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英国産プログレ・ポップバンドIT BITESの未発LIVE音源BOXがリリース!

c0072376_14013619.jpgIT BITES 「Live In London ~Deluxe 5CD BOX~」'18

英国産プログレ・ポップバンドの1st~3rd期にあたる、1986年、1988年、1990年のロンドンでの3公演を収録した、彼等の全盛期の様子を伝える初出LIVE音源が5枚組BOXセットにて自主盤(500セット限定!)ながらオフィシャルリリースされたので、遅ればせながらGET!

まぁ、音源自体は今はDLで労せず入手可能ですが、やはりプログレ好き者としては現物を入手せねばネ!('(゚∀゚∩

◆◆◆ 閑話休題 ◆◆◆

その昔、80年代の中頃にそのバンドは英国の4人の若きミュージシャン達によって結成され、シーンに姿を現した。

70年代に英国を中心に開花し全世界で全盛を誇ったプログレシヴ・ロックの勢いは、けれどニューウェーブとパンクの荒波によって瞬く前に消え失せ、メジャーレーベルはプログレを過去の遺物として見捨て、数々のビッグバンド達が姿を消していった後の事だ。

プログレは時代遅れ、と嘲られるテクニカル・ロック不毛の時代、それでもプログレ・ファンはまだ全世界に存在していて、大衆やメディアは『紛い物(ポンプ)のサウンド』と揶揄したが、80年代初期から短期間だけ勃興したネオ・プログレッシヴロック・ブームに乗って、インディ・シーンから次々現れるYESフォロワーやGENESISフォロワー達が奏でる古式ゆかしいサウンドに彼等は心慰められておりました。

何故なら、往年のプログレ・バンド群が80年代に入って再始動し新作を発表したものの、サウンドをガラリとポップに変えて蘇りビッグヒットを掌中にしたYES、強かにサウンドを変えたPINKF LOYD、メンバーをチェンジしHMへ接近したEL&P、別バンドへ変わり果てていたKING CRIMSON、なんの迷いも無くポップロックを披露しヒットチャートを賑わすGENESIS等々、かってのプログレ・ファンを熱狂させたサウンドは最早そこに無かったからです。

そんな最中、メジャーレーベルと契約し颯爽と登場したこの風変わりな名前の英国バンドは、プログレ・ファンがシーン復興を信じるに足る、耳を惹きつけ離さぬ楽曲の数々や素晴らしい演奏技術は、来たるべきプログレサウンドの未来を予感させる期待の新鋭でありました。

もっとも彼等の奏でるサウンドは、どこか根暗で、やたら長尺な演奏をひけらかす難解な、所謂古き良きロック・クラシックなプログレ・サウンドではなく、モダンでコンパクトが持て囃される華やかな80年代という時代にマッチし、ニューウェーブやUKポップスといった当時のメジャーシーンを賑わすメインストリームサウンドを十分に意識した、独特なポップセンスと高度なテクニックに裏打ちされたプログレ感覚とヒネリの効いたアレンジや曲展開で聴衆を魅了する、若者らしいフレッシュでモダンなセンスが活きる明るく軽やかなロックサウンドが身上の、全く過去に囚われぬ『新世代のプログレ』を提示していたのですが━━

本BOXは、Francis Dunnery(Vo&G)、John Beck(Key)、Dick Nolan(B)、Bob Dalton(Ds)のオリジナルメンバーによる、MARQUEE、ASTORIA、HAMMERSMITH ODEONのロンドンで行われた3つのギグの様子を約4時間タップリと収録した、紙ジャケ5枚組からなる貴重なLIVE音源だ。

既発アルバム3枚に加え、この時点で未発売で結局完成に至らなかったオリジナルメンバーによる4thの為に用意されていた楽曲(後に Francis Dunneryのソロに収録されたり)を、3曲収録している点はファンならずとも見逃せないだろう。

マネージメントはASIA、元YESの敏腕マネージャーとして知られる Brian Laneが行い、当初は『第2のASIA』としての売り込みが考えられていただけあって、スタジオ盤ではキャッチーでポップなサウンドで、コンパクトな楽曲を演奏していた印象が強い彼等だが、本作以外にも複数リリースされているLIVEアルバムを耳にした諸兄ならご存じの通り、LIVEではよりハードなタッチのロックサウンドを押し出したLIVEならではのラフさも魅力なスリリングでダイナミックな演奏を聞かせ、同時代のHRバンドに負けず劣らずの勢いと、プログレファンを魅了したコーラス、プレイ、全てが渾然一体となった一糸乱れぬアンサンブルで聴衆を掌握していた、当時の空気感と会場の熱気が伝わってくる良盤だ。

LIVE LIST

CD1:The Marquee:21st July 1986
CD2:The Astoria:13th May 1988 - Part 1
CD3:The Astoria:13th May 1988 - Part 2
CD4:The Hammersmith Odeon:7th April 1990 - Part 1
CD5:The Hammersmith Odeon:7th April 1990 - Part 2

また、90年4月の音源は Francis Dunnery脱退前の最後のUKミニツアー(4th制作の為ロサンジェルスでレコーディングに入るが、音楽性の相違から脱退するのは7月)からとなっている。

03年発掘LIVE盤『LIVE IN MONTREUX』にボーナス収録された『Once Around The World』を除き音源は全て初出となっており、マスターはメンバーの Bob Dalton監修に加え、当時バンドのLIVE Mixerを担当していた Tom Oliverの手による、自身所有のマスター・テープを元にしたリマスタリング音源を使用と最上音質(時代柄プチパチなノイズは聞こえるけど)なクオリティに加え、カラー12ページのブックレット封入と自主制作故の貧弱な装丁なんて事は無いので、Bootで同じ会場の音源を既に入手済み、というハードコアなファンにもお薦めな一品と言えよう。

ファーストアルバムからして既に新人離れした完成度と、ポップでコンパクトなモダンサウンドのその裡に、シーンから失われて久しいブリティッシュ・ロック感覚がしっかりと息づくハイクオリティなアルバムを引っさげてデビューした彼等が、82年結成90年解散と10年にも満たぬ短い活動期間ながら3枚の素晴らしいプログレシヴ・ロック・アルバムを“あのプログレ冬の時代”にメジャーシーンに遺してくれたのを本当に本当に感謝したい(*´ω` *)




結局シーンは蘇ることなく、無数に現れたインディバンド達は軒並み自主制作というアンダーグラウンドな活動へ移行し、サウンドの方もポンプからシンフォへと移り変わっていく事になるのだが…orz

バンドは06年に Francis Dunneryに代わって John Mitchellをフロントマンに据えて再結成し、今も活動を続けている。

もっとも、15年に John Beckが事故で右手と右腕を骨折して以来、活動休止中なのが残念だけど……

再び素晴らしい新作をひっさげて彼等がシーンへ戻ってくるのを期待したい。




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by malilion | 2018-11-17 13:53 | 音楽 | Trackback

USプログバンドGLASS HAMMERが、新基軸サウンドを引っさげて新譜をリリース!

c0072376_20191280.jpgGLASS HAMMER 「Chronomonaut」'18

現YESのヴォーカリスト、Jon Davisonが在籍していた元バンド、としてインディながら世界中から注目を受ける事となったUSシンフォ・バンド6人組が、25周年レアトラックス集アルバム、LIVE作を挟んで、スタジオ作としては前作『Valkyrie』'16 以来2年ぶりとなる17thをリリースしたので、ちょい遅れてGET。

前作が散々な出来だっただけに、本作に手を出すのは少々及び腰でありましたが、事前情報で彼等の作品の中でも、最も技巧的でキーボード・オリエンティドな作風とインディ・プログバンド丸出しなバランス無視のフォロワー感剥き出しで弾き倒し展開(この当時はオリジナリティは薄かったけど勢いハンパなかったなぁ…)を見せた初期の代表作4th『Chronometree』'00 の続編的コンセプト・アルバムとの事で、意を決して購入してみました。

デビュー以来メンバーの出入りが激しい彼等だが、本作制作メンツは Steve Babb(Bass、Keyboards、Lead & Backing Vocals)と Fred Schendel(Keyboards、Guitars、Backing Vocals)のバンド創設メンツはいつもの如く在籍し、14年『Ode To Echo』から加入した Aaron Raulston(Drums)と Susie Bogdanowicz(Lead vocals)も顔を揃えて本作にも引き続き参加しており、ここ数年のコアメンバーとしての地位を固めつつあるようだ。

で、現YESのヴォーカリスト Jon Davisonと長らく参加していたSALEM HILLの Carl Grovesに代わって本作から参加の男性ヴォーカル二人は、同郷USプログ・バンドで以前からバンドと交流があり、17年に新譜をリリースしたばかりなDISCIPLINEのリーダー Matthew Parmenter(Lead Vocals)とPatton Locke(Lead Vocals)なる新人ヴォーカリストによる男女3人のヴォーカリスト体制が構成されており、Matthew ParmenterはDISCIPLINEでキーボードやヴァイオリンをはじめ多種多様な楽器もプレイするマルチプレイヤーなのだが、本作に置いてはあくまでヴォーカリストという立ち位置で参加している模様だ。

まぁ、LIVEでは楽器をプレイするかもしれないが、本隊バンドDISCIPLINEとの兼ね合いもあるし、アルバムでのプレイは Steve Babbと Fred Schendelに任せているのだろう。

そして、長らくギタリストであった Alan Shikohの名は無く、本作にはパーマネントなギタリストは在籍せず、ゲスト・ギタリストがそれぞれの楽曲でプレイしているなどバンドメンツが常から流動的な彼等だが、その彼等がこれだけ拘ってヴォーカリストを3人揃え続けると言う事は、トリプル・ヴォーカルはGLASS HAMMERの定番バンド・フォーマットであり、オリジナリティある編成と Steve Babbと Fred Schendelが考えていると見て間違いない。

今となってはゴス系のみならず、ロックオペラ系のプロジェクトをはじめメロデス・バンドでさえ男女3人ヴォーカルな構成が多々見られるので、ズバ抜けて個性的な編成とも言えないのだが、確かにプログレ系に限っては3人もフロントマンがいるバンドは少ないでしょうね…なにせ、元からヴォーカルの活躍する場が少ない音楽形態だし…(汗

さて、本作の内容についてだが、00年リリースのSFチックで冗談めいたコンセプト作『Chronometree』の続編作らしく、エイリアンとコンタクトしていた若いプログレ・ファンだったトムが大人になった想定で、自身が率いるプログレ・バンドThe Elf Kingでの1980年代の成功に苦しみ、70年代のプログレ黄金期へ戻り、そして姿を消す…という、70年代のプログレシッヴ・ロックをリスペクトしつつ織り成す『究極のプログレ・ファン』のファンタジックな物語が綴られたコンセプト作だ。

続編と言っても『Chronometree』は殆どキーボードメインのインスト作のような造りで、ヴォーカルは完全に脇役だったのでアルバムを聴く前からアルバム構成や印象は全く違っているだろうと予想していたが、予想通り男女三声の分厚いヴォーカルをメインに、バンド初となるトランペットやトロンボーンなどホーン・セクション、リード管楽器を大々的にフィーチャーした『なんか初期CHICAGOっぽくね!?』という分厚いサウンドがある意味で新鮮な音像で、従来作と比べると大幅に控え目になったオーケストレーション、そして派手目なブラス・パート、そこへブルース、プログレッシヴロック、デジタルサウンド、アンビエント等の多様な音楽要素を組み合わせ、YESを筆頭に、GENESIS、VDGG、KING CRIMSON、PINK FLOYD、GENTLE GIANT、TANGERINE DREAM等の70年代プログレッシヴ・ロックバンドへのトリビュートを感じさせる、壮大で重厚、旋律的で叙情的な“これぞプログレ”と言わんばかりに複雑なアレンジと構成から成る楽曲が詰め込まれた野心的な冒険心剥き出しの意欲的アルバムとなっている。

『Chronometree』の続編作ながら、時間的間隔も開いたし、バンド自体もその間に進化したり、今やメンツも方向性も全く違っているので当然ながら、GLASS HAMMERお得意のYES+EL&Pというような派手でスピーデイ、そして畳みかける疾走感ある、如何にもUSAプログレと言わんばかりなパワー・サウンドを叩きつける豪快な勢いは最早どこにも感じられず、幾分マッタリ気味なテンポとサウンドが、初期作に比べ本当に聞き易くなったモダンなアレンジを施された、70年代プログレッシヴ・ロックバンド群を思わすサウンド(プログレ・ファンならニヤリとしちゃう)ピースを組み込んだ楽曲が、シットリと、そして艶やかに展開していく。

注意深く耳を傾けると実際はかなりのキーボードパートが聞こえるのだが、ちょっと聞きでは今までで一番キーボードの活躍する場面が少ないように聞こえ、本作はGLASS HAMMER始まって以来となる非常に独特な作風のアルバムと言えるだろう。

前作のとっ散らかった纏まりない作風を思えば、本作は余程マシで良い出来なアルバムと言えるけれども、GLASS HAMMERファンが期待していたUSAプログ作かと言うと、ちょっと疑問は残りますね……なんかJAZZロックっぽく聞こえるんで、そこをどう捉えるかで評価が別れるかも…

また Susie Bogdanowicz嬢の可憐な歌声、そして注目の Matthew Parmenterのリード・ヴォーカルパート全てに言えるのだが、やはり歌メロのアレンジや質はイマサンな上に、 折角の三声ヴォーカルの分厚いハーモニーのハモり具合も今一つというガッカリな仕上がりにゲンナリな気持ちを隠せず、 Steve Babbと Fred Schendel両氏は余程ヴォーカルパートに馴染みがないのか、フックある耳に残る歌メロを考えられないのか、バックのサウンドの質が上がってモダンなアレンジのポピュラー音楽に近い音像へ接近すればする程に、大きなマイナスポイント(USプログレハード・バンドはコーラス綺麗で上手いバンド昔から多いので余計に…)として浮き上がってアルバムの完成度を著しく貶めているので、今後よりメジャーな展開をバンドは目指しているのだろうし、そうであるならば早急にその点は改善すべきだろう。

複数ゲスト参加しているギタリストの中でも注目なのは、カナダのRUSHフォロワーなプログHMバンドTILESの中心人物で、DISCIPLINEへは17年作から参加した Chris Herinが2曲でその見事なプレイを披露しており、間違いなくバンドメイトの Matthew Parmenterの紹介によるものだろう。


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by malilion | 2018-11-14 20:11 | 音楽 | Trackback

北欧のSKID ROWなDAYNAZTYが、一気にモダン・デジタリー・ポップサウンドへ急接近な新譜をリリース!

c0072376_18090751.jpgDAYNAZTY 「Firesign」'18

北欧スウェーデン産ツインギターの5人組ツインギターHMバンドが約2年半ぶりに6thをリリースしたので、おっかなビックリしつつ即GET!

北欧のSKID ROWとでも言うような、LAメタル的華やかなアメリカンHMと北欧HM要素をMIXしたキャッチーでメロディアスなサウンドが身上の音楽性でデビューした彼等だったが、前々作で昨今の新人バンドが陥り易いモダン・ダークネス病とでも言うような鈍色USサウンドへ急接近し、持ち前の華やかだったサウンドをスポイルさせガッカリさせ、前作でいくぶん初期風なメロディアスさが戻って安心させてくれ、続く本作でどういった変化が見えるのかと興味津々だった訳ですが、今度はヘヴィな方向と真逆な方向へ進んだ模様でこれには少々驚かれました。

より北欧HM的な爽快感あるサウンド要素が強まり、さらに一時期ザクザクした疾走するソリッドでメタリックなギターリフがモダンヘヴィネスを強力に主張するサウンドへ傾倒していたにも関わらず、本作では一気にベーシスト Jonathan Olssonが奏でるキーボードサウンドの比重がググッと増え、華やかさが増すのと同時にサウンドが全体的に軽やかになって、メロハー的サウンドと言うよりもさらにポピュラリティが高い普遍的ロックサウンドへ接近するとは完全に予想外。

この方向性の急激な変化は、恐らくフロントマンの Nils Molinが17年に同郷のメロディック・デスメタル・バンド、男女3人のスクリーム・ヴォーカリスト、クリーン・ヴォーカリストを擁するモダンなエレクトロコア・スタイルが特徴的なAMARANTHEへ電撃加入した事が大きく影響しただろう事は想像に難くありません。

DAYNAZTYでは刺身のツマ状態だったキーボードのみならず、他にもSEや電子楽器やコンピューター処理したサウンドを積極的にバンドサウンドに取り込んでいるAMARANTHEでの活動を経験し、そしてDAYNAZTYより知名度がありHMファンから支持されているのを間近で見て、それらの要素をDAYNAZTYへ Nils Molinが逆に持ち込み、DAYNAZTYをよりメジャーな存在へ近づけんと画策したのは間違いないだろうし、それに加えて14年リリースの4thアルバム『Renatus』より加入した Jonathan Olssonがバンドに馴染んで作曲への貢献度が上がったか、発言力が増したかでキーボードサウンド増加へ繋がった(クレジットを見る限り、Jonathan Olsson主導の作曲ではないけど…)一因、という事もあるのかも?

ともかく昔から北欧HMはキラキラしたキーボードをフィーチャーしたサウンドが大の得意なバンドが多かったわけだし、DAYNAZTYの面々も恐らくそうした身近なサウンドを耳にして育ちミュージシャンになった訳だろうから、本作のようにキーボードがフィーチャーされた北欧HM的テイストが多々感じられるサウンドへ接近してもなんら不思議もなく、元々華やかなLAメタル的なサウンドをバンドサウンドの基軸にしていた彼等のサウンドにマッチするのも当然と言えば当然なのだろう。

さらにAMARANTHEでの活動の影響なのか、今まであまり聴かれなかったミステリアスでファンタジックな感触の歌メロや楽曲メロディ、ゴス系なダークで分厚いコーラスを多用するなど新要素の数々が本作で垣間見え、思いの外に Nils Molinは色々なモノをDAYNAZTYへ持ち込んできたのだなぁ、という印象が楽曲の端々で感じられました。

本作に至っては、初期のSKID ROW的なアメリカンHM的感触は薄れ、元々ユーロ圏のバンドなので当然だが、よりウェットでメロディアスなサウンドへバンドサウンドが傾倒しているのがハッキリ分かる楽曲で本作は構成されていて、そうなると必然的に派手でトリッキーなリフやテクを見せつけていた Love Magnussonと Mikael Laverの奏でるアメリカン寄りなソリッドなギタープレイも、より北欧HM的でメロディアスなフィーリングに特化し、さらにデジタリーでモダンなキーボード・サウンドにもマッチした、流暢な早弾きや憂いを湛えた泣きのフレージングなんぞも顔をだす美旋律プレイとサウンドへ変化し、北欧HM大好物な自分的には嬉しい変化ではありますが、初期のカラっとしたサウンドとザクザクギターを刻んで弾けんばかりに突っ走る80年代風アメリカンHMテイストを好んでいたファンにはちょっとガッカリな方向への進化と言えるかもしれない。

現代的モダンサウンドの感触が強まっている本作のサウンドは、所謂マイナー臭が強く繊細で美旋律の質は高いけれどパワーとモダン性が著しく劣る日本で根強い人気を誇る80年代風北欧HM的な感触は薄く、先に述べたようによりポピュラリティの高い普遍的なロックサウンドに近づいていて、特にデジタリーなキーボードサウンドが好みでないメタルヘッドな諸兄には、キーボード主導による売れ線的なアプローチの所々が気に触るだろう事は簡単に予想でき、より幅広いリスナーをファンに獲得出来る代わりにダイハードなメタルファンからの支持を失う危険性の高いリスクある勝負作で挑んできた、短期間でかなりサウンドの幅を拡げ貪欲に多種多用な音楽性を恐れることなく取り込んで自らの血肉にし続ける北欧期待の新鋭である彼等が、次作で一体どういう方向へ発展するのか今から目が離せません。

なんだかんだで同時期にデビューした同じ新人バンド達とは一味違う、バッドボーイズ系でも80年代アメリカンHMリバイバラーでもない独自の道を模索し、唯一無二のサウンドを確立しつつあるような彼等の、この先の活動に期待大なのであります(*´ω` *)

しかし、最近は複数のバンドをフロントマンが掛け持ちするのが当たり前になったりしてて驚かされますねぇ…ヴォーカリストって言ったら、バンドの顔とも言える存在なのに、どちらもインディ・レーベル所属ながらメジャー・シーンで精力的に活動するバンドを掛け持ちとは…時代が変わったんですねぇ…(シミジミ

と言うか、同時期にAMARANTHEも新譜をリリースとか、DAYNAZTYの活動との兼ね合いはどうするつもりなんだろうか?(汗

体力的にもかなりタフな状況(AMARANTHEのヴォーカルは分担だから負担は軽い、と踏んだのかも?)になるでしょうし、Nils Molin脱退なんていう最悪の事態が起こらなければいいんですけど…




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by malilion | 2018-11-12 18:02 | 音楽 | Trackback

往年の名曲に迫る良曲満載な新譜を英国HR老舗バンドURIAH HEEPが新譜リリース!

c0072376_12492218.jpgURIAH HEEP 「Living The Dream」'18

LED ZEPPELIN、BLACK SABBATH、DEEP PURPLEと並び称される70年代英国クラシックロックのアイコンが、14年の『Outsider』以来4年ぶり通算25作目となる新譜をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

もはや説明不要なブリティッシュHRのパイオニア、リーダーにして唯一のオリジナルメンバー Mick Box(G:なんと71歳!)率いるURIAH HEEPは、来年19年には結成50周年を迎える、正にブリティッシュHRの生き字引と言っても過言ではない存在だ。

70年代に全盛期だった同期のバンド達が解散を迎えたり、活動を停滞させたり、当初の路線とは別方向へ進んで別バンド化してしまったりしている中、80年代初期に短期間だけ彼等も活動休止状態であったが、それ以降は絶えず世界中を巡って幅広い年齢層のファンの前で変わらぬ癖の強い独特なヘヴィサウンドを披露し続けている、未だ現役バリバリのHRバンドなのが実に素晴らしい('(゚∀゚∩

計らずも前作でリズム隊が若返る事になり、以前にも増してパワフルでソリッド、そしてフレッシュにリビルドされたHRサウンドを披露した訳だが、本作では THE WINERY DOGS、STONE SOUR、ANTHRAX、STEEL PANTHER、Paul Gilbert、そしてEUROPE等の話題のバンドを近年手がけている著名なカナダ人エンジニア Jay Rustonをミックス&プロデューサーに迎え、アルバムリリースに先駆け公開されたリーダートラック"Grazed By Heaven"は、前作から新加入したベーシスト Dave Rimmerと TALISMANやW.E.T.、そして Yngwie J,Malmsteen等の仕事でメロハー・ファンにお馴染みな Jeff Scott Sotoとのコラボレーションによる新曲(Dave Rimmerの曲、これ1曲なのが悲しい…)で、それらの情報だけでもアルバムの音を耳にする前からいつになく"攻め"な印象で期待させてくれたが、本作の素晴らしいサウンドを耳にした方ならばその期待は決して裏切られなかったと分かってもらえるだろう。

過去50年間、バンドは幾度となくメンバーを変えて新しい血を導入し、さまざまな流行の波と時代の変化を乗り越え、決して順風満帆と言えぬ活動歴の中で幾度となくサウンドのカラーや方向性を微修正しつつ強かに生き残って来た彼等の楽曲に、ワウ・ペダルを使った Mick Boxのメロディアスで粘っこい独特なギターと重厚なサウンドを刻みまくる Ken Hensleyのワイルドなハモンド・オルガン、そこへ絡む裏声の分厚いバッキング・コーラスという、70年代に確立した唯一無二のHEEPサウンドは未だにバッチリとトレードマークとして息づき、一聴しただけでURIAH HEEPと分かる典型的な特性として、昨今デビューした新人バンドのモダンでスピィーディーでテクニカルなHRサウンドを寄せ付けぬ孤高を保っているのが実に頼もしいのです(*´ω` *)

ブリティッシュHR黎明期に生み出された70年代クラシック・トラックが素晴らしければ素晴らしい程に懐メロ・バンドに成り下がるリスクが高まるのがベテランバンドの避けられぬ性ですが、往年の名曲と比べても遜色ないスリリングでキャッチーな新曲と、LIVEに継ぐLIVEで鍛え磨き上げられたタイトでソリッドな演奏能力と“今”を感じさせるベテラン英国バンドらしい気品あるモダン・サウンド、さらにリズム隊が若返って手に入れたパワフルさを十二分に活かした疾走感が前作以上に全曲に渡って漲っており、いつの間にやら歴代最長となり名実共にHEEPの"顔"と成った現ヴォーカリスト Bernie Shawの衰える事ない伸びやか且つパワフルな歌声もフレッシュ感あふれるサウンドの中で一層に輝きを増して実に素晴らしく、そんな懐メロ・バンド定説がHEEPに通用せぬのは前作を上回る傑作HRアルバムな本作を聴いた誰もが納得するに違い無い。

全編に渡って往年の名曲の雰囲気を持ったヴィンテージ感がありつつモダンなヘヴィ・サウンドとトレードマークの重厚なコーラスがフィーチャーされ、今まで以上に"HEEPらしいHEEPサウンド"なのに新しい感触を伴った極上の品質に仕上げれているのは、Mick Box曰く『HEEPに新鮮なアプローチをもたらした』と絶賛される Jay Rustonのプロデュース能力と手腕なのは間違いないだろう。

また、新人メンバーを迎えた事で『HEEPサウンドというものはこういう特徴だ』という客観的な視点を得て、そのインプットを受け入れた楽曲創作を経た事で、旧来のメンバーの意識から薄れがちな感覚をより強くHEEPサウンドへと向けさせた結果の、本作における往年の70年代を強く意識した、初期のプログレッシヴ・ロックのテイストも貪欲に取り入れていた頃の幻想的で、そしてフォーク・アコースティックな雰囲気もあるエレガントさも漂う、強烈で濃厚なブリティッシュ・ヘヴィサウンドではないだろうか?

HEEPファンなら当然迷わず即買い、70年代HRファンも勿論見逃せぬ一作であり、メロディアス・ロック好きな方も必ずチェックせねば後悔する注目作でありますので騙されたと思って宜しく御購入下さい。

なお、本作はCD(日本先行発売は紙ジャケ・ヴァージョンでボーナストラックは2曲追加)以外の発売形態で、CD+DVD・ヴァージョン、Deluxe Edition(ボーナストラック1曲追加のCD、DVD、LP)、Limited Box Set Edition(Deluxe Edition+オリジナルTシャツ)、スタンダード・ブラックワックス(アナログLP)盤、米国独占販売のブルー・ワックス盤、Frontiers EU Shop販売版のクリスタル・ワックス盤など数種リリースされる予定となっており、各種のフォーマットのみの音源が挿入されているのかは現時点で不明でありまして、正にコレクターズ泣かせな一品であります(つд`)


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by malilion | 2018-11-10 12:41 | 音楽 | Trackback

USポップメタルDANGER DANGERの Ted Poleyと北欧ハイブリッドHRバンドDEGREEDがドッキングして新バンドMODERN ART作をリリース!

c0072376_18085364.jpgMODERN ART featuring TED POLEY 「Same」'18

DANGER DANGERへ04年に出戻ったフロントマンの Ted Poleyが、北欧スウェーデン新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDと組んだ新プロジェクト・バンドによるデビュー作がリリースされたので即GET!

そもそもが Ted Poleyがソロアルバムを制作しようとした所が本作の出発点(アルバムジャケが全てを物語ってる)なので、本来ならDEGREEDのメンツはソロアルバム制作時のバックバンドという地味な裏方的扱いであるべきなのだが、DEGREEDの創作貢献に対する敬意とそのミュージシャンシップや演奏スキルに惚れ込んだ Ted Poleyが本作をバンド作として捉え、改めて対外的にアナウンスした結果の新バンドとしてのタイトルと言う事だ。

DANGER DANGER脱退の後、ソロ・キャリアやTRIXTERのギタリスト Steve BrownとのプロジェクトバンドTOKYO MOTOR FISTなどで精力的な活動を行っていた訳だが、そんな中でテクニカルでモダンなプレイが身上の新世代北欧HRバンドの有望株DEGREEDのハイセンスなプレイを気に入り、挙げ句にバンドにまでしてしまったのは、Ted PoleyがDANGER DANGER加入前はUSプログレHMバンドPROPHETでドラマー(有名な話だけど、今の若いリスナーは知らないかも…)だったのも大いに関係しているのだろう。

大抵、ヴォーカリストって奴はインストパートを延々と演奏するプログレ系のバンドサウンドや、そういった本来バンドの顔であり主役であるヴォーカリストの立場を蔑ろにしかねない音楽形態を当然と言えば当然ですけど好まぬ傾向にありますからね。

逆にプログレ系は、定番の変拍子だったりでドラマーのテクニカルなプレイが重要視されますし腕前の見せ所なので、そういった Ted Poleyのミュージシャンとしてのバックグラウンドも大いに関係して、優秀なバックミュージシャン達(そして、恐らく無名で制作コスト的にも割安な)の手によるソロ制作という Ted Poleyの望む環境と、17年に待望の4thをリリースし、プレイヤースキル的にもアルバムの出来的にも問題なく、あと1つ足りないのはメジャーな知名度だけ、というDEGREED側の要求を満たすWINーWINな関係が築かれたのだろう。

で、内容の方ですが、Ted Poleyのソロ作が出発点なので当然ですが、ヴォーカルがメインでクローズアップされたサウンド形態で、DEGREEDの派手なインタープレイやテクニカルなプレイは控え目で目立たない、彼等の持つモダンなセンスやそつないプレイスキル、またコンポーズ能力の方がクロースアップされた造りになっているアルバムと言えましょう。

キャッチーでフック満載な溌剌ポップサウンドが売りのDANGER DANGERフロントマン Ted Poleyのソロ作に求められる“売れ線要素”は当然満たしつつ、DANGER DANGERでは聞けぬモダンでAORにも通じるコンパクトに纏め上げられたハイソで洒落た楽曲の数々は基本的にアメリカンポップス路線なのですが、そこへDEGREEDからのインプットであろう北欧的なウェットなメロディや、楽曲の根底に流れる優美さ、終始艶やかで繊細さを感じるモダン・サウンドなど聞き所は満載で、もしアメリカ人ミュージシャンの有名所を集めて制作されていたならば、恐らくさらにキャッチーでもっと明るくカラっとした爽快感ばかり耳につくドライサウンドになっていただろうアルバムにユーロ圏独特のシットリした質感と北欧HR特有の清涼感を与え、Ted Poleyの関わった作品カタログの中でも大きく趣の異なる、その他のソロ作とも差別化されたサウンドのアルバムを残した点は大いに注目されるべきポイントと言えるのではないでしょうか?

DANGER DANGERのフロントマン Ted Poley、という点に惹かれて本作を購入したファンにとっては、イマイチUSメタル的な溌剌さやドポップな感触が足りない大人びたサウンドと捉えられ不満に思われてしまうかもしれませんが、さすがに彼もデビュー当時のバブリーなご時世の若者って訳でも歳でももうありませんので、こういった落ち着いてリラックスした音楽を演る歳に相応しいミュージシャンに成ったんだと納得して戴く他ありませんね…

私のような Ted Poleyのソロ作というだけなら決して本作は購入検討にならなかっただろうDEGREEDファンにとっては、DEGREEDの新たな魅力やスキルを確認出来る、彼等のこれまでリリースしてきたオリジナルアルバムとは一味違った大人向けなサウンドの、高品質なハードポップ&AOR作と捉え楽しめる一作と言えましょう。

幾分、整合感やAOR的な完成度に重きを置いたからなのか Ted PoleyがDANGER DANGER等やこれまでとは違った魅力を見せようと意識したからなのか、楽曲のセンスの良さやエレガンドな上品さ、そしてコンパクトさとは裏腹に、分かりやすいキャッチーさやUSAロック的なフックに欠けるきらいのあるサウンドに思え、DANGER DANGERのようなサウンドを求める向きには少々厳しいサウンドといった印象なのが本作への偽らざる感想ですね。

Ted Poleyには本体バンドのDANGER DANGERや Steve BrownとのTOKYO MOTOR FIST、そして自身のソロ活動もあるわけで、実際本作の完成までに3年を費やしたと言う事だし、続くMODERN ARTの新作が果たしてリリースされるのか甚だ疑問ではありますが、もし次作があるならばもっとDEGREEDに楽曲制作のイニシアチブを譲った純然たるバンド作としてのサウンドを聴かせて欲しいものであります。



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by malilion | 2018-11-08 18:03 | 音楽 | Trackback

活動半世紀! 遂に訪れた看板ヴォーカリスト交代後、初となるアルバムをNAZARETHがリリース!

c0072376_19363703.jpgNAZARETH 「Tatooed On My Brain」'18

前作『Rock‘N'Roll Telephone』から4年ぶりの新作であり、NAZARETHを唯一無二の存在たらしめているバンドの顔であり声であるオリジナル・シンガーで看板ヴォーカリストだった Dan McCaffertyから新ヴォーカリストへチェンジして初のアルバムをGETしたのでご紹介。

1968年結成から今年で活動50年(!)という長い長いキャリアを誇る70年代英国HRバンドの生き残りである彼等、既にオリジナルメンツはベーシスト Pete Agnewのみで、現在はドラマーも息子 Lee Agnewが務めており数年前からバンドは実質Agnew一家が仕切っていた状況だったが、遂に前作をもって看板ヴォーカリスト Dan McCaffertyが健康上の問題の為に正式に13年に脱退となり、新フロントマンに Linton Osbomeを迎え活動を継続させていた彼らだが、15年からフロントマンがチェンジするという早々に暗雲が立ち込めるような出来事があったものの、現在は Carl Sentanceが三代目ヴォーカリストとして迎えられ、その新体制4人組によって本作は制作されている。

音楽性は基本的にデビュー当時からAC/DC張りに殆ど変わりなく、ブギー中心のロックンロール・サウンドが身上の彼等だから、半世紀を超えた活動故に今さらさしたる変化(途中、産業ロックやAORへ色気見せたり、華やかでバブリーな80年代HMへ色気も見せたけど…)もないだろうと予想はしつつも、どうしたってフロントマンの交代というこれまでで最大のサウンド変革が訪れるであろう本作には、ファンならずとも興味がある音楽ファンは多いのではないだろうか?

かく言う私も、果たしてあのイブシ銀なNAZARETHのサウンドがどう変化したのか、はたまた変化しなかったのか、を楽しむ為に、先行公開されていた音源を一切耳にせず本作を購入した次第であります。

Dan McCafferty在籍時は、彼の決して耳障り良いとは言い難い独特なシャガレ声と音域の問題もあって、そうそう幅広い音楽性へバンドサウンドが変化する事が出来無かった故の不変のサウンドでもあっただけに、その看板と表裏一体で足枷ともなっていた“声”が変わる訳だから、もしかしたら今までしたくても出来無かった冒険を挑んでくるかも、とか想像してワクワクしてたんですよね(w

一聴して感じたのは、ああ、やっぱり音域が広いヴォーカルをチョイスしたんだな、と言う事。

当然、今まで楽曲の展開や幅が狭められていた弱点を、新フロントマンを得るチャンスで補おうと、 AC/DCも同様のフロントマン交代があったけれど、それとは正反対な Dan McCafferty系等のシャガレ声ではなく比較的ハイトーンを聴かせるヴォーカリストを選択した訳ね、と。

まぁ、Dan McCafferty系のヴォーカルを選んだらどうしたって比べられるし、それでなくてもどうせ比べられるんだから、だったらハナから別系等の歌声を持つフロントマンにしよう、という考えは理解出来ますし、建設的で前向きですよね。

で、内容の方ですが、定番のブリティッシュ・ブルーズHRをはじめ、シャッフル調ブギーだったり、活きのいいロックンロールだったり、枯れた味わいのあるブルーズ調バラードだったりと、おおよその予想通りなシンプルで渋いストレートなロックサウンドという方向性なものの、甲高いハイトーンを聴かせるヴォーカリストへの変化と、比較的甘めな声質の特徴を活かしてか、近年希に見る程にポップフィーリングが強く、総じてアルバム全体が明るく朗らかで若々しいイメージで染め上げられており、前作までのイブシ銀な枯れた味わいと、お爺ちゃんバンドならではの哀愁と翳りみたいなものが滲み出ていた渋い渋いサウンドがお好みであったファンは少々面食らうかもしれません。

まぁ、バンドメンツの平均年齢もググンと下がって、殆ど別バンド状態になった訳だし、さすがに70年代UKロッカーの生き残り Dan McCaffertyと同じ渋さを要求されても叶えられるはずもない、って事で、一気にサウンドを若返らせたんでしょうけどね。

それにポップな変化についても、一度80年代にバンドメンツを大幅に増やしてキーボードやコーラス等を補強し、産業ロックへ大幅に傾いたドポップでシャレオツなアルバムをリリースして初期音楽性を捨て去る暴挙に出た事もある彼等なので、古参ファンほどダメージはそれ程ないかも…(汗

とは言え、ユニットが若返った見返りにバンド最大の武器を失い、他バンドとの差別化はアルバムの音だけからはしにくくなったのは確かで、こうなると現状NAZARETHなんだけどNAZARETHじゃない、というような微妙な気分にファンはならざるおえない訳で、こればっかりは時間しか解決してくれぬとは言え、やはり新フロントマンを迎えた今の編成で一刻も早くヒット曲なり新たなバンドの顔となる代表曲が出てこないと、懐メロを歌う良く似たカヴァーバンド状態なのを払拭出来無いだろうと思いますね、個人的には。やっぱり。

心機一転作であり、重要な勝負作である事はバンドも重々承知しているだろうに、無駄な気負いが一切感じられぬこれまで通りなリラックスしきった飄々とした作風が如何にもベテランの貫禄を感じさせ、彼等らしいと言えば彼等らしいのがファンには嬉しいんですけどね(w

今しばらくは Dan McCaffertyのガサついてベシャっとツブれたあの独特の声がチラつくでしょうが、総じてポテンシャルも高くしっかりキャッチーに纏めつつコンパクトな仕上がりの、これまでのオリジナリティであるイブシ銀なNAZARETH流ブルーズHRサウンドもしっかり感じさせるこの新機軸サウンドで、どこまでも邁進して欲しいですね。



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by malilion | 2018-11-07 19:30 | 音楽 | Trackback

80年代風USAプログハード・サウンドが絶品だったEVERSHIPが、メンツも新たに新譜をリリース!!

c0072376_15274731.jpgEVERSHIP 「Evership II」'18

ヴァイオリン入りUSA産デュオ・プロジェクトバンドが5人組ツインギター体制になって、2年ぶりに2ndをリリースしたのを即GET!

デビュー作はヴァイオリンが導入された如何にも80年代風USAプログハードなサウンドが絶品だったデュオ・プロジェクトだったが、本作では作曲家、マルチミュージシャンでありプロデューサー&エンジニアでもある Shane Atkinsonの操るシンセ、オルガン、メロトロン系等のヴィンテージ感ある多彩なキーボードサウンドを前作同様に主軸にしつつ、ツインギターでサウンドにハードエッジを生み、時にアコギ、スライド、クラッシックギターと、繊細で艶やか、土埃舞う乾いた感触といった演出を様々に加え、TRIUMPHの Rik Emmettっぽい透明感ある歌声で抜群の歌唱力なヴォーカリスト Beau Westがキャッチーな歌メロを歌い上げる、という隙無いバンドサウンドへ進化している。

前作にも参加していたギタリストの James Atkinson(Shane Atkinsonの弟)を除き他のメンバーを一新し、新たに John Roseなるギタリストをもう一人追加した新体制になって初のアルバムだが、前作同様にドラマーはおらずリーダーの Shane Atkinsonがドラムスを担当(セッションドラマーも制作には参加)しての制作となっており、恐らくLIVE時のみ助っ人ドラマーを呼んで活動を行うスタンスなのだろう。

また、ツインギター体制になった為か、前作で美しく艶やかな音色を聴かせアルバムの魅力を増す貢献をしていたヴァイオリン奏者 Nicelle Priebeの名がアルバムに無いのが個人的に非常に残念ではあるが、本作では各曲のバックにナッシュビル交響楽団の団員らによるオーケストラ・ストリングスパートが前作以上にタップリとフィーチャーされ、重厚で艶やか、幻想的で壮大、そして哀愁漂うスペイシーでメロディアスなシンフォニック・サウンドの様々な場面をドラマチックにこれでもか、と前作以上に盛り上げているので、デビュー作の艶やかなサウンドが気に入っていた方の期待を決して裏切る事ない渾身の力作なので安心して欲しい。

前作同様に、YES、GENESIS、QUEEN、KANSAS、Jimmy Hotzの影響を前面に押し出した、USA産バンドのサウンドと思えぬリリカルさとウェット感あるメロディに加え、壮大なスケールを演出する80年代初期USAプログレ風スペイシーな感触(堪らん!)と、ツインギターによるHRらしいハードエッジな感触、さらにUSA産バンドらしい爽快感とパワフルさが徹頭徹尾アルバムを貫いている点も見事の一言。

長らく音楽業界の裏方として仕事をこなし、遂に意を決して活動を始めた、本人曰く“心からプレイしたい音楽”と言うだけあって、KANSAS張りな繊細なメロディの絡みと美旋律、そして圧巻の展開を見せる凝ったアレンジの施されたドラマチックで叙情感ある楽曲の完成度に Shane Atkinsonの並々ならぬ情熱と、夢を追いかける男の純粋さと一途なロマンチックさを感じますねぇ~(*´ω` *)

勿論、狙っての事なのだろうが、Shane Atkinsonの操るヴィンテージ感満載なキーボードの音色といい、古典的なスペイシー・フレーズといい、ファンタジックな楽曲展開といい、プログレチックなのにしっかりポップでキャッチーという、どうにもノスタルジックな心をくすぐりまくる80年代USAプログレ・ハード愛好家には堪らんサウンドなんですよねぇ、ホント♪

この手のキーボーディスト主導なバンドにありがちなキーボードで音の壁を構築して壮大なスケール感を演出するのではなく、しっとりとしたアコースティックな感触や繊細にギターを爪弾く音色、そして各パートの紡ぐ音と音の隙間も活かされた、商業的なポップなキャッチーさと芸術的な美しさや独創性との折衷案と言える、所謂80年代中期風USAプログハードな柔和なオーケストレーション・サウンドが実に素晴らしく、時代が時代なら間違いなくメジャー級な扱いだったろうバンドサウンドなだけに、自主制作に甘んじている今の状況が不憫でならない…

意外にキーボードの鳴っていないパートも長尺で多く、楽曲によってはギターメインなパートばかり聞こえ、加えて Beau Westがキャッチーでフックある歌メロを歌い上げるパートなどはポップスそのもので、それが本作の重厚なサウンドにおける“押し引き”のメリハリを一層に強め、叙事詩に印象的な陰影を産みだす効果をもたらしているのは確実だろう。

いやー、それにしてもホントに Beau Westは抜群に歌が上手いですねぇ♪

少しも物マネやリバイバルというサウンドではないのだけれど、イメージはまんま、80年代中期USAインディ・プログバンドに Rik Emmettが飛び入りしてKANSAS風プログ・ハードを奏ってる風ですわぁ~(*´ω` *)

本作は方向性の変化故か前作よりコンパクトさという点では少々劣るものの、代わりに前作では聞けなかった28分越えとなる一大組曲が収録されるなど、荘厳なシンフォニックサウンド、壮大なサウンドの奥行きという点では断然上回っている一作で、USAプログハード作はユーロモノと比べて重厚さや艶やかさが足りない、騒々しくて軽薄なポップさやバカっぽさが気に入らない、というインテリジェンスなユーロ・シンフォ好きな方にも訴求する一作だと思う。

まぁ、と言ってもどう聞いてもユーロ・シンフォのような仄暗い情念のような後ろ向きな感情は感じられぬ本作に対して、USAプログ・ハードのパワー圧しな所や、ポップさや爽快感に傾いてる、秘めやかさや仄暗い美しさの漂う芸術性の香るサウンドが聞けない、等々のユーロ・シンフォ好きな方の不満な気持ちも分かりますけどね…

話は変わって、なんでも既にアルバム4枚分の楽曲ストックがあるそうで、もうこれは次なる新作が楽しみでしょうがないですね!('(゚∀゚∩

80年代アメリカン・プログレ好きは勿論のこと、メロトロン、シンセにオルガンが唸りを上げるシンフォニックにしてHR的なパワーも十分感じさせるプログレHMにも通じるサウンドは、その筋を好む方には間違いなくドストライクな一枚なのは確実ですので、何はともあれチェックしてみて下さい!



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by malilion | 2018-11-06 15:18 | 音楽 | Trackback

スケールアップして戻ってきたルクセンブルク大公国のシンフォバンドLIGHT DAMAGEが新譜をリリース!

c0072376_00463781.jpgLIGHT DAMAGE 「Numbers」'18

今は亡きポンプ系バンド NO NAMEでお馴染み(?)な欧州の中心地、ルクセンブルク大公国からデビューしたキーボード入り五人組シンフォ・バンドの待望の新作が4年ぶりにリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

ギタリスト Stephane Lecocqと共にバンドを創設したメンバーであるドラマー Thibaut Grappinのみを Christophe Szczyrkへチェンジしての本作だが、その変化の程はアルバムの音を耳にする前から、随分とモダンなデザインになったジャケットからある程度は伺える2ndアルバムだ。

2014年末に自主制作リリースされ、15年にドイツ・レーベル『Progressive Promotion Records』の手で再リリースされたデビュー作は、バランス重視な古典的プログレとポンプをMIXさせた優等生シンフォ・サウンドでバンドの独自性やサウンドの個性が薄い印象だったが、続く本作では女性ヴォーカリストをゲストに迎えたり、定番のフルート、チェロ、ヴァイオリン等のストリングス・ゲスト陣等を迎え叙情的なクラシカル・アンサンブルを効かせたアレンジによってサウンドの質と艶やかさが増しただけでなく、メランコリックな雰囲気やユーロ圏バンド特有の陰鬱で気怠げなメロディ、そしてリリカルで優美な美旋律の度合いが一段と強まり、さらに前作ではフロントマンの Nicholas-JohnがギターとE-Bowを操ったが、本作ではテルミン(!?)を操るなどデジタリーで近代的なサウンド処理にも意欲的に挑んでモダンなサウンドを進化させ、精巧なアレンジを施し楽曲の表情の幅も拡げた、待たせた甲斐のある新人バンドらしい意欲作と言えよう。

特に Sebastien Perignonの操る可憐で繊細なピアノの軽やかな音色と、MARILLIONの Steve Rothery張りな哀愁と泣きの音色を聴かせる Stephane Lecocqのギターが楽曲のそこかしこで切なく咽び泣き、息をのむような哀愁で楽曲を染め上げていく様は以前には聴かれなかった表現で、実にユーロシンフォ・バンドらしいメロディアスさと、程良いスケール感もあって大仰過ぎてB級イタ公シンフォのように安っぽくならぬ、このバンドならではのバランス感でコンパクトに纏め上げられていて胃もたれせずに最後まで聞き終える事が出来るので、長尺曲が多く複雑な楽曲展開でリスナーをウンザリさせてしまう事が多々あるプログレ系が苦手な方にこそお薦め出来る、プログレ導入にもってこいなバンドではないだろうか?

癖のない歌声で Nicholas-Johnがシアトリカルな歌唱で物語を紡ぎ出すが、そのサウンドは北欧バンド群のサウンド程にミステリアスでもなく仄暗くもない、イタリアン程に騒々しく大袈裟で暑苦しくもない、丁度程良い塩梅なサウンドなのも新世代バンドならではのスタイリッシュなモダン・ユーロ・シンフォサウドと言える。

間違いなくデビュー作よりサウンドのスケールと楽曲表現の幅を拡げた着実な進歩の見える本作だが、Nicholas-Johnの音域の狭い歌唱と癖の少ない歌声も相まって、強烈な個性やサウンドの進化具合、そして他ユーロ・シンフォバンド群との差別化に成功しているとは現時点で言えないものの、この調子でオーソドックスで透明感ある欧州風シンフォサウンドにさらに磨きをかけ、次なる新作では一層のレベルアップを計ってその名とサウドをシーンに轟かせて欲しい、期待出来る新人バンドの一つだ。



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by malilion | 2018-11-06 00:41 | 音楽 | Trackback