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Jeff Scott Soto率いるSOTOのゴリッゴリなモダン・ヘヴィネスサウンドに変化の兆し。メロディアスさが増した新譜をリリース!

c0072376_17515147.jpgSOTO 「Origami」'19

Yngwie Malmsteenに見いだされ、以降長きに渡って様々な世界中のプロジェクトやバンドに参加してきたUSメロハー界きっての働き者ヴォーカリスト Jeff Scott Soto(現SONS OF APOLLO、ex:Yngwie Malmsteen Band、ex:TALISMAN、ex:JOURNEY、etc…)が自身のリーダー・バンドとして始動したUSモダンHMバンドSOTOの、前作『Divak』'16 から3年ぶりとなる通算三作目がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

それまで甘いメロディ主体なキャッチーなユーロ系のメロハー・バンドにばかり参加してきた反動でか、ゴリッゴリのダークネスな鈍色USモダンHMサウンドを披露して彼の活動を80年代から追い続けていたファン達を落胆させたデビュー作の苦い苦い記憶が、未だにこのバンドの日本国内での人気をスポイルしていると個人的には思っとります。ハイ('A`)

キャリアも実力もメロハー系に置いては人気だって申し分無い割に報われる事の多くない Jeff Scott Sotoでしたが、アメリカンHM界の凄腕メンツ等が結成した新ス-パー・プログHMバンドSONS OF APOLLOに近年フロントマンとして迎え入れられたのが心理的にも経済的にも余裕をもたらしたのか、フラストレーションの塊を叩きつけるかの如き一切甘味の無い無愛想な怒号サウンドに前作で幾分メロディアスさが感じ取れるようになり、続く本作でもメロディアスさが幾分か増して(1曲目のダンサンブルでデジタリー、そしてポップでキャッチーなメロディアスな楽曲には驚かされた)感じられ、お得意のファンキーさを封印し、上から下まで存分に伸びる強靱な喉を轟かす、パワフルでエモーショナルな Jeff Scott Sotoの骨太ヴォーカルを存分にフィーチャーした、テクニカルでソリッドなモダンUSヘヴィサウンドを本作でも披露している。

現行のUS産モダンHMバンドらしいソリッドでヘヴィなダークサウンドは、依然として硬質でドライ、そしてマッチョでタフな雰囲気に満ち満ちているものの、前作よりさらにポジティヴなエナジーが充満して感じられ、重々しいリフでゴリゴリ攻めまくるテクニカルでエッジあるギターをメインにしつつ、キャッチーなコーラス・ハーモニーも時折交え、グルーヴィなボトムのウネリとうっすら哀愁漂うウェットなメロディが甘過ぎぬ絶妙のバランスで配合された、パワフルなシャウトだけでなく深みあるディープヴォイスを活かしたバラード調の楽曲もしっかりと披露して Jeff Scott Sotoのスキルの高さを十二分に実感させる、良くプロデュースされたUSモダンヘヴィネス作に仕上がっていると言えるでしょう。

元々 Jeff Scott Sotoのソロ・アルバムの楽曲をLIVEで披露する為に集められたバンドがスライドしてSOTOに成った訳ですが、残念ながら本作で初のメンバーチェンジが勃発してしまい、ベーシストが David Zから Tony Dickinsonへチェンジしている。

ただ、メンバーチェンジがあったものの本バンドのキー・プレイヤーである、目立たないけれどしっかり味あるフレーズとテクニカルなリード・プレイを披露するスペイン人ギターリスト Jorge Salan(G)とソリッドでタイトなドラムでバンドの土台を支えるブラジリアン・ドラマー Edu Cominato(Ds)の2人は変わらず在籍しておりサウンドへの影響はほぼ感じられないので、前作が気に入っていたファンの方はご安心を。

そうそう、地味ながらしっかりサウンドに厚みと彩り(ブラスをフィーチャーした楽曲は、恐らくキーボードのサンプルだろう)を加えている BJ(Guitars & Keyboards)の存在も決して忘れてはならないと思っとります(*´ω` *)

心機一転、SONS OF APOLLOと同じソニー傘下のInsideOut Musicへ移籍しての初のアルバムとなる本作には、Jeff Scott Sotoの長年のキャリアに裏打ちされた揺るぎ無い自信と、SONS OF APOLLOともソロ作とも、これまでFrontiers RecordsやESCAPE MUSICフィールドで参加してきたユーロ系メロハー・バンド達とも違う、独創的で現代的なヘヴィ・サウンドが深く刻まれているので、彼のファンは無論の事、USモダンHMサウンドが好きな方にも是非一度チェックしてもらいたいアルバムであります。



by malilion | 2019-06-30 17:46 | 音楽 | Trackback

UKベテランHRバンドTENの新譜『ILLUMINATI』を今頃購入してみた。

c0072376_17492797.jpgTEN 「Illuminati」'18

盟友 Vinny Burns(G、ex:DARE ex:ASIA)の脱退以降メンツも定まらずどんどん売りの叙情的メロディもフックも色褪せていった Gary Hughes(Vo)率いる英国産ベテランHRバンドが、20周年記念盤『Albion』'14で劇的に作品レベルや楽曲クオリティが戻り、連作の『Isle De Muerta』'12も素晴らしい出来でメロハー・ファンを歓喜させた彼等の、前作『Gothica』'17に続く新作が1年半ぶりにリリースされたのを今頃手に入れてみた。

『Albion』と『Isle De Muerta』の二枚組構成に、さらにEP収録の新曲を収録した限定500枚『Battlefield』'16を手に入れた時は、その出来の良さに小躍りしたものですが、前作『Gothica』'17の出来は正直イマイチでガッカリでした。

毎度お馴染みなコンセプチュアルな雰囲気や全体のサウンドは良いものの、聞き終えた後でアルバムのメロディや楽曲の印象が薄く、しかも『Albion』以前の大仰さが鼻につく大作志向な楽曲にフックが乏しく退屈なミッドテンポな曲ばかりの駄AOR化していた頃のタルさが再びアルバム全体から強く感じられたからです。

勿論、『Albion』以前の楽曲よりもサウンドはモダンで出来は良かったし、楽曲構成やトリプルギターがイマイチどう活かされているか分からないもののメロディの質や各プレイヤーの披露する演奏も平均的で、これまで余り表現されてこなかった白蛇的エロティックな歌詞等、幾分か新基軸も聞き取れ期待したのですが、結局は『Battlefield』の時のような新鮮な驚きや歓喜は訪れませんでした…

やはりネックとなってくるのはボスでありバンドの頭脳でもある Gary Hughesの狭い音域のヴォーカルと激しさの余り感じられない歌唱法だと個人的に思うのですが、マンネリ気味になりがちな歌メロや楽曲展開をどう手を変え品を変え新鮮味を感じさせるか、という点で『Gothica』はバックのメンツの頑張りは余り感じられなかったと言うのが正直な感想です。

まぁ、バックばかりを一方的に責めるのも酷だとは分かっているんですけどね、なにせ仕切っているボスはヴォーカリストの Gary Hughesなんですから。

トリプルギターにキーボーディストまでいる7人の大所帯編成ながら音の隙間はしっかり感じられる流石はベテランというサウンドはよろしいのですが、やはりヴォーカル偏重な楽曲構成故かHRバンドとして見るとバックのメンツのインタープレイ・パートなんかは控え目で、壮大でシネマチックなサウンドはバランス重視と言えば聞こえは良いけれど、3人もいるギタリスト達の活躍の場が少ない退屈極まりないマンネリズムの波に溺れ勝ちな状況がなんとも…

折角『Battlefield』で再び購入意欲が戻ったものの前作『Gothica』でガックリ、だったので本作に手を出すのを再び躊躇した訳ですが、ダメ元と覚悟をして購入したもののヤッパリ本作も…な、出来と言わざるを得ません…orz

アルバムの制作に置いて意見が食い違い、所属していたFrontiers Recordsを離れ、新規一転新興レーベルから『Albion』と『Isle De Muerta』をリリースし、その出来の良さが耳に入ったのか再びFrontiers Records所属へ戻り前作『Gothica』をリリース、そして本作という流れが悪いとは言わないけれど、なんと言うか再び勝手知ったる安住の地を得たので、新興レーベルから心機一転新譜をリリースするぞ、という時のような冒険心や成功するぞ、というハングリー精神や意気込みが失せてしまったのでしょうかねぇ…(汗

本作もHRバンドお決まりのテーマを取り上げたコンセプト作で、彼等お得意の物語性ある壮大なサウンドが紡がれていくのですが、やはり以前の悪癖である楽曲のコンパクトさやフック、そしてキャッチーな歌メロ等が霞み、HRバンドらしいスリリングな展開や各プレイヤーのインタープレイ等も殆ど聞こえず、AOR的にも歌メロに耳を惹くような驚きもなく、所々で耳を惹くメロディや展開も聞けるものの終始雰囲気は良いし各メンツのプレイもソツないけれど、アルバムを聞き終えた後にメロディやメンバー達が奏でたプレイが殆ど耳に残らない退屈な一作でした。

厳しい事ばかり並べ立ててますけど、それだけ彼等には期待してるし期待に応えられるポテンシャルは確実に持っているバンドなんですよぉ…('A`)

しかし、残念ながら次作に手を出すかどうかかなり怪しい状況ですね……

メンツも時代も違うのは重々承知しているのですが、どうしても初期『The Name of the Rose』'96当時の素晴らしい美旋律と完成度と扇動力の高かったサウンドを知っているとなぁ…(ノД`)

『Albion』で取り戻した輝きを、次作でこそ聞かせてくれる事を祈って…




by malilion | 2019-06-29 17:43 | Trackback

Bender一家率いる北欧スウェーデン産シンフォ・バンドINTROITUSの5年振り4thがリリース!

c0072376_22071738.jpgINTROITUS 「Shadows」'19

北欧スウェーデン産6人組シンフォ・バンドの5年振りとなる4thがリリースされたので即GET!

これまでどちらかと言うと美麗系なジャケのイメージだったが、ここに来ていきなりダークで妖しげなジャケになっているのを見てファンは驚かされた事だろう。

当然、何か変化が? と予想するがその予感的中で、前作でツインキーボード編成の7人組だったのがこのインターバルの間にメンバーチェンジが勃発して6人編成へと変わっている。

デビュー作の時点でBender一家(旦那 Mats BenderがKeyboards、妻 Anna Jobs BenderがLead Vocals、息子 Mattias BenderがDrums&Vocals)がバンドの中心で、2ndより娘の Johanna Bender嬢までもバッキングヴォーカルとして参加し、オリジナルメンバーで一家以外のメンツは皆無になった事からもBenderファミリーが仕切るバンドなのが見て取れた訳だが、今回の4th制作メンツはと言うと、2ndより加入したギターの Par Heljeとベースの Dennis Lindkvistの2人は今回もちゃんとその名を見る事が出来るものの、前作のサウンドに華やかな彩りを添えていたキーボード兼フルート兼ギターの Henrik Bjorlindの姿は無く、また Johanna Bender嬢も本作ではメンバーから外れてゲスト扱いになっている。

個人的には Henrik Bjorlindの活躍でバンドサウンドが飛躍的にグレードアップしたと思っていたので彼の脱退は残念(ボスの Matsより目立ったから? 結局シングルキーボード編成になってるし…)ではあるものの、代わりといっては何だが本作から Linnea Syrjala嬢(Accordion、Ocarina、Chalumeau、Vocals)が新たに加わり、前作で Henrik Bjorlindが聞かせた繊細で華やかな美旋律の補完のみならず Johanna Bender嬢の役目も兼ねる事になった模様だ。

因みにChalumeau(シャリュモー)とは、後期バロックから初期古典派の時代に用いられたシングルリードの木管楽器で、近代クラリネットの前身となった民族楽器となっており、アコーディオンやフルートを活用するシンフォ系バンドや北欧系トラッドバンドは多いが、このバンドはChalumeauのみならずOcarinaの音色も取り込み、ややもすると個性が弱く類型的なサウンドになりがちなフィメール・ヴォーカルのシンフォサウンドの独創性を高めようと模索しているのだろう。

また、Helena Tenstam嬢なるフルート奏者がゲスト参加で流暢なプレイを全編で披露したり、一曲だけゲストヴォーカルとして Martin Jobsを招くなど新しい試みにも臆する事なく挑み、これまでの重要なサウンド要素も保持しつつ、よりヴォーカルの厚みやコーラスの導入などを重視し、さらに楽曲の荘厳さや艶やかさ、そしてスケールを増すと共にINTROITUSならではのシンフォ・サウンドの進化と確立を図っているのが良く分かる。

北欧女性声シンフォ・バンドは数あれどフェーメールVo苦手な自分でもこのバンドが聴けるのは、アルバム枚数を重ねる毎に表現力を増し Nancy Wilsonを彷彿とさせる美声な Anna Jobs BenderのA級まで行かない、いい意味で木訥さも残すB級なヴォーカル・スキルもさる事ながら、やはりボスである Mats Benderの操る多彩で細やかな鍵盤プレイと目立たないけれどフィーリングバッチリで印象的なメロディを情熱的に紡ぐ Par Heljeのギタープレイがシットリ憂いを湛えた叙情的でドラマチックな物語を描き出す様や、モダン且つ格調高いクラシカルなサウンドの配合具合が絶妙なのが大きく、今回は特に物悲しいオカリナや鄙びたアコーディオンなど、これまで以上にセンチメンタルで淡い情感を漂わす新たなテイストが加わり、北欧特有の透き通るようなクリアーな空気感と哀愁漂う幻想性、そしてデビュー当時からこだわっている必ず導入されるフルート(今回、専任メンバーが居ないけれど)が紡ぐメランコリックな美旋律が本当に堪りません♪

幾分かこれまで以上に壮大でシンフォな響きのシンセ群(時々、ちょっと安っぽいサンプルな気がする時もあるが、今やソレも味と言える?)の音色がフィーチャーされた楽曲が納められているが、基本的にいつものスタンス通りに俗っぽいロックテイストやそこそこテクニカル、時々驚くほど複雑で活気ある鍵盤とギターのソロプレイがスリリングな展開を聞かせてくれる点も、そこらの無駄に壮大で纏まりが無い自己満足的で懐古趣味な、退屈極まりない無駄展開の連続な長尺曲を垂れ流してるB級マイナー・シンフォバンド群と一線を画していて、このバンドを気に入ってるポイントです。

実は Mats Benderのキーボードプレイだけに注意すると、モダン・シンフォ系と言うよりかなりネオ・プログレ的なプレイをしており、下手をすると野暮ったく古臭くなりがちなサウンドを Par Heljeの絶妙なフレージングとトーンコントロール、そしてしっかりコンポーズされバランスが考慮されたソロとリフが堅実にバンドサウンド支え、全体的にスケールアップし壮大になったロマンチックな響きの香る楽曲にソリッドなエッジと独特の輝きを与えているように思う。

プログレ的な独創性と進歩性は余り感じられないし、完成度が高く他の追随を許さぬ極上の美麗サウンドでもないけれど、非常に調和の取れた、円熟味さえ感じさせるドラマチックでシンフォニックなサウンドは、デビュー当時からの物悲しさを漂わせながら、ゆったりと淡く静かに拡がっていく波紋のようで、幻想的な艶やかな美しさをしっかりと湛え今にも零れ落ちそうだ(*´ω` *)

フルートやオカリナが物悲しい叙情を掻き立てる、リリカルでドラマティックな北欧シンフォ好きな方なら一聴の価値はある彼等の新作ですので、是非一度チェックしてみて下さい!



by malilion | 2019-06-24 22:01 | 音楽 | Trackback

KANSAS+RUSH+YES×モダン・プログレ、なUSシンフォ・バンド AFTER THE FALLが13年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_19145665.jpgAFTER THE FALL 「Early Light」'18

86年に米国コネチカット州で結成されたキーボード入り4人組USシンフォニック・バンドの、前作『Knowledge』'05以来13年振りの通算6作目となるアルバムがリリースされたので即GET!

Mark Alden Benson(Vocals、Electric & Acoustic Guitars、Percussion)と Ken Archer(Keyboards、Backing Vocals)を中心に結成され、デビュー・アルバム『The Last Hero』と2nd『Light and Shadows』は、それぞれ88年と91年にリリースされたが、残念ながらこの二作はカセット・オンリーでのリリースで現在までフルCD化されおらず、二作のカセット作から数曲ずつをチョイスしてデジタルリマスターを施した音源を収録したコンピレーション盤『BEFORE...』のみが97年にCDリリースされている。

カセット音源時代から3rdアルバム『In A Safe Place』'97 リリース時でメンツ変動があったがそれ以降バンドメンツは不動の4人 Mark Alden Benson、Ken Archer、Jeff Brewer(Bass、Bass Pedals、Acoustic Guitar、Percussion、Vocals)、Rich Kornacki(Drums、Percussion)で、前作リリース後も精力的な活動を続け、各種プログレ・フェスティバルに参加したり、ニュージャージーでの公演でTHE FLOWER KINGSとステージ共演を果たすなど長く地道なLIVE活動を続けたが、なかなか活動が報われぬのが引き金になったのか結成当時からのオリジナル・ドラマー Rich Kornackiが脱退し、バンドは12年から活動休止状態になっていた模様だ。

久しぶりの再起動作である本作では新ドラマー Marc Dupuisが迎えられているが、Rich Kornackiも二曲でドラムを叩いている所を見ると、脱退は円満に行われたのだろう。

また、折角の再起動作なものの、活動休止を挟んだ事が原因でかオリジナル・ベーシスト Jeff Brewerの姿は本作に無く、Jim Rosatiなるベーシストがゲストで一曲プレイし、残りは最初期のメンバー Jon Quinnが再び復帰してベースをプレイしている。

因みにカセット音源時のフロントマン Jon Quinnは、脱退後もバンドと交流を続け、前作『Knowledge』ではAdditional Vocalsをはじめ、Guitars、Samples Electronics等での客演のみならず、ジャケットデザイン等でも協力して来たが、本作では再びバンドに再加入し、Bass、Keyboards、Additional Guitarsをプレイするだけでなくアルバムのプロデュースまでも手がけている八面六臂の活躍で、なにげにバンドにとっての長年の影の功労者と言えよう。

ベーシスト Jeff Brewerが脱退したのでバンドの売りだった Mark Alden Bensonとの爽やかなツイン・ヴォーカルはもう聞けないのかと落胆した方も、代わりに初代フロントマン Jon Quinnがベーシスト兼任で復帰と言うことなのでその点の懸念は心配御無用だ。

さて本作についてだが、4th『The Living Drum』までは正直ピンとこないユルユルな自己満三流マイナーUSグレ・バンドだった訳だが、前作『Knowledge』からKANSASとRUSH風味を隠し味に、シャープなヴォーカル&コーラスとEL&P張りのシンフォニックなキーボードが大活躍する長尺曲ばかりながら助長な所無くコンパクトに構成された、タイトにテクニカルに攻めまくりなUSシンフォ・サウンドへ急成長し、マイナーなインディ・バンドながら一気に大化けして期待のUSシンフォ・バンド最右翼へと躍り出て驚かされたが、待ち望んでいたファンの期待を裏切らぬ前作で示した方向性のままな会心の一作を届けてくれた('(゚∀゚∩

KANSAS、RUSH、YESという古典的プログレ系に始まり、JAZZハーモニー、奇妙なメロディー、その他の実験的な試みも敬遠せず、キャッチーでメロディアスなHR要素だけでなく様々な現代音楽のサブジャンルからの影響も貪欲にブレンドし、シンフォニックとプログHMの色合も兼ね添えたサウンドを意識しつつ、爽快なコーラスとシャープなヴォーカルは朗らかに歌い上げ、エッジあるギターはテクニカルにリフを刻み、オルガン、アナログ・シンセ等のビンテージ・キーボードは重厚華麗な音の壁を築き、繊細なベース・プレイとソリッドでタイトなドラムが複雑で軽快なリズムを交差させ、非常に独創的なモダン・プログレッシヴ・サウンドを奏でている。

アナログ・シンセ等の重厚で図太い音色は如何にも70年代風といった趣を感じさせ古典プログレ好きに訴求するサウンドながら、決して懐古主義と言う訳で無いRUSHっぽいデジタル加工を施したサウンドも隠し味的に随所で顔をのぞかせモダンさを感じさせつつ、チラリチラリとKANSASっぽいメロディやヴァイオリンのサンプリング・ストリング、そしてオルガンのヘヴィな音色を弾ませ、アメリカ産バンドならではの抜けの良いYES系シンフォ・サウンドと爽快さ、そして熱気溢れるパワー圧しの畳みかけと強烈なアンサンブルが駆け抜ける、上手い具合に各要素をスポイルさせる事無く組み合わせ自分のカラーにしたバンドサウンドが実に魅力的だ。

70年代初期からUSインディ・グレ系はJAZZっぽいサウンドや、サイケっぽいサウンド要素を取り入れるバンドが多かったが、本作でも以前は余り聞かれなかったムーディーなJAZZフレイバー香るピアノやギター、ベースがセンス良くシャレオツな音色を聞かせ、時折ファンキーなギターのリフも朗らかに絡ませつつ、パワフル且つドラマティックな大作志向の楽曲をテクニカルに、スリリングに、前作よりかなりインスト重視なスタイルで堂々と鳴り響かせている。

前作で爽快なヴォーカルを聞かせてくれ一気にUS系らしいキャッチーさが増したと喜んだのだが、本作では再び各楽器パートが長尺で如何にもプログレ系というサウンド形態なアルバムとなったのがちょっと残念なものの、決して助長さは感じさせぬしっかり構成された手の込んだ楽曲は時間をかけて緻密に編み上げられたのが伝わってくる力作なので、今回はポップでキャッチーな要素は少々控え目にして、長い間にグツグツと溜まりに溜まって熱を帯びた各プレイヤーの迸る創作意欲と演奏欲を満たした結果なのだろう。

KANSAS、RUSH、YESファンや、70年代風な香り漂うモダン・USシンフォ・サウンドがお好みの方に是非一度チェックして欲しいバンドであります。

因みに同名のバンドが複数存在しておりますので、マイナーなシンフォ系バンドの本バンドは上記のアルバムタイトルしかリリースしていませんので、間違って購入されないようご注意下さい。





by malilion | 2019-06-12 19:10 | 音楽 | Trackback(2)

元ANGRAのヴォーカリスト、Andre Matosが死去…


元ANGRAのヴォーカリスト、Andre Matosが6月8日に死去した模様だ。

『…え!? なんのジョーク?』って、いう驚きがこの情報を耳にした最初の反応だった。

だって、彼はまだまだ若いはず…47歳じゃないか? と…

予測出来ぬ交通事故にでも巻き込まれたかと思ったが、なんと心臓発作を起こしたらしい…

しかも、6月2日にブラジルのサンパウロでTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAのLIVEにゲスト参加していたのに…

その5日後に、この世を去るなんて、誰が予想できようか。

ともかく、これでオリジナルANGRAが再結成する事は永遠になくなってしまった……orz

今夜はANGRAのデビューアルバムでも聞くかな…

Andre Matosよ、安らかに眠れ…R.I.P



by malilion | 2019-06-09 20:42 | 音楽 | Trackback

40年の歴史に幕を降ろしたカナダのSAGA…最終LIVE作をご紹介。

c0072376_19225693.jpgSAGA 「So Good So Far - Live At Rock Of Ages」'18

このアルバムだけは、正直聞きたくなかった…

もう随分前に本作のリリース情報を知り、ちょい遅れて入手していましたが、どうにも本作を聞く気になれなかったのです…orz

勿論、内容どうこう文句があるわけでなく、大好きなバンドの最終作、しかも活動終了というある意味で解散以上に悲しくも潔い結末を迎えた最後の勇姿が記録されているから…

本作は結成40周年を迎える2017年に“最終章”のLIVEツアーが行われ、18年のプログレ・クルージング・フェス“Cruise To The Edge”で行う特別な一回限りのパフォーマンスを最後に活動を終了(最終公演は18年10月12日プエルトリコ公演)した、カナダが誇るプログレ・ポップバンドSAGAの最終作であり二枚組CD+DVD LIVEアルバムだ。

17年ドイツのSeebronnで開催された『Rock Of Ages Festival』でのパフォーマンスを収録しており、夕刻から定評のある1時間半のセットを、数千人のフェスティバル参加者の前で披露した様子が納められた本作には、CD二枚組盤の他、アナログLP二枚組盤や、DVD盤、Blu-ray盤等のメディア違いのパッケージが多数用意され、有終の美に華を添えている。

『Rock Of Ages』フェスティバルの06年初開催時にSAGAが招聘されLIVEを披露して以来、毎年のように同地を訪れて人気を博し続けていた事から、常にSAGAにとって重要なLIVE会場先であった場に再び戻ってきてのLIVEを記録に納めるのは、ある意味で必然だったのかもしれません…

ここ日本での知名度や人気は信じられないくらい低い彼等ですが、結成以来、フロントマンの Michael Sadler(Vocals、Keyboards、Guitar、Bass)と、Ian Crichton(Guitars、Synthaxe、Banjo)と Jim Crichton(Bass、Keyboards、Moog synthesizer、Guitar、Synthaxe)のCrichton兄弟が中心なバンドで、そのトリプル・キーボードを活かした軽快でキャッチーなサウンドが、本国カナダを始め北米、そしてユーロ圏、特にドイツでは昔から絶大な人気を誇るバンドでありました。

ですが、オルタナ&グランジーの影響か90年代末期から流行に日和った路線のアルバムを数作リリースして旧来からのファンの不興を買ったり、結成以来バンドの顔であったフロントマンの Michael Sadlerの脱退、そして一作だけ同郷のメロハーシンガー Rob Morattiを迎えてアルバムを制作した後すぐさま Rob Moratti脱退、電撃的に Michael Sadler復帰と、近年はゴタゴタ続きでイマイチ活動が軌道に乗れていなかった模様なものの、12年にはしっかり21作目となる新譜をリリースしてくれて、まだまだ素晴らしいアルバムを届けてくれるものとばかり思っていたのに…゚・(ノД`)・゚・

まぁ、Jim Crichtonは70歳になったし、他のメンバーも高齢なので流石にLIVE活動をこれ以上続けるのは辛くなったのだろうとは予想つきますけど、主要メンツを欠いてもメンバー補充して半ば懐メロバンド状態に陥りながらもDEEP PURPLEはまだ活動続けてるし、Ozzy Osbourneなんて引退、復帰、引退を何度繰り返してるんだかだし、KISSなんて引退ツアーを何年やってんだ、ってな金になるなら反吐の出るようなド汚い不義理がまかり通るショービジネス界に身を置き、そんな中で潔く活動終了を宣言した彼等には拍手を送るべきでしょう。

これまでも未発音源集やらアーカイヴ作は積極的にリリースしてきてくれた彼等なので、恐らく今後もなんらかの音源はリリースされるものと思われますが、ともかく活動中のバンドとしての音源はもう本作で最後と言うことになりますね…悲しい…orz

さて、本作についてですが、流石にベテランの最終作だけあって、全ての楽器のバランスはしっかり調整されており、各楽器は聞き取り易くバンドは実にタイトで、華麗なキーボードとテクニカルなギターのアンサンブルが活躍するポップなバンドサウンドに相応しくクリーンなサウンドに纏め上げられている。

99年以来、数多くのLIVEアルバムをリリースして来たが、幾枚かは本当にポップでクリアーな良いサウンドだったり、また幾枚かはダークでヘヴィな荒れたサウンドであったが、本作のプレイは最終作『Sagacity』から加入した新ドラマーの Mike Thorne(バンド史上最高のドラマーと称されている)のお陰もあってか非常にヘビィでソリッドで、そんなドラムに背中を押されるように各プレイヤーの演奏にも熱がこもり、トレードマークの螺旋を描くように上昇するギターフレーズで Ian Crichtonが魔術師のように聴衆を魅了し、さらにSAGAを特徴づける Michael Sadlerと Jim Crichton、そしてキーボーディスト Jim Gilmourらによるトリプルキーボードの分厚い音の壁がスリリングに迫り、キャッチーでファンタジック、そしてポップでコンパクトな楽曲を Jim Gilmourが操る華麗なシンセワークがまるで目の前で軽やかに跳ね踊るように繰り広げられ、馴染み深い名曲の数々をカラフルに彩っていく。

ドイツでのLIVEという事もあってか Michael Sadlerがドイツ語で聴衆に呼びかけたり、煽ったりしていてちょっと奇妙に感じるし、LIVE作にしては少々聴衆の声が聞き取りにくいように思えるものの、その事がLIVE作自体の質を決して落としている訳ではないのでご安心を。

これまでリリースしてきたアルバム枚数も多く、楽曲はさらに数多いので、さすがにまんべんなく全ての時代の代表曲を演奏する事は現実的に不可能だし、本作の殆どの人気曲は他のLIVEアルバムにも全て収録されているものの、『Help Me Out』『Will It Be you?』の二曲は非常に希にしか演奏されぬ楽曲なので、本作の目玉収録曲で聞き所と言えるかもしれない。


全SAGAファンにとって本作は『必需品』であり、まだファンではない方にとっては、名曲の数々が納められた本作はSAGA世界への完璧な紹介作と言える一枚と言えましょう。


by malilion | 2019-06-07 19:17 | 音楽 | Trackback

70年代イタリアン・プログレの雄 BANCOが新フロントマンを迎えまさかの復活!

c0072376_17391114.jpgBANCO DEL MUTUO SOCCORSO 「Transiberiana ~Limited Mediabook~」'19

スタジオアルバム・リリースは97年のアンプラグドアルバム『Nudo』以来で、オリジナル曲で構成されたスタジオ・アルバムのリリースは94年の『Il 13』以来と、実に25年振り(!!)となる新作17thが遂にリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

70年代からPFMやLE ORMEと肩を並べるイタリアン・プログレ・レジェンドバンドのカリスマ的フロントマンで、ヒゲモジャのデブな禿げオヤジ(字面だけ見るとホンットに酷いなw)という特異なそのキャラクターとオペラティックな美声がメジャーデビュー以来“バンドの顔”そのものであったヴォーカリストの Francesco Di Giacomoを14年に交通事故で亡くし(涙)、てっきりバンドは解散したものとばかり思っていましたが、まさかの新ヴォーカリスト Tony D'Alessioを迎えた6人編成で活動を再開し、リーダーの Vittorio Nocenzi(Piano、Keyboards、Vocals)のみ残してメンツを総入れ替えしたツインギーター&キーボード入り新編成となって初のスタジオ・アルバム(ボーナストラックとして18年のLIVE2曲と44ページの綴じ込みブックレット&ハードカヴァー仕様の限定盤)が遂にお披露目された。

正直、Francesco Di Giacomo亡き後に誰を加入させようとも、もう以前のような懐かしの古典的イタリアン・プログレを奏でるBANCOサウンドを聞く事は叶うまいと確信していたので本作に手を出すのを少々躊躇っていたが、不遇の80年代末期からバンドに加入し、前作では時代を意識したメタリックでエッジある派手なギター・サウンドを聞かせた Rodolfo Maltese(15年に逝去…R.I.P)に代わり90年代以降バンドに参加している Filippo Marcheggianiがリード・ギターへ昇格し、12年から参加している Nicola Di Giaがリズム・ギター、そしてベーシストに元IL BALLETTO DI BRONZOの Marco Capozi、ドラムスにMETAMORFOSIの Fabio Morescoを迎えたという情報を耳にし、なかなか強力なリズム隊を従えたんだな、とちょっと興味をそそられ、LOST INNOCENCE、GUERNICA、POZZO DI SAN PATRIZIO等のバンドに参加し、イタリアン・プログHMバンドSCENARIOを率いる実力と十分なキャリアを持ったフロントマン Tony D'Alessioが加入というダメ押し情報で、遂には好奇心に負け(笑)本作を購入してしまいました。

前作のメタリックでドライヴィンな幾分かプログHMを意識しただろう(夢劇場の2ndは92年リリース)ハードサウンドでありつつ過去作もしっかりフォローする Vittorioの躍動的で煌びやかなシンセ大活躍な作風が個人的に大好きだった訳だが、既に新人バンドがデビューして解散してしまうくらいの年数が前作から経過している事実を見るまでも無く当然サウンドは前作と全く違っているものと予想していたが、本作は初期の重厚な70年代風イタリアン・プログレ・サウンドと、より現代的なHRサウンドをMIXさせた絶妙なバランスのサウンドがベースになっており、モダン・プログレからアバンギャルドな作風だけでなく、AORやJAZZ風な要素まで多種多様に取り入れたその恐れを知らぬ挑戦的サウンドは、70年代の黄金期を想わせる名盤サウンドを継承しつつも、新たな要素を貪欲に加えてモダンサウンドへ進化を遂げた、まるで新人バンドのような新鮮な活気と情熱に満ちた極上のイタリアン・シンフォサウンドが息づくアルバムで本当に驚かされた。

勿論、メンツが殆ど違うので同じサウンドなはずないのは当然だが、どうやらこのサウンド進化の一番の要因は、本作の作曲を Vittorio Nocenziが『まるで自分が作曲したかのようで驚かされた』と言う、彼の息子でありピアニストでドラマーの Michelangelo Nocenziのインプット(当人達が見失いがちなBANCOらしいサウンドを外部の若い感性を持つ目を通して再構築されたか?)を得た事が大きいようで、作詞は70年代以来バンドに度々力を貸している脚本家の Paolo Logliの協力を得て完成させられている点も見逃せないだろう。

“Trans-Siberian”は非常にパーソナルで複雑なコンセプト・アルバムで、シベリア鉄道をモチーフにした地球上で最長となる遙かな旅路が綴られており、何年にも渡って経験し現在までに味わった喪失感(バンドメイトとの死別や Vittorioの病の事を指して?)や、さらには希望の復活を伝える人生の比喩的な物語(壮大な風景、事故、狼との闘い、荒廃した遺跡、美しい降雪、そして最終的には海に到着するまでのアジアを横断する架空の旅)は、困難、夢、希望、期待、驚き、そして世の不思議について語られ、それらの比喩話には商業的成功を求めての失敗(80年代の愚かなポップ路線変更で金を稼ごうとしたのを指して)から学び、再びやり直すアクシデント等が赤裸々に描かれていて、全てをさらけ出して再び自らのアーティスティックな未来を定義づけると共に、その長いキャリアを音楽的にも歌詞的にも自伝的物語の態をとって総括した渾身の復活作となっている。

また、Vittorio Nocenziが語る所によると、シベリア鉄道をモチーフにした理由は『シベリアは極端な土地で、それは我々が経験する極端な時代、環境の大惨事の深刻さ、そして知性を破壊するグローバリゼーションの為の隠喩でもあり、無知で思いやりのある原理主義的狂信者によって支配される現代生活の衰退に対する警告でもり、全ての芸術家がそれらの問題に対して倫理的な緊張を与えなければならないと信じているから』と言う事らしい……

時代が時代なので70年代のような壮大で長尺な楽曲の姿は無く、本作の最長トラックは6分半程度となっているが、バンド創設時から作曲を務める Vittorio Nocenziと息子 Michelangeloによる楽曲群やアレンジメントの妙は冴え渡っており、キャッチーなビートに、パーカッシブなキーボードサウンド(図太いシーケンサー・サウンドが最高♪)、渦巻くようなソリッドなリズムセクション、浮遊する金物を活躍させるアバンギャルドな面を覗かせつつ変拍子が随所で顔を出すHR的畳みかけや、エッジ鋭いギターが強調された攻撃性と、これぞBANCO!と、いう情熱を再燃させる古典的でジャジーなタッチとモダン・ロックがMIXされた重厚なサウンドに、アートロック風の艶やかなアコースティック・パートを導入した古典的イタリアン・プログレらしいメロディアスでフックある展開は、結成1969年というキャリア50年を誇るイタリアン・プログレ大御所バンドの面目躍如な、優れたミュージシャンシップと未だ衰えぬエネルギー、そして独創的な静寂と荘厳なムードできめ細かく装飾されており、まるで煌びやかな宝石のように眩い輝きを放つその楽の調べは素晴らしいの一言だ(*´ω` *)

そして、本作における最大の注目点と言えば、新たに伝統あるバンドのフロントマンの座に就いた Tony D'Alessioについてだが、IL BALLETTO DI BRONZO、OSANNA、PFM、AREA、そしてBANCOの熱烈なファンだったと言う事で生前の Francesco Di Giacomoと交流があり、奇しくも“もし自分が歌えなくなったならば後任には是非 Tonyを”と Giacomoからお墨付きをもらう程の歌唱力で、同郷バンドMETAMORFOSI、LE ORME、MUSEO ROSENBACH等でも耳に出来る、喜怒哀楽の感情表現で巧みに声を使い分ける技量や、オペラチックに憂いある声色を震わせたり、弾けるような朗らかな歌声を轟かす、非常に情熱的なイタリアン・ヴォーカルスタイルで、勿論 Giacomoの唯一無二の美声を再現は出来ないが、可能な限り似せた歌唱を聴かせたり、自身のスタイルであるシャープで伸びやかな歌唱やHM畑で培ってきた強靱でパワフルな喉を披露したりと、ステージに出る度に Giacomoと絶えず比較される過酷な立場ながら、勇気、技術、そして持てる情熱の全てを捧げたその堂々たる歌いっぷりは、新たなる時代へ向けてBANCOサウンドが進化する足がかりとなっているのは間違いないと言えよう。

古典的イタリアン・プログレサウンドが色濃く思える本作だが、じっくり耳を傾けてみるとそこかしこにモザイク画のように雑多な要素が散りばめられており、80年代のKANSASのようにハモンドとロックギターでキャッチーに攻めるパートや、IL BALLETTO DI BRONZOのような“Jazz Meets Rock & Avantgarde”といった美しいアコースティック・ギターが光るパート、持ち味のクラシカルなピアノが活きる艶やかなパートや壮観なシンセサイザーが大活躍するパート、情熱的なヴォーカルとソフトなピアノが夢のように艶やかなGENESIS風のパートや、80年代CRIMSON風の硬質なギターが繰り返し響くパート等々、実験的な音楽要素を複合させたりサウンドにデジタル処理を施してみたりと、果敢に新基軸を構築しようと手探りで新たなモダン・プログレサウンドを構築するべく挑戦しているのが分かり、その飽くなき探究心と情熱の証を追いかけるだけで、もうお腹一杯になってしまうくらい濃密な内容の一作だ。

ジャケットはお馴染みのテラコッタの壺形貯金箱があしらわれたデザインになっていて、昔ながらのファンならずともニヤリ、としてしまいますね。

古典的イタリアン・プログレ・ファンは勿論のこと、高品質なユーロ・モダン・シンフォ作をお求めな方や、参加メンバーが元居たバンドのファン、そしてベテランの妙技と味わい深い熟練のプレイの数々を楽しみたい方にもお薦めな、安心安定の会心作となっておりますので、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。


by malilion | 2019-06-05 17:31 | 音楽 | Trackback

男女混声ヴォーカルが大活躍♪ USシンフォ IZZが4年ぶりにハイセンスでモダンな新譜をリリース!

c0072376_21171062.jpgIZZ 「Don't Panic」'19

96年に New Yorkで結成され米国東海岸を拠点に活動する Tom(Keyboards、Vocals、Production & Mixing)と John(Bass、Electric & Acoustic Guitars、Ukulele, keyboards、Vocals)の Galgano兄弟率いる、ツインドラムにツイン・フィメールヴォーカルという特異な編成の7人組US産シンフォ・バンドが前スタジオ作から4年ぶりとなる9thアルバム(アーカイヴ作を含む)をリリースしたのでご紹介。

テクニカルでスタイリッシュ且つモダンなシンフォサウンドを以前から奏でている彼らだが、本作は今まで以上にスッキリとシンプルな楽曲構成な為か所謂普通のシンフォ作のように一聴して聞こえ、特に Anmarie Byrnes嬢と Laura Meade嬢のツイン・フィメールヴォーカルとそこに絡む Galgano兄弟の四声男女ヴォ-カルが織り成す分厚くキャッチー、それでいてリリカルな歌メロはまるでコンテンポラリーなポップスのようにメロディアスな楽曲を鮮やかに彩っており、シンフォ系というカテゴリーにくくっていいのか迷ってしまうくらい美しくて絶品だ♪('(゚∀゚∩

ここ数作、ちょっとダーク気味で重厚なシンフォ・サウンドを提示していただけに、このYES風コーラスを活かした華麗なるポップ風メロディアス・シンフォへ突き抜けた変化は、正直予想外でした。

ただ、Galgano兄弟主導による未発音源集のアーカイヴ作『Ampersand, Volume 2』'16で聞けた、ピアノとアコギだけが繊細な音色を紡ぐアコースティカルで瑞々しいクラシカルな作風やポップなヴォーカル小曲の片鱗が本作で垣間見え、なるほど本作の予兆は既に示されていたのか、と勝手に納得しきり。

勿論、男女混声ヴォーカルをメロディアスに織り交ぜた甘くキャッチーな歌メロが乗っかる軽やかな楽曲だけでなく、近年提示し続けて来た硬質でダークでヘヴィなテクニカル・シンフォや、切れ味鋭く構築美を響かせYESばりに複雑怪奇に音が飛び交うスリリングなインタープレイの応酬も決して技巧に走った難解さを感じさせぬ、ある種カタルシスを伴った爽快感さえ感じさせる叙情的なフレーズと柔和で煌びやかなキーボードの音色で包み込んだセンチメンタルで物憂げな淡い美しさが光るモダン・シンフォサウンドもタップリとフィーチャーされているので、以前からのUSモダン・シンフォサウンドが好きだと言う方もご安心あれ。

今まで以上に華麗なコーラスと軽やかなキーボード(クラシカル風味満載なピアノの調べが堪らん!)が活躍している(ブリブリのトリッキーなベースもメチャ目立ってる!)ように思える本作だが、YES張りな技巧性とSPOCK'S BEARD風の優美なメロディアスさをMIXしたUS産らしいクリアーでタイトな音像の中、G・G風のリズムや、JAZZっぽいタッチのサウンド運び、米国東海岸拠点バンドと思えぬGENESIS、CRIMSON風なユーロ・テイスト漂うモダン・シンフォニック・ロックを、時にキャッチーに、時にシットリ艶やかに、と緩急の効いた押し引きの間合いも絶妙に、縦横無尽に心惹かれるフレーズとソリッドでダイナミックなリズムで紡ぐ、技巧派テクとキャッチーな美旋律のバランスが本当に見事な一作だ。

総じて今まで以上に複雑で凝った楽曲構成なのに、今まで以上にスタイリッシュに聞こえ、US産の抜けの良いキャッチーさとユーロ系の艶っぽさや叙情感のどちらも堪能出来る、無駄なくコンパクトに纏め上げられた本作は、耳の肥えたグロプレ・ファンのみならずグロプレ初心者な方や男女混声ヴォーカルが大活躍するポップロック好きな方にもお薦め出来る傑作となっております(*´ω` *)




by malilion | 2019-06-01 21:11 | 音楽 | Trackback