響あるドライヴ感やハードエッヂなタッチは薄れ、リズムワークのパワフルなソリッドさも後退したが、代わって楽曲全体の壮大なスケール感やオーケストラルで優美な音色の響きは一段と増し、派手さよりもメロディに重きを置いた説得力あるギターやシンセが織り成すパッセージや印象的なソロの数々はより向上するなど、更に重厚で華麗な男女混成コーラス・ワークは現在流行の男女ヴォーカル編成なユーロHMバンド群を思わす再結成以降のトレードマークとなっており、分かり易く爽快でけれどもチープでフォロワー臭の強い90年代初期ポンプ・サウンドを求める向きには些か大仰過ぎる風に聴こえるかもしれぬが、長い休止期間の後に最新のモダン・シンフォへサウンド形態がクラスチェンジした今のTIMELOCKに懐古趣味的サウンドを期待するのは最早お門違いでしかなく、ポンプ~ネオ・プログレ・バンド達が忘れていた命題『進化』を果たし生まれ変わった彼等が描き出すドラマチックな美旋律の数々に耳を傾けメランコリックな音使いと洗練されたデジタル・アプローチの機微を素直に楽しむべきではないだろうか?

まぁ、そんな事を言って置いてなんですが私個人としてももうちょっと初期ポンプ・テイストを感じさせてくれる叙情感あるキャッチーなメロディが強めだと嬉しかったりする(汗)のですが、やはり最先端で電子音楽の本場オランダで活動する“今”のバンドである彼等にそんな懐古的趣味を期待するのは酷なのは百も承知しておりますので、そこは無いもの強請りと納得するしかありませんね…

既に大幅に構成メンツも変わりデヴューからかなりの年月が経過したのだから大昔の自分が好きだったポンプ・サウンドから大きくズレる音像に成ったのは当然だし、彼等が健全な創作活動をしている証でもあるので嬉しくもあり些か寂しくもあり…あ~、古参ファンってこうして原理主義に陥るんだろうなぁ~(汗

とまれ70年代オランダ・プログレ・シーンを代表するバンドの一つKAYAKを思わせる幻想色を湛えたファンタジックで壮大なキーボード主導サウンドなど、今となっては珍しくなった80~90年代ポンプを継承するキャリア30年超えのベテランらしい深みある荘厳な楽曲とメランコリックな音使いを楽しめるユーロ・シンフォ・サウンドがお好みな方は一度ご自身の耳で本作をチェックしてみて欲しいですね。

Tracklist:
01.Inuit
02.Bachimo
03.Stranger Within
04.Lost In Your Mind
05.The Universe
06.Artificial Intelligence
07.Passage To Rapa Nui
08.Until Darkness Calls
09.Watch The Crime ! (Do We Care?)
10.Insomnia

TIMELOCK Line-up:
Ruud Stoker : Lead & Backing Vocals
Julian Driessen : Keyboards & Synthesizers
Martin Hendriks : Lead & Rhythm Guitars
David Guurink : Bass
Rob Boshuijzen : Drums & Percussion
Arjen van den Bosch : Orchestral Keyboards & Piano
Coby van Oorschot : Backing Vocals
Laura Eradus : Backing Vocals、Lead Vocals on Track 04



# by malilion | 2025-02-04 16:35 | 音楽 | Trackback

カナダのメロディアスHRバンドBOULEVARDの2ndアルバムがリマスター&ボーナストラック追加でオフィシャル・リイシュー!!

カナダのメロディアスHRバンドBOULEVARDの2ndアルバムがリマスター&ボーナストラック追加でオフィシャル・リイシュー!!_c0072376_16450011.jpg
BOULEVARD 「Into The Street + 4」'24

近年オリジナル・メンバーを中心に再結成し4作目となる再始動作『Boulevard IV ~ Luminescence』を2017年にリリースして長年彼等の復活を待ち望んでいたメロディアス・ロック愛好家を歓喜させたサックスとキーボード入り6人組カナディアン・メロディアス・ロックバンドBOULEVARDが、1988年リリースのデヴュー作『BLVD.』に続きメジャーのMCAレコードから1990年にリリースした2ndアルバム『Into The Street』をフランスのマニア御用達レーベル Bad Reputationより4曲のボーナストラックを追加して24年度リマスターを施しオフィシャル・リイシューしたのを即GET!

1983年結成のカナディアン・メロディアス・ロックバンドである彼等は、当初はドイツで2枚アルバムがリリースされるのみであったがその後にバンドの活動拠点を本国カナダに移して活動を続行させ、同郷バンドGLASS TIGERやBOSTON等ともツアーをし2ndのキャッチーでメロディアスな素晴らしい出来具合に呼応するかの様に益々バンドの名声は高まったもののメジャー・シーンを襲ったグランジー・ブームの波に呑まれ、ヒットポテンシャルの高い作品を残しながらも1992年に解散を迎えてしまう…

1990年リリース当初よりメロディアス愛好家の間では好評を博した本作だが、時流の変化故か碌なプロモーションもしてもらえずその存在が広く知られる事なく解散を迎えてしまった為、後から彼等のアーバンテイスト香る洗練された美旋律の数々が詰め込まれた作品の素晴らしさ具合を聞きつけてアルバムを苦労して入手した諸兄も多かっただろう本作、実は2010年に一度だけリマスター&リイシューされておりその際はオリジナル通りの10曲収録でありましたが今回はボ-トラを追加し更に最新2014年度リマスターを施し14曲収録とリイシュー作らしいボリュームアップが図られており、1990年のオリジナル盤や2010年リイシュー盤をお持ちの方もチェックして置いて損はない注目盤だ。

再結成には参加しておらず古参ファンの涙を誘った本バンドのキーマンの一人であったギタリスト Randy Gouldが活躍した最後の作品である本作、再結成作ではキャリアを重ねた結果か渋い味わいと円熟味を増した芳醇な大人のメロディアス・ロックを披露していた彼等ですが、解散前の本作では如何にも80年代の残り香が漂うメロディアスでキャッチーな当時のメインストリームに即したラジオフレンドリーでアーバンテイストな洗練されたAOR寄りハードポップを披露しており、カナダ産バンドらいし冷ややかでスムースなコーラスワークやさり気なく華やかな演出とアレンジを担うキーボードワーク、ムーディーで官能的なサックス、そして随所に漂う叙情感とユーロ・ロックテイストが魅力的な楽曲と極上の美旋律に埋め尽くされた産業ロックにも通じる本作のコンパクトでハイセンスなサウンドと、その瑞々しい感性が煌めく様はとてもこの後すぐに解散してしまうバンドの鳴らす音と思えず、今聴き直してみても本当に堪りません♪

今の渋くエモーショナルで説得力の増した David Forbesのヴォーカルも素晴らしいですが、やはり若かりし頃の本作で披露している生き生きとした甘く伸びやかでクリアーなハイトーンが美しい歌唱の方が都会的でシャレオツな如何にも産業ロック・テイストある本作のサウンドにピッタリだったなぁ、と納得しきりであります。

もう一人のサウンドのキーマンであるキーボーディスト Andrew Johnsのプレイは当初どちらかというとバッキング・メインだったのと Randy Gouldの剛柔幅広く表現するシャープでメロディの際立ったギター・サウンドの方が目立っていたが、再結成以降はググッとその存在感を増したので彼の弾くセンス良いシンセや小気味よいピアノの響きが気に入っている方はもしかしたら再結成してからの作品の方がお好みかもしれません。

本バンドの一番の特徴であるサックス奏者 Mark Holdenのプレイは再結成以降の落ち着きの増したAORテイスト強めなサウンドの方がマッチしているしその特性を活かせているように思え、デヴュー作に続き本作でも随所でその存在感をしっかりと感じさせるムーディでエキセントリックなサウンドを鳴らしており個人的には再結成前と後で余り印象に変化は無いが、LIVE等を見ればまた印象が変わるかも。

因みにリズム隊がデヴュー作からゴッソリと変わっているが音楽性に特に大きな変化はもたらしてはいない。

又、今回追加されたボーナストラックの4曲はデヴュー作収録曲をリマスターしたものとなっており、本作の自然な響きのリズムワークと異なりボトムの音がかなり作為的(リヴァーヴが…)で当時流行っていた打ち込み風なUKポップ・テイストやを感じ、彼等がデヴュー作から2ndでどういった方向へサウンドを進化させたのかが良く分かって大変興味深く、この流れに乗ってデヴュー作も最新リマスター&リイシュー(2009年に一度リイシュされてるけど…)してくれる事を祈りましょう。

しかし、どうせボートラ追加するなら2ndアルバムのシングルカット曲のアルバム未収録カップリング曲を追加して欲しかったなぁ…(´A`)

元々メジャー・リリース作でしたので音の悪いアルバムではありませんでしたが今回のリマスターでよりシャープで奥行ある音の抜けが向上した爽快サウンドへお色直しされたブライトでフック満載なメロディアス・サウンドの素晴らしさ具合を是非旧譜をお持ちの方に確かめてみて欲しいですね。

Track List:
01.Talk To Me
02.Where Is The Love
03.Lead Me On
04.Eye Of The Hurricane
05.Light Of Day
06.Crazy Life
07.Rainy Day In London
08.Where Are You Now
09.Need You Tonight
10.Eye To Eye

Bonus Tracks:
11. Never Give Up
12. When The Lights Go Down
13. Dream On
14. Missing Persons

BOULEVARD Line-Up:
David Forbes : Lead Vocals
Randy Gould : Guitars
Andrew Johns : Keyboards
Mark Holden : Saxophone
Tom Christiansen : Bass
Randall Stoll : Drums


# by malilion | 2025-01-30 16:45 | Trackback