<   2018年 08月 ( 8 )   > この月の画像一覧

英国の古楽プログ・バンドGRYPHONが41年ぶりに再結成第一弾作をリリース!

c0072376_15352403.jpgGRYPHON 「ReInvention」'18

イギリス王立音楽院出身の Richard Harvey(Recorders,Soprano,Alto & Tenor Krumhorns,Organ,Harpsichord,Harmonium,Glockenspiel,Mandolin,Classical Guitar,Vocals)と Brian Gulland(Bassoon,Bass & Tenor Krumhorns,Recorders,Keyboards,Vocals)を中心に71年結成され、73年にアルバム・デビューを果たし、77年の解散までに五枚のユニークな作品を残した、宮廷風味の強い古楽スタイルのフォーク・ロックとポップス、そしてプログレ(特にYES)の影響を消化し、中世~ルネサンス音楽とプログレッシヴ・ロックを融合させ再構築した唯一無二のオリジナリティ・サウンドを誇った英国産古楽プログレ・バンドの再結成作が遂にリリースされたので即GET!

オリジナルメンツによるリユニオンは15年頃に成ったものの創作活動は遅々として進まず、結果的にオリジナルメンバーであり中心人物でもあった Richard Harveyが多忙を理由に脱退してしまったが、75年作『Raindance』を最後に脱退していたオリジナル・ギタリストの Graeme Taylor(Guitars,Acoustic Guitars,Vocals)が43年ぶり(!)にバンドに復帰しており、オリジナル・スタジオアルバムとしては41年ぶり(!!)となる本作にも参加しているのが昔からのファンには嬉しいトピックだろう。

なお、Brian Gullandと Graeme Taylor、そして Dave Oberle(Drums,Percussion,Lead Vocals)のオリジナルメンバー三名に加え、Graham Preskett(Violin,Mandolin,Keyboards,Harmonica)と Andy Findon(Flute,Piccolo,Soprano Krumhorn,Soprano Sax,Clarinet.Sweetheart Fife)、そして Rory McFarlane(Bass)の新規メンバー三名を含む6人組バンドとして本作は制作されている。

73年のデビュー作以降、75年の4th『Raindance』まで主要四名は変わらず、ベーシストだけ不安定だったのが彼等5人組バンドだと覚えているが、売りであった古楽的フォーキーさが激減し、一気にポップ度と一般的なプログ・ロック度が増したサウンドが賛否両論な最終作5th『Treason』では Richard Harveyと Brian Gulland、そして Dave Oberleの三名のオリジナルメンバー以外に、新たにベース、ギター、専任ドラマーの新規メンツ三名を迎え、初めて6人組編成で制作された経緯があったのを、41年ぶりとなる本作の制作状況もソレに似たものがあるなぁ、などとフッと思い出してしまいました。

惜しくもアルバムリリース前に中心人物が脱退したというニュースにガックリきた昔からのファンな方も多いだろうが、往年のGRYPHONを彷彿させる本作の素晴らしい出来を耳にすれば、代役の大任を担った Andy Findonのプレイは Richard Harvey不在を一切感じさせぬ軽やかで艶やかなサウンドとテクニカルさを十二分に発揮し、再結成作の出来を少しも損なう事ない見事な仕事ぶりだと理解するのに時間は要すまい。

さて、本作の内容だが、飛び出してきた軽やかで忙しないピッコロの調べに艶やかなアコギの爪弾きが絡み合い、まさに“アノ”GRYPHONサウンドが展開されていくのに耳を傾けるだけでもう十分に幸せで満足な気持ちになれる待ちに待たされたこの新譜、やはり再現されているのはポップ度とエレキのパワーを借りたロック度の増す前の初期から中期、『Midnight Mushrumps』頃の古楽をメインにして活動していた時分のサウンドで、メンバー一同何を周りから求められているかをしっかりと理解している(理解してない再結成の多い事…)流石の方向性なものの、やはりこれだけ時が経過している為か全く“まんまのサウンド”という訳でもなく、幾分かモダンなタッチがサウンドのそこかしこから感じられるのと、Richard Harveyが不在だからこそ外側から見て“GRYPHONてこういうサウンドが特徴だったよね?”的な新規メンツによる故意的な再現やインプットも関係してか“古臭いんだけど妙に聞いた事のない新しい音”というような不思議な感覚に陥ることがしばしある一作と言えよう。

個人的にも、まんまの再現ではセルフパロに陥ってしまうし、全く過去を顧みないサウンドを展開されても期待外れ作になるのは確実だったろうから、本作のような懐古趣味的な再現を果たしつつ、新しいサウンドも気付かぬ内にしたたかに組み込まれている、というような難しい顧客の要求に応える優等生なサウンドは、さすがのキャリアと英国ミュージシャンの気概を感じさせてくれて大変気に入っております(*´ω` *)

まぁ、この奇跡的なサウンドバランスに仕上がったのは Richard Harvey不在だからこそとも言え、もしオリジナルリユニオン状態のままで創作が進んでアルバムが完成していたなら、果たして一体どのような方向性だったのか、幾分か今風に変わっていたのか、どんな完成度だったのか、と尽きぬ妄想が膨らんでしまいますよね。

そうそう、本作収録の10曲目のトラックと以前リリースされていた『The Collection II』'95 収録のアルバム未収録曲と同名曲ですが作曲者が違う別曲ですので、お間違いのないように。

尚、本作は日本先行発売、紙ジャケット仕様、SHM-CD、さらにボーナス・トラックを1曲収録となっており、海外盤ではまた収録内容が変化するかもしれませんので、ファンの方は今後のリリース情報から目が離せません。

古楽器を用いた異色の編成で中世音楽を演奏するフォーク・スタイルから出発し、ポップスやロック要素を加えつつYESとの接触で一気にプログレ度を増大させ、ジェントリーなヴォーカルによる穏やかなコーラス、フォーキーだったりトラッドだったりと様々にその色を変えながらリズミカルに展開していく控え目だが着実にバンドサウンドの要所を押さえている繊細なギター、古楽風のフレーズを交え細やかに宮廷風な雅を奏でる気品ある多彩なキーボード、そして古楽で鍛えた精緻なアンサンブルの如何にもプログレらしいスリリングな演奏を披露し、独特のサウンドを展開し続けた何者にも似ていないGRYPHONサウンドを、もしまだ耳にした事が無い過多がおられるなら、これを気に一度彼等の作品に触れてみる事をお薦め致します。



[PR]
by malilion | 2018-08-30 15:30 | 音楽 | Trackback

地味に10年超えのメロハー・プロジェクト Joe Lynn Turner率いるSUNSTORMが5thをリリース!

c0072376_21330052.jpgSUNSTORM 「The Road To Hell」'18

言わずと知れたメロハー業界の仕掛け人イタリアのFrontiers Recordsが企画した Joe Lynn Turnerを中心に据えたAOR&メロハー・プロジェクトの約2年ぶりとなる5thアルバムがリリースされていたのを今頃購入。

先行公開された新アルバムの楽曲を聴いて、安心の出来と方向性と分かったのでここまで購入が遅れてしまいました(スマヌ

前作『Edge Of Tomorrow』'16 から参加メンバーを一新し、Frontiers Recordsで数多くのプロジェクトに参加し、楽曲も提供している Alessandro Del Vecchio(Key&Vo:EDGE OF FOREVER)等を起用し、当初のAOR寄りなサウンドからよりハードタッチな楽曲を含むアルバムを制作しだした本プロジェクトだが、米国人が率いているにも関わらずウェットで愁いを帯びたメロディのユーロテイストと爽快感あるポップでキャッチーなアメリカンさも兼ね添えた叙情派メロディアスHRという方向性は本作でも変わっていない。

元々、Joe Lynn Turnerの幻の2ndソロアルバム用のAOR的な楽曲を世に出したいという動機から本プロジェクトが始まったのに、よりハードなサウンドへ変化していく流れが Joe Lynn Turnerのこれまでの活動や発言を考えると中々に興味深いですよね。ホントにHRが好きなんだなぁ(*´ω` *)

前作同様に Alessandro Del Vecchioをソングライティングのメイン・パートナー(最近バンド活動より専ら裏方作業ばっかだよなぁ…)とし、同じく前作に続きL.R.S.などFrontiers企画のプロジェクト作品にも多数参加している Nik Mazzucconi(B:EDGE OF FOREVER)と、イタリアン・プログHMの頂点と個人的に大絶賛しているDGM在籍の Simone Mularoni(G)、そして Francesco Jovinoから新たにFOLKESTONEの Edo Sala(Ds)へチェンジした布陣で制作された本作は、そんな Joe Lynn Turnerの起用に応えるべく、職人達によって緻密に創り込まれ、磨き上げられた Joeのパフォーマー、フロントマン、そしてミュージシャンとしての魅力を存分に知らしめるキャッチーでフック満載のハードでメロディアスな楽曲が目白押しな、メロハー好きなら大満足間違いなしのハイクオリティな快作と言えるだろう。

以前の紹介時も苦言を呈したと思うが、やはりどうしても予定調和的な展開やメロディの流れやフレーズ等が耳につき、新人バンドのデビュー作を聞くような新鮮な驚きは流石に無いもののよりバンド作らしい音に仕上がっており、以前感じた作り物っぽさは本作において綺麗に払拭されているのが地味に嬉しいポイントでもあります。

Joe Lynn Turnerの上から下までよく伸びるキャリアに裏打ちされた抜群の歌声とエモーショナルな熱唱もさる事ながら、Alessandro Del Vecchioの派手なオルガンソロやシンセワーク、そして名手 Simone Mularoniのテクニカルで流暢なフレージングや、ツボを心得た無駄ないコンパクトなギター・ソロも本作では楽しめ、ヴォーカリストのソロ作じゃないんだぞとばかりなスリリングに疾走するHRサウンドとバンドメンツ各員の熱演が非常に心地よいんだな~('(゚∀゚∩

以前のソフトロック路線から幾分ハードなサウンドになってはいるものの、基本は爽快にして哀愁漂う大人の魅力満載な“安定の王道メロハー・サウンド”をプロフェッショナルなソングライティングチームと有能な裏方ミュージシャンで隙無く固めているのに変化はありませんので、高品質のポップでキャッチーなメロディアスHR作をお求めの方に迷わずお薦め出来る安心安定な一品です。



[PR]
by malilion | 2018-08-26 21:25 | 音楽 | Trackback

シンフォから一気に演劇サウンドへ?! ドイツのCENTRAL PARKが7年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_19182745.jpgCENTRAL PARK 「At The Burial Vault」'18

ドイツ産ネオ・プログレバンドの前作から7年振り、バンド結成35年目の節目作となる3rdがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

デビュー作はEL&PにASIAをMIXしたような(本人達的にはYES、MARILLION的UKプログレ系サウンドとSAGA、ASIA的メロディアス・ロック的サウンドをMIXさせていると考えている模様)ポップでキャッチーな歌メロやフレーズ、そしてコンパクトな楽曲なものの、キーボーディスト Jochen Scheffterの自己主張の強い古典的UKプログレ風な鍵盤の音色やその重厚なプレイとサウンドが90年代初期風なモダンさも感じさせるバンドサウンドと少々ギャップがあったけれど、83年に結成されたにも関わらずなかなかアルバムデビュ-が叶わなかった焦燥感と抑え切れぬ熱き想いが伝わってくるような力作でした。

プログレ系には珍しく濁り声のフロントマン Heiko Mockelを06年の1st『Unexpected』では起用していた彼等ですが、11年の2nd『Reflected』で Jannine Pusch嬢なるフィメール・ヴォーカリストを迎え、より繊細なタッチの活かされた20分越えのシアトリカルな組曲も披露するモダン・シンフォ系サウンドへ進化した訳でしたが、個人的には女性フロントマンになった事でデビュー作で感じられた迸るようなロック的パワフルさや、ASIA的キャッチーさがそのサウンドや歌メロから著しく減退した事もあって、Jochen Scheffterもバランスを考慮したキーボードプレイを聞かせていただけに残念で、そして退屈な一作でありました…('A`)

で、久しぶりの新作なのに『葬儀場で』なる、暗さ爆烈なアルバムタイトルでちょっと不安になる本作で再びメンツ変動があり、長らくドラマーを務めてきた Artur Silberが12年にバンドを脱退した後、Holger Roderなる新ドラマーを迎えたにも関わらず、今度は特に癖もなくソプラノ主体の典型的フィメール声なもののパワーが無く歌唱スキルにも少々問題のあった Jannine Pusch嬢が脱退、代わって初代ヴォーカルの Heiko Mockelがフロントマンとしてバンドに復帰するがバンドメンツとの住まいの距離が離れていた事(ケルン在住)が創造的な作業を続ける上で大きな障害となり最終的には脱退し、15年秋、新フロントマンに再びフィメール・ヴォーカリスト Barbel Kober嬢を迎え、本作の創作に挑む事になった模様だ。

女性ヴォーカリストながらパワフル且つ濁り声などでドスのある歌声も聞かせ幅広い表現力と歌唱法を誇る Barbel Kober嬢のエネルギッシュな歌声は前任者より癖が強く好みが分かれる所だろうが、より複雑でシンフォニック、そしてテクニカルで重厚なサウンドへ進化したCENTRAL PARKの多様な要素を含んでいるバンドサウンドを表現するには彼女の歌声の方が適しているのだろう。

個人的には Barbel Kober嬢の歌声は好みじゃありませんし、低音ダミ声を多様するヴォーカルアプローチも(オマケにオバちゃんじみたルックスも…)好きではありませんけどね…

美声で美人のフィメール・ヴォーカリストをフロントに据えて、ってのがプログレ好きには多いように思うんですが、その点では彼等の選んだアプローチは余り受けないように思うなぁ…('A`)

デビュー作当時のASIAやEL&Pを感じさせるポップさやキャッチーさは本作に置いて殆ど姿を消しているのが個人的に残念でなりませんが、どうやらコレはオーストリアの劇場の舞台俳優 Ferdinand Pregartnerと協力して"Verbal Inferno Meets Rock Music"なる演劇を2017年に行い、その音楽にCENTRAL PARKが全面的に参加してた事が影響してか、より大仰で複雑、そしてダークでミステリアスなヘヴィ・サウンドへ、大きくバンドサウンドが変化した要因と考えられます。

まぁ、本作に置いてもデジタリーなアレンジや打ち込みリズム、そしてシアトリカルで不安を煽る様なヴォーカル・アプローチ等、常に前作で見られぬ新要素を加味してバンドサウンドを進化させ新たなサウンド形態やアイデアを具現化している点を見るまでもなくバンドはしっかりと“プログレス”し続けて“今”のサウンドへ挑み続けている訳だからプログレバンドとしちゃなんら間違った事をしてる訳じゃないんですよね。

ただ、その選択し進んだサウンドが初期に較べて大きく好みじゃない、ってのがネックなだけで…orz

また Ferdinand Pregartnerと協力しての小規模な演劇ステージの為にバンドサウンドを大きく変化さた結果、今までのロック的なサウンドアプローチを捨ててジャズやスイング等の要素を加えたアコースティック・サウンドをメインとするパフォーマンスや方向性が好みで無かったのか Holger Roderは17年後半にバンドを脱退し、代わってアフリカン・ビートに精通している Arnold Zohrerなる新ドラマーをバンドは迎えている。

そして、今後バンドはこの演劇ステージで選択した凝った構成のアコースティック・サウンドをメイン(!?)とするサウンドで活動するらしい……(汗

以前のようなロック形式のLIVEには12年に脱退した Artur Silberが時間が許せばヘルプでドラムを叩いてくれるらしいが、ロックパフォーマンスより芸術的なミュージカル・サウンドに近い、ジャズとロックを融合させたサウンドをメインとするバンドの次なる新作が出るとしても…ちょっと…購入するかどうか悩みますね…

次はプログレ・フォークのカテゴリーなサウンドになるんかなぁ…?

美声のフィメール・ヴォーカルものがお好きな方や、以前のようなASIA的なポップでキャッチー、そしてEL&P的な古典的プログレなシンフォサウンドをお求めの方は本作に手を出さない方が無難でしょう。

相変わらず所々で美しいピアノやキーボードの音色は聞こえるものの、久しぶりに届けられたアルバムが大きくガッカリな方向性のアルバムでちょっと悲しいです…(つд`)




[PR]
by malilion | 2018-08-25 19:13 | 音楽 | Trackback

ブルガリアのHMバンド?? ブルガリアン・プログHMバンドMUSIC STATIONの唯一作。

c0072376_02302026.jpgMUSIC STATION 「Shaping」'03

ラック漁っててまた転がり出てきた懐かしのアルバムをご紹介。

ブルガリア産ツインG&Keyを擁する6人組メロディアス・プログレッシヴHMバンドによる'03年リリースのデビュー・アルバムにして唯一作だ。

ブルガリア共和国はバルカン半島に位置し、北にルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、南にギリシャ、トルコと隣接し、東は黒海に面している文化の交差点とも言える国で、その首都ソフィアでバンドは02年に結成されている。

一聴して分かるのが、彼等は夢劇場のフォロワー・サウンドがバンドの出発点だと言うこと。

ただ、既に夢劇場の影響から大方は脱しており、剛柔様々な声色を使い分け艶やかで見事な歌唱を披露する Pavilin Manevのヴォーカルスタイルに James LaBrieの影響が窺えるものの、バックのサウンドは所謂定番の夢劇場フォロワーではなく、特にキーボーディスト Boris Zashevの古典的ユーロ・プログレやクラッシックの影響を窺わせる軽やかでテクニカルな鍵盤捌きや、リズム隊のエスニックな香り漂わす音色やプレイ、そして一風変わったリズムパターンやJAZZっぽいプレイは本家夢劇場で聞けぬテイストで十分にオリジナリティを感じさせ、メロハーとプログHMをMIXさせたような上品さとキャッチーさのある爽快なサウンドは独特で、これ一作でバンドが終わってしまったのが実に残念でならない。

逆にリーダーでギタリストの Ventzy Velev(G)と Jordan Donov(G)のテクニカルなプレイやヘヴイなフージングが幾分か類型的プログレHM的と言え、一番夢劇場的な要素を臭わせているように思う。

ただ、彼等がデビューしたのが03年と、夢劇場症候群バンド達が触発された92年作の『Images & Words』との時間的距離が幸運にも空いている事もあってか、本家もサウンドを変化させていた事もあるし、92年以降世界中で雨後のタケノコの如く出現した露骨な夢劇場フォロワー群と同じ亜流サウンドへは成りにくかったとも予想出来る。

ブルガリアのシングルレーベルUBPからのリリースだった事や、予算の都合上で約1週間でレコーディングを終了させ、約一ヶ月でミックスダウンとマスターリングを完了させたアルバムにも関わらず、インディ・レーベルもののプログHM作品としてはかなりの上物、隠れた名作と言えるだろう。

実際、当時ディストリビュートされた日本やアメリカのローカルラジオ番組等でかなり好意的にアルバムは迎えられ、勢いバンドはプロモーションLIVEを首都ソフィアで計画したものの、残念ながら Boris Zashev(Key)と Radoslav Haralampiev(Ds)がLIVE活動を拒否した為、バンドはアルバム1枚をリリースしたのみで空中分解してしまったらしい…(つд`)

まぁ、バンドサウンドのイニシアチブを握り独特なカラーを創りだしていたその二人が居なくなっては、アルバムのサウンドの再現も難しかったでしょうから、活動継続を断念したのもむべなるかな、ですかね…

今となっては入手困難かもしれませんが、フランスのMuseaがディストリビューションに関わっていたので意外に輸入盤取り扱い店で未だにストックしていたり、中古盤で転がってる事もありますので、もしご興味あるなら一度チェックしてみて下さい。

そう言えば東京で営業中のブルガリア・レストランの音楽好きな日本人オーナーがバンドのデモを聞いてコンタクトを取り、本作の制作に尽力(プロデューサーのクレジットに注目!)したと言うのも、本作を一層に特色づけているトピックでもありますね。

以降、ブルガリアからのプログHMやプログレ系バンドのニュースは聞かないんですが、もしかしてまだ見ぬ未完の大器や、期待の新鋭インディ・バンドなんかがここ日本に全く知られる事なく精力的に活動しているのかもしれませんし、多文化が入り交じる地域的にプログレ系に有利なんじゃないかと思うので、またその日本人オーナーさんが有力バンドなんぞをガンガン紹介してくれると嬉しいなぁ(*´ω` *)



[PR]
by malilion | 2018-08-15 02:24 | 音楽 | Trackback

ドイツ産だけどアメリカンロック?  E・Martinがゲスト参加なHARTMANNの新譜がリリース!

c0072376_09401388.jpgHARTMANN 「Hands on The Wheel」'18

元AT VANCEのフロントマン&ギタリスト Oliver Hartmann率いる4人組ドイツ産AOR&メロディアス・ロックバンドの2年ぶり通算6作目がリリースされたので即GET!

ドイツ産バンドなのに如何にもアメリカンなAOR風ロックサウンドが身上の彼等だが、前作よりカントリー・テイストも取り入れる事により益々アメリカン風味が増した彼等だが、本作もその路線は変わらず、言われなければドイツ産バンドのアルバムとは決して思わぬアーシーで埃っぽい枯れたサウンドが味わい深いオールド・アメリカンスタイルが顕著なメロディアスな作品だ。

サウンドがアメリカン路線だからか、以前から白蛇のデビカバ風っぽかったりMr,BIGの Eric Martin風っぽかったりの抜群に上手い歌心に満ちた渋いヴォーカルを披露する Oliver Hartmannだが、今作では遂にそのMr,BIGの Eric Martin(!)がゲストで一曲に参加となって、一気にバンドサウンド及びヴォーカル・スタイルの焦点が絞り込まれた感が強まっている。

それにしても Eric Martinをフィーチャーしての楽曲で、堂々と対等に渡り合ってデュエットしているのを聞くと Oliver Hartmannはホントに歌が上手いんだなぁ、とハッキリ再確認させてくれました。

これでギターの腕前もリードギタリストを兼ねられる程のテクニカルな技巧派ってのが、ホントに嘘みたい(*´ω` *)

無い物ネダリなのは分かっちゃいるけど、デビュー当初のHMバンドに相応しいハイトーンのパワフルシャウトで喉を唸らせていた Oliver Hartmannの歌声が実に格好良く好きだっただけに、この激渋路線の穏やかで深みある歌声ばかり披露する路線が少々残念だが、まぁ騒々しくスピーディーなHMサウンドと決別してソロバンドを立ち上げたんだし、今さらそれを言うのは野暮ってもんでしょうね…('A`)

埃っぽくアーシーなオールドスタイルのアメリカン・ロックをベース(EAGLESみたいなサウンドが飛び出してきて苦笑)にしつつ、AOR風なヴォーカルアプローチやカントリーテイストも隠し味に、少々メロハーっぽいギターサウンドやプレイなんかでダレそうになる楽曲を程良くキリリと引き締めてエッジとフックを加味したバランス抜群なそつ無いサウンドって、一番近いのはポピュラー系ポップスなんだろうけど、こちらの方が断然にサウンドが持つ躍動感が上だし、歌メロだったりバックの演奏に隠し味的にユーロティストが漂ってキャッチーさとウェットさも忘れていない、US産ポップアーティストには無い深い味わいが実に素晴らしい欲張りなバンドサウンドを披露してくれる。

バンドメンツに変動はなく前作と同一なものの、前作は意図してかカントリーっぽい乾いたギターの音色といい、かなりアメリカン・ポップスを意識したドライな音創りが耳を惹いた訳だが、本作ではもう一度以前のアメリカン路線だけどウェットさを残した音に戻っているのは微妙ながら個人的に気になるポイントでした。

まぁ、あんまりやり過ぎると只のアメリカン・ロックの劣化コピーになってしまうので、ユーロ圏バンドとしてのアイデンティティも保ちつつな各種要素をMIXさせてモダンに仕上げた音、ってスタンスなのかもしれませんね。

バランス重視で刺激強めな音楽性って訳でもないし、前作と同じくミッドテンポとバラードな楽曲が多く、ややもすると今時の若いロックリスナーにはダレて聞こえる渋過ぎなサウンドかもしれないが、適度にアップテンポな楽曲も挟みつつ、幅広い音楽性と抜群に上手い歌声の妙で聞く者の耳を惹きつけ、最後まで飽きさせぬのはお見事と言う他ないでしょう。

これだけ見事なアルバムをリリースしているのに知名度がイマイチなのは、やっぱりモダンでシャレオツな音楽性に反してムサい鬚ズラなオッサン達の風貌(汗)なせいなのか、分かりやすい刺激に乏しい味わい深い系AOR&ロックなせいでしょうか……(´・ω・)

そうそう、前作にあったアルバム本編が終わってからの隠しトラックを今回も期待しましたが、流石に二作続けてはありませんでした(w

白蛇好きな方やMr,BIG系のアメリカン・ロック好きな方は、ドイツ産と思えぬポップでキャッチーな高品質アメリカンAORサウンドですので是非チェックしてみて下さい('(゚∀゚∩





[PR]
by malilion | 2018-08-14 09:33 | 音楽 | Trackback

英国メロディアス・ロックバンドDAREがデビュー作30周年を記念し、リレコーディング作としてリリース

c0072376_19513461.jpgDARE 「Out Of The Silence II」'18

記念すべきデビュー作『Out Of The Silence』リリース30周年を祝し、88年作を再録音したAnniversary Special Editin盤がリリースされたのでGET!

再録とは言っても当時のメンバーはもうリーダーでフロントマン、そしてキーボーディストの Darren Whartonと復帰したオリジナルギタリストの Vinny Burnsしか居ないので当然サウンドのタッチも変わる訳だが、新曲があるわけでなし、プロダクションもプレイもオリジナル盤に及ばないという、本当に熱心なファンから集金する為だけの再録記念盤と言えよう。

オリジナルにあったメロハー的なエッジや瑞々しい清涼感、そしてロック的なダイナミクスや雄大さがすっかり失せ、どっぷりとソフトケイスされ奥行きの無いサウンドのAOR作と言っても過言ではない実に穏やかに美しいメロディが蕩々と終始流れていく…('A`)

唯一評価出来るのは Darren Whartonのヴォーカルスキルが向上している点と、オリジナルより一段と円熟味の増した深みあるプレイや絶妙な“泣き”のフレージングを Vinny Burnsが垣間見せてくれる点で、その差を聞く為だけのアルバムと断言してもいい。

あ、7曲目の“King of Spades”だけExtended Editionとなって、オリジナルは4分後半台だったが6分30秒と大きく楽曲タイムが長くなっております。

手厳しい事を述べましたが、近年のすっかり牙が抜けて惰弱なAORバンドに成り下がってしまった彼等のアルバムしか知らぬファンの方ならば十分に受け入れられる穏やかで優しいメロディが終始奏でられている内容なので、実は未だにオリジナル1stが入手出来ていない、という方にはこの記念盤は嬉しいサプライズなのかもしれない…

元THIN LIZZYの Darren Wharton率いる新鋭ハードロックバンドのデビュー作! って、売り文句で当時は紹介されてたなんて、今のサウンドからは全く想像出来ないよなぁー…

いや、その前にオリジナル盤をリイシューすればよくね? やっぱレコード会社的な契約で再発出来無い、ってヤツですか? そんなにメチャクチャ売れた訳でもあるまいし、そう版権高くもないっしょ? ああ、権利どこぞの再発レーベルが買い取ってくれないかなぁ…('A`)

80年代末期のゴージャスでバブリーなHM全盛期の残り香を纏った期待の新鋭バンドだった頃の彼等を知る身としては、今の気の抜けたコーラみたいなサウンドが唯々悲しいのですが、まぁ、長い時を経て彼等はAORバンドになったんだ、と割り切れればそう本記念盤も悪い出来ではない…のかな…?

c0072376_19515383.jpg
しかし、このいバンドって再録が好きですねぇ。

以前も3rdアルバム『Calm Before The Storm』を再録してましたが、初期のロックテイストがあった楽曲を今の軟弱AORサウンドへ改変しないと気が済まないんでしょうか?

それともデビュー作故に色々と心残りがあって、それでこの穏やかなサウンドに?? それこそ、何故に??

つーか、この内容で Vinny Burnsは納得しているの? TENよりソフトなバンドに、どうして未だに在籍するの??

……これ以上何か述べても懐古ジジィの戯言みたいにしかならないので、本作の評価についてはどうぞ各自ご自身の耳で判断して下さい。




[PR]
by malilion | 2018-08-04 19:47 | 音楽 | Trackback

テクニカル・オセアニアン・モダン・シンフォバンドの期待の新星SOUTHERN EMPIREが待望の2ndをリリース!

c0072376_13060077.jpgSOUTHERN EMPIRE 「Civilisation」'18

解散・分裂したオーストラリアのメロディアス・シンフォニック・バンドUNITOPIAのキーボーディスト Sean Timmsが新たに結成した5人組技巧派モダン・シンフォバンドの15年デビュー作に次ぐ2ndが3年ぶりにリリースされたのをちょい遅れてGTE!

デビュー作はスタジオLIVE映像を収録したボーナスDVD付きの2枚組豪華仕様と大盤振る舞いだったが、続く本作もデジパック仕様なもののボーナスDISC等は付属していない通常の1枚ものだ。

洋上を行く帆船だったジャケデザ(KANSASっぽいサウンドかな?と期待したのは内緒だ)が、本作ではFINAL FANTASYを連想させる幻想的でSFチックな飛行船へ変更されており、その如何にもプログレ系という月夜を進む飛行船の美しくファンタジックな姿に弥が上にも期待が高まるが、そんな想いに応えるハード&テクニカル志向のスケール感抜群な上に爽快なキャッチーさ満点のプログHM&シンフォ・ロックサウンドを今回もバッチリ披露してくれている(*´ω` *)

デビュー作の触れ込みで比較されたバンドは、TRANSATLANTIC、MOON SAFARI、CIRCUS MAXIMUS、MIND'S EYE等だったが、それらのバンド群をより一段とモダンでシャープ、そしてフュージョンにも通じるテクニカル志向へシフトさせたそのサウンドは、Danny Loprestoのミドルメインでちょっと高域で掠れるけれど、ストレートで朗らか、そしてパワフルな歌声が実に魅力的で、US産バンド群より幾分ウェット感あるサウンドの上をしっかりとキャッチーな歌メロやメンバー達の流暢なコーラスがフィーチャーされていて、インディ・プログ系バンドがしでかすメロディそっちのけで無駄に展開が凝っているだけの楽曲を延々と披露するような自己満足的なアマチュア臭さは皆無な、冒頭から最後の一音に至るまでプロフェッショナルなミュージシャンシップが炸裂するメロディアス且つドラマティックな傑作でありました。

バンドを創設までしたのだから当然だが、デビュー作では華麗で煌びやかな Sean Timmsの軽快なキーボードプレイが俄然目立って耳を惹きつけていたが、シンフォ系定番のクラシカルで重厚な音の壁をキーボードが構築するような三流ポンプバンドのような無粋はせず、JAZZやAORっぽいムーディーさだったりエキゾチックなムードのフレーズやリズミカルなプレイが実に新鮮で、若干メタルテイストあるプレイやフレージングを聞かせる Cam Bloklandのテクニカル且つエモーショナルなギタープレイを筆頭に実力派インスト陣が織りなす巧みなプレイも総じてハイレベルで、歌モノ楽曲のようなヴォーカルをメインに据えたキャッチーさも兼ね添えたフュージョンチックでモダンな楽曲構成の一癖も二癖もあるスピーディーな切り返しや、バンド一丸になって畳みかける疾走感ある怒濤のアンサンブルは手に汗握るスリリングさで圧巻の一言('(゚∀゚∩

本作でもその妙は変わらず楽しめ、前作の音楽性を踏襲しつつダイナミックさと繊細さに更なる磨きを掛けたテクニックとセンス共に申し分なく聴き応え抜群なアルバムで、下手をすると前作以上に軽快で独特なファンキーでダンサンブルでさえあるリズミカルな楽曲が巧みなコーラスも配されたシャレオツなヴオーカル・オリエンデッドな作風で展開され、彼等が単なるバカテク集団なだけでない、まず第一に楽曲と歌をしっかりと聴かせる事に注力している本当の意味でプロフェッショナルなミュージシャン集団なのだと再確認させてくれる。

キャッチーでメロディアスなフックある Danny Loprestoの華やかな歌メロをメインにメンバー全員で幾重にもうっすらとコーラスを時間差で重ね織り成すポップスのような様や、デビュー作で要所要所をピリリと引き締めていたメタル・テイストなギターサウンドが減退している為か、全体的に前作よりサウンドがソフトになったかのようなイメージを一聴して受けるが、シンフォ度は本作の方が断然上で楽曲のスケールも一段と増し、所々に配されるKANSASチックなストリングスが紡ぐメロディは極上の美しさで、ハッタリ抜群のキメ技連打や高速ユニゾン・バトルも控え目ながらしっかりとフィーチャーされており、前作より引きのパートが多く感じるものの(ミステリアスなフレーズやリズムがイイ!)それがより一層にアルバムが語るストーリーのイマジネーションを掻き立て、随所で光るリーダー Sean Timmsの操る鍵盤が紡ぐシンフォ・アレンジもハイソで嫌味無く、実にモダンで優美なバンドサウンドの気品を増す一役をさり気なく担っているのは見事の一言に尽き、全てが高い次元で結実した結果、バンド2作目にして驚きの完成度を誇る爽快ドラマティック・サウンドなアルバムに仕上がったのだろう。

いやホント、これだけテクニカルでシンフォニックなサウンドなのにユーロ圏のバンドのような重厚さは程々でスタイリッシュに纏め上げられ、それでいてキャッチーな歌モノな印象が大きく残るモダン・ロックサウンド、尚且つ米国産バンドのようなドライさやポップスのような軽薄さは皆無に仕上げられているのは生半可なセンスやコンポーズ能力じゃ不可能ですよ。ええ。

ぶっちゃけ、このバンドのアルバムの国内発売が何故見送られているのか謎過ぎます(ツд`)

SPOCK'S BEARDやTRANSATLANTIC、MOON SAFARI等が国内盤リリースされているのなら、同じ客層に絶対に受けると言うのに…

近い将来、必ず国内盤がリリースされるだろう期待の新鋭バンドとして、是非皆さんも今は外盤を購入して彼等を応援してあげて下さいね。

また、前作に引き続き多国籍なメンバーが名を連ねるTHE SAMURAI OF PROGからヴァイオリン&フルートを操る Steve Unruhがゲストに招かれアルバムに華を添える、華麗にして艶やかなプレイを披露しているのもデビュー作を気に入った方には朗報ですね。




[PR]
by malilion | 2018-08-02 13:01 | 音楽 | Trackback

3の2nd? いいえ、3.2なる新ユニットだけど、実質 Robert Berryのソロ作みたいなアルバムです。

c0072376_11211654.jpg3.2 「The Rules Have Changed」'18

米国プログレッシヴ・ロック界でも名うてのマルチ・プレイヤー、Robert Berryが Keith Emerson(Key)と Carl Palmer(Ds)とで88年に結成し短期間で消滅してしまった3を復活させて新作をリリースしたので即GET!

……したはいいけど、うーん…なんていうか、レビューするのに困ってしまう一枚なんですよね。

モヤモヤした気分を抱えて何度か繰り返し聞き続けて見たんですが…

“あの3”の続編という触れ込みで情報が飛び込んで来たものの、実際には Keith Emersonと Robert Berryのみのコラボレートで、そこに Carl Palmerは一切関わっていない、“3.2”なる新名義ユニットの作品という事実。

Robert Berryとのコラボレーション途中で Keith Emersonが自殺してしまった為に楽曲のアイディアが完成しているのは数曲のみ(Keith&Robertのクレジットからなる楽曲は全9曲中4曲のみ)で、まだまだアルバムは未完成だったという事実。

残されたアイディアや楽曲構想を Robert Berryが独力で再構築し、全ての楽器を演奏し、歌い上げ、まさに八面六臂の活躍でアルバムを完成させた、Keith Emersonのプレイは一切収録されていない、実際の所は Robert Berryのソロ作に近い状況な作品だという事実。

こういった情報を耳にすると、どうしたって感傷的な気分になるし、Keith Emerson生前最後の楽曲という価値も手伝って、本作を無下に出来かねる状況にならざる終えない訳なんですが…(汗

上記の情報を一切排除してアルバムの音だけに耳を傾けてみると、実際キーボードのフィーチャー具合もなんだかイマイチな、意図して3のデビュー作っぽいキーボードサウンドを再現しているけれどソレは結局音だけだというチグハグな部分(Keith Emersonっぽい音で他人が中途半端な再現度の演奏をしている、という印象)を感じる点や、盟友の死というヘヴィな状況を乗り越えてアルバムを完成させた疲労や苦悩からなのか Robert Berryの歌声が所々でいつになく疲れて荒れたような印象を受け、その為か肝心な歌メロも彼の他のソロ作と比べてキャッチーさや艶やかさが欠けて聞こえ、オマケにサウンドを3に近づければ近づく程 Carl Palmer不在が大きく影響したのかリズムに力強さやキレ、独自性が薄い、というなんとも煮え切らぬ完成度のアルバムに聞こえるのです。

なんて文句を垂れておいてなんですけど、冷静になって考えてみればオリジナルの3のアルバムだって、やたら大仰に鳴り響く弾きすぎなキーボードに、やたら自己主張の強いうるさいドラムスが耳につくバランス極悪なサウンド(当時はやたら Keithの大仰なキーボードイントロがTVでジングル代わりに使われてましたねぇ)であったのを、当時殆ど無名だったベースとヴォーカルの Robert Berryがそのプレイで懸命に繋ぎ止めてなんとか曲の態にしていた、と考えるとむしろ本作3.2のサウンドの方がバランスは重視されていて、よりヴォーカル・オリエンテッドで纏まってる作風と言えなくもないんですけどね(汗

とまれ本作の評価は、何を求めてこのアルバムを購入したかで大きく変わってくるのではないでしょうか?

幻の3の復活という幻影や、故 Keith Emersonの残した楽曲や、彼の残り香的なものを求めている向きには十分に本作を楽しめると思います。

3というEL&Pを現代的にブラッシュアップしたバンドが、さらに今現在のモダン・サウンドで蘇るハズ! と思っていた向きには少々不満が残る出来に思うのではないでしょうか?

GTR、3、へ参加した後、米MAGNA CARTAレーベルお抱えミュージシャンとなって多数のコラボやトリビュート作や数多くのバンドの作品への参加を知るRobert Berry個人のファンで、彼のコンポーズ能力が活かされたキャッチーでフック満載なAOR&メロハー的なサウンドを求める向きは、残念ながら殆ど愉しむ事が出来ぬ一作となってしまうのではないかと…orz

まぁ、本作を購入される殆どが、3の続きや Keith Emersonが残した最後の作品を聞きたい、という忠実なファンの方達でしょうから、これ以上何か言うのは無粋でしょうし、この辺りで終わりにしておきます。



[PR]
by malilion | 2018-08-01 11:14 | 音楽 | Trackback