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ベテラン・ブリティッシュHRバンドMAGNUMが新譜をリリース('(゚∀゚∩

c0072376_02041113.jpgMAGNUM 「Lost On The Road To Eternity」'18

レコーディング・デビュー40周年を迎えたベテラン中のベテランHRバンドにして大英帝国の誇り、ブリティッシュHRの生ける伝説と謳われるMAGNUMの、通算20枚目のアルバム(19thオリジナル・アルバム)がリリースされたので速やかにGET!

コンピレーションやBEST、EPやレア音源集、そしてLIVEアルバムなんかも多数(日本未発多数)あるので実際のところ彼等のオリジナルアルバムが何枚目なのかちょっと判断尽きかねましたけど…(汗

毎回MAGNUMは、アルバム未収録音源を多数収録しているシングルをリリースしてくるので音源マニア泣かせなバンドなんですよねぇ…あ、コレは今は関係ない話でしたね(汗

ここ数年、少々マンネリ気味だった彼等が久しぶりに放った渾身の快作であった前作『Sacred Blood ”Divine”Lies』'16 に続く約2年振り(17年1月に新録4曲を含む日本未発売のバラード・コンピレーション・アルバム『The Valley of Tears』をリリース済みだが)の新作は『永遠への道に迷って』と彼等らしい意味深なタイトルだが、音楽性はもはや変わりようもない安定安心のメロディアスなブリティッシュHRで、本作もいつものように Bob Catley(Vocals)の絶品の歌唱と Tony Clarkin(Guitars)の熟練のソングライティングから成る鉄壁のコンビネーションに些かの揺るぎも無く、いつにも増してエモーショナルなギター・サウンドが冴え渡る充実の一品に仕上がっている。

再結成して活動再開してからベテランとは思えぬハイペースで新譜をリリースし、各アルバムが一定以上の水準をしっかり保っている上に、未だにLIVE活動も疎かにしていないという、彼等のプロフェッショナルな志の高さには本当に恐れ入りますね。

さて、そんな風にいつも安定した高クオリティの楽曲を提供し我々ファンを愉しませてくれている彼等ですが、長く彼等のファンをしている者ならばバンドロゴが商業的ビッグヒットを記録する以前の、3rd『Chase The Dragon』'82 時の初期デザインに戻っている事に気がついて、何かしらの変化をアルバムを聞く前から予想したのではないだろうか?

残念な事に長く安定していたメンバー構成に変化が起きた模様で、バンド結成以来不動のコンビ、Bob Catley(Vocals)と Tony Clarkin(Guitars)、そして01年から在籍するAl Barrow(Bass)は引き続き参加だが、82年から長きに渡りMAGNUMサウンドを支えて来た職人キーボードプレイヤー Mark StanwayとTHUNDERに在籍しながら、その力強いドラミングでバンドの屋台骨を支えて来た Harry JamesがTHUNDERへ離脱した為に失い、代わって今作から新たに加入した Rick Benton(Keyboards)と Lee Morris(Drums ex:MARSHALL LAW ex:PARADISE LOST ex:TEN)の二人を迎えた新体制で製作されている。

ファンならずとも長きに渡って堅実にMAGNUMの音像を盛り立てて来た Mark Stanway離脱の影響が一番の気がかりだろうが、セッション作業やミュージカルディレクターとして幅広く活躍してきたキャリア30年超えの Rick Bentonの軽やかで華やかなキーボードワークとHM畑出身の Lee Morrisのヘヴィでソリッドなドラミングがバンドを刺激したのか、常に幅広い音楽性の楽曲をバランス良く収録したアルバムをリリースしてきた彼等にして、予期せぬファンキーなリズムだったりダンサンブルでヘヴィなリズムだったりと今まで耳にしなかった毛色の楽曲アプローチや80年代頃を思わせるキャッチーな懐かしいブライト・サウンドだったりといつになく楽曲のバラエティが豊かで、古き良きMAGNUMワールドを維持しつつ(長めの曲が多いのもイイ!)新たに躍動するパワフルでタイトなHRサウンドにリフレッシュされたアルバムに仕上がっているのが嬉しい(*´ω` *)

新メンバーのプレイに触発されてか Tony Clarkinのギター・プレイにも控えめなブルーズ・フィール漂うハードロック・スピリットがいつにも増して溢れており、Bob Catleyの憂いに満ちた説得力ある歌声はハードロッキンな楽曲でもバラードでもシンフォニックな楽曲でも相変わらず絶品で非の打ち所が無く、Rick Bentonの操るカラフルなキーボードの音色は控え目ながら実にそつなく楽曲を飾り立て、効果的なアレンジでもってバンドサウンドのレベルを引き上げ Mark Stanwayの不在を忘れさせ、若返ったリズム隊は驚くほど激しくドライビングする揺らめくボトムを分厚くタイトに固めた、全MAGNUMファンの期待に応えるフック満載なキャッチーでドラマチックなHRサウンド成分を満たすさすがはベテランという充実した仕事振りだ('(゚∀゚∩

今作のゲストに Tobias Sammet(EDGUY、AVANTASIA)と Lee Small(ex:SHY、LIONHEART、etc)のヴォーカリスト二人が、それぞれデュエットとバッキング・ヴォーカルで参加しているのもファンには見逃せない情報だろう。

なお、日本盤ボーナス・トラックとして、17年リリースのバラード・アルバム『The Valley Of Tears』収録の「Back In Your Arms Again」と「Broken Wheel」の2曲のリ・レコーディング・ヴァージョンを追加収録している。

MAGNUMのジャケでは定番となっている、ファンタジーと伝説的な生き物の神秘的な世界を反映したアートワークを担当しているのは、お馴染みイングランドが誇るイラストレーター Rodney Matthewsだ。

ベタ褒めでまるでどこかの回し者みたいだが(笑)、典型的なMAGNUMのサウンドを求める古参ファンもきっと納得するであろう、素晴らしいメロディーとフックが渦巻く美旋律と幻想的で華麗なファンタジー・サウンドが力強く生まれ変わったその程を、是非ともチェックして見て下さい!



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by malilion | 2018-03-28 01:55 | 音楽 | Trackback

UKシンフォ界のスーパー・グループ KINOが13年ぶりに復活!!

c0072376_00231892.jpgKINO 「Radio Voltaire ~Limited Special Edition~」'18

幻の如くアッという間にその姿を消したUK産モダン・ポンプ&メロディアスロック・バンドKINOが、まさかの13年ぶりとなる2ndをリリースしたので即GET!!

各メンバー達は有名バンドに所属しているし、常々本人達から『KINOを復活させることは考えていない』と語られていただけに、長い長い空白期間の後のまさかの復活に欣喜雀躍なポンプ&シンフォ・ファンは多いのではないでしょうか?

ただ念願の新作なのですが、残念な事に完全なるリユニオンは叶わず John Mitchell(G,Vo)と Pete Trewavas(B,Vo)は前作に引き続き参加し中心的な役割を担っているものの、John Beck(Key,Vo)はFISHとの仕事の為にゲスト参加扱い(本作のキーボードパートの大部分はJohn Mitchellがプレイ…なので、残念ながら1stのような華麗なプレイは少ない)となり、ドラマーの Chris Maitland は不参加で、本作では Craig Blundell(Ds:FROST*、Steven Wilson、ex:PENDRAGON)が新たに迎えられているが、サウンドの方はファンの皆が待ち焦がれていたアノのKINOサウンドに間違いないのでご安心を!('(゚∀゚∩

04年、John Mitchell(G,Vo:ARENA、FROST*、IT BITES、etc)、John Beck(Key,Vo:IT BITES)、Pete Trewavas(B,Vo:MARILLION、TRANSATLANTIC)、Chris Maitland(Ds:PORCUPINE TREE)等によって突如として結成されたUKシンフォ界のスーパー・グループKINOは、名うての猛者揃いというインフォに恥じぬ、そのコンパクトでキャッチーながらインテリジェンスで洗練されたテクニカル・メロディアス・サウンドが大絶賛されながらも、たった一枚のアルバム『Picture』'05 とデモや未発音源、そしてLIVE音源を収録したコンピレーション・アルバム『Cutting Room Floor』'05 を残して呆気なく姿を消してしまう。

で、久しぶりの2ndとなる本作だが、“私は君の意見に反対だ。しかし、君がそれをいう権利は生命をかけて守って見せる。”とか“男がありとあらゆる理屈を並べても、女の一滴の涙には勝てない。”なんていう名言が有名なフランスの哲学者、文学者、歴史家であるヴォルテール(Voltaire)こと、本名フランソワ=マリー・アルエ(Francois-Marie Arouet)の、言論の自由と宗教の自由を支持した思想やヴォルテール自身が死に魅了されていたという逸話にインスピレーションを受け製作され、さらに政治全般のような見える虚偽を切り取って人々へ伝える、人生観を反映したラジオ局というコンセプトに導かれてアルバムは幕を開ける。

因みにドイツ人文学者フーゴー・バルによって1916年にスイスで開店したキャバレーの名前は、キャバレー・ヴォルテール(Cabaret Voltaire)で、作家や各国から亡命者が多く集い、反芸術運動(ダダイスム)の発祥の地となった事で有名。

さらにさらに、その名前をまんまバンド名にしたのが、70年代の英国産インダストリアル・ミュージック・グループCABARET VOLTAIREで、後にエレクトロニック・ダンス・ミュージックユニットへ転じた。

本作の『ラジオ局ヴォルテール』なるアルバムタイトルには、この辺りの事も当然関係していると John Mitchellがインタビューで語っております。

そういったコンセプチャルな要素を含みつつ、デビュー作でのコンパクトでキャッチー、そしてスタイリッシュなテクニカル・メロディアス路線を踏襲しながら、ハートフルなヴォーカルをフィーチャーしたメランコリックでミステリアスな浮遊感と壮大なスケールを感じさせる、複雑な構築美が活かされた英国叙情漂うシンフォ・サウンドをしっかり聴かせ、さらにタイトなギターを前面に押し出したシャープ且つ洗練されたギター・オリエンテッドな作風に幾分か変化していて、John Beckが本格的に参加していない事も大きく影響してか、かなり John Mitchellのカラーが大きくフィーチャーされた(楽曲クレジットも殆ど John Mitchell)サウンドだと一聴してすぐ分かるだろう。

たた、それでも John Mitchellの関わる他のバンドやソロ作のサウンドとは明らかな差異があって、このユニット独特のカラーとも言える、クリア且つスタイリッシュなメロディアスさにハードエッジなエネルギッシュさとマジカルでモダンなブリティッシュ・ポップサウンドが奇妙に交錯する唯一無二な陰影がクッキリとサウンドに浮かび上がり、ダイナミックでスケールの大きなサウンドや独特の浮遊感あるデジタリーなアンビエント具合も相まって、焦がれ続けたKINOサウンドがタップリと味わえる、待たされたファンの期待を裏切らぬ復活作に相応しい一作に仕上がっていると言えましょう。

デビュー作からしてそうだから当然だが、この手のスーパー・バンドが陥りがちな各メンツの腕前を見せつけるような稚拙さは微塵もなく、当初のネオ・プログサウンドを00年代に相応しくモダンにアップデートさせるというポイントをしっかり堅持しつつ、より音楽性の幅とクオリティを上げたテクニカルでスタイリッシュなサウンドの完成度はかなりなものながら、耳に残るのはどこか懐かしく親しみやすいキーボードの音色やエモーショナルなギターのメロディー、そして John Mitchellのハートウォームで深みあるボーカルとコーラス、それら全てのハーモニーが織り成すロマンチックで繊細な美旋律には英国バンドらしい気品が漂う、という80年代黎明期から続く第二世代ポンプ・ミュージシャン達の才能と手腕が遺憾無く発揮された“洗練の極み”とも言える渾身の一品なのは間違いない。

まぁ、ポップさで言うと前作の方がキャッチーだったし細かなアレンジも効いていたのは確かですが、新作は新作でまた違ったティストとストレートな勢いを感じさせ実に小気味良いサウンドが堪らんのですよ。ええ。

なんだかんだと小難しく考えずとも、この心地よいメロディに身を任せて素晴らしい楽曲を愉しめばいいのです(*´ω` *)

3面開きデジパック仕様の限定盤にはBonus Tracksが4曲追加収録されているので、音源マニアは当然こちらをGETしましょう。

因みにBonus Tracksは、Temple Tudor(Piano Mix)、The Dead Club(Berlin Headquarter Mix)、Keep The Faith(Orchestral Mix)、そしてThe Kino Funfairの4曲となっております。

『13年したら、また再結成するよ』と、冗談めかして John Mitchellが語るように、今後本ユニットが継続して活動するのか甚だ不透明ではありますが、出来る事なら John Beckを早く呼び戻してLIVE活動や次なるスタジオ・アルバムの製作をしてもらいたいものです。



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by malilion | 2018-03-26 00:17 | 音楽 | Trackback

フランス産コンテンポラリー寄りシンフォバンドDELUSION SQUARED、待望の新作は大変化!?

c0072376_01432390.jpgDELUSION SQUARED 「Anthropocene」'18

ゴシック系要素も多分に含むクロスオーバ系ながらシンフォニックタッチなプログレッシヴ・ロックを聴かせるフランス産ユニットの4年振りとなる4thがリリースされたので即GET!

前作でデビュー作から続いていた三部作構成のコンセプト作が完結した訳だが、続く新作も再びコンセプト・アルバム(汗)となっている。

アルバムタイトルはノーベル化学賞受賞のドイツ人大気化学者、パウル・クルッツェンによって提案された造語で、人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった近年の地質学的な時代(人新世:ひとしんせい、という意味)を表している。

まぁ大雑把に言っちゃうと、タイトルが物語るように近年の物質主義な人類に警鐘を鳴らす的(人類の黄昏をイメージしてのジャケデザイン?)な如何にも彼等らしいコンセプト作、という事だ。

デビュー以来、複数の組曲から構成されるコンセプチュアルな大作志向のアルバムばかりリリースしてきた彼等なので本作がコンセプト作なのに驚きはないが、一番のトピックはデビュー作からこれまで物憂げでアンニュイな美声でフロントを務めてきた Lorraine Young嬢(Vo,G)が、17年に自身のプロジェクトを追求する為に脱退し、本作から Emmanuel de Saint Meen(Bass,Keyboards,Backing Vocals)と Steven Francis(Vocals,Guitars,Drums)の二人だけによるユニットになってしまった事だろう。

前作で三部作が完結したから、って事なんでしょうかね?
まさか、ここに来て三人ユニットにヒビが入るとは思いも寄りませんでした……

看板だった Lorraine Young嬢を失ってからの初のアルバムと言う事で、ある意味で本作は彼等の勝負作(バンドロゴも変わってるしね)でもあると言えましょう。

その勝負作っぽさを一層際立たせているのが、メンバーの補充を行わなかった、これを機にメンツを固めて正式なバンド体制へも移行しなかった事で、フィメール・ヴォーカル・トリオから男性ヴォーカル・ユニットへ移行した為にサウンドイメージが大きく変化し、可憐で物憂げなフィメール・ヴォーカル好きだったファンにとっては少々いただけない状況かもしれない。

自分的には余りフィメール・ヴォーカルは好みではないんですが、穏やかな歌声なものの Steven Francisが全編で少々抑揚の少ないヴォーカルを聴かせている点は、大きなマイナス要素だとは思いますけど……

一応、フルートとバッキングヴォーカルを担当する Emilie De Neef嬢がゲスト参加してサウンドに華を添えているので、以前のようなフィメール・ヴォーカルが完全に消え失せてしまった訳ではないのがフィメール・ヴォーカル好きなファンにとっては救いかも?(汗

そういった外的要因の変化があったものの、サウンドの方は従来通りにアコースティック・サウンドとメタリック・サウンドを活かした優美で技巧的なギターが楽曲を主導し、ダークでミステリアスなゴシック系のアンサンブルや叙情的でロマンチックな香りたっぷりのシンフォ系キーボードが控え目に、しかししっかりと活躍する、随所でデジタリーなアンビエント・サウンド要素も交錯させつつ前作より接近したポスト・ロック的な感触が初期の作風よりさらに大きくなった、イギリスのPORCUPINE TREEからメタリックっぽさを薄めたメランコリックなモダン・サウンドを聴かせてくれている。

フィメール・ヴォーカル好きなファンには悪いですが、今回の脱退劇で耳に心地よく響く可憐なフィメール・ヴォイスが消え失せた事によって、これまで裏方になりがちだったアコギの陰鬱なアルペジオやメロディアスなフレージングに彩られたゴシック・ハード調のアンサンブルやギターのナチュラルな味わいが浮き彫りになり、インストゥル・パッセージの繊細さや、楽曲構成の妙などがよりストレートに伝わりやすくなったとも言えるのじゃないだろうか?

まぁ、あのままだとずーっとPORCUPINE TREEが引き合いに出されただろうし、オリジナリティ確立の強化という意味では、このユニット化の選択は正解…なのかな…?

ただ、バンドサウンドとして見ると総合的な表現力の幅は確実に低下したと思うので、早急にメンツを補充した方が良いとは思うんですけどね…

海外では、PORCUPINE TREE、ANATHEMA、PINEAPPLE THIEF、AYREON、PHIDEAUXのファンにもお薦め、と紹介されておりますので、このバンド名でピピッと来た方は一度チェックしてみてもいいかもしれません。



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by malilion | 2018-03-25 01:36 | 音楽 | Trackback

ベテラン英国キーボーディスト PHIL LANZONが初ソロ作をリリース!

c0072376_14561459.jpgPHIL LANZON 「If You Think I'm Crazy」'17

GRAND PRIX、Grant&Forsyth、SAD CAFE、John Lawton、LIONHEART、Mick Ronson、Chris Spedding、SWEET等のセッションやサイドメンバーとして幾多の英国バンドを渡り歩いて来た現URIAH HEEP(87年加入)のキーボーディストの初のソロ・アルバムがリリースされたのでGET!

70年代後半から活動してきたその長いキャリアの割に今回初めてのソロアルバムという事実に驚かされが、裏方作業が長かった事もあって多種多様な音楽作業に携わってきたベテラン中のベテラン(実際、もうかなりのお爺ちゃんだ…)が放つ処女作は、ハートフルな自身のヴォーカルもフィーチャーしつつ、複数のシンガーと数多くのミュージシャンを招いて織り成されたゆったり穏やかな楽曲に英国情緒が色濃く漂うドラマチックなシンフォニック・ポップロック作で、そのキャリアに裏打ちされた楽曲やプレイは自主製作盤と思えぬ良い音と高い完成度で流石の一言。

まず Phil Lanzonのヴォーカルだが、本ソロ作では2曲でその歌声を披露している。

URIAH HEEPで長らくコーラスを担当して喉が鍛えられている事もあってか中音域中心なマイルドでジェントリーな歌声で、穏やかな楽曲に実に良くマッチしたなかなかの歌唱力だ。

キーボーディストのソロ作なので当然、ハモンドB3、ピアノ、ローズ、シンセ等を駆使した鍵盤モノが中心のサウンドになり、他にもオーケストラ、ストリングスセクション、混声合唱団を導入したシンフォニック・ロックなども聞けるものの基本は歌モノ的楽曲が殆どで、無駄にキーボードを弾き倒してテクをひけらかすようなみっともない真似をしでかさないのも楽曲中心な考えのベテランらしい余裕を感じさせる(*´ω` *)

注目のゲスト陣だが、まずギターと2曲のリード・ヴォーカルで英国シンフォ界きってのオタスケマン John Mitchell(ARENA、FROST*、IT BITES、KINO、LONELY ROBOT、THE URBANE)が参加し、4曲でリード・ヴォーカルを取っているのはAdrian Smith's PSYCHO MOTELの2ndで歌った Andy Makinが参加、さらにドラムスに Craig Blundell(FROST*、ex:PENDRAGON)を迎えるなど長いキャリアに相応しく多数の凄腕ミュージシャンが招かれている。

アルバム中盤からGRAND PRIX時代を彷彿させる畳みかけるようなスリリングなキーボード・プレイとダイナミックに楽曲が展開するのが楽しめ、その一方でAORテイストやプログレ・テイストも垣間見せるスケールが大きくリリカルでドラマチックな気品漂うメロディアスなサウンドには、JADISやARENA、そしてIT BITES等のポンプサウンドや、MAGNUMや当然の如くURIAH HEEPといったブリティッシュHRサウンドの面影も感じられ、ポンプ、シンフォ・ロック、メロハー等のファンも満足するだろうバランスの取れた充実の作品で、英国ロック好きに是非お薦めしたいアダルティックな一品です。

Musicians:

Phil Lanzon:Hammond B3、Piano、Electric Piano[Rhodes]、Programmed & Lead Vocals(tracks4,10)

James Graydon:Acoustic Guitar
Laurence Cottle:Bass
Craig Blundell:Drums

John Mitchell:Lead Guitar & Lead Vocals(tracks1,3)
Andy Caine:Lead Vocals(tracks8)
Andy Makin:Lead Vocals(tracks2,6,7,9)

Sarah Jory:Pedal Steel Guitar、Banjo
Joe Atkins:Piccolo Trumpet

Andy Caine、Andy Playfoot、Miriam Grey、Phoebe Street:Backing Vocals

The London Telefilmonic Orchestra:
Bozidar Vukotic:Cello
Richard Harwood:Cello
Levine Andrade:Viola
Roger Chase:Viola
Patrick Savage:Violin [Leader]
Adam Hill:Violin
John Mills:Violin
Matthew Scrivener:Violin
Oli Langford:Violin
Peter Fisher:Violin
Richard Smith:Violin
Robert Gibbs:Violin

Andrew Playfoot、Annie Skates、CJ Neale、Kate Graham、Lance Ellington、Lucy Potterton、Mary Carewe、Phoebe Street:Choirs
Annie Skates:Chorus Master
Richard Cottle:Conductor
Levine Andrade:Contractor




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by malilion | 2018-03-24 14:46 | 音楽 | Trackback

生まれ変わった豪快アメリカンHMバンドSTEELHEART

c0072376_01203147.jpgSTEELHEART 「Through Worlds of Stardust」'17

アメリカはコネチカット州出身のHMバンドの、復活第一弾作となった『GOOD 2B ALIVE』以来、9年ぶりの新作となる通算5作目が去年夏頃に出ていたのを今頃にGETしたのでご紹介。

例によって例の如く、どうにも巷の評判がイマイチっぽいので購入を後回しにしていたのです…(スマヌ

HMファンなら良くご存じだろうがメンバー全員が新人バンドらしからぬ凄腕ミュージシャン揃いな上、その中でも飛び抜けて個性的な驚異のハイトーンヴォーカルを誇る Miljenko Matijevic(旧名マイケル・マティアヴィッチ Michael Matijevic)の歌声が話題をさらい、まさに鳴り物入りでデビューしたSTEELHEARTであったが、2ndアルバムリリースに伴う1992年のツアー中に舞台事故が起き、看板だった Miljenkoが大怪我を負った為にバンドは活動休止に追い込まれ、時を同じくして全米で吹き荒れたグランジ旋風の為にいつしか彼等の活躍する場はなくなってしまう…

人気バンドが解散し、その後に復活した際リリースする作品は大抵2パターンで、解散前のイメージなままの作風か、新しい今の時代に合わせた作風な訳だが、彼等が選んだのは後者だった。

で、プライドの為か集金目的の懐メロバンドじゃねぇぞ! という気概でかチャレンジングな後者を選択するベテラン勢は実際かなり多い訳だが、まぁ、大抵の場合は届けられた新譜によって熱心に復活を待ち望んでいた古参ファン達が失望のドン底へ突き落とされるんスよね('A`)

復活と言っても彼等の場合はリユニオンではなく、残念な事に今や完全にメンツの違う Miljenko Matijevic(Lead Vocals、Acoustic Guitar、Guitars、Ebow Guitars)率いるSTEELHEARTというソロ・プロジェクトという態なのが実際のところなのが少々寂しい限りではあります。

まぁ、08年リリースの再々始動作である『GOOD 2B ALIVE』より前の96年リリースの再始動作である3rdアルバム『Wait』時点で既にメンバーは Miljenko Matijevic以外全く変わっていた訳だし、その内容自体もグランジー風味な、1st、2ndで聞かせたタフで豪快なアメリカンHMというサウンドから大きく様変わりしたZEPPELIN臭のするダークで内省的なモノだった事を考えれば、本作においては幾分か初期の作風を感じさせてくれるのは嬉しいポイントと言えるだろう。

で、本作だが Uros Raskovski(Guitars)、James "Rev" Jones(Bass)、Sigve Sjursen(Bass)、Mike Humbert(Drums)は前作『GOOD 2B ALIVE』から引き続き参加し、本作から Jesse Stern(Bass)、Randy Cooke(Drums)が新たに制作に加わっている。

また前作でもゲスト参加したキーボーディスト Edward Harris Rothが、新たに加わったキーボーディスト Daniel Foucheと一緒にピアノとシンセをプレイし目立たないながらもしっかりとアルバムを盛り立てている。

再々始動作である『GOOD 2B ALIVE』は『Wait』の後遺症か、ダークなグランシジー路線を引きずったままのZEPPELIN臭がするヘヴィ&ドライ・サウンドだった訳だが、本作においてはヘヴィさはそれ以上に、けれど幾分かウェットなメロディを感じさせつつ、より骨太でグルーヴィ、そしてハードエッジなサウンドがタフにマッチョにひたすら突き進む、初期のストレートなアメリカンHMサウンドを望んでいるファンには前作同様に少々キツい内容かもしれないが個人的には十分に豪快なアメリカンHMの快作と言えると思う。

特に注目したいのは、以前は太く高く良く伸びる力強い歌声と強靱なハイトーンシャウトばかり取り沙汰され、けれど少々一本調子になりがちだった Miljenko Matijevicの歌唱力も本作に至っては、低い唸りや囁き、ダーティーなロートンや一転優しげで儚く甘い呟き等々と、まさに変幻自在に七色の歌声を操り、アルバムの方も初期のキャッチーなものの圧し一辺倒気味でメタリックだったサウンドから一層にLED ZEPPELIN化を強め、その為か幅広く様々な音楽性を感じさせる深みあるサウンドへと進化を遂げていて、衰えを全く感じさぬ Miljenkoのマルチオクターブの歌声を遺憾なく発揮するに相応しいサウンドへ生まれ変わっているのが良く分かるだろう。

今やSTEELHEART=Miljenko Matijevicな訳で、メジャーデビュー前からLED ZEPPELINの楽曲をカヴァーしていたと言う話だから、『Wait』から『GOOD 2B ALIVE』でまたメンツが総入れ替えされたのに未だにZEPPELIN風味なサウンドがアルバムで聞けるという事は、つまり全て Miljenkoの嗜好という事になるんでしょうね。

個人的にはZEPPELIN風味は隠し味的な扱いだった初期サウンドの方が断然好みではありますが、もう時代が当時とかなり違いますし、かえってこのZEPPELIN風味なサウンドを漂わせる方がオリジナリティ(ZEPクローンって、もう古臭い部類に入るか?)を感じさせて今となってはいいのかもしれません…

そう言えば、最近は何故か韓国(!?)での活動がお盛んらしい Miljenko Matijevicですが、去年久しぶりの来日を果たしたものの旧譜のリイシュー等はなかったのが少々寂しい限りであります…

国内発売はあったものの弱小インディ扱いで殆どプロモーションしてもらえなかった『Wait』や国内盤未発の自主製作盤『GOOD 2B ALIVE』を今こそ国内リイシューしてもいい頃合いなんじゃないんですかねぇ?

そうそう、アルバムタイトルの『星屑の世界を通って』と美しい夜景のジャケをひっかけたアイディアは、大人の魅力を加味して深みと渋みの増した今のSTEELHEARTサウンドのイメージにピッタリあっていて、以前の無骨でストレート過ぎるアルバムジャケを思うとなかなかモダンでお洒落で宜しいと思います。

初期の彼等のサウンドを求める人は手を出すのは間違いなく危険なアルバムだが、より逞しく幅広い嗜好のサウンドを表現出来る驚異の音域を誇る抜群に上手いヴォーカリストの歌声を求めている方にはもってこいの一作ではないでしょうか?


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by malilion | 2018-03-20 01:12 | 音楽 | Trackback

QUEENSRYCHE+FATES WARNING×イタ公プログレ÷DREAM THEATER=TIME MACHINE

c0072376_19442935.jpgTIME MACHINE 「Eternity Ends」'98

今やイタリアのインディ・レーベル LUCRETIA Recordsのオーナーとしての方が有名かもしれない Lorenzo Dehoがかって率いていた5人組イタリア産プログレッシヴHMバンドをご紹介。

90年代初めに Lorenzo Deho(Bass、Keyboards、Vocals)を中心に Ivan Oggioni(Rhythm Guitar)と Andrea Ruggeri(Lead Vocals)の3人で結成され、以降常に流動的なメンバー構成でシングルやEP、企画盤、そして旧譜リイシューやアルバムを多数発表していく事になる。

上記の3名にセッションプレイヤーとゲストプレイヤーを迎え、自主製作EP『Project:Time Scanning』で93年にデビューを果たす。

デビュー作ながら組曲を含む大仰なキーボードをフィーチャーしたテクニカルで忙しないリズムチェンジを繰り返す楽曲は、如何にもユーロ・プログHMの典型と言うダークで難解なサウンドで、レンジの狭い劣悪な音質の自主製作盤ながらこの時点で既に後の片鱗を伺わせる一作であったと言えよう。

まぁ、安っぽい打ち込みドラムみたいな軽いボトムの音や、歌メロのイマサン具合やトッ散らかった展開の楽曲構成はいただけないけど…

また、バンドがプレイしている音楽がプログレッシヴHMでデビューが93年となると、92年から世界で吹き荒れた夢劇場症候群の一派と思われるかもしれないが、そのサウンドは明らかにQUEENSRYCHEやFATES WARNINGといった一連のUSテクニカルHMの影響が顕著で、この時点ではまだ彼等は夢劇場サウンドの洗礼を受けていないのは明白であった。

因みにこのデビューEP、Lorenzo Deho的に記念作だしお気に入りなのか、この後97年に1曲ボートラ付きでジャケをカラフルにしてリイシューし、再び99年にもデビュー当時のドイツ盤アナログEPにのみ収録されていたトラックをさらに1曲追加してデジタルリマスターを施し、ジャケデザインも新たにスタイリッシュに手直しされリイシューされている。

1994年、『Dungeons of the Vatican』なるEPを限定500枚で自主リリースする。

EPと言っても1曲を除きデビューEP収録曲を再度収録した3曲入り盤で、「Dungeons of the Vatican」はバンドが最初に作曲した楽曲で、蔵出し的に旧曲を再録リリースしたマニア向けアイテムと言え、デビュー前の彼等の姿を伺い知る事が出来る興味深い一枚と言えよう。

因みにこのEPも後に大量のLIVEテイクを追加されてリイシューされている。

この時のメンツは Lorenzo Deho(B、Key)、Ivan Oggioni(Rhythm G)のみ残留でフロントマンに Jonathan Lavino(Vo)、Mirko Criscione(Key)、Fabio Brigliadoro(Ds)、Joe Taccone(G)のキーボード入りツインギターの6人編成となっている。

1995年、バンドメンツを整え満を持して初のフルアルバム『Act II:Galileo』をリリース。

この時のメンツは Lorenzo Deho(B、Key)、Ivan Oggioni(G)、Joe Taccone(G)のみ残留で、新たなフロントマンに Folco Orlandini(Lead & Backing Vocals)、Antonio Rotta(Ds)のツインギター編成5人組となりゲストにテナーサックス・プレイヤーとキーボーディストを招いて製作されている。

ただ、私の所有しているオリジナル・イタリア盤のブックレットにはメンバー直筆サインが入っているのだがドラムスだけサイン(メンバーフォトはある)が無く、さらに本作には Mark Allegriなるドラマーがヘルプで参加している所をみると、製作途中でドラマーが抜けたのかもしれない。

この後、このファーストアルバムもボーナスディスク付きでリイシューされるのだが、そこでは Nicola Rossetiなるドラマーの名前とメンバーフォトがあるので、アルバム完成後に新ドラマーが迎えられたと言う事なのだろう。

タイトルが示す通り地動説で有名なイタリアの天文学者ガリレオをテーマにしたコンセプト・アルバムで、SEやナレーション等を導入した映画的なスケールの大きいサウンド造りになっており、デビューEPの暗さやテンションが消え、唐突なリズム展開やテクニカルで長尺なリード・ソロが控えられた、よりコンパクトでメロディアスな歌メロもキャッチーになって大幅に楽曲の質が向上した、オペラティックなヴォーカルをはじめイタリア的な叙情感や艶やかな美旋律が随所で光る、ある意味でストレートなユーロHM的サウンドのアルバムと言えるかもしれない。

本作に置いては明らかに夢劇場の影響(みんなサックス使いたがるよねぇ…)が伺え、以前のQUEENSRYCHEやFATES WARNINGといった一連のUSテクニカルHMのカラーが薄れ、ドライ気味なサウンドだったのがウェットなユーロ系HMサウンドへシフトしている点が大きな変化だろう。

本作で、彼等は晴れて日本盤デビューを果たし、アルバムの高評価を受けてバンドはイタリア国外での初LIVEを体験する。

1997年、再びメンツに変動が起こり、編成も新たにEP『Shades Of Time』をリリースする。

まず『Act II:Galileo』製作時にゲストプレヤーだった Stefano Della Giustina(Tenor Sax)が正式メンバーに迎え入れられ、新たなフロントマンに Morbyなる人物が迎え入れられている。

Morbyはこの後にイタリアン・プログHMバンドLABYRINTHへ加入する事になるが、デビュー後すぐに脱退した Joe Terry(Fabio Lione)から二代目フロントマン Rob Tyrant(ex:NEW TROLLS ex:VANIXA)へチェンジするまでに2nd製作のリハーサルに参加していたヴォーカリスト Giacomo Jeanflancinの事と思われる。

本作のみで脱退した Morbyの歌声は Joe Terry(Fabio Lione)的なハイトーンも歌いこなす如何にもユーロHM系メタルシンガーというイメージで、個人的にはカバーする音域も広いしなかなか上手いヴォーカリストでバンドにもマッチしていたと思うだけに残念ではあります。

まぁ、TIME MACHINEとLABYRINTH天秤にかけて、よりストレートなHMサウンドのLABYRINTHが自分の好みだと脱退したんでしょうね…

サックスプレイヤーを正式メンバーに加えた事で彼等の作品中で唯一といっていい程にサックスの音色とプレイがフィーチャーされたEP作であるのと、新曲とデビューEP曲の97年Version、そしてBLACK SABBATHのちょいプログ風カバー“Heaven And Hell”で構成された、よりメロディアスでストレートなHMサウンドを披露する異色作で、そう言う事もあってか本作の音源はボーナストラック等で他のアルバムへ収録される事はなく、この後リリースされる二枚組レア音源集である『Hidden Secrets』にしか収録されていない。

因みに本作もREMIX&REMASTERされボーナストラックを追加されて後にリイシューされている。

98年、恒例のメンバーチェンジが起き、編成も新たにシングル『Secrets Oceans Part 1』をリリースする。

まずフロントマンを Nick Fortarezzaへチェンジし、創設メンバーであったギタリスト Ivan Oggioniが抜けてシングルギターの5人組編成バンドとなる。

元よりキーボードを弾いていた Lorenzo Deho(Bass、Aditional Keyboards)に加えサックスプレイヤーの Stefano della Guistina(Keyboards、Tenor sax)もキーボードを奏でるツインキーボード体制となったのが影響したのか、以前にも増して非常に良いキーボード・パッセージがフィーチャーされたバンドサウンドとなり、リード楽器としてサックスのプレイも十分にフィーチャーされていて、シングル収録の“Behind the Cross(Ocean version)”と“Never-ending Love(1998 version)”で巷に溢れる夢劇場フォロワー達とは一味違う演奏を聴かせてくれる。

この時点で既にかなりテクニカルなインタープレイを見せつけるプログレ的テイストは希薄になりつつあり、出発点であったQUEENSRYCHEやFATES WARNINGといった一連のUSテクニカルHMの影響は消え、代わってDREAM THEATER的なヘヴィさとイタリアンバンドならではの艶やかさと大仰さの表現にバランスが傾いているように思える。

シングル発表のメンツ編成のまま、待望の2ndフルアルバム『Eternity Ends』が98年にリリースされる。

1stアルバムに続き本作もコンセプトアルバムで、題材はイタリアン・バンドらしく“イエス・キリストの生涯”で、特にイエスの人生の様々な瞬間やその後の思いについて厳かに艶やかにサウンドで綴られていく。

本作のサウンドはコンセプトに引っ張られたのか、今まで一番艶やかで壮大なスケールを感じさせるバンドサウンドとなっており、ヘヴィさやテクニカルさ、そしてスピードやパワーなどよりも如何にそのイエスの生涯を克明に描き出すかに情熱が注がれており、アコースティックギターや厳かなコーラス、そして情景を描き出す重厚にしてリリカルなキーボードワーク等の全てが実に古典プログレ的な繊細な表現がなされていて、彼等の作品中最もHM的サウンドから遠いアルバムなのは確かだろう。

この題材の為ならダブルキーボード体制も必然と言える程にサウンドのスケールが実に雄大で、ゆったりと美しいメロディを新フロントマン Nick Fortarezzaがその美声でしっとりとオペラティックに歌い上げ一大歴史絵巻を描ききっている本作は、個人的に彼等の最高傑作ではないかと思う。

同じプログHMバンドと言っても、聖書という題材をここまで優美に雄大にサウンドで綴ることはユーロ圏のバンド、特にイタリアのバンドにしか出来ぬように思え、事ここに至っては夢劇場の影響など些細でしかないと言えよう。

またイタリアでLUCRETIA Recordsがディストリビューションしている関係でかANGRAのヴォーカリスト Andre Matosが一曲でその伸びやかな歌声を披露しているのと、脱退したギタリスト Ivan Oggioniも一曲でギターを客演しているのもファンには嬉しいサプライズだろう。

アルバムリリース後、Andre Matosをフィーチャーしたシングル『Secrets Oceans Part 2』'98 がリリースされる。

“I Believe Again (Ocean version)”なるキーボード増量MIX版と“Behind the Cross (Radio edit)”の二曲が収録されていて、共にアルバムに未収録曲なのでTIME MACHINEファンはチェックし忘れないようご用心を。

次に2000年にリリースされたのは『Hidden Secrets』なる二枚組編集盤であった。

この作品はフォーラムでバンド・ファンが選んだレア・ソングやデモ、未発表曲、そして旧曲を収録したコンピレーション・アルバムで、TIME MACHINEファンには外す事の出来ぬマストアイテムと言えよう。

バンドの1992年から1999年までの9種類あるラインナップの音源を全て収録しているアンソロジー作であり、これまでにリリースされた楽曲や、または未リリースのレコーディングされたトラックのデモ、LIVEトラック、既発曲のアンプラグド・ヴァージョン等のレアトラックを数多く収録した内容は質、量、共に充実していて、なかでも聞き所は"1000 Rainy Nights"のオリジナルバージョンである "Will You Remember"なる楽曲や“I hold the key”と“Prisoner of dreams”のアンプラグド・ヴァージョン、そして録音状況は劣悪なものの、スタジオ作では聞く事の出来ぬ激しくクランチーなギターがワイルドに暴れまくる"Never Ending Love"のオフィシャル・ブートレッグ等、スタジオ作では決して聞けない彼等の新たな一面を知る事が出来る非常に興味深い一作だ。

しばしのインターバルの後、アルバムリリースに先駆けて5曲入りEP『Aliger Daemon』を2001年にリリースする。

恒例のメンバーチェンジが勃発し、ボスの Lorenzo Deho(Bass、Keyboards)は当然として Joe Taccone(G)のみ残留し、新フロントマンに Pino Tozzi(Vo)、ギタリストにGianluca Ferro(G)、ドラムスにCludio Riotti(Ds)とほぼバンドメンツが一新されている。

5曲中2曲のみが新曲で、それ以外は既発曲だが、リードトラックの“Eyes of Fire(Daemon mix)”と“Army of the dead(Daemon mix)”は後にリリースされるアルバム収録曲とミックス違いなのと、アルバム裏面では“Eyes of Fire”が“Kiss of Fire”とタイトルが変更されている。

ただ、ブックレットの歌詞とタイトルは未だに“Eyes of Fire”と明記されているので、初回限定の縦長デジパック盤(Underground Symphonyお得意のアレ!)だけタイトルを表記ミスしたと言う事だろう(笑

因みに本EPと次のフルアルバムのみ同郷のインディレーベル Underground Symphonyとレーベル提携した為かUnderground SymphonyのCD番号とレーベルロゴが見受けられる面白盤です。

たった2曲の新曲ではあるが、この時点で既にかなりバンドサウンドが変化している事が見て取れ、『Eternity Ends』'98の影響が大きかったのか巷の流行を意識したのか一気にシンフォHMへ接近した音像に様変わりしている。

続く02年、満を持して3rdフルアルバム『Evil』がリリースされる。

毎度同じくコンセプト・アルバムで、今回の題材は『Bone Chilling』なるイタリアの人気小説に基づいたアルバムだ。

メンツはEPリリース時と変更なしのツインギター5人組編成ながら、EPの時に予感出来た通り大々的にキーボードをフィーチャーした壮大なシンフォニック・サウンドがスピーディーに高らかに突き進み、夢劇場の呪縛から解き放たれイタリアン・バンドらしい濃密なオリジナリティを確立したと思ったら今度はオペラティックな分厚い男女混声合唱まで披露する北欧シンフォHMな呪縛に囚われる事になるなんて…と、いうのが初めて本作を耳にした時の印象でした(汗

新フロントマンの Pino Tozziの歌声はしっとり系で典型的なメタル系シンガーのようにダーティにガナったり金切り声でシャウトしたりするタイプではないので旧曲を歌うには少々苦しいかもしれないが、『Eternity Ends』以降のバンドが目指す叙情感あるダークなユーロピアン・シンフォHMには実に良くマッチした伸びやかな歌声と甘い声質だと思う。

しかし、ここまで分厚いキーボードサウンドをフィーチャーするのにツインギター編成のキーボードレスって、ちょっと編成に無理あるよなぁ…と、思いつつブックレットを見ると、ゲストに同郷臭メタルのシンフォ・バンドSKYLARKのキーボーディスト Eddy Antonini(!)が参加し、他にも Roberto Gramegnaなるキーボーディストにオーケストレーションまで任せているのを知って、成る程ソレでこんなにシンフォに急接近した臭メタルチックなサウンドになったのかと納得しきりでした('A`)

まぁ、初期から大仰なキーボードはフィーチャーしていたバンドサウンドでしたので、それがシンフォへ発展したと考えれば当然の流れなのかもしれませんね…でも、ここまで全面にキーボードサウンドを押し出すなら何故専任キーボーディストをメンバーにしないの?(汗

因みにこの後 Pino Tozzi(Vo)は当然のように脱退し、以前ここでもご紹介した ORA NOMBROなるイタリアン・シンフォ・グレHMバンドで2008年にデビューを飾ることになるのだが、サウンドのモダンさや完成度は断然こちらの方が上なもののそのサウンドの原点はTIME MACHINEの『EVIL』にあると言えるかもしれない。

しばしのインターバルの後、現在の所の最新作にして最終作(?)と思われる4thアルバム『Revivi Scence(Liber Secundus)』を04年にリリースする。

4thフルアルバムは、今日における世界の悪(テロ)にメインにしつつユダヤとパレスチナの紛争を含む中東の終わりなき闘争をテーマにしたコンセプト・アルバムでない(!)普通のアルバムだ。

まぁ、大きく見れば中東がコンセプトとも言えるけど、一応今までのようなコンセプト・アルバムじゃない、って事で。

そして恒例のメンバーチェンジで、ボスの Lorenzo Deho(B、Key、programming)は当然として Gianluca Ferro(G、Key、programming)のみ残留し、新フロントマンに Marco Sivo(Vo)、ギタリストにGianluca Galli(G)、ドラムスにSigfrido Percich(Ds)と再びほぼバンドメンツが一新されている。

まず一聴して即分かるのが、前作でのキーボードの過剰な登用で活躍する場を奪われたギタリスト達への贖罪なのか反省なのか、本作では若い二人のギタリストがこれでもかと所狭しとアルバム全編に渡って目一杯に流暢な早弾きプレイを披露し、キーボーディスト不要を高らかに叫ぶかの如く音符の嵐を怒濤の如く詰め込んでいて、シンフォHMから一気にスピードHMへバンドサウンドが変化している。

新フロントマンの Marco Sivoはマイルドな声質で良く伸びる歌声を披露しながらも、ダーティなガナりやシャウトも織り交ぜてメタルソングもしっかりと歌えるスキルを持っている、タイプとして元HELLOWEENの Michael Kiskeっぽいタイプに近いかもしれない。

また、テーマが中東という事でかこれまで彼等のアルバムで聞く事がなかったオリエンタルなフレーズやメロディが所々で顔を出すのと、二人のギタリストの過去のバンドイメージを一切考慮しない自由奔放でトリッキーなプレイの影響でか、これまでダークで硬質なイメージだったバンド・サウンドに今までになくブライトでクリアーなイメージが加わって、良い意味でキャッチーでメロディアスになったように思える。

ただ、多くの新要素がバンドサウンドに持ち込まれフレッシュなサウンドへリメイクされたのと、シンセサイザーが控え目になって添え物的な扱いになった事もあって、これまで良くも悪くもユーロ系のテイストをプンプンと漂わしていたバンドサウンドが、一気にドライなテクニカル・スピードHMやシンフォ・スピードHMの類型的サウンドに接近してしまったのは間違いなく大きなデメリットだろう。

まぁ、テクニカルでスピーディなプレイが効いたモダン・サウンドってヤツと、艶やで優美なサウンドってのはなかなか両立させるのは難しいですから、思い切って古臭いサウンドを捨てて新しいサウンド創りへ挑んだ、って事なんでしょうね…

以前のサウンドアプローチの方が好きか、新たなモダン・スピードHMサウンドの方がしっくりくるか、はリスナー側の受け取り方次第って事でしょうから、後は実際耳にして是非の判断をして頂くのがいいだろう。

はじめにギターだらけのアルバムだと申しましたが、本作にもゲストでキーボーディストが二名参加しており、そつなく短い時間で印象的なプレイやパッセージを聞かせ、実は歴代一番のシャレオツでモダンなキーボードサウンドとセンス抜群なプレイを聞かせているという事実に少々驚かされます。

また、再びANGRAのメンバーが本作にゲストで招かれていて、Rafael Bittencourt(G)と Kiko Loureiro(G)の2人のリードギタリストの華麗なプレイがフィーチャーされているので彼等のファンの方は一度チェックしてみて下さい。

正直、デビュー当初からメンツが変わりまくりだし音楽性も変化しまくりでイマイチこのバンドならでは、という個性が掴みにくい事やリイシュー作の多さや再録多目なEP等々もあってファンを混乱させ、どうにもマイナーな知名度のインディ・バンドではありますが、その時々で高品質なサウンド創りへ挑み続けて来た Lorenzo Dehoのクリエイトする音楽、決して嫌いじゃありません。

大雑把に夢劇場フォロワーと捉えられがちな彼等ですが、ちゃんとアルバムを聞けばその影響から早い段階で脱している(そもそもフォロワーじゃないし)恐れず変化し続ける事が個性とも言えるオリジナリティのあるバンドですので、ご興味ありましたら一度チェックしてみても決して損にはならない、そんなイタリアン・プログHMバンドなのです。

所で一度2007年に次なるフル・アルバムのレコーディングが開始されるとアナウンスされたが、その後一向に情報がないまま、バンドサイトも消滅して現在に至るんですが…やっぱりもう解散して、バンドは存在していないんですかね?

まぁ、Lorenzo Dehoさえ居ればいつでも活動再開出来るんでしょうけど…


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by malilion | 2018-03-12 19:40 | Trackback

早すぎたオランダ産ポンプ・バンドYWIS

c0072376_23013937.jpgYWIS 「Leonardo's Dream」'95

MARATHON、FOR ABSENT FRIENDS、TIMELOCKと来たらこのオランダ産バンドを紹介せぬわけにいかないでしょう。

バンドのルーツは1975年まで遡る古参のバンドであったが Julian Driessen(Key)を除くメンツが流動的でバンド名も常に変化していて、82年にやっとメンツが固定されYWISが創設される。

83年に自主製作デビューアルバム『Ywis』をリリースした当時のメンバーは、

Geert van de Burg (Lead Vocals、Keyboards)
Rinus Hollenberg (Guitars、Vocals)
Herman Ruijters (Drums、Vocals)
Eric Stap (Bass)
Julian Driessen (Keyboards)

の5人で、Julian Driessenと Rinus Hollenbergはこの後、バンド分裂の後再びTIMELOCKで合流する訳ですね。

デビュー作のサウンドは、基本はポップロックなものの Julian DriessenのSAGAの影響モロなキーボードプレイとキーボードサンプルの音色と、Rinus HollenbergのRUSHの Alex Lifsonの影響モロなギタープレイとギタートーンのせいでか、SAGAとRUSHの影響を強く受けたオランダ産ポンプ・バンドの草分け的な扱いを受けてしまう。

実際、SAGA+RUSH×ポンプ+STYXばりの分厚いバッキングコーラス、というなかなかメジャー路線な方向性のサウンドなんですが、John Wettonと Greg Lakeを足して二で割ったようなマイルドな声質でミドルレンジ中心な歌声の Geert van der Burgの歌唱スキルがイマイチで、どうにも淡泊な上に一本調子な歌メロがバンドサウンドの足を大きく引っ張っていた感は否めないんですよね…

英国でポンプ・ムーブメントが盛り上がり始めたばかりの時期に既にポンプを予見するかのような先見性のあるバンドサウンドだった事もあってかオランダを中心にユーロ圏で好評を博したものの、1985年にメンバー間の音楽性の違いを理由に解散してしまう。

その後、各メンツは銘々に音楽活動を続けていたが、1993年にSI Musicが彼等のデビューアルバムを発掘し、Remix&Remasterしてリイシューする事を記念して十年ぶりにメンバーが集まり、そのまま再結成、そして新譜製作の流れになる。

そうして製作されたのが本作である2ndアルバムな訳だが、残念な事に既にTIMELOCKとして交わしている契約に縛られ Julian Driessenのみがこのリユニオンへ参加出来ず、代わって Rene van Spanjeなるキーボーディストが迎えられ、元々のバンドリーダーが居ない状況で製作される事になってしまう。

ただ、そのメンツ変動が影響したのか、それとも解散後の各自の経験が活きたのか、この2ndは1stの今一つ煮え切らぬ出来が嘘のような快作に仕上がっている。

その理由としては、まずイマイチの歌唱力だった Geert van de Burgの歌唱スキルが大幅に向上し、ダーティーにガナったり、吐き捨てるように歌うワイルドさを感じさせるHR的な歌唱法を取り入れた為に大きく歌メロの質と幅が改善されたのが一点。

続いて、若干古臭いHR的なプレイを聴かせ(時代的に当然なんだけど…)ていた Julian Driessenに代わって Rene van Spanjeが奏でるキーボードが所謂典型的なポンプ&シンフォ・スタイルな為に、1st時に感じられたSAGA臭が消え去って一気にスタイリッシュでモダンなサウンドに変化し、サウンド全体のクオリティを引き上げる助けになったのが一点。

そして、十年のバンド外活動で歌唱力に自信をつけたのか、Rinus Hollenbergと Herman Ruijtersが本作ではそれぞれ一曲づつリードヴォーカルを担当していて、そのせいもあってか1stを凌ぐ分厚くキャッチーなバッキングコーラスを披露して新たにAORテイストも加味されたサウンドの華やかさを倍増させている点が、2ndの質を一気にレベルアップさせた理由だろう。

なかでもギタリスト Rinus Hollenbergの歌が予想以上に上手く、歌唱力が問われるバラードでその歌声を聞かせている事からも自身のヴォーカルスキルにかなりの自信があるのが窺えるし、Geert van de Burgより高いキーの歌声を堂々と披露しているのに驚かされました。

相変わらずRUSH臭いギタープレイとトーンなんですが、まぁソレが消えちゃうとYWIS印が皆無になっちゃうとも言えるので、コレはコレで残しておかないと折角の再結成作の意味が昔からのファンにとってなくなってしまうしね…

所で、Geert van der Burgの歌声がちょっと Clive Nolan(PENDRAGON、SHADOWLAND、etc...)の歌声に似て聞こえるのって私だけ? いや、勿論 こっちの方が本職のヴォーカリストなんで上手い…かな?(汗

バンドのサウンドの方向性は1stと同路線のポップでキャッチーながら、しっかりとポンプテイストを感じさせるメロディアスなギターとシンフォニックなキーボードの音色がフィーチャーされつつ分厚いコーラスも活かされた楽曲にもフックがありコンパクトに纏め上げられた隙無いアルバムだが、時期的に考えてもう少しメタリックなテイストやサウンドが聞こえた方がよりメジャーなサウンド(夢劇場のブレイクは92年)に近かったんでしょうが、元々HMバンドでもないし、プレイヤー的にもそちら側のサウンドをクリエイトしていた訳でもなかったので、まぁ頑張ってHR要素を感じさせている程度が精一杯だったのかもしれません。

そもそもメンバー自身がYWISのサウンドをポンプとしてプレイしはじめた訳ではないのは時期的に明白ですから、そう考えるとHRサイドからプログレへ接近したポップロック、というスタンスが一番バンドサウンドを現す言葉に近いだろうから、再結成作であるこの2ndも多分にそのマインドを引き継いでいると考えれば、この2ndの方向性も当然なのでしょうね。

元リーダーの Julian Driessenがこのリユニオン作の製作に関わっていたなら、TIMELOCKで聴かせてくれたより進化したポンプテイストを感じさせるまた違ったサウンドになっていたかもしれませんけど……

かなり出来の良いアルバムが仕上がったものの、残念なことに既にバンドに実体は無く、バンドによる有力なプロモーションもないまま『Leonardo's Dream』は1995年にリリースされてしまう。

解放パーティーと解散ライブが予定されたが、これらの計画も諸般の事情によって全て中止されYWISはすぐに解散してしまった。

せっかくいいアルバムを残してきたYWISですが、どうにも運が無かったようです…

もしデビューがあと数年遅れていたなら、ポンプ・ムーブメントにのってYWISはどんな活動を見せたのか、とか再結成作にちゃんと Julian Driessenが参加出来ていたなら、とか色々と妄想してしまいます…

もし彼等のサウンドに興味を持たれた方がいるなら、どちらのアルバムも国内盤がリリースされていますので、中古盤店をチェックしてみれば比較的簡単に入手出来るハズです。

まぁ、もっとお手軽にDLすれば音源は入手出来ますけどね。



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by malilion | 2018-03-08 22:53 | 音楽 | Trackback

SHOOTING STARの中心人物 Van McLainが死去…


ガーン! なに!? なんなのこの連続の訃報は!?

なんで自分のお気に入りのアーティストが続々と鬼籍になっちゃうんだよぉ…orz

KANSASフォロワーとして80年代にメジャーデビューして以来、そのメロディアスでキャッチーなサウンドが個人的に大のお気に入りであった米カンザス・シティ出身のメロディアスHRバンドSHOOTING STARの中心人物にして唯一のオリジナルメンバーでありギタリストである Van McLainが死去してしまった…

なんでも2015年にウエストナイル熱に感染し、以後、闘病生活を送っていらしいが…まさか、こんな最悪な結末になるとは…

最近はフロントマンだった Ronnie Platt(Vo&Key)が本家KANSASのフロントマンへ大抜擢されるなど余り良い情報を耳にしていなかったが、すぐ次なるヴォーカリスト Todd Pettygroveを迎えてこれまで通り地道に活動を続けているものだとばかり思っておりました…

これをもって1980年1月デビューから今日まで、長きに渡って活動してきたSHOOTING STARは解散する事に相成った模様です。
まぁ、リーダーが居なくなっては致し方が無いですかね…

期待の新フロントマン Todd Pettygroveを迎えての第一弾アルバム『Into The Night』を15年に発表したのが最後になってしまうなんて…

今夜はSHOOTING STARのアルバムでも聞きますかね…


R.I.P Van McLain





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by malilion | 2018-03-05 22:51 | 音楽 | Trackback

凡作の前作からの沈黙、そして華麗に蘇った北欧メロハーIMPERAがソロ・プロジェクトとして再始動!

c0072376_16354869.jpgJohan Kihlberg's IMPERA 「Age of Discovery」'18

スウェーデン人ドラマー J.K.Imperaを中心に名うての強者が揃ってしっかりとしたバンド編成で活動してきたメロハー・バンドの3年ぶりとなる新譜がリリースされたので即GET!

2012年デビュー以来、毎年1枚とコンスタンスに新作をリリースして来た彼等だが、前作から日本盤リリースは見送られ、続く新譜の報も無いままで少々心配しておりましたが、届けられた新譜のタイトルを見て何があったか納得という4thを、どうせ国内盤リリースはないだろうと予想して早々に買い込んでみました(汗

前作まで J.K.Impera(Ds)を筆頭に、ソウルフルな名シンガー Matti Alfonzetti(Vo:JAGGED EDGE、SKINTRADE、DAMNED NATION他)、北欧メロディック・ロック界随一のお助けマン Tommy Denander(G:RADIOACTIVEを筆頭にAORセッションやプロジェクト多数)、そして Mats Vassfjord(B:VINNIE VINCENT、GRAND DESIGN他)の4人でガッチリとメンツを固めバンドらしくマイナーながら地道な活動を続けていた訳ですが、まぁ、売れっ子のメンバーが売れないマイナーバンドに何時までも在籍してくれるはずもなく、残念な事に本作から Johan Kihlberg名義のソロ・プロジェクトとなってしまった…(つд`)

で、ソロ・プロジェクトになったからか心機一転、多彩なゲストを招いた各メンツのファンならずとも俄然興味を持たれるだろう、実にゴージャスなラインアップからなるメロハー・アルバムとなっております。

基本構成は、

Johan Kihlberg (Drums、Keyboards)
Lars Chriss (LION'S SHARE:Guitars)
Mats Vassfjord (220 VOLT:Bass)

という、80年代から90年代にかけて北欧HMを好んで聴いてきたHMファンなら間違いなく目を惹くメンツを基本バンドにし、曲毎にメロディアスHMファンやメロディアス・ハードポップ・ファンにお馴染みな実力派メンツが目まぐるしく入れ替わってキャッチーでブライトなモダン・メロハー・ロックを演っていて、ソロ・プロジェクトならではの賑やかで華やかなサウンドが実に素晴らしい♪('(゚∀゚∩

で、その注目のゲスト陣ですが、
Michael Sadler(SAGA:Lead & Backing Vocalss on Track.8)
Goran Edman (ex-Yngwie Malmsteen、ex-John Norum、etc:Lead & Backing Vocals on Track.6)
Nils Patrik Johansson (ex-LION'S SHARE、ASTRAL DOORS:Lead & Backing Vocals on Track.2、3)
Mick Devine (SEVEN:Lead Vocals on Track.3、5、9 Backing Vocals on Track.3、7、9)
Nigel Bailey (BAILEY:Lead Vocals on Track.7、10 Backing Vocals on Track.5、10)

Mattias IA Eklundh (FREAK KITCHEN:Guitar solo on Track.9)
Kay Backlund (LION'S SHARE:Keyboards on Track.1、3、6)
Anders Rybank (COASTLAND RID:Keyboards on Track.8)
Michael J. Scott :Lead & Backing Vocals on Track.4

プロデュースは、Johan KihlbergとLION'S SHAREのギタリスト、Lars Chrissが担当、という事で全面的に北欧プログHMバンドLION'S SHAREのメンツがバックアップしているのが見て取れる。

2ndまで80年代後期~90年代初期フィール漂う叙情的なメロディー重視のキャッチーでコンパクトでメロディアスなAOR&メロハーといった優等生サウンドだったが、前作はギターが前面に押し出されたダークでハードなテイストを強く感じさせる硬質なHMサウンドへ接近し、メロディの質やキャッチーさが後退した凡作なのが残念であったが、ソロ・プロジェクト化しJohan Kihlbergの奏りたいサウンドを100%クリエイト出来るようになったからか本作では再び初期で顕著だった北欧バンド特有の叙情性と湿り気を帯びた美旋律が眩いメロハー・サウンドな方向へ軌道修正し、前作のダークネス要素は気の迷いであったかのように影を潜め以前のドストレートなポップフィーリングが戻ってきていて、これには初期ファンも欣喜雀躍だろう(*´ω` *)

Johan Kihlberg曰く、KISSやQUEEN、ABBAやTHE BEATLESのような多様で幅広い音楽性のバンドに習って本作の幅広く華やかなサウンドのアルバムを製作したそうですが、その目論みはバッチリと果たされたと言えましょう。

前作で問題点だった印象に残らない凡庸なメロディや楽曲構成も、豪華ゲスト陣を迎える事で各キャリアの持つテクやスキル、そして際立つ個性でもって難なく払拭し、万華鏡のように華やかに変わる歌声やソロプレイヤーのサウンドでもって音楽性の幅も一気に押し広げるという禁じ手を早々に使って新作のレベルをドーピング気味に一気に爆上げ(w)した Johan Kihlbergですが、こうなると心配なのはLIVEと次作はどうするのか、って事ですよね…

出来る事ならちゃんとメンツを固めて再びバンドとして活動して欲しいですが、今後もこのゲストを迎えるパターンで行くんですかねぇ?

AYREONやTHERIONは別として、この手の豪華ゲストゾロゾロ参加な北欧ソロ・プロジェクトって、昔からなかなか長続きしないんだよなぁ…(汗

次作が早く届けられる事を祈って、今は音楽性の幅が一気に拡がったこの賑やで彩り豊かな新譜のサウンドに耳を傾けますか…



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by malilion | 2018-03-04 16:27 | 音楽 | Trackback

爽やかポンプから荘厳シンフォへ生まれ変わったオランダ産シンフォバンドTIMELOCK。

c0072376_01535526.jpgTIMELOCK 「Buildings」'08

なんだかんだでMARATHONやFOR ABSENT FRIENDSを聞き直していて止まらなくなり、オランダのポンプバンドを片っ端から引っ張り出しておりました(w

一般的にはマイナーながら実にポップでキャッチーなメロディを奏でる、上記2バンドよりさらにメロディアスでクリアーな爽快サウンドが個人的に大変気に入っていたオランダ産の5人組ポンプバンド(同名別バンドが存在するのでご注意を)をご紹介。

92年に『Louise Brooks』でSIミュージックレーベルからアルバムデビュー(カタログナンバーは20)を飾った当時、TIMELOCKもMARATHONと同じくカナダのプログレ・ポップバンドSAGAからインスパイアされたポンプバンドの一つでしかありませんでした。

ただ、デビュー当初からその他の同時期にデビューした凡百のポンプバンドより数段上のレベルのプロフェッショナルなサウンドを奏でていました。

そう思わせた一番の要因は、リーダーの Julian Driessen(Key)と相棒の Rinus Hollenberg(G、Key、Drum programming、Vo)からなる元YWIS組が作曲する楽曲が、ややもするとアマチュア臭い楽曲やサウンドが多いポンプ勢の中で群を抜いてレベルが高く、そのスタイリッシュでモダンなサウンドはポンプうんぬん抜きにして非常にメロディアスでキャッチーなロックサウンドだったのは無論ですが、何より素晴らしかったのはフロントマンの Ruud Stokerのクリアーなどこまでもよく伸びるハイトーン・ヴォーカルによるポップでキャッチーな歌メロによる所が大きかったのは間違いありません。

カンダのプログHMバンドTILESのヴォーカル Paul Rarickによく似た声質で、80年代中期USA産プログ・ハード・バンドで多く聴かれた甘い声質でハイトーンも楽々カバーするタイプなその歌声は絶品で、抜群の歌唱力は他のポンプ勢に比べ強力なアドバンテージでありました(*´ω` *)

またバンドサウンドもSAGAの完全なるフォロワー・サウンドではなく、ギタリストの Rinus Hollenbergのプレイには明らかにRUSHの Alex Lifsonの影響が強く伺え、他にも Steve Hackettや Robert Fripp等の影響が断片的に垣間見えるプレイが実に興味深く、リーダーの Julian Driessenのキーボード・プレイはバンドがギター主導で楽曲を展開させていく為か終始控え目なものの、その実しっかりと抜けのいい爽快感抜群なバンドサウンドを盛り立てる演奏で全体を引き締める、実に手堅い創りでした。

続く2nd『The Dawn』を94年に同じくSIミュージックレーベル(カタログナンバーは65)からリリースするが、ここで打ち込みドラムからドラムスに Rob Louwersを迎え入れてリズム隊を固め、よりポンプ的な壮大なサウンドのアルバムを披露する。

デビュー作の造り込まれた感が薄れ、よりロック的なナチュラルな感触の奥行きのあるサウンドのアルバムであったが、全体的にデビュー作より楽曲のキレが鈍って聞こえるのが個人的には少々いただけなかったですね……

まぁ、ポンプ的なアプローチをすればどうしたって展開の複雑な長尺曲が多くなるし、楽曲構成的にもインストパートが増えるので、爽快感抜群なデビュー作のようなコンパクトサウンドに仕上がらなかったのは当然ですが('~')

ただ、激しくスリリングなキーボードとギターのソロパートやバトル、そして高速ユニゾンプレイがフィーチャーされたり、テクニカルなインタープレイだったり複雑に展開する緻密な楽曲構成の聞き所等が盛り沢山なので、1stは普通のハードポップ過ぎると思っていたグレ好きな諸兄には、やっとポンプらしいサウンドになったと喜ばれた方も多かったかもしれない(汗

Ruud Stokerのクリアーなヴォーカルやバンドのポップなコーラスは変わらずキャッチーで、Rinus Hollenbergのメランコリックなメロディを奏でるギター・プレイと繊細なトーンも相変わらず素晴らしく、楽曲構成が複雑になった事でデビュー時のSAGA風味よりRUSH風味の方が強まったのが2nd、と個人的には思っております。

その8年後、長いインターバルの後に3rdアルバム『Circle of Deception 』'02 をリリースする。

既にSIミュージックもポンプ勢もシーンから姿を消し、プログレ系の世界では次のムーブメントであるシンフォサウンドが盛り上がりを見せつつありました。

この空白期間の影響で、ドラマーの Rob Louwersの名は既に無く、またバンド創設よりサウンドのイニシアチブを握っていたギタリスト Rinus Hollenbergの姿もそこにはありませんでした(つд`)

新たに Martin Hendriksなるギタリストが迎えられ、よりヘヴィーなギターサウンドを前面に押し出すつつ、シンフォサウンドに接近したアルバムをリリースした訳だが、Rinus Hollenbergの抜けた穴は予想以上に大きく、せっかく待望の新譜を届けてくれたにも関わらず、その楽曲のアレンジや構成レベルは今まで一番低く、歌メロもイマイチなどうにも散漫な印象の退屈なアルバムとなってしまう…orz

今までどちらかと言えばギターを盛り立てる全体的に引き立て役なプレイ中心だった Julian Driessenが初めて前面に出て華麗なキーボードプレイをこれでもかと派手に(今回はギターが裏方的なバッキングプレイが主体)聴かせ頑張っているものの、どうにもピリっとしないのがまた…

シンフォサウンドへ接近した証か、キーボード主導の12分オーバーの五部構成からなる組曲を収録しているが、唯一その楽曲だけは以前のようなキレとメロディに輝きがあり、前半の中途半端にヘヴィでシンセシンセしたマッタリ気の抜けた楽曲は一体なんだったのかと首をひねってしまいます('A`)

またお手本であったSAGA風味もRUSH風味もそのサウンドから既に薫る事はなく、何者でもないTIMELOCKサウンドなるオリジナリティというものが確立された事だけは朗報と言えましょう。

ソレが面白く興味を惹かれるサウンドかどうかは、全くの別問題ですけど…

そして再び6年の後、現在までの所最新作である4thアルバム『Buildings』'08 をリリース。

再びの空白期間の影響で、Martin Hendriksの姿は無く、新たなギタリストとして Ronald Demiltが迎えられ、前作はセッションドラマーを起用してアルバムが製作されたが、本作では再びドラマー Mike Boekhoutをメンバーに迎えて製作されている。

サウンドの方は完全にシンフォサウンドへ移行していて、前作の中途半端なヘヴィさは姿を消し、Julian Driessenのキーボード主導で楽曲がテクニカルに展開する形態がメインとなっており、そのウェット感ある壮大なサウンドは完全に初期とは違うバンドサウンドとして確立されているのが分かる。

また前作ではイマイチこなれていなかったギターサウンドも本作ではバッキングをメインにしつつしっかりとエモーショナルで印象的なプレイを聴かせてくれ、前作のダメダメな出来が嘘のようなスタイリッシュでモダンなサウンドが構築され、前作で落胆したファンを再び裏切る事のない出来になっているのが何より嬉しいですね(*´ω` *)

ただ、サウンド全体のスケール感が増した為なのかマッタリ感がかなり強い穏やかなサウンドがメインになってしまい、初期サウンドで聴けた好ましいサウンドのキレやコンパクトさや、Ruud Stokerは変わらず良い声を聴かせくれているのですが、ポップでキャッチーな歌メロという要素は著しく影を潜めてしまった為、個人的には余り好意的に聴けないアルバムなのが悲しい……

海外では、TILES、ENCHANT、USA産プログロックのファンにお薦め、と紹介されているが、それは初期のサウンドを指してで今現在の彼等のサウンドの方向性とはかなり外れたバンド名と言えるだろう。

もし彼等のサウンドに興味を持たれた方がいるなら、まずは初期の2枚のアルバムを聞いてみて気に入ったなら他のアルバムも聞いてみるといいのではないでしょうか?

もう10年近く何の音沙汰もないけど、一応バンドは存続している模様なので、そろそろ新譜を届けて欲しいものであります…


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by malilion | 2018-03-03 01:47 | 音楽 | Trackback