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継続は力なり! ベテランHRバンド LUCIFER'S FRIENDの新作!('(゚∀゚∩

c0072376_08453417.jpgLUCIFER'S FRIEND 「Black Moon」'19

今やブリティッシュHRの生き字引とも言える URIAH HEEPの二代目ヴォーカリスト John Lawtonが元在籍したバンドとしても有名なドイツの古参HRバンドの再々結成第三弾、前作から3年ぶりとなる新作をちょい遅れてGET!

いつ活動停止になってもおかしくないご老体ばかりなバンド(SCORPIONSより先にデビューしてる!)だけに新作が届けられた事が素直に嬉しいのですが、なんとバンドメンツに変化が起こってしまった模様で、前作から加入して地味ながら楽曲の輝きが増す小技を繰り広げていた新人キーボーディスト Jogi Wichmannが早くも脱退してしまい、本作は再々結成時のBEST盤リリースと同じ John Lawton(Vo)、Peter Hesslein(G、Key)、Dieter Horns(B)のオリジナル3人に、新加入の Stephan Eggert(Ds)の4名体制へ戻ってしまっている。

前作は新加入メンツが化学変化の起爆剤だったのか、意外な程に(失礼!)充実した内容で、適度にハードでありつつ、キャッチー且つコンパクトでフック満載な古典HRのメロディアス・チューンがズラリと並ぶなかなかの力作でありましたが、続く本作では解散前の中期頃に聞かせたような拡散方向へ音楽性が変化(先祖返り?)した模様で、トランペットやコンガが大活躍する楽曲や、ムーディーなJAZZっぽい楽曲、スリリングなヴァイオリンが活躍するリズミカルな楽曲に、初期風なダークでミステリアス、それでいてパワフルなちょっとHEEPっぽさ漂う70年代風HRな楽曲等々があったりと盛り沢山な内容となっており、専任キーボーディストが不在ながらオルガンをはじめシンセ等の鍵盤系サウンド大活躍な楽曲もタップリとフィーチャーされていて、全てが彼等がこれまで聞かせてくれた幅広い音楽性の範疇内に収まる別段目新しい事をしてる訳でもないものの、その70年代風味漂う骨太な極上のB級HRが安心安定で実に心地よいんだなぁ~♪('(゚∀゚∩

Jogi Wichmannが聞かせてくれた小技の効いた絶妙なアレンジやカラフルな華やかさは影を潜めてしまったけれど、音楽性が拡散方向へ向いているのでストレートでシンプルなアレンジの楽曲が多くても単調さや淡泊さは感じ難くなっており、その辺りは流石ベテランミュージシャンにして長らくLUCIFER'S FRIENDを率いていた Peter Hessleinの面目躍如といった所でしょうか。

手の込んだ構成の楽曲は少なくともメロディアス度やキャッチーさは解散前の輝きを取り戻しつつあるように思うのだが、如何せん経年の為に John Lawtonの超絶なハイトーンがもう聞けないのが悲しい……が、それにも増してミドルからロウトーンの絶品な深みある艶声が本作でも眩い輝きを放っており、そこらの若さが売りの小僧ヴォーカリストには太刀打ち出来ぬ円熟味滴るような堂々たる歌唱は流石の一言だ。

じっくり聞き込むとオーソドックスな展開の楽曲のそこかしこに顔をだす味あるアレンジや、アダルトな魅力プンプンな John Lawtonの歌唱をタップリとフィーチャーしたAOR風味な楽曲以上に耳を惹くのは、ちょっとレイドバックした“泣き”のギタープレイや、軽やかなJAZZっぽいギターソロ、不意に斬り込んでくるアコースティカルなギター等と、本作は前作以上に多種多彩な音色とプレイを聞かせる Peter Hessleinのギターが所狭しと大活躍(早弾にも挑戦!)しているアルバムと言えるだろう。

さらに楽曲全体から漂う“今っぽさ”を意識したサウンド創りや、前作では聞けなかったファストでスピーディな楽曲の存在に、パワフルさを押しだした楽曲が収録されているのを聞くにつけ、『ベテランだからと言って容易く懐メロバンドには決して成り下がらんぞ!』という Peter Hessleinの現役プロミュージシャンとしての意地と気概がビンビン伝わってきて実に小気味良いのです(*´ω` *)

昨今のハードでファストなサウンドを聞き慣れている諸兄には少々刺激が足りぬ音かもしれないが、歯切れ良く骨太でグルーヴィな70年代直系HRサウンドを、ここまで堂々とストレートに“今”繰り広げられてしまうと『つまらん戯れ言なぞどうでもいいんじゃ! ガタガタ言わずにコレを聞け!』と老害丸出しな爺さんみたいに叫び出したくなるんですよ(w

あ~~~~~っ、ヤッパ70年代HRは最高やぁ~~~~~~~~っ♪

これが最終作と言われても驚かぬベテラン勢な彼等ですが、出来る事ならもう少し活動を続けて再び快作を届けて欲しい、そう願わずにはおれないのであります。



by malilion | 2019-05-28 08:35 | 音楽 | Trackback

L.A.の人気セッションギタリスト Michael Thompsonのメロハー・プロジェクト CULVER KINGZをご紹介。

c0072376_21010640.jpgCULVER KINGZ 「This Time」'16

先月 Michael Thompson Bandの3rdアルバムが海外で無事リリースされ、国内盤の情報を揉み手しつつ待っている所で Michael Thompson Band周辺のラックを漁っていたら見付けた本作を今頃ご紹介。

確か17年頃には既に輸入盤店で購入出来た本作だが、L.A.の人気セッションギタリストである Michael Thompsonが組んだメロハー・プロジェクトでESCAPE Musicリリースなのに何故かソレ系のお店等でも話題になっておらず、未だに本作の存在を知らぬ方も多いのではないだろうか?

まぁ、Michael Thompsonファンと言うとAOR系好きな方が多いだろうから『メロハーに寄ったサウンドは守備範囲じゃない』って事でAOR系からソッポ向かれ、メロハー系からは『Michael ThompsonっていうとAOR系だろ?』って事でソッポ向かれたのかもしれない。

本作は Micheal Thompsonとヴォーカルの Billy Trudelだけによるデュオ・プロジェクトで、参加プレイヤーのクレジット等が見当たらない所を見るとギターをはじめ殆どバックのサウンドは打ち込みサウンドも含め Micheal Thompsonの手によるものと思われる。

ハード且つキャッチーでメロディアスなブライト・サウンドにピッタリとマッチする上から下まで伸びやかな歌声を聞かせる甘い声質の Billy Trudelは以前 Micheal Thompsonと一緒にバンド活動をしていた旧知の仲で、 Michael Thompson Bandのバッキングコーラスにも実は参加していたりする実力派セッション・ヴォーカリストらしく、ポピュラー・ミュージックシーンの大物達のアルバムにも多数参加していると言う。

どうしてその2人がパーマネントなバンドを組まずにいるのかは謎だが、まぁお互い有名セッションマンとして引っ張りダコな訳だから、裏方作業の方が稼ぎが安定して良いので妙な冒険はしない、っていう安定思考な活動スタンスなのかも……

さて、本作のサウンドだが、名うてのセッション・ミュージシャンが創り上げただけあって、売れ線バッチリなポップさとキャッチーさ、そしてAOR系にも訴求するアダルトなメロディとソツなくコンパクトに纏められたモダンでコンテンポラリー寄りな楽曲は如何にもプロの仕事と言う隙無い仕上がりで、打ち込みサウンドなのが全く気にならない程だ。

アルバムに納められている楽曲は総じてソフト目な印象ながら、Michael Thompsonのギターは思いの外にハードでエッジが立っており、メロハー系に相応しくHR張りのテクニカルなギター・プレイを縦横無尽に弾きまくるものの、そこは流石に勢いだけのメタルヘッドな駆け出しミュージシャンとは違って敏腕セッションマンらしく抑制の効いたプレイを心得ており、Billy Trudelのキャッチーで爽快な歌メロ(ちょっとSteve Perryっポイとこアリ)を阻害する事の無い曲の全体像をしっかりと捉えた、楽曲に相応しくコンポーズされたギターワークを披露している。

レベルの高いモダンサウンドな仕上がりのAOR風味なメロハー・アルバムながら、逆に言えば大きな破綻や勢い任せな所もなく新鮮な驚きも無い、有名セッションマンが主導したプロジェクトという点以外にコレと言って大きく注目するようなポイント(元々そんなに個性のキツいギタリストでもない優等生セッション・ミュージシャンってのが、また…)も少ない、宣伝する立場としては少々困りものな平均的に高レベルな仕上がりのキャッチーでメロディアスな“良く出来た”作品でもあるかもしれない…(汗

メロハー系にキンキンのドポップな勢い有るキャッチーでアップテンポな楽曲ばかりを求める向きには本作はAOR風味が強すぎる作風ながら、Michael Thompsonのファンや、質の高いアダルトなポップロックを許容出来る方ならば本作はきっとスルメのように長く味わい深い作品となるに違い無い。


by malilion | 2019-05-27 20:54 | 音楽 | Trackback

北欧シンフォ BRIGHTEYE BRISONが8年ぶりに5thをリリース!


c0072376_20430452.jpgBRIGHTEYE BRISON 「V」'19

北欧スウェーデン産ツイン・キーボード5人組な新世代シンフォ・バンドの久しぶりとなる新譜がリリースされたので即GET!

BRIGHTEYE BRISONの新譜情報が無い中、まさかのリーダー Linus Kase(Grand Piano、Rhodes、Clavinet、Riha Adagio、Synths、Percussion、Saxophones、Backing Vocals)が14年に北欧ヴィンテージ・プログレ復興の旗印バンドANGLAGARD(!)へ電撃加入してファンをヤキモキさせたが、前作『The Magican Chronicles Part I』から8年ぶりとなる新譜のメンツに変化(Linus KaseはANGLAGARDと兼任)はなくファンは一安心といった所だろう。

前作タイトルが“Part I”であっただけに続く新譜タイトルが“Part Ⅱ”となるかと思いきやシンプルに『V』となっているものの、前作から既に23分越えの楽曲をアルバム冒頭にもってくるなど大作指向が見え隠れしていたが Linus KaseがANGLAGARDへ加入した事も影響したのか本作で一気に大作指向が加速した模様で、大作三曲のみ収録の本作三曲目タイトルが『The Magican Chronicles Part Ⅱ』となっており、ちゃんと続編の事も忘れていなかった模様だ(*´ω` *)

フック満載の屈折した美旋律に爽快なヴォーカル・ハーモニーを乗せ、キャッチーで抜けの良いYES風テクニカル・シンフォサウンドに同郷THE FLOWER KINGS張りの変拍子とSPOCK'S BEARD風の複雑なコーラスワークとスリリングなキメを多用してグイグイと力任せに駆け抜けるサウンドが小気味良かった彼等ですが、今まで以上にメロトロンやシンセ等が多用されて北欧バンドらしいダークな幽玄さと寒々しい寂寞感が醸し出されるのと共に、ドラマチックでエモーショナルなサウンド全体を靄のように柔らかく軽やかなキーボードの音色が包み込み、バンドがさらなる高みへ駆け上がったのかANGLAGARDから Linus Kaseが持ち込んだ音楽性が活かされたのか、サウンドのスケール感がググッと増したのに合わせて妖しくも神秘的な叙情が深く感じられるサウンドへ進化している。

シンフォ系お約束の派手なメロトロン等の鍵盤モノの活用は勿論のこと、複雑で立体的な曲構成のメリハリを生かすスピードの緩急の付け方やアンサンブルの妙に以前から目を見張るものがあった彼等だが、ヴィンテージ懐古プログレ系のように変に重々しく暗くなる事なくお得意のトリプル・ヴォーカルによる軽やかなコーラスワークを交差させて北欧特有のウェットな美メロとキャッチーな歌メロを保ちつつ、アグレッシブなパワフルさをHMやHRへ安直に近寄らずに密度の高いテクニカル・シンフォサウンドで表現し、70年代エミュレートでない他の誰とも似ていないオリジナリティあふれる北欧新世代シンフォ・サウンドを堂々と奏でている様は見事の一言。

細かなコーラスの使い方や、後ろで軽やかに刻まれるギターのカッティングだけ聞くとまるでポップスグループのようだが、壮大で高らかに鳴り響くシンセやタイトでヘヴィなオルガンを交えた激しいインタープレイの応酬や、各パートの複雑でありつつ歌を邪魔しないセンスあるアンサンブル、テクニカルでソリッド、それでいて芯の図太いリズム運びは、正しくモダン・プログレサウンドのそれだ。

17分、17分、36分と長尺三曲のみしか収録されていない如何にもプログレなアルバムにも関わらず、カッチリとコンパクトにまとめ練り揚げられた楽曲には助長な箇所は皆無で、アッという間にアルバムが終わってしまうのに驚かされ、改めて彼等の楽曲構成力の高さとアレンジ能力の素晴らしさ(お約束のサックスがいい味だしてる♪)には脱帽です。

全然似てないのに、所々でENGLANDっポク(ここ重要)聞こえるパートがあったりして、独りで大喜びしていたのは内緒だ('(゚∀゚∩

ポップでキャッチーながらテクニカルでモダン、そしてハイセンスな正統派北欧シンフォ・サウンドがお好みの方は、是非に一度彼等のアルバムをチェックしてみて下さい。決して損はさせませんよ!




by malilion | 2019-05-25 20:28 | 音楽 | Trackback

宇宙飛行士スタシスの冒険が遂に完結! LONELY ROBOTが3rdアルバムをリリース!

c0072376_09383299.jpgLONELY ROBOT 「Under Stars ~Limited Edition Digipack~」'19

IT BITES、FROST*、ARENA、KINO等での活躍のみならず、グレ系大御所のツアーサポート、レコーディングエンジニアやプロデューサーとしてアルバム製作に関わるなど、'90年代以降のUKプログレシーンで大活躍する英国マルチ・ミュージシャン John Christian Mitchell(Vo,G,B,Key)によるソロ・プロジェクト作の3rdアルバムにして宇宙飛行士スタシスの冒険三部作の最終作が2年ぶりにリリースされたので、ボートラ3曲追加のデジパック仕様スペシャル・エディションをちょい遅れてGET!

デビュー作こそ多数のゲストを迎えて製作されていたが、次作2ndではググッとゲストの数が減り、本作に至っては Fishのベーシスト Steve Vantsisが数曲でベースをプレイする他は、ほぼ John Mitchellが独りで創り上げていて、前作に引き続き Craig Blundell(FROST*、PENDRAGON、Steven Wilson)をドラムに迎えている以外は、ギターを筆頭に自身で楽器をマルチにプレイし、作詞作曲プロデュース、そしてミックスとマスタリングまでも全てを一人で手がけるワンマン体制に変化はない。

ファーストアルバム『Please Come Home』は、人間はエイリアンから生まれた可能性が有るというSF的発想を元にした、星空を旅するようなスペイシーで煌びやかなポップサウンドが展開され、セカンド『The Big Dream』は、宇宙飛行士の極低温睡眠からの目覚めに関する『真夏の夜の夢』風のファンタジックな物語が、哲学的な黙想と現実と夢の狭間の混乱も絡めてキャッチーなポップサウンドで綴られ、続く最終章である本作では、若者、ミレニアム世代、そしてテクノロジーへドップリと依存している現代人のソーシャルメディア依存、そしてデジタル主導の世界からの決別について、哲学的見解を提示し、ソーシャルメディア生活の非現実性に対する猛烈な否定を宇宙旅行のテーマに結び付け、明らかに意図的な80年代風の音色やトリックを取り入れたシンフォニックでデジタリーなポップサウンドをノスタルジックな叙情詩的に、ミステリアスなサウンドも交えてオーガニックに展開していく。

アルバムのテーマや最終章と言う事もあってか、宇宙飛行士の目を通して見た様々な宇宙体験(トピックのテーマ別のプレゼンテーション)というスタイルに変化は無いものの、幾分スペースファンタジーな物語の部分は少なくなっており、前二作と比べると明らかに楽曲のキャッチーさやポップ度が後退しているが、その代わりと言ってはなんだこれまで以上にエモーショナルでセンチメンタル、そして心に突き刺さる“泣き”の絶妙なトーンが冴え渡る John Mitchellのギターが絶品なのと、意図的に前二作では彼がこれまで関わってきたキャリアのプログレ、ポンプ、シンフォ系サウンドから距離を置いた歌モノポップ・サウンドが本作では本職のシンフォ系サウンドに近づいたサウンドに感じられ、シンフォ系リスナーにとっては John Mitchellに期待する通りの美旋律満載なサウンドと言えるが、前二作のキャッチーでメロゥなポップサウンドが気に入っていた方からするとやや不満な形のスペースオデッセイ最終作となるかもしれない。

とは言え、ポップさやキャッチーさでは劣るかもしれないが、本作は前二作よりも独特の旋律的な雰囲気を持ち、サウンドとプロダクションの壮大さ、そして何よりもリリカルでメロディアスな、現代的テーマに合ったSFサウンドと豊かで静かな歌詞を巧みにミックスしたプログレッシヴ・ミュージックだと言えよう。

映画的なサウンドスケープや、不吉な感触を与えるサウンドトリック、80年代風シンセポップフィーリングを備える旋律的な楽曲に加え、心奪われるエモーショナルなギターソロの他にも、分厚く暖かなコーラス、隙の無いプロフェッショナルな作曲、心憎い細かなアレンジ、そして抜群に巧い John Mitchellのヴォーカルと、80年代のシンセポップと2019年の John Mitchellのプログレ的実験サウンドを組み合わせた音楽は、明と暗、消失と発見、それら多くの物事を対比させ、星々の狭間を漂う孤独な宇宙飛行士を彷彿とさせるホロ苦い悲しみと甘さを漂わせ、まばゆいほどの感動を響かせながら、栄光の旅の明るく平和な結末を暗示するように、ファーストアルバムに収録され、セカンドアルバムで再び姿を現す“Please Come Home Lonely Robot”が再びリフレインしながら、星々の彼方へ楕円軌道を描いて消えていく……うーん、美しい。実に美しい大団円だ(*´ω` *)

John Mitchellが語る本作のメインテーマでもある『私達人間は、私達の周りの美しさに気づかずに余りにも多くの時間を費やし、技術に繋がれてあまりにも多くの時間を費やしているのでは?』という考えに由来した本作の思考させられるサウンド、決して嫌いじゃありません。

しかし、最初から三部作と言うことで制作されたLONELY ROBOTのアルバムですし、本職バンドがお休みの暇つぶしポップソロ作とも言える訳ですが、ここまで素晴らしいアルバムを聞かされると、このまま終わっちゃうのは勿体ないなぁ、ってファンならずとも考えてしまいますよねぇ?

どうせ本隊バンドはそうそう動かないんだし、もっとLONELY ROBOTのアルバム創ってもいいんじゃない? ねぇ?

John Mitchellと聞いてシンフォ&プログレ系サウンドを求める向きに大推薦とは言えないけれど、ファンタジックなゆったり美しいUK産ヴォーカル・アルバムを楽しめる方や、物憂げでセンチメンタル、そしてメロディアスなデリケート・サウンドがお好きな方になら是非お薦めしたい、美旋律が満載なコンパクトで完成度の高いアルバムです(*´ω` *)



by malilion | 2019-05-24 09:29 | 音楽 | Trackback

DREAM THEATERフォロワーなフランス産プログHMバンドORENDAが、キャッチーに大躍進したシンフォ・サウンドの2ndをリリース!

c0072376_16293352.jpgORENDA 「Next」'18

フランスはルーアンで結成されたキーボード入り5人組モダン・プログレッシヴHMバンドの2ndアルバムが、去年末に10年ぶり(!!)にリリースされていたのを、今頃ご紹介。

98年にルーアン大学でDREAM THEATERのカバーバンドとして創設された、という出発点は明らかにDREAM THEATERフォロワーの1バンドであった。

ただ、彼等が『Images & Words』'92 リリース後に世界中であふれかえったコピー・バンド群と大きく違ったのは、彼等が『Images & Words』リリース後数年してから活動開始した世代差のあるバンドであり、『Images & Words』時点“まで”の音楽性のコピーであった雨後の筍の如く出現したDREAM THEATER症候群バンド(サックス入りのバラード調曲は定番)と違い『Images & Words』以降の音楽性の変化を取り込んでいる点と、当然の如くDREAM THEATER以外からの音楽的影響も色濃く自身のサウンドに現れてモダンでスムースなオリジナリティあるサウンド構築に活かされている点が上げられるだろう。

デビュー・アルバム『A Tale of a Tortured Soul』'08 時点では、ヴォーカルの声質や歌唱スタイルは言うに及ばず、ギターリフやフレーズ、リズムチェンジにキーボード・サンプリング等までに隠しようもなくDREAM THEATERフォロワー臭が漂うプログHMサウンドであったが、ユーロ圏のバンドらしいダークなアルバム・コンセプトと、ウェットなメロディや歌メロを主軸に据えた楽曲構成は、複雑な楽曲構成やインタープレイの応酬、そしてハイテク・ソロプレイ等を見せつける事の多いフォロワー系バンドの中では、所謂ポピュラーでキャッチーにまとめられたスタンダードなHM(時期的に考えて、もっとダークでヘヴィな鈍色プログHMサウンドでも当然なのに、その選択をしなかったのが素晴らしい!)に近似したバンドサウンドであったと言える。

夢劇場フォロワー系バンドのデビュー作は、ややもすると若さあふれる才気走った無駄なテクの応酬、長尺のインタープレイ・パート等が多くウンザリさせらる事が多いのが常だが、彼等はコンセプトアルバムであった点や、前世代のモロ『Images & Words』コピーなフォロワー・バンド群のサウンドを聴いていた事も影響してか、あくまでコンセプトを伝える歌メロを主軸に据えたコンパクトな楽曲構成であった事もあってオリジナリティという点ではまだまだなものの一連のフォロワー群の劣化コピー・アルバムより聞きやすかったのを覚えています。

とは言え、この時点ではDREAM THEATER、SYMPHONY X、SHADOW GALLERY等のサウンドと類似点の多いテクニカルなギターとキーボードプレイが売りのマイナー・ユーロ・プログレッシヴHMバンドの一つで、PAIN OF SALVATION風のダークな世界観も垣間見せている所がちょっと毛色の違いを感じさせる程度の存在でした。

今から考えるとこの時点で既にコーラス主体(ベーシストを除くメンバー全員バッキングヴォーカルのクレジットがある)なキャッチーな歌メロの片鱗や、サンバやサルサ等のDREAM THEATERでは聴く事の出来ないダンサンブルなフレーズや軽やかで美しいメロディの楽曲展開等が垣間見えていたのが面白いですね(*´ω` *)

普通ならデビューの勢いそのままに2ndの制作へ雪崩れ込むのがバンドの常なのですが彼等の場合は少々違い、リーダーの Stephane Coubray(Keyboards、Piano、Vocals、Percussions)が複数バンドを掛け持ちしていたのも関係してか、次なる音源は彼の関わるバンドを中心に多数のバンドに在籍するメンツや有名セッションミュージシャン、そしてテクニカルな音楽大院生を招くなど総勢14名の参加ミュージシャン達の手によるオペラ形式の壮大なダブル・コンセプトアルバム『New Day for Heaven』'13 を制作する事になる。

以下、『New Day for Heaven』プロジェクト参加メンバー。

Stephane Coubray(ORENDA、PLATINUM PLATYPUS、TRACES D'ILLUSIONS:Keyboards、Guitars、Bass、Vocals)
『New Day for Heaven』プロジェクトの作曲、アレンジ、プロデューサー、エンジニアを担当。物語ではナレーションの音声も担当。

Yann Martin(PIG:Guitars)
ギタリストで作曲家。
『New Day for Heaven』プロジェクトのスタジオ作業、及び公式ウェブサイトのデザイナー。物語では父親役の音声も担当。

Alexis David Tocqueville(PIG:Vocals)
『New Day for Heaven』プロジェクトの作詞と物語の脚本を担当。
ヴォーカル・メロディーの大部分と、キャラクターDARK HEAVEN役の音声も担当。

Anthony Lefebvre(ORENDA:Vocals)
物語の主人公HEAVEN役の音声を担当、そしてリード・ヴォーカリストでもある。ヴォーカル・メロディーと、ヴォーカルアレンジを担当。
『New Day for Heaven』CDカヴァーとアルバム付属の小冊子デザインも担当。

Julien Esteve(ORENDA:Bass) 新たにORENDAに加入したベーシスト。
Cedrick Saulnier(ORENDA、COVERSLAVE:Guitars)
Solene Leroy嬢(PLATINUM PLATYPUS:Vocals) 物語でEVE役の音声を担当。主人公の恋人役。
Salima Pichou嬢(COLLIN THOMAS:Vocals) 物語で主人公の母親役の音声を担当。
Alexis Damien(PIN UP WENT DOWN:Drums)
Guillaume Lefebvre(Drums) ルーアン音楽大学院生。ORENDAメンツの後輩。
Sylvain Fassio(PIG、ROSAPARKS:Guitars)
Laurent Terri(TRACES D'ILLUSIONS:Flute) 有名フルート奏者。
David Andrews(ANDREWS:Bass) 有名ベテラン・ベーシスト。
Damien Train(PLATINUM PLATYPUS、PIG、SUPER SCREAM:Drums)

と、言う事で Stephane Coubrayを中心に『New Day for Heaven』プロジェクトのミュージシャン達が集まったのが分かるだろう。

『New Day for Heaven』のサウンドトラックの殆どはORENDAバンドメンツの手によるもので、その意味で言えば『New Day for Heaven』をORENDAの2ndと捉える事も出来るかもしれないが、フルメンツによる制作でないのと複数バンドとのコラボによる創作状況を見るとやはり純然たるORENDA作と言えぬのが実際の所だ。

コンセプト・アルバムのサウンドは、男女複数ヴォーカルの効果やストーリー重視のオペラチックな楽曲構成な為にAYREON風の美しく艶やかなサウンドで、あくまで物語を綴るヴォーカル達が中心な楽曲は聴き心地の良さに重きを置かれている為か、参加メンツの経歴を考えるとテクニカルさだったりハードさだったりには注力されておらず、また伝えたいストーリーにリスナーを集中させる為か音楽的革新性等も目論まれていない(場面展開の妙やスリリングな楽曲展開等は目白押しだけど)ので、プログレ的要素を求める向きにはお薦め出来ないサウンドと言えます。

結果的に次なるORENDAのアルバムは18年発表になるので、1stリリース後にメンバーチェンジが勃発した為に『New Day for Heaven』プロジェクトへ Stephane Coubrayが手を出した訳だから、『New Day for Heaven』がバンド活動停滞の引き金になったのは間違いない。

因みに『New Day for Heaven』の物語の内容はと言うと、ジャケに描かれている蝶が象徴的(蝶になる夢は、華麗に変身したり、大きく成長したいという願望を暗示)なSFストーリーで、善意と優雅さに満ちた牧歌的な、天国の如く満たされた世界で17歳の少年が暮らしていた。
優れた科学者の父と優しい母の両親も、彼の完璧な精神性の偶像的存在だ。
しかし、恋人EVEと友人JAREDが登場する事で、物語の主人公である少年の完璧な人生がバラバラになっていく。
JAREDとの友情、助言を否定し、EVEとの関係を深めていく少年。
JAREDは、あらゆるモノを掌中に収める必要性のある少年の為にEVEを殺害し、少年は怒りにまみれJAREDを殺人罪で告発する。
突然、画像が目の前で回転し、悪意ある声が遠くのエコーのように共鳴し、天国のような世界は消え去る。
頭蓋骨にリベット止めされたセンサーとコードまみれで無菌室に横たわる自分を発見する。
実験器具は心拍を刻んで轟き、メインコンピューターの制御画面と、そこに表示されたデータを注意深く見ている40代の男が傍らに居る。
悪夢を完全に消し去った牧歌的な満ち足りた生活は、再構築され少年のまぶたの奥へ注入された夢だったのだ…

という、愛と友情、父と息子の関係、天国の安らぎと悪夢の誘惑が絡み合い善から悪への心情変化等、如何にもなダブル・コンセプト作になっているので、ご興味あるようならチェックされるとよろしいでしょう。

『New Day for Heaven』の為に休業状態だったORENDAだが、『New Day for Heaven』参加の Guillaume Lefebvreを新たなドラマーに迎え、長いインターバルの為か Cedrick Saulnierが脱退し Stephane Vaillantなる新ギタリストに迎え、2ndの制作に取りかかる。

前作からの長い長いインターバルや、Stephane Coubray(既に彼にとってORENDAは数ある音楽ユニットの一つに過ぎないっポイ…)や他メンバーのバンド外活動、そしてコラボレート活動した成果が活かされたのか、久しぶりとなる2nd『Next』のサウンドはこれまで以上に複合的な音楽要素で構成され大きくハイレベルに発展した、フロントマンとキーボーディストだけが同一とは言え、一聴しただけでは以前のORENDAサウンドを思い出すのが困難な程の傑作アルバムとなっている('(゚∀゚∩

以前よりサウンドのメタリックさ加減が幾分か薄れてよりユーロ・グレHMなモダンサウンドに近づいたのと、新メンバーを含め各パートの演奏技術も当然向上しているのもあるが、より楽曲がメロディアスでキャッチー、そしてコンパクトに纏め上げられており、さらに分厚く美しいヴォーカル・ハーモニーがまるでポップスバンドのように全編でフィーチャーされ、ここぞとばかりに斬り込んでくるスリリングなギターとヴィンテージ感を増した鍵盤系サウンド、特にシンセサイザーのサンプルや用法が夢劇場の影響から脱してユーロ・シンフォ系へ様変わりし、楽曲を華やかにする相互作用が一段と切れ味鋭くなった点がバンドサウンドを大きく飛躍させた要因になっているように思う。

未だに確かにそこここにDREAM THEATERっぽさは感じるものの、本家がダークでメタリック、そしてヘヴィな路線へ進んでしまった今となっては、彼等の“推し”と“引き”を絶妙な具合で楽曲に刻み、陰影と艶を生み出すドラマチックな手法は、今の夢劇場に望むべくもないリリカルで艶やかなモダン・ユーロ・グレHMサウンドなので、『Images & Words』当時のメロディアスでテクニカル、それでいてキャッチーという奇跡のバランスのさらに先へ進んだ、モダンでたっぷりのヴォーカルハーモニー(ちょいちょいQEENっポイ)によるポップネスさが加味された極上のグレHMサウンドを聴くに、『New Day for Heaven』プロジェクトでの遠回りや多数のバンドとの交流が決して無駄でなかったのだと分かる。

フロントマンの Anthony Lefebvreの歌いっぷりもさらに自信とパワフルさを増しており、既にJames LaBrieの影響から完全に脱して独自の深みある伸びやかな歌声や物語を紡ぐくぐもった語り口調など新境地を披露し、ORENDAサウンドの格を上げるのに一役買っているのも本作のサウンドレベルが格段に上がって聞こえる要因の一つなのは間違いない。

また、デビュー作でも幾分か感じられたダンサンブルで軽やかなメロディ運びが本作で本格的に楽曲に導入されてオリジナリティを大きく感じさせるようになった点も見逃せぬ点で、ソリッドでタイトなリズム隊に挑むような強力なフック有るギターリフや、楽曲を包み込むような美麗で煌びやかなシンセワークだけでなく、不意に訪れる素晴らしいアコースティック・シーケンスが渾然となって紡ぐ繊細にして荘厳なメロディは、ただひたすらにキャッチーで美しいのです(*´ω` *)

DREAM THEATERをはじめ、SHADOW GALLERY等のモダン・テクニカルHMがお好みな方や、ちょっとUSA寄りながらヘヴィさは控え目でしっかりモダン・ユーロ・グレHMサウンドがお好きな方に、彼等の新作は是非にお薦めしたい一品と言えましょう。

キーボーディストの Stephane Coubrayがボスなのもあって、シンセ、ピアノ等の鍵盤系の煌びやか、そしてセンチメンタルで透明感ある繊細な音色が実に美しく、キーボードが大活躍するユーロ・グレHM好きな方にもお薦めです。

最後に、ORENDAとは北アメリカの先住民族ヒューロン族の言葉で、運命や宿命の力とは対極にある力の事を指すのだそうです。
自らの環境を変化させる、運命を変える人間の意志の力“ORENDA”をバンド名にするなんて、なんとも中二心を擽られるネーミングセンスですよね(*´ω` *)



by malilion | 2019-05-10 16:25 | 音楽 | Trackback

最初期GLASS HAMMERの歌姫 Michelle Young嬢のソロデビュー作をご紹介。


c0072376_16371268.jpgMICHELLE YOUNG 「Song of the Siren」'96

今や大ベテランとなったUSA産シンフォ・バンドGLASS HAMMERの1st、2nd、そして最初期のレア音源&LIVE作『Live and Revisited』で、ブライトで愛らしい歌声を聴かせていた Michelle Young嬢のデビュー・ソロ作を今頃入手出来たのでご紹介。

いやー、GLASS HAMMERの Fred Schendelと Steve Babbが全面的に協力している事もあってか、なんかプレミア価格でとんでもない値段でしか中古盤で出回ってなかったので今まで指を咥えて恨めしく眺めているしかなかった盤がヒョッコリ流れてきたのを上手いこと拾えて何よりでした(*´ω` *)

恐らく私が購入出来たのは、02年に Karl Groomの手によってデジタル・リマスターされリイシュー(ジャケが若干変更されている)された本作も購入し、レコードラックが手狭になって古い音のオリジナル盤を放出でもした方が居たからじゃないのかな、とか勝手な想像をしております。

c0072376_16374073.jpgそっちのリイシュー盤も欲しいけど、オリジナル盤と同じく未だにとんでもないプレミア価格なんですよね…('A`)
マイナーなフィメール・ヴォーカリストの自主制作アルバムなので、広大なアメリカでは殆ど注目されていない事やプレス数が希少なのが響いてるなぁ…

さて、その Michelle Young嬢ですが、GLASS HAMMER参加前はチャタヌーガのテネシー大学で音楽を専攻し、合唱団で歌ったり、数年のボーカルレッスン(教会でアルトパートを好んで歌い、ソプラノパートは未熟な若い頃には非常に困難な高いキーだったのと、練習嫌いで学業は不真面目だった模様)を受けつつ、ソロ・ピアノやヴォーカル、或いはヴォーカル・グループとしてバンドで演奏するタレントショー等に参加し、世に踊り出るチャンスを伺っていたらしい。

面白いのが Michelle嬢がどういう経緯でGLASS HAMMERへ参加する事になったかと言うと、GLASS HAMMERがデビュー・アルバム『Journey Of The Dunadan』'93 の作業中、Steve Babb(Synthesizer、Bass、Taurus Pedals、Medieval Guitar、Percussion、Lead & Backing vocals)と David Carter(Electric Guitar)の2人がレストランにてアルバム制作の話をしているのを盗み聞き(!)し、2人がミュージシャンだと分かったので自分からアプローチした、という超行動派なエピソードだろう。

結局、既にヴォーカル・パートの作業は殆ど終わっていたので、アルバムのメンバー写真を撮影する為に Michelle嬢は雇われ、けれど彼女の声を気に入ったGLASS HAMMERの中心人物 Steve Babbと Fred Schendel(Organ、Keyboards、Acoustic Guitar、Recorder、Drums、Lead & Backing Vocals)2人の提案によってバッキングヴォーカルとして数曲にその歌声を残す事になり、そのままメンバーとして加入しLIVE活動をしつつ、次のアルバム『Perelandra』では堂々とGLASS HAMMERのフロントマンとしての座を勝ち取り、本格的にミュージックシーンへデビューを果たしたのでした。

『Live and Revisited』'97 では美声を披露しつつ、サポート・キーボードを弾いたりしていた Michelle嬢ですが、彼女は97年にフルタイムでソロキャリアを追求する為にやっと手に入れたGLASS HAMMERのフロントマンの座を捨て、あっさりとバンドを脱退する事になる。

これは彼女の加入の経緯を考えれば超ハングリーな Michelle嬢が、決してGLASS HAMMERでは主導的な立場になれぬ脇役にいつまでも甘んじる訳もなく、遠くない将来訪れるだろう未来だったと言えるでしょう。

でも…ちょっと Michelle嬢は気が早いと思いますけどね…(汗

GLASS HAMMER在籍中に本作『Song of the Siren』のレコーディングは開始されており、Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作された経緯もあって、当然の如く2人はGLASS HAMMERのアルバムをリリースしている自身のレーベルARIONからのリリースを招待(メンバーのソロ作をファミリー的にリリースって定番だもんね)したものの、Michelle嬢は2人に頼り切りになる愚を犯す事なく自身でNaosha Recordsを設立(しっかりしてるなぁ…)し、デビュー・ソロアルバムをリリースする決定を下す。

今となってはな話だが、この時ARIONレーベルからソロ作をリリースする選択をしてくれていれば、普通に定価で Michelle Youngのソロアルバムを今でも簡単に購入出来ただろうに、と思ってしまいます…orz

本作は Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作されてはいるものの、それは演奏パートだけで Fred Schendelとの共著曲を除いて、ほぼ全ての楽曲は Michelle嬢のペンにより、プログレ系フィメール・ヴォーカリストのソロ作にありがちな歌姫は歌唱パートを提供するだけで楽曲は殆ど所属バンドメンツが創作しているパターンではなく、素晴らしいリードヴォーカルに加えて、Keyboards、Guitar、Bass、Bamboo Flute、Silver Flute、Chimes、Ocarina、Double Barrel(両手に持ってシェイクし音を出すパーカッション)をプレイするなど、確かに本作は彼女の手によって創作された作品である“印”がしっかりとそのサウンドに刻みつけられている(*´ω` *)

GLASS HAMMERでの Michelle嬢の歌声を知る方ならば既にご存じでしょうが、Michelle嬢と Kate Bushの歌声の類似性(そもそも Kate Bushに影響されて歌い始めたんだから当然だ)は隠しようもなく、Kate Bushのアルバムに期待される要素の多くを本作も兼ね添えていると言えるが、個人的にはMichelleの声の方が透明感があって音域も幅広く、朗らかで力強くてよりポピュラー・ミュージック寄りな彼女の音楽の方が好みではありますね。

勿論、創作意欲旺盛で挑戦的な Michelle嬢が Kate Bushの劣化コピー的な存在で満足する訳もなく、続く2ndソロアルバムではライブミュージカル等を見て自分の音楽に演劇的な感覚を形作る事に成功し、より自身の“声”を表現出来るようになってオリジナリティを確立していく事になるのですが…

プログレ&シンフォ系ファン的には参加メンツが地味な本作より、Clive Nolanと Oliver Wakemanと親しくなった後に制作された2ndソロ作の参加メンツの方がポンプ系シンフォ系の有名所が参加している為に注目度は高いかもしれないので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみても損はないですよ。

尚、本作に収録されている楽曲スタイルは、所謂今日の市場における女性ヴォーカル・アルバムの大多数に見られる傾向な楽曲、ポップス、ソフトバラード、JAZZ風ナンバー、以外にもミステリアスなプログレッシヴ・インストゥルメンタル、民族音楽的インストナンバー、そして典型的な Kate Bush風の官能的女性ボーカルトラックが収録されており、ハッキリ言って Kate Bushの作品のいくつかを彷彿とさせる楽曲が多く耳につくのは紛れもない事実で、この時点ではオリジナリティという点で少々弱いといわざるお得ないだろう。

現在までに Michelle嬢は一枚だけソロ作『Marked for Madness』'01 をリリースするに留まり、以降はブルースロックバンドを始め、フランスのフォーク作など幅広いジャンルの他アーティスト達とのコラボ作やプロジェクト等に参加し、今も活発に活動を継続中な模様だ。

最後に彼女の音楽的ルーツであり、お気に入りアーティスト達を記しておくと、THE BOOMTOWN RATS、THE COCTEAU TWINS、William Orbit、Laurie Anderson、Kate Bush、KING CRIMSON、Adrian Belew、Steve Hackett、KANSAS、THRWAD、FERNANDEL、Nanci Griffith、FISHBONE、Tori Amos、Marco Flores、LANDMARQ、HAPPY RHODES、ARENA、SHADOWLAND、PENDRAGON、UNDER THE SUN、 Mozart、Beethoven、Mischa Elman、QUEEN、Ella Fitzgerald with Louis Armstrong、Paul Revere & THE RAIDERS、Basil Poledouris、THE STYLE COUNCIL、Rick Springfield、THE JAM、SUPERTRAMP、Sarah McLachlan....と、本当に幅広い音楽を聴くのが好きなようですね。



by malilion | 2019-05-08 16:29 | 音楽 | Trackback

期待の新人USA産プログレッシヴ・デユオ FAINT SIGNALの2ndがリリース!

c0072376_00461197.jpgFAINT SIGNAL 「Formula」'18

2人のマルチ・ミュージシャンを中心としたUSA産プログレッシヴ・デユオの2ndがリリースされたので即GET!

USAオハイオ州南西端に位置する都市シンシナティで結成されたプログレッシヴ・デユオ(現在、シンシナティで唯一のプログバンドらしい…)で、シンシナティで活動するカントリー風味なパワー・ポップバンドSCREAMING MIMESのメンバーである Randy Campbell(Backing Vocals、Keyboards)と Henri Eisenbaum(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、Vocals、Drum、Percussion、Sequencing)の2人によって12年頃に結成された。

発起人は Randy Campbellで、自身のルーツであるプログレ・ミュージックをプログレが死に絶えたシンシナティで復活させたい、という想いから活動が始まった模様で、全楽曲の歌詞や楽曲の多くを相方の Henri Eisenbaumが手がけるのに対して Randy Campbellは10年以上SCREAMING MIMESのメンバーとして活動してきた人脈を活かし地元シンシナティのベテラン・ミュージシャンを幾人か招いて協力を乞い、14年に無事デビュー作『Faint Signal』が自主制作盤でリリースされる事となる。

デビュー作はUSA産プログレらしくSFチックでスペイシーなシンセがフィーチャーされたちょっとPINK FLOYDっぽいダークサウンドで、ソリッドでメタリックなギターと、オルガンやストリングス系に加えピアノの軽やかな音色も美しく、煌びやかなキーボードが大活躍するモダン・サウンドのヘヴィなUSテクニカル・シンフォといった趣の音であった。

2人がかりの多重録音なので無機質な打ち込みドラムも相まって全体的にドライサウンドながらそれはUSA系シンフォに共通点なので驚くに値しないのだが、サウンドのスケール感は色々工夫はしているが結局こぢんまりしてしまっているのが少々残念で、それでも自主制作レベルとしては十分なレベルであったものの、如何せんリードヴォーカルがC級クラスの音域の狭い穏やかなオッサン声(良く言えばウェットン系、というか Greg Lake風か)でキャッチーな歌メロ創りが上手いUSA系にも関わらずヴォーカル・パートがイマサンな為、トータルで見るとどうしてもC級に片足突っ込んだB級シンフォ物と言わざるを得ないアルバムだろう。

ただ、さすがにプロキャリアを積んできた Randy Campbellの手腕や知識が活かされ、そしてベテラン・ミュージシャンのヘルプもあってか、インディの多重録音モノとしてはとても良くプロデュースされたアルバムで、その点もあってギリギリB級シンフォものという聞こえ方をしているとも言える。

後は、最終曲のノリノリなスピーディでインタープレイを吹っ切れたように垂れ流す、脳汁タレまくりんぐな好き放題プレイを繰り広げるギターとキーボードの大暴れする楽曲を聴いた時、初期GLASS HAMMERを連想したので、もしかすると変にヴォーカル入りの楽曲にこだわるより、インスト系で攻めた方が彼等には向いているんじゃないかと思いましたね。

歌詞の内容も、プログレ系らしく社会的および政治的問題や、人々の意識、内なる意識と将来への楽観主義を扱ったりと、メジャーから外れた方向性な事や、地元にプログレ・シーン(パンク系では有名なのね…)が存在していなかったのも関係してか、彼等のデビュー作が大きな話題になる事はなかった模様だ。

実際、それらの問題点は2人共理解していた模様で、その後も各パートのプレイヤーを地元のミュージシャン達から募集していたらしい。

そして待望の新作の発表となった訳だが、前回の失敗を踏まえてか中心の2人はそのままにサックス奏者やヴァイオリン奏者、そして女性ヴォーカリストなどゲストを多数迎えて総勢9名(!)での制作となっている。

打ち込みでない専任ドラマー Kevin Hartnellを迎えた事でリズムの無機質さは解消され、ヴァイオリンとヴィオラを演奏する JulieAnn Martin Bernard嬢は二曲に参加し、サックス奏者のDenny Allenは一曲のみの参加ではあるが、ドライ気味だったサウンドに明らかに華やかで複雑な音の厚みと艶を生み出されているので、キーボードのサンプリングで誤魔化さずに管楽器とストリングスの生音を加える事でバンドサウンドのスケールと完成度を上げる今回のゲストを迎え入れる作戦は大成功と言えるだろう。

また致命的な弱点だったヴォーカルパートは、総勢3名の男女ゲストヴォーカルを迎え、それぞれ Mark SzaboとWhitney Barricklow Szabo嬢の男女ツインヴォーカル(夫婦?)が一曲でその歌声を披露し、Katja Loeb嬢は二曲でその美声を披露する事で全体の歌唱パートのレベルの底上げを実現している。

なにより Randy Campbellと Henri Eisenbaumのコーラスも今回は控え目ながら実に心地よいハモり具合なので、かなりヴォーカルパートに気を遣ったのが分かります(*´ω` *)

またリードギタリストとして Rob Fettersを迎えて全編でその流暢でテクニカルなプレイをバンドサウンドに取り込んだ事はサウンドに劇的な変化をもたらし、インストパートのさらなる完成度アップと楽曲の奥行きが増したのが一聴して即分かるレベルだ('(゚∀゚∩

メンバー的な補強によるプラス効果が創作意欲に火を点けたのか、楽曲の完成度も前回と比べものにならないくらい高く、前回の幾分メリハリに欠ける鈍色USヘヴィ・シンフォサウンドが、一気に緻密に計算された凝った展開で聞く者の耳を惹きつけるカラフルでドラマチックな正統派シンフォ・サウンドへクラスチェンジしていて、正直ここまで良くなるとは全く予想しておりませんでした。

テクニカルでメロディアスなギターはハード一辺倒だった前作と打って変わって繊細な叙情感を醸し出す美しく艶やな音色も紡ぎ、軽やかで煌びやか、そして幾分ミステリアスさを漂わすちょっとフュージョンっぽいタッチ(HAPPY THE MANっぽい!)のシンセはテクニカルでシャープなプレイを垣間見せつつ楽曲の壮大なスケール感を演出したりと、前作で足りなかった“引き”の美しさを感じさせるサウンドの魅力が大幅にアップしている点が大きな違いと言えるだろう。

勿論、前作同様ハードに切り込んで来るメタリックでスリリングなエッジあるギタープレイやオルガン系のワイルドでジャージィな渦巻くような鍵盤捌きやめくるめくシンセの長尺リードパートもしっかりとフィーチャーされているので、惰弱に感じる要素ばかりが強まった訳ではなく、本来あるべき足りなかった要素がバンドサウンドの中核へ加味された結果の、サウンドの陰影と音の深みと艶やかさが増した本作の楽曲とサウンドは一味も二味も違って聞こえ、B級も危ういマイナー・USシンフォから極上のB級USインディ・シンフォ・バンドに生まれ変わったように思えます(*´ω` *)

叙情感や音の艶やかさが増したからか、前作より一段とユーロ・シンフォに近づいたサウンドに聞こえ、けれど要所要所でUSバンドらしい明るい音の“抜け”とパワー圧しな部分も垣間見えて、それが彼等を単なるフォロワー・サウンドに貶めない助けになっているようで実に面白い。

PINK FLOYD、LIFESIGNS、PORCUPINE TREE、RUSH、QUEENSRYCHE、TRANSATLANTIC、THE FLOWER KINGS、SOUND OF CONTACT、MARILLION、SPOCK'S BEARD、STEVE HACKETT'S GENESIS REVISITED、そしてBLUE OYSTER CULT等の影響が窺えるヘビィ・プログレへの近代的アプローチなサウンドだった彼等に、GENESIS、YES、EL&P等の所謂定番の70年代プログレサウンドのエミュレート要素が加わり、良い意味で大衆受けするサウンドへ接近したように感じるのは、そもそもが、曲作り、楽曲アレンジ、アルバム構成などインディ・ユニットとは思えない高いプロデュース能力とスタジオ作業力を有していた2人が、前作に足りなかった要素を冷静に分析し、妙なプライドに縛られず弱点を補完する為に外部の有力な助けを借り、遂に思い描いていたサウンドを具現化した、そういったクレバーな行動の結果もたらされた二次的な要因ではなかったのでしょうか?

総じて本作は、テクニカルで壮大、そして煌びやかで軽やかなキーボードパートがかなりフィーチャーされている楽曲(Randy Campbellと Henri Eisenbaumの中心人物2人が目一杯キーボードプレイしてるトコなんかも初期GLASS HAMMERっぽいよなぁ…)がタンマリ詰め込まれていますので、モダンなキーボードプレイメインなシンフォサウンドがお好みな方は是非にチェックして欲しい、有望な無名新人USシンフォ・バンドと言えましょう。

ゲストプレイヤーの操る楽器以外のサウンド、フルートなんかの音も聞こえるものの、恐らくそれらは全てキーボードのサンプリングでしょうから、今回はサックス奏者やヴァイオリン奏者をゲストに迎えた事だし、続く次作ではその辺りの奏者も実際に招いて制作して欲しいですね。

このままの方向で進化し続ければ、妙なポップスやゴス要素へ色気を出して迷走した挙げ句、初期とは似ても似つぬ路線へ様変わりしてしまったGLASS HAMMERが本当なら聞かせてくれたかもしれない、壮大でシンフォニックな00年代モダン・プログレのその先のサウンドを彼等が届けてくれそうな気がして今から期待が膨らみます(*´ω` *)

出来ることなら次作ではしっかりとメンツを固め、さらなる創作の飛躍を期待したい、そんな期待の持てる有望な新人USシンフォバンドが登場してきました♪


by malilion | 2019-05-03 00:39 | 音楽 | Trackback

“カナダのMARILLION”ことRED SANDがダークなテーマの8thアルバムをリリース!

c0072376_00120452.jpgRED SAND 「Forsaken」'19

“カナダのMARILLION”ことカナダはケベックのネオプログレ・バンドRED SANDの、前作から3年ぶりとなる8thがリリースされたので即GET!

13年作からリーダーでギタリストの Simon Caronの娘 Pennsylia Caron嬢がキーボーディストとして参加してからメンツは比較的安定していたが、マイナー・シンフォ系につきもののメンバーチェンジが再び勃発した模様で、前作から参加していたベーシスト Andre Godboutが脱退し、現在はパーマネントなベーシスト不在の4人体制での制作(ユーロ圏でのLIVE紹介のメンバーフォトで5人並んで居る画があるので、現在はサポートベーシストを迎えた? もしくは新ベーシストが加入?)となった模様だ。

薄明かりにほんのり構造物が浮かぶアルバムジャケや『見捨てられた』というアルバムタイトルからも窺えるように、全般的にダークで絶望的な印象のサウンドで満たされたこの新作は、初期MARILLION風なシニカルさも漂わせ、サイケデリックなテイストもあるサウンドが醸し出す悲観的な雰囲気が色濃いダークでミステリアスな不穏感を煽るデジタリーなイントロの導入を聞くと、まるで東欧か北欧の凍てつくような重厚なシンフォ・サウンドへ路線変更か?!と、驚かせるが、テーマがシニカルでダークな悲壮へ向いているだけで、紡がれる音楽は前作同様にテクニックやスピードに頼らぬ、ただただ美しい旋律を丁寧に紡ぎ続け、儚い哀愁へと淡い幻想色に楽曲を染め上げる、MARILLIONのメロゥな部分だけ抽出して煮詰めたかのような“泣き”とメロディアスさのみを追求した木訥で真摯なプレイとサウンドは甘美の一言に尽きる。

Steff Dorvalのヴォーカル・アプローチが所謂シアトリカル系の芝居がかった歌唱法な事や、バックのサウンドがMARILLION系、特に Simon Caronのギタープレイが、モロにMARILLIONのSteve Rothery風なのを筆頭に、所々でPENDRAGONの Nick Barret風だったり、JADISの Gary Chandler風だったりするだけでなく、Pennsylia Caron嬢が操るキーボードの音選びやプレイまでもがClive Nolan風(これは親の影響だろうなぁ…)とあって、作曲スタイルや、ブレイクと雰囲気を指摘するまでもなくモロに80年代後期UK~90年代風UKポンプ風味が漂うサウンドだし、アルバムテーマのダークな方向性も今となっては何一つ目新しさなど無いが、Pennsylia Caron嬢が可憐なフィメール声のバッキングヴォーカルを重ねる事でポップでクリアーな美しい歌メロのイメージが加わってMARILLIONフォロワー臭が幾分か薄れたのと、シンセ、オルガン、ピアノ、メロトロン系などヴィンテージ感を醸し出す鍵盤系サウンドや、徹底的に美しさにこだわったエモーショナルで官能的なギターの音色、そしてゆったりしたテンポで構成された繊細でハートフルなフレーズが尽きること無い洪水状態で、それらは今や完全に彼等の専売特許なレベルまで昇り詰めていると言っていいだろう(*´ω` *)

いささかロック的なハードエッジとパワーや攻撃性に欠けるが、心情表現にのみ注力した入魂のギター・プレイと、そんな魅惑的なギターに寄り添うように、華やかさを演出するピアノと煌びやかなシンセ、そして全てを優しく包み込むメロトロン系サウンドを操るキーボードとデジタリーなSE等、それら全てが絶妙のバランスで混ざり合って、キャッチーなメロディー、そしてシアトリカルなヴォーカルを際立たせる役割となっており、何か一つ欠けても彼等のリリカルで美麗な音楽は表現出来ぬに違い無い。

また、表だって目立つリード楽器のギターとキーボードがスピードやテクニカルなプレイで魅せるタイプでない代わりと言ってはなんだが、地味にリズムパートは非常にテクニカルなプレイを見せており、本バンドの描き出す情景や劇的な場面変化をしっかりと支える役割を見せているのも見逃せないポイントだ。

徹頭徹尾メロゥなサウンドが実にRED SANDらしい本作だが、それまで淡々とまったり美しく穏やかで柔和な叙情サウンドを紡いでいるバンドが、最終曲では突如として予想外のペース変化(キーボードもソロパートをここぞとばかりに延々とプレイ!)を見せ、シアトリカルで斜に構えた歌唱を見せていた Steff Dorvalが入魂の熱唱を聴かせる山有り谷有りの展開へ雪崩れ込んでいく様は、コンパクトに纏められているもののこれまで抑えに抑えて来たプログレ系バンドお約束な大仰な楽曲構成となっており、それまでのマッタリ感を吹き飛ばす程に痛快で、出来ればこのスリリングな展開の楽曲を最初に一曲配して欲しかったのと、もうちょい長尺で聞かせて欲しかったと無い物ねだりしてしまう。

毎度の事ながら、美メロなシンフォ系がお好みな方や初期MARILLION、PENDRAGON、ARENA、SHADOWLAND等がお好みな方はチェックしておくべきバンドと言えるだろう。



by malilion | 2019-05-02 00:04 | 音楽 | Trackback

哀愁と優美な美メロをアコースティカルに響かせるポーランド人ギタリスト Mirek Gilのソロ・デビュー作がリマスター+ボーナスでリイシュー!

c0072376_10234947.jpgMR GIL 「Alone 20th Anni Edition + Light And Sound」'19

元COLLAGEにして現COLLAGEの、そしてCOLLAGE崩壊後に分派して誕生したSATELLITEとBELIEVEに在籍し、今はBELIEVEを率いつつ、ソロアルバムもコンスタントにリリースするポーランド人ギタリスト Mirek Gilのデビュー・ソロ作リリース20周年を記念し、98年デビュー作と11年3rdソロ作の全曲Remasterd+ボーナストラック4曲追加した2枚組2019年限定盤がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

BELIEVEバンド本体の方もポーランド産シンフォ・バンドらしい、淡い物悲しさが漂う、仄暗く叙情的でたっぷりの美旋律が詰め込まれたシンフォニック・ロック作をリリースしている Mirek Gilだが、ソロ作ではよりゆったりアンニュイな感覚を漂わせつつ、リリカルなストリングスをフィーチャーした美しいアンサンブルで彩られた、どこか物悲しい冷たさも感じさせるものの心地よいメロディが安眠を誘うようなアルバムを届けてくれている訳だが、こうして再びデビュー・ソロ作に耳を傾けると、近年のようにハッキリとBELIEVEサウンドとソロ作のサウンドが明確に差別化されておらず、この時点ではまだまだBELIEVEやSATELLITE、そしてCOLLAGEの影が色濃く感じられるサウンドだったのだなぁ、と再認識させられました。

デリケートで優美なギターの音色に導かれ、しっとり幾重にも折り重なったキーボードや、甘口なヴォーカルがゆったりと混ざり合い、甘く切ないサウンドがアコースティカルに紡がれていく様は実に美しく華やかで、改めて今聴き直してみてもデビュー・ソロ作『Alone』は実にセンチメンタルなメロディが詰め込まれていて、その後のソロ作と比べてみても出色の出来栄えと言えるだろう。

元々、そんなに音が悪いアルバムではなかったのでRemaster効果が絶大、ってな事はないが、それでも音の分離は良くなって聞こえるような気がしますね。

もう一枚の3rdアルバム『Light And Sound』の方は、デビュー作と比べてググッと落ち着いた穏やかなサウンドに変化しており、ピアノ、アコギ、チェロ、ヴァイオリン、に少々メロトロン系も加えたアコースティカルで優雅、そしてシンプルな響きが実に心に染みる珠玉のサウンドを聞かせている(*´ω` *)

ボーナスの4曲は、それぞれ同じ方向性なものの幾分楽曲の完成度が低めに感じられ、アルバムに収録されなくても問題ないかな、というレベルの佳曲のように思えますが、そもそもがオマケなのでそう文句はありませぬ(*´ω` *)

ロバート・フリップに捧げられたボーナス曲は、ちょっとギターがソレっぽいのはご愛敬だ(w

デビュー・ソロ作も3rdも総じて甘く切ないヴォーカルも相まって心地よい美メロが胸に迫るアコースティカルなシンフォ作と言えるので、メロディアスな作品の愛好家なら絶対押さえておいて損はない一品と言えるだろう。




by malilion | 2019-05-01 10:16 | 音楽 | Trackback