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カテゴリ:音楽( 826 )

MARILLIONフォロワーが出発点なイタリアン・ネオプログレバンドSILVER KEYが、新フロントマンを迎えて3rdをリリース!

c0072376_22052230.jpgSILVER KEY 「Third」'19

MARILLIONとFishのカバーバンドとして始まった、イタリアのミラノ出身なネオ・プログレバンドが前作から4年振りとなる3作目をリリースしたのでご紹介。

久しぶりの新作だが、残念な事に恒例のメンバーチェンジが勃発した模様で、唯一バンド創設時から在籍しバンドのリーダー格であったフロントマン&アコギの Yuri Abiettiが17年7月にまさかの脱退(!?)し、新たなフロントマンに Dino Procopioなる無名のヴォーカリストを迎え、さらにドラムス Viviano Crimellaも脱退(本作のドラムクレジットは Mr.Drummerとあり、どうやら打ち込みな模様)し、結局1st以降で残留しているのはキーボーディストの Davide Manaraのみ(新たなバンマスに就任か…)という4人体制で本作は制作されている。

前作のSFチックなコンセプト・アルバムに引き続き、新加入の Dino Procopioが歌詞を手がける本作は、様々な学者、思想家、文筆家に影響を与え『意志と表象としての世界』で著名なドイツ人哲学者 Arthur Schopenhauerの思想をベースに、互いにリンクした5つのストーリーを含む重厚な物語が紡がれたコンセプトアルバムだ。

母子家庭で育った少年が民兵となり母を護る為に闘う物語、欲望まみれのVR世界で神の如き少年と出会う男の話、最新テクノロジーの商品を強迫観念に囚われたように病的に求める人々の物語、社会的なタブーである殺人を正当化する男の物語、小女との恋に狂って落ちる恥ずかしがり屋で厄介な14歳の少年は永遠を誓うが結局、願いは叶うことはない物語、というそれぞれが独立した物語になっているが、5つの物語の登場人物は互いの人生の重要な登場人物となってそれぞれの物語に干渉するという、複雑に絡み合った人間模様が悲劇的で陰惨な物語を織り成すコンセプトストーリーは、最終章で恥ずかしがり屋で厄介な14歳の少年が成長して科学者となり、逸脱した精神病者達を癒す為の治療法の発見を科学界全体に発表するが、結局彼も犠牲者であり、精神科の患者となって悲劇は幕を閉じる、という余り救いの無いお話となっている……

本作でまず注目なのは新ヴォーカリストの Dino Procopioについてで、前任者より荒くダーティな声質と灰汁の強いガナリが特徴な歌唱スタイルと前任者よりもFish風な芝居がかった歌唱が耳につくが、これは重厚なコンセプト作のストーリーを表現せんが為とも取れるので、実際LIVEでの歌いっぷりや普通に歌い上げた印象はどうなのかはまだ分からない。

前任の Yuri Abiettiより Dino Procopioはパワフルな歌声で前任者同様イタリア臭さは薄くUK系に近い歌唱スタイルで、よりモダンでソリッドな方向へバンドサウンドが進化している事を考えるとマッチしているとも言えるが、ポンプやネオプログレ系にはマッチしにくい苦汁声なのは確かなので、シンフォやポンプを好むリスナーの受けが良いかどうかは少々疑問が残るかなぁ…(汗

ヴォ-カリストについてはそれぞれ好みがあるだろうが、バンドサウンドの方は確実に完成度と深みを増しているのは確かで、デビュー作からして80年代UKポンプを憧憬しつつ新世代らしさを感じさせるモダン・サウンドだった訳だが、本作では前作から加入した Roberto Buchicchioがハードにテクニカルにエモーショナルなギタープレイを披露して物語を紡ぐのに大活躍するだけでなく、Davide Manaraの操るキーボードはクラシカルなオーケストレーションでストーリーの陰影を一層に強め、時折ハッとするリリカルで艶やかなピアノで物憂げさを演出してみせたり、不穏を煽る残響音や銃声等のSEや美声の女性バッキングヴォーカリストを導入してドラマチックで重厚な物語のイメージを強めつつ、Davide Manara主導の煌びやかで軽やかなシンセの音色が初期からのポンプ風味を漂わせたりと、随所にデジタリーなプログラミングサウンドを巧みに交差させたミステリアスなサウンドにイタリアモノ特有のバタ臭さは皆無で、スタイリッシュな00年代ユーロ・シンフォサウンドにダークでアンニュイな独特の風味を加えたUK風シアトリカル・サウンドとなっている。

前任ヴォーカリストの Yuri Abiettiは、お約束な芝居がかった語り系の歌唱法は用いず普通に歌い上げていたので、安っぽいGENESIS系フォロワーやMARILLIONの亜流のように聞こえなかったのと、この手のバンドが最初から放棄しているオリジナリティや音楽形態の焼き直しに対する新鮮味の欠如を巧みにカバーせんとする気概のようなものが感じられた訳だが、本作の Dino Procopioのシアトリカルなヴォーカル・アプローチは如何にもなFish系なので、先祖帰りして初期MARILLION風に聞こえない事もない点は少々残念と言えるが、歌唱スキルの低さ(汗)や声質が全く違うのと、灰汁の強いHR的なパワフル・ヴォーカルが幸いして、まんまフォロワーとなっていない点は救いだろう。

新世代バンドらしく旧来のポンプ勢とは音の厚みが違い、今風にアップデートされた複雑でテクニカルなモダン・シンフォサウンドは少しも古くささを感じさせ無いものの、難解なコンセプト故か歌メロのキャッチーさや楽曲のメロディがすんなり耳に残らないというマイナス・ポイントはこれまでよりも一層強く感じられてしまい、そろそろコンセプト作でないアルバムとシンプルで美しいメロディでのみで勝負してみて欲しいと言うのが、次作についての個人的な要望ですかね…

渦巻くようなロマンチックな響きのトラックや、魅力的で官能的なギターソロ、そしてエレクトロニックでシンフォニックなサウンドは、確かにMARILLIONにインスパイアされたサウンドと言うかデジタリー要素が加わって寧ろGALAHADサウンドに近いと言えるかもしれないが、随所で確かな進歩性と独創性、そしてイタリアンバンドらしく拘りの美意識を強く感じさせる期待の持てるサウンドを奏でる新人バンドなのは確かなので、続く次作でどういった方向へさらなる飛躍を見せるのか、今から大変楽しみであります(*´ω` *)


by malilion | 2019-04-22 21:56 | 音楽 | Trackback

AnderStein Musicが閉店…(つд`)


マイナーなメロハー・バンドのみならず良質な新人バンドやAOR系のマイナー所も多数紹介してくれていたお店が閉店してしまった…

単に輸入盤を紹介するだけでなく、国内盤までリリースしてくれたマイナー・メロハーバンド好きにとって有り難い存在だっただけに残念です…orz

合わせて今後リリース予定だったアルバムも発売中止となった模様で、恐らくこれまでリリースしてきた国内盤も廃盤となる流れでしょう…

なんていうか、かってゼロコーが消えた時と似た大きな消失感に襲われてますね、今…

店主様の個人的な理由故に致し方が無いのですが、是非とも元気になって一日も早く復帰される事をお祈り申し上げますm(_ _)m



by malilion | 2019-04-21 17:41 | 音楽 | Trackback

ヴァイオリンをフィーチャーしたロシアン・バカテクバンド LOST WORLD BANDが遂に本格バンドとなって新譜をリリース!

c0072376_16503483.jpgLOST WORLD BAND 「Spheres Aligned」'19

ロシアのバカテク暴走列車 LOST WORLD BANDの、3年ぶりとなる待望の新作6thがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

デビュー当初はキーボーティストやギタリストも擁していたものの、4thからリーダーの Andy Didorenkoがギター、キーボード、ヴァイオリン、そしてヴォーカルまで担当するという完全にワンマンバンド化してちょっとガッカリだった訳だが、予想に反して本作から各パートにパーマネントなメンバーを迎え、遂に本格的に5人組バンドとして活動を開始した模様だ('(゚∀゚∩

引き続き Vassili Soloviev(flute)と Konstantin Shtirlitz(Ds)も参加し、クラシック畑でも活躍するリーダー Andy Didorenko(Violin、Guiter、Vocal)を含めオリジナルメンツの3人組は盤石なままに、Yuliya Basis(Keyboards)なる女性キーボーディストと Evgeny Kuznetsov(Bass)を迎えた新体制となっている。

前作でパーカッショニストとして呼び戻された Alexander Akimov(2nd時のキーボーディストだった)は残念ながら本作で演奏は披露していないが、Andy Didorenkoと連名で本作をプロデュースしているので、どうやらバンドの裏方に回った模様だ。

で、期待の新作の内容はと言うと、これまでの彼等のサウンドは大まかにはロシア人ヴィオリニスト Andy Didorenko率いる硬派シンフォニック・ロック・バンド作と言えたのだろうが、これまでギターとヴァイオリンの激しい演奏のせめぎ合いが炸裂し、叙情的で涼やかなフルートも一転してエキセントリックなプレイを叩きつけるように切れ味鋭く暴れ回る超絶テクニックと複雑なアレンジが見事に融合した、トンでもなくインパクト絶大なエキセントリックで凶暴なまでにテンション高い、東欧クラシック・ルーツのスリリング且つダイナミックな屈折した硬質な暴走ダークシンフォ・サウンドを展開したり、よりリリカルで艶やかさを活かすフルートとヴァイオリンの優雅なアンサンブルを中心にしたアーティスティックなサウンド構成へ変化したり、ほんわかした牧歌風な歌声で、静かに感情を抑えて淡々と語りかけるような歌声を英語で聞かせる新境地を垣間見せたりと、バランスを度外視してまで振り幅広く音楽性のキャパを拡げる試行錯誤を挑み続けて来た訳だが、本作ではより一般的なテクニカル・シンフォバンドっぽいサウンドを聞かせ、ややもすると難解でとっつき難いサウンドだった彼等の音楽が、相変わらずインストパートの比重が多いものの、それでもかなり聞きやすくなったヴォーカル入りのシンフォ・ロックサウンドに寄ったという印象を持ちました。

2017年11月から2018年12月の間にニューヨークとモスクワの両方で作曲され、録音された本作のサウンドは、以前のようなKING CRIMSONやAFTER CRYING風味のヒステリックな狂気のハイテンション漲るアグレッシヴで躍動感ある“押し”パートは控え目になり、どちらかと言うとコーラス等を活かしたYES風の優雅な叙情性や技巧が光るフォーキーでアコースティックな静けさ薫る繊細な“引き”パートの美しさが耳を惹き、前作よりもシャープなフュージョン風味が抑えられ、所謂一般的なプログレ系シンフォ度が上がった(フルートの涼やかな音色とピアノの艶やかで美しい調べは、ホント絶品ですわぁ♪)事もあってか、以前よりもバランスを重視しつつメリハリが一層に強く感じられる、極めて高度な技巧と緻密な構成の楽曲に彩られた硬質なモダン・シンフォ作と言えよう。

初期からのKING CRIMSON、GENTLE GIANT、EL&P、U.K.、PFM、JETHRO TULL等の影響を感じさせるパートもありつつ、前々作で披露したちょっとRUSHの Geddy Leeっぽい穏やかな低音ヴォーカル(ぶっちゃけ歌唱スキルはオマケ程度だが…)が音楽を邪魔しない程度に歌詞を歌い上げ、リリカルなフルートとピアノやアコギが紡ぐフォーキーで牧歌的な雰囲気の軽やかで穏やかなサウンドと、不意に斬り込んでくるヘヴィでソリッドな疾走感を押し出した畳みかける怒濤のパートは相変わらずの暴走っぷりでパワーとテクニックが炸裂し、せめぎ合う様は正に圧巻なもののしっかりと楽曲がメロディアスに纏め上げられているのは、やはり Andy Didorenkoのバックボーンがロシアン人であり、クラシック畑での活動もそうだろうが、所謂70年代のプログレの巨人達のサウンドが血肉になってきた結果だろう。

後はやはり専任プレイヤーが加入したのはデカイでしょうね。
特にキーボードが本作では全編に渡って大活躍しており、以前のようなヴァイオリンのヒステリックなサウンドばかりがグイグイと楽曲を引っ張っていくような事はなくなりましたから。

これまでややもすると存在感の薄かったリズム・セクションが本作ではしっかりソリッドなボトムを構築し、刺激的で複雑なセクションを垣間見せてはその存在を強く自己主張したり、ギターやキーボード、そしてヴァイオリンのメロディを奏でるパートと一体となって畳みかけ、そして優美なサウンドを奏でる変幻自な様は、正にこまでの彼等の作品中で最高の出来と言える会心作と言えるのだが、インストパートが充実すればする程に、リーダー Andy Didorenkoの貧弱で音域の狭い、イマイチ情感を伝え切れていない淡泊でスキル不足なヴォーカルが覆いようもない弱点として大きくサウンドから浮かび上がってしまい、次なる新作では是非とも専任ヴォーカリストを迎え入れて完全無欠な傑作アルバムを創って欲しいものだと願わずにおれません…(つд`)

暴れ回るハイテンションなヴァイオリンの調べと絡まる重厚にして叙情感タップリなシンフォサウンドがお好みの方は、買わずに済ます訳にはいかない必聴盤でありますよ! m9(`Д´)


by malilion | 2019-04-19 16:43 | 音楽 | Trackback

パンク到来前夜の古き良きUKハードプログバンドTIMEの唯一作が国内初となるCDリイシュー!

c0072376_20295790.jpgTIME 「Same」'75

12年にPROG TEMPLEなる海外レーベルから一度リマスターでCD化されリリースされていた事(ブートレッグの類いは数知れず)のある知る人ぞ知る4人組英国プログレ作が、最新デジタルリマスターと紙ジャケ、そしてSHM-CD仕様になって国内初リリースされたので、そそくさとGET!

本作はSPONTANEOUS COMBUSTIONのMargetts兄弟が新たに結成したUKプログレ・バンドで、当時ENIDのファースト等をリリースしていたBUKから75年に発売された唯一作となっており、本リイシュー盤には再発モノに定番なボートラや未発音源等は追加収録されていない。

マイナー・プログレ系ファンからすると本バンドのメンツで注目なのは、後に幻のUKプログバンドENGLANDへ参加する Joe Dolly(Ds)が在籍していた事だろうか?

プロデュースはKRAFTWERK等の仕事で知られるドイツ人 Conny Plankに手によるもので、他にもプログレ寄りHRを展開するドイツHRバンドLUCIFER'S FRIENDや今や大物なSCORPIONSのデビュー作も手がけていた人物なだけあって、YES(特にベースが)やRUSHを引き合いに出されて語られる事の多い、万華鏡のように複雑にメロディアスに展開するテクニカルでハードな彼等のデビュー・サウンドを見事に捉えている。

12年リマスター作と聞き比べてみたが、既に当時にしてかなりクリアなサウンドに仕上げられていたし、7年ぶりのリイシューとは言え本盤で劇的に音が変化(そもそもオリジナルが隙間を活かした比較的シンプルなサウンド創りなのでリマスター効果にも限界がある…)している訳ではないので、12年PROG TEMPLE盤をお持ちの方は無理して購入(まさかの同一デジタルリマスター音源? それくらい変化無…って思ったら、音の抜けが向上してた)しなくてもいいかもしれない。

久しぶりに本作に耳を傾けてみたが、ビード系バンドのようなリフが散りばめられたハードドライヴィンに疾走するHRサウンドにシンフォニック系の華やかなキーボードが絡み、プログレ的テンポチェンジの怒濤の連続とテクニカルで一筋縄ではいかぬ複雑な展開がサウンドの立体感と重厚感を演出しつつ、それらの巧妙なプレイヤースキルを披露する楽曲は、ポップなコーラスやYESばりなハイトーンのメインヴォーカルがしっかりフィーチャーされコンパクトに纏め上げられた歌モノ的な感触でサラリと聞けてしまえるキャッチーさも兼ね添えているハイスペックなサウンドで、今聞いても驚かされる箇所が多々あるのが凄い。

パンクの脅威(76年からなんだよなぁ…)が到来しなければ、間違いなく次作でさらなる高みへ駆け上っただろう有望な新人バンドだっただけに、時代が悪かったとは言えこれ一作しか残せなかったのが残念で仕方が無い(つд`)

リヴァーブの深くかかった癖の強いギターソロやYESチックなリズム展開はビート系っぽかったり、ビブラフォンとアコースティックギターのデュエットはエレガントなプログレっぽく、GENTLE GIANTっぽいコーラスやSquire張りな図太くワイルドなベース、EL&PやYESのようなめくるめくシンセサイザーのソロ、そしてKING CRIMSON的なヘヴィーなギター展開等、多くの先輩UKプログバンド達のサウンドピースが垣間見えるものの決してフォロワーではなく、独自のサウンドを確立しつつあるバンドであった事は間違いなく、活動期間も短いマイナーバンドのアルバムなれどこうして幾度もリイシューされているのは、本作が魅力的な作品である事の証明と言えるだろう。

ENGLANDファンは勿論のこと、パンク到来以前の古き良きUKハードプログ作がお好きな方ならチェックしておいて損はない好盤なので、ご興味あるようでしたら是非に!



by malilion | 2019-04-05 20:20 | 音楽 | Trackback

日本が誇るHMバンドANTHEMの、待望の全編英語による再録BESTがリリース!!

c0072376_18191238.jpgANTHEM 「Nucleus」'19

日本を代表する正統派HMバンドANTHEMがドイツを拠点とするHMレーベ『Nuclear Blast』と正式契約し、遂に世界進出盤をリリース!

リリース第一弾となるのは全曲英詞による新録BESTアルバムで、ミックスとマスタリングをスウェーデンの名プロデューサー兼エンジニアの Jens Bogrenが担当し、数多くのバンドとの仕事振りで発揮されてきた彼ならではのファットな重低音を効かせた図太く逞しいサウンドによってANTHEMの宝玉の楽曲を磨き上げ、ANTHEMサウンドは元よりワールドワイドクラス、世界水準においてもトップクラスの存在だと証明する見事な作品に仕上げている(*´ω` *)

ANTHEMのアルバムのプロデュースと言うと真っ先に思い浮かぶのが今は亡き Chris Tsangaridesだが、その他にもRoy Z等の手によるプロデュースが施されたアルバムのサウンドと比べてみても Jens Bogrenの緻密な仕事ぶりはそれらを上回る素晴らしさで、正に『現代世界基準』の硬質でキレ味鋭いMサウンドに仕上がっていて、文句無しにANTHEMファンにお薦めな一枚と言えよう。

いや~、ホント感無量ですね。遂にあのANTHEMがワールドワイドにデビュー(ヨーロッパ圏は『Nuclear Blast』北米、オーストラリア、ニュージーランドは『Golden Robot Records』日本、アジア圏は『Ward Records』)を果たしたんですから! ホント、長かった…(ツд`)

演奏も歌も、楽曲も、全てが最高なのが分かっている本作に置いて、最大の注目点である森川による英語ヴォーカルパートだが、全曲英詞ながら元曲の歌メロを損なう事なく、似た語感の言葉をチョイスして英詞化されているのでオリジナルの歌メロと違和感なく聞く事が出来き、世界進出盤では旧来の歌メロを多少変えて楽曲アレンジも変えてくるかな? と予想していたらそんな事は一切無く、元々の完成度が高かった楽曲をさらに磨き上げた、という手堅くも安心な古くから彼等を応援しているファンにもニッコリな出来だ。

また、収録された13曲のうち『Venom Strike』を除く12曲が01年に再結成して以降の楽曲で固められており、懐メロじみた過去の代表曲に頼る事ない現在を生きる“現役バンド”であるという自負や、再結成以降常に“常に前進する現在進行形のANTHEM”を証明し続けてきたリーダー柴田サタンの主張を強く実感出来て、今回の再録BEST盤の選曲も当然の結果と頷ける。

でも第二弾では、昔のブリティッシュHRの臭いプンプンな超絶名曲の数々を今風にアレンジしたリメイクとかも聴いてみたかったりするんで、その辺も柴田サタン様お願いしますデス(゚∀゚)♪

海外での本作の評価を見ると、ANTHEMはクラシックスタイルなHMをメインでプレイし、古典的ながら強力にメロディアスな楽曲に、多様だが常にパワフルなリズム・パッセージを効果的にMIXして表現しており、ある瞬間は疾走感あるメロディックHR、またある時は繊細なメロディが光るネオ・クラHM、そしてタフでダーティな近代的パワーメタル・サウンドが交差する楽曲のレベルは非常に高く、35年間HMをプレイし続けて来た経験がしっかりと活かされている、等の評価を得ており、かなり好意的なのが窺え嬉しい事この上ない!('(゚∀゚∩

森川のヴォーカルは、予想通り Graham Bonnetっぽいという評価や、面白い所でDOKKENの Don Dokkenっぽい(!?)歌声だ、とかIRON MAIDENの Bruce Dickinsonっぽい歌声(!?)に聞こえる、とかいう謎な批評(笑)もあって、海外の人にはそういう風に聞こえるのかと驚かされますね。

ダークで鈍色な轟音アングリー・サウンドでシーンが席巻されっぱなしだった反動でか、ユーロ圏では華やかでポップな80年代風サウンドの再評価の機運が高まりつつあるようですが、そうした最近のシーンの動きに融合した80年代当時の旧曲を再録したBEST盤を出すのではなく、比較的近年の曲中心に固めたBEST盤をリリースした柴田サタン率いるANTHEMに、現行の欧米マーケットへ殴り込みをかける硬派な男気と熱い意気込みをビンビン感じます(*´ω` *)

次なる活動はユーロ圏でのLIVE活動になる模様なので、ファンは勿論のことメロディアスHMファンもANTHEMの動向に刮目して注意せよ! m9(`Д´)




by malilion | 2019-03-31 18:13 | 音楽 | Trackback

イタリアン古典シンフォ派なIL CASTELLO DI ATLANTEが発売25年記念盤としてデビュー作をリ・レコーデイングしてリリース!

c0072376_20582938.jpgIL CASTELLO DI ATLANTE 「Siamo Noi I Signori Delle Terre A Nord」'19

大昔からお気に入りのイタリア・インディレーベル VINYL MAGIC New Prog'90から、70年代から活動していたにも関わらず92年にようやくデビューを果たした、ヴァイオリンをフィーチャーした6人組イタリア産シンフォニック・ツインキーボード・バンドの、3年ぶり7枚目(LIVE2枚含むと9枚目)となるオリジナル・スタジオアルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

久しぶりの新作は、92年のデビュー作『Sono Io Il Signore Delle Terre A Nord』のリリース25周年記念として現在のメンバーで新録されたニュー・レコーディング・ヴァージョンで、収録曲を曲順にニュー・アレンジで再録しているが、内1曲(オリジナル・アルバムでは7曲目『Estate』)のみカットし、代わりにボーナストラックとして新曲を1曲を収録しており、オリジナル・アルバムを持っている方も無視出来無い内容となっている。

デビュー当時はヴァイオリニストをメンバーに含む5人組で、ドラマーがキーボードも演奏する変則的なツインキーボード体制だったが、現在はちゃんとキーボーディスト2人、ヴァイオリニストも擁する6人組体制となっており、既にオリジナルメンバーは Aldo Bergamini(Guitar、Vocals)と Dino Fiore(Bass)、そして Paolo Ferrarotti(Keyboards、Vocals、Drums)のみとなっているのでメンツの半分が違う編成でデビュー作を単にリメイクするだけでも雰囲気が違ってくるのは簡単に予想出来る訳だが、初めて彼等のアルバムを聴いた時、小雨の情景が浮かぶシットリした情緒が香るものの70年代プログレの影響から抜けきれぬマイナー・バンド特有なイマイチ垢抜けないサウンドなれど、妙に心に残る儚くも美しい繊細なメロディを聞かせてくれたのを今も良く覚えており、そんなウェットで穏やか、そして柔和なサウンドだった印象がどのように変化したのか、に注目しつつアルバムの音に耳を傾けてみました(*´ω` *)

25年の時間の経過によって当然、メンバーのテクニックやミュージシャンとしての質、そして録音技術も向上しているのでオリジナル盤よりクリアで密度の高く艶やかな輝きあるサウンドに仕上げられているのは無論の事、PFMやQUELLA VECCHIA LOCANDAに近い、流麗でドラマチックなイタリアン・シンフォの伝統をアナログキーボードを多用して表現する事に拘りを持つバンドらしい、クラシカルなヴァイオリンや軽やかなピアノの音色をアクセントに華やかでメロディアスなアコースティック・アンサンブルを組み合わせ、リリカルな美しいメロディやナチュラルな楽器の響きに70年代古典イタリアン・プログレ直系バンドならではの気品が色濃く漂い、さらにデビュー当時の90年代ネオ・プログレ・バンド達からの影響(ポンプチックなシンセが堪ら~ん♪)もうっすら感じ取れる点が、今の耳で聞くと古臭いのに新しい要素が混ざり合ってサウンドに面白い効果を生み、絶妙にして繊細な陰影を楽曲に浮き立たせているのがなんとも新鮮に思えてしまう。

ただ、オリジナル盤にあったギターによる爽やか系のラテン・ポップスやフォークなどの要素も感じさせるシンフォニック・ロック、といった軽目のサウンドな印象はすっかり本リメイク盤では払拭されて、イタ公ならではの暑苦しさがサウンドにかなり濃厚に漂っているので、オリジナル盤にあった小雨の情景が浮かぶシットリした情緒が香る、といった濃厚プログレサウンドが専売特許なイタリアン・バンドらしからぬ弱々しく繊細なイメージはかなり後退しているのがちょっと残念ではありますが、デビュー当時のマイナーB級イタリアン・シンフォバンドまんまといった脆弱なイメージのサウンドより、本作のしっかりプロダクションされ磨き上げられた艶やかで深みある響きのサウンドな方が、同じインディ作と言えどより大衆受けする音なのは間違いなく、コレはコレで彼等の進歩を体現するサウンドなので、後はリスナーの好みの問題と言えましょう。

あれこれ妄想しても無駄なのは百も承知ながら、デビュー当時はインディリリースだった事もあって劣悪なサウンド(特にボトムが…)でこじんまりした音のアルバムであった訳だが、本作での美しく艶やかなヴァイオリンや軽やかなピアノ、そしてアコギの木訥ながらシンプルな響きが絡み合い、芳醇な香りを放つワインのように様々な味わいを放って拡がっていく調べの数々を聞くに、デビュー当時ちゃんとしたメジャーレーベルのバックアップや資金的援助が有ったならば、間違いなく『90年代初頭に蘇った70年代古典イタリアン・プログレ直系バンド!』とか『QUELLA VECCHIA LOCANDAの後継バンド現る!』みたいに、もっとシーンにその名を華々しく轟かせていたのだろうに『惜しい!』と勝手に悔しがってしまうくらいこの発売25周年記念盤の出来は良く、是非懐かしの70年代イタリアン・プログレ好きな方や古典イタリアン・シンフォサウンドがお好みの方々には一度本作をチェックしてみて欲しいですね。



by malilion | 2019-03-28 20:52 | 音楽 | Trackback

USAアホメタルのZEBRAHEADがレーベル移籍後、初アルバムをリリース!!

c0072376_20394744.jpgZEBRAHEAD 「Brain Invaders」'19

脳天気お馬鹿キャラ丸出しで世界に野郎共の合唱と笑顔を撒き散らしハイ・エナジーにロックしまくるUSA産ミクスチャー・パーティー・ロックバンド ZEBRAHEADが、なんとエイベックス(!?)へ移籍し、3年5ヶ月ぶり通算9枚目のオリジナル・アルバムを世界に先駆け日本先行リリースしたのを、ちょい遅れてGET!

サウンドは相変わらずの、ポップでキャッチーなフック満載の弾けるハードドライヴィンなメタリック・サウンドと歯切れ良いパンク・ロック・グルーヴが交差し、ツイン・ヴォーカルが熱く、五月蠅く、鬱陶しいくらい脳天気(w)に、高らかにパーティー・ロックを煽り立て、バンドも負けじとラウドにスピーディーにサウンドを鳴り響かせている(*´ω` *)

エロくてお馬鹿なキャラを陽気に演じ、ストレートに熱い歌詞を熱唱するのはいつもの事なのだが、今回はいつになく“友情”“仲間”を意識したメッセージ・ソングっぽい曲が目立つのですが、これが今回のアルバム・コンセプトなのかな? まぁ、スピーカーから飛び出してくる陽気なカルフォルニアン・アホメタル(褒め言葉)に些かの翳りもブレも無いのでファンは安心して即買いなのデス♪

元より常々日本がお気に入りな事を語ってきた彼等だが、今回はレーベル移籍した事もあってか日本限定ボーナス・トラックとして、E-girlsが12年にリリースしたシングル『Follow Me』を英語歌詞ではなく、なんと日本語でカバー(!?)してくれるサービスっぷりには脱帽だ! ('(゚∀゚∩

しかし、アルバムに貼り付けてある宣伝ステッカーの文句が『聴くな、感じろ!』ってwwww

『どこのブルース・リーだよ!』って、突っ込む事請け合いなんだけど、彼等のエネルギッシュでエキサイトな心躍るサウンドをバッチリ言い表してるナイスな宣伝文句だと思いました(w

311程ヒップでモダンサウンドへ傾倒してない彼等のサウンドが個人的に嬉しいのですが、本作は前作よりちょいハードでヘヴィ目でドライなサウンドなのと、ファンキーでダンサンブルな楽曲にデジタリー処理された打ち込みやループサウンドを挿入するのはいつもの定番ながら、ちょっとダークでメロゥなフレーズが裏で鳴っているパートがあったり、ブラスを大々的に導入した楽曲があったりと、前作でのオリエンタルな雰囲気を導入した楽曲といい、同じ事の繰り返しではない音楽性の幅を拡げる試みを絶えず行っている模様で、バンドが健全な証拠だと安心しております。

聴いてる最中、ちょっとシリアス風な出だしの楽曲に驚かされたりして、でも結局はニヤニヤしっぱなしの、駆け抜ける怒濤のパーティー・ロックサウンドへ雪崩れ込んでいくっていう、う~ん、ホント最高デッス♪

やっぱ、ZEBRAHEADは小難しい理屈抜きに楽しくてイイなぁ~♪(゚∀゚)




by malilion | 2019-03-27 20:33 | 音楽 | Trackback

闇鍋チートスパーティ再び! スペイン産ミクスチャー系プログ・ポップバンドCHEETO'S MAGAZINEが3rdアルバムをリリース!

c0072376_10360822.jpgCHEETO'S MAGAZINE 「Amazingous」'19

スペインはバルセロナのツインキーボード5人組ミクスチャー系プログ・ポップバンド Cheeto's Magazineが前作『Tasty Old Snacks』から2年ぶりとなる新譜をリリースしたのでご紹介。

デビュー作から一貫してふざけたポップ感満載なジャケットデザインな彼等だが、本作もその美麗にしてポップ、そしてキャッチーでドメロディアスな爽快感炸裂ポップサウンドなのが一切伺い知れない酷いセンス全開なジャケットデザインなのは変わりない…っていうか、いいんかソレで(汗

まぁ、メンバーフォトでゴレンジャーかファイアーバレーかってな五色の色鮮やかなピッチリスーツにメンバーが身を包んだニヤケ顔を晒してる時点で、真面目に何かを語るのは意味を成さないと悟るんだけど(w

デビュー当時から音楽的な方向性は一切変化なく、ドポップでキャッチーな美麗コーラスと分厚いハーモニー・ヴォーカルでサビをポップスバンドのように高らかに歌い上げ、フック満載な楽曲の後ろでテクニカルなプレイをサラリと見せつつ、プログレ的なシンフォニックなキーボードと軽やかで煌びやかなシンセが弾けるように飛び交い、そこへ不意打ちのようにメタリックなギターやヘヴィなリフで畳みかけ、意表を突くようにふざけたSEやディストーションサウンドで動物の鳴き声を再現したりと、度肝を抜かれて戸惑うリスナーを嘲笑うかのように爽快さだけを残して駆け抜けていく闇鍋スタイルのままだ(*´ω` *)

当初、フェバリット・バンドは QUEEN、SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTIC、DREAM THEATER、IT BITES、KINO、FROST*等の名前を挙げていたが、既にそういったバンド群からの模倣というよりは、完全に音楽要素をピースごとにバラバラに分解し、再びそれらをミキサーにブチ込んで混ぜ合わせた後に、極上のポップセンスをまぶしてデッチ上げた胡散臭い人工甘味料のような妖しいケミカルな甘さが漂う一癖も二癖もある超個性的なサウンドがホント堪りません♪

SWEET的な人工感アリアリな分厚いコーラスと畳みかけるロック的な疾走感が炸裂したかと思えば、いきなり叙情的でウェットなメロディが飛び出してきたり、シットリ荘厳で重厚な宗教音楽的なシンフォニックなサウンドが殴り込んで来たかと思えば、DAFT PUNKばりなデジタリーでダンサンブルなサウンドでおちょくったり、と本当にやりたい放題で、流行や音楽のカテゴライズを嘲笑うかのように楽しそうにプレイしてるメンバー達の顔が透け見えて実に痛快だ。

これだけやりたい放題してサウンドが破綻していないのを見てもバンドメンバーはかなりの実力派なのが窺えるが、決して小難しいテクニカルなプレイをこれ見よがしにひけらかしたりせず、あくまで楽しく朗らか(前作ではGREEN DAYのカヴァーを披露してたしなぁ)爽快なポップサウンドに聞こえるように仕上げているのがホントに素晴らしいと思うのです。

スペイン産と言う事でパッション漲る情熱的なサウンド要素はほぼ無いのでソレ系を求める方には向かないが、おちゃらけた仮面の奥に息づくモダンでインテリジェンス溢れる構成力とテクニカルながらもメロディアスでキャッチーな曲想やGENTLE GIANTかSPOCK'S BEARDかと言った複雑なコーラスが織りなすヒネくれたバンドサウンドの完成度はインディ離れしていて、その無節操なポップ感覚のままに強引にテクニカルなグロプレチック・サウンドへ雪崩れ込み、陽気に駆け抜ける悪ノリな様は実にラテン的な開放感に満ちあふれている。

ユーロ系グロプレに共通する薫り立つような優雅さや美しいリリシズム、そしてスタイリッシュさは皆無なれど、旧態依然としたプログレ・サウンドのエミュレートを完全に放棄し、デジタリーなトリックや、爽快なドポップスや男臭さ満載のパワフルでヘヴィなHM、そしてダンサブルなエレクトロ・チューンやニューウェイヴ・パンクにまで接近し、様々な音楽要素をモザイク画のように交差させて美麗なサウンドを織り成していく様は、まるでYESがドーピングしてラテンパッションの熱に犯され、一夜の過ち的に乱れまくったかのようなイメージだ(w

最後に収録されている、長尺25分越えの如何にもシンフォニックさが香る楽曲を、美声の女性コーラスをフィーチャーしつつ、テクニカルに、ポップに、メタリックに、デジタリーに、ボーダーレスに多種多様な音楽要素を飛び交わせて壮大にプレイする様こそ、正に彼等の真骨頂だ。

デビュー当時から一貫してボーダーレスなミクスチャー具合の心意気と屈折しまくったユーモア感が面白い、飽くなき野心的挑戦を続ける、正に現代的プログレスを体現しえるバンドの一つと言えよう。

定番のグロプレモノに飽きた古参ユーザー程このバンドのゴッタ煮&闇鍋感覚と好き放題やらかすサウンドの面白さにすぐ気づくでしょうから、御興味あるようでしたらチェックしてね! m9(`Д´)



by malilion | 2019-03-26 10:29 | 音楽 | Trackback

ネオ・プログレ系+80年代USプログハード系サウンド=ワンマン・シンフォ・プロジェクトNOT OTHERWISE SPECIFIEDが新譜をリリース!

c0072376_16533334.jpgNOT OTHERWISE SPECIFIED 「Deadweight」'19

08年から活動を開始し、11年5月にデビューアルバムをリリースしてからこれまでにアルバム一枚とシングル一枚(GENESISの『Dance On A Volcano』のカバー)をリリースしている Craig Kerley率いるUSA産シンフォ・バンドの自主制作3rdがリリースされたのでご紹介。

ヴォーカル、ギター、キーボード、ベースをプレイするマルチ・ミュージシャン Craig Kerleyを中心に多数のゲストを迎え制作するワンマンバンド体制に変化はなく、デビュー作から前作までギタリスト Jason Rowlandがヘルプで参加していたがその名は本作には見当たらず、複数のベーシスト、複数のドラマー、そして新たなギタリストをゲストに迎え本作は制作されている。

所謂ネオ・プログレ系サウンドとKANSAS等の80年代USプログハード系サウンドをMIXし、今風にモダンにアップデートしたサウンドを提示する Craig Kerleyではあるが、『他に分類されない』『他に特定されない』という意味の『NOS(not otherwise specified)』という大仰で孤高感タップリな中二病臭いバンド名とは裏腹に、DREAM THEATER、GENESIS、PINK FLOYD、SPOCK'S BEARD等のバンドの影響がそこかしこで見え隠れしており、やはり1人バンドだとどうしてもその手の露骨に影響を受けたバンド群のサウンドカラーが透け見える弊害は拭い切れていない。

とは言え、1人シンフォ・プロジェクトにしてはかなりバンドっぽいサウンドなのは確かで、大仰なネオプログレ風キーボードが活躍するのを始め、プログレやポンプ定番のヘタウマ・ヴォーカルではないしっかりハイトーンもカヴァーする歌唱力は自主制作盤としては、もう少し頑張れば極上のB級シンフォ・サウンドへ手が掛かる程のハイクオリティな出来なのは間違いないだろう。

ただ、USA産にしてはかなりメロディに哀愁が漂う所謂ユーロ系シンフォ指向サウンド(デビュー作当時を思えばかなりメタリックさは減退している)だが、やはりどうしても1人多重宅録な弊害かサウンドのスケールがこじんまりしているのと、サウンド全般がドライで硬く、ナチュラルな響きや、薫り立つような艶やかさは少ないのが難点と言えば難点か。

テクニカルなプレイをしっかりフィーチャーしつつ、5、6分台にコンパクトに纏め上げられた楽曲や、短いながらもSE等をイントロに使って壮大なスケール感を演出しようとしている努力は分かるし、全体的にユーロ系指向なサウンドっぽいのに、USA産特有なエネルギッシュな鍵盤弾き倒しプレイや、ヘヴィでエモーショナルなギタープレイを織り交ぜたサウンド、そして Craig Kerleyの熱唱を聞くまでも無く、どうにもパワフルでハードなサウンドの側面が勝っているのと“圧し”が強い為に“引き”が生み出す叙情感やドラマチックな楽曲展開等が弱く、アルバム全体を通して聞くとまだまだ今一つな仕上がりに思え、そういった点は少々残念だ。

Craig Kerleyのミドルレンジ主体な歌声は声質を含めて悪くないパフォーマンスだし、楽器のプレイも全て平均点以上なので、是非とも固定メンツを迎えてちゃんとしたバンド体制で次なるアルバムは制作して欲しいものであります。



by malilion | 2019-03-20 16:47 | 音楽 | Trackback

オランダが誇るメロハー界の救世主TERRA NOVAの7thアルバムをご紹介。


c0072376_21290065.jpgTERRA NOVA 「Raise Your Voice」'18

Fred Hendrix(Vo)とRon Hendrix(Key)の兄弟率いるオランダ産メロハー・バンドの至宝、TERRA NOVAの約3年ぶりとなる通算7枚目のニュー・アルバムが去年末にリリースされたのを、ちょい遅れ今頃GET!

前作が巷では不評だった模様ですが、個人的にはAOR要素多目な味付けの楽曲に不満はなく、トラック目一杯に音を詰め込んだ軽快でスピーディでキャッチーなガッツリ造り込まれた系メロハー好きな諸兄達の失望を買っただけだったと思っとります。

で、続く本作はどうなのかと言うと、大まかに言って前作のAOR風味増し増しから初期のキンキン・メロハーっぽい作風へ一聴して戻っているように聞こえ、これはこれでデビュー当時から彼等を応援している日本人好みな哀愁の美旋律と爽快なコーラスが炸裂するキャッチーでハード・ポップなサウンド好きな方達を満足させる方向性と言えるでしょう。

ただ、以前と全く同じ、と言うわけではないようで、個人的にはちょっとそこに違和感のようなものを感じるんですよね…

前作の悪くない出来のアルバムのサウンドを聞いて、何故Frontiers Recordsが彼等と契約を見送ったのか疑問だったのですが、前作に引き続きMelodic Rock Recordsからリリースされた本作を聞いて、その理由が少し見えてきたように思えます。

のっけからSCORPIONSっぽいシンプルなリフで始まる『Raise Your Voice』にちょっと驚かされるが、その後はいつもの定番な分厚い爽快コーラスとメロディアスでキャッチーな歌メロが炸裂し、ファンならずとも一安心と言ったところ。

ただ、アルバムを聞き進めるうちに感じる、なんと言うかワイルドさ増し増しなギターのトーンのせいなのか、歌メロのせいなのか、バッキングコーラスの導入のされかた故か、楽曲全体がシンプルでストレートなイメージで、以前のようなユーロ・メロハー特有のウェットで一癖も二癖もある素晴らしい楽曲展開と際だった美しいメロディの交差が生み出すマジックのような感動が感じられない、全体がドライなサウンドに纏め上げられているのに気づき、そこが少々残念ではあります。

上手く言い表せないけれど、Frontiers Records所属時までの楽曲が上質なワインのように熟成された豊かなメロディを感じられたとしたら、今回の楽曲は熟成不足な感が否めないかな、と……

それ以外にも、FOREIGNERっぽいメロディの楽曲や、VAN HALENっぽい豪快さを感じさせる楽曲、そしてDEEP PURPLEっぽい雰囲気のある楽曲等々、80年代っぽい雰囲気が本作のそこここから感じ取れ(ちょっと古いサンプルなシンセのせい?)て、キンキンのハイトーンが炸裂する緻密に造り込まれた00年代爽快メロハー・スタイルから、どこかナチュラルなサウンドの響きを感じさせるシンプルでストレートなアメリカンHR要素多目なスタイルへ楽曲の色づけが成されている風に思えるのが違和感の原因なのかもしれない。

強引に言うと、Frontiers Records所属時までユーロ・メロハーな00年代風の方向性なウェット・サウンドだったのが、Melodic Rock Records所属になってからアメリカンな80年代風の方向性なドライ・サウンドへ移行したイメージ、と言えば伝わりますでしょうか?

勿論、そんな単純にサウンドがコロっと変わった訳ではなく、以前からUSロック風味もありましたしAOR風味も感じられた彼等のサウンドですが、本作におけるユーロテイストの減退、そして代わりに手に入れた歯切れ良さとストレートな楽曲のパワフルな躍動感は絶対に意図的だと思うのです。

総じて日本人受けするメロハー・サウンドなのは間違いないのですが、ちょっとした楽曲の色づけや方向性の違いが個人的に少々以前との差を感じて違和感を覚える、と言うだけで、コレはコレで全く問題なく受け入れられる爽快キャッチーサウンドなので良いんですけどね…

これまでのユーロ・メロハーサウンドに加え、JOURNEY、VAN HALEN、STYX、そしてCHICAGOなんかの要素までがチラチラ見え隠れするUS市場向けな本作のサウンドは、以前の造り込まれたメロハー・サウンドがお好みの方には少々ナチュラルでストレートな響きが先行して聞こえてご不満かもしれませんが、コレはコレで決して不味い出来ではないと思いますので、是非に前作で彼等に失望した方も今一度チェックしてみて損はないと思いますよ?

因みに日本盤と外盤ではボーナストラックと若干ジャケが違うので、音源マニアの方は輸入盤も見逃すこと無くチェックしましょう。


by malilion | 2019-03-12 10:03 | 音楽 | Trackback