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DREAM THEATERフォロワーなフランス産プログHMバンドORENDAが、キャッチーに大躍進したシンフォ・サウンドの2ndをリリース!

c0072376_16293352.jpgORENDA 「Next」'18

フランスはルーアンで結成されたキーボード入り5人組モダン・プログレッシヴHMバンドの2ndアルバムが、去年末に10年ぶり(!!)にリリースされていたのを、今頃ご紹介。

98年にルーアン大学でDREAM THEATERのカバーバンドとして創設された、という出発点は明らかにDREAM THEATERフォロワーの1バンドであった。

ただ、彼等が『Images & Words』'92 リリース後に世界中であふれかえったコピー・バンド群と大きく違ったのは、彼等が『Images & Words』リリース後数年してから活動開始した世代差のあるバンドであり、『Images & Words』時点“まで”の音楽性のコピーであった雨後の筍の如く出現したDREAM THEATER症候群バンド(サックス入りのバラード調曲は定番)と違い『Images & Words』以降の音楽性の変化を取り込んでいる点と、当然の如くDREAM THEATER以外からの音楽的影響も色濃く自身のサウンドに現れてモダンでスムースなオリジナリティあるサウンド構築に活かされている点が上げられるだろう。

デビュー・アルバム『A Tale of a Tortured Soul』'08 時点では、ヴォーカルの声質や歌唱スタイルは言うに及ばず、ギターリフやフレーズ、リズムチェンジにキーボード・サンプリング等までに隠しようもなくDREAM THEATERフォロワー臭が漂うプログHMサウンドであったが、ユーロ圏のバンドらしいダークなアルバム・コンセプトと、ウェットなメロディや歌メロを主軸に据えた楽曲構成は、複雑な楽曲構成やインタープレイの応酬、そしてハイテク・ソロプレイ等を見せつける事の多いフォロワー系バンドの中では、所謂ポピュラーでキャッチーにまとめられたスタンダードなHM(時期的に考えて、もっとダークでヘヴィな鈍色プログHMサウンドでも当然なのに、その選択をしなかったのが素晴らしい!)に近似したバンドサウンドであったと言える。

夢劇場フォロワー系バンドのデビュー作は、ややもすると若さあふれる才気走った無駄なテクの応酬、長尺のインタープレイ・パート等が多くウンザリさせらる事が多いのが常だが、彼等はコンセプトアルバムであった点や、前世代のモロ『Images & Words』コピーなフォロワー・バンド群のサウンドを聴いていた事も影響してか、あくまでコンセプトを伝える歌メロを主軸に据えたコンパクトな楽曲構成であった事もあってオリジナリティという点ではまだまだなものの一連のフォロワー群の劣化コピー・アルバムより聞きやすかったのを覚えています。

とは言え、この時点ではDREAM THEATER、SYMPHONY X、SHADOW GALLERY等のサウンドと類似点の多いテクニカルなギターとキーボードプレイが売りのマイナー・ユーロ・プログレッシヴHMバンドの一つで、PAIN OF SALVATION風のダークな世界観も垣間見せている所がちょっと毛色の違いを感じさせる程度の存在でした。

今から考えるとこの時点で既にコーラス主体(ベーシストを除くメンバー全員バッキングヴォーカルのクレジットがある)なキャッチーな歌メロの片鱗や、サンバやサルサ等のDREAM THEATERでは聴く事の出来ないダンサンブルなフレーズや軽やかで美しいメロディの楽曲展開等が垣間見えていたのが面白いですね(*´ω` *)

普通ならデビューの勢いそのままに2ndの制作へ雪崩れ込むのがバンドの常なのですが彼等の場合は少々違い、リーダーの Stephane Coubray(Keyboards、Piano、Vocals、Percussions)が複数バンドを掛け持ちしていたのも関係してか、次なる音源は彼の関わるバンドを中心に多数のバンドに在籍するメンツや有名セッションミュージシャン、そしてテクニカルな音楽大院生を招くなど総勢14名の参加ミュージシャン達の手によるオペラ形式の壮大なダブル・コンセプトアルバム『New Day for Heaven』'13 を制作する事になる。

以下、『New Day for Heaven』プロジェクト参加メンバー。

Stephane Coubray(ORENDA、PLATINUM PLATYPUS、TRACES D'ILLUSIONS:Keyboards、Guitars、Bass、Vocals)
『New Day for Heaven』プロジェクトの作曲、アレンジ、プロデューサー、エンジニアを担当。物語ではナレーションの音声も担当。

Yann Martin(PIG:Guitars)
ギタリストで作曲家。
『New Day for Heaven』プロジェクトのスタジオ作業、及び公式ウェブサイトのデザイナー。物語では父親役の音声も担当。

Alexis David Tocqueville(PIG:Vocals)
『New Day for Heaven』プロジェクトの作詞と物語の脚本を担当。
ヴォーカル・メロディーの大部分と、キャラクターDARK HEAVEN役の音声も担当。

Anthony Lefebvre(ORENDA:Vocals)
物語の主人公HEAVEN役の音声を担当、そしてリード・ヴォーカリストでもある。ヴォーカル・メロディーと、ヴォーカルアレンジを担当。
『New Day for Heaven』CDカヴァーとアルバム付属の小冊子デザインも担当。

Julien Esteve(ORENDA:Bass) 新たにORENDAに加入したベーシスト。
Cedrick Saulnier(ORENDA、COVERSLAVE:Guitars)
Solene Leroy嬢(PLATINUM PLATYPUS:Vocals) 物語でEVE役の音声を担当。主人公の恋人役。
Salima Pichou嬢(COLLIN THOMAS:Vocals) 物語で主人公の母親役の音声を担当。
Alexis Damien(PIN UP WENT DOWN:Drums)
Guillaume Lefebvre(Drums) ルーアン音楽大学院生。ORENDAメンツの後輩。
Sylvain Fassio(PIG、ROSAPARKS:Guitars)
Laurent Terri(TRACES D'ILLUSIONS:Flute) 有名フルート奏者。
David Andrews(ANDREWS:Bass) 有名ベテラン・ベーシスト。
Damien Train(PLATINUM PLATYPUS、PIG、SUPER SCREAM:Drums)

と、言う事で Stephane Coubrayを中心に『New Day for Heaven』プロジェクトのミュージシャン達が集まったのが分かるだろう。

『New Day for Heaven』のサウンドトラックの殆どはORENDAバンドメンツの手によるもので、その意味で言えば『New Day for Heaven』をORENDAの2ndと捉える事も出来るかもしれないが、フルメンツによる制作でないのと複数バンドとのコラボによる創作状況を見るとやはり純然たるORENDA作と言えぬのが実際の所だ。

コンセプト・アルバムのサウンドは、男女複数ヴォーカルの効果やストーリー重視のオペラチックな楽曲構成な為にAYREON風の美しく艶やかなサウンドで、あくまで物語を綴るヴォーカル達が中心な楽曲は聴き心地の良さに重きを置かれている為か、参加メンツの経歴を考えるとテクニカルさだったりハードさだったりには注力されておらず、また伝えたいストーリーにリスナーを集中させる為か音楽的革新性等も目論まれていない(場面展開の妙やスリリングな楽曲展開等は目白押しだけど)ので、プログレ的要素を求める向きにはお薦め出来ないサウンドと言えます。

結果的に次なるORENDAのアルバムは18年発表になるので、1stリリース後にメンバーチェンジが勃発した為に『New Day for Heaven』プロジェクトへ Stephane Coubrayが手を出した訳だから、『New Day for Heaven』がバンド活動停滞の引き金になったのは間違いない。

因みに『New Day for Heaven』の物語の内容はと言うと、ジャケに描かれている蝶が象徴的(蝶になる夢は、華麗に変身したり、大きく成長したいという願望を暗示)なSFストーリーで、善意と優雅さに満ちた牧歌的な、天国の如く満たされた世界で17歳の少年が暮らしていた。
優れた科学者の父と優しい母の両親も、彼の完璧な精神性の偶像的存在だ。
しかし、恋人EVEと友人JAREDが登場する事で、物語の主人公である少年の完璧な人生がバラバラになっていく。
JAREDとの友情、助言を否定し、EVEとの関係を深めていく少年。
JAREDは、あらゆるモノを掌中に収める必要性のある少年の為にEVEを殺害し、少年は怒りにまみれJAREDを殺人罪で告発する。
突然、画像が目の前で回転し、悪意ある声が遠くのエコーのように共鳴し、天国のような世界は消え去る。
頭蓋骨にリベット止めされたセンサーとコードまみれで無菌室に横たわる自分を発見する。
実験器具は心拍を刻んで轟き、メインコンピューターの制御画面と、そこに表示されたデータを注意深く見ている40代の男が傍らに居る。
悪夢を完全に消し去った牧歌的な満ち足りた生活は、再構築され少年のまぶたの奥へ注入された夢だったのだ…

という、愛と友情、父と息子の関係、天国の安らぎと悪夢の誘惑が絡み合い善から悪への心情変化等、如何にもなダブル・コンセプト作になっているので、ご興味あるようならチェックされるとよろしいでしょう。

『New Day for Heaven』の為に休業状態だったORENDAだが、『New Day for Heaven』参加の Guillaume Lefebvreを新たなドラマーに迎え、長いインターバルの為か Cedrick Saulnierが脱退し Stephane Vaillantなる新ギタリストに迎え、2ndの制作に取りかかる。

前作からの長い長いインターバルや、Stephane Coubray(既に彼にとってORENDAは数ある音楽ユニットの一つに過ぎないっポイ…)や他メンバーのバンド外活動、そしてコラボレート活動した成果が活かされたのか、久しぶりとなる2nd『Next』のサウンドはこれまで以上に複合的な音楽要素で構成され大きくハイレベルに発展した、フロントマンとキーボーディストだけが同一とは言え、一聴しただけでは以前のORENDAサウンドを思い出すのが困難な程の傑作アルバムとなっている('(゚∀゚∩

以前よりサウンドのメタリックさ加減が幾分か薄れてよりユーロ・グレHMなモダンサウンドに近づいたのと、新メンバーを含め各パートの演奏技術も当然向上しているのもあるが、より楽曲がメロディアスでキャッチー、そしてコンパクトに纏め上げられており、さらに分厚く美しいヴォーカル・ハーモニーがまるでポップスバンドのように全編でフィーチャーされ、ここぞとばかりに斬り込んでくるスリリングなギターとヴィンテージ感を増した鍵盤系サウンド、特にシンセサイザーのサンプルや用法が夢劇場の影響から脱してユーロ・シンフォ系へ様変わりし、楽曲を華やかにする相互作用が一段と切れ味鋭くなった点がバンドサウンドを大きく飛躍させた要因になっているように思う。

未だに確かにそこここにDREAM THEATERっぽさは感じるものの、本家がダークでメタリック、そしてヘヴィな路線へ進んでしまった今となっては、彼等の“推し”と“引き”を絶妙な具合で楽曲に刻み、陰影と艶を生み出すドラマチックな手法は、今の夢劇場に望むべくもないリリカルで艶やかなモダン・ユーロ・グレHMサウンドなので、『Images & Words』当時のメロディアスでテクニカル、それでいてキャッチーという奇跡のバランスのさらに先へ進んだ、モダンでたっぷりのヴォーカルハーモニー(ちょいちょいQEENっポイ)によるポップネスさが加味された極上のグレHMサウンドを聴くに、『New Day for Heaven』プロジェクトでの遠回りや多数のバンドとの交流が決して無駄でなかったのだと分かる。

フロントマンの Anthony Lefebvreの歌いっぷりもさらに自信とパワフルさを増しており、既にJames LaBrieの影響から完全に脱して独自の深みある伸びやかな歌声や物語を紡ぐくぐもった語り口調など新境地を披露し、ORENDAサウンドの格を上げるのに一役買っているのも本作のサウンドレベルが格段に上がって聞こえる要因の一つなのは間違いない。

また、デビュー作でも幾分か感じられたダンサンブルで軽やかなメロディ運びが本作で本格的に楽曲に導入されてオリジナリティを大きく感じさせるようになった点も見逃せぬ点で、ソリッドでタイトなリズム隊に挑むような強力なフック有るギターリフや、楽曲を包み込むような美麗で煌びやかなシンセワークだけでなく、不意に訪れる素晴らしいアコースティック・シーケンスが渾然となって紡ぐ繊細にして荘厳なメロディは、ただひたすらにキャッチーで美しいのです(*´ω` *)

DREAM THEATERをはじめ、SHADOW GALLERY等のモダン・テクニカルHMがお好みな方や、ちょっとUSA寄りながらヘヴィさは控え目でしっかりモダン・ユーロ・グレHMサウンドがお好きな方に、彼等の新作は是非にお薦めしたい一品と言えましょう。

キーボーディストの Stephane Coubrayがボスなのもあって、シンセ、ピアノ等の鍵盤系の煌びやか、そしてセンチメンタルで透明感ある繊細な音色が実に美しく、キーボードが大活躍するユーロ・グレHM好きな方にもお薦めです。

最後に、ORENDAとは北アメリカの先住民族ヒューロン族の言葉で、運命や宿命の力とは対極にある力の事を指すのだそうです。
自らの環境を変化させる、運命を変える人間の意志の力“ORENDA”をバンド名にするなんて、なんとも中二心を擽られるネーミングセンスですよね(*´ω` *)



by malilion | 2019-05-10 16:25 | 音楽 | Trackback

最初期GLASS HAMMERの歌姫 Michelle Young嬢のソロデビュー作をご紹介。


c0072376_16371268.jpgMICHELLE YOUNG 「Song of the Siren」'96

今や大ベテランとなったUSA産シンフォ・バンドGLASS HAMMERの1st、2nd、そして最初期のレア音源&LIVE作『Live and Revisited』で、ブライトで愛らしい歌声を聴かせていた Michelle Young嬢のデビュー・ソロ作を今頃入手出来たのでご紹介。

いやー、GLASS HAMMERの Fred Schendelと Steve Babbが全面的に協力している事もあってか、なんかプレミア価格でとんでもない値段でしか中古盤で出回ってなかったので今まで指を咥えて恨めしく眺めているしかなかった盤がヒョッコリ流れてきたのを上手いこと拾えて何よりでした(*´ω` *)

恐らく私が購入出来たのは、02年に Karl Groomの手によってデジタル・リマスターされリイシュー(ジャケが若干変更されている)された本作も購入し、レコードラックが手狭になって古い音のオリジナル盤を放出でもした方が居たからじゃないのかな、とか勝手な想像をしております。

c0072376_16374073.jpgそっちのリイシュー盤も欲しいけど、オリジナル盤と同じく未だにとんでもないプレミア価格なんですよね…('A`)
マイナーなフィメール・ヴォーカリストの自主制作アルバムなので、広大なアメリカでは殆ど注目されていない事やプレス数が希少なのが響いてるなぁ…

さて、その Michelle Young嬢ですが、GLASS HAMMER参加前はチャタヌーガのテネシー大学で音楽を専攻し、合唱団で歌ったり、数年のボーカルレッスン(教会でアルトパートを好んで歌い、ソプラノパートは未熟な若い頃には非常に困難な高いキーだったのと、練習嫌いで学業は不真面目だった模様)を受けつつ、ソロ・ピアノやヴォーカル、或いはヴォーカル・グループとしてバンドで演奏するタレントショー等に参加し、世に踊り出るチャンスを伺っていたらしい。

面白いのが Michelle嬢がどういう経緯でGLASS HAMMERへ参加する事になったかと言うと、GLASS HAMMERがデビュー・アルバム『Journey Of The Dunadan』'93 の作業中、Steve Babb(Synthesizer、Bass、Taurus Pedals、Medieval Guitar、Percussion、Lead & Backing vocals)と David Carter(Electric Guitar)の2人がレストランにてアルバム制作の話をしているのを盗み聞き(!)し、2人がミュージシャンだと分かったので自分からアプローチした、という超行動派なエピソードだろう。

結局、既にヴォーカル・パートの作業は殆ど終わっていたので、アルバムのメンバー写真を撮影する為に Michelle嬢は雇われ、けれど彼女の声を気に入ったGLASS HAMMERの中心人物 Steve Babbと Fred Schendel(Organ、Keyboards、Acoustic Guitar、Recorder、Drums、Lead & Backing Vocals)2人の提案によってバッキングヴォーカルとして数曲にその歌声を残す事になり、そのままメンバーとして加入しLIVE活動をしつつ、次のアルバム『Perelandra』では堂々とGLASS HAMMERのフロントマンとしての座を勝ち取り、本格的にミュージックシーンへデビューを果たしたのでした。

『Live and Revisited』'97 では美声を披露しつつ、サポート・キーボードを弾いたりしていた Michelle嬢ですが、彼女は97年にフルタイムでソロキャリアを追求する為にやっと手に入れたGLASS HAMMERのフロントマンの座を捨て、あっさりとバンドを脱退する事になる。

これは彼女の加入の経緯を考えれば超ハングリーな Michelle嬢が、決してGLASS HAMMERでは主導的な立場になれぬ脇役にいつまでも甘んじる訳もなく、遠くない将来訪れるだろう未来だったと言えるでしょう。

でも…ちょっと Michelle嬢は気が早いと思いますけどね…(汗

GLASS HAMMER在籍中に本作『Song of the Siren』のレコーディングは開始されており、Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作された経緯もあって、当然の如く2人はGLASS HAMMERのアルバムをリリースしている自身のレーベルARIONからのリリースを招待(メンバーのソロ作をファミリー的にリリースって定番だもんね)したものの、Michelle嬢は2人に頼り切りになる愚を犯す事なく自身でNaosha Recordsを設立(しっかりしてるなぁ…)し、デビュー・ソロアルバムをリリースする決定を下す。

今となってはな話だが、この時ARIONレーベルからソロ作をリリースする選択をしてくれていれば、普通に定価で Michelle Youngのソロアルバムを今でも簡単に購入出来ただろうに、と思ってしまいます…orz

本作は Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作されてはいるものの、それは演奏パートだけで Fred Schendelとの共著曲を除いて、ほぼ全ての楽曲は Michelle嬢のペンにより、プログレ系フィメール・ヴォーカリストのソロ作にありがちな歌姫は歌唱パートを提供するだけで楽曲は殆ど所属バンドメンツが創作しているパターンではなく、素晴らしいリードヴォーカルに加えて、Keyboards、Guitar、Bass、Bamboo Flute、Silver Flute、Chimes、Ocarina、Double Barrel(両手に持ってシェイクし音を出すパーカッション)をプレイするなど、確かに本作は彼女の手によって創作された作品である“印”がしっかりとそのサウンドに刻みつけられている(*´ω` *)

GLASS HAMMERでの Michelle嬢の歌声を知る方ならば既にご存じでしょうが、Michelle嬢と Kate Bushの歌声の類似性(そもそも Kate Bushに影響されて歌い始めたんだから当然だ)は隠しようもなく、Kate Bushのアルバムに期待される要素の多くを本作も兼ね添えていると言えるが、個人的にはMichelleの声の方が透明感があって音域も幅広く、朗らかで力強くてよりポピュラー・ミュージック寄りな彼女の音楽の方が好みではありますね。

勿論、創作意欲旺盛で挑戦的な Michelle嬢が Kate Bushの劣化コピー的な存在で満足する訳もなく、続く2ndソロアルバムではライブミュージカル等を見て自分の音楽に演劇的な感覚を形作る事に成功し、より自身の“声”を表現出来るようになってオリジナリティを確立していく事になるのですが…

プログレ&シンフォ系ファン的には参加メンツが地味な本作より、Clive Nolanと Oliver Wakemanと親しくなった後に制作された2ndソロ作の参加メンツの方がポンプ系シンフォ系の有名所が参加している為に注目度は高いかもしれないので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみても損はないですよ。

尚、本作に収録されている楽曲スタイルは、所謂今日の市場における女性ヴォーカル・アルバムの大多数に見られる傾向な楽曲、ポップス、ソフトバラード、JAZZ風ナンバー、以外にもミステリアスなプログレッシヴ・インストゥルメンタル、民族音楽的インストナンバー、そして典型的な Kate Bush風の官能的女性ボーカルトラックが収録されており、ハッキリ言って Kate Bushの作品のいくつかを彷彿とさせる楽曲が多く耳につくのは紛れもない事実で、この時点ではオリジナリティという点で少々弱いといわざるお得ないだろう。

現在までに Michelle嬢は一枚だけソロ作『Marked for Madness』'01 をリリースするに留まり、以降はブルースロックバンドを始め、フランスのフォーク作など幅広いジャンルの他アーティスト達とのコラボ作やプロジェクト等に参加し、今も活発に活動を継続中な模様だ。

最後に彼女の音楽的ルーツであり、お気に入りアーティスト達を記しておくと、THE BOOMTOWN RATS、THE COCTEAU TWINS、William Orbit、Laurie Anderson、Kate Bush、KING CRIMSON、Adrian Belew、Steve Hackett、KANSAS、THRWAD、FERNANDEL、Nanci Griffith、FISHBONE、Tori Amos、Marco Flores、LANDMARQ、HAPPY RHODES、ARENA、SHADOWLAND、PENDRAGON、UNDER THE SUN、 Mozart、Beethoven、Mischa Elman、QUEEN、Ella Fitzgerald with Louis Armstrong、Paul Revere & THE RAIDERS、Basil Poledouris、THE STYLE COUNCIL、Rick Springfield、THE JAM、SUPERTRAMP、Sarah McLachlan....と、本当に幅広い音楽を聴くのが好きなようですね。



by malilion | 2019-05-08 16:29 | 音楽 | Trackback

期待の新人USA産プログレッシヴ・デユオ FAINT SIGNALの2ndがリリース!

c0072376_00461197.jpgFAINT SIGNAL 「Formula」'18

2人のマルチ・ミュージシャンを中心としたUSA産プログレッシヴ・デユオの2ndがリリースされたので即GET!

USAオハイオ州南西端に位置する都市シンシナティで結成されたプログレッシヴ・デユオ(現在、シンシナティで唯一のプログバンドらしい…)で、シンシナティで活動するカントリー風味なパワー・ポップバンドSCREAMING MIMESのメンバーである Randy Campbell(Backing Vocals、Keyboards)と Henri Eisenbaum(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、Vocals、Drum、Percussion、Sequencing)の2人によって12年頃に結成された。

発起人は Randy Campbellで、自身のルーツであるプログレ・ミュージックをプログレが死に絶えたシンシナティで復活させたい、という想いから活動が始まった模様で、全楽曲の歌詞や楽曲の多くを相方の Henri Eisenbaumが手がけるのに対して Randy Campbellは10年以上SCREAMING MIMESのメンバーとして活動してきた人脈を活かし地元シンシナティのベテラン・ミュージシャンを幾人か招いて協力を乞い、14年に無事デビュー作『Faint Signal』が自主制作盤でリリースされる事となる。

デビュー作はUSA産プログレらしくSFチックでスペイシーなシンセがフィーチャーされたちょっとPINK FLOYDっぽいダークサウンドで、ソリッドでメタリックなギターと、オルガンやストリングス系に加えピアノの軽やかな音色も美しく、煌びやかなキーボードが大活躍するモダン・サウンドのヘヴィなUSテクニカル・シンフォといった趣の音であった。

2人がかりの多重録音なので無機質な打ち込みドラムも相まって全体的にドライサウンドながらそれはUSA系シンフォに共通点なので驚くに値しないのだが、サウンドのスケール感は色々工夫はしているが結局こぢんまりしてしまっているのが少々残念で、それでも自主制作レベルとしては十分なレベルであったものの、如何せんリードヴォーカルがC級クラスの音域の狭い穏やかなオッサン声(良く言えばウェットン系、というか Greg Lake風か)でキャッチーな歌メロ創りが上手いUSA系にも関わらずヴォーカル・パートがイマサンな為、トータルで見るとどうしてもC級に片足突っ込んだB級シンフォ物と言わざるを得ないアルバムだろう。

ただ、さすがにプロキャリアを積んできた Randy Campbellの手腕や知識が活かされ、そしてベテラン・ミュージシャンのヘルプもあってか、インディの多重録音モノとしてはとても良くプロデュースされたアルバムで、その点もあってギリギリB級シンフォものという聞こえ方をしているとも言える。

後は、最終曲のノリノリなスピーディでインタープレイを吹っ切れたように垂れ流す、脳汁タレまくりんぐな好き放題プレイを繰り広げるギターとキーボードの大暴れする楽曲を聴いた時、初期GLASS HAMMERを連想したので、もしかすると変にヴォーカル入りの楽曲にこだわるより、インスト系で攻めた方が彼等には向いているんじゃないかと思いましたね。

歌詞の内容も、プログレ系らしく社会的および政治的問題や、人々の意識、内なる意識と将来への楽観主義を扱ったりと、メジャーから外れた方向性な事や、地元にプログレ・シーン(パンク系では有名なのね…)が存在していなかったのも関係してか、彼等のデビュー作が大きな話題になる事はなかった模様だ。

実際、それらの問題点は2人共理解していた模様で、その後も各パートのプレイヤーを地元のミュージシャン達から募集していたらしい。

そして待望の新作の発表となった訳だが、前回の失敗を踏まえてか中心の2人はそのままにサックス奏者やヴァイオリン奏者、そして女性ヴォーカリストなどゲストを多数迎えて総勢9名(!)での制作となっている。

打ち込みでない専任ドラマー Kevin Hartnellを迎えた事でリズムの無機質さは解消され、ヴァイオリンとヴィオラを演奏する JulieAnn Martin Bernard嬢は二曲に参加し、サックス奏者のDenny Allenは一曲のみの参加ではあるが、ドライ気味だったサウンドに明らかに華やかで複雑な音の厚みと艶を生み出されているので、キーボードのサンプリングで誤魔化さずに管楽器とストリングスの生音を加える事でバンドサウンドのスケールと完成度を上げる今回のゲストを迎え入れる作戦は大成功と言えるだろう。

また致命的な弱点だったヴォーカルパートは、総勢3名の男女ゲストヴォーカルを迎え、それぞれ Mark SzaboとWhitney Barricklow Szabo嬢の男女ツインヴォーカル(夫婦?)が一曲でその歌声を披露し、Katja Loeb嬢は二曲でその美声を披露する事で全体の歌唱パートのレベルの底上げを実現している。

なにより Randy Campbellと Henri Eisenbaumのコーラスも今回は控え目ながら実に心地よいハモり具合なので、かなりヴォーカルパートに気を遣ったのが分かります(*´ω` *)

またリードギタリストとして Rob Fettersを迎えて全編でその流暢でテクニカルなプレイをバンドサウンドに取り込んだ事はサウンドに劇的な変化をもたらし、インストパートのさらなる完成度アップと楽曲の奥行きが増したのが一聴して即分かるレベルだ('(゚∀゚∩

メンバー的な補強によるプラス効果が創作意欲に火を点けたのか、楽曲の完成度も前回と比べものにならないくらい高く、前回の幾分メリハリに欠ける鈍色USヘヴィ・シンフォサウンドが、一気に緻密に計算された凝った展開で聞く者の耳を惹きつけるカラフルでドラマチックな正統派シンフォ・サウンドへクラスチェンジしていて、正直ここまで良くなるとは全く予想しておりませんでした。

テクニカルでメロディアスなギターはハード一辺倒だった前作と打って変わって繊細な叙情感を醸し出す美しく艶やな音色も紡ぎ、軽やかで煌びやか、そして幾分ミステリアスさを漂わすちょっとフュージョンっぽいタッチ(HAPPY THE MANっぽい!)のシンセはテクニカルでシャープなプレイを垣間見せつつ楽曲の壮大なスケール感を演出したりと、前作で足りなかった“引き”の美しさを感じさせるサウンドの魅力が大幅にアップしている点が大きな違いと言えるだろう。

勿論、前作同様ハードに切り込んで来るメタリックでスリリングなエッジあるギタープレイやオルガン系のワイルドでジャージィな渦巻くような鍵盤捌きやめくるめくシンセの長尺リードパートもしっかりとフィーチャーされているので、惰弱に感じる要素ばかりが強まった訳ではなく、本来あるべき足りなかった要素がバンドサウンドの中核へ加味された結果の、サウンドの陰影と音の深みと艶やかさが増した本作の楽曲とサウンドは一味も二味も違って聞こえ、B級も危ういマイナー・USシンフォから極上のB級USインディ・シンフォ・バンドに生まれ変わったように思えます(*´ω` *)

叙情感や音の艶やかさが増したからか、前作より一段とユーロ・シンフォに近づいたサウンドに聞こえ、けれど要所要所でUSバンドらしい明るい音の“抜け”とパワー圧しな部分も垣間見えて、それが彼等を単なるフォロワー・サウンドに貶めない助けになっているようで実に面白い。

PINK FLOYD、LIFESIGNS、PORCUPINE TREE、RUSH、QUEENSRYCHE、TRANSATLANTIC、THE FLOWER KINGS、SOUND OF CONTACT、MARILLION、SPOCK'S BEARD、STEVE HACKETT'S GENESIS REVISITED、そしてBLUE OYSTER CULT等の影響が窺えるヘビィ・プログレへの近代的アプローチなサウンドだった彼等に、GENESIS、YES、EL&P等の所謂定番の70年代プログレサウンドのエミュレート要素が加わり、良い意味で大衆受けするサウンドへ接近したように感じるのは、そもそもが、曲作り、楽曲アレンジ、アルバム構成などインディ・ユニットとは思えない高いプロデュース能力とスタジオ作業力を有していた2人が、前作に足りなかった要素を冷静に分析し、妙なプライドに縛られず弱点を補完する為に外部の有力な助けを借り、遂に思い描いていたサウンドを具現化した、そういったクレバーな行動の結果もたらされた二次的な要因ではなかったのでしょうか?

総じて本作は、テクニカルで壮大、そして煌びやかで軽やかなキーボードパートがかなりフィーチャーされている楽曲(Randy Campbellと Henri Eisenbaumの中心人物2人が目一杯キーボードプレイしてるトコなんかも初期GLASS HAMMERっぽいよなぁ…)がタンマリ詰め込まれていますので、モダンなキーボードプレイメインなシンフォサウンドがお好みな方は是非にチェックして欲しい、有望な無名新人USシンフォ・バンドと言えましょう。

ゲストプレイヤーの操る楽器以外のサウンド、フルートなんかの音も聞こえるものの、恐らくそれらは全てキーボードのサンプリングでしょうから、今回はサックス奏者やヴァイオリン奏者をゲストに迎えた事だし、続く次作ではその辺りの奏者も実際に招いて制作して欲しいですね。

このままの方向で進化し続ければ、妙なポップスやゴス要素へ色気を出して迷走した挙げ句、初期とは似ても似つぬ路線へ様変わりしてしまったGLASS HAMMERが本当なら聞かせてくれたかもしれない、壮大でシンフォニックな00年代モダン・プログレのその先のサウンドを彼等が届けてくれそうな気がして今から期待が膨らみます(*´ω` *)

出来ることなら次作ではしっかりとメンツを固め、さらなる創作の飛躍を期待したい、そんな期待の持てる有望な新人USシンフォバンドが登場してきました♪


by malilion | 2019-05-03 00:39 | 音楽 | Trackback

“カナダのMARILLION”ことRED SANDがダークなテーマの8thアルバムをリリース!

c0072376_00120452.jpgRED SAND 「Forsaken」'19

“カナダのMARILLION”ことカナダはケベックのネオプログレ・バンドRED SANDの、前作から3年ぶりとなる8thがリリースされたので即GET!

13年作からリーダーでギタリストの Simon Caronの娘 Pennsylia Caron嬢がキーボーディストとして参加してからメンツは比較的安定していたが、マイナー・シンフォ系につきもののメンバーチェンジが再び勃発した模様で、前作から参加していたベーシスト Andre Godboutが脱退し、現在はパーマネントなベーシスト不在の4人体制での制作(ユーロ圏でのLIVE紹介のメンバーフォトで5人並んで居る画があるので、現在はサポートベーシストを迎えた? もしくは新ベーシストが加入?)となった模様だ。

薄明かりにほんのり構造物が浮かぶアルバムジャケや『見捨てられた』というアルバムタイトルからも窺えるように、全般的にダークで絶望的な印象のサウンドで満たされたこの新作は、初期MARILLION風なシニカルさも漂わせ、サイケデリックなテイストもあるサウンドが醸し出す悲観的な雰囲気が色濃いダークでミステリアスな不穏感を煽るデジタリーなイントロの導入を聞くと、まるで東欧か北欧の凍てつくような重厚なシンフォ・サウンドへ路線変更か?!と、驚かせるが、テーマがシニカルでダークな悲壮へ向いているだけで、紡がれる音楽は前作同様にテクニックやスピードに頼らぬ、ただただ美しい旋律を丁寧に紡ぎ続け、儚い哀愁へと淡い幻想色に楽曲を染め上げる、MARILLIONのメロゥな部分だけ抽出して煮詰めたかのような“泣き”とメロディアスさのみを追求した木訥で真摯なプレイとサウンドは甘美の一言に尽きる。

Steff Dorvalのヴォーカル・アプローチが所謂シアトリカル系の芝居がかった歌唱法な事や、バックのサウンドがMARILLION系、特に Simon Caronのギタープレイが、モロにMARILLIONのSteve Rothery風なのを筆頭に、所々でPENDRAGONの Nick Barret風だったり、JADISの Gary Chandler風だったりするだけでなく、Pennsylia Caron嬢が操るキーボードの音選びやプレイまでもがClive Nolan風(これは親の影響だろうなぁ…)とあって、作曲スタイルや、ブレイクと雰囲気を指摘するまでもなくモロに80年代後期UK~90年代風UKポンプ風味が漂うサウンドだし、アルバムテーマのダークな方向性も今となっては何一つ目新しさなど無いが、Pennsylia Caron嬢が可憐なフィメール声のバッキングヴォーカルを重ねる事でポップでクリアーな美しい歌メロのイメージが加わってMARILLIONフォロワー臭が幾分か薄れたのと、シンセ、オルガン、ピアノ、メロトロン系などヴィンテージ感を醸し出す鍵盤系サウンドや、徹底的に美しさにこだわったエモーショナルで官能的なギターの音色、そしてゆったりしたテンポで構成された繊細でハートフルなフレーズが尽きること無い洪水状態で、それらは今や完全に彼等の専売特許なレベルまで昇り詰めていると言っていいだろう(*´ω` *)

いささかロック的なハードエッジとパワーや攻撃性に欠けるが、心情表現にのみ注力した入魂のギター・プレイと、そんな魅惑的なギターに寄り添うように、華やかさを演出するピアノと煌びやかなシンセ、そして全てを優しく包み込むメロトロン系サウンドを操るキーボードとデジタリーなSE等、それら全てが絶妙のバランスで混ざり合って、キャッチーなメロディー、そしてシアトリカルなヴォーカルを際立たせる役割となっており、何か一つ欠けても彼等のリリカルで美麗な音楽は表現出来ぬに違い無い。

また、表だって目立つリード楽器のギターとキーボードがスピードやテクニカルなプレイで魅せるタイプでない代わりと言ってはなんだが、地味にリズムパートは非常にテクニカルなプレイを見せており、本バンドの描き出す情景や劇的な場面変化をしっかりと支える役割を見せているのも見逃せないポイントだ。

徹頭徹尾メロゥなサウンドが実にRED SANDらしい本作だが、それまで淡々とまったり美しく穏やかで柔和な叙情サウンドを紡いでいるバンドが、最終曲では突如として予想外のペース変化(キーボードもソロパートをここぞとばかりに延々とプレイ!)を見せ、シアトリカルで斜に構えた歌唱を見せていた Steff Dorvalが入魂の熱唱を聴かせる山有り谷有りの展開へ雪崩れ込んでいく様は、コンパクトに纏められているもののこれまで抑えに抑えて来たプログレ系バンドお約束な大仰な楽曲構成となっており、それまでのマッタリ感を吹き飛ばす程に痛快で、出来ればこのスリリングな展開の楽曲を最初に一曲配して欲しかったのと、もうちょい長尺で聞かせて欲しかったと無い物ねだりしてしまう。

毎度の事ながら、美メロなシンフォ系がお好みな方や初期MARILLION、PENDRAGON、ARENA、SHADOWLAND等がお好みな方はチェックしておくべきバンドと言えるだろう。



by malilion | 2019-05-02 00:04 | 音楽 | Trackback

哀愁と優美な美メロをアコースティカルに響かせるポーランド人ギタリスト Mirek Gilのソロ・デビュー作がリマスター+ボーナスでリイシュー!

c0072376_10234947.jpgMR GIL 「Alone 20th Anni Edition + Light And Sound」'19

元COLLAGEにして現COLLAGEの、そしてCOLLAGE崩壊後に分派して誕生したSATELLITEとBELIEVEに在籍し、今はBELIEVEを率いつつ、ソロアルバムもコンスタントにリリースするポーランド人ギタリスト Mirek Gilのデビュー・ソロ作リリース20周年を記念し、98年デビュー作と11年3rdソロ作の全曲Remasterd+ボーナストラック4曲追加した2枚組2019年限定盤がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

BELIEVEバンド本体の方もポーランド産シンフォ・バンドらしい、淡い物悲しさが漂う、仄暗く叙情的でたっぷりの美旋律が詰め込まれたシンフォニック・ロック作をリリースしている Mirek Gilだが、ソロ作ではよりゆったりアンニュイな感覚を漂わせつつ、リリカルなストリングスをフィーチャーした美しいアンサンブルで彩られた、どこか物悲しい冷たさも感じさせるものの心地よいメロディが安眠を誘うようなアルバムを届けてくれている訳だが、こうして再びデビュー・ソロ作に耳を傾けると、近年のようにハッキリとBELIEVEサウンドとソロ作のサウンドが明確に差別化されておらず、この時点ではまだまだBELIEVEやSATELLITE、そしてCOLLAGEの影が色濃く感じられるサウンドだったのだなぁ、と再認識させられました。

デリケートで優美なギターの音色に導かれ、しっとり幾重にも折り重なったキーボードや、甘口なヴォーカルがゆったりと混ざり合い、甘く切ないサウンドがアコースティカルに紡がれていく様は実に美しく華やかで、改めて今聴き直してみてもデビュー・ソロ作『Alone』は実にセンチメンタルなメロディが詰め込まれていて、その後のソロ作と比べてみても出色の出来栄えと言えるだろう。

元々、そんなに音が悪いアルバムではなかったのでRemaster効果が絶大、ってな事はないが、それでも音の分離は良くなって聞こえるような気がしますね。

もう一枚の3rdアルバム『Light And Sound』の方は、デビュー作と比べてググッと落ち着いた穏やかなサウンドに変化しており、ピアノ、アコギ、チェロ、ヴァイオリン、に少々メロトロン系も加えたアコースティカルで優雅、そしてシンプルな響きが実に心に染みる珠玉のサウンドを聞かせている(*´ω` *)

ボーナスの4曲は、それぞれ同じ方向性なものの幾分楽曲の完成度が低めに感じられ、アルバムに収録されなくても問題ないかな、というレベルの佳曲のように思えますが、そもそもがオマケなのでそう文句はありませぬ(*´ω` *)

ロバート・フリップに捧げられたボーナス曲は、ちょっとギターがソレっぽいのはご愛敬だ(w

デビュー・ソロ作も3rdも総じて甘く切ないヴォーカルも相まって心地よい美メロが胸に迫るアコースティカルなシンフォ作と言えるので、メロディアスな作品の愛好家なら絶対押さえておいて損はない一品と言えるだろう。




by malilion | 2019-05-01 10:16 | 音楽 | Trackback

淡く優美な叙情派イタリアン・フォーキー・サウンドのERIS PLUVIAのデビュー作がREMASTER盤+ボーナス6曲入りでリイシュー!

c0072376_18574107.pngERIS PLUVIA & ANCIENT VEIL 「1991/1995 Rings Of Earthly Light And Other Songs」'19

近年になって再結成を果たし、以降活発な活動を続けるイタリアン・フォーキー・シンフォバンドの91年デビュー作がオリジナル・マスターからのRemaster&6曲のボーナス入りでリイシューされたので即GET!

サックス入り編成5人組(現在は女性フルート奏者をメンバーに含む4人組)でデビューした当時の彼等(オリジナル・キーボーディストの Paolo Racitiは既に鬼籍。RIP)が放ったイタリア物としては異色なサウンドは、一般的なユーロ・ポンプ作でもイタリアン・シンフォ作でもなく、プログレ定番のキーボードが活躍しない、メロディアスで繊細なアコギを筆頭に、涼やかなフルート、リコーダー、ソプラノ・サックスらの管楽器を全面的にフィーチャーした、アコースティカルで穏やかな、けれどしっとり艶やかな叙情感と透明感あるメロディが堪能出来るフォーキー・サウンド系だった為かリスナーの反応はイマイチだった模様で、間もなく解散してしまった。

本作はそんな1st『Rings Of Earthly Light』のリマスタード音源と、バンド解散後に主要メンバー Alessandro Serri(G&Vo)とEdmondo Romano(Sax)によるTHE ANCIENT VEIL名義のデュオの音源がセットになった変則的なアルバムとなっており、注目の6曲のボートラはそのTHE ANCIENT VEILの音源で、内3曲が未発音源となっている。

初期ERIS PLUVIAの未発音源収録でない(デビュー前の4曲入りデモテープ『Pushing together』'90の楽曲は1stに収録済)のは少々残念だが、内省的で民族音楽やジャズ、そしてクラッシック要素多目なアコースティカルで軽やかな、余りにも繊細で美しく儚げな珠玉の楽曲の数々が納められた、GRYPHON好きなら一発で虜になる事間違いなしなTHE ANCIENT VEILのアルバムが大好物なので、その未発音源がこうして今回初めて陽の目を見れたのは大歓迎だ(*´ω` *)

ERIS PLUVIAのデビュー作のリマスターサウンドについては、元々音圧高めで音数で攻め立てるタイプでない自然な響きを大事に活かしたバンドサウンドな為か、音のクリアーさや響き、音の艶が増した印象が大きく、オリジナル盤をお持ちの方でも改めてより磨かれ輝きを増した本作を購入しても決して損ではないと思う次第であります。

THE ANCIENT VEILの未発音源の方は、意外な事に木訥なヴォーカルもので、インスト曲ばかりだったTHE ANCIENT VEILのアルバムに当時この楽曲が納められていたならば、完成度の高い艶やかで優雅な美麗インスト・サウンドだけが詰め込まれた至極なアルバムのレベルを一つ下げる事になっていただろう、そういう穏やかなヴォーカル入り楽曲で、出来は悪くない(ヴァイオリンやオーボエの絡みが、マジで堪りません♪)もののヴォーカルのレベル的に言うとアルバム収録を見送って正解だった、そんな小曲だ。

こちらの方もリマスター効果はバッチリで、艶やかな音の響きやブライトな音の抜け等、しっかりとサウンドの質が上がっているのが本当に最高過ぎで、こんな不完全な形でなく今度は是非ともTHE ANCIENT VEILのデビュー作をリマスター盤で出して欲しいものです。



by malilion | 2019-04-30 18:49 | 音楽 | Trackback

MARILLIONフォロワーが出発点なイタリアン・ネオプログレバンドSILVER KEYが、新フロントマンを迎えて3rdをリリース!

c0072376_22052230.jpgSILVER KEY 「Third」'19

MARILLIONとFishのカバーバンドとして始まった、イタリアのミラノ出身なネオ・プログレバンドが前作から4年振りとなる3作目をリリースしたのでご紹介。

久しぶりの新作だが、残念な事に恒例のメンバーチェンジが勃発した模様で、唯一バンド創設時から在籍しバンドのリーダー格であったフロントマン&アコギの Yuri Abiettiが17年7月にまさかの脱退(!?)し、新たなフロントマンに Dino Procopioなる無名のヴォーカリストを迎え、さらにドラムス Viviano Crimellaも脱退(本作のドラムはゲストプレイヤーのプレイと一部打ち込みと思われる)し、結局1st以降で残留しているのはキーボーディストの Davide Manaraのみ(新たなバンマスに就任か…)という4人体制で本作は制作されている。

前作のSFチックなコンセプト・アルバムに引き続き、新加入の Dino Procopioが歌詞を手がける本作は、様々な学者、思想家、文筆家に影響を与え『意志と表象としての世界』で著名なドイツ人哲学者 Arthur Schopenhauerの思想をベースに、互いにリンクした5つのストーリーを含む重厚な物語が紡がれたコンセプトアルバムだ。

母子家庭で育った少年が民兵となり母を護る為に闘う物語、欲望まみれのVR世界で神の如き少年と出会う男の話、最新テクノロジーの商品を強迫観念に囚われたように病的に求める人々の物語、社会的なタブーである殺人を正当化する男の物語、小女との恋に狂い墜ちていく恥ずかしがり屋で厄介な14歳の少年は永遠を誓うが、結局その願いは叶うことはない物語、というそれぞれが独立した物語になっているが、5つの物語の登場人物は互いの人生の重要な登場人物となってそれぞれの物語に干渉するという、複雑に絡み合った人間模様が悲劇的で陰惨な物語を織り成すコンセプトストーリーは、最終章で恥ずかしがり屋で厄介な14歳の少年が成長して科学者となり、逸脱した精神病者達を癒す為の治療法の発見を科学界全体に発表するが、結局彼も犠牲者であり、精神科の患者となって悲劇は幕を閉じる、という余り救いの無いお話となっている……

本作でまず注目なのは新ヴォーカリストの Dino Procopioについてで、前任者より荒くダーティな声質と灰汁の強いガナリが特徴な歌唱スタイルと前任者よりもFish風な芝居がかった歌唱が耳につくが、これは重厚なコンセプト作のストーリーを表現せんが為とも取れるので、実際LIVEでの歌いっぷりや普通に歌い上げた印象はどうなのかはまだ分からない。

前任の Yuri Abiettiより Dino Procopioはパワフルな歌声で前任者同様イタリア臭さは薄くUK系に近い歌唱スタイルで、よりモダンでソリッドな方向へバンドサウンドが進化している事を考えるとマッチしているとも言えるが、ポンプやネオプログレ系にはマッチしにくい苦汁声なのは確かなので、シンフォやポンプを好むリスナーの受けが良いかどうかは少々疑問が残るかなぁ…(汗

ヴォ-カリストについてはそれぞれ好みがあるだろうが、バンドサウンドの方は確実に完成度と深みを増しているのは確かで、デビュー作からして80年代UKポンプを憧憬しつつ新世代らしさを感じさせるモダン・サウンドだった訳だが、本作では前作から加入した Roberto Buchicchioがハードにテクニカルにエモーショナルなギタープレイを披露して物語を紡ぐのに大活躍するだけでなく、Davide Manaraの操るキーボードはクラシカルなオーケストレーションでストーリーの陰影を一層に際立たせ、時折ハッとするリリカルで艶やかなピアノで物憂げさを演出してみせたり、不穏感を煽る残響音や銃声等のSEや美声の女性バッキングヴォーカリストを導入してドラマチックで重厚な物語のイメージを強めつつ煌びやかで軽やかなシンセの音色が初期からのポンプ風味を漂わせたりと、随所でデジタリーなプログラミングサウンドを巧みに交差させたミステリアスなサウンドにイタリアモノ特有のバタ臭さは皆無で、スタイリッシュな00年代ユーロ・シンフォサウンドにダークでアンニュイな独特の風味を加えたUK風シアトリカル・サウンドとなっている。

前任ヴォーカリストの Yuri Abiettiは、お約束な芝居がかった語り系の歌唱法は用いず普通に歌い上げていたので、安っぽいGENESIS系フォロワーやMARILLIONの亜流のように聞こえなかったのと、この手のバンドが最初から放棄しているオリジナリティや音楽形態の焼き直しに対する新鮮味の欠如を巧みにカバーせんとする気概のようなものが感じられた訳だが、本作の Dino Procopioのシアトリカルなヴォーカル・アプローチは如何にもなFish系なので、先祖帰りして初期MARILLION風に聞こえない事もない点は少々残念と言えるが、歌唱スキルの低さ(汗)や声質が全く違うのと、灰汁の強いHR的なパワフル・ヴォーカルが幸いして、まんまフォロワーとなっていない点は救いだろう。

新世代バンドらしく旧来のポンプ勢とは音の厚みが違い、今風にアップデートされた複雑でテクニカルなモダン・シンフォサウンドは少しも古くささを感じさせ無いものの、難解なコンセプト故か歌メロのキャッチーさや楽曲のメロディがすんなり耳に残らないというマイナス・ポイントはこれまでよりも一層強く感じられてしまい、そろそろコンセプト作でないアルバムとシンプルで美しいメロディでのみで勝負してみて欲しいと言うのが、次作についての個人的な要望ですかね…

渦巻くようなロマンチックな響きのトラックや、魅力的で官能的なギターソロ、そしてエレクトロニックでシンフォニックなサウンドは、MARILLIONにインスパイアされたサウンドと言うかデジタリー要素が加わって寧ろGALAHADサウンドに近いと言えるかもしれないが、随所で確かな進歩性と独創性、そしてイタリアンバンドらしく拘りの美意識を強く感じさせる期待の持てるサウンドを奏でる新人バンドなのは確かなので、続く次作でどういった方向へさらなる飛躍を見せるのか、今から大変楽しみであります(*´ω` *)


by malilion | 2019-04-22 21:56 | 音楽 | Trackback

AnderStein Musicが閉店…(つд`)


マイナーなメロハー・バンドのみならず良質な新人バンドやAOR系のマイナー所も多数紹介してくれていたお店が閉店してしまった…

単に輸入盤を紹介するだけでなく、国内盤までリリースしてくれたマイナー・メロハーバンド好きにとって有り難い存在だっただけに残念です…orz

合わせて今後リリース予定だったアルバムも発売中止となった模様で、恐らくこれまでリリースしてきた国内盤も廃盤となる流れでしょう…

なんていうか、かってゼロコーが消えた時と似た大きな消失感に襲われてますね、今…

店主様の個人的な理由故に致し方が無いのですが、是非とも元気になって一日も早く復帰される事をお祈り申し上げますm(_ _)m



by malilion | 2019-04-21 17:41 | 音楽 | Trackback

ヴァイオリンをフィーチャーしたロシアン・バカテクバンド LOST WORLD BANDが遂に本格バンドとなって新譜をリリース!

c0072376_16503483.jpgLOST WORLD BAND 「Spheres Aligned」'19

ロシアのバカテク暴走列車 LOST WORLD BANDの、3年ぶりとなる待望の新作6thがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

デビュー当初はキーボーティストやギタリストも擁していたものの、4thからリーダーの Andy Didorenkoがギター、キーボード、ヴァイオリン、そしてヴォーカルまで担当するという完全にワンマンバンド化してちょっとガッカリだった訳だが、予想に反して本作から各パートにパーマネントなメンバーを迎え、遂に本格的に5人組バンドとして活動を開始した模様だ('(゚∀゚∩

引き続き Vassili Soloviev(flute)と Konstantin Shtirlitz(Ds)も参加し、クラシック畑でも活躍するリーダー Andy Didorenko(Violin、Guiter、Vocal)を含めオリジナルメンツの3人組は盤石なままに、Yuliya Basis(Keyboards)なる女性キーボーディストと Evgeny Kuznetsov(Bass)を迎えた新体制となっている。

前作でパーカッショニストとして呼び戻された Alexander Akimov(2nd時のキーボーディストだった)は残念ながら本作で演奏は披露していないが、Andy Didorenkoと連名で本作をプロデュースしているので、どうやらバンドの裏方に回った模様だ。

で、期待の新作の内容はと言うと、これまでの彼等のサウンドは大まかにはロシア人ヴィオリニスト Andy Didorenko率いる硬派シンフォニック・ロック・バンド作と言えたのだろうが、これまでギターとヴァイオリンの激しい演奏のせめぎ合いが炸裂し、叙情的で涼やかなフルートも一転してエキセントリックなプレイを叩きつけるように切れ味鋭く暴れ回る超絶テクニックと複雑なアレンジが見事に融合した、トンでもなくインパクト絶大なエキセントリックで凶暴なまでにテンション高い、東欧クラシック・ルーツのスリリング且つダイナミックな屈折した硬質な暴走ダークシンフォ・サウンドを展開したり、よりリリカルで艶やかさを活かすフルートとヴァイオリンの優雅なアンサンブルを中心にしたアーティスティックなサウンド構成へ変化したり、ほんわかした牧歌風な歌声で、静かに感情を抑えて淡々と語りかけるような歌声を英語で聞かせる新境地を垣間見せたりと、バランスを度外視してまで振り幅広く音楽性のキャパを拡げる試行錯誤を挑み続けて来た訳だが、本作ではより一般的なテクニカル・シンフォバンドっぽいサウンドを聞かせ、ややもすると難解でとっつき難いサウンドだった彼等の音楽が、相変わらずインストパートの比重が多いものの、それでもかなり聞きやすくなったヴォーカル入りのシンフォ・ロックサウンドに寄ったという印象を持ちました。

2017年11月から2018年12月の間にニューヨークとモスクワの両方で作曲され、録音された本作のサウンドは、以前のようなKING CRIMSONやAFTER CRYING風味のヒステリックな狂気のハイテンション漲るアグレッシヴで躍動感ある“押し”パートは控え目になり、どちらかと言うとコーラス等を活かしたYES風の優雅な叙情性や技巧が光るフォーキーでアコースティックな静けさ薫る繊細な“引き”パートの美しさが耳を惹き、前作よりもシャープなフュージョン風味が抑えられ、所謂一般的なプログレ系シンフォ度が上がった(フルートの涼やかな音色とピアノの艶やかで美しい調べは、ホント絶品ですわぁ♪)事もあってか、以前よりもバランスを重視しつつメリハリが一層に強く感じられる、極めて高度な技巧と緻密な構成の楽曲に彩られた硬質なモダン・シンフォ作と言えよう。

初期からのKING CRIMSON、GENTLE GIANT、EL&P、U.K.、PFM、JETHRO TULL等の影響を感じさせるパートもありつつ、前々作で披露したちょっとRUSHの Geddy Leeっぽい穏やかな低音ヴォーカル(ぶっちゃけ歌唱スキルはオマケ程度だが…)が音楽を邪魔しない程度に歌詞を歌い上げ、リリカルなフルートとピアノやアコギが紡ぐフォーキーで牧歌的な雰囲気の軽やかで穏やかなサウンドと、不意に斬り込んでくるヘヴィでソリッドな疾走感を押し出した畳みかける怒濤のパートは相変わらずの暴走っぷりでパワーとテクニックが炸裂し、せめぎ合う様は正に圧巻なもののしっかりと楽曲がメロディアスに纏め上げられているのは、やはり Andy Didorenkoのバックボーンがロシアン人であり、クラシック畑での活動もそうだろうが、所謂70年代のプログレの巨人達のサウンドが血肉になってきた結果だろう。

後はやはり専任プレイヤーが加入したのはデカイでしょうね。
特にキーボードが本作では全編に渡って大活躍しており、以前のようなヴァイオリンのヒステリックなサウンドばかりがグイグイと楽曲を引っ張っていくような事はなくなりましたから。

これまでややもすると存在感の薄かったリズム・セクションが本作ではしっかりソリッドなボトムを構築し、刺激的で複雑なセクションを垣間見せてはその存在を強く自己主張したり、ギターやキーボード、そしてヴァイオリンのメロディを奏でるパートと一体となって畳みかけ、そして優美なサウンドを奏でる変幻自な様は、正にこまでの彼等の作品中で最高の出来と言える会心作と言えるのだが、インストパートが充実すればする程に、リーダー Andy Didorenkoの貧弱で音域の狭い、イマイチ情感を伝え切れていない淡泊でスキル不足なヴォーカルが覆いようもない弱点として大きくサウンドから浮かび上がってしまい、次なる新作では是非とも専任ヴォーカリストを迎え入れて完全無欠な傑作アルバムを創って欲しいものだと願わずにおれません…(つд`)

暴れ回るハイテンションなヴァイオリンの調べと絡まる重厚にして叙情感タップリなシンフォサウンドがお好みの方は、買わずに済ます訳にはいかない必聴盤でありますよ! m9(`Д´)


by malilion | 2019-04-19 16:43 | 音楽 | Trackback

パンク到来前夜の古き良きUKハードプログバンドTIMEの唯一作が国内初となるCDリイシュー!

c0072376_20295790.jpgTIME 「Same」'75

12年にPROG TEMPLEなる海外レーベルから一度リマスターでCD化されリリースされていた事(ブートレッグの類いは数知れず)のある知る人ぞ知る4人組英国プログレ作が、最新デジタルリマスターと紙ジャケ、そしてSHM-CD仕様になって国内初リリースされたので、そそくさとGET!

本作はSPONTANEOUS COMBUSTIONのMargetts兄弟が新たに結成したUKプログレ・バンドで、当時ENIDのファースト等をリリースしていたBUKから75年に発売された唯一作となっており、本リイシュー盤には再発モノに定番なボートラや未発音源等は追加収録されていない。

マイナー・プログレ系ファンからすると本バンドのメンツで注目なのは、後に幻のUKプログバンドENGLANDへ参加する Joe Dolly(Ds)が在籍していた事だろうか?

プロデュースはKRAFTWERK等の仕事で知られるドイツ人 Conny Plankに手によるもので、他にもプログレ寄りHRを展開するドイツHRバンドLUCIFER'S FRIENDや今や大物なSCORPIONSのデビュー作も手がけていた人物なだけあって、YES(特にベースが)やRUSHを引き合いに出されて語られる事の多い、万華鏡のように複雑にメロディアスに展開するテクニカルでハードな彼等のデビュー・サウンドを見事に捉えている。

12年リマスター作と聞き比べてみたが、既に当時にしてかなりクリアなサウンドに仕上げられていたし、7年ぶりのリイシューとは言え本盤で劇的に音が変化(そもそもオリジナルが隙間を活かした比較的シンプルなサウンド創りなのでリマスター効果にも限界がある…)している訳ではないので、12年PROG TEMPLE盤をお持ちの方は無理して購入(まさかの同一デジタルリマスター音源? それくらい変化無…って思ったら、音の抜けが向上してた)しなくてもいいかもしれない。

久しぶりに本作に耳を傾けてみたが、ビード系バンドのようなリフが散りばめられたハードドライヴィンに疾走するHRサウンドにシンフォニック系の華やかなキーボードが絡み、プログレ的テンポチェンジの怒濤の連続とテクニカルで一筋縄ではいかぬ複雑な展開がサウンドの立体感と重厚感を演出しつつ、それらの巧妙なプレイヤースキルを披露する楽曲は、ポップなコーラスやYESばりなハイトーンのメインヴォーカルがしっかりフィーチャーされコンパクトに纏め上げられた歌モノ的な感触でサラリと聞けてしまえるキャッチーさも兼ね添えているハイスペックなサウンドで、今聞いても驚かされる箇所が多々あるのが凄い。

パンクの脅威(76年からなんだよなぁ…)が到来しなければ、間違いなく次作でさらなる高みへ駆け上っただろう有望な新人バンドだっただけに、時代が悪かったとは言えこれ一作しか残せなかったのが残念で仕方が無い(つд`)

リヴァーブの深くかかった癖の強いギターソロやYESチックなリズム展開はビート系っぽかったり、ビブラフォンとアコースティックギターのデュエットはエレガントなプログレっぽく、GENTLE GIANTっぽいコーラスやSquire張りな図太くワイルドなベース、EL&PやYESのようなめくるめくシンセサイザーのソロ、そしてKING CRIMSON的なヘヴィーなギター展開等、多くの先輩UKプログバンド達のサウンドピースが垣間見えるものの決してフォロワーではなく、独自のサウンドを確立しつつあるバンドであった事は間違いなく、活動期間も短いマイナーバンドのアルバムなれどこうして幾度もリイシューされているのは、本作が魅力的な作品である事の証明と言えるだろう。

ENGLANDファンは勿論のこと、パンク到来以前の古き良きUKハードプログ作がお好きな方ならチェックしておいて損はない好盤なので、ご興味あるようでしたら是非に!



by malilion | 2019-04-05 20:20 | 音楽 | Trackback