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古典とモダンを融合させ進化を加速させる! SPOCK'S BEARDが新譜をリリース!

c0072376_18083187.jpgSPOCK'S BEARD 「Noise Floor」'18

90年代北米Progressive Rockを代表するバンドと言っても誰も異論はないだろう盤石の地位を築いている彼等の、前作『The Oblivion Particle』より3年ぶりとなる2枚組13thスタジオアルバムがリリースされたので即GET!

いや~、良作目白押しで嬉しい悲鳴が止まりません♪(*´ω` *) ヒャッハー

度重なるオリジナル・メンバー脱退の危機を乗り越え、ここ数作は三代目フロントマンにENCHANTの Ted Leonard(Lead & Backing Vocals、Guitar)を、ドラムスに長らくツアーのサポートメンバーであった Jimmy Keegan(Drums、Percussion、Backing Vocals)をメンバーに迎えて万全の5人体制に戻り新たなバンドサウンドの構築へ邁進していた彼等だが、その Jimmy Keeganが16年に自身のソロキャリアや他のセッションワークが忙しいとの理由でアッサリ脱退してしまい、現在の所バンドは正式ドラムメンバー不在状態の4人組となっている。

普通ならその事前情報だけで嫌な気分になる所なのだが、本作に置いては Jimmy Keeganに代わって元オリジナル・ドラマーにして二代目フロントマンであった Nick D'Virgilio(現BIG BIG TRAIN)をサポート(飽くまでヘルプで正式復帰ではない)に迎えてアルバム製作をすると発表し、逆に興味をそそられる状況であったのは面白いトピックだろう。

さて、その新作だが、ここ数作で顕著になったのが Ted Leonardのブライトな歌声を得た事でバンドサウンド全体にキャッチーな爽快さが増した変化であったが、本作ではその Ted Leonardの歌唱に軸を置いたソリッド且つキャッチーな80年代中期以降のアメリカン・プログレ・ハードなテイスト(そもそもENCHANTがモロKANSASの影響大だしね!)が更に増し、よりコンパクトでダイナミックでありながらハード且つテクニカル、それでいて軽やかさやポップさは損なわぬモダン・シンフォロックをさらに進化させたサウンドなのが、ファンならずとも本作に耳を傾ければすぐ分かる傑作だ!('(゚∀゚∩

初期のGENTLE GIANT張りな分厚いヴォーカル・ハーモニーによる畳みかけは姿を消したが、基本的にヴォーカル・オリエンテッドなスタンスを守りつつ、繊細なメロディを奏でるギターにはじまって、ハードドライヴィングなリフの畳みかけや、重厚でミステリアスなメロトロンの多用、ジャージィなオルガンの弾き倒し、未来的な感触のデジタリーなシンセワーク、流麗なピアノも交えた複雑なアレンジ(キーボードの奥本亮がホント大活躍!)をはじめ、ちょっと聞き簡素に思えるがその実は難易度のクソ高いプレイヤースキルをさり気なく短いインタープレイやソロで披露しつつ、濃厚なドラマ性も巧みに組み合わせて融合させた、ここ数作より確実にサウンドの完成度とプログレッシヴ・パワーを増した、まさにこのバンドの持ち味と魅力が凝縮された一品に仕上がっている。

個人的には Ted Leonardがバンドに馴染んできた為か、彼が持ち込むKANSAS風味をはじめ80年代アメリカン・プログレ・ハードな抜けの良い爽快なテイストや雰囲気、そして懐かしい柔和なサウンドの既視感が、最先端のモダン・シンフォロック・サウンドを怒涛の勢いで進化させてきた彼等のサウンドに、いっそうの奥行きと温かさ、そしてドライになりがちなUS産バンドのサウンドに“艶”を加えたように思えて大変嬉しく思っております(*´ω` *)

また例の如く、KANSASやSTYX、BOSTON等の古典的USプログ・ハードバンドの影響や、初期のJETHRO TULLを思い起こさせるメロディアスなフォークギターや、美しいハーモニー・リードパートと David Gilmourの影響あるギターソロが聞けるPINK FLOYDとTHE BEATLESが1つに融合したような独特の雰囲気を持つ怠惰なバラードに、THE WHOに似た複雑でメロディアスなビートの効いたパワー・ロックや、スパイ映画のサントラ的なサウンドなど様々なオマージュ的サウンドピースもまぶされていて、シリアスなだけでない遊び心ある彼等のサウンドには思わずニヤリとさせられる。

プログレ・バンドの定番でもありこのバンドもこれまで20分や15分越えの幾多の大曲や組曲等を披露してきたが、本作の楽曲は総じてコンパクトに纏め上げられており残念ながら長尺曲は無いものの、魅力的なハーモニー、劇的なアレンジ、メロディッアスな楽曲、テクニカルでセンセーショナルなインストゥルメンタル・サウンド、そしてそれらが明快さと深み、攻撃性と繊細さ、を兼ね添えた心温まるメロディやユニークなフックで彩られるだけでなく、怒濤のパワー、洒落たアクセント、リアルなストリング等々の、プログレ・ファンが求めるだろう全ての要素が満載されていて、ポピュラリティあるモダン・サウンドなのを堅持しつつ、爽快さと大衆性の高いサウンドを披露する彼等の絶妙なバランス感覚が活かされたこの方向性は抜群に素晴らしいので、是非ともこのままこの路線を続けて欲しいですね。

惜しくもアルバム本編から漏れてしまった楽曲はディスク2の『CUTTING ROOM FLOOR』に収録されていて、欧州盤ボーナスの4曲に加え、日本盤のみの貴重なデモ・トラックを7曲も追加収録しているので、ちょっとお値段高いけどソレでも内容を考えればお買い得ですよ!

KANSAS風味漂う爽やかでキャッチー、それでいて重厚にしてテクニカルなSPOCK'S BEARD節をたっぷり堪能出来る、正にハズレ無しの彼等の新作は、ファンならずともUS産モダン・シンフォ好きな方にマジでお薦めな一枚です。是非チェックしてお買い求め下さい!




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by malilion | 2018-05-28 18:03 | 音楽 | Trackback

UKネオプログレ界の雄ARENAが、ダークでシアトリカルな続編コンセプトアルバムをリリース!

c0072376_14200135.jpgARENA 「Double Vision」'18

Mick Pointer(ex:MARILLION)と Clive Nolan(SHADOWLAND、PENDRAGON、etc...)率いるUKネオプログレ界の雄ARENAの、前作『The Unquiet Sky』以来3年ぶりとなる、異様なジャケが物語るようなシアトリカルでダークなイメージを漂わす9th(LIVEとか変則アルバム多数を含まず)がリリースされたので即GET!!

前々作で三代目フロントマンに Paul Manziを迎え、前作で三代目ベーシストに Kylan Amos迎え創作体制がバタついた彼等だが、本作ではメンツ変動はないようで一安心だ。

バンドは今年18年に3rdアルバム『The Visitor』リリース20周年を記念してアルバム再現ツアーを行う予定(既にツアーは開始済)で、同時にこの新作のプロモーションLIVEも行うと言う。

新譜タイトルが告知された時から本アルバム名と同名曲を含む『The Visitor』との繋がりが予想されていたが、本作収録の大曲『The Legend Of Elijah Shade』のコンセプト&テーマと関連する20年前のアルバムの続編的意味合いを持ち、その為か初期風なエピカルで壮大なネオプログレ・サウンドで彩られていて、近年のダークでヘヴィな要素の強い進化したモダン・シンフォサウンドに辟易していた初期ファンにこそ、是非耳を傾けて欲しいポンプならではの柔和で甘味あるメロディが随所で光るシンフォニックで叙事詩的な一作に仕上がっている。

“他人を踏みつけのし上がり、持っているモノを自慢げにひけらかす…それはただの紙の王冠だ”

“利害の衝突と翻弄される人々”をテーマにしたコンセプトアルバムとなっており、ここ数作のコンパクト路線から再び壮大なスケール感を漂わす初期スタイルへ回帰したサウンドがメインなものの単なる懐古サウンドの再現な訳もなく、近作に共通するソリッドで硬質なHM色を保ちつつ、このバンドらしいモダン・シンフォサウンドとディープなドラマティックさが光る音楽性なままに、『The Visitor』のダークな世界観と雰囲気(以前の爽やかさは見当たらないケド…)を継承した“動”と“静”の対比を活かす劇的な手法で重厚なコンセプトとシリアスなテーマを描ききる意欲作だ。

プログレ&シンフォのみならず幅広いジャンルで活躍するだけあって Paul Manziのヴォーカルはパワフルかつダイナミックな上にレンジも広く表現力豊かで、コンセプトアルバムに相応しく実に感情的なその歌声は『The Visitor』時のフロントマン Paul Wrightsonのシアトリカルな歌唱以上に楽曲を次のレベルに引き上げているし、『The Visitor』時以上にバンドへ貢献する John Mitchellのテクニカルなギター・プレイは、目まぐるしく展開するテーマを描き出さんとして、時にヘヴィにエレクトリック・サウンドをハードドライブさせ、時に叙情美漂わす繊細なアコギを爪弾く等々、幅広いスタイルで実に多彩なサウンドを響かせ、物語を克明にイメージさせる重要な要素としてアルバムの随所で強烈な気を吐いている。

そして、Clive Nolanは22分を越えるドラマティックなラストの長尺曲で一気にそのプレイヤースキルを開放し、ミステリアスで不穏な導入部分から始まり、息を呑む美しく優雅なキーボード・パッセージや流麗なテクニカル・プレイは勿論のこと、無限のテンポシフトでタイト且つハードに展開される壮大なスケールの物語を描き出すキーボードサウンドは怒濤の如く渦巻き、雄大でメロディアスなキーボード・ラインと長く複雑なインストゥルメンタル・セクションの果てに Richard Wakeman風な教会オルガン・サウンドを荘厳に鳴り響かせ、一転ハードになってからミステリアスな導入部分のテーマへ戻って締めくくる流れが個人的には気に入っております(*´ω` *)

うーん、ソロ活動や他バンド、そして幾つかのプロジェクトに裏方作業等で多忙(John Mitchellを余り待たせないで!)であろう Clive Nolanですが、やはり Mick Pointerと組んでいるだけあってARENAだけは別格なのか気合いの入りようが違いますねぇ♪

UKネオプログレ&シンフォ界のトップバンドたる面目躍如な強力作となった本アルバムを是非チェックしてみて下さい。



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by malilion | 2018-05-27 14:14 | 音楽 | Trackback

オセアニアン・シンフォの美を極めんとするANUBISが、ピュアなリアレンジ再録アルバムをリリース!

c0072376_07091981.jpgANUBIS 「Different Stories」'18

オーストラリアというプログレ&シンフォ不毛の地からデビューした期待の新星で、key入りツインG&ツインVo編成6人組の、LIVE作を挟んで前作より1年ぶりとなる新譜がリリースされたので即GET!

思いの外早い新譜発売の情報に小躍りしたが、その内容は既発スタジオ・アルバム4枚から7曲をセレクトし、デビュー以前の未発表曲を新録で1曲加えた所謂コンピレーション・アルバムでした。

『なぁ~んだ』と、普通なら興味が失せる所(イヤ、未発音源は気になる…)ですが、流石コンセプト・アルバム大好きグレ・バンドの彼等です、そんな単純な編集盤でお茶を濁すような無様はしでかしません。

既発曲は全て新録(!)で、しかも只の再録ではなく、本来のディストーションが効いたエレクトリック・ギターを一切使わぬアコースティカル・ヴァージョンに仕上げられて(!!)おり、それに合わせてリズム隊やキーボードもイメージを一新した繊細で叙情感タップリなプレイを聞かせ、さらにメンツ全員によるヴォーカル・ハーモニー(ちょいYESっぽい?)も新たに、楽曲が持つメロディの美しさに磨きをかけ、メランコリックな美旋律をエスプレッソの如く濃密に再構成した、パワーとソリッドさを捨て去ったピュアなリアレンジ版で、既に彼等のアルバムを全て入手しているファンでも安心して手を出して戴ける似非BEST(笑)だ。

1stから2曲、2ndから2曲、3rdから2曲、4thから1曲をチョイスし、残りは新録の未発曲1曲の計8曲から成るアルバムだが、2nd以降一気にHRテイストが増して音楽性が変化した彼等が、まさかマイナー映画のサントラの出来損ないみたいだった1stから2曲もチョイスするとは予想外でした。

どちらかと言うと彼等はHRサイドからのプログレへのアプローチを身上としている新世代ハード・シンフォ・バンドだと思っていたし、シンフォ系の枠に収まりきらぬHRテイストあるスリリングでパワフル&ストレートなプレイが彼等なりの個性と思っていただけに、その内に秘めたリリカルでエモーショナルな美旋律が再録盤とは言えこうして浮き彫りにされる形となるリアレンジ作リリースの意図とは、自身の音楽スタンスを内外に再確認させる為のアコースティック・アプローチなのだろうか? それともアルバム毎にシンフォ度が深まるバンド内で、キーボーディスト David Eatonの発言力が増しているだけなのか…?

ともかくHR的な彼等の音楽テイストに面白味を感じていたファンにとっては軟弱で鄙びたサウンドに聞こえるかもしれないが、彼等のプログレ的サウンドやシンフォニックなサウンドの美しさに惹かれていたファンにとっては、その流麗でシットリとした叙情が薫る、正に“オセアニアのそよ風”とも言うべき透明感あるエレガントな楽の調べをタップリと堪能出来る一作なのは間違いない('(゚∀゚∩

バンドメンツに変化はなく、

Robert James Moulding (Lead Vocals、Acoustic Guitar、Percussion)
David Eaton (Piano、Organs、Keyboards、Acoustic Guitars、Laud、Strings、Melodica、Voice)
Dean Bennison (Acoustic Guitars、Slide Guitars、Clarinet、Voice)
Douglas Skene (Acoustic Guitar、Jazz Guitar、Voice)
Anthony Stewart (Bass Guitars、Vocals)
Steve Eaton (Drums、Percussion、Voice)

の、6人がアコースティカルな作風に合わせて、常と違う楽器などもプレイ(アコギ多っ!)しているのも本作の聞き所だろう。

いやー、しかし今回の宝石のように透明感ある美しいサウンドの中だと、改めて Robert James Mouldingの甘い声質のヴォーカルが非常に良く映えますなぁ~(*´ω` *)

隙間の多いシンプル風なサウンドの中で、まるで水を得た魚のように、時に切ないファルセットを聞かせ、時にミドルレンジで優しく語りかけ、時にセンチメンタルなサウンドに溶け込むように囁いたりと八面六臂の大活躍で、普段シンフォサウンドに隠れがちな彼のウットリするような繊細な声の使い方を堪能出来るのも本作だけの楽しみだ。

そうそう、個人的に彼等のアルバムの中でも随一に駄作だと思う1st収録曲も、本作でアコギアレンジされるとアラ不思議♪ 意外と聞けるじゃーあぁーりませんか♪ と、いう嬉しいサプライズがありましたとさ(w

因みに未発曲は、アコースティカルな本作の方向性もあってかマッタリ穏やかミッドテンポの、なんだか夕暮れをイメージさせるエンディングに相応しい曲で、1st以前の所謂未だにバンドの方向性が不確かだった頃の普通の曲、というイメージで可も無く不可も無くと言う所でしょうか?

また、スペシャルゲストでデビュー作以来アディショナルメンバーとして長らく製作に参加していた管楽器奏者の Martyn Cookが本作でもTenor Saxを客演してアルバムにムーディーな風味と華を添えている。

本作の現物は500枚限定(!?)の見開き紙ジャケット仕様で、例によって例の如く自主盤ですので、お求めの方はお早めにね!




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by malilion | 2018-05-25 07:03 | 音楽 | Trackback

ベテランながら未だにB級の壁を越えあぐねる北欧フィンランド産メロパワ・バンドDREAMTALE…

c0072376_08331210.jpgDREAMTALE 「Seventhian... Memories of Time」'16

HELLOWEENを源流に北欧で発展してきたSTRATOVARIUS & SONATA ARCTICA直系バンドであるフィンランド産メロパワ・バンドの前作『World Changed Forever』から3年半ぶりとなる、通算7枚目のアルバムを今頃ご紹介。

いや、CARDIANTの4th聞いてたら同郷バンドの彼等の事を思い出して、そういえばレビューを放置してたなと気がついたので…(汗

デビューから4thまで毎作シンガーが異なるなどアルバム毎に顔触れが変わるメンバーチェンジの激し過ぎたバンドだったが、近年は安定した布陣で順調な活動が続いていたのに、再び本作でデビュー前のデモからの付き合いだったドラマー Petteri Rosenbomから新人ドラマー Janne Juutinenへ交代している。

フロントマンの交代劇はもう勘弁と言うファンの声が聞こえて来そうな中、ドラマーの交代ならサウンドへの影響は最小限で抑えられそうなのでファンはともかく安心だろう。

三作続けて同じメンツでの製作とは成らなかったものの創作体勢は安定している模様で、キャリア初の2枚組スタジオ・アルバムとなった本作でも、北欧バンドならではの叙情性と疾走感を湛えたメロディアスなユーロピアンHMサウンドを余すところなく披露していて、デジタリーでモダンなキーボードの音色、前作でも比重を増してきた勇壮な雰囲気、そしてジャーマン系HM的なスピードとタイトでヘヴィなサウンドがバランス良くMIXされた楽曲は、デビュー以来変わらぬマイナーな臭気を放ちまくるB級メロパワ・サウンドな音楽的方向性のままに、そのサウンドスケールとメロディーの魅力がいっそうに磨かれ輝きを増しているのが分かる('(゚∀゚∩

ただ、本作のサウンドが02年デビューとキャリア15年を超えるベテランになりつつあるバンドの作品と考えると、手放しで褒め称えるような状況ではないのはファンならずともこの新譜のサウンドを耳にした方なら誰しもが思う事だろう。

曲作りやアレンジ、プレイスキルやソロの聞かせ方等々アルバムを重ねてる毎に着実に成長しているのだが、そのキャリアに相応しいレベルに達していないというか、イマイチ垢抜け無いと言うか…う~ん…本作も悪くない出来なんだけど、やっぱりB級マイナーな殻を打ち破れていないという感想に落ち着いてしまうのがなんとも悲しい(つд`)

メロパワというジャンルとしてはイマイチ音が軽いからか、派手で軽めなキーボード・サウンドが原因なのか、未だに線の細さを隠せずパワー不足で不安定なヴォーカリスト Erkki Seppanenの歌声がマイナー臭さを助長する為か、はたまたその全てが複合的に絡み合ってなのか…(汗

個人的に彼等のマイナー臭いツーバスドコドコな北欧メロパワ・サウンドが身を捩る程(笑)に大好物なだけになんとも歯がゆいのですが、やはり聞き終えての感想は『やっぱB級なんだよなぁ、ソコがイイトコでもあるけど。……でも、このキャリアでこのサウンドはヤバくね?』と、いう毎度の感想に落ち着いてしまう。

前作は Akseli Kaasalainenが操るキーボード・サウンドがリーダーの Rami Keranenがプレイするギターよりややもすると目立っていたのが特徴であり、その派手で煌びやかな音色を多用するセンスの良いシンセ・サウンドが大々的にフィーチャーされ、音数多く流暢なキーボード・ソロ等のサウンドがエピカルな雰囲気を阻害している原因かとも思ったが、本作ではギターがサウンドのイニシアチブをしっかりと握りキーボードは控え目な扱いになっているにも関わらず“軽い”という印象が変わらぬ点を見ても戦犯はキーボードではないと断言出来る。

むしろ派手にギターとキーボードがバトルを繰り広げる方がメロスピ的にもアピールポイントになるし、個人的には4th『PHOENIX』から加入したキーボーディスト Akseli Kaasalainenは今やこのバンドサウンドの両輪と言っても過言ではない貢献をしていると思うので、彼だけは今後も抜けないで欲しいなぁ…ホントに…

それと毎度の事ながらアルバムの音質もソレ程良い…いや、寧ろ悪いと言った方が正しいだろうし、もしかしたらスタジオにおいての録音技術や環境にサウンドの軽さの要因があるのかもしれない…後は誰か良いプロデューサーに巡り会えたならこのサウンドの問題が解消されるのかも?

ツーバス疾走曲やアップテンポなノリのいい曲、派手なギターとキーボードのソロ、どの曲もフックあるリフや耳を惹くメロディーがあって、しっかりとキャッチーな歌メロと盛り上がるコーラスもフィーチャーされている、と箇条書きにするとコレで受けない訳がない、ってくらい日本人好みなクサメロの欧州型メロパワ・サウンドな模範的サウンドなんですけどねぇ…

ただ、無理矢理に今風のヘヴィサウンドへ進化したとしたならば、この日本人好みなオールド・スタイルなB級メロパワ・サウンドが壊れてしまうのも容易に予想出来るだけに、なんとも悩ましい…('A`)

もう一枚の方の現メンバーによる1st~4thまでのアルバムから選曲した過去曲再録アルバムは、オマケ的な扱いとは言えバラバラなフロントマンによる歌声だった楽曲を Erkki Seppanenの歌声でイメージも新たに纏まっていて旧作を全て持っているコアなファンも新鮮な感覚で再び以前の楽曲を楽しめるし、新規ファンへ向けてはバンドの歴史の手引きとも言える風に仕上がっていて、本作のオマケ的な扱いにするのが惜しいくらいだ。

メンバーチェンジは激しいもののコンスタントにアルバムをリリースしてきたお陰でか未だに国内盤がリリースされ、デビュー当時のSONATA ARCTICA系の北欧HMバンドと言うイメージがどれだけ大きく国内市場で有利に働いているのか分かると言うものですが、今となっては若いHMファンへの訴求力がイマイチなバンドだと言われても返す言葉がない状況(そもそも本家のSONATA ARCTICAの人気が…)だとファンながらに同意だし、この新譜も『大好評でプレス追加!』なーんて事になってないのは重々承知しておりますが、次作も国内盤リリースされるとイイなぁ…

月並みですが、次回作こそはもう1ステップ上へ駆け上がる飛躍と奮起を期待したい所ですね。



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by malilion | 2018-05-24 08:27 | 音楽 | Trackback

疾走感が蘇った北欧フィンランド・バンド CARDIANTの4thを今頃ご紹介!

c0072376_19062227.jpgCARDIANT 「Mirrors」'17

北欧フィンランドから登場し、デビュー当時はメロディック・スピードHMの期待の新鋭だった彼等の、毎度恒例となった4年サイクルでの新譜4thがリリースされたのを半年遅れでGET!

まぁ、彼等の新譜は2ndから一気に評判悪くなったのもあって、即購入リストから外れてしまってたんで…(汗

デビュー当時はモロに初期SONATA ARCTICA風なB級北欧メロスピHMサウンドが話題になった彼等も、前作『Verge』'13でバンド・コンセプトにも関わる大変革を迎えて音楽性やバンド構成(5人組から男女ツイン・ヴォーカルの6人組へ)まで一気に大きく変化させた結果、国内の大方のファンの失望を買った訳ですよね…orz

北欧スピードHMが急に男女ツイン・ヴォーカルのゴス風味ありなロックポップへ様変わりしちゃ、マイナー北欧メロスピ好きなコアなメタルヘッド野郎共に顰蹙買うのは目に見えてましたし、結果的に批判的な意見が多かったのもしかりと思っておりましたが、個人的には彼等の前作での大英断を少々没個性なサウンドではあるものの好意的に捉えておりました。

さて、この新譜ですが、アルバム毎に(デビュー前からアルバム間にアルバム未収録曲を多数含むデモテープやらEP、シングルを挟んで)着実に音楽性の幅を拡げサウンドも変化させて来た彼等ですが、本作でもさらに音楽性の変化と幅を推し拡げたのが一目瞭然な挑戦的アルバムで、前作で彼等を見限った旧来のファンにこそこの新譜を聴いて欲しい、そんな快作に仕上がっております!('(゚∀゚∩

また、バンド結成以来メンツが常に流動的(特にフロントマンは出たり入ったりと落ち着かない)で活動を妨げていた不安定な要因が遂に前作から解決され、2作続けて同じメンツで初めて(!?)アルバムが製作されたという事実が、今も彼等を支持する忠実なファンにとっては何よりの安心を与える事でしょう(汗

そんなメンツの安定が良い効果をもたらしたのか、嬉しい事に初期のメロスピ風HMサウンドな疾走する楽曲が戻ってきた(!)のと、ツイン・ヴォーカル体制でのアルバム製作にも慣れたのか、借り物臭い没個性なゴス風味なサウンドは隠し味になって目立たなくなり、男女混声の分厚いヴォーカル・ハーモニーと華麗なキーボードサウンド(サンプリングやプレイが古臭くなくなった!)の使われ方が大幅にシンフォニックな要素として楽曲をスケールアップするアクセントに使われ、またゲスト・ヴォーカルで同郷フィンランドのHMバンドTHUNDERSTONEの Pasi Rantanenや元BATTLE BEASTにして現BURNING POINTの Nitte Valoが招かれて歌声を披露しているだけでなく Outi Jokinen嬢がソロでヴォーカルパートを担い艶やかな美声を聞かせる楽曲もあったりで、実に多彩な収録曲が総じてコンパクトにまとめられ(3rdの経験が活きてるね!)磨き上げられた、キャッチーながら初期のマイナー感を払拭した叙情感とHMバンドらしいスリリングさを兼ね添えた完成度の高いドラマチックでメロディアスな楽曲が目白押しなのに驚かされました。

1stアルバムにシンガーとして参加した Janne Saksaがバンドと共同プロデュースを行い、全作曲をリーダーの Antti Hanninen(G)が手がけ、前作のように各メンバーで作詞を手分けせずに1st後に脱退した初代ベーシストの Vesa Aholaが殆ど手がけている点も、初期から前作までのバンドの持つ音楽要素を全て含んだ多彩で鮮やかなアレンジメントが全編に効いた楽曲(Marko Lindroosのキーボードワークが大幅にモダンで華麗になったのがデカイ)を収録しつつもビシっと一本筋が通った纏まり有る高品質なアルバムに仕上がるのを手助けしたようにも思えます。

バンドに関わった人々総出演的な上にまるでバンドの音楽要素の集大成的な快作で、もうホントに拍手喝采を送りたいんですが、唯一苦言を呈するとすれば、何故こんなイケてないジャケットのデザインにしたのか、と言う事だけでしょうか…これが1stや2nd風のセンスあるジャケならもっと売れると思うんだよなぁ~(つд`)

イケてないジャケに目をつぶり、前作の不評を忘れ、騙されたと思って北欧メロディアスHM好きは本作を絶対チェックしてみるべきですよ!

ここまでの良作と知ってれば、もっと早く購入したのに、と今さらながら反省しきりです(汗

なんか本作の売れ行きイマイチっぽい(涙)けど、聞かず嫌いはいけません! こんなにキャッチーでメロディアスでメロスピ風味もある北欧メロディアスHMアルバム、聞かないのは損ですぜ!


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by malilion | 2018-05-22 18:59 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーのニューカマー PERFECT PLANがデビュー作をリリース!

c0072376_17535332.jpgPERFECT PLAN 「All Rise」'18

北欧スウェーデン産5人組メロハー・バンドのデビュー作を少々遅れてGET!

某B誌でこのデビュー・アルバムが絶賛されていて気になった方も多いハズな彼等ですが、key入り北欧スウェーデン出身のメロディックHRバンドのニューカマーで、お馴染みFrontiers Recordsからのリリースと来て、H.E.A.TやECLIPSEなどの影響ありの、キャッチーなメロディに歯切れ良いギター満載でハードポップ要素もタップリな上、新人らしからぬ完成度のアルバム、なーんて前情報ときてはメロハー好きなら誰でも気にならざるおえないですよねぇ?(w

スウェーデン中部の港町Ornskoldsvikで2014年後半に、古典的スカンジナビアンAORにメロディアスでキャッチーなハードロック要素をブレンドする音楽的方向性で結成されたと言うだけあって、時代を問わず偉大な先人達のサウンドを巧みに自身のサウンドへ取り込んで血肉とし、本作の楽曲創りに活かしているのは確かだ。

影響を受けているというバンドが、TREAT、BLOOD RED SAINTS、ECLIPSE、W.E.T.、WORK OF ART、FM、GIANT、FOREIGNER、JOURNEY、初期EUROPE、等々という事なので、このバンド名をみてピン、と来た方ならチェックしても惜しくはないだろう。

個人的には、同郷のH.E.A.TやECLIPSEらから感じられた北欧メロハー的な溌剌さやキラキラしたブライトな感触は少なく、むしろUSA産AORやUSAハードポップ的バランス優先な80年代産業ロック的サウンドに通じる楽曲構成で、適度にギターのエッジの効いたメロディスHRサウンドなのは確かなのだが、新人バンドらしいエネルギッシュさやエキサイティングな感触はちょっと乏しい安定安心型サウンドなのが些か残念な点かと思いましたね。

でも考えようによっちゃ、勢いや躍動感に物を言わせて突っ走りがちな“フレッシュさが肝デス!”みたいな新人バンドが殆どな中で、大物バンドの元メンバーが結成した訳でもない新人バンドがベテランのような奇をてらわぬ落ち着いたサウンド創りでデビューしたという事を考えれば、彼等が並のバンドでないのが分かると言うものです。

またフロントマンの Kent Hilliのフェバリット・ヴォーカリストが元FOREIGNERの Lou Grammなのも影響しているのか、まるでUK産ハードポップのようにちょっと煮え切らぬ歌メロが産業ロック的なバンドサウンドとのギャップを生み出していて、北欧メロハー定番な突き抜けるハイトーン・ヴォーカルを聴かせるタイプでない所も独特で面白い所だと思います。

逆に北欧メロハー特有の突き抜ける朗らかハイトーンと分厚いバッキングコーラス、という定番な要素は殆ど感じられないので、H.E.A.TやECLIPSE的なキャッチーでフック満載なキンキンのドポップなメロハー・サウンドって奴が大好物な方からすると少々物足りない、って事になるかもしれません。

乱暴な印象で例えちゃうと、彼等は北欧スウェーデン産バンドではありますが、むしろUSAの産業ロック・バンドが北欧的ウェットなメロディをバンドサウンドに取り込んでプレイし、ヴォーカルはUSA的な脳天気になり切れぬUK的ヴォーカルメロディを歌い上げている、って言えば伝わりますでしょうか?

現時点では未だ“コレ!”と、いう強烈な個性は感じさせないバランス優先な優等生サウンドなのが弱点と言えば弱点ですが、それでも凡百のマイナー・メロハーバンドに比べれば上出来なデビュー作なのは間違い有りません。

とまれメロディアスロック愛好家はチェックしておいても損はない期待の新人メロハー・バンドの1つだと確実に言えるでしょう。

続く次作で一体どういった発展の仕方をするのか今から愉しみで仕方が無いニューバンドなので、是非コンスタントな活動(北欧バンドは短命なの多くて…)を続けて欲しいものです。



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by malilion | 2018-05-21 17:49 | 音楽 | Trackback

久しぶりのPEO新譜。溌剌北欧ハードポップを期待したら、届いたのは枯れた味わいブルーズ作だった…

c0072376_10151684.jpgPEO 「Orbit Of Dreams」'18

古くは北欧HRバンド AXIAのヴォーカリストとしてマニアには知られた存在な、スウェーデン・ソロアーティスト Peo Petterssonの10thソロアルバムが2年ぶりにリリースされたのでそそくさとGET!

ここの所、他アーティストとのコラボ作だったり北欧ミュージシャンによるプロジェクトバンドや蔵出し音源等のリリースが続いたが、今回は純然たるソロ新作だ。

例によって例の如く詳しい情報は皆無ですが、恐らくは全て自身がプレイした音源(もしかしてPALのメンツが参加してる?)を使用していると思われます。

毎度お馴染みとなったPeoお手製のCD-Rとラミネート加工されたペーパースリーブには楽曲名のみクレジットされていて、参加メンツ等の詳細な情報は一切記されておりませんので録音時期を含め全く確認のしようが…(汗

これまでアコースティカルなポップ路線やキャッチーな北欧ハードポップ路線、またはポピュラーミュージック寄りのAOR路線や、レイドバックした70年代風味な渋いHR路線等々とソロ作毎にサウンドの方向性を変えた作品をリリースしてきた訳だが、本作はベーシックなHR路線とブルージーなクラシック・ロック路線の楽曲が混在したアルバムとなっており、個人的に彼のアルバムで大のお気に入りな初期ソロ作の放つキャッチーでメロディアスで溌剌とした爽快感や疾走感は楽曲から全く感じられないのが残念で仕方が無いが、変わって落ち着いた大人のロックとも言うアーシーで渋めなサウンドが終始リラックスして繰り広げられ、年を経て一層に成熟したその歌声はブルーズフィール漂うロックを歌うに相応しい渋みと説得力を持っていて、コレはコレで十分に愉しむ事が出来ました。

まぁ、この渋ぅ~いブルーズ路線とインディ丸出しの薄ッペラな打ち込みサウンドでは当然の事ながら国内盤なんて夢また夢ですね。

自主製作盤だしR盤なんだし細かい事言いだしたらキリ無いとは分かってるものの、所々でノイズが入ってるのもマイナスポイントですわ…orz

終盤にちょとだけ初期風なポップフィールが心地よいメロハー・サウンドな楽曲が飛び出してきて、出来ればこの路線でいって欲しかったなぁ…(つд`)

正直、ソロになる前に彼が参加したAXIAやLEVITICUSや彼の初期ソロ作のサウンドでファンになったメロハー・ファンには殆ど訴求せぬサウンドのアルバム(涙)ではありますが、彼個人のファンは見逃せぬ新譜ですし、リラックスしたブルーズAOR作が楽しめる方にならお薦めは出来る一品です。

しかし“夢の軌跡”なるちょっとトキメキを感じさせるセンチなタイトルなアルバムなのに、この無愛想なPeoの顔ドアップな灰色のジャケデザインは如何なものかと…まぁ、ブルージーなサウンドをイメージしての渋めなデザインとも言えなくも無いんですけど…ちょっとなー('A`)

例の如く少数生産な自主製作盤の模様なので、お求めの方はお早めにね!



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by malilion | 2018-05-14 10:06 | 音楽 | Trackback

先行き不安な北欧メロハー・プロジェクト W.E.T.の3rdアルバムが酷評されてるけど、本当に?

c0072376_11545272.jpgW.E.T. 「Earthrage」'18

ご存じメロハー・レーベルFRONTIER RECORDSが音頭を取り、Jeff Scott Soto(Vo TALISMAN,etc...)、Erik Martensson(G,B,Key,Vo ECLIPSE)、Robert Sall(G,Key WORK OF ART)という北欧HM好きならずともその筋では実力者として知られる彼等が組んだ北欧メロハー・プロジェクト・バンドによる、前作『Rise Up』から約5年振り(14年にLIVE作『One Live-in Stockholm』をリリース済み)となる3rdアルバムをちょい遅れて今頃GET!

例によって例の如く、彼等の事だから慌てて購入せずとも当然良作をリリースするさ、と楽観視して他のバンドのアルバムをチェックしていた訳ですが、この新譜…なんか巷の評判が宜しくないっぽい…(マジスカー

北欧らしい透明感ある甘口のメロディアスさ、そしてエモーショナルなプレイとAOR風味バッチリな整合性ある高品質でキャッチーな楽曲、全編に配されたフックに富む湿り気ある北欧メロハーの極上チューンが隙無く詰め込まれたデビュー作の出来が余りにも素晴らしかったが為か、彼等のこれまで所属していたバンドのキャリアやそれぞれクリエイトしてきたアルバムのクオリティを思えばどうしたって期待値が高めに設定されてしまうのは分かっていましたが、今回も2nd『RISE UP』同様ファースト作の衝撃を超えられなかった、だとか、ECLIPSEの曲を Jeff Scott Sotoが歌っているだけ、とか、3人プロジェクトなハズなのに Robert Sallが作曲で全く関わっていない『W』抜き残念作、等々の散々な酷評の嵐でちょっと手を出すのが躊躇われてしまいました('A`)

まぁ、Jeff Scott Sotoは念願叶って、ドラムにMike Portnoy、キーボードにDerek Sherinianという元DREAM THEATER組に加え、ギターに元GUNS N' ROSESの Ron "Bumblefoot" Thal、ベースに Billy Sheehan(MR.BIG)という、泣く子も黙るスーパー・プレイヤー達が集結したUSプログHMバンドSONS OF APOLLOのフロントマンに収まった事もあってインディ同然な北欧HM系プロジェクトをもう重要視する必要も無く(涙)創作意欲高くなかったんかなぁ、とか、散々FRONTIER RECORDSの圧力で色々な所へ引っ張り出されてワーカホリック気味な Erik Martenssonの作曲能力も流石にもうネタ切れかな、とか、Robert Sall(WORK OF ARTは現在新作の準備中!('(゚∀゚∩ヤター)は米国AOR系へ楽曲提供がメインへ移行してこのプロジェクトにもう情熱注いでくれなくなったんかなぁ、とか色々ネガティヴな情報多くてアルバムを聞く前に勝手に納得してしまいがちだった訳ですが、実際アルバムのサウンドに耳を傾けてみると『え? コレ、そんなに酷評する程に駄作か!?』って、のが第一印象の良質なメロディアス・ハード作でした(笑

本作にキーボードプレイや少々のヴォーカルで僅かに加わるだけの Robert Sallが語る所によると1stと2ndの中間のような音楽的方向性を目指したらしい本作ですが、確かに酷評が溢れかえる巷の評価通り、北欧バンドらしい叙情的な美旋律のメロディアスな楽曲、というポイントは満たしているもののイマイチ楽曲が持つフックが乏しく感じたり、北欧独特の透明感の減退や、全体のAOR風味が強まった為かHMというよりHRカラーが強く感じられ、適度なメタリック度はあるものの総じて楽曲は非常に聴き易く、彼等の作品としては最も万人受けする作品と言えるかもしれないが、ソレが没個性に繋がってしまいファンが期待している彼等が放つ独特の北欧HM風味というか“臭み”のようなものが薄れて感じる一作とは言えるだろう。

要は1st路線の再現を強く望むファンにとっては、ポピュラー寄りになった少々お洒落に成りすぎたサウンド、って事なのかもしれない。

まぁ、個人的にも2ndで聞こえた力み過ぎの空回り感はいただけないと思っていたので、1st路線を当然自分も期待していた口ですけどね。

本作で感じる“アクの弱さ”の最大の要因は、勝手な想像だがソロバンドだったりソロアルバムだったりで硬柔使い分けて必死に売り上げを求めてあがいていた Jeff Scott SotoがSONS OF APOLLOという安住の地を得た結果、W.E.T.のアルバムの完成度をスポイルしがちだったインプットが減退し、只の歌い手という存在(汗)に落ち着いた(実際は作詞でこれまで以上に参加しているが、サウンド的なスポイルはなかったという事?)為と、多くの方が指摘しているように Robert Sallが1st、2ndのように Erik Martenssonとがっつりコラボレートしなくなったのが大きく影響しているように感じます。

Jeff Scott Sotoの放つソウルフルな要素や Robert Sallの磨き抜かれたAOR的職人芸のコンポーズ能力が消え、Erik Martenssonの持つ要素ばかりが目立つアルバムと言うとW.E.T.ならではの3人による濃密なコラボレーションを期待していた方々には少々3人が生み出すマジックやエネルギッシュさが不足して感じるのも十分に理解出来るが、そういったマイナス要素を踏まえてさえ本作が良質なメロディアス・アルバムである事には些かの疑いもないと言える。

これまでの Jeff Scott Sotoの発言や Robert Sallの本作への関わりようを見ると、本プロジェクトが次なる新作をリリースしてくれるのか少々疑問に感じるものの、駄作と評されるのは明らかに間違いな本作が最終作となるような悲しい顛末だけは避けて欲しいですね。



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by malilion | 2018-05-13 11:47 | 音楽 | Trackback