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期待の北欧メロハーの新鋭 ART NATIONが3rdアルバムをリリース!

c0072376_15060653.jpgART NATION 「Transition」'19

Alexander Strandell率いる北欧スウェーデン産メロハー・バンドが2年ぶりに新譜をリリースしたのをちょい遅れてGET!

13年にデビューアルバムをリリースした北欧メロハー・バンドDIAMOND DAWNの元フロントマンが立ち上げた新バンドとして鳴り物入りでデビューし、そのTNTを彷彿とさせるキャッチー且つ哀愁を感じる叙情的メロディが光る躍動感あふれるサウンドから洗練されたAOR風味までカヴァーする煌びやかでハイクオリティな楽曲や Alexander Strandellの上から下まで伸びやかに歌い上げる強靱なハイトーン・ヴォイスと抜群の歌唱力でメロディアス愛好家を一発で魅了した彼等が『Revolution(革命、大変革)』'15 『Revelation(天啓、啓示)』'17 と来て、続いて『Transition(変化、過度)』なる3rdアルバムをリリースした訳だが、アルバムタイトルが示す通りデビューからの音楽性に幾分か変化が生じたようだ。

この変化がバンドの練度が上がった故のモダン嗜好へのサウンド変化だったなら何の問題もなかったのですが、どうにもこのバンドはメンツがデビュー以来安定(Alexander Strandellのワンマンバンドだと割り切れば問題でもないかもだけど…)せず、今回もサウンドの変化も大幅なメンツの入れ替えの結果なように思えるのが少々先行きの不安を感じさせますね……

アルバムデビュー前に Alexander Strandell(Vo)、Simon Gudmundsson(B)、TASTEで活動していた Christoffer Borg(G、Backing Vo)、そして Theodor Hedstrom(Key)、最後に Christofferの弟である Felix Borg(Ds)が迎えられて5人組ラインナップが一端完了する。

のも束の間、セカンドギタリストに Johan Gustavsson(G)と Felix Borgに代わって名うての新人ドラマー Carl Tudenが加入し、ツインギター&キーボード入り6人組バンドとしてデビュー作を録音し、リリースする。

スウェーデン国内をツアーした後に2ndアルバム制作に取りかかるが、よりソリッドでハードエッジなサウンドへ進化した結果か、前作での作曲で重要な役割を担っていた Theodor Hedstrom(Key)が脱退(バンドを追い出された傷痕故か、Christofferや Theodorとの出会いやコンビネーションにあんなに喜んでいたのに…)し、レコード会社も移籍してツインギター5人組バンドとして2ndをリリース。

2ndの作曲作業には Theodor Hedstromも関わっていた関係か、2ndまではデビュー作からの音楽性が進化したというのも納得なサウンドだった訳ですが、その後のメンバーチェンジの頻度がヤバ過ぎた……

2ndレコーディング後に Simon Gudmundsson(B)が抜けて女性ベーシスト Rebecka Tholerusを迎えツアーに挑むツアーをこなすものの、17年終わりには Christoffer Borg(G)、 Carl Tuden(Ds)、 Rebecka Tholerus(B)が脱退 エェェ(´д`)ェェエ

その煽りで日本公演がキャンセルとなる中、Sam Soderlindh(G)と旧友にして宿敵だったDIAMOND DAWNの Efraim Larsson(Ds)を迎えLIVE活動を再開するも、すぐにドラマーが Linus Thomssonへチェンジする。

と、初期からのメンツで残っているは Alexander Strandell(Vo)を除くと Johan Gustavsson(G)のみとなり、慌ただしくメンツが入れ替わって3rdアルバムの制作へ突入。

で、レコーディングが完了した後、またメンツ変動が起こり(マジで良く解散しないな…って言うか、もう殆ど別バンドだよね?)、現在のラインナップは、Alexander Strandell(Vo)は不動なものの、FOUREVERなるバンドにも在籍中の Mia Moilanenなる女性ギタリスト(G)、Sam Soderlindh(G)、元DEVILICIOUSの Alexander Lundgren(Ds)の4名で、ベーシストの席はまだ空席となっている模様だ。

初期の作曲中心人物 Theodor Hedstrom(Key)と Christoffer Borg(G、Backing Vo)が抜けた上に、これだけメンツが代わっての3rd制作となれば音の方も自ずと変化するのは当然の流れな上に、どうもさらに Alexander Strandellがバンドサウンドのポピュラリティを高めようと画策した模様で、本作のサウンドはよりモダンなタッチが強く感じられ、初期楽曲のような疾走感はかなり抑え目になり、代わって普遍的なロック的展開の楽曲や、女性ヴォーカリストとのデュエット曲や、専任キーボーディストが居ないにも関わらず2ndで軽減させた煌びやかでデジタリーなキーボードサウンドの比重が大幅に増えているのはどういう事なのか……

初期のキレ味鋭くキャッチーでポップでありながら、しっかりとハードエッジも感じさせる叙情派北欧メロハー・サウンドが好みだった方にとって、幾分かサウンドが柔和になったのとスピードとキレが落ちたように感じられる本作のマイルドサウンドをどう捉えるか、で本作の評価は分かれるような気がします。

まぁ、あのままハードエッジな方向性で進んでもその他大勢の北欧メロハー・バンド達との差異を構築するのに苦労する事になるのは目に見えていたので、本作からのより一般層へ向けてサウンドの方向修正は間違ってはいないとも言えますが、そうなると相手をするのはポップス畑のアーティスト達って事になりますので、現時点のサウンドの洗練度ではまだまだそちら系のファンを唸らせるのは少々厳しいんじゃないかと要らぬ心配をしてしまいますね……

とは言え、またメンツが変動してサウンドの方向性がコロっと変わるかもしれませんし、仮にメンツ変動なくても現在のメンツでのアルバム制作はまだですし、まだまだ北欧メロハーのフィールドで語られるべきサウンドではありますので、そこまで彼等のこの先を悲観はしてませんけどね(w

次なる新作まで、ともかくメンツを安定させて活動して欲しいものであります。



by malilion | 2019-12-09 14:56 | 音楽 | Trackback

初期北欧HMバンド KEEN HUEがまさかの復活!? 未発旧音源を旧メンバーが集ってリリース!

c0072376_19571064.jpgKEEN HUE 「Heydays」'19

80年代初期スウェディッシュHMシーンを支え、マイナーながらアルバム2枚を残して解散したツインギター5人組スウェーデン産メロディアスHMバンドが、前作『Juicy Fruit Lucy』から約26年(!!)ぶりに再結成して3rdアルバムをリリースしたので即GET!

77年頃結成されるもののデビューアルバムをリリースする頃には結成メンバーは誰も残っておらず、一番の古株がギタリストの Stefan Morenとドラマーの Peter Erikssonで1stから在籍し、2ndでもプレイしており、本作でもしっかり在籍して熱演を披露している。

そもそも『Ogre King』'84 でアルバムデビューした当時はツインギターでベースがヴォーカルを兼ねる4人組バンドで、垢抜けないイラストがジャケのイメージ通り典型的な初期北欧マイナーHMバンドだった。

音域の狭いヘタクソなオヤジ声の如何にもなリードヴォーカルが力一杯熱唱し、ハモってないダメダメなコーラスにバタつくドラム、そしてハードドライヴィンなギターがおぼつかないテクを披露し、荒っぽいツインギターが時折耳を惹くマイナー調のメロディを弾くという初期北欧HMの典型パターンとも言えるブリティッシュHMの影響を受けたイモ臭いスピーディなHMを奏でていたので、その筋のマイナー北欧系HMバンドが好みな方には知られた存在だったらしい。

因みにリリース元のレーベル倒産につきもう本作は入手不可能とのことで、権利関係問題があるのか今現在も未CD化なアルバムだ。

北欧地域ではそこそこ売れたらしいのでストックが存在したのか、自分はかなり前に運良く新品LPを購入出来たが今現在はどうなのかは不明です……(汗

それからかなりの年月を経て『Juicy Fruit Lucy』'94 なる2ndを発表し、北欧HM好き特にスウェーデン産バンドなら日本で受けると思われたのか彼等も国内盤デビューとなる。

国内盤はちょっと妖しい雰囲気なイメージのジャケにデザインが変更されているが、外盤はもっとタイトル通りな分かりやすいエロいジャケだ。

きっと国内的にはB級北欧メロディアスHMとしてプッシュしたかったのだろう。

下世話なイメージのジャケより国内盤のお上品な方が、まぁ確かに一般受けはするだろうが、サウンドのイメージとはちょっと遊離しているように感じますね…

2ndでは新たに専任ヴォーカリスト Mats Frimodigsを迎え、元SIX FEET UNDERのベーシスト Kent Janssonも新たに加入、ギターも Stefan Moren一本になり、さらにキーボーディスト Per Anderssonが迎え入れられた新編成の5人組バンドとなっていた。

1stから時間的な間隔がかなり開いている間にメンバーのスキルも上がった(Peter Erikssonのドラムもかなり安定したプレイを披露)のと、1st時のヴォーカルとは比べものにならない上手いフロントマンを得たのも功を奏したのだろう、B級マイナー北欧HMから2ndで一気に高品質なB級メロディアHMへチェンジしたサウンドを披露する。

ただ、所謂日本人好みなマイナーな美旋律が疾走する楽曲を聞かせる北欧メロハー・タイプでなく、もっとルーズでラフな感覚のロックンロール寄りなサウンドだったのと楽曲のキャッチーさがイマイチだったのも影響したのか、ぶっちゃけ日本では人気は出ず、数ある北欧のマイナー・メロディアスHMバンドの1つとして埋もれていった……

キーボードが活きる楽曲は、DEEP PURPLE、RAINBOW系の北欧HMっぽい疾走サウンドでなかなかよろしかったのに、もっとソッチ系にサウンドを纏めていれば少なくとも日本では人気が出たのでしょうが、結局世を覆うグランジーの波に飲まれたのか彼等の続報は伝わってこなくなってしまう。

因みにバンドの情報が途絶えた後、96年にギタリスト Stefan Morenは『Yippie Ya Ya』なるソロアルバムを自主制作でリリースしていて、Stefan Moren自身のポップな歌声(なかなか上手い!)といい分厚いコーラスといいビートロック系なサウンドといい、伸び伸びとハードにメロディアスにギターを弾きまくりなその屈託なく朗らかなハッピー・サウンドはどこかSWEETっぽくて個人的にはバンドのアルバムより彼のソロ作の方が楽しめましたね(w

Stefan Morenが05年に2ndソロ『The Last Call』を続いてリリースしている所を見るに、それまでKEEN HUEは何度か活動休止をしつつ存続していたらしいが、当時は実質活動していなかったか、もしくは既に解散していたのではないのだろうか?

なんでも今現在もKEEN HUE-Under Coverなる別名義バンドとして有名ヒット曲のカヴァーを地元クラブ等で披露するローカルな活動を継続している模様で、Stefan Morenと Kent Janssonが在籍しているとの事。

で、本作はそんなカヴァー曲ばかり演奏する状況に飽き飽きしたのか、Stefan Morenの発案で1stで歌っていた Lars-Ake "Platis" Nilzonと、オリジナルギターのもう1人である Ake Nystroem、そしてドラマーの Peter Erikssonが復帰し、ずっと在籍していたリーダーでギタリストの Stefan Morenとベーシスト Kent Janssonはそのままに5人組バンドとしてリユニオンし、2ndリリースまでにメンバーチェンジが何度も起こりながらも作曲を続けていたが2ndでバンドサウンドの路線が変更されて陽の目を見なかった81年から89年の間に書かれた古い楽曲を昔のメンバー達と新たに録音したのが本作だ。

『え? あのヘタクソな Lars-Ake "Platis" Nilzonを呼び戻すの!?』と、本作の企画を知った時驚きと不安を覚えたのですが、届けられた新作に耳を傾けると、あら驚き! 長い年月が経過してスキルが上がったのか、当時の録音状況が悪かったのか、ヴォーカルプロデュースが不味かったのか、本作での Lars-Ake "Platis" Nilzonの歌声は別人かと思うくらいちょっと苦汁声なものの断然上手く(w)なっており、マイナー調の疾走する楽曲でツインギターが華麗にメロディアスなソロを紡ぎつつ、ポップでキャッチーでありながらしっかり芯のある熱い歌声とコーラスという、1st路線が正統に進化した今となっては古式ゆかしい初期北欧スピードHMな荒々しくもメロディアスな楽曲が詰め込まれたアルバムにジャストフィットしたヴォーカルを披露している。

発掘テープの類いと違って現在のテクノロジーで録音されプロデュースされているので音は当然よろしいしのですが、それ以上に現在のモダンな感覚も取り入れられた楽曲アレンジだったり、ストリングスが追加されたり、マイナー調の北欧HM定番な哀愁漂うバラード曲を飾り立てるさり気ないキーボードサウンド等、ソロ活動やローカルながら地元で音楽活動を続けてきた Stefan Morenの手腕が活かされた旧曲新録アルバムだと言えよう。

しかし、今現在の耳で80年代初期北欧HMの上質なサウンドを耳にする事になるとは本当に予想外でした(w)、しかも地味に本作の楽曲は出来が良いんだなぁ~コレが(*´ω` *)

きっとコレも長い間 Stefan Morenがヒット曲のカヴァーを演奏してきたから自然とアレンジ力が上がったのが本作に活かされているんでしょうね。

当然、サウンドも楽曲プロダクションもA級でないけれど、勢いばかりで荒削りで未完成だった80年代初期北欧HMサウンドに当時足りなかった要素(ちゃっかり1st収録曲“Ogre king”が再録されている)が加味された“古くて新しいサウンド”を今回こうして耳にして感じるのは、もう今となっては聞く事の出来ないストレートでピュアな北欧HMサウンドがノスタルジックな趣を伴ってビンビンとハートを震わせる、って事(w

HEAVY LOAD、TORCH、OVERDRIVE、220 VOLT、UNIVERSEらと肩を並べて成功を目指して疾走していたKEEN HUEの80年代初期北欧HMは、きっと当時を知る古参リスナーは勿論、しらなくてもスピーディーでストレートなマイナー調北欧HMがお好みな方ならば、きっと気に入ってくれる一作だと思いますで、ご興味あるようでしたらチェックしてみても決して損にはならないでしょう。

そうそう、バンド名の意味は Stefan Morenによると「シャープな色調」という意味らしいが、イギリス人に言葉の意味を確かめたら怪訝な顔をされたという事なので、結局は彼等の造語というのが正解なようだ(w

本作の編成がこのまま続くのか、今回限りの企画の為だけなのかは判然としないが、出来る事ならこのまま本格的にこの編成でバンド活動を開始して欲しいものです。


by malilion | 2019-12-06 19:47 | 音楽 | Trackback

スイスのシンフォ・バンドCLEPSYDRAが再結成して18年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_13490782.jpgCLEPSYDRA 「The Gap」'19

01年に4枚目のアルバム『Alone』をリリースし、程なくして惜しくも解散してしまったスイスのキーボード入り5人組シンフォ・バンドが18年ぶり(!)となる再結成第一弾5thアルバムをリリースしたのを、国内盤出るかとしばし待ったけど我慢し切れず(汗)輸入盤で遂に購入したのでご紹介。

14年にデビューから解散までの10年間の音源を全てリマスターして収録した限定BOXをリリースしていたので音源的には5年ぶりの素材となる訳だが、解散後も断続的に同窓会的なLIVEをしていたのが実ったのか、こうして新規音源をリリースしてくれたのをまずは祝いたい。

ただ、これだけのインターバルが空いた(すっかり皆オッサンに…)事もあって完全なるリユニオンとはならず、ギタリストが Marco Cerulliから Luigi Biaminoへチェンジしているのは仕方が無いだろう。

で、再結成作の内容はと言うと、解散したその時から全く時間が経過していないような、スイスのシンフォバンド、と聞いてイメージする通りの、妙な癖や灰汁の無いスッキリ冷ややかな叙情派メロディアス・シンフォのお手本のような、まんまCLEPSYDRAなネオ・プログレ風味ある正統派ユーロ・シンフォ・サウンドでした。

革新的な何かをサウンドで成している訳でもないし、目指している訳でもない再起動した彼等のサウンドは、ややもすると70年代の巨人達や80年代のネオ・プログレバンド達のエミュレート(元々、お手本が初期MARILLION)に聞こえるが、メランコリックなギターと雰囲気満点なシンセが繊細で叙情感溢れる美しく淡い水彩画を描くように紡ぐゆったり展開の多いシンフォ要素をベースに、元来彼等が持っているストレートでシンプルなユーロ・メロディアスロックなサウンドピースを随所で聞かせるスタイルに変化は無く、ギタリストの交代も大きな影響をその温和なサウンドに与えていないのは、前任者も得意としていた表情豊かで物憂げなギターの壊れ物のような爪弾きを聞くだけですぐ気付くだろう。

今となっては珍しいポンプ系バンドで良く聞けた、ちょっと線の細く甲高い Aluisio Magginiの歌声も相変わらずで、今の時代には独特な特徴となって聞こえるのが面白い効果だろうか?

冷ややかな叙情派サウンドの要である Philip Hubertの鍵盤捌きは相変わらず流麗で、小気味良いピアノのアレンジや涼やかなシンセワークを聞かせ、解散前より幾分か目立って聞こえるのは、新加入の Marco Cerulliのギターが幾分控え目(遠慮して?)だからかもしれない。

プログレ系としては至って普通というか堅実でソリッドに重きを置いたリズムセクションは、変にテクニカルな事をして悪目立ちせぬ屋台骨的プレイを解散前と変わらず繰り広げ(実際は必要に応じてパートパートでダイナミックでパワフルなHM的アグレッシヴ・プレイを繰り広げている)ており、その点ではHR的と言えるかも。

北欧シンフォのような邪悪さや寂寞感も無く、英国シンフォのような先進的な革新さやモダンな感触も薄く、米国シンフォのようなパワー押しやアグレッシヴさも聞こえず、スタープレイヤーの妙技で聴衆を惹きつけるでもない、テクニカルな畳みかけるインタープレイより夢見るような淡いパッセージが紡がれる、メンバー全員のバランス良い演奏と程良く構成された楽曲やアレンジ等の総合力で勝負する、淡い色づきの柔和な清涼感と冷ややかな哀愁を漂わす美しくドラマチックな彼等の叙情派シンフォ・サウンドはちょっと聴き今の若い聴衆にはインパクトが弱く聞こえるかもしれないが、じっくり聞き込む程にそのデリケートでロマンチックなファンタジック・サウンドの微妙な味わいと甘やかな香り漂う魅力に惹き込まれて行く事だろう。

バカテクだとかプログレ的革新性は皆無だけれど、停滞だとか進歩が無いという中傷を恐れずに、ただただ美しくロマンチックな叙情派シンフォ・サウンドを18年ぶりに変わらず届けてくれたCLEPSYDRAには大感謝なのです(*´ω` *)

叙情派ユーロ・シンフォ好きな方なら一聴する価値はありますので、もしご興味あるようでしたら是非チェックしてみて下さい。

自主制作盤ですので、お求めの方はお早めにね!


by malilion | 2019-12-03 13:41 | 音楽 | Trackback

北欧スウェーデンの新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDが大興奮の5thをリリース!

c0072376_14090683.jpgDEGREED 「Lost Generaton」'19

Robin(Vo&B)と Mats(Ds)のEriksson兄弟を中心とする北欧スウェーデン出身の4人組新世代ハイブリッドHRバンドが約二年ぶりに放つ5thアルバムをちょい遅れてGET!

前作に引き続き国内盤がリリースされ一安心だ。

さて本作の内容についてだが、大手レーベル移籍と新マネジメントのバックアップや、Ted PoleyとのコラボバンドMODERN ARTでのアルバム制作経験も間違いなくプラスに働いたのだろう、前作よりさらにサウンドが整理され、よりシャープでモダンになった印象を受け、全体的なサウンドの華やかさとキャッチーさ、そしてスレートな音が増して幾分かアメリカナイズされたように思えるが、しっかりと端々に北欧らしいウェットなメロディ使いやフック、そして細やかなアレンジと艶やかなヴォーカルメロディが実に味わい深く、ドライで作り物臭いUSA産バンド群のサウンドとはひと味もふた味も違うアグレッシヴで骨太なサウンドに満ちた傑作アルバムとなっている。

キャッチーでポップでありながら、ユーロテイスト漂うウェット感と北欧系特有のキラキラしたキーボードと透明感あるメロディ、メインリフでヘヴィに攻めつつサビでは突き抜ける爽快感とフック満点な分厚いコーラスというデビュー時からの方向性は変わる事なく、楽曲の完成度やアレンジの妙、そしてモダンなサウンド造りとバンドが持つ魅力をより一層に磨き上げ、さらにドラマティックさとダイナミックさ迸るサウンドスケールを逞しく成長させた前作を超える強力な高揚感と爽快感がメンツ一丸となって疾走する溌剌サウンドに満ち溢れており、以前にも増して大活躍な Micke Janssonが操る鍵盤が紡ぐ涼やかなデジタルパッセージや煌びやかなシンセサウンドに包まれる中、Robin Erikssonの熱唱と Daniel Johanssonのコンパクト且つエモーショナルでテクニカルな絶妙のギタープレイが交差し、まるで魔法のような眩いトリックを生み出していて、もう大興奮!('(゚∀゚∩

正直、最近耳にした新譜で最も興奮したのが本作で、背筋をゾクゾクするような悦びが駆け上ってくるフレッシュな感触と燃え上がるパッションサウンドを、まさか彼等が届けてくれるとは思っておりませんでした。

さらに洗練されシンプル化が進んだ、と言うと従来のテクニカルパートを隠し味にキャッチーな北欧サウンドを奏でていた彼等のサウンドが好きだった方は不安になるかもしれませんが、よりスマートでモダンなアメリカナイズされたシンプルな楽曲構成故にメロディの美しさが引き立つ、多くの要素を高い次元で融合させた極上のメロディアス・ハードサウンドをコンパクトでモダンな手法と絶妙のアレンジで聴かせてくれるので、旧来の彼等のファンの方でも決してガッカリする事はないと断言出来ます。

さらなるメジャー展開を考慮してか、本作から Robin Erikssonが Robin Redに、Micke Janssonが Mikael Blancという芸名に変更したりと、さらにサウンドのモダン化を進めてアメリカ進出やワールドワイドな展開を目論んでいるのか、そうなると彼等を彼等たらしめている北欧風味、キーボードとギターのセンチメンタルなユニゾンパートなどの以前にも増してメロディアスでロマンチックなサウンドパートなんて如何にも北欧バンドって感じのリリカルな感触が実に心地よいのですが、そういった要素が減退してしまわないかこの先少々心配ですけど……

Ted PoleyとのコラボバンドMODERN ARTで少しは知名度がアップしたかもしれませんが、まだまだ無名に近いのが理解出来ぬ高品質な北欧メロハー・サウンドを届けてくれる彼等、HEAT、ECLIPSE、Work Of Art等の北欧メロハー好きな方からAOR好きな方まで是非お薦めですぜ!


by malilion | 2019-12-02 14:02 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーの雄 ECLIPSE、7作目にして遂に変化の兆し!?

c0072376_22313770.jpgECLIPSE 「Paradigm」'19

楽曲提供だけでなく様々なプロジェクトやコラボ等で引っ張りダコな北欧ワーカホリックマン Erik Martensson(Vo&G&Key)率いる北欧スウェーデン産メロハー・バンドの、17年リリースの前作『Monumentum』以来2年半ぶり7作目となる待望の新作がリリースされたのを少々遅れてGET!

前作はユーロHM的ウェットなメロディと叙情感、そしてアメリカンHM的キャッチーな爽快感と疾走感をMIXさせたハードエッジなスリリングさと躍動感あふれる従来通りの折衷メロハー路線を推し進めた充実作であったが、本作では少々サウンドのタッチに変化が見られるようだ。

同一路線のサウンドをこれまで磨き抜いて来た為のマンネリズムに対する変化を求めたのか、ユーロ圏のみならずアメリカでも積極的にLIVE活動を行うなど、北欧メロハー系バンドに多いLIVE活動は少なくスタジオでアルバムを量産するタイプでない彼等ならではのステージングからのフィードバックを活かしたからなのか、本作ではこれまでのような Magnus Henrikssonによる派手でハードエッジなギターサウンドが抑え目になり、Erik Martenssonのヴォーカルやコーラス等にかなり焦点が集められたある意味でヴォーカル主導なAOR&ポップス風の楽曲スタイルに変化しており、彼等の激しくも華やかなバンドメンツ一丸となっての疾走感あるインタープレイが気に入っていたファンにとっては少々物足りなく感じてしまうかもしれない問題作とも言えるだろう。

無論、相変わらずハードエッジなサウンドだし、キャッチーでフックあるコンパクトな楽曲は以前と変わりなく高品質な仕上がりだし、変わらずスリリングで劇的な楽曲展開も聞かれるのだが、幾分ミッドテンポの楽曲が多く収録されている為かアルバムを聞き通すと途中で少々ダレるように感じられるのが個人的には気になりましたかね……

まぁ、いつまでも勢い任せのルーキーバンドじゃないんだから、っていう好意的な見方も出来るかもしれませんけど…

代わりと言ってはなんだが、その分これまで以上に Erik Martenssonの上手い歌が堪能出来るし、幾多のプロジェクトで揉まれ幾人ものアーティスト達とコラボレートした経験が活きたのか、より深みを増したその歌声の表現力や声の使い方の幅はデビュー当時とは比べものにならぬくらい拡がりと安定感を増しており、スローテンポな楽曲でそのヴォーカルスキルの真骨頂を発揮している(*´ω` *)

ことここに至っては、以前聞かれたような露骨な白蛇フォロワー臭いギターサウンドや楽曲ピースは姿を消し、完全にオリジナルなバンドサウンドへ成長したのが分かり、これは Magnus Henrikssonの弾きまくりギターが主軸だったバンドサウンドのバランスを変化させた、前作より落ち着いた印象のマイルドサウンドな本作だからこそよりそう強く感じるのかもしれない。

昨今のバンドがこぞってダークでハードな硬質サウンドへ突き進んでいる中で、ヴォーカル中心なメロハー系バンドとしてはよりソフトな要素を取り入れた方向へ進む選択をしたのは、やはり Erik Martenssonの意識が既にそれらHMバンド達とは次元の違う、よりポピュラリティの高いモダンサウンドな方向へ進んでいるからなのでしょう。

個人的にはヴォーカルオリエンテッドなアルバムも大好物だし、ちょっとハード目なメロハー・ヴォーカルものなんかも大好きな自分的には本作の方向性は全く気にならないのですが、元気溌剌なハードドライヴィングするギターサウンド主導なメロハーサウンドを求めている向きにどう評価されるのか少々不安ではありますね… 随所で顔を出す Magnus Henrikssonのギターソロも悪く無いんだけど、やっぱりコンパクト過ぎて少々食い足りないんだよなぁ…

楽曲の質は変わらず高いし、メロディも未だに優れており実に煌びやかで派手なサウンドなので、キャッチーでメロディアスという要素を彼等に求めている従来のファンは安心して本作に手を出していいだろう。

逆にハードなギターサウンドやロックバンドらしいソロプレイの応酬や手に汗握る予想不能なインタープレイが飛び交う、そんなパートを求める向きには、コンパクトで小綺麗にコンポーズされ過ぎた彼等のサウンドは御気に召さない可能性が高いんでしょうかね?


とまれ、メロディアスな北欧ロック好きな方になら間違いなしにお薦め出来る一枚と言えるでしょう。

しかし…また日本先行発売なんだよな…また、Frontiers盤でボートラ大量追加でリリースで買い直し確定なの??(ノД`)



by malilion | 2019-12-01 22:23 | 音楽 | Trackback

MARILLION旧曲リアレンジ企画盤ながら、室内管弦楽隊との共演作は絶品! な美麗シンフォニック作!

c0072376_18375329.jpgMARILLION 「With Friends From The Orchestra」'19

ネオ・プログレの旗手として80年代に英国で唸りを上げて誕生し、幾多の紆余曲折を経て昨今では枯山水の如き渋ぅ~い世界へ旅立ってしまった彼等の、旧作に追加音源をプラスした限定新装版やオフィシャル・ブートレッグLIVE等々の怒濤の大量音源リリースを経て前スタジオ作『F.E.A.R』'16 以来3年ぶりとなる、新企画スタジオ・アルバムをGET!

燃え上がるヴァイオリンが目を惹くジャケの本作は、Sreve Hogarth(Vocals)、Mark Kelly(Keyboards)、Ian Mosley(Drums & Percussion)、Steve Rothery(Guitars)、Pete Trewavas(Bass & Vocals)のいつものバンドメンツ5名に加え、ストリングス・クァルテット、フレンチ・ホルン、フルート、サックス奏者からなる7人編成の室内管弦楽隊との共演作となっており、89年の『Seasons End』から、12年の『Sounds That Can't Be Made』までの曲を取上げシンフォニックなリアレンジを施し、さらに美旋律に、さらに叙情的に、オリジナル以上に艶やかでドラマチックなサウンドを奏でており、最近のすっかり枯れた味わいに比重を置いた彼等のサウンドに一抹の寂しさを感じていた旧来のファンは歓喜する事間違いなしな一作だ。

バンドとオーケストラの共演作にありがちなお上品になり過ぎる事なく、ロック的なダイナミズムもキープしつつ、さらに美旋律に磨きをかけたそのサウンドは、彼等の楽曲が秘めていた新たな魅力と新アレンジの妙が実に素晴らしく、MARILLIONはベテランなれどまだまだ枯山水世界の住人で落ち着くのは早い、と再認識させてくれる。

ていうか、無理なのは分かってるけど、もっと分かりやすいド派手で俗っぽいシンフォ作をもう一回聞かせて頂戴ぃ~! と、切実に本作の優美で芳醇なサウンドを耳にして思ってしまいました(*´ω` *)

ある意味企画の内容を知ったファンが想像するだろうサウンドと方向性で、妙な小細工や奇をてらった策や意外性など微塵も無い、望む通り“まんま”な美しいサウンドを届けてくれたMARILLIONには感謝しかありませぬ。

下手なシンフォ・バンドの楽曲よりよっぽどシンフォニックで美しいんだよなぁ~、ホントに。やっぱMARILLIONはいいわぁ~♪

MARILLIONファンは無論、優美でメロディアスなクラシカルな調べがお好みな方はチェックしても決して損はしない一作ですので、是非に一度お試し下さい。

例によって例の如く自主制作盤なので、お求めはお早めにね!




by malilion | 2019-11-30 18:30 | 音楽 | Trackback

YESトリビュート・バンドでマニアに知られたTIM MORSEがソロ第三弾をリリースしていたのを、今頃ご紹介。

c0072376_19000498.jpgTIM MORSE 「III」'18

元々はYESトリビュート・バンドPARALLELSで活動していたUSAのマルチ・ミュージシャンで、歴史的な飛行家リンドバーグの生涯をテーマしたコンセプト・アルバムだった前作『Faithscience』'12 以来となる3rdアルバムが実は去年ひっそりとリリースされてた模様で今頃に慌てて購入。

2ndソロ以降、フュージョン系のJerry Jennings BANDのメンバーになった事や Bret BinghamとのTHE MANGOESでの活動も関係してかなかなか新譜が届けられなかったが、こうして無事新譜がリリースされてなによりだ。

参加者の数は少なくなったが、ギターをはじめベースやドラム、マンドリンやヴァイオリンなど前作同様にゲスト奏者陣を多数招き、自らの多重録音プレイ(ギター、ベース、シンセにドラム、そしてヴォーカル)で緻密に造り込んだサウンドのアルバムという“1人プログレ・バンド”なスタイルに変化は無い。

前作はヴァイオリンにKANSASの David Ragsdaleを招くなどしていたが、残念ながら本作では別ヴァイオリン奏者が参加していて個人的にはちょっとそこは残念かなぁ…

本作のサウンドだが、適度にテクニカルなリズム展開を見せつつキャッチーなメロディとシンセで楽曲を彩るスタイルに変化はないものの、前作までのSPOCK'S BEARD風だったり Neal Morse風だったりの、如何にもアメリカンという抜けの良い爽快感ある90年代以降のUSシンフォ&プログレ・タッチなサウンドから、今まで意図的に抑えて来ただろうYES風のサウンド、特にキーボードプレイやサウンドで露骨にYESカラーを押し出したり、ムーディーなJAZZっぽいフレーバーや古き良きプログレ風味な鍵盤サウンドを聴かせている点が大きな違いだ。

また、特にヴィンテージ機材で録音する事にこだわったと言う本作は、ハモンドオルガン、フェンダーロードスのエレクトリックピアノ、ミニムーグ、メロトロンのサンプル等々をたっぷりフィーチャーしている上、ムーグトーラスベースペダルも活用しているので、その手の機材マニアの方には嬉しい一作となる事だろう。

元々バリバリにテクニカルなインタープレイを見せつけるようなプレイでグイグイ推していく派手なタイプでないのもあるが、流石にSPOCK'S BEARDや Neal Morseの二番煎じじみた方向性では明確なオリジナリティの確立難しいと見たのか、本作のYES風味を加味したサウンドへ軌道修正したのは個人的に“アリ”だと思いますね。

オリジナリティ確立目指してYESっぽくなっちゃイカンだろう、という突っ込みは重々承知なんですが、最近の耳当たりの良いモダン・シンフォ系で分厚いコーラスにキャッチーな歌メロ、そしてキレと抜けの良いサウンドってなると、どうしてもSPOCK'S BEARDにサウンドが近似しがちですから、敢えてSPOCK'S BEARDの源流でもあるYES風味までサウンドを原点回帰させた方が良い結果を生むと判断したのではないでしょうか? 勿論、勝手な推測でしかありませんけど。

まぁ、即興プレイを活かした殆どデモのテイクを利用したみたいな事を言ってるので、なんだかんだと小難しい考えなんぞ皆無な、ただ気持ちよくプレイしてたら地のYES好き要素が顔を出してこういう次第になった、ってだけかもしれませんが(w

ただ、前作でも感じたのですが、マッタリと穏やかでスッと耳に入ってくる心地よいメロディと優しいヴォーカルや重ねられたコーラスは実に聴き易いし、要所要所で耳を惹くメロディやプレイなんか聞けるものの、総じて既にビッグネームであるSPOCK'S BEARDや Neal Morse、そして他のモダン・USシンフォ・バンド達以上の個性や差異を感じられず、Tim Morseでなければ聞けない、というような強烈な個性やプレイは見当たらず、そういう視点から見ると些か魅力の薄い作風と言わざるおえないのが、高品質に造り込まれた優等生サウンドなだけに実に惜しい、悪くないアルバムです。

そこここにプログレチックなサウンド・ピースやプレイが散りばめられた心地よく和め、爽快感もあるTim Morseのサウンドを嫌う人は少ないでしょうから、ワンチャンどこかのビッグネーム・バンドへ誰かの後釜で転がり込むか、思い切ってプログレ的サウンドは捨ててもっとポピュラー・ミュージック寄りなサウンドへ接近でもするかしないと、きっと次も『出来の良い佳作止まり』な印象のアルバムを聞く事になるような気がしてなりません…

また本作はCDーR盤しか存在しないので、入手が面倒だと思われる方はDLで購入してもいいのではないでしょうか?

前作まではちゃんとデュプリ盤リリースしてくれたのになぁ…これも時流なんですかねぇ…orz





by malilion | 2019-10-31 18:54 | 音楽 | Trackback

現GALAHADのギタリスト LEE ABRAHAMがポップな作風から一転、シリアスでダークなコンセプト作をリリース!

c0072376_07113760.jpgLEE ABRAHAM 「Comatose」'19

第二世代UKポンプとして未だ気を吐くGALAHADに05年から09年にかけてベーシストとして在籍し、脱退後ソロキャリアを再開し、近年再びGALAHADにギタリスト(!?)として再加入したポンプ系イギリス人マルチミュージシャンのソロ作7thがリリースされたのを幾分遅れてGET!

前々作で淡い色合いの如何にもデリケートなサウンドというポンプ系ソロアルバムをリリースし、次いで前作では一転して多数のヴォーカリストをゲストに迎えAOR寄りなポップ作をリリースと、これまでアルバム毎に様々な試みに挑んで来た Lee Abrahamだが、再び本作ではこれまで彼のアルバムで余り聴かれなかったダークでヘヴィなコンセプト・アルバムを制作と、自身が語るように『今までの作風と違った、別の何かを試し、成功させたかった』というプログレ・ミュージシャンらしい飽くなき挑戦心と冒険心を剥き出しにした意欲作だ。

さて本作の内容についてだが、タイトルが示すように自動車事故に遭い昏睡状態に陥った犠牲者が、医療スタッフが救命活動している最中に経験する記憶のフラッシュバックを綴っていく物語となっている。

また、挑戦作らしく近作でゲスト・ミュージシャンを大勢招いて制作されていたスタイルにも変化が見え、長年の音楽パートナーである Gerald Mulligan(CREDO:Drums)、Rob Arnold(Piano、Electric Piano)、そして前作でバッキングヴォーカルで参加しハートフルな歌声を聴かせていた Marc Atkinson(RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MOON HALO、MANDALABAND:Vocal)が本作ではリードヴォーカルとして参加しているのみで、他には新しいゲストとしてTWELFTH NIGHTの7代目ヴォーカリストで現フロントマンな上に、サウンドエンジニア、プログラマー、アレンジャー、もこなす裏方作業メインでマルチパート・セッションミュージシャン Mark Spencerと、奥方の Diane Abrahamがバッキング・ヴォーカルで参加するだけの小編成で制作されており、『Black and White』'09 以来となる全てのギター、キーボード、ベースを Lee Abraham自身がプレイする久しぶりにソロ作らしいソロ・アルバムだ。

ダークでヘヴィなストーリーが紡がれて行くアルバムは終始硬質で鈍色のエッジ立ったギター・サウンドに彩られているものの、Lee Abrahamらしいポップなメロディの断片や、メロトロン系鍵盤サウンドや分厚い合唱コーラスも加えて織り成す物語には明るく朗らかな救いのようなフィーリングあるサウンドも垣間見え、サントラっぽいタッチやSE等が散りばめられたディープで複雑に感情が揺れ動くシリアスで緊張感ある物語に相応しいエモーショナルな Lee Abrahamのギターもタップリとフィーチャーされた、様々な音楽スタイルを取り込みながらも全体的にシンフォ&プログレッシブ・ロックなサウンドを保った今までにない Lee Abrahamの新たな一面が表現されたアルバムと言えるだろう。

Lee Abrahamのギタープレイは随所でセンチメンタルでメロゥなフレーズを奏でるものの、コンセプトに引っ張られたのかこれまでで一番攻撃的で自己主張が強く、どちらかというと本体バンドであるGALAHADで聴かれるようなプレイとサウンドに近いヘヴィなフィールも感じ、やはりGALAHADへ復帰した影響が本作に色濃く出ているようで、以前のポップでキャッチーなサウンドなアルバムでの控え目でそつない職人芸的プレイの対局的な作品と言えるかもしれない。

コンセプト作だからと変に助長にならず約47分と内容にしては短めな上に非常にコンパクトに纏められているので、意外な程にすんなり最後まで聞き通せるのは Lee Abrahamの抜群のコンポーズ能力故でしょう。

以前の淡いタッチのポンプ風味なサウンドや、ポップでキャッチーなアルバムのサウンドが好きだった方には、いきなりユーロ系の鈍色ヘヴィ・シンフォ作になったように思えてイマイチと感じるかもしれないが、Lee Abrahamが解き放たれたように伸び伸びと思うままにギターをプレイしているサウンドは意外な程に爽快感があるので、食わず嫌いせず一度チェックしてみて欲しいですね。

ヘヴィでダークなサウンドばかりな中で、軽やかで爽やかなアコギを紡ぐ Lee Abrahamのプレイは、変わらずデリケートな音色で実にポップなフィーリングを感じさせてくれるんですよね~♪(*´ω` *)




by malilion | 2019-10-30 07:01 | 音楽 | Trackback

オランダのメロディアス・プログHMバンドBAGHEERAの唯一スタジオ作をご紹介。

c0072376_00275480.jpgBAGHEERA 「Doors To Deliverance」'95

ラックを整理していたらヒョッコリこんなものが転がり出てきたので本日はコレに耳を傾けておりました。

ヒンズー語で『ヒョウ=バゲーラ』という意味の名のオランダのキーボード入り5人組B級インディ・プログHMバンド唯一のフルアルバム作で、本作の前にデモテープ一本、EP一枚、シングル一枚をリリースしており、結成時は冴えないC級ユーロHRを演奏していた彼等が短期間でプログHMへバンドサウンドを変化させたのは、世界中を席巻しメジャーシーンの一大勢力となる夢劇場の成功(82年)や、オランダがポンプムーブメントの“飛び地”であった事も少なからず関係しているように思います。

当初ベーシストが流動的でなかなか定まらず、88年のデモテープ『Who's Afraid of the Big Black Cat』から91年リリースのEP『Silence at Romney Marsh』までミドルレンジ主体のマイルドな声質のヴォーカリスト Kees van Keulenがフロトマンだったが、95年リリースのデビュー作にして唯一のフルアルバム『Doors To Deliverance』でフロントマンが Jan Hovingへ、またキーボーディストも創設メンツの Joost den Hertogから Roland Jensterへチェンジしている。

歌唱力に問題ありの Kees van Keulenから Jan Hovingへフロントマンをチェンジしたのは、複雑で技術的にもスキルを要するプログHMのヴォーカル・パートを担うに相応しい人物(イヤ、幾分かマシになった程度の改善か…)を迎え入れた結果だろうが、声質的に少々癖があり歌唱法もシアトリカルな Jan Hovingの歌声(個人的には許容範囲だが、もっとストレートな歌唱法のフロントマンの方が良かった?)がこのバンドの音楽的な方向性にアジャストされていたかは今となっては少々疑問が残りますね。

まぁ、EPの時点で Kees van Keulenがシアトリカルな歌唱法(下手クソなんだよなぁ…コレが…)へスタイルを変化させているのと、バンドサウンドもスピーディでミステリアスな雰囲気を漂わすIRON MAIDEN風メタル(ギタリスト Bob Hoezenがインギー・フォロワーなプレイを聴かせ始めてる)へ接近しているので、よりシアトリカルな歌唱が巧みな Jan Hovingを迎え入れたのは切っ掛けなだけであり、バンドサウンドが大幅にリリカルなユーロ・プログHMへ様変わりした最大の要因は、キーボーディストが Roland Jensterへチェンジした影響の様にも思えますけど…(汗

さて、本作のサウンドはと言うと、垢抜けない古臭いHRからスピーディなIRON MAIDEN風メタルへの変化を経てバンドメンツのプレイスキルも上がったのか、よりこなれたプレイで総じて纏め上げられた印象を受け、なかでも特に Roland Jensterの操るピアノの艶やかな音色と華やかで軽やかなシンセの素早いパッセージがバンドサウンドを煌びやかに飾り立てるパートが終始耳を惹き、実際バッキングやリードパートも多目な上に長めとキーボーディスト主導なバンドに思われそうだが、オーソドックスなプレイやバッキングながらしっかりギタリスト Bob Hoezenも仕事をこなしており、時折ピロピロとインギー風早弾きで鋭く切り込んだり、キーボードとユニゾンの早弾きプレイを披露したりして軟弱になりがちなキーボード主導なバンドサウンドを引き締める重要な役所を担っているのが分かる。

プログHMサウンドと言うには少々リズム隊が退屈なプレイを繰り広げているが、キーボードとギター、そしてヴォーカリストが時折素っ頓狂な叫びを張り上げ、メロディを担うパートが揃って派手で妙ちきりんで強引な展開やメロディを聴かせるB級プログHMあるある(汗)をしでかしているので、敢えて楽曲の崩壊を防ぐために無茶なテクニカル演奏やインタープレイの応酬は控え、ソリッドなプレイに徹しているのかもしれない。

このままキーボーディスト Roland Jensterの影響力が増大してプログHMからメロディアスな叙情派シンフォ・バンドへ路線変更するか、よりテクニカルなパートとハードエッジなアンサンブル重視サウンドへ接近してメジャー系のプログHMへ路線変更するのか、いずれにせよ彼等が順当に活動を続ければもう一つ上のレベルに上がった素晴らしい作品を聴かせてくれた事でしょうが、新加入した Roland Jensterの持ち込んだ音楽性と元いたメンバーの求める音楽性とのブレが原因だったのか残念ながらバンドメンツが分裂し、97年に彼等は解散してしまう。

名手 Roland Jensterはその後に渡米し、今もその華麗な鍵盤捌きをステージで披露している模様だが、他のメンツがその後音楽活動をしているかは定かではありません…

少々ヴォーカリストの歌唱に癖がありますが、メロディアスな楽曲とハイセンスなキーボードプレイはB級プログHM作と切り捨てるには惜しい光るモノを持っており、マイナーなインディ・プログHM作でも手を出しちゃうマニアックなファンな方にお薦めな隠れた良作であります。




by malilion | 2019-10-29 00:21 | 音楽 | Trackback

変化の兆し? フロントマン不在のままハイクオリティなユーロピアン・シンフォ作をDRIFTING SUNがリリース!

c0072376_18213269.jpgDRIFTING SUN 「Planet Junkie」'19

フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いる多国籍ユーロ・シンフォ・バンドの6thが2年ぶりに届けられたのを、ちょい遅れてGTE!

再結成前は Pat Sanders率いるGENESISフォロワー丸出しの凡庸なポンプ・ソロプロジェクトな色合いが強かった彼等は、メンツが常に流動的でイマイチ活動もパッとしなかった訳だが、活動再開してからはメンツが固定されつつあり、それに比例してアルバムの出来も順調にレベルアップして素晴らしくなっていたのだが、前作でギタリストをチェンジしたのに続き本作ではフロントマンの Peter Falconerが脱退(!?)し、専任フロントマン不在の4人組バンド(他メンツは前作と同じ)としてゲスト・ヴォーカリストを複数迎えてアルバムは制作されているのが、ちょっとだけ先行き不安だ…(汗

まぁ、元々メンツが流動的だったんだからそうメンバーチェンジに驚きは無いのですが、やはり固定メンツでアンサンブルを高め、阿吽の呼吸でケミストリーを発動させてこそのバンド活動だと思うので、早く専任フロントマンを迎え入れて盤石の体制で創作活動を続けて欲しいものです。

さて、新作のサウンドの方ですが、前作から加入したPINK FLOYDやGENESISをルーツに持つシンフォ系マルチインストゥルメンツ・プレイヤー Franck Carducciのバンドでリード・ギタリストを務めている Mathieu Spaeterの影響が引き続き大きく働いている模様で、YESっぽいフィーリングの繊細でテクニカルなギターや、ハードドライヴィンするロックティストの強いリフ圧しなメタリックな楽曲だったりとさらに楽曲の幅が拡がり、メロゥでキャッチーさは前作以上なのに憂いを帯びたセンチメンタルなメロディとポンプ風味な派手目のキーボード・サウンドが交差し、如何にもユーロ・シンフォバンドというリリシズムあふれる美しいサウンドとドラマチックな楽曲展開が頭から最後まで貫かれていて、前作と同一路線のスリリングなシンフォ・サウンドにはフロントマン不在の影響は殆ど感じられない♪('(゚∀゚∩

注目のゲスト・ヴォーカリストは Marc Atkinson(RIVER SEA、MANDALANAD)、Colin Mold(ex:KARA、KARNATAKAのツアーメンバーでギター担当のマルチミュージシャン)、Joshua Corum(HEAD WITH WINGS)という3名の個性的な歌声のヴォーカリスト達を前半、中盤、後半へとメイン・ヴォーカルに配し、さらに彼等が曲作りにも参加する事で専任ヴォーカリスト不在で歌詞や歌メロの質が落ちる事を防いでいる工夫が、怪我の功名じゃないけど単調になりがちなB級インディ・シンフォバンドのヴォーカルパートと楽曲にバラエティ豊かな顔色を加え、作品の質を大幅に上げることに成功していると言えよう。

また、総勢4名のゲスト・プレイヤー陣を迎えて本作は制作されており、Ben Bell(GANDALF'S FIST、FUSION ORCHESTRA2)の操るハモンド・オルガンや、Eric Bouillette(THE ROOM、NINE SKIES)のストリングス・アレンジ、他にもサックスやクラリネット奏者を招いてサウンドに荘厳さとリリカルさを加味した、実に艶やかでエレガントな叙情香るその深みある楽曲はインディ・シンフォ作の枠を飛び越えて実に素晴らしく、遂に彼等もA級バンドの仲間入りを果たす手前まで来ているのが伝わってくる快作だ。

前作でメロゥで繊細さを強調した作風へ進んだ事から本作はさらにシンフォ度を増した優美さ増々な軟弱作風へ傾くものと危惧していたが、蓋を開けてみれば初期のHM風なメタリックさから繊細なピアノが優美に響くメランコリックなメロディが実にリリカルなユーロピアン・サウンドまで初期から前作までにバンドが奏でてきた幅広い要素をカバーする、パワフルでスリリング、それでいて重厚でスケール感の大きなシンフォニック・ロック作が飛び出してくるとは全く予想外で、嬉しい驚きをもたらしてくれました(*´ω` *)

こうなると次作で専任フロントマンを迎えてこのサウンドがどう変化するのか実に楽しみな要注目なバンドであります。

幾分かハードなエッジも加わった優美さが光るユーロピアン・シンフォ・サウンドがお好みの方ならチェックして損はない一枚です! 毎度お馴染み自主盤なので、お求めの方はお早めに!





by malilion | 2019-10-28 18:11 | 音楽 | Trackback