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イタリア人ギタリスト Stefano Viana率いるVIANAが、華麗に生まれ変わってメロハーの良作をリリース!

c0072376_11502295.jpgVIANA 「Forever Free」'19

イタリア人ギタリスト Stefano Viana率いるVIANAが、アメリカ人シンガー&ギタリスト&プロデュース業の Bryan Cole(GIANT、STEEL CITY、ソロ)を新たに迎え制作した、2年ぶりとなる待望の2ndアルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

いやー、このバンド名を最初見た時、メロハー・バンドとは違う印象を持ったんですよねぇ…ヴィアナって名前を聞いて、ブラジルのサグラドを思い浮かべるのはプログレ好きだけですよね。ハイ、関係ない話スミマセン(汗

幾度も挫折しつつアルバム制作を決して諦めなかった苦労人 Stefano Vianaの念願であったデビュー作は、イタリアン・メロハー界の重鎮 Alessandro Del Vecchio全面協力の元、イタリアのトップ・ミュージシャン達により制作されたプロジェクト作であったが、本作では前作に引き続き参加となった美貌のベーシスト Anna Portalupi嬢(B:HARDLINE)とキーボーディスト Pasquale India、そしてギタリスト Francesco Marrasのイタリア人ミュージシャン達に加え、新たに Terry Brock(Vo:STRANGEWAYS、THE SIGN、ex:GIANT、etc...)の協力も得て制作されており、前作でも感じられたUSメロディアス・ロック色がより強調された爽快メロハー・サウンドとなっている。

逆に前作で感じられたウェットな叙情感や欧州的メロハー・テイストは弱まっており、これはどう考えてもSURVIVORの二代目フロントマン Jimi Jamisonっぽい雰囲気も漂わす歌唱に Mark Free(ex:KING COBRA、ex:SIGNAL、UNRULEY CHILD)のようなクリアなハイトーンがMIXされた歌唱スタイルな Bryan Coleのヴォーカルを念頭に置いて制作されたが故のサウンド変化で、粋の良いUS風のキャッチーなメロディアス・ロックと欧州風なウェット感あるメロディアスHRの良いトコ取りを目指した風な方向性は悪くなかったもののデビュー作の完成度を著しくスポイルしアルバムをB級メロハーに貶めていた濁り声シンガー Alessandro Del Vecchioが今回はヴォーカルを担当していない点(ミックスとマスタリングは今回も担当)も大きいからだろう。

まぁ、デビュー作はその Alessandro Del Vecchioの人脈フル活用で創り上げたようなものなので、何度もアルバム制作をしてリリースに至らなかった Stefano Vianaにしてみれば彼無しには完成まで漕ぎ着けなかったとの思いは強かっただろうし、プロデュースのみならず楽曲制作にも関わって無名のイタリア人ギタリストのデビュー作をあそこまでのレベルへ持って行った功績もあって Alessandro Del Vecchioのイマサンな歌声(ワイルドなHR系ならマッチしそうなんだけど…)をフィーチャーするのも致し方なかったかも知れないけど…

また、今作は前作と違って Stefano Vianaと Bryan Coleがアルバムを共同プロデュースしている点と、ベテラン・ヴォーカリストである Terry Brockをバッキングヴォーカルに迎え、その熟練した技術と経験(ヴォーカルパートのプロデュースは Terry Brock!)が活かされた為か、Bryan Coleの元々持っていたポテンシャル以上にボーカルアレンジメントやコーラスワークはデビュー作とは比べものにならぬパワフルさとキレ、そして美しく爽快なハーモニーの質が急激に上がっている大きな要因なのは間違いなく、2ndを恐ろしい程のハイレベルなメロハー作へ引き上げる事に成功している。

さらに、イタリアのインディレーベルからイギリスのEscape Musicからのリリースへ移籍と、着実な飛躍を遂げている点も見逃せないだろう。

前作は欧州風メロディアスHRをベースにUSメロディアスHR、さらにAOR要素等を巧みに取り込んだ興味深いサウンドであったものの、やはり Alessandro Del Vecchioのヴォーカル能力がその手のキャッチーでフック満載な売れ線メロハ-を歌うには十分でなかった為か Stefano Vianaのテクニカルで流暢なギターが所々で耳を惹くもののアルバムを繰り返し聞かせるレベルに達していなかった訳だが、クリアーで爽快感ある Bryan Coleのシャープな歌声を得た事によって、STARSHIP、WINGER、GIANT、BAD ENGLISH、SURVIVOR等に通じる80年代風の産業ロック&クラシックUSメロディアスHRサウンドな、如何にもアメリカンでカラッとした空気を感じさせるシンプルでストレートな美旋律が印象的な楽曲は、質、サウンド共に数段向上しており、誰が聴いても前作を遥かに超えるメロディアス作だと Stefano Vianaが自信満々に強く主張しているかのような快作で、メロハー愛好家は是非ともチェックせねばならぬ一枚と言えるでしょう。

ここまで手放しで褒めておいてなんですが、楽曲の方向性が産業ロック系に寄ったバランス重視型になった事もあって Stefano Vianaはクレバーにソツなくその方向性にマッチした実にツボを押さえた楽曲に映えるギタープレイをしているのですが、デビュー作で時折垣間見えた派手な弾きまくりというよなパートはすっかり姿を消してしまったのがちょっと残念ではあります。

ま、この方向性に進んだ方が間違いなく認知度は上がるし、活動範囲も拡がるだろうから大人な判断で賢明だと思いますけどね。

因みにスペシャルゲストで John Roth(G:WINGER、STARSHIP)が招かれ、鮮やかなソロプレイを数曲で披露している他、GIANTに関わりある Bryan Coleと Terry Brockがデュエットも披露しているのでメロハー愛好家は本作を見逃せませんね(*´ω` *)

歌詞からアレンジメントに至るまで、楽曲は美しいメロディーとブライトなハーモニーに徹頭徹尾満たされ、それでいてしっかりロック的なリズムとグルーヴのパワーも感じられる、それらが絶妙に調和したキャッチーでクラシックなAOR&USメロディアスHRの教科書的な本作は、隠し味的に若干ユーロテイストとウェットな叙情がメロディに仄かに感じられ個人的に大好物なサウンドなので、是非ともこの方向性のままメンツを変えず精力的な活動を続けて欲しいものであります。



by malilion | 2019-02-28 11:34 | 音楽 | Trackback

イタリアン・メロハー PERFECT VIEWが待望の3rdをリリース!

c0072376_18541886.jpgPERFECT VIEW 「Timeless」'18

Francesco Cataldo(Guitars)率いるイタリアのキーボード入り5人組メロディアスHRバンドが4年ぶりとなる3rdアルバムをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

オリジナルのデンマークLions Pride Music盤が早々にソールドアウ(追加プレス無しって、あんまりだ!)で絶望していた去年末でしたが、こうして無事国内盤がリリースされ一安心であります。

もっとも、その国内盤もコノザマくらって延々レコードが届かないというフラストレーション溜まる状況に憤慨してたんスけどね…(#^ω^)ビキビキ

さて久々の新作だが、フロントマンとキーボーディストの交代劇が前作リリース後に勃発した模様で、本作までのリリースにこれだけ時間が掛かった理由となっている。

また、本作収録後にオリジナルメンツでもあったドラマー Luke Ferraresiも脱退して新ドラマー Davide Lugliを迎えた為に、現在オリジナルメンツはリーダーの Francesco Cataldoのみとなってしまった模様だ。

まぁ、メンツは変われど中心人物 Francesco Cataldoの目指す、JOURNEY+TOTOのサウンドをベースに哀愁の北欧フレ-バー(イタ公なんでちょいPURPLE臭もご愛敬)をふりかけたようなキャチーで透明感ある美旋律の数々が、程良くハードで程良くポップないい塩梅の何ともツボを突いてくるバランス感覚でまとめ上げられたデビュー作からの方向性に些かの変化もなく、やっと目指す方向性に相応しいメロハー路線にバッチリなクリアなハイトーンのパワフルなヴォーカリスト Marco Ciancioを迎えられた本作の出来を聞くに、個人的には初代フロントマンの歌声やその歌唱力には2ndで疑問を呈していただけにこのメンバーチェンジは大歓迎であります(*´ω` *)

大雑把に言って80年代リスペクトなサウンドである1st路線に戻ったと言えるのですが、キーボーディストが Pier Mazziniから Marco Tedeschiへチェンジしたせいか、これまで余り聞かれ無かったプログレ風なキーボードプレイやサウンドがバンドサウンドに大きく加味され、前作までAOR的なサウンドの役割を多大に担っていたキーボードパートに新鮮な変化が見られたのは予想しなかった嬉しい変化でした。

じっくり時間をかけて制作された事もあって以前にも増してクオリティの高い楽曲目白押しな本作ですが、前作でややヘヴィな側面が強調され過ぎたのを反省したのか1st同様に程々にエッジのあるリフやギターサウンドをメインにした、歌を中心に据えた親しみやすく耳に残りやすい美旋律は実に心地よく、適度にテクニカルなプレイやプログレッシヴ的ソロキーボードパートやバッキング等は隠し味程度に、Marco Ciancioのエモーショナルな歌声を最大限に活かす艶やかさある叙情サウンドは彼等の1stアルバムを気に入った方ならず、欧州メロハー系をお好みな諸兄なら即購入して間違い無しな一枚となっております。

アルバム毎にメンツが変わったり、イタリアでは苦戦を強いられているメロハー系バンドでの活動等、なかなかに先行きは安心出来ませぬが、是非とも安定したメンツでこのまま同一路線を突き進み、フック満載で叙情感タップリなメロハー・サウンドを届けて欲しいものであります。

あ、そうそう。国内盤発売はされましたが弱小レーベルからのリリースとなっておりますので、プレス数もそう多くないでしょうから即廃盤の憂き目に遭う前に興味ある方は早々にご購入される方がよろしいですよ。



by malilion | 2019-02-23 18:49 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーの期待の新星! WAKE THE NATIONSが本格始動作をリリース!

c0072376_17305123.jpgWAKE THE NATIONS 「Heartrock」'19

フィンランド産キーボード入り5ピースバンドによる2ndアルバムがリリースされたのをちょい遅れてGET!

このバンドでまず目を惹くトピックは、同じくフィンランドのB級マイナー・メロハー・バンドHUMAN TEMPLEのメンバー等が新たに立ち上げたメロハー・バンドだと言う事だろう。

HUMAN TEMPLEの今の所の最終作である12年作3rdでは、ギタリストとキーボーディストが頑張って美旋律を奏でているものの中心人物(バンド運営費的にもボス)であるフロントマン Janne Hurmeのヘッポコなヴォーカルのお陰で散々な出来だった訳だが、そのギタリストだった Risto Tuominen(Guitars、keyboards & Backing Vocals)がHUMAN TEMPLEにマッチせず(というか、ブチ壊されるのを避けた?)発表する機会のなかった楽曲を、HUMAN TEMPLEが活動休止となったのでソロアルバムを制作してリリースするというアイディアから出発し、HUMAN TEMPLEの Jori“Jorge”Tojander(Synthesizer)と、HUMAN TEMPLE参加前に Risto Tuominenがメンバーとして在籍しEPもリリースしていたグランジ風味なHRバンドVILLA SUCKAのメンバー Janne“Gekko”Granfors(Bass:同じくHUMAN TEMPLEのメンバー)、Krister Stenbom(Vocals)、Tuomas Pelli(Drums)等の手助けを借りて12年から制作を開始し、遂にWAKE THE NATIONSのデビュー作『Sign of Heart』が15年にリリースされる事になったのが始まりとなっている。

ギタリスト Risto Tuominenのソロ作から発展した事もあってこのデビュー作、HUMAN TEMPLEの Janne Hurmeや Krister Stenbomを含む総勢6名という複数のヴォーカリスト(エクアドル出身やクロアチア出身の欧米HM界では殆ど無名なヴォーカリスト達や Risto Tuominen自身も歌声を披露)を招いて制作されており、楽曲の出来もバラつきがあるし、お世辞にも極上のプロダクションとは言えぬ纏まりが今一つな出来だったものの、HUMAN TEMPLEでも聞けた叙情感あるウェットな美旋律が心地よい、イマイチ垢抜け切れぬ、だけどそこがマイナー作好きには嬉しいC級に片足突っ込んだB級メロディアス作でありました。

フィンランド国内でデビュー作は好評だったもののフロントマン不在な為、アルバムリリース・パーティーで一度限りの演奏を披露したのみでLIVE活動が出来なかったのを Risto Tuominenが考慮し、Krister Stenbomを正式にフロントマンに据えてデビュー作の制作に関わったメンツと本格的にWAKE THE NATIONSをバンドとして活動させ、やっと本作が届けられた次第であります。

待たされただけあって本作は、北欧メロハーらしい適度にメタリックなエッジを保ちつつウェットな叙情を湛えたキャッチーでメロディアスなナンバーがズラリと並び、フック満載で煌びやかだった80年代風メロディアスHRを元ネタに一ヒネリ加え、モダンなAOR風味も程良くまぶされた、定番だけど新鮮さも感じるメインストリーム寄りでバランス重視な楽曲の数々は、メロハー・ファンならずともHR愛聴者やH.E.A.T.やECLIPSEファンなら迷わず手を出しても問題ない良作だと断言出来る一作だ。

グランジ風味なHRバンドのフロントマンであった Krister Stenbomの歌声は中域メインなマイルドなヴォーカルスタイルがメインで、グランジ系定番の荒れた歌声やガナリ、グロウル等は一切聞かせずメロハー系に即した伸びやかで力強い歌声を披露しており、絶品の歌唱力とは言わないがその辺りを危惧している方には全く問題ない事をまずお伝えしておきます。

アルバムでは分厚いバッキングコーラスやハーモニーが重ねられていて Krister Stenbomの歌声や歌唱力が判然しないと思われる方は、動画サイトにLIVEでのまだまだイモ臭い(笑)ステージの様子がアップされているのでそちらを一度見て、彼の生の声を確認しつつ自分の好みとバンドサウンドが合うかどうかチェックしてみるのもいいかもしれない。

HUMAN TEMPLEの3rdで聞けたギターとキーボードが頑張って美旋律を奏でていたサウンドを覚えている方なら、本作で如何に Risto Tuominenがリフにメロディにと硬軟幅広くツボを押さえたギターを伸び伸びとプレイし、Jori“Jorge”Tojanderが華麗にして繊細な鍵盤捌きと楽曲をワンランクアップさせる洒落たアレンジやシンセの煌びやかな音色で水を得た魚の如く大活躍しているのかを聞いて、不遇だったHUMAN TEMPLE時代を思い起こして涙せずにはおれないでしょう(w

また、バンドメンツを固めてじっくり制作に時間を掛けたのも飛躍的に楽曲レベルがあがった要因でしょうが、何よりソングライティングに Soren Kronqvist(Joe-Lynn Turner、ONE DESIRE)や Thomas Vikstrom(THERION、TALK OF THE TOWN)を迎え、ミキシングとマスタリングはご存じ北欧ワーカホリックメタルマン Erik Martensson (ECLIPSE、W.E.T.etc...)によって行われ、プロダクションは Ilkka Wirtanen(RECKLESS LOVE、THE NIGHTS)が行うなど、楽曲制作やプロダクションを名うての北欧ミュージシャン等が全面的にバックアップしているのも間違いなく大きな要因と言えるだろう。

A級メロハー作とも言えないし、超個性的なサウンドのアルバムとも言わないが、H.E.A.T.やECLIPSE等の00年代北欧メロハー・バンドファンだけでなく、80年代を象徴するTOTO、JOURNEY、SURVIVOR等のUSアリーナロック・バンドのファンにもお薦めで、北欧HMの元祖EUROPEの香りや、モダンなAOR風味、そして欧州と英米のメロディアスHRのいいトコ取りをしたようなバランス良いキャッチーで爽快なサウンドは、メロハー・ファンなら確実にGETしておかねば後々で後悔するだろうマストアイテムだ(*´ω` *)


by malilion | 2019-02-19 17:23 | 音楽 | Trackback

北欧プログ界の大物THE FLOWER KINGSの盟主 Roine Stoltが久しぶりのソロ作をリリース!

c0072376_17195185.jpgROINE STOLT'S THE FLOWER KING 「Manifesto Of An Alchemist」'18

90年代、突如として北欧から巻き起こったプログレ・リヴァイバルの一勢大力でありTHE FLOWER KINGSのリーダーであった元KAIPAのスウェーデン人ギタリスト Roine Stolt(Guitars、Vocals)は、その後長らく活動する事になる北欧プログレ・バンドTHE FLOWER KINGSを結成する前に数枚ソロアルバムをリリースしていた訳だが、そんな彼の05年『Wall Street Voodoo』以来13年ぶりとなる8thソロがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

そもそもプログレッシヴ・ロック・シーンに Roine Stoltがカムバックした記念碑的アルバムである94年リリースのソロ作『The Flower King』がその後にバンドTHE FLOWER KINGSへ発展した経緯を知っているファンならば、今回の『King』の後に『S』が付いてないソロアルバムのこだわりの名称を見てニヤリとするはず。

Roine Stolt自身は Tomas Bodin(Keyboards)をはじめTHE FLOWER KINGSのメンツ達と新たなバンドTHE SEA WITHINを立ち上げ去年デビュー・アルバムをリリースしたので、停滞気味なTRANSATLANTICや13年にアルバムをリリースして以来音沙汰無いTHE FLOWER KINGSの活動(アーカイヴ的未発音源リリースや過去音源のリマスタBOXセットの発売はあったが…)はもう無いのか…と寂しく思っていたファンにとって、この久々のソロ作は何より嬉しいプレゼントだろう。

注目の参加メンツは、THE FLOWER KINGSでもお馴染みな Jonas Reingold(Bass)、Hasse Froberg(Vocals)、Michael Stolt(Bass,Vocals)、Nad Sylvan(Vocals)に加え、Paul Gilbertのアルバム等で叩いたり、Alex Machacekらと共にUKZに参加して話題になったドイツ人売れっ子セッションドラマーでTHE SEA WITHINのメンバーでもある Marco Minnemann(Drums)、Steve Hackettとの活動で有名なサックス奏者 Rob Townsend等が名を連ねている。

全曲 Roine Stoltの作詞作曲なのは勿論、近年ではその座を譲っていたリードヴォーカルパートもソロ作だから当然とばかりに殆ど自身で歌い、その他のパートも気心の知れたメンツをバックに伸び伸びとソロプレイを繰り広げるという、わざわざTHE FLOWER KINGとクレジットするだけあって初期THE FLOWER KINGSを彷彿させるロイネ節が随所で全開な、GENESISをはじめUKプログレッシヴ・ロックの巨人達のトレードマーク的要素を抽出し独自解釈で再構築した、緻密に作り込まれたスリリングでメロディアスなテクニカルなギターと重厚で壮大なシンフォニック・アレンジが聞く者を魅了するエモーショナルでファンタジックな原点回帰的サウンドを展開していて、アルバムタイトル通り『錬金術師(=プログレ・ミュージシャン)の宣言』を高らかに鳴り響かせるその様には、初期からの彼のファンや90年代北欧シンフォ・ファンもニッコリな内容と言えるだろう。

これだけ色々な要素を詰め込んで、それでもポップで鮮烈な歌メロとキャッチーな美旋律が耳に残るのは、やっぱり北欧ミュージシャンの作品ならではなんでしょうねぇ♪(*´ω` *)

無論、ソロ作なのでバンド作との明確な違いもあり、長らく活動を共にする盟友 Tomas Bodin(Keyboards)が本作には参加していないのでTHE FLOWER KINGSとはサウンドの感触が違って全体的にダークで淡いメロディなのが印象的なのと、ソロ作らしく実験的な試みが見られる楽曲もあって、楽曲アイデアが閃いた瞬間のフィーリングを重視して制作されたという、JAZZをはじめ、ポップスや古典的なロックソングも含む折衷的で多様なプログレ要素がクロスオーバーされた幅広い音楽性と自由奔放なプレイが光る、現代的モダンなサウンドアプローチとヴィンテージ・プログレな風味を巧みに融合させオリジナリティへ昇華させた、これまでの長く豊かな活動経験を感じさせる本作のサウンドは流石の一作だ。

また、ソロ作故のリラックスした穏やかな雰囲気や味わい深く美しいブルーズテイストが色濃いギターサウンドは、英米問わず凄腕ミュージシャン達と壮絶なテクニカル・プレイを繰り広げている彼の参加するバンド作ではなかなか聞く事の出来ぬ一面と言え、目立たないけれど本作で注目すべき点とも言えるのではないでしょうか?

THE FLOWER KINGSをベースに、各国のプログレ&シンフォバンドへのゲスト参加や、KAIPA、TRANSATLANTIC、AGENTS OF MERCY、TANGENT、近年は Jon Anderson(ex:YES)とのプロジェクトANDERSON/STOLTやTHE SEA WITHINなどの活動をはじめ未だ精力的な活動を続ける Roine Stoltの動向からプログレ&シンフォ・ファンは依然目が離せない!



by malilion | 2019-02-10 17:12 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーの新星 PALACEの2ndをご紹介。

c0072376_20400879.jpgPALACE 「Binary Music」'18

北欧スウェーデン産メロハーのニューカマーが、16年リリースのデビュー・アルバム『Master of the Universe』に続き、2年ぶりに2ndアルバムをリリースしたのをちょい遅れてGETしたのでご紹介。

1st当時は、カナダが誇るメロハー・バンドHAREM SCAREMのフロントマン Harry Hessを中心とするFrontiers主導のメロハー・プロジェクトバンドFIRST SIGNALにギタリスト兼ベーシストとして参加したのを皮切りに、CRY OF DAWNやKRYPTONITE(The PoodlesのJakob Samuelをフィーチャー)にギタリスト兼ベーシストとして参加、Toby Hitchcockのソングライター兼ギタープレイヤーとしての参加と様々なプロジェクトで名を売り、満を持してマルチ・プレイヤーにして類稀なる才能を秘めたソングライター Michael Palace(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、Produced)がBIG TIME時代の盟友 RicK Digorio(Guitars)と共にタッグを組み、同郷HRバンドADRENALINE RUSHのリズム隊を迎えて結成された北欧メロディアスHRバンドが、Frontiers Recordsのレーベルオーナー Daniel Floresの肝いりでデビュー、と鳴り物入りな新人で注目を集めた訳だが、その1stは個人的にはA級までいかない極上のB級メロハーにもう一歩、な出来なものの、北欧特有の憂いを帯びた美旋律と伸びやかなハイトーン・ヴォーカルに分厚い爽快なコーラス、北欧お約束のキラキラ感満載の大仰なキーボードに透明感溢れフック連発のキャッチーな楽曲、そして繊細さも兼ね備えたハードエッジで徹底的にメロディアスな80年代リスペクトなHRサウンドと、デビュー作と思えぬ完成度に有望な新人バンドがデビューしたものだと嬉しくなったものでした。

で、続く本作なのですが、マルチミュージシャンが率いるバンド特有の問題がやはり発生した模様で、デビュー作に関わったメンツは既に誰もおらず、今回はプロデュースとドラムだけ元MIND'S EYEの Daniel Floresがプレイし、ゲストギタリストでCODE REDの Oscar Bromvallが一曲 "Julia"でのソロパートをプレイした他、楽曲もプレイも1st同様に殆ど Michael Palaceが独力で創り上げたアルバムとなっている。

内容の方はと言うと、北欧らしい叙情性を含みながら産業ロック、AOR、ニューウェーブ、北欧HM等の要素をバランス良く取り入れたサウンドの方向性に大まかな変化はなく、さらにメロディックに構築されたコンパクトでキャッチーな楽曲の高品質なクオリティ、幾重にも重ねられたブ厚い爽快なコーラス・ワーク、テクニカル且つスリリングなプレイで魅せるギター・ソロなど、メロハーに不可欠の要素が詰まった楽曲の数々が前作を遥かに凌駕する仕上がりなのを一聴して即確信する程で、さらにHarmonica、Alto Saxophone(これはご愛敬なプレイスキルだけど…)など前作でプレイしていなかった楽器も Michael Palaceがプレイし、QUEENっぽいタッチのメランコリックなメロディな楽曲も収録するなど前作にはなかった新要素もあって、なかなかに楽しませてくれます。

また、デビュー作では無理なハイトーンを多用していて、その上ずり気味な歌声が少々耳に触ったが、本作ではミドルレンジ中心なAOR風な楽曲にマッチしたアダルトな歌唱スタイルを多用している事もあってヴォーカルのヘナチョコさ具合は気にならなくなっている。

まぁ、ギタリスト兼任でのヴォーカルと捉えれば十分以上な問題ない上手さなのだが、フロントマンましてやマルチプレイヤーを名乗って産業ロック寄りなサウンドをプレイするとなると、どうしても一段落ちるヴォーカルの力量が気になってしまうので…(汗

ヒットポテンシャルの高いキャッチーでコンパクト、そしてハードでキレのいいメロハー・サウンドに比重を置いたサウンドだったデビュー作から、幾分落ち着いた産業ロック&AOR要素と整合性重視なポピュラーミュージックのポップス要素が強まったと言える本作のサウンドですが、個人的には定番北欧メロハー要素満載過ぎて幾分没個性に感じられた1stよりも、2ndリリースまでにCODE RED、Robin Jidhed(北欧メロハーの元祖的バンドALIENの初代フロントマン Jim Jidhedの息子)をフィーチャーしたバンドCREYE、Erika、Hank Erix、FIND ME(Featuring Robbie LeBlanc)など多方面で多くのミュージシャンやバンドとコラボした成果か、本作の方が楽曲の幅も広く完成度も高いサウンドのアルバムなのは間違いないだろう。

デビュー作で必要以上にプッシュしていた溌剌爽快要素は確かに減退しているけれど、総合的に完成度とポップさとキャッチーさは増しているので、後はHR要素が多目がいいか、産業ロック要素が多目がいいか、というリスナー側の好みで評価が変わるってとこじゃないですかね?

少々不安なのは、今後もこのメロハー要素が薄まる方向性へ進むなら、ワンマン・バンドのマルチプレイヤー一人での活動はなかなか厳しいんじゃないかと思いますけどね…一人故に完成度は上がるでしょうが、一人だからこそ楽曲のネタが尽きるのも早いだろうし、独力では作曲スピードも限られてくるでしょうし、そうそう名曲を一人の手だけで量産出来るハズもないんですから…

出来る事なら信頼出来る力強い相棒か、ちゃんとしたバンドを組んで精力的に活動をして欲しいと思う、有望な新人ミュージシャン Michael Palaceなのでした…

北欧メロハー好きは勿論、80年代のAORやSTORM、JOURNEY、NIGHT RANGER等の煌びやかなキーボードサウンドが売りのオールドスタイルなUSメロディック・ロックを好む方にも十分訴求する高品質なメロディアス作なので、華やかな80年代USサウンドへの憧憬を隠さず現代風にモダンに再構築した本作のサウンドを是非チェックしてみて下さい。




by malilion | 2019-02-06 20:32 | 音楽 | Trackback

THE NEAL MORSE BANDが、前作『THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)』の第二幕作をリリース!

c0072376_14023016.jpgTHE NEAL MORSE BAND 「The Great Adventure ~Special Edition~」'19

元SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTICの Neal Morse率いるバンド名義での3rdアルバムが3年ぶりにリリースされたので、お馴染みの限定盤(2枚組CD&DVD付キ3枚組!)を即GET!

ソロやバンドのこまめなツアーや英米問わぬシンフォ系バンドへのゲスト参加と、SPOCK'S BEARD脱退後の方が精力的に活動してるんじゃないかと思える八面六臂の活躍を続ける Neal Morseだが、やはりCCM系がメイン活動となっている故か前作『The Similitude Of A Dream 』'16 に続く同一コンセプト作の第二幕作が届けられた。

SPOCK'S BEARDから突如脱退して宗教活動に傾倒した彼らしく、英国の伝道師John Bunyan(1628年~1688)による宗教寓意物語『THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)』と言う、『破壊の都』から救済の場所である『天の都』に辿り着くまでの旅の記録の物語は、到底前作だけでは語り尽くせなかったのか、再び組曲形式の二枚組アルバムというタップリなヴォリュームで壮大なストーリーが綴られている。

メンツは前作と変わりなく、Neal Morse(G、key、Vo)、Mike Portnoy(Ds、Vo:ex-DREAM THEATER)、Randy George(B:AJALON)、Bill Hubauer(Key、Vo)、Eric Gillette(G、Vo)の5人による製作で、楽曲の方向性も前作と同系統の古典寄りなサウンドながらロック、ジャズ、クラシック等の要素をテクニカルなプレイで無理なく織り込みつつ、しっかりと今風のモダンなアップデートが成されているナチュラルなフィーリングを重視した80年代的USプログレハード・サウンドな、売りの分厚く複雑に交差する美しいコーラス(いつになく他メンバーがリードヴォーカルを披露している)は勿論、USAバンドらしからぬ叙情感タップリな美旋律、そしてキャッチーな歌メロも健在の、往年のアメリカン・プログレハード好きならば文句無く楽しめる非常に独創的でドラマチックな意欲作だ。

前作の続編と言う事で宗教色に文句を言うような輩は当然本作に手を出さぬだろうが、コンセプトが宗教色ドップリな事もあって生のストリングスを大胆に導入した如何にもCCM系音楽的な荘厳でドラマチックなシンフォニック・サウンドで隙無く本作はガッチリ構成されており、続編と言う事を意識してか前作『The Similitude Of A Dream 』で聞かれたメロディもさりげなく顔を出したりする遊び心もありつつ、YES、DREAM THEATER、STYX、SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTICを思い出させる要素を前作以上に巧みに組み合わせ、仄かにUK臭が香るダークなメロディが実に感傷的な、『大冒険』なるアルバムタイトルに相応しいダイナミックでメロディックなサウンドを迫力満点に展開していく。

また、個人的に嬉しい変化だったのが、前作で幾分か影を潜めたメタリックなサウンド要素が本作では再びクローズアップされ、とりわけリズム隊が前作以上に頑張っていて楽曲に強烈な起伏とメリハリ、そしてパワフルさを生み、それ以上に Eric Gilletteのギタープレイが大々的にフィーチャーされ、スリリングなソロパートやフィーリングタップリな叙情的なメロディ、そして攻めの邪悪なリフや物語を紡ぐような繊細なバッキングやアコースティックギターの涼やかな調べ等々、本作においては主役級の大活躍を見せており、人生において経験する葛藤や苦難、そして理想的なクリスチャンの姿へと近づいていくその過程を寓意した『THE PILGRIM'S PROGRESS』に創作インスピレーションを受けたのに相応しい、しっとり優雅な気品とウェットな情感がサウンドに漂っているだけでなく、多くの障害を克服し力強く前進しようとする人間の魂の高潔さ、そして神聖な導きに従おうとする魂の救済を描き出しているかのように感じられました(*´ω` *)

本作は二重コンセプト・アルバムで『The Similitude Of A Dream 』の続編いうコンセプトと、『Similitude』の主人公の息子、Josephを中心とした物語というコンセプトで構成されており、彼は父親の後を追うことを決心し、その過程で多くの困難に直面し、それでも進んでいく…と、いう前作の音楽とコンセプトテーマがシームレスに織り込まれた、音楽的にも叙情的にも豊かになった組曲形式のサウンドで、メインテーマである『不滅の愛』が切々と綴られていく、Neal Morseの世界観、宗教観を目一杯に味わうことができる快作と言えるだろう。

SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTIC、そしてUSAプロハード・ファンは勿論、CCM系と毛嫌いせずに Neal Morseが描き出すテクニカルでシンフォニックなピュアサウンドは、音楽ファンならが一度チェックしてみても損はありませんぜ。

ボーナスDVDには、レコーディングのメイキング映像を収録しているので、マニアはこのスペシャル盤を迷わず購入しましょう。



by malilion | 2019-02-01 13:56 | 音楽 | Trackback