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CHICAGO meet DEF LEPPARDなプロジェクトPLANET3の声、CLIF MAGNESSの約24年ぶりの2ndソロがリリース!

c0072376_19483931.jpgCLIF MAGNESS 「Lucky Dog」'18

番組テーマ曲やCMで楽曲が取り上げられ91年当時知名度がメチャクチャあった事もあってAORファンやメロディアス系のサウンドを好む方以外でもご存じかもしれない、AIRPLAYやセッション活動で有名なギタリスト Jay GraydonとMichaelJacksonの“Man in The Mirror”の作曲者としても知られる Glen Ballardと組んだメロディアス・ポップ・プロジェクトPLANET3のヴォーカル、ソングライティングを担っていた Quincy Jones、Celine Dionや Avril Lavigne 等の大物アーティストに楽曲提供やプロデュ―スを行い、グラミー賞を受賞しオスカーにも顔を出すテキサス州出身の売れっ子シンガー&ソングライター Clif Magnessの約24年ぶりとなる2ndソロアルバムがリリースされたので即GET!

彼の名前とこれまでのキャリアを考えればアルバムを聞く前から隙ない売れ線バッチリな高品質ポップアルバムであろう事は分かっている訳ですが、なんとこんな素晴らしいアルバムが彼の本国USAでは未発売で、日本とヨーロッパ圏のみでのリリースだと言う。

米国ではもうこの手の完成度の高い産業ロック&AOR作へのニーズが乏しいらしいという事のようだが、俄には信じられませんね。

つーか、クソみたいな勢いだけのチープなサウンド鳴らしてるガレージバンドばかり持て囃して、こんなプロ中のプロの高品質作を評価する余地がシーンに無いなんて、アメリカの音楽業界は大丈夫なんでしょうか? ちょっと心配になってしまいます…

さて、こんなにソロ作の間が空いたのはひとえに彼は売れっ子で、自身の活動より他のミュージシャンとのコラボレートやプロフデュース、作詞作曲等の裏方作業に引っ張りダコだった為なのはその足跡を調べれば一目瞭然な訳ですが、そんな彼が久々に届けてくれたソロアルバムのサウンドは、意外な程にハードドライヴィングでワイルドなギターがフィーチャーされた、すわVAN HALENかGIANTかという疾走感あふれるロック・チューンが多目な一枚となっており、デビューソロ作やPLANET3に近いAOR系サウンドを予想していたので正直驚かされました。

裏方作業でソフトポップや売れ線メインの制約がある“お仕事”が散々に続いたので、その反動で本作のようなハードなギターをメインに据えたサウンドの、AOR作というよりも殆どメロハー・アルバムと言っていい構成になったのかもしれませんね。

ハード目なサウンド中心とは言ってもAORマスターの名に相応しく、美旋律と爽快感抜群なコーラスが心地よいAOR風な楽曲や、彼の力強くクリアなハイトーン・ヴォイスをバッチリとフィーチャーしたメロディアス・ポップな楽曲、それに当然、切なく叙情的なメロディが映えるミディアム・バラードまで、フック満載な歌メロが最後まで途切れる事なく展開されるヴァラエティ豊かで隙ない高品質なプロダクトが施された楽曲が目一杯詰め込まれた、シンガー・ソングライターにしてマルチ・プレイヤー、さらに辣腕プロデューサーとしても腕をふるってきた職人ミュージシャンが殆ど独力で創り上げた、正にプロフェッショナルな一作と言えましょう(*´ω` *)

まぁ、なんだかんだ小難しい事を考えなくとも、このキャッチーでフック満載の歌メロが秀逸なハード目なサウンドが心地よい高品質AOR&メロハーなサウンドに耳を傾ければ、メロディアスな音楽好きならば誰だって文句なしに楽しめるのは疑いない秀作でありますので、是非メロハー・ファンで彼の事を知らない方でも、迷う事なく手を出しても後悔する事無い一枚だと断言できます。

まだ磨かれていない宝石の原石の如き名も無いインディ・バンドのアルバムを漁るのも楽しいけれど、たまにはこういうプロ中のプロが創り出すプロフェッショナルな極上の一枚を愉しむのも、実に爽快でいいものですよねぇ♪


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by malilion | 2018-07-31 19:43 | 音楽 | Trackback

これがバンド最終作!? 結成50周年を迎えた英国プログ・フォーキーバンドSTRAWBS

c0072376_12584511.jpgSTRAWBS 「The Ferryman's Curse」'17

後にYESへ加入するキボーディスト Rick Wakemanが一時在籍した事でプログレ・ファンにお馴染みの、1968年結成、69年アルバムデビューして以来途中一時活動休止期間を挟んで今日まで50年に渡って活動継続中な5人組英国産プログ・フォークバンドの23thアルバムが去年末にリリースされていたのを今頃GETしたのでご紹介。

前作から3年ぶりとなるこの新作だが、当初レビューするつもりはありませんでした。

いえ、ちゃんとアルバムは即購入ではないにしても毎回入手してたんですが、ここ数作の出来を見るに別段誰かにお薦めする事もない、旧来からのファンだけが彼等を支えればいいか、ってな感じの穏やかで鄙びた味わい深い作品が続いていたもので(汗

まぁ、そう言う事もあって、こんなに購入が後回しにされてたんですけどね(スマヌ

ブッチャケもうプログレでもなんでもないくたびれたオッサン(てか、もうお爺ちゃんか)のリーダー Dave Cousins(Vocals、Acoustic & Electric Guitars、Electric Dulcimer、Autoharp)が朗々と歌う、木訥な英国フォーク・アルバムでしかありませんので、今のロック・リスナーには刺激の乏しい、下手をすると聞いてる最中に寝落ちしちゃうかも、ってくらい穏やかなサウンドですから…

どうせ今回もいつも通りの出来なんだろ? と高を括っていたら予想外の良い出来に驚かされまして、慌ててここで紹介せねば! と、相成った次第でして(汗

正直、新譜だからと言って、もうネタも出尽くした今さら新しい驚きなど殆ど聞けぬベテラン・バンドの彼等ですが、ここ数作でアルバム毎にキーボードプレイヤーだけが入れ替わり立ち替わり出入りしていたので、そのメンツ変動が影響を及ぼしたかと察した通り恒例のメンバーチェンジが行われた模様です。

何と John Youngから16年の英国、北米ツアーにも帯同した同郷ケルティック・プログバンドIONAの Dave Bainbridge(!!)へキーボーディストがチェンジしており、その繊細にして流麗なキーボード・プレイのみならず、ハモンド、ブズーキィ、アコギと多彩な楽器でもってバンドサウンドに多大な貢献を果たし、2つのインストゥルメンタル曲を含む全10曲のアルバム収録曲の内、5曲にその名をクレジットされているという大活躍ぶりで、全く期待していなかった彼等のアルバムに、ベテランならではの“引き”の技が光る木訥なメロディながらも深い情感が潜む楽曲と如何にも英国バンドという煌びやかで気品に富むシンフォニックな美旋律を紡ぎ出し、そのメリハリの効いた楽曲展開でドラマチックなストーリーを感じさせるアルバムの完成度にかなり驚かされました。

また、アルバムタイトル曲は、デビュー作『Dragonfly』収録の“The Vision Of The Lady Of The Lake”の続編となる楽曲で、本作が噂されるバンド最終作だからこその続編曲を収録したのでは? というトピックも注目すべき点だろう。

フォーク的な楽曲構成をベースに、ピアノとオーケストラのストリングスが華麗に絡み合い、メロトロンやフルート、軽快なアコースティック・ギターが控え目ながら楽曲をしっかりと盛り立てる、最初の音符から最後の音符まで密やかに優美、そして味わい深い、という70年代後期の典型的なSTRAWBSサウンドの再現だけでも大変に魅力的なのに、彼等が最も支持されていた頃の美しいメロディーを備えた叙事詩を今風なモダンサウンドへアップデートさせているのが実に見事で、本当にコレでバンドが終わってしまうのだとしたら有終の美を飾るに相応しい秀逸な出来映えの、英国詩人 Dave Cousinsのプライドが垣間見えるさすがの一作と言えましょう。

出来る事なら最終作というのは何の根拠も無いデマだった、と後になって笑い話になる事を祈って、バンドサイトで50周年を祝っている彼等の次なる新作がヒョッコリ届けられるのを待つ事にしましょうか……



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by malilion | 2018-07-31 12:52 | 音楽 | Trackback

華麗に蘇ったオランダの貴公子Robby Valentine率いるVALENTINEが新譜をリリース!

c0072376_00585091.jpgVALENTINE 「The Alliance」'18

オランダの貴公子こと、Robby Valentine率いるVALENTINEの14年リリース『BIZZARO WORLD』以来約4年ぶりとなるスタジオ・アルバムがリリースされたのをちょい遅れてGET!

確か最初のソロを含めて10枚目くらいだったはず(汗

最初のソロをバンドと捉えるかどうかや、国内盤未発のトリビュートアルバム等でアルバムのカウント数が変わってくるのがややこしい…

本作制作の前にQUEENトリビュート作をリリースした事も関係しているのか、やり切ったと思ったのか、今作のサウンドはいつもよりもQUEEN的なカラーが弱まっているように感じる。

いや、勿論未だにそこかしこでQUEEN張りな重厚なコーラスだったりフレーズなんかが聞けるけれど、初期のような露骨なフォロワー臭さは薄れているのは彼個人のオリジナリティの確立という点を考えても非常に良い事でしょう。

QUEENからの影響だけでなく THE BEATLES、MUSE、ELO、等がMIXされた本作は、一時のダーク&ヘヴィ路線から初期の作風へ戻った流れの末に一気にソフトポップ化しており、これまでで一番ハードなロック要素の薄いアルバムと言え、今までの彼のディスコグラフィを考えるとコレは大事件なのではないでしょうか?

ライナーで告白しているが Robby Valentineは過去数年間、重度のウイルス感染による片目の視力喪失など、プライヴェートで心悩ませるいくつかの問題を抱えていて、それが引き金になったのか鬱病も併発し、精神的に創作が厳しい時間が長かったと言う。

数作前のダークでヘヴィだった作風当時、その手の問題を抱えていた事が反映して、あの暗く粗い陰鬱な作風だったのだとすれば頷ける話だ。

その手の問題を本作創作中に乗り越えられたからなのか、前作までに漂っていた重苦しく張り詰めた雰囲気がアルバムから消え失せ、代わって初期のような若さ故の才気走った焦燥感とも違う、実に落ち着いた穏やかな何かゆったりとした空気感が本作のサウンドには漂っているように感じられるのは大変喜ばしい。

やっぱり彼のパワーは無いけれどデリケートで優しげな歌声やメロディックでキャッチーな音楽性には、ダークで陰鬱な要素は似つかわしくないものね(*´ω` *)

ただ、Robby Valentine自身が語っているが、David Ickeなるニューエイジ系などのUFO的な“キナ臭い”モノに絡んでいる英国ジャーナリストの提唱するレプティリアン宇宙人陰謀論が本作に色濃く反映している様子で、病や心の苦しみの救いをニューエイジ思想へ Robby Valentineが求めた結果、本作のどこか悟りを開いたような穏やかなサウンドへ音楽性が変化したのだとしたら、ちょっと先行きが心配だったりして…

サンタナもそうだったけど、昔から特定の思想やオカルトにハマる音楽家は結構いて、その結果サウンドが一気に解脱してあさっての方向へリスナーを無視して飛んでいってしまう事があるのがね…(汗

今の時点でニューエイジ思想の影響はまだ穏やかなサウンドのバックボーンになっているに過ぎず、QUEENからの借り物ばかりだったサウンドに一大変革をもたらす切っ掛けになったのだとしたら、ロック的な熱いスピリットは弱めな本作のサウンドだけれど全否定する事も出来ぬだろう。

SF的ファンタジーやシニカルな思想も垣間見える、美旋律と壮大なスケールで綴られたソフト・ポップな本作は、QUEEN張りの重厚なコーラスをフィーチャーし緻密に構築されたドラマティックな楽曲と内省的でデリケート、それでいて道化のようにナルシスティックな妖しい華やかさも併せ持った Robby Valentineというアーティストの個性が余すこと無く詰め込まれた、久しぶりに快く耳を傾ける事が出来る美しい芸術的作品だ。

ここまで褒めていてなんですけど、華麗さや美しさにのみクローズし、ロック的なダイナミクスやハードさ、スピードといった心躍る“熱い”要素が非常に薄い本作は、寧ろAOR作に近いと個人的には感じますね。

ファンの期待を裏切らない、とハッキリ言い切れないのが少々もどかしいが、良質なメロディアス作である事には間違いない。



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by malilion | 2018-07-30 00:53 | 音楽 | Trackback

まさかの復活! 米国産メロディアスHRバンドGUILD OF AGESが再結成第一弾作をリリース!

c0072376_14120058.jpgGUILD OF AGES 「Rise」'18

米国産メロディアスHRバンドが復活し、前作から17年ぶりとなる4thアルバムをリリースしたのでGET!

クソったれなグランジーの波に全米が覆われる前の90年代に、如何にも日本人好みな80年代風味も残すメロディアス・サウンドを聞かせた前身バンドCAUGHT IN THE ACT(Bobby Barthがバンドに深く関わってAXEの弟分的な紹介もされてましたね)の2枚のアルバムが当時ゼロコーから国内盤でリリースされていたので彼等を知るメロハー好きな方も多いと思いますが、オランダの同名アイドル・グループ(!?)との混同を避ける為にGUILD OF AGESへ改名して活動を続けるものの、グランジーまっただ中なメロハー暗黒時代だった事や改名のゴタゴタの影響、そして時流を鑑みての音楽性のブレ等もあってか売り上げは伸び悩み、3rdアルバム『Citadel』を01年にリリースしたのを最後に02年に敢えなく解散してしまう。

時は流れ、14年にイギリスで開催されたFIREFESTへ一時再結成で招待されLIVEを披露したのが呼び水になったのか本格的にバンドは再始動となり、90年代から彼等に好意的な日本市場を鑑みてか、再結成第一弾作をここ日本で先行してのリリースと相成った訳です。

そうそう、これだけインターバルが空いたにもかかわらず、バンドの頭脳である Anthony“Antz”Trujillo(Guitars、Keyboards、Backing Vocals)をはじめバンドの顔であるフロントマンの Danny Martinez等もちゃんと居る、前作と同一メンツで再始動(風貌はワイルドさを増してるけど)してくれた事は素直に喜びたい。

再結成したはいいけれど、オリジナルのメンツが一人二人、しかもドラマーだけ、なーんてバンドは最早同じバンドでも何でもない集金集団ですからねぇ…

しかも、いつもの通りにAXEの Bobby Barthがプロデュースという、ホントに17年もシーンに不在だったのかと思わず疑ってしまう念の入りような、満を持しての再結成第一弾であります('(゚∀゚∩

で、内容の方でありますが、ハードエッジなギターにキャッチーなヴォーカルメロディ、華麗な分厚いコーラス、爽快でありながら憂いを漂わすウエットなメロディが美しいフックある楽曲、とCAUGHT IN THE ACTの2ndアルバムから続く新譜と言われても少しも疑わぬだろう、何の変哲もない90年代当時の米国産バンドらしからぬ仄かなユーロテイスト香るメロディアスHRサウンドをまんまに再現しておりまして、コレが今の耳で聞くと逆に新鮮でイイんですよねぇ~♪

勿論、今の時代のプロデュースを施されておりますのでサウンドはモダンで高品質ではありますが、なんだか妙に懐かしい、つい笑顔になってしまう、メロハー好きな諸兄なら分かって貰えるだろう実に安心出来る良質なメロディアス・アルバムなのだ。

当然、バンド消滅以降各自の活動を通して腕を磨いて来た事も関係しているのだろうが、楽曲も演奏も総じて安定安心の高レベルに纏まっていて、解散前より断然に奏でるサウンドやフレーズ、コーラス等が優れている点も見逃せません。

ああ、そういえば当初から幾分それっぽかったんですが、経年による変化の現れか歌い方の変化なのか、ちょっと Danny Martinezの声質が変化していて掠れる声になる時に、オランダのメロハー・バンドTERRA NOVAの Fred Hendrix(Vocals、Guitars)っぽく聞こえたりして、個人的に2828しちゃいましたね(*´ω` *)

スピーディーでゴリゴリな殺伐としたメタルサウンドやオーバープロデュースすれすれのドキャッチーな造り込まれたメロハーサウンドをお求めの方は決して手を出してはいけない、ハイテンションなインタープレイやテクニカルな技の応酬なんて皆無な、ちょっとノスタルジックな雰囲気を漂わす本当に奇をてらわぬ真っ正直なメロディアスHR作であります。

ファンは勿論、80年代後期~90年代初期のメロハー好きな方に是非お薦めしたい一作です。

また、最近CAUGHT IN THE ACTの2枚のアルバムがEscape Musicからカップリング・リマスター盤(2ndのジャケに手が加えられたジャケ)で、限定1000枚でリイシューされておりますので、彼等の昔のサウンドが気になった方がおられましたらそちらをチェックしてみるといいのではないでしょうか?

オリジナル盤をお持ちの方も、かなりクッキリとクリアで太い音になっておりますので、リマスター盤お薦めですよ。



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by malilion | 2018-07-29 14:05 | 音楽 | Trackback

ツイン・キーボードを擁するオランダ産シンフォ・バンドHANGOVER PARADISEが待望の2ndリリース!

c0072376_14381342.jpgHANGOVER PARADISE 「Out Of Sight」'17

オランダのZwerus兄弟率いるツインKeyを擁する6人組バンドの4年ぶりとなる2ndをちょい遅れてGET!

2010年に結成され、13年にデビュー作『Mirrors』をリリースし、その80年代ポンプをベースに、より歌もの作品へ味付けしたようなシンフォ・ロックが心地よかった訳ですが、続くこの2ndでもセンチメンタルな甘いメロディとポップでキャッチーな要素も取り入れたドラマチックでクラシカルな楽曲が秀逸な、同一路線を継承するモダン・シンフォサウンドが展開されていて、デビュー作を気に入っていたファンの期待に十分に応える安心の良作となっている。

ただサウンドの路線は変わらなかったものの、このインターバルでメンバーチェンジが勃発した模様で、Peter Zwerusと Henk Zwerusの兄弟キーボーディストと、ベーシストの Cynthio Oomsのみ残留し、フロントマンを Elias de Vriesから Henk Bruggeへ、ギタリストを Pieter Nanuruから Richard Saimimaへ、ドラムスを Jeroen van Stenisから Daniel Bransへと大幅なメンバーチェンジが行われた模様だ。

テクニカルなインタープレイの連続でグイグイとハイテンションに突き進むタイプでない彼等にとって、フロントマンの交代劇という決して小さくないサウンドへの影響だが、前作の音域が狭く歌えるメロディに限界が見えていた Elias de Vriesと違って、新たに迎えられただけあって Henk Bruggeは太いミドルレンジが中心ながら高域もカヴァー出来る甘い声質の、ARENAの三代目フロントマンの Rob Sowdenに似たその歌声を得た事で、バンドのポップでフックある歌メロのレベルが一段も二段も上がって楽曲全体の完成度を上げるのに大きく貢献しているのは一聴してすぐ分かるだろう。

また、本作より Mac Drikusなるバッキングヴォーカリストを招いて、さらなるヴォーカルパートの充実に注力している点も見逃せない変化と言える。

ゆったり穏やかでメロゥなパートには前作同様にKAYAKやCAMELの影響が伺え、PINK FLOYDっぽいイントロやARENAを思い起こさせるテクニカルで複雑な構成のインストゥルメンタル・パートを聞くまでも無く、ユーロ圏プログ・ロックのカテゴリーに属する彼等のサウンドですが、陰鬱でややもするとメジャー路線を忌避する傾向にある英国プログレ・バンド群と違い、オランダという地がそうさせるのかより商業的な要素をそのスタイリッシュなサウンドに多分に含んでいて、カラフルなポップロックとソフトでアダルトなAOR要素の強いラジオフレンドリーなサウンドも垣間見えるのが、その他のユーロ圏のポンプ&シンフォ系インディ・バンド達との大きな差異ではないでしょうか?

華麗に響き渡るヴィンテージな音色のキーボードの美旋律と咽び泣くエモーショナルなギターで飾られた壮大で劇的なオーケストレーションをメインに、その上を柔和で甘い声質の歌メロが漂い、歌うようなベースラインとテクニカルでソリッドなドラムがエネルギッシュでシャープなリズムを構築し、時にポップなノリも交え軽やかに駆け抜けていくのが実に爽快だ。

そうそう、前作で楽曲の端々で感じられたHMテイストが消え、替わってPINK FLOYDっぽさやPENDRAGONっぽい“泣き”のギターの感触が増しているのは、どう考えてもギタリストの交代劇が影響しているのは確かでしょう。

Richard Saimimaって、PENDRAGONっていうか Nick Barrettのセンチメンタルでリリカルなギタープレイがかなり好きなんでしょうね(w

リーダーのZwerus兄弟が操るツイン・キーボードの音色がバンドサウンドのカラーをほぼ決定づけているのは確かではありますが、柔和なシンフォサウンドのこのバンドに置いてギタリストの紡ぐサウンドの質の変化はプラスへ大きく働いているので、このベンバーチェンジもバンドサウンドの質を向上させるのに地味に関係してると思っとります(*´ω` *)

ヨーロピアン・ロックらしいウエットなメロディを主軸に、古典プログレから現代のシンフォに至るまで多様なテクスチャを取り込んで再構築し、ハードさやスリリングさより美しさや艶やかさに重きを置いた、ツインキーボードだからと言って変に弾きすぎる事もなくAOR的売れ線のキャッチーさも踏まえた、OPUS、GENESIS、MARILLION、IQ、PENDRAGON等だけでなく、TOTOやSAGAといったバンド群の影響もしっかりと血肉にした実にバランスの取れたそのモダン・シンフォサウンドはとても2作目と思えぬ完成度で、大幅なメンバーチェンジと短くないインターバルが彼等のレベルを飛躍的に高める為に必要だったのだとそのサウンドが語りかけてくるようだ。

ここまで手放しで絶賛しておいてなんですが、勿論物足りなく感じる点もありまして、折衷案的に複合要素をバランス重視で組み上げている為か、少々そつなく纏まりすぎているのとツインのキーボード編成ながらサウンド全体のスケール感がちょっと小さい点だけは残念であります。

古典的な重厚さあるシンフォサウンドや最先端のテクニカルさや真にプログレスする姿勢を求める向きにはお薦め出来無いが、程良くモダンでポップなメジャー路線に近い軽めのシンフォ・ロックがイケるという方にお薦めしたいモダン・シンフォバンドであります。


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by malilion | 2018-07-26 14:31 | 音楽 | Trackback

南国の風、で連想するのがSEBASTIAN HARDIEならプログレ脳! NUCLEAR VALDEZなら陽気なラテン野郎!

c0072376_10551847.jpgNUCLEAR VALDEZ 「Present From The Past」'17

クソ暑い夏の日差しにグッタリ干涸らびかけていると、無性に聞きたくなるアルバムがありまして。
それが、今回ここでご紹介する“気怠げな南国の夕暮れ゙”を感じさせるサウントなバンドであります。

実は今年もレコードラックに手を伸ばし、アルバムに耳を傾けつつ何気なく彼等の事を検索してみたら…え!? 去年の4月末に音源がリリース!?

USフロリダで結成されマイアミを拠点に活動し、そのモダンでラテン風な哀愁メロディが注目を集めた、キューバやドミニカ共和国出身者で構成されたポップ・ロックバンドの、全世界を覆ったグランジーの波に呑まれ敢えなく所属レーベルのSONYをドロップする憂き目にあった後に制作された80年代後半時期頃のDEMO音源が、アナログ盤オンリー(LP)ながらリリース(DL販売済)されていたのを今頃知った…Σ(゚д゚lll)

収録曲は計8曲で、全てアルバム未収録曲となっております。

00年に久々にアルバムをリリースしたものの、その後一切消息が伝わってこなかった事からとっくに解散していたものと思っていた訳ですが、メンバーの Froilan Sosaのインタビューを見る限りその予想は外れてはおらず、既にNUCLEAR VALDEZはパーマネントなバンドとして常時活動していない模様で、Froilan Sosaも半ば表舞台から身を引いているようだが、それでもファンの声に応えて不定期にLIVEを行ったり、こうして音源をリリースしてくれたのをまずは感謝したい。

ギター中心のブルージーなシンプルサウンドなれどラテンフレーバー漂うアダルティックでアンニュイ、それでいて心地よいポップさも伴った楽曲が素晴らしい4人組バンドによる、SONYからの89年メジャーデビュー作『I Am I』は英国でスマッシュヒットを飛ばし、続く92年にキーボード中心なよりメロディアスでメランコリックなサウンドへ変化し、一気にAOR&ラテンテイストを強めポップ化(個人的に彼らの最高傑作と思っとります!)が加速した2nd『Dream Another Dream』をリリースしたものの活動は滞り、敢えなくメジャーレーベルよりドロップして消息不明になってしまう。

しばしの後、00年により落ち着いたシンプルサウンドながら楽曲の完成度は実は今までで随一な3rd『In a Minute All Could Change』をUS再販中心レーベルからリリースするが、この時点でオリジナル・ギタリスト Jorge Barcalaが脱退した3人組バンドとなってしまう。

アルバムには Dan Ceratelliなるリードギタリストが招かれ作曲にも数曲で参加もしているが、最新のLIVEフォトでは3人組になっているのを確認するまでもなく、早い段階でバンドを脱退した模様だ。

時流がら仕方が無いがダーティでラウドなギターサウンドが耳に付くものの、特に奇をてらったサウンドでもなく、ドポップでキャッチーという訳でもなく流行に乗っかった訳でもないサウンドでは弱小レーベルリリースのアルバムがそう話題になる訳もなく、この後自然消滅的に彼等の情報は入ってこなくなる……

本作は、その3rd制作のかなり前にセッションされたDEMO音源という事で、3rdほど落ち着いた枯れた味わい路線へいっていないラフでシンプルなそのサウンドは寧ろ1stに近いものを感じさせます。

ただ、次なるメジャーとの契約も目論んでいたのか、多分に時流を意識したっぽいアングリーテイストを漂わす暗めな粗いサウンドは、正直、彼等っぽさが薄いサウンドだなぁ、とは感じました。

メジャーとの契約を諦めて挑んだ3rdのサウンドには、むしろ清々しささえ漂っているように思えるので、このDEMO音源の方向性でメジャー契約した末にアルバムがリリースされる事なく終わったのは、今から考えれば彼等のファン的には良かった事になるもかもしれませんね…

さて、やはりこのバンドを語るとなるとどうしても外せないのが、ボーカルにして、ギターやキーボードもこなすバンドの頭脳 Froilan Sosaの気怠げで艶っぽく、男の色気を漂わす渋みある歌声についてでしょう。

日本独自ジャケ(世界共通のオッサンジャケはイメージブチ壊しだ)が秀逸な1stのシンプルなギターサウンドに乗っかるブルージーな歌声より、シンセやリズムマシーンを中心にしたよりメジャー志向な2ndの楽曲に乗っかるスムースで熱を秘めたアダルティックでありつつ、ロックぽい力強さと渋さを感じさせるマイルドで伸びやかな歌声が実に映えます。

特にゴスペルコーラスや管楽器なんかもフィーチャーされて、よりアメリカン・ポップさとラテンフレーバーや黒っぽいヴァイブが絶妙にミックスされたモダン・ポップサウンドの完成度はかなりのもので、どうしてコレが当時メジャーで受けなかったのか不思議だと常々思っとりましたから。

本当に全米を襲ったグランジーのクソ波は一体どれだけの有望なメロディアス・ロックバンドの命運と前途有望なミュージシャンの未来を奪ったのか、想像するだけで腹立たしい限りであります(#・ω・)

シンプル且つ哀愁の漂う歌モノなロックポップもイケる! と、いう方に是非お薦めしたい、そんなバンドであります。

本作はサウスフロリダのレコードストアで発売され、現在もアマゾン等で購入可能なので、ダイハードなファンな方は見逃せませんね。



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by malilion | 2018-07-17 10:48 | 音楽 | Trackback

まだLEPSコピーバンド丸出しだった頃のGRAND DESIGNの2ndがリイシュー!

c0072376_13360846.jpgGRAND DESIGN 「Idolizer Re-issue.ver」'18

北欧スウェーデンのLEPSコピーバンド(当時)と話題になった彼等の2ndにボートラが加えられ、今年4月末にリイシュー済と小耳に挟んだので今頃GETしてみました。

オリジナル・リリースはAOR Heavenからでしたが、今回から契約を本国レーベルSHARP Music Swedenへ移してのリイシューとなっております。

Track List
01.Get On With The Action
02.Change Me Up
03.Oughtograuph [2017]
04.Your Love's A Runaway [2017]
05.Stealin' My Love
06.Let's Rawk The Nite
07.Addiction For Love
08.Idolize Me
09.Rawk Back To The 80s
10.You're Gonna Dig On It [2017]
11.Oughtograuph [Original ver]
12.Your Love's A Runaway [Original ver]
13.You're Gonna Dig On It [Original ver]

Remastered&Remixedでのリイシューにあわせてジャケット・デザインが新たに変更されております。

オリジナルのデザインも悪くなかったんですが、まぁ、抽象的過ぎると言えばいそうなのでもっと分かりやすいイメージへ変更したのでしょう。

どうやら今後はヒョウは登場させず、SFというか宇宙的なイメージ、もしくはサイバーなイメージで以後はバンドカラーを纏めようとしているのかもしれません。

またトラッリストを見れば一目瞭然ですが、ボートラとはオリジナルバージョン音源の事で、今回のリイシューに合わせて全体のサウンドをリマスタ-、そして3曲を17年リミックスヴァージョン音源に差し替えただけのアルバムです。

オリジナルリリースからそんなに時間が経過しておらず元々音がメチャメチャ悪くもなかったので、聞き比べれば分かりますが別段驚く程にリマスターとリミックスの効果でサウンドが変わっているとか楽曲イメージがガラリと変わるって事もないので、ダイハードな彼等のファンか音源マニア以外は手を出す必要はないでしょう。

具体的な変化でいうとリミックス音源は大まかに、ギター・サウンドが少々追加され前に押し出されたMIXなのとハーモニー・ボーカルのヴォリュームが上げられている点、そして Janne Starkによる新しいギターソロが追加され、80年代のポップヒットメーカー LILI&SUSIEの Susie Paivarinta嬢によるバッキングボーカルがトラック04に追加れている点が特に大きな変化と言えるでしょうか?

勿論、彼等の2ndをまだお持ちでない方はこちらのリイシュー盤をお求めになった方がお得ではあります。

なんでも本国を中心にDEF LEPPARD懐古サウンドがユーロ圏各国で大受けしたらしく、既に1stはレーベルでも完売だとか。

まぁ、元々DL中心な今の市場を考えるとそんなに数はプレスしてなかったんでしょうけれど、それでも北欧の弱小マイナー・コピーバンドのデビュー作が完売とは恐れ入ります。

そんな好評もあってレーベルを本国へ移しての本作のリシューという運びなのでしょうが、ドイツを中心に昔からSWEETやSAGAなんかのポップでメロディアス、そしてキャッチーなバンドが好まれていた層の需要に、本家DEF LEPPARDが再現しない旧ゴージャスサウンドを臆面もなくパクりまくるという禁じ手(笑)がドンピシャでハマったって事なんでしょうかね?

とまれ本家LEPSのサウンドを下地に遂にオリジナリティある魅力的なサウンドを構築しはじめた彼等の新作が早く聞いて見たいものです。



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by malilion | 2018-07-16 13:30 | 音楽 | Trackback

まさかの15年ぶりの復活! USシンフォバンドTEN JINNの新作は完全に別バンドの傑作だ!

c0072376_17151109.jpgTEN JINN 「Sisyphus」'17

まさかの復活を果たした4人組USA産シンフォ・バンドの、17年初頭にDL先行でリリースされていた15年ぶりとなる4thがプレスされ現物がリリースされたので即GET!

リーダーの John Paul Strauss(Vocals&Keyboards&Acoustic Guitar:有名なオーストリア作曲家の血脈に連なると自称)が3rdアルバム『Alone』'03を置き土産にスウェーデンへ移住するのに伴ってバンドは消失と思っていた訳ですが、実際は04年に米国へ戻り音楽学校で勉強を始めていたんですね…

数年後、音楽大学を無事卒業し、再びバンドを再集結させた彼が放つのは、ピアノとオーケストラの為に作曲された8つのパートから成る26分越えの交響曲『Sisyphus』の、ヴォーカル入りとインスト・ヴァージョンの2ヴァージョン、つまり楽曲としては1曲のみ、を2トラックだけ収録した変則的なアルバムだ。

ポンプの唸りも消え失せた1991年 John Paul Straussを中心に結成され、幾度かのメンバーチェンジを繰り返して97年に『Wildman』でデビューを果たすが、その1stアルバムに元HAPPY THE MANの Stanley Whitaker(G)をゲストに迎えるなど、70年代に活躍した同郷USAプログレ・バンドHAPPY THE MANの影響が、クリアーなフュージョン的サウンドを主体とするそのサウンドから色濃く窺える事は自他共に認める所だろう。

無論その他にも、GENESIS、GENTLE GIANT、JETHRO TULL、QUEEN、SAGA等といったバンドの影響も窺え、それら一連のプログレ&シンフォ系のサウンドにAORやニューウェーブ、その他にもハードロック要素や中世民族音楽等、様々な音楽要素をパズルのピースの様に組み合わせて加え、キャッチーなメロディ、緩急あるダイナミクス、巧みな楽曲構成、精巧なオーケストレーション、そして耳を惹くインストゥルメンタル・パッセージをコンパクトにまとめ上げ、アメリカ産バンドらしく鮮やかで爽快感のあるモダンでシャープな知性派シンフォ・サウンドをデビューアルバムでは披露している。

また、USA産シンフォ・バンドながらパワフルさやスピードといったサウンド要素は余り感じとれず、キーボードだけでなくMIDI Guitarも操るギタリスト Mike Matier(後にUS産YES系シンフォバンドHELIOPOLISとBOX OF SHAMANSへ参加)のプレイやChapman Stickやキーボードも操るベーシスト Matt Overholtzerのプレイもあってシンセサウンド主体なSAGAっぽいカナダ産ポップスっぽく聞こえ、その印象に拍車をかけるのがSAGAの Michael SadlerとVDGGの Peter Hammillを足して二で割ったような John Paul Straussの柔和で涼やかな歌声のイメージが大きくバンドサウンドのカラーを決定づけていたように個人的には思えます。

アッサリ気味だったデビュー作から打って変わり、Anne Riceのヴァンパイア誌『The Vampire Lestat』と『Damned of Queen』にインスパイアされた99年の2ndアルバム『As On a Darkling Plain』ではのっけから40分越えの大作を披露するなど、コンパクトなバランス重視から一気にシンフォバンドらしい大作志向へ路線変更し、JETHRO TULLとHAPPY THE MANを融合させたかのような、シャープでクリアーながら未だにポップさも保っているミステリアスなサウンドの、芝居がかったヴォーカルが好みを分ける出来には驚かされた。

バンドメンツに変動もなく、デビュー作に続き Stanley Whitaker(G)を再びゲストに迎えるなど総じて出来は悪くないものの、クリエイティビティの高まり故の大作だったのだろうが、教会オルガンやハープシコード、そして合唱団等で盛り上げているにも関わらずそのサウンドにはユーロ圏のバンド達が表現している“深み”や“艶”といったものが欠け(やっぱサウンドが軽いんだなぁ…インディ作だし仕方が無いけど)て聞こえ、また John Paul Straussのヴォーカルスキルもそういったコンセプト作的な物語を表現出来る程に高くなかった(声質はいいんだけどね…)のもあって、この手の重厚な大作に挑むのはバンドのポテンシャル的にも爽やかでスタイリッシュなサウンドが似合うバンドカラー的にも厳しいと当時感じたものです。

しばしのインターバルの後、03年に3rdアルバム『Alone』がリリースされたが、ここでアルバムデビュー以来初となる大きなメンバーチェンジが勃発し、ベーシストの Matt Overholtzerが脱退し、2ndリリース後に脱退していたギタリスト Mike Matierはバンドへ復帰、さらに新たにギタリスト Kenneth Skoglundを加え、ベースはドラマーの Mark Wickliffeが兼任でレコーディングするという変則的5人組編成になってしまう。

John Paul Straussと Robert NiemeyerのダブルキーボードにMIDIギターも操る Mike Matierがキーボード的ギターサウンドも添えるというSAGA的なキーボード偏重編成から、ツインギターに加えダブルキーボードという如何にもプログレ的な音の厚みとライヴパフォーマンスを重視したバンド編成で、しかも楽曲によってはギタリストとベーシストをゲストに迎えて制作された3rdアルバムのサウンドは、これまでのキーボード主体サウンドより明らかにワイルドでラウドなギターサウンドが活躍しているものの、けれどそれ程重厚にはなっておらず個人的にはこのツインギター編成には余り意味を見いだせませんでした…('A`)

またサウンドの方向性が今までのシットリしたウェット感とユーロテイストの色濃かったシンフォ系サウンドから様変わりし、朗らかワイルドなアメリカン・ロック要素が強く感じられる楽曲が多く、爽やかな分厚いヴォーカルコーラス等も今まで以上にフィーチャーされたり、キーボードの音色も妙にシンセシンセした明るいサウンドにアコースティックギターが絡むなど、今まで見受けられなかった要素が大きくクローズアップされた創りになっており、なんだかサウンドが散漫な3rdを最後に彼等は音信不通になる訳ですが、そのイマイチな出来を思うと当時そう寂しくもなかったように記憶しております(汗

そうそう、そんな方向性だったからなのか3rdには Stanley Whitaker(G)が客演していないのも妙に納得でしたね、当時。

さて、再始動した本作のバンドメンツですが、リーダーの John Paul Strauss(Vo&Key)は無論、 デビュー作以来ずっとリーダーを支え続けているドラマーの Mark Wickliffeも当然そこには居て、Mike Matierと Kenneth Skoglundのギタリスト2人も再び参加しているものの、キーボーディストの Robert Niemeyerの姿は既にそこには無く、未だにベーシスト不在なままの正式メンバーは4人のバンドとなっている。

当然、ベースはゲストプレイヤーが迎えられている訳だが、なんとここでも何度か紹介した事のあるドイツ人ギタリスト Derk Akkermann率いるポップ・シンフォバンドSARISの93年デビュー作『Dead End Street』にのみキーボーディストとして参加(!?)していた Stefan Kramer(まさかの同姓同名?)が本作ではベースとトロンボーンをプレイしていて驚かされた。

本当に同一人物だとしたら、一体どういった経緯でキーボーディストだった彼がベーシストとしてアルバム制作に参加したのか、ちょっと興味津々であります(w

その他にも Helena Skoglundと Evelyn Haddadなる2人の女性をバッキングヴォーカリストにゲストで招くだけでなく、メンバー全員が本作ではバッキングヴォーカルにも加わりこれまで以上にヴォーカルパートへの拘りが感じられる構成になっているが、時を経て放つ本作では再び2ndと同一路線の組曲形式の大曲を披露する方向へ軌道修正した模様で、一聴して全く別のバンドかのような華麗にして重厚な、正にENID張り(!!)のシンフォニック・サウンドになっていてこの大変貌にはファンならずとも度肝を抜かれる事だろう。

学校で音楽を学んだ成果が十分に発揮されたのか、まず最大の弱点(個人的には強みでもあると思っていたけど…)だった軽いサウンドが一気にユーロ圏のシンフォ・バンド群にも引けを取らぬ、クラシカルさとシアトリカルさが妖しくそして優雅に混ざり合った壮大な作風へと様変わりしていて、正に2nd当時に欲しかった艶やかさと深みを伴った殆どクラシック音楽と言ってもいい美旋律がど迫力のオーケストレーションで描き出されている(*´ω` *)

また John Paul Straussの歌声にも経年による変化が見て取れ、以前より幾分渋みを増したちょっとPENDRAGONの Nick Barrettっぽい歌声になっており、それがこの重厚にしてドラマチックなアルバムのサウンドに実にマッチ(お察しの通り、決して上手い訳ではない)していて、以前は聞く事のなかった優雅に軽やかに舞い踊るかのような入魂のピアノ・プレイも相まって、15年の隔絶は決して無駄ではなかったのだと証明してくれている。

ピアノやストリング中心でオーケストレーションがサウンドの根幹を成しているものの、バックのギターやリズム隊、そして女性バッキングヴォーカリスト達も目立たないながらも楽曲を適切に盛り上げる役割をしっかりとこなしており、これまでの彼等のアルバムを一切聞いたことなくとも本作だけでも十二分にその美しく幻想的なシンフォニック・サウンドを愉しむ事が出来ると言えましょう。

いや、ホントにもうコレって殆ど別バンドだから(w

ENIDファンは無論の事、クラシカルなサウンドが好きな方や重厚にして華麗なシンフォニックをお好みの方に是非お薦めしたい、そんな一枚であります!('(゚∀゚∩



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by malilion | 2018-07-09 17:09 | 音楽 | Trackback

謎に野郎のツインヴォーカル編成へ。チェコ産シンフォHMバンドSYMPHONITYの2nd!

c0072376_15345399.jpgSYMPHONITY 「King Of Persia」'16

北欧ドゥームHMの開祖CANDLEMASSの前身バンドNEMESISと同名ながら人脈的も音楽的にも一切無関係ないHM辺境国チェコ共和国(旧チェコスロバキアのドイツ寄り側)から03年に日本盤デビューを果たした後、08年にフロントマンの交代やメンバーチェンジ、さらにレーベル移籍を経てバンド名をSYMPHONITYへ改めデビューし直したkey入り5人組バンドの、前作『Voice from the Silence』より約8年ぶりとなる2ndアルバムを今頃ご紹介。

アルバムのリリース間隔の長さもさる事ながら、バンド名の変更や音楽性の変化、そして情報の入って来難い東欧マイナーHMバンドと言う事で、既に彼等の事を忘れてしまっている方も多いかもしれないが、18年現在まだちゃーんとバンドサイトも残っている、デビュー以来地道な努力と活動をコツコツ続けるマイナーHMバンドのお手本のようなバンドであります。

NEMESISのデビュー作『Goddess of Revenge』は、HELLOWEEN風ジャーマンHMをベースに北欧シンフォニックHM風のマイナー調でメロディックな臭メロをまぶした北欧メロハーの雄 SONATA ARCTICA“っぽい(ココ重要)”スタイルで、その実にB級臭メロ映えするDARK MOORやHEAVENLYと同系統の拙い演奏&クサクサB級メロスピ定番ツーバスドコドコ疾走シンフォHMサウンドに、ここ日本の愛好家達も泣いて喜び好評を博した訳でした。

続く改名後の第一弾作では、ドイツ人の元DIONYSUSのフロントマン Olaf Hayerを迎えた事で一気にヴォーカルパートのレベルが上がり、線は細いながらも甘い声質でなかなかマイナー北欧疾走HMにマッチしていた Vilem Majtner(Vo)に無い太く力強い歌声と暑苦しい圧しの強さ(汗)が加わってバンドサウンドがさらに進化発展し、NEMESIS時代の東欧産らしい叙情感あるマイナー臭が減ってスタイリッシュでテクニカルな近年のSTRATOVARIUSサウンドへ接近した、よりメジャー志向でモダンなメロディック・パワーHMへとサウンド路線を微調整した一作で、それでも未だにクサメロスピのウェット&マイナーな残り香がそこかしこからプンプン発散され、大仰な表現と劇的展開で怒濤の如く圧しまくるマッチョな濃密さが少々鼻につく、メジャーHMバンドが失ってしまったマイナー臭を未だに漂わすが故に東欧産バンドというアイデンティティと相まってテクいモダン・ジャーマン&イタリアン・メロパワと近似サウンドだけど微妙に唯一無二のオリジナリティを保っている、A級までもうチョットな遮二無二に突っ走るB級HMアルバムを個人的に今でも大変気に入っております。

で、長らく待たされた末にやっとリリースされたこの本作ですが、この短くないインターバルも影響したのか残念な事に再びメンツに変動があった模様です。

SYMPHONITY改名と前後して、後にCRADLE OF FILTHやMASTERPLANに加入する事になる名手 Martin Skaroupka(Ds)と、DIONYSUSで活動した Olaf Hayer(Vo)、そしてやっと専任ベーシストの Tomas Celechovskyを迎え入れてバンド体制の充実とサウンドの軌道修正を図った彼等ですが、本作制作中の12年に不幸にして Tomas Celechovskyを病で亡くすアクシデントに見舞われ、替わって Ronnie Konigなる新ベーシストを迎えるゴタつきでアルバム制作が遅れたのと、なんとHELLOWEEN、そしてBLIND GUARDIANの遺伝子を継承するジャーマン・メロディック・パワーHMバンドSINBLEEDの Herbie Langhans(Vo)が新たに加わったツインヴォーカル編成(!?)の6人組となって初めて制作されたアルバムとなっている。

311やZEBRAHEADなんかの所謂ミクスチャー・ロックバンド系なら見かけるし、ゴス系なら男女ツインヴォーカル編成は定番なものの、MH系で、しかも野郎のツインヴォーカル(楽器兼任ヴォーカルでない)というのはなかなかお目にかかれないので、やはりこの点が本作の一番の話題なのは間違いないでしょう。

しかも、タイプや声質や毛色の違うフロントマンで差を出すという作戦なら分かるが、熱唱系の比較的似ているヴォーカルスタイルと声な二人をフロントに迎えた意味って、正直コレありますぅ? ってのが初めてこのアルバムに耳を傾けた時の偽らざる感想だ。

大体、それぞれが独立して歌う楽曲が殆どで、掛け合いだったりハモりを効かせたり、二人でデュエットしたり、というパートは殆ど聞かれない、またはソレを強く押した楽曲の造りではない、なんて一体なんの為のツインヴォーカル編成なのか甚だ疑問であります。

もしかして、楽曲の制作は殆ど終わっていたけど話題性を考えてレーベルと政治的な取引で Herbie Langhansが新たにバンドへ加入した、だから楽曲ではツインヴォーカルの利点は活かされていないんでしょうか? デュエットしてるはしてるけど、2曲だけじゃなぁ…しかも、殆ど効果を生み出してない構成っていう…

つーか、8年も待たせたんだし、今更多少遅くなろうとファンは気にもしないし、そもそも存在を忘れてるくらいだったんだろうから、ちゃんとツインヴォーカルを活かした構成の楽曲を収録したアルバムを届けて欲しかったなぁ…('A`)

寧ろ、ハモりやツインの構成を活かしてるのはリーダーの Libor Krivak(G)が奏でる自由奔放なリードギター・プレイだったりキメのメロディアスなフレーズばかりで、これまでに無いくらい爽快でポップなフィールの、フュージョンにも通じるクリーンでモダンなギターサウンドが飛び出してきて驚かされるばかりでした。

ギタープレイがそうだから、と言うだけの理由ではないだろうが、これまでの北欧HMスタイルを取り入れた、シンフォニックで力強く、そしてドラマティックな曲調が特徴な疾走感溢れるクサメロが仄かに香るメロディック・パワーHMな作風に変化が起こり、従来の北欧風な透明感と哀愁漂うマイナーなユーロテイストある繊細なメロディや遮二無二突き進む疾走感が大きく後退し、ググッと男臭くタフなヘヴィネス・サウンドが強まって、荒々しいダークでパワフルなサウンドが強く押し出されたドイツ産モダン・ヘヴィネス・バンドお得意のミドル&ファストな鈍色パワーHMサウンドに接近したイメージで、バンド結成以来メインとも言えた臭メロのメロスピ・タイプな楽曲は完全に脇役に押しやられてしまっている。

ただ失うモノもあれば得たモノも大きく、キャリアに裏打ちされた確かなバンドサウンドとアンサンブルの質は高く、デビュー間もない頃の殆ど差異の無い音楽性が本作においては多様になり、曲調も幅が拡がって、オペラチックな大仰なコーラスをフィーチャーした重厚なシンフォHMやポップでキャッチーなフィールあるメロ・ハーHM、そしてメインのザクザクしたリフで重く鈍く攻め立てるミッドテンポ主体なパワーHM等と、実にバラエティに富んでおり、アルバムにしっかりとした起承転結の流れと深い叙情の陰影を生み出していて、一気に最後まで聞き通させる魅力を放っている点には驚かされた。

この手のデビュー作の疾走感と勢いが売りだったマイナー・バンドがキャリアを重ね、サウンドの幅を拡げて音楽性の深みを増したサウンドを披露した時、大抵感じるガッカリ感と新しい魅力が与えてくれる喜びの差が問題な訳ですが、残念ながら彼等の場合はガッカリ感の方が少々大きかったかな、というのが正直な感想であります。

やっぱり、曲調の変化以上にパワフルに歌えるヴォーカリストを二人も備えた贅沢とも言えるツインヴォーカル編成の効果が殆ど活かされぬ楽曲への失望が大きいですね…うーん…orz

所で、『Voice from the Silence』でも聞く事が出来き、本作でもアルバムタイトルになるくらいでバッチリ楽曲中でも奏でられてもいる、アラビックなフレーズやミステリアスなメロディ展開は恐らくリーダーの Libor Krivak(G)の嗜好によるものだろうが、東欧産のメロディック・パワーHMバンドが中近東風メロディを頻繁に奏でるのって中々興味深いですよね。
デビュー当時からお手本にしてるHELLOWEENやSTRATOVARIUS、そしてSONATA ARCTICAでは余りそんなサウンド要素は聞けない事を考えると、もしかしてコレって彼の叙情味溢れる技巧派プレイスタイル的にインギーの影響を受けたって事なんじゃ、とか妄想は尽きませぬ(w

ともかく作を重ねる毎に焦点を絞り、少しづつサウンドの幅を拡げて到達地点へ愚直に邁進してきた不器用な彼等が、本作で一気にサウンドの幅を拡げた副作用でかサウンドの焦点がボヤけてしまい、なんだか迷走しているように思えて仕方がありません。

出来る事ならば、次作はそんなに待たせずに疾走感を取り戻した、まとまりある新作を届けて欲しいものであります。



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by malilion | 2018-07-06 15:27 | 音楽 | Trackback

これが最終作なの? UNRULY CHILDの5thはメロハー・ファンには厳しい内容だ…

c0072376_16383272.jpgUNRULY CHILD 「Can't Go Home」'17

華やかな80年代アリーナロックの眩い残光に包まれ92年にデビューしたUSA産メロハー・バンドの、幾度目かの休止を経てのEP『Down The Rabbit Hole」』リリースから3年ぶりとなる、アーカイヴBOXセット『Reigning Frogs』の少し前にリリースされた、今の所最新アルバムを1年以上遅れて今頃ご紹介(汗

前アルバム『Worlds Collide』'10でオリジナルメンバーによる待望のリユニオンを果たしたものの活動は継続せず、ネットDLのみでEP『Down The Rabbit Hole」』をリリースするなどイマイチ活動が軌道に乗らぬ彼等ですが、ともかく本作でもオリジナルメンツの態は保って25周年の節目に新譜をリリースしてくれた事は、ファンならば誰もが文句無く感謝したいだろう。

まぁ、結成前からそれぞれ名の知れたバンドのメンツであり、最初の解散の後も、それぞれ新バンド結成やセッション、プロジェクト、ソロ活動等と各自精力的に活動しており、既にUNRULY CHILDでの活動はプライオリティの低い事柄なのだろうし、今後の活動継続は不透明とこの時点でコメントしている所を見ると、これがUNRULY CHILDとしての最終作と捉えてもいいかもしれない…(つд`)

そういったバンド活動の内幕の情報にも増して本作について一番の話題は、サウンドの方向性が一気にAORテイストの比重が増えた、所謂渋めなバランス重視のオーセンティックなポップロックに変わり果ててしまった事だろう。

EPのサウンドには未だにメロハー・テイストがそこかしこで感じられたのに、本作においては以前の彼等のアルバムで聞けたメロハー的な尖った部分や、ハードドライヴィングするスピーディなサウンド展開やヘヴィなボトムといったHM的要素が殆ど姿を消し、デビュー作で聞かれた造り込まれ磨き抜かれた人工的で濃密な厚みある爽快産業ロック的サウンドといった要素のみが残った、下手をすると Marcie Free(Vo:元Mark Free)のソロアルバムと言ってもいいくらい衝動に乏しい普通のロック・アルバムなのだ。

勿論、キャリアの長い名うての名手揃いな彼等のアルバムなのでプレイやプロダクション、楽曲アレンジ等に野暮ったさなど皆無でケチのつけようなんぞないハイクオリティな仕事ぶりなのだが、どこか冷めた感触さえあるアーバンな雰囲気漂うシャレオツなモダン・ポップサウンドの質は総じて高い(アレンジがアッサリ目なんだよなぁ…)ものの、最早コレは溌剌としたキャッチーでポップでフック満載なメロディアスHMサウンドをクリエイトしてくれていたUNRULY CHILDではないのが悲しい……orz

長いキャリアを誇る彼等なのだし、ましてやメンツの変動やリユニオン等あってサウンドの方向性が変化するのは当然だろうし、ソレを否定もしないけれど、UNRULY CHILDをUNRULY CHILDたらしめていたサウンド要素が殆ど姿を消した、Marcie Freeの歌声のみが残った現状には…流石に…ねぇ?(汗

Marcie FreeのソロAORアルバム、って言われた方が納得出来るサウンドなんですよね…ホントに…寧ろ、そうだったら手放しで歓迎してる質の高いAORアルバム(裏で薄っすら聞こえるコーラスがTOTOっぽかったりELOやCHICAGOっぽかったり♪)だと思いますもの…

アーカイヴBOXセットをリリースした事でもあるし、実際他での活動がメインなメンバー達からしてみたら既にUNRULY CHILDは実体のない過去のバンドなのかもしれないが、最終作かもしれぬアルバムがこの出来なのは悲しすぎる…

叶うならば次なる新作で、一連のネガティブな感情を吹き飛ばすようなキャッチーでフック満載なキンキンにド派手な懐かしのメロハーサウンドをひっさげて再び新譜を届けて欲しいものである。



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by malilion | 2018-07-05 16:32 | 音楽 | Trackback