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米プログレッシヴ・ロックバンド KANSASのドラマーでリーダーの Phil Ehartが重度の心臓発作でツアー離脱!


アメリカン・プログレッシヴ・ロックの重鎮バンド KANSASのオリジナル・ドラマーでありリーダーでもある Phil Ehartが重度の心臓発作を起こした。

幸い命に別状はなく、現在は静養しているが当面の間はツアー活動から離脱する事に。

Phil Ehartはバンドのマネージャーでもありその役割は継続するという。

代役は以前ヘルプで叩いた事のある Eric Holmquistで、彼は20年以上に渡って Phil Ehartのドラム・テックを務めていた人物。

ここの所、色々と訃報が飛び込んで来ていただけに一瞬ドキッ、としましたが無事で何よりでありました。

とは言え、Phil Ehartはもうかなりの高齢なので、いつ何があってもおかしくないのは周囲も承知している事でしょうから、そろそろ一線を退く潮時なのかもしれませんね…悲しいな…

KANSAS 50th Anniversary Tourは、2024年3月1日のヴァージニア州リッチモンドから以前の告知通り開催される予定。


# by malilion | 2024-02-25 17:37 | 音楽 | Trackback

ネオクラHMバンドARTENSIONで知られるウクライナ人キーボーディスト Vitalij Kuprijが死去。


ARTENSION、RING OF FIRE、TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA等やクラッシック音楽のソロ奏者としても活躍していたウクライナ出身のクラシックピアニストであり、ロックバンドのキーボーディストである Vitalij Kuprijが死去。

死因は明らかにされていないが、彼の長年の友人であるフィンランド人ギタリストでソングライター、プロデューサー、そしてLion Musicを運営する Lars Eric "Lasse" MattssonがSNSで訃報を伝えた。49歳だった。

まだ若かったのに…もう彼のダイナミックで華麗な鍵盤捌きを聴くことは叶わない…

RIP...Vitalij Kuprij...


# by malilion | 2024-02-22 21:40 | 音楽 | Trackback

幻のクリスチャンHMバンドCATALYSTが1990年に遺した唯一のフル・アルバムがオフィシャル・リイシュー!!

幻のクリスチャンHMバンドCATALYSTが1990年に遺した唯一のフル・アルバムがオフィシャル・リイシュー!!_c0072376_14285541.jpg
CATALYST 「Paradise」'90

サーファーご用達ブランドと同じ名前で混乱させられるが、彼等は1987年に米国中西部Ohio州Summit郡の都市 Cuyahoga Fallsでシンガーの Walt Wiseを中心に結成された4人組クリスチャン・メタル・バンドCATALYST (カタリスト)で、1990年に自主制作盤でリリースされたマイナー米国CCMバンドが遺した唯一のフル・アルバムが、以前ここでも紹介したスイスの幻のバンドOXIDOの唯一作をリイシューした事で注目を集めたイタリアのMinotauro レーベルからオリジナル通りの12曲入りスリップケース付き仕様でオフィシャル・リイシューされたのを即GET!

大剣を持ったマッチョ野郎がアルバム・ジャケにあしらわれており『暑苦しいエピック路線のパワー・メタル・バンド?』という予想に反し、清楚で爽快、キャッチーでフック満載なクリスチャン・メタル(笑)が飛び出してきて驚かされるが、90年代初頭リリースの自主制作盤な上にCCM系とUSオブスキュア・バンドの条件を見事に満たしており、そもそもプレス数が少ない為にカセット・テープ共々デヴュー作のオリジナルCDは現在なかなか手の出ぬ高値で取り引きされているカルトなレア盤をリイシューするとは、流石は目の付け所が鋭いイタリアのMinotauro レーベルと納得しきりだ。

因みにCATALYSTとは罪なる体を清める事を提唱する中世のキリスト教宗派に属する信者の事で『純粋』を意味するギリシャ語『katharos』に由来している。

本作リリース前の1987年に4曲入りカセットEP『Catalytic Conversion』を自主リリースしており、フルアルバム『Paradise』制作前にオリジナル・ドラマー Tony Rinellaが抜け、新たなドラマーとして Matt Stevensが加入。

80年代末期に活動していたCCM系バンド、OXIDOやFLORENCE 99という幻のメロディアス作の待望のリイシューを果たしたMinotauro レーベル・リリース、な情報で予想はつくと思いますが、80年代USバンドに相応しいフックある爽快なメロディアスHMチューン目白押しで、CCM系お得意のクリアーなハイトーン・リードヴォーカルと分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカル、メンバー複数がSTYX張りにリード・ヴォーカルを執ったり、更にリーダー Walt Wiseが操るピアノとサックスもフィーチュアしたムーディーで美しいバラードも当然の様に収録と、要所でハードエッヂなギターもフィーチャーしつつ煌びやかなキーボードも薄っすらバックで聴こえ、ソリッドなリズムワークもしっかりとしたコンパクトでラジオフレンドリーなシングル志向の楽曲満載な80年代USメロディアスHMアルバムの教科書的構成作となっており、メロハー・ファンにもお薦め出来る掘り出し物的一品だ。

実際、彼等は本作リリースの後、即座にスプリング・アーバー・ディストリビューターズとワールドワイド・ディストリビューション契約を結び、Atlantic RecordsやOcean Recordsを含む複数のレーベルから興味を持たれる中で全米ツアーを敢行、『Paradise』完成直後にドラマーを1983年からアルバムをリリースし既に活動していたCCM系アメリカン・メロディアスHMバンドBRIDEの元オリジナル・ドラマー Stephan Rolandへ再びチェンジするなど、Contemporary Christian Music Magazine、White Throne Magazine、Heaven's Metal Magazine等から絶賛された事からも分る様に無名の新人インディ・バンドとしてはCCM界周囲から大きな期待を寄せられていたのが察せられるが、折り悪くメジャー・シーンの時流が変り全世界がグランジーの闇に呑み込まれてつつあった90年代初頭、特殊なカテゴリーとは言えやはり米国シーンの影響をCCMチャートも受けないハズもなく、素晴らしい音楽性とは無関係に80年代直系のブライトでハッピー、キャッチーで爽快なCATALYSTのサウンドが受け入れられぬままに、結局は1991年に解散してしまう。

この顛末に納得行かなかったのかバンドの中心人物でシンガーであった Walt Wiseは1994年に殆ど単独で楽器全てを演奏し、エンジニアリングやプロデュースも全てこなして完成させた実質的ソロ作な全メンツを新たにしたCATALYSTを再始動させ3曲入りカセットEP『The Mystery』をリリースするも、暗黒のグランジーに塗り潰された米国シーンで活動の場は無く、敢え無く再び解散する事に…

その後の各メンバーの行方は定かでないが、Walt Wiseはサックス・プレイヤーとしてレゲエ・ポップ・バンドのアルバム制作に参加したりプロデュース業を始めるなどプレイヤーから裏方へ回ったようだ。

まぁ、グランジー・ブームが勃発していなくとも他で聴けぬ強烈な個性的サウンドを演奏していた訳でもなく、HMと言うには軽めなサウンドでCCM系定番のキリスト賛歌を身上としている音楽を演り続けている限りメジャー・シーンでの大きな成功は望めなかったでしょうから、シンガー Walt Wiseが器用に様々な楽器を演奏できる点は特異なポイントではありますが遅かれ早かれな展開であったかもしれませんね…

毎度の事だがMinotauro レーベルからのリイシュー作はどこにもデジタル・リマスターの文言が見当たらないので、OXIDOやFLORENCE 99のリイシュー作と同じく音圧を上げただけのお手軽リマスター作なのかもしれません、現に音の抜けがイマイチだし、音の粒子の荒さが目立つ上に少々篭り気味で些かシャープさに欠けるデモ・テープよりちょい上くらいのサウンド(ちょこちょこノイズも聴こえる…)なのですが、それでもこうして幻の音源をオフィシャル・リイシューしてくれた事に感謝しかありません。

80年代メジャー・シーンやCCM系ロックの定義に倣ったサウンドなので滅茶苦茶に個性的という事はありませんが、キャッチーでブライトならCCM系ロックでもいける方や80年代ラジオフレンドリーなメジャー・サウンドがお好みな方なら間違いなく気に入るだろう一作でありますので、ご興味ある様でしたら一度自身の耳で確かめてみて下さい。

Tracks Listing:
01. Crackdown / Breakdown
02. Dropout Loser
03. I Wanna Live
04. Break My Heart Again
05. You Can't Please Everybody
06. Time
07. Fire In Her Eyes
08. Shelter Of Your Heart
09. Hold On To Love
10. Paradise
11. Burning In The Fire
12. Trash Before You Crash

CATALYST Line-up:
Walt Wise   (Lead Vocals、Lead & Rhythm & Acoustic Guitars、Piano、Keyboards、Alto & Soprano Saxophone)
Alan Newman (Lead Guitars、Backing & Lead Vocal on Track 10)
Paul Soos   (Bass、Backing & Lead Vocal on Tracks 03、12)
Matt Stevens  (Drums)

Produced by George Payne & CATALYST


# by malilion | 2024-02-20 14:29 | 音楽 | Trackback

新世代イタリアン・プログレ・シーンでも屈指の実力派バンド SYNDONEが30周年記念作を限定リリース!!

新世代イタリアン・プログレ・シーンでも屈指の実力派バンド SYNDONEが30周年記念作を限定リリース!!_c0072376_15325336.jpg
SYNDONE 「DirtyThirty 1992-2022 30 Years of Syndone Anniversary」'23

前作『Kama Sutra』'21 で70年代の古典プログレ・バンド群と肩を並べるレベルへ遂に到達し、現在のイタリアン・プログレッシヴ・シーンで堂々の存在感を示すイタリアはトリノを拠点に唯一のオリジナル・メンバーでリーダー、そして作曲とキーボードを担当する Nick Comoglio率いるSYNDONEの、復活後第7弾にして通算9枚目でこれがバンド最終作(!?)かもと何やら噂されるバンド結成30周年記念盤が、前作より2年ぶりに限定リリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

完全新曲の『DirtyThirty』『Fight Club』『I Spit On My Virtue』に加え、過去曲のフレーズを引用しつつ新たに作曲された『The Angel』『I Only Ask For A Super glue』、90年代に発表された初期~中期曲にオーケストラ・セクションを導入しリアレンジや再解釈した新録曲『Valdrada's Screen』『Mary Ann』『God's Will』『Thousand Times I Cried』等の他、ボーナストラックとして2018年作『Mysoginia』収録曲『Evelyn』の日本語歌唱ヴァージョン (!?)も含む全11曲を収録した、彼等のこれまでの活動を総括するかの様な内容となっている。

残念な事に再びメンバーチェンジが有った模様で、前作でリズム隊が一新されたのに続き今回もドラムスだけ Eddy Francoに代わってローマ在住のセッション・ドラマーで Giancarlo Erra率いるサイケ&アンビエント風味でメランコリックなポストロックを演るイタリアン・バンドNOSOUNDの元メンバーだった Ciro Iavarone が新たに加わっている他は前作と変り無く、初期から拘って来たバンド・コンセプトであるギター・レス&ツイン・キーボードを主軸とする6人編成バンドで復活以降は本格的なクラシック要素を取り入れ続けて来たが、今回もブダペスト・シンフォニック・オーケストラをフィーチャーしつつパイプ・オルガンやクラシック・ギター等のゲスト奏者も多数交えた再結成以来の定番体勢でアルバムは制作されており、華麗かつ技巧的な70年代プログレ・リスペクトなの姿勢はそのままに更に芸術性を練り上げイタリア然とした重厚でドラマチックなシンフォニック・ロックというアニバーサリー・コンピレーション盤と思えぬ期待以上の仕上がり具合で、これにはイタリアン・プログレ・ファンならずともシンフォ・ファンもニッコリだろう。

前作紹介時にもお伝えした通り Eddy Francoは今流行りのオンライン・ミュージシャンでインターネット上のミュージシャン派遣会社に所属し、世界中から依頼を受けてドラムの音入れをする、という元々パートタイマー的な扱いだった模様なのでこのメンバーチェンジはある程度は予定調和だったかも?

再結成してからはリズム隊は常にゲストを迎える形態でアルバム制作を行っていた期間の方が長いのでもうファンにはお馴染みのメンバーチェンジかもしれないが、やはりバンド・アンサンブルの完成度等を考えると出来る事ならばリズム隊は安定して欲しい所ですよね…(汗

さて、Nik Comoglioを中心に1989年に結成され、若さから来る情熱で勢い余って楽曲を統制不能に破綻させつつもピアノ、アナログ・シンセサイザー、ハモンド・オルガンの鍵盤楽器を2人のキーボーディストが『コレでもか!』とばかりに縦横無尽に操り、無駄にスピーディーでHMを凌ぐ程にエネルギッシュなイタリアン風味増し増しの畳み掛ける暑苦しいハイ・テンション変拍子キーボード・プレイが終始スリリングに強引に駆け巡る、JAZZありフュージョンありのテクニカルでエモーショナルな、疾走感ばかり耳に残る高速EL&P風の完成度イマサン、勢いは超A級なイタリアン・シンフォ・ロック作であった『Spleen』'92 『Inca』'93 の2作品をイタリア Vinyl Magic レーベルに残しその後活動を休止するも Riccardo Ruggeriを含む新体制にて2010年代に復活した彼等の結成30周年を記念する本作は、前作と同じく歌詞が英語で歌われており、これは新曲は当然の事として過去曲のリメイクも含めてより広い聴衆へ向けて自身の作品を届けたいという想いからの選択だろう。

彼等の濃密過ぎるイタリアン・プログレ風味を愛しているリスナーからすると英詞への変更は些か残念かもしれないが、多少スタイリッシュさが増しただけで相変わらず胸焼けしそ…いや、胸を締め付けるエモーショナルな Riccardo RuggeriのHMバンド張りに圧倒するワイルドな歌声や、前作で魅せた様々な歌唱アプローチに負けず劣らず千変万化に表情を変えお得意のオペラチックな歌唱も堂々と披露し、自己主張が強すぎてカリスマ性が炸裂するエキセントリックでジェットコースターの様に上下乱舞するヴァイオレンスな歌メロと何もかも少しも変わった様に聴こえない(汗)ので、その点を危惧している方はご安心を。

寧ろ過去曲をリメイクして取り入れている為か、完成度がダンチで上がった再結成以降作より先祖返りしたかの様に初期の灰汁が強い作風を思い出させ、この好き嫌いを極端に分ける他に無い独創性と癖の強さこそがイタリアン・プログレの美味なる味わいと言えばそうなのだが、だったら英詞にしてよりポピュラリティーを高めた意味はどこに、とは個人的に疑問を感じてしまいますけど…(汗

高い芸術性に加え、無意味なルールに縛られず、音楽カテゴリーの境界を越え、繊細なピアノやアコギを織り込んだメランコリックでオーケストレーションされたメロディとダイナミックに炸裂するかの如き暴力的でエネルギッシュなロック・パッションを交差させ、安っぽいコマーシャリズムに背を向けたコンセプトや難解な構成は欧米の商業主義音楽に反旗を翻すかのようで、良く言えば過去作で提示した90年代イタリアン・シンフォ作の勢い有り過ぎなパワフルさと癖の強過ぎる独創性、そして再結成して以来の楽曲で魅せる思慮深く洗練された整合性とクラシカルな叙情感あるダークな美旋律を高めた作風を過不足なくMIXし、本記念盤で新たに提示した、とも言えるかもしれません。

所でなんで急に日本語で歌った曲を収録しようと思ったのかは謎ですよね、歌詞が何故か昭和演歌みたいなテイストなのも驚きですけど(w

まぁ、なんだかんだと小難しく考えずとも、表に裏に華麗に舞い踊り煌めくシンセ、ワイルドに歪んで唸りを上げるオルガン、小気味よく響くクラシカルで洗練されたピアノ、幽玄さを演出するメロトロンと、ファンが求める通りなメランコリックでエネルギッシュな鍵盤サウンドの数々と艶やかな美旋律が終始織り成され、心震わす芸術性とHM張りの畳みかける勢いも相まって、ただひたすらに美しい音色の洪水と圧巻のパワーに身を任せて幸福感に満たされているとアッという間にアルバムを聴き終えてしまえるので、香る様にロマンチックでどこまでもドラマチック、そして艶やかなオーケストラ・サウンドが輝くかの様なイタリアン・シンフォニック・ロックをお求めの方には是非一度チェックしてみて欲しい、最近珍しいアーティスティックで完成度の高い作品の一つだ。

新曲も素晴らしい出来栄えだし、リメイクされた楽曲もオリジナル・アルバムと遜色ない聴き応えで楽しませてくれる本作、こんなに素晴らしいアルバムを創作しているのに『本当にこれで終りなの?』という噂に疑問しか浮かびません。

確かに Nik Comoglioはもう随分な高齢の様だけど、単なる噂であって欲しいというのが全イタリアン・シンフォ・ファンの想いでしょうし、ひょっこり新作が数年後にリリースされるのを祈って…

Tracks Listing:
01. Dirty Thirty (The End Of My Love)
02. Fight Club
03. The Angel
04. Valdrada's Screen
  Restyling The Track "Spleen" from The Album "Spleen" 1992
05. I Spit On My Virtue
06. I Only Ask For A Super Glue
07. Mary Ann
  Restyling The Track "Marianne" from The Album "Spleen" 1992
08. Rene
  Restyling The Track "Magritte" from The Album "Melapesante" 2010
09. God's Will
  Restyling The Track "Inca" from The Album "Inca" 1993
10. Thousand Times I cried
  Restyling The Track "Proverbi" from The Album "Inca" 1993
11. So Long Everybody - The Time Has Come & I Must Leave You
  Restyling The Track "Penelope" for full Orchestra from The Album "Odysseas" 2014
12. Evelyn [Japanese Version:Bonus Track]

SYNDONE Line-up:
Nick Comoglio    (Hammond、Moog、Juno dist、Mellotron、Composition、Orchestration、Keyboards)
Riccardo Ruggeri   (Lead Vocals、Composition、Lyrics)
Marta Caldara    (Vibraphone、Marimba、Keyboards)
Gigi Rivetti      (Hammond、Acoustic Grand Piano、Electric Piano、Clavinet、Moog、Accordion)
Simone Rubinato   (Bass、Fretless Bass、Electric Baritone Guitar)
Ciro Iavarone    (Drums、Percussion)

Guest:
Tony De Gruttola    (Electric & Acoustic Guitars on Track 01)
Andrea Carbone     (Electric Guitars on Track 07)
Pino Russo       (Classic Guitars on Track 08)
Gianluca Cagnani    (Pipe Organ on Track 04)
Rebecca Onyeji     (Backing Vocals)
Charlie Poma      (Backing Vocals)
Kaori Tsutsui       (Clarinet in Bb on Track 12)
String Trio
Valerio Iaccio       (Violin on Track 05)
Roberto D'Auria      (Violin on Track 05)
Michelangiolo Mafucci  (Cello on Track 05)

Budapest Scoring Symphonic Orchestra Conducted by Francesco Zago on Track 11)

Produced by Nick Comoglio


# by malilion | 2024-02-19 15:37 | 音楽 | Trackback

ベテランUSシンフォ・バンド GLASS HAMMERが、ダークファンタジー三部作に続き新たにSFコンセプト作をリリース!

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GLASS HAMMER 「Arise」'23

YESのフロントマン Jon Davisonが在籍していたインディ・バンドとして一躍メジャー・シーンにその名を知らしめ、Fred Schendel (G、Key、Ds)と Steve Babb (B、Key)を中心にテネシー州で1992年結成され90年代以降の米国産シンフォニック・ロックを代表するバンドの一つとなった彼等が『Dreaming City』'20、『Skallagrim - Into The Breach』'21、『At The Gate』'22 で千年に及ぶ放浪物語『叫ぶ剣を持つ盗賊スカラグリム』三部作を描ききったのに続き、22枚目のスタジオ・アルバムとして今度はSFコンセプト作がリリースされたのを少々遅れてご紹介。

前三部作は Steve Babb執筆による小説がベースとなった剣と魔法の世界が織り成すダーク・ファンタジー物語だったが、本作は心機一転銀河の謎を解明する為に熱狂的な科学者によって派遣されたアンドロイドの深宇宙探査に置ける驚異的な旅を描いており、映画『Blade Runner』の一コマや John Mitchellのソロ・プロジェクト LONELY ROBOT作を連想させるSFチックな物語を、旧来からのシンセサイザーやメロトロンを駆使した重厚で壮大なサウンドと近作で顕著なハード・エッヂで攻撃的なHMテイストを絡めドラマティックなストーリー仕立てで描く一大コンセプト・アルバムとなっている。

本作タイトルの『Arise』とは、Android Research Initiative for Space Exploration (宇宙探査の為のアンドロイド研究イニシアティブ)の頭文字をとったもので、歌詞やブックレットの注釈で語られるストーリーには Deadalusという名の深宇宙探査艇のオペレーターであるアンドロイドが登場し、その探査中に Deadalusは意識を内側に向けると自分に呼びかけて来る存在を感じ…と自我が無いハズのアンドロイドが己の存在という内的な問いかけを喚起され、広大な宇宙空間をバックに Deadalusの内側で繰り広げられる『2001年宇宙の旅』や『ALIEN』等でも描かれた人工知能やアンドロイドの葛藤というSF作お馴染みなネタをベースにしつつ独自の物語を綴った意欲作だ。

『今まで散々コンセプト作を出して、挙句に三年続けてコンセプト作をリリースしたのにまたコンセプト作かよ!』という声がどこからか聞こえて来そうですが元々彼等は J.R. R.TolkienやC.S.Lewis等の著作にインスパイアされたゲームのBGMを創作する為に音楽活動を開始した訳ですから…多少は、ネ?(汗

30年以上の活動を続けてきたGLASS HAMMERは Fred Schendelと Steve Babbの2人のマルチ・インストゥルメンタリストが演奏パートの殆どを担当して来たが、その過程でプログレ界のSTEELY DANの如くその都度に様々な音楽性に最も適した有能なミュージシャン達を迎え入れそして去って行ったにも関わらず、長年に渡って大手メディアに頼らずアンダーグラウンドな流通を主としてマイペースな自主リリースを続けてきた作品のクオリティは驚く程に一定レベルを保ち続けているだけでなく、他のどのプログレ・バンド達よりも長い年月をかけて大きく幅広く、下手をすると長年かけて築いてきたファンベースさえ失いかねない劇的な音楽性の拡張と転換を恐れずに挑み変化し続けてきた、その意味で本当にプログレッシヴな音楽ユニットと言えるだろう。

ゲーム・ミュージックを出発点に、YES + EL&Pなフォロワー・サウンド丸出しだった野暮ったい鍵盤弾き倒し初期インスト・プログレ期、フィメール・ヴォーカルをフィーチャーし歌パートにも気を使ったプログレ期、アコースティカルでアイリッシュ風味もある軽やかなアコギ・サウンド期、男女ツイン・ヴォーカルなシンフォ期、男女三声のヴォーカルに拘ったゴス風味なコンテンポラリー・ミュージック期、モロにYESのフォロワーを思わす男女三声ヴォーカル・シンフォ期、JAZZとコンテンポラリー風味も加えたバランス重視なモダン・シンフォ期、そしてある意味で初期作風への回帰である剣と魔法の世界が織り成すダーク・ファンタジー三部作期と、YES、GENESIS、VDGG、KING CRIMSON、PINK FLOYD、GENTLE GIANT、TANGERINE DREAM等の70年代プログレ・バンドへのトリビュートを感じさせる、壮大で重厚、旋律的で叙情的な“これぞプログレ”と言わんばかりに複雑なアレンジと構成から成る楽曲が詰め込まれた野心的な意欲作が本格的なバンド始動作であった事を考えると、よくもコレだけ雑多な音楽性を取り込んで同一ユニット作としてリリースしてきたものだなぁと、妙な音楽的拘束や商業的責任と無縁な自主制作環境故の〝自由”の恩恵をありありと物語っていて実に感慨深いですね。

さて、そんな彼等が本作で披露するのは、宇宙探査がコンセプトだからか意図的に広大な音空間を創出するシンセサイザーによるスペーシーな感覚と初期PINK FLOYDや70年代初期サイケデリック・バンドへのオマージュも随所で交え、全編で艶やかなフィメール・ヴォーカルをフィーチャーしつつ期待と不安が入り混じるサスペンス風な様相が漂うシンフォニック・ロックと、ヘヴィ・ギターによるスリリングなHM色など前三部作で培ってきた要素を全て融合した、70年代や80年代への憧憬がモザイクの様に見え隠れ交差する圧巻のハード・シンフォニック作となっている。

メンツは三部作からフロントマンに迎えられた可憐で伸びやかな歌声が麗しい Hannah Pryor嬢、ドラムスには"YESエミュレート期"の『If』'10、『Cor Cordium』'11、そしてゲスト扱いになった『Perilous』'12 で叩いていた Randall Williamsが復帰し、『Chronomonaut』'18 からゲスト参加し『Skallagrim』三部作ではリード・ヴォーカルも披露していたのが記憶に新しい Reece Boydがギターで参加している他、アルバム・コンセプトの立案だけでなく、全曲の作曲、録音、プロデュースと名実共にバンドを率いる Steve Babbがベーシストとして本作でも大活躍しており、長年の相棒 Fred Schendelは1曲のみでドラムスとギターをプレイするに留まっていて三部作は Steve Babb執筆の小説ベースなので遠慮して手控えたのかと思っていたが、本作で更にバンドへ関与が少なくなっているのが些か心配で…向こうの本作紹介で〝実質的な Steve Babbのソロ・アルバム”とまで言われており、もしかしたらプライベートな問題や健康状態が思わしくないのかもしれず、最悪 Fred Schendelが脱退なんて事にならなければいいケド…(汗

また『Chronomonaut』'18 の時に彼等のトレードマークであった Emersonや Wakemanを彷彿とさせる伝統的プログレ作お馴染みの派手に鳴り響く音数の多い鍵盤サウンドが影を潜めていた様に感じたが、本作ではそれがさらに一層に進んだ印象で、キーボードの使われ方がSF映画を思わすSE的な使われ方やサイケデリックな視覚要素を織り交ぜつつスペーシーな雰囲気重視のBGM的鳴らされ方をしており、メロトロン、シンセ、オルガン等が壮大な熱いウネリを生み出しつつもメインで鳴り響いているのはメタリックでヘヴィなギターとソリッドでエッヂの効いた疾走する邪悪に歪んだベース・サウンドが全体に大きな影響を与えている事もあって、これまでに無くダークで硬質な雰囲気と図太いトーンの70年代風ヴィンテージ・サウンドが所せましと唸りを上げており、典型的なGLASS HAMMER作に無いテイストとサウンドを構築しているのも見逃せない注目点だ。

SFコンセプト作だから意図的なのか、そもそも米国ミュージシャンだから不思議でもなんでも無いが、いつになくドライ・サウンドな印象な為か英国プログレ・サウンドへの憧憬故に常に漂っていた叙情的な美旋律の深みに欠けて感じ、逆にこれまで余り感じなかったサイケ・ロックや80年代の影響、そして緊張感とスリルを積み重ねてゆくドゥーム・メタルを思わすトレブリーで過激なテイストが新たな魅力となってクッキリと刻まれた、実に米国産モダン・ハード・シンフォらしい一作なのかもしれないが、所謂定番のシンフォ作を求める向きからすると少々いただけないかも?

面白いのはアンドロイドを思わす Steve Babbのイマサンなヴォーカルをデジタル処理して美しい Hannah Pryor嬢の歌声と対比しコンセプトに巧く絡めて活用している点と、Deadalusが回想に耽って別の存在を体験し、自我を発見する瞑想的な流れなど、未来的なスーペース・オペラ作に思えて妙に宗教臭く、Deadalusが自身の充足感を探求し始め、覚醒を経験するタイトル曲で語られる"神の手を感じた事が有るだろうか/それは貴方を変えるだろう"、そして "天を仰ぎ、すべてを見渡せ/彼は見つけるのは難しくない、決してそうではなかったからだ"という下りなど明らかに狙っているのが分かり、物語の中心人物はアンドロイドだが、これは宇宙探査と同じくらい精神的な探求をテーマにしたアルバムなのだ。

メロトロンが怪し気に浮遊感あるメロディを奏で、無機質に繰り返すシーケンサー、破綻一歩手前なギターのフィードバック、そしてハード・サイケ然としたワウ・ギターやヴィンテージなオルガンが炸裂し、図太くソリッドなベースがブンブン唸りダークに蠢く様だけ聴くととてもシンフォ・ロック作とは思えないが、逆に言えばマンネリ化したシンフォ・ロックの模範を破壊し再構築を挑んでいる、非常にプログレッシヴ作らしいサウンド・アプローチとも言える、かな? (゚~゚) ウーン

『ARISEは、スペース・ロックをプログレッシヴ・ロックのテイストを加えアレンジしたものだ』
『前2作でやったように、2、3曲はまだドゥーム・メタルに傾倒しているけど、サイケ・ロックや80年代の影響もある。それでもこのアルバムはプログレ・アルバムであり、他のスタイルにも触れているんだ』
『私達は常に最終曲に拘ってきた。でも『Arise』の最後のトラックは、これまでにやった事の無い様なものだ。壮大な長さのインストゥルメンタル・プログレ・ジャムで、ファンの顎を床に落とすような内容なんだ!』

熱く Steve Babbが語るだけはある、ラスト2曲の大作連発でのダイナミックな盛り上がりは正に圧巻で、70年代の巨人達にもう少しで手が届きそうな勢いとスリリングな喜びで胸躍らせてくれるのは間違いない。

GLASS HAMMERが次なる頂きの足がかりを得た作品、きっと後年そういう評価がされそうな挑戦的な意欲作であります。

美しい美旋律満載な典型的シンフォ作をお求めの方には強くお薦め出来ないが、飽くなき挑戦を続ける真にプログレスなサウンドを楽しみたい好奇心旺盛な方やどこまでも彼等に着いていくダイハードなGLASS HAMMERファンにはマストなアイテムだ。

Tracks Listing
01. Launch of the Deadalus
02. Wolf 359
03. Arion (18 Delphini b)
04. Mare Sirenum
05. Lost
06. Rift At WASP-12
07. Proxima Centauri B
08. Arise
09. The Return Of Deadalus
  Part 1) Battle At MARS-WRM-001
  Part 2) Reentry
  Part 3) The Doom Of The World

GLASS HAMMER Line-up:
Steve Babb    (Bass、Keyboards、Rhythm & Lead Guitars、Percussion、Vocals)
Hannah Pryor   (Lead Vocals)
Reese Boyd    (Lead & Rhythm Guitars)
Randall Williams (Drums)

With
Fred Schendel   (Guitars & Drums on Track 06)

Composed、Recorded & Produced by Steve Babb


# by malilion | 2024-02-13 19:14 | 音楽 | Trackback