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YESトリビュート・バンドでマニアに知られたTIM MORSEがソロ第三弾をリリースしていたのを、今頃ご紹介。

c0072376_19000498.jpgTIM MORSE 「III」'18

元々はYESトリビュート・バンドPARALLELSで活動していたUSAのマルチ・ミュージシャンで、歴史的な飛行家リンドバーグの生涯をテーマしたコンセプト・アルバムだった前作『Faithscience』'12 以来となる3rdアルバムが実は去年ひっそりとリリースされてた模様で今頃に慌てて購入。

2ndソロ以降、フュージョン系のJerry Jennings BANDのメンバーになった事や Bret BinghamとのTHE MANGOESでの活動も関係してかなかなか新譜が届けられなかったが、こうして無事新譜がリリースされてなによりだ。

参加者の数は少なくなったが、ギターをはじめベースやドラム、マンドリンやヴァイオリンなど前作同様にゲスト奏者陣を多数招き、自らの多重録音プレイ(ギター、ベース、シンセにドラム、そしてヴォーカル)で緻密に造り込んだサウンドのアルバムという“1人プログレ・バンド”なスタイルに変化は無い。

前作はヴァイオリンにKANSASの David Ragsdaleを招くなどしていたが、残念ながら本作では別ヴァイオリン奏者が参加していて個人的にはちょっとそこは残念かなぁ…

本作のサウンドだが、適度にテクニカルなリズム展開を見せつつキャッチーなメロディとシンセで楽曲を彩るスタイルに変化はないものの、前作までのSPOCK'S BEARD風だったり Neal Morse風だったりの、如何にもアメリカンという抜けの良い爽快感ある90年代以降のUSシンフォ&プログレ・タッチなサウンドから、今まで意図的に抑えて来ただろうYES風のサウンド、特にキーボードプレイやサウンドで露骨にYESカラーを押し出したり、ムーディーなJAZZっぽいフレーバーや古き良きプログレ風味な鍵盤サウンドを聴かせている点が大きな違いだ。

また、特にヴィンテージ機材で録音する事にこだわったと言う本作は、ハモンドオルガン、フェンダーロードスのエレクトリックピアノ、ミニムーグ、メロトロンのサンプル等々をたっぷりフィーチャーしている上、ムーグトーラスベースペダルも活用しているので、その手の機材マニアの方には嬉しい一作となる事だろう。

元々バリバリにテクニカルなインタープレイを見せつけるようなプレイでグイグイ推していく派手なタイプでないのもあるが、流石にSPOCK'S BEARDや Neal Morseの二番煎じじみた方向性では明確なオリジナリティの確立難しいと見たのか、本作のYES風味を加味したサウンドへ軌道修正したのは個人的に“アリ”だと思いますね。

オリジナリティ確立目指してYESっぽくなっちゃイカンだろう、という突っ込みは重々承知なんですが、最近の耳当たりの良いモダン・シンフォ系で分厚いコーラスにキャッチーな歌メロ、そしてキレと抜けの良いサウンドってなると、どうしてもSPOCK'S BEARDにサウンドが近似しがちですから、敢えてSPOCK'S BEARDの源流でもあるYES風味までサウンドを原点回帰させた方が良い結果を生むと判断したのではないでしょうか? 勿論、勝手な推測でしかありませんけど。

まぁ、即興プレイを活かした殆どデモのテイクを利用したみたいな事を言ってるので、なんだかんだと小難しい考えなんぞ皆無な、ただ気持ちよくプレイしてたら地のYES好き要素が顔を出してこういう次第になった、ってだけかもしれませんが(w

ただ、前作でも感じたのですが、マッタリと穏やかでスッと耳に入ってくる心地よいメロディと優しいヴォーカルや重ねられたコーラスは実に聴き易いし、要所要所で耳を惹くメロディやプレイなんか聞けるものの、総じて既にビッグネームであるSPOCK'S BEARDや Neal Morse、そして他のモダン・USシンフォ・バンド達以上の個性や差異を感じられず、Tim Morseでなければ聞けない、というような強烈な個性やプレイは見当たらず、そういう視点から見ると些か魅力の薄い作風と言わざるおえないのが、高品質に造り込まれた優等生サウンドなだけに実に惜しい、悪くないアルバムです。

そこここにプログレチックなサウンド・ピースやプレイが散りばめられた心地よく和め、爽快感もあるTim Morseのサウンドを嫌う人は少ないでしょうから、ワンチャンどこかのビッグネーム・バンドへ誰かの後釜で転がり込むか、思い切ってプログレ的サウンドは捨ててもっとポピュラー・ミュージック寄りなサウンドへ接近でもするかしないと、きっと次も『出来の良い佳作止まり』な印象のアルバムを聞く事になるような気がしてなりません…

また本作はCDーR盤しか存在しないので、入手が面倒だと思われる方はDLで購入してもいいのではないでしょうか?

前作まではちゃんとデュプリ盤リリースしてくれたのになぁ…これも時流なんですかねぇ…orz





by malilion | 2019-10-31 18:54 | 音楽 | Trackback

現GALAHADのギタリスト LEE ABRAHAMがポップな作風から一転、シリアスでダークなコンセプト作をリリース!

c0072376_07113760.jpgLEE ABRAHAM 「Comatose」'19

第二世代UKポンプとして未だ気を吐くGALAHADに05年から09年にかけてベーシストとして在籍し、脱退後ソロキャリアを再開し、近年再びGALAHADにギタリスト(!?)として再加入したポンプ系イギリス人マルチミュージシャンのソロ作7thがリリースされたのを幾分遅れてGET!

前々作で淡い色合いの如何にもデリケートなサウンドというポンプ系ソロアルバムをリリースし、次いで前作では一転して多数のヴォーカリストをゲストに迎えAOR寄りなポップ作をリリースと、これまでアルバム毎に様々な試みに挑んで来た Lee Abrahamだが、再び本作ではこれまで彼のアルバムで余り聴かれなかったダークでヘヴィなコンセプト・アルバムを制作と、自身が語るように『今までの作風と違った、別の何かを試し、成功させたかった』というプログレ・ミュージシャンらしい飽くなき挑戦心と冒険心を剥き出しにした意欲作だ。

さて本作の内容についてだが、タイトルが示すように自動車事故に遭い昏睡状態に陥った犠牲者が、医療スタッフが救命活動している最中に経験する記憶のフラッシュバックを綴っていく物語となっている。

また、挑戦作らしく近作でゲスト・ミュージシャンを大勢招いて制作されていたスタイルにも変化が見え、長年の音楽パートナーである Gerald Mulligan(CREDO:Drums)、Rob Arnold(Piano、Electric Piano)、そして前作でバッキングヴォーカルで参加しハートフルな歌声を聴かせていた Marc Atkinson(RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MOON HALO、MANDALABAND:Vocal)が本作ではリードヴォーカルとして参加しているのみで、他には新しいゲストとしてTWELFTH NIGHTの7代目ヴォーカリストで現フロントマンな上に、サウンドエンジニア、プログラマー、アレンジャー、もこなす裏方作業メインでマルチパート・セッションミュージシャン Mark Spencerと、奥方の Diane Abrahamがバッキング・ヴォーカルで参加するだけの小編成で制作されており、『Black and White』'09 以来となる全てのギター、キーボード、ベースを Lee Abraham自身がプレイする久しぶりにソロ作らしいソロ・アルバムだ。

ダークでヘヴィなストーリーが紡がれて行くアルバムは終始硬質で鈍色のエッジ立ったギター・サウンドに彩られているものの、Lee Abrahamらしいポップなメロディの断片や、メロトロン系鍵盤サウンドや分厚い合唱コーラスも加えて織り成す物語には明るく朗らかな救いのようなフィーリングあるサウンドも垣間見え、サントラっぽいタッチやSE等が散りばめられたディープで複雑に感情が揺れ動くシリアスで緊張感ある物語に相応しいエモーショナルな Lee Abrahamのギターもタップリとフィーチャーされた、様々な音楽スタイルを取り込みながらも全体的にシンフォ&プログレッシブ・ロックなサウンドを保った今までにない Lee Abrahamの新たな一面が表現されたアルバムと言えるだろう。

Lee Abrahamのギタープレイは随所でセンチメンタルでメロゥなフレーズを奏でるものの、コンセプトに引っ張られたのかこれまでで一番攻撃的で自己主張が強く、どちらかというと本体バンドであるGALAHADで聴かれるようなプレイとサウンドに近いヘヴィなフィールも感じ、やはりGALAHADへ復帰した影響が本作に色濃く出ているようで、以前のポップでキャッチーなサウンドなアルバムでの控え目でそつない職人芸的プレイの対局的な作品と言えるかもしれない。

コンセプト作だからと変に助長にならず約47分と内容にしては短めな上に非常にコンパクトに纏められているので、意外な程にすんなり最後まで聞き通せるのは Lee Abrahamの抜群のコンポーズ能力故でしょう。

以前の淡いタッチのポンプ風味なサウンドや、ポップでキャッチーなアルバムのサウンドが好きだった方には、いきなりユーロ系の鈍色ヘヴィ・シンフォ作になったように思えてイマイチと感じるかもしれないが、Lee Abrahamが解き放たれたように伸び伸びと思うままにギターをプレイしているサウンドは意外な程に爽快感があるので、食わず嫌いせず一度チェックしてみて欲しいですね。

ヘヴィでダークなサウンドばかりな中で、軽やかで爽やかなアコギを紡ぐ Lee Abrahamのプレイは、変わらずデリケートな音色で実にポップなフィーリングを感じさせてくれるんですよね~♪(*´ω` *)




by malilion | 2019-10-30 07:01 | 音楽 | Trackback

オランダのメロディアス・プログHMバンドBAGHEERAの唯一スタジオ作をご紹介。

c0072376_00275480.jpgBAGHEERA 「Doors To Deliverance」'95

ラックを整理していたらヒョッコリこんなものが転がり出てきたので本日はコレに耳を傾けておりました。

ヒンズー語で『ヒョウ=バゲーラ』という意味の名のオランダのキーボード入り5人組B級インディ・プログHMバンド唯一のフルアルバム作で、本作の前にデモテープ一本、EP一枚、シングル一枚をリリースしており、結成時は冴えないC級ユーロHRを演奏していた彼等が短期間でプログHMへバンドサウンドを変化させたのは、世界中を席巻しメジャーシーンの一大勢力となる夢劇場の成功(82年)や、オランダがポンプムーブメントの“飛び地”であった事も少なからず関係しているように思います。

当初ベーシストが流動的でなかなか定まらず、88年のデモテープ『Who's Afraid of the Big Black Cat』から91年リリースのEP『Silence at Romney Marsh』までミドルレンジ主体のマイルドな声質のヴォーカリスト Kees van Keulenがフロトマンだったが、95年リリースのデビュー作にして唯一のフルアルバム『Doors To Deliverance』でフロントマンが Jan Hovingへ、またキーボーディストも創設メンツの Joost den Hertogから Roland Jensterへチェンジしている。

歌唱力に問題ありの Kees van Keulenから Jan Hovingへフロントマンをチェンジしたのは、複雑で技術的にもスキルを要するプログHMのヴォーカル・パートを担うに相応しい人物(イヤ、幾分かマシになった程度の改善か…)を迎え入れた結果だろうが、声質的に少々癖があり歌唱法もシアトリカルな Jan Hovingの歌声(個人的には許容範囲だが、もっとストレートな歌唱法のフロントマンの方が良かった?)がこのバンドの音楽的な方向性にアジャストされていたかは今となっては少々疑問が残りますね。

まぁ、EPの時点で Kees van Keulenがシアトリカルな歌唱法(下手クソなんだよなぁ…コレが…)へスタイルを変化させているのと、バンドサウンドもスピーディでミステリアスな雰囲気を漂わすIRON MAIDEN風メタル(ギタリスト Bob Hoezenがインギー・フォロワーなプレイを聴かせ始めてる)へ接近しているので、よりシアトリカルな歌唱が巧みな Jan Hovingを迎え入れたのは切っ掛けなだけであり、バンドサウンドが大幅にリリカルなユーロ・プログHMへ様変わりした最大の要因は、キーボーディストが Roland Jensterへチェンジした影響の様にも思えますけど…(汗

さて、本作のサウンドはと言うと、垢抜けない古臭いHRからスピーディなIRON MAIDEN風メタルへの変化を経てバンドメンツのプレイスキルも上がったのか、よりこなれたプレイで総じて纏め上げられた印象を受け、なかでも特に Roland Jensterの操るピアノの艶やかな音色と華やかで軽やかなシンセの素早いパッセージがバンドサウンドを煌びやかに飾り立てるパートが終始耳を惹き、実際バッキングやリードパートも多目な上に長めとキーボーディスト主導なバンドに思われそうだが、オーソドックスなプレイやバッキングながらしっかりギタリスト Bob Hoezenも仕事をこなしており、時折ピロピロとインギー風早弾きで鋭く切り込んだり、キーボードとユニゾンの早弾きプレイを披露したりして軟弱になりがちなキーボード主導なバンドサウンドを引き締める重要な役所を担っているのが分かる。

プログHMサウンドと言うには少々リズム隊が退屈なプレイを繰り広げているが、キーボードとギター、そしてヴォーカリストが時折素っ頓狂な叫びを張り上げ、メロディを担うパートが揃って派手で妙ちきりんで強引な展開やメロディを聴かせるB級プログHMあるある(汗)をしでかしているので、敢えて楽曲の崩壊を防ぐために無茶なテクニカル演奏やインタープレイの応酬は控え、ソリッドなプレイに徹しているのかもしれない。

このままキーボーディスト Roland Jensterの影響力が増大してプログHMからメロディアスな叙情派シンフォ・バンドへ路線変更するか、よりテクニカルなパートとハードエッジなアンサンブル重視サウンドへ接近してメジャー系のプログHMへ路線変更するのか、いずれにせよ彼等が順当に活動を続ければもう一つ上のレベルに上がった素晴らしい作品を聴かせてくれた事でしょうが、新加入した Roland Jensterの持ち込んだ音楽性と元いたメンバーの求める音楽性とのブレが原因だったのか残念ながらバンドメンツが分裂し、97年に彼等は解散してしまう。

名手 Roland Jensterはその後に渡米し、今もその華麗な鍵盤捌きをステージで披露している模様だが、他のメンツがその後音楽活動をしているかは定かではありません…

少々ヴォーカリストの歌唱に癖がありますが、メロディアスな楽曲とハイセンスなキーボードプレイはB級プログHM作と切り捨てるには惜しい光るモノを持っており、マイナーなインディ・プログHM作でも手を出しちゃうマニアックなファンな方にお薦めな隠れた良作であります。




by malilion | 2019-10-29 00:21 | 音楽 | Trackback

変化の兆し? フロントマン不在のままハイクオリティなユーロピアン・シンフォ作をDRIFTING SUNがリリース!

c0072376_18213269.jpgDRIFTING SUN 「Planet Junkie」'19

フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いる多国籍ユーロ・シンフォ・バンドの6thが2年ぶりに届けられたのを、ちょい遅れてGTE!

再結成前は Pat Sanders率いるGENESISフォロワー丸出しの凡庸なポンプ・ソロプロジェクトな色合いが強かった彼等は、メンツが常に流動的でイマイチ活動もパッとしなかった訳だが、活動再開してからはメンツが固定されつつあり、それに比例してアルバムの出来も順調にレベルアップして素晴らしくなっていたのだが、前作でギタリストをチェンジしたのに続き本作ではフロントマンの Peter Falconerが脱退(!?)し、専任フロントマン不在の4人組バンド(他メンツは前作と同じ)としてゲスト・ヴォーカリストを複数迎えてアルバムは制作されているのが、ちょっとだけ先行き不安だ…(汗

まぁ、元々メンツが流動的だったんだからそうメンバーチェンジに驚きは無いのですが、やはり固定メンツでアンサンブルを高め、阿吽の呼吸でケミストリーを発動させてこそのバンド活動だと思うので、早く専任フロントマンを迎え入れて盤石の体制で創作活動を続けて欲しいものです。

さて、新作のサウンドの方ですが、前作から加入したPINK FLOYDやGENESISをルーツに持つシンフォ系マルチインストゥルメンツ・プレイヤー Franck Carducciのバンドでリード・ギタリストを務めている Mathieu Spaeterの影響が引き続き大きく働いている模様で、YESっぽいフィーリングの繊細でテクニカルなギターや、ハードドライヴィンするロックティストの強いリフ圧しなメタリックな楽曲だったりとさらに楽曲の幅が拡がり、メロゥでキャッチーさは前作以上なのに憂いを帯びたセンチメンタルなメロディとポンプ風味な派手目のキーボード・サウンドが交差し、如何にもユーロ・シンフォバンドというリリシズムあふれる美しいサウンドとドラマチックな楽曲展開が頭から最後まで貫かれていて、前作と同一路線のスリリングなシンフォ・サウンドにはフロントマン不在の影響は殆ど感じられない♪('(゚∀゚∩

注目のゲスト・ヴォーカリストは Marc Atkinson(RIVER SEA、MANDALANAD)、Colin Mold(ex:KARA、KARNATAKAのツアーメンバーでギター担当のマルチミュージシャン)、Joshua Corum(HEAD WITH WINGS)という3名の個性的な歌声のヴォーカリスト達を前半、中盤、後半へとメイン・ヴォーカルに配し、さらに彼等が曲作りにも参加する事で専任ヴォーカリスト不在で歌詞や歌メロの質が落ちる事を防いでいる工夫が、怪我の功名じゃないけど単調になりがちなB級インディ・シンフォバンドのヴォーカルパートと楽曲にバラエティ豊かな顔色を加え、作品の質を大幅に上げることに成功していると言えよう。

また、総勢4名のゲスト・プレイヤー陣を迎えて本作は制作されており、Ben Bell(GANDALF'S FIST、FUSION ORCHESTRA2)の操るハモンド・オルガンや、Eric Bouillette(THE ROOM、NINE SKIES)のストリングス・アレンジ、他にもサックスやクラリネット奏者を招いてサウンドに荘厳さとリリカルさを加味した、実に艶やかでエレガントな叙情香るその深みある楽曲はインディ・シンフォ作の枠を飛び越えて実に素晴らしく、遂に彼等もA級バンドの仲間入りを果たす手前まで来ているのが伝わってくる快作だ。

前作でメロゥで繊細さを強調した作風へ進んだ事から本作はさらにシンフォ度を増した優美さ増々な軟弱作風へ傾くものと危惧していたが、蓋を開けてみれば初期のHM風なメタリックさから繊細なピアノが優美に響くメランコリックなメロディが実にリリカルなユーロピアン・サウンドまで初期から前作までにバンドが奏でてきた幅広い要素をカバーする、パワフルでスリリング、それでいて重厚でスケール感の大きなシンフォニック・ロック作が飛び出してくるとは全く予想外で、嬉しい驚きをもたらしてくれました(*´ω` *)

こうなると次作で専任フロントマンを迎えてこのサウンドがどう変化するのか実に楽しみな要注目なバンドであります。

幾分かハードなエッジも加わった優美さが光るユーロピアン・シンフォ・サウンドがお好みの方ならチェックして損はない一枚です! 毎度お馴染み自主盤なので、お求めの方はお早めに!





by malilion | 2019-10-28 18:11 | 音楽 | Trackback

ヴァイオリンをフィーチャーした南米シンフォ・バンドKAIZENの25年ぶりとなる2ndが豪華ゲストを迎えてリリース!

c0072376_00015452.jpgKAIZEN 「Aqvila」'19

ヴァイオリニスト Kleber Vogel率いるブラジル産5人組シンフォ・バンドの25年ぶり(!!)となる2ndがリリースされたので即GET!

元々、同郷の室内楽風から交響曲風まで幅広いスタイルとヴァイオリンやピアノ等がクラシカルな格調高さを感じさせるエレガントなシンフォニック・ロックを聴かせた、女性キーボーディスト Elisa Wiermann嬢が率いるシンフォ・バンドQUATERNA REQUIEMのデビュー作『Velha Gravura』'90でのドラマチックで透明感あるヴァイオリン・プレイで注目された名手 Kleber Vogel(Violin、Mandolin、Gguitar)だが、デビュー作のツアー後にアッサリ脱退し、自身のバンドKAIZENを率いて『Gargula』'94 でデビューしたのがもう随分と昔の事なんですよね…

QUATERNA REQUIEMの前作から何と18年振りにリリースされた通産3(その前に別名義作が一作あるけど…)作目『O Arquiteto』'12で再び Kleber Vogelはバンドへ戻り、KAIZENは消滅したものと思っていましたが、どうやら既にQUATERNA REQUIEMから再び脱退(というか、QUATERNA REQUIEM自体が終了したっぽい? なんか色々と面倒だなぁ…)し、本作の制作を手がけていた模様です。

同郷シンフォ・バンドSAGRADO CORACAO DA TERRAをさらに優美にして上品なクラシカル要素を加えたかのようなドラマチックで繊細な叙情派サウンドのデビュー作のままに次作でも Kleber Vogelが参加して素晴らしい作品をリリースしてくれれば、もっとQUATERNA REQUIEMの知名度や売り上げも上がって精力的な活動が継続出来たんじゃないかと思ってしまうのがファンの悲しい性なんですが、元々QUATERNA REQUIEMはキーボーディスト Elisa Wiermann嬢とドラマー Claudio Dantesの兄妹が中心のバンドなので Kleber Vogel的には自身がイニシアチブを握れるバンド活動へ移行するのに抵抗は無かったんでしょうね…・(ノД`)

さて、その Kleber Vogel率いるKAIZENのデビュー作のサウンドはと言うと、QUATERNA REQUIEMを彷彿とさせるようなロマンチックなヴァイオリンを全編にフィーチャーした華やかで甘口なクラシカル・ロックなものの、キーボードのサンプルが古臭くチープなのとプレイもイマイチ華麗さを欠き(汗)、全体的にリズム隊も緩いプレイだったのも影響してか Kleber Vogelの流麗なヴァイオリン・プレイのレベルとバックのサウンドのレベルが少々マッチしていない、メロディにもキレが足りない散漫なイメージが終始する作品で『これならQUATERNA REQUIEM続けてくれてた方がまだ良かったのにぃ…』と、当時ガッカリしたのを覚えております('A`)

今は亡き南米インディ・レーベル PROGRESSIVE ROCK WORKLDWIDEからのリリースだったのもあって、インスト作にも関わらず音が悪かったのも印象を悪くしていたのかもしれません…

で、待望の新作である本作ですが、まず Kleber Vogel以外のメンツは総入れ替えされております。

まぁ、デビュー作のプレイヤーで特に印象に残っているプレイを聴かせたメンツは居なかったので、これは新譜の出来に悪影響を与えてませんね、てか寧ろ新メンバー各員の方が演奏技術が高く明らかに前作よりテクニカルなプレイで構成されたボトムとキーボードはインスト・シンフォ作に相応しいレベルになっていると言え、今回のメンバーチェンジは大正解と言えるでしょう。

そしてサウンドの方ですが、デビュー作と同じく全編に Kleber Vogelの優美でロマンチックなヴァイオリンをフィーチャーした、生のフルートやチェンバロ、チャーチ・オルガン等も加えた厳かな趣きのあるクラシカル・ロックや、新要素としてエキゾチックで妖しいメロディも聞こえたりする、5曲で構成された組曲も含む大幅にサウンドの質とスケール感が増した叙情感たっぷりでドラマチックな一大シンフォ・ロック作となっている('(゚∀゚∩

また、本作はゲストも豪華で、SAGRADOの Marcus Viana御大(Violin)をはじめ、O TERCOの Sergio Hinds(Guitar)、TEMPUS FUGITの Andre Mello(keyboard)等の総勢9名というブラジル・シンフォ界の新旧メンツがゲスト参加して作品のレベルアップに著しく貢献しており、特に Marcus Viana御大は Kleber Vogelと左右チャンネルに音を分けてツイン・ヴァイオリンで共演し、スリリングにして美麗な調べを聴かせてくれて、もう最高♪(*´ω` *)

有名ゲスト陣の職人芸的プレイに触発されるかのように各バンドメンバーも気合いの入ったテクニカルでキレあるプレイを披露しており、以前の甘口シンフォ・サウンドに緊張感と、プレイの圧し引きによる陰影がサウンドに深みを生んで、最早全く別バンドによる壮大でドラマチックなシンフォ・サウンド作と言っていいレベルに引き上げられているので、前作で彼等を見放したファンの方にも是非今一度チェックして欲しいし、南米特有の叙情的でドラマチックなクラシカル風味のシンフォ・ロックがお好きな方にも、是非一度チェックしてみて欲しい一枚であります。

リーダーの Kleber Vogelが、ブラジル交響楽団や、リオ・デ・ジャネイロのフィルハーモニー管弦楽団、リオ・デ・ジャネイロ連邦大学大学院大学院室内管弦楽団との仕事があってなかなかバンド活動に時間が取れないかもしれませんが、出来ることなら次作はこんなに長いインターバルを開けずに届けて欲しいものです。

お求めの方は、自主制作盤なのでお早めにね!


by malilion | 2019-10-27 23:57 | 音楽 | Trackback

80年代サウンド最後の輝き…USAクリスチャン・ハードポップバンドFIGHTERのアルバムがデジタルリマスターで待望のリイシュー!

c0072376_17312646.jpgFIGHTER 「The Fighter Demos」'19

88年に結成され90年代初期にUSAアイオワ州をベースに極短い期間だけ活動したキーボード入り5人組クリスチャン・メロディアス・ハードポップ・バンドの1st、2nd待望のデジタル・リマスター再発に合わせ、デビュー前のデモ音源も今回初お目見えしたので即GET!

キャッチーでブライトなサウンドが特徴な80年代メインストリーム・サウンドが身上の本バンドですが、フロントマンである Amy Wolter嬢以外にドラマーを務める Sean Murphyもリードヴォーカル(AOR向きな良い声!)を半分程担っており、クリスチャン系バンド定番な分厚く爽やかなコーラスに加え、男女ツイン・ヴォーカルという武器も持つ、正にフック満載なハードポップサウンドを演るのにピッタリなバンド編成と言えましょう。

クリスチャン・バンドという事もあってか当時余り輸入盤が出回らなかった(今は亡きLong Island Recordsがディストリビユートしてたなぁ~)マイナーなバンドなれど、その筋では当時から有名なバンドで、正に今回は待望といった感の強いリイシューです♪ いやー! ホント、目出度いっ!('(゚∀゚∩

当時、日本盤がゼロコー辺りからリリースされても少しもおかしくない、煌びやかなキーボードがフィーチャーされ、エッジあるハード目なギターサウンドがピリリとキャッチーでコンパクトな楽曲を引き締める、ハイレベルな完成度の爽快USAサウンドなれど、クリスチャン・ロックというカテゴリーとインディ・レーベルからのリリース、そして折しも全米を覆ったグランジーの波に呑まれた為か敢えなく2ndリリース後間もなくして解散してしまった彼等、今回リイシューされたデビュー作『The Waiting』'91と続く『Bang The Drum』'92 のたった二枚しか音源を残していないのが非常に非常に残念です…・゚・(ノД`)

さて、本デモ音源集ですが、基本的に後にデビューアルバムに収録される楽曲が納められており、デビュー作制作過程で数曲がカットされたその音源も含んでいる(デモに未収録で1st録音課程で追加された曲は含まず)点と、アレンジの違いやコーラスが無い等の完成前の彼等の“素のサウンド”を知る事が出来る、といった資料的な価値以上があるとは余り思えない作品(音はお世辞にも良いとは言えない、まぁデモテープの音だし)なのは間違いありません、が、だからこそファンにとっては堪らないマニアックな音源とも言えますね(*´ω` *)

今回のリイシューにあたって1st、2nd共にボーナストラックとして未発音源をプラスしてリリースしてくれたのは、オリジナル盤を持っているファンにとっても大変嬉しいサプライズであります。

あと、細かい違いで言うと1stのジャケのカラーの濃淡が濃い目で陰影がキツ目になっているのと、バンドロゴが今回のデモと同じ手書き文字風になっている変更(2ndのデザインは同じ)がありますね。

またデジタルリマスターの効果でかボトムの音が少しアップした輪郭のハッキリした音になっておりますが、元からオリジナルアルバムの音がそこまで悪くはなかったのでリマスター効果絶大、とまでは言えないマイルドな仕上がりかと個人的には思いますね。

それにしても今聞き直してもホントにいいサウンドを聴かせてくれるバンドだったなぁ~、と嬉しくなってしまいますね。
2ndの方がサウンドのハードさがアップし、ピロピロとテクニカルなギターパートや Sean Murphyのヴォーカルパートも比重が増えて、よりパワフルでマッシブになった熱唱とキャッチー・サウンドがクローズアップされた作風で、ホントにこれが最後のアルバムとは思えない素晴らしい出来なのがまた…・(ノД`)

また、フィメール・ヴォーカルながら太くパワフルな下から上まで綺麗に伸びる可憐な歌声を披露した Amy Wolter嬢がFIGHTER解散後、94年に『Hit me in the Heart』なるソロアルバムをリリースした他、バンドの他メンツが表立って活動をしたという情報は伝わっていないのが悲しい限りですが、きっと地元のローカルシーンでは未だに音楽活動を続けているものと信じております…

80年代後期のキャッチーでブライトなUSAメインストリーム・ロックサウンドがお好みの方なら是非GETしていただきたいバンドのアルバムですので、もし未聴な方がおられましたらサンプル音源等ネットに上がっているので、一度チェックしてみて下さい。

今回のリイシューは限定盤との事なので、お求めの方はお早めに!

このリイシューに合わせてオリジナルメンバーで再結成! ってなニュースが飛び込んで(年齢的に無理かなぁ)こないかなぁ~、とか尽きぬ妄想が膨らむばかりです…ホント、80年代から90年代初頭にかけては素晴らしい時代だったなぁ…





by malilion | 2019-10-23 17:23 | 音楽 | Trackback

ポップでキャッチーな北欧プログHMバンド A.C.Tの久しぶりの新譜をご紹介。

c0072376_07204910.jpgA.C.T 「Rebirth」'19

北欧スウェーデン産プログHMバンドの、前作『Circus Pandemonium』'14 から5年ぶりとなる新譜EPがリリースされたのを、少々遅れてご紹介。

これまで5枚のアルバムをリリースしている彼等だが、なんでもアルバムリリースの間隔が長く空きすぎるので、これから1年に1枚EPをリリースする予定なのだとか。
だからか、本編最後の楽曲の終わり方が、如何にも次の曲へ繋がる風で突如途切れる終わり方なんでしょうね。

とは言え、手早く音源を纏められる音楽形態とそうでない音楽があるので、かなり創り込む系な彼等のサウンドがそんなに予定通りサクサクと完成させてリリース出来るとも思えないんだけどなぁ…(汗

デビュー当時は、大雑把に言ってDREAM THEATER+SAGA+QUEEN×UKプログレなサウンドだった彼等だが、本作に至っては夢劇場からの影響から完全に脱却し、オペラチックなヴォーカルアレンジにQUEENっぽさを感じさせるのみとなった、今や完全にオリジナルなテクニカル&シンフォなポップ・サウンドをクリエイトしていると言っていいだろう。

本作もプログレをベースにしているものの相変わらずポップで親しみ易いメロディアスな作風で貫かれており、非常にカラフルで艶やかなサウンドと爽快感抜群なコーラスワーク、そしてキャッチーな甘口ヴォーカルと総じて如何にも北欧産なポップ要素をしっかり感じさせつつ、一筋縄でいかぬ展開が織り込まれた複雑で緻密なアレンジと、それでいて少しも難解な所の無いフック満載な楽曲は最後の一音まで創り込まれた高品質作で、余りにカッチリ創られ過ぎているので生っぽいロックさが乏しく感じてしまう点と、EPなのでアッと言う間(22分!?)にアルバムが終わってしまう点以外は文句の付けようがない程だ。

彼等の複雑で豊かなサウンドを知る方ならご承知でしょうが、一応このバンドのサウンドのカテゴライズとしてはプログHMと言う事になるものの、既にバッキングや短いインタープレイ等で幾分かHM要素を感じさせる程度の、ギリギリでプログHMの範疇に収まっているといったボーダーレス・サウンドは既に殆どプログHMからはみ出している音楽性な訳ですが、前作のコンセプト作故の難解さの反動か本作はよりポップなフィーリングに寄った楽曲が納められており、その為にかちょっと軽目なヴォーカルと分厚いコーラスがオランダのメロハー・バンドTERRA NOVAっぽく聞こえたり、デジタリーな加工が施されたモダン・アレンジなサウンド等の実験も相変わらず行われており、万華鏡のようにクルクルと様変わりするその複雑にして美麗なサウンドには新鮮な驚きを覚え、さすがは70年代プログレをリスペクトするA.C.Tの頭脳 Jerry Sahlin(Key、Vo)の面目躍如と言った所だろう。

まぁ、ヘヴィ要素が今回は特に薄目なコンパクトにまとめられた軽いポップサウンドのEPなので、HM的なスリリングなエッジあるサウンドを求める方や、プログレ的な熱いインタープレイの応酬なんかを求める方には少々厳しい内容なのは否めませんけど…

とまれ、メロディアスでキャッチーなプログHM好きな方だけでなく、所謂普通にキャッチーなテクニカル・ユーロHM好きな方にも是非お薦めしたい一枚であります。

果たして来年、EPが届けられるか定かではありませんが、素晴らしい楽曲が詰まった新作がリリースされるのを首を長くして待ちましょうかね(*´ω` *)







by malilion | 2019-10-16 07:14 | 音楽 | Trackback