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自主製作にして高品質、ただ一つの欠点を除けば…

c0072376_00374797.jpgCOS 「The Turning Around」'02

米国出身マルチ・ミュージシャン Mark W. Costosoによるワンマン・ユニットの自主製作デビュー盤をご紹介。

確か購入した時は、お店の“プログレッシヴ・ポップ作”とかいう本作の売り文句に惹かれて手を出したように覚えております。

Mark W. Costoso自身が語る所によると、13歳でピアノに興味を持ちJAZZを学びだしたのを切っ掛けに、高校でも4年間クラシック音楽理論を学びつつ作曲も始めた頃からギターもプレイするようになり、いくつかのローカルクラブバンドでの演奏を始めたのがミュージシャン歴(作曲とピアノの準学士号を持つギタリスト)の始まりだったそうだ。

10代後半から20代初めにかけて、様々なロック、ダンス、クラブ、結婚式のバンド等でキーボードとギターを演奏しながら、結局自身の音楽的欲求を満たすバンドに居たことがなかった為、ソロ・プロジェクトを立ち上げアルバムを製作する事にしたらしい。

で、本作だが、影響を受けたバンドは、YES、KANSAS、GENESIS、KING CRIMSON、GENTLE GIANT、UTOPIA、らしいが、アルバムにはプログレ系の影響は余り窺えず、むしろUTOPIA(というかTodd Rundgrenか)やTOTO、そしてAOR系の影響の方が強く感じられる。

テクニカルで軽やかなピアノやキーボード・プレイにKANSASっぽさ、コーラスパートにYESっぽさを感じるものの、入り組んだ変拍子展開等にプログレの香りが僅かにするだけで所謂プログレ系やシンフォ的な要素は微弱で、基本はシンセサイザーをはじめ鍵盤系のメロディアスなサウンドで楽曲を形作り、透明感あるポップでメロゥなコーラスや歌メロで飾り立てつつギターで全体を引き締めるというイメージの、実にバランスが取れた楽曲構成もハイソで完成度も高く、ある一点を除いてソロ・プロジェクトとは思えぬ高品質な80年代風ポップアルバムに仕上がっていると言えよう。

まぁ、その一点がデカいんですが…

どうしてそんなに素晴らしいミュージシャンのアルバムがマイナーで殆ど知名度が無いか、って考えると察する方もいらっしゃるかと…

色々なカバーバンドやジャンル問わずに様々な裏方経験を積んだ結果か、楽曲の出来はポップでキャッチーでコンパクトで個人製作の自主盤にしてはかなりのレベルにあるのですが、その素晴らしい楽曲のレベルを著しく下げてしまっている Mark W. Costoso自身の、高音が出ないSTYXの James“JY”Youngがガナってるみたいなイケてない野太い歌声が非常に非常に残念で仕方がありません…('A`)

お得意のピアノが活きるバラード系の楽曲ならその違和感も少なくて済むし、もっとドプログレな方向性で殆どインスト作みたいなアルバムならこのヘッポコなヴォーカルでもなんとかなったかもしれませんが、如何せん目指す方向性がコーラスたっぷりのブライトなポップ系で歌メインな楽曲なのでどうにも避けて通れないウィークポイントなんスよね。

実際、海外でも楽曲を褒める声は多々聞こえるものの、総じて批評する皆がそのヴォーカルに苦言を呈してますから…

14年ぶりに『COS』'16 なる2nd(残念ながらR盤…)をリリースしたのですが、その2ndでせめて巷の批評に耳を傾けて歌えるヴォーカリストを招いてくれていれば、間違いなくAOR&ポップ系の話題作(そこはかとRUSHっぽいイメージもある!)になっていただろうに…2ndでも、なぁーんも変わってませんわ…orz

アルバム全体の雰囲気や楽曲、インストルメンタル・パートのプレイやサウンドは総じて心地よいものの、コーラス厚塗りしてみてもC級な歌声が全てをダメにしまっているという悲しい例ですね。

スタジオでのエンジニアリングが忙しそうですが、もし3rdがあるなら、今度こそ専任ヴォーカリストを迎え入れてアルバムを製作して(後、もうちょい音良くして…)欲しい、切にそう願う惜しいアーティストであります。

彼の楽曲をお求めの方は今なら手軽にDL出来ますが、同名のバンドやプロジェクトが多数多ジャンルに渡って数多く存在するので、その際はお間違いのないように。


by malilion | 2018-01-31 00:30 | 音楽 | Trackback

そのまま活動を続ければ、間違いなく好リリースを記録したのに…正統派メロディックHMバンドPORTRAIT。

c0072376_01542949.jpgPORTRAIT 「Same」'90

またラックから懐かしいアルバムが転がり出てきたので本日はコレを聞いておりました。

アメリカ出身マルチ・プレイヤー Gordon W. Chapman(Vo、G、B)率いる正統派メロディックHMバンドが'90年に自主盤でリリースした唯一作をご紹介。

なんだかオリジナル盤はレア盤(当然、今は廃盤)扱いらしいですけど近年リプロ盤が出回っているとの事で意外に簡単に中古盤も見つかるかも?
それに音源は今なら簡単に公式音源をDL購入出来ます(いい時代になったなぁ…)ので、別に幻の音源って訳でもありません。

まぁ、購入した当時はそんなレア盤になるなんて予想もつくわけもなく、伝え聞いていた情報ではすぐに2ndがリリースされると言われていたんですが、結局待てど暮らせど今日まで2ndはリリースされませんでした…(つд`)

さて、このバンドですが、Gordon W. Chapman(Vo、G、B)の他は John Garett Gormanなるドラマーが製作に関わっているだけで、ゲストで一曲ベーシスト Chris Olsenがベースを弾いているのみの完全ワンマン・プロジェクト(プロデュースもGordon W. Chapman自身とエンジニア)というのが実情のようです。

アメリカ産バンドでありながら、そのサウンドはウェット感あるブリティッシュHM臭と透明感ある北欧様式美HMの影響が強く感じられるシンプルな正統派メロディックHMで、Gordon W. Chapmanのヴォーカルが意外と上手く、癖のない声質の歌声でキャッチーでメロディアスな歌メロを無理なく歌いこなしており、強引に金切り声を張り上げるヘッポコギタリスト兼任ヴォーカルなレベルでないのが嬉しい誤算でしょう。

US産HMながらリフとスピードで推し通すゴリゴリのストロング・スタイルではなく、憂い有るマイナーな甘いメロディが疾走する楽曲が中心な哀愁や叙情を湛えた80年代初期北欧系HMスタイル故か、リリース当時輸入盤店でそこそこ話題になって良いセールスを記録したという逸話も残っている実に日本人受けするサウンドなので、是非2ndを届けて欲しかったなぁ…orz

ギタープレイにはインギーの影響も窺える、所謂ネオクラシカル・フレーズをフィーチュアした早弾き系のプレイが基本なものの、テクを見せびらかす(そもそもテクはそんなに…)自己満プレイに陥っておらず、しっかりと楽曲を聴かせようという意識(初期インギー作をよりバランス重視にしたイメージに近いかな?)が窺えるなかなかの佳曲が揃っております。

また、自主制作盤アルバムなのにプロダクションもしっかりしており、当時としてはかなり良い音を聴かせてくれているのもポイントでしょう。

今回、久しぶりに彼等のサウンドを耳にして、ちゃんとしたフルメンバーによるバンド体制でのアルバムを聞いてみたかったプロジェクトだと再び思ったのでした。

Gordon W. Chapmanはこの他『Gelatinous Goo』なるソロアルバムを1枚リリースしているのと、近年は SARAHKX & Gordon W Chapmanなるバンドで活動している模様ですが、詳細はよく分かっておりません。




by malilion | 2018-01-30 01:47 | 音楽 | Trackback

まさかの先祖返り!? GALAHADが壮大な組曲1曲のみのコンセプトNEWアルバムをリリース!

c0072376_13444674.jpgGALAHAD 「Seas Of Change」'18

同期が次々と姿を消しゆく中で未だ激しく気を吐き続け、UK産第二世代ポンプ・バンドの代表格になりつつある彼等のオリジナルフルアルバムとしては5年ぶりとなる11thアルバムを即GET!

近年はプログメタルに接近したり、ダンサンブルなアレンジの楽曲も含んだ前作『Beyond The Realms Of Euphoria』をリリースしたり、去年は旧曲のアコースティックアレンジBEST盤『Quiet Storms』を出したりとサウンドの幅とモダン化を加速的に拡げていた彼等だが、本作は70年代プログレバンドが盛んに試みた手法と同じくアルバム全てを使った大きな組曲1曲(43分!)のみで構成されているシンフォニック・コンセプト・アルバムへ挑んでいる。

そして再びメンバーチェンジがあった模様で、去年アコ-スティックメインによる旧曲BESTをリリースした際に最初期のベーシスト Tim Ashton が復帰したが、今度はバンド立ち上げメンバーにして長らくギタリストの座をつとめていた Roy Keyworthが脱退し、代わって迎えられたのは一時期バンドに在籍していたにも関わらず公式から存在を抹消されていた、現在はソロ活動も盛んな Lee Abrahamが本作ではベーシストとしてではなくギタリスト(!)として復帰(17年春から復帰していた模様)し、デリケートだったりパワフルだったりと、変幻自在なギターワークをモダン・サウンドに乗せてセンチにエモーショナルに響かせている。

ベーシストが昔からこのバンドはなかなか定まらなかったのは周知の事実ですが、まさか初期からずっと安定していた(と思っていた)ギタリストの交代劇が30周年を迎えた後に起こるとは正直驚きでした。
GALAHAD脱退後のソロ活動を見るに、恐らく Lee Abrahamはあくまでギターをプレイしたかったもののバンドにはベーシストとして迎えられ、結果的にフラストレーションが溜まって脱退した、だけどバンド側はその才能を高く評価していたのでギタリストが抜けた際に即連絡して迎え入れた、というような顛末な気がします。
今回のギタリストの交代劇でバンドサウンドが一層に若返る事に成功したと思うので、これは双方にとってWin-Winな結果でしょう。

遂に黒歴史から開放されたんやな…良かったなぁ、Lee Abraham…(つд`)

さて、組曲1曲のみの本作サウンドについてだが、その形態からの察せられるように最初期の如何にもポンプ然としていたGALAHADサウンドを思い起こさせるメロトロン系キーボードやオーケストレーションも加えた伝統的プログレ要素と、彼等の初期に顕著だった牧歌的な要素を組み合わせ、近年のプログメタルな方向性の壮大なシンフォニック・サウンドでコーティングしつつ、二十年前から試みていた現代的なテクノ風キーボードサウンドも隠し味にピリリと利いている、如何にも英国風な湿り気を帯びた繊細でドラマチックな叙情感とパワフルでモダンなダイナミズムがハイブリッドに融合した新生GALAHAD第一弾に相応しい意欲作と言えるだろう。

同じようにコンセプトアルバムをリリースしている長らく彼等のお手本であったMARILLIONが、枯山水的な仙人世界へ旅立ってしまったのと比べると、彼等のサウンドは未だに俗っぽくそしてパワフルで生々しいロック・スピリット(スケール感では負けてるけど…)を感じさせるのが実に興味深く、そして個人的には嬉しい点でもあります。

また、一大コンセプト作なものの大勢のゲストプレイヤーを招くような事はなく、バンド曰く“長期名誉メンバー”と讃える Sarah Bolter(元Sarah Quilter)嬢(最初期アコースティック作『Galahad Acoustic Quintet: Not All There』'94 から断続的に製作に参加している)による、コーラス&バッキングヴォーカル、フルート、クラリネット、ソプラノサックスのみを加えて本作は製作されている事からも、新生GALAHADのポテンシャルにメンバーが絶対の自信を持っている事が窺える。

ここ数作のようなコンパクト感とメタリックなタッチは若干後退して感じるものの、それはアルバム形態によるものでしょうから不安材料とはならないでしょう。
寧ろ Lee Abrahamを迎えた事により、新生GALAHADのサウンドはポップ度とキャッチーさ、そしてモダンさを今後ますます増していくのじゃないかと予想出来ますね。

プロデュース、ミックス、マスタリングは、00年代に消えかけていた彼等を華麗に復活させたお馴染み Karl Groomが手がけているので品質に些かの疑いもないのでご安心を。

初回デジパック盤は限定なのか不明ですが、組曲内の曲2曲がエディット版でボートラとして収録(つまりアルバムには3曲収録されてる)されております。

そうそう、限定でCD付きターコイズカラー&ピクチャーLPも同時期にリリース(プログレ的なマニアックさですねぇ~)される模様なので、アナログマニアな方は是非そちらの方もチェックしてみて下さい。



by malilion | 2018-01-27 13:37 | 音楽 | Trackback

如何にも気品漂う英国ポップス♪ DOWNES BRAIDE ASSOCIATIONの3rdをご紹介。

c0072376_12295779.jpgDOWNES BRAIDE ASSOCIATION 「Skyscraper Souls(DBA3)」'17

御存知ASIAのキーボーディストにして近年はYESにも在籍する、プログレ系ミュージシャンとしてだけでなくポップ・ヒットメイカーとして80年代初期から第一線で活動を続ける Geoff Downesが、英国人シンガー Chris Braideと組んだUKポップ・ユニットが2年ぶりに3rdをリリースしたのをちょい遅れてGET!

前作の80年代USポップス風なレトロなジャケデザから一転、YESでお馴染みの Roger Deanの手によるジャケ画を見るだけで今回は前作と違う路線と予想出来る新作だ。

で、聞いてみると、基本路線は以前からの2人のソング・ライターとしての才能が発揮された、プログレ、ポップ、ニューウェーブをベテランの風格たっぷりMIXしたアダルト&モダンでシャレオツなメジャー路線の高品質UKポップ・ロックなのだが、今回はその基本スタンスを護りつつシンフォサウンド寄りにアプローチしたサウンドというイメージで、タイトルトラックが約18分の長尺曲でプログレお約束な構成曲なものの全体的に若干シンフォテイスト(フロイド風?)を感じる程度の変化なので前作までの親しみやすいポップでキャッチーなサウンドを気に入っていた方でも問題なく楽しめるプロフェッショナルなアルバムと言えよう。

また本作から、Geoff DownesとChris Braide2人のキーボード、ピアノ、プログラミング、ヴォーカルに加え、ギターや可憐で幻覚的なフィメール・バッキングヴォーカルや男女デュエット、さらに各曲毎に米英の著名なゲスト・プレイヤーやゲスト・ヴォーカリストを多数迎えつつ、打ち込みを捨てて生演奏のリズム・セクションを取り入れたよりバンド・サウンドへ近いサウンドとなっており、さらに深みと華麗さの増した美旋律が薫るサウンドへと進化したシンフォニック・コンセプト・アルバムとなっている。

ゲスト陣の中で特に注目なのは、XTCの Andy Partridgeだろう。
アルバム全9曲のうち4曲(tracks 1,3,8 & 9)のギター・パートをプレイしていて、本作の淡く英国叙情漂うウェットなモダンサウンドのテイストを決定づけている立役者とも言えるのは間違いない。

また、BIG BIG TRAINの三代目フロントマン David Longdonがヴォーカル&フルートで参加したtrack5では、Chris Braideと David Longdonのツインヴォーカルが聞けるドラマチックで気品溢れるUKポップサウンドも聞き所の一つだろう。

しかしギタリストの参加でここまでサウンドにエモーショナルでハードなフックと陰影が生まれるとは驚きでした。
前の2枚のアルバムとは異なり、Ash Soan(Ds)、Andy Hodge(B)、Dave Colquhoun(G)のコアバンドで本作は製作されており、次作でも同じ構成で是非バンドサウンド寄りの魅力的なアルバムを製作して欲しいものです(*´ω` *)

MUSICIANS

Geoff Downes (Keyboards & Vocals)
Chris Braide (Vocal & Keyboards)

with:

Andy Hodge (Bass)
Ash Soan (Drums:イギリス人名セッションドラマーで Trevor Horn、Squeeze、Adele、Robbie Williams、Gary Barlow等の仕事で知られる)
Dave Colquhoun (Guitars:Rick Wakemanのソロアルバムに多数参加しているギタリスト)

Andy Partridge (Guitar & Mandolin :XTCのリーダーでVo&G)
Kate Pierson (Vocals USAニュー・ウェイヴ・バンド:The B-52'sのシンガー)
Matthew Koma (Vocals USAのミュージシャン、シンガーソングライター)

David Longdon (Vocals & Flute :UKシンフォバンドBIG BIG TRAINのフロントマン)
Tim Bowness (Vocals イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター)
Marc Almond (Vocals イギリスのミュージシャン、シンガー)



by malilion | 2018-01-24 12:21 | 音楽 | Trackback

HMプロデューサー&レコーディングエンジニアのクリス・タンガリーディスが1月7日に死去…R.I.P

まさかの新年早々の訃報…orz

メタル系を愛聴する諸兄なら数々の名バンドのアルバムで一度はその名を目にした事もあるはずのベテランプロデューサーにしてエンジニア、Chris Tsangaridesが逝ってしまわれた…

個人的にはANTHEMのアルバムでいつもその名を目にしていただけに、途方も無くショックです…

彼が手がけたバンドは、ANGRA、ANVIL、BLACK SABBATH、COLOSSEUM II、EXODUS、HELLOWEEN、JUDAS PRIEST、MAGNUM、Yngwie Malmsteen、Gary Moore、PRAYING MANTIS、TNT、UFO等々、上げていったら枚挙にいとまがありません…


R. I. P Chris.
by malilion | 2018-01-08 12:19 | 音楽 | Trackback

一気にASIA化!? LEE ABRAHAMがソロ6作目をリリース!

c0072376_02315726.jpgLEE ABRAHAM 「Colours」'17

第二世代UKポンプとして未だ気を吐くGALAHADに05年から09年にかけて在籍しアルバム制作にベーシストとして参加したのに、その存在をバンドに抹消された(涙)ポンプ系UKマルチミュージシャンのソロ作6thがリリースされたのを幾分遅れてGET!

まずは前作の如何にもプログレ系という淡くファンタジックな美しいジャケアートから一転、いきなりアーバンでカラフルになったジャケットに驚かされる。

そしてアルバムのサウンドを耳にした今までの彼のファンなら、その予想を上回るポップでキャッチーなモダンサウンドに愕然とするだろう。

で、この変化は製作メンツが原因かと思ったが、ソロ作ながらもドラム、ベース、ギター&キーボードの最小3ピースなバンド構成を基本に複数のヴォーカリスト等の豪華ゲスト勢を多数招くこれまでのソロ作と同じパターンに変化はなかった。

その注目のゲストの方は、ほぼ00年代デビューのUKネオプログレ・バンドのメンツばかりで殆ど前作にも参加しているメンツばかりだ。

Lee Abraham(Guitars、Keyboards)

Gerald Mulligan (CREDO:Drums)
Alistair Begg(Bass)
Rob Arnold(Piano、Electric Piano)

Dec Burke (ex-Darwin's Radio、FROST*、AUDIOPLASTIK:Vocals)
Marc Atkinson (RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MANDALABAND:Vocals)
Simon Godfrey (TINYFISH, Shineback, Valdez:Vocals)
Robin Armstrong (COSMOGRAF:Vocals)
Gary Chandler(JADIS:Vocals)
Steve Overland(FM:Vocals)

全体的なサウンドにシンフォ系の香りが漂うものの、タイトル・トラックの『Colors』などは露骨にニュー・ウェーヴ・サウンドと80年代アリーナロック的なテイストを感じさせ、TOTO、ASIA、FM等に通じる軽快で古典的なAORサウンド要素が全面に押し出されていて、明らかにこれまでのアルバムと感触が違っている。

全楽曲が非常に旋律的で、ややもするとウェットでダークな雰囲気の強かった彼のシンフォニックな作品の中でも随一のブライトさと幅広いサウンドカラーが聞き取れ、主要なメロディーとコーラスなどは殆どラジオフレンドリーなメロディアス・ポップそのものと言っても差し支えないだろう。

無論、これまで通りにHRテイストやシンフォ・ロックなテイストを感じさせる楽曲もあるものの、これまで折衷的に微妙なバランスを取ってきたアルバムのサウンドが、本作で一気にポップな方へ傾いたのは明白だ。

とは言っても、未だに柔らかなキーボードの音色に包まれた、穏やかな叙情をたたえたドラマチックで感傷的なサウンドは健在なので、余りの変わりように落胆した、なんて事はないので旧来のファンの方々もご安心を。

前作以上に6名のゲスト・ヴォーカルが代わる代わる個性豊かな歌声を披露し、それだけでも各曲の顔つきがガラリと変わって、アルバムタイトル通りにカラフルでヴァラエティ豊かなサウンドを一層に華やかにするのに一役かっている。

前作では咽び泣くエモーショナルな哀愁のギターが、ゆったりと流れゆく楽曲を盛り上げる主導権を担っていて鍵盤系サウンドは完全に脇役であったが、本作ではハードなギターリフに負けぬ Geoff Downesスタイルのオーケストレーション・キーボードや魅力的なメロトロン、そしてハモンドなどなどセンチメンタルなメロディと繊細な叙情性を引き立てる重要な役割を果たしており、基本歌モノ中心で穏やかな曲調の多い Lee Abrahamのアルバムのメリハリを一段と強調し、サウンドに深みとウェット感を与えていると言えよう。

また、ポップな方向性のアルバムではあるもののUSA系ポッフスのような軽薄さは皆無で、多数招かれたゲスト・ヴォーカリストの中でも Steve Overlandのソウルフルでディープな歌声は本作の中でも随一に光を放っており、それ以外にも賛美歌風な合唱コーラスなど華麗にして重厚な英国的要素もしっかりと楽曲のそこかしこに散りばめられているのは流石の一言だ。

プロデュースは Lee Abraham自身で、マスタリングはお馴染みの Karl Groomという安心印なので、サウンドの品質は自主製作盤ながら折り紙付きでしょう。

個人的には大変好ましいこの一作ですが、シンフォ系という目線から見るとお薦めにはならぬだろう一品だし、ポップ系で売るには毛色が少々違う、という、余り爆売れしそうに思えないアルバムですので、ファンは勿論のことポップ目なシンフォ作が好きな方はお早めにね!



by malilion | 2018-01-01 02:21 | 音楽 | Trackback