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カテゴリ:音楽( 880 )

80年代後期に活動したクリスチャンHMバンドANGELICAが久しぶりに新譜をリリース!!

80年代後期に活動したクリスチャンHMバンドANGELICAが久しぶりに新譜をリリース!!_c0072376_13430074.jpgANGELICA 「Without Words」'19

カナダ出身のギタリスト Dennis Cameronが87年に結成、80年代後期から90年代初頭にかけてアメリカ・シーンで活躍し、アルバム4枚をリリースしたクリスチャンHMバンドANGELICAの約27年ぶりとなる新譜、5thアルバムがリリースされたのでGET!

去年、1st、2ndのデジタルリマスターでのリイシューに合わせてデビュー前のデモ音源をオフィシャル・リリースしてファンを歓喜させた Dennis Cameronですが、予告していた通り夏の終わりにデジタル先行でリリースしていた新作が現物でやっと入手可能になりました。

ただ、せっかくの久しぶりの新作なのですが、残念ながら名義がANGELICAなだけでほぼ Dennis Cameronが独力で創り上げたタイトル通りなインストゥルメンタル・アルバムなので、以前のメロハー・サウンドを期待している方には少々肩すかしな内容となっております……

クリスチャンHMバンドの、そのギタリストのソロ作と言えるアルバムなので購入前は下手をするとスーパーマーケットのBGM(汗)に成り下がっているような穏やかで柔和な心地よさ重視で、知らない間にアルバムを聞き終えている最悪なパティーンのアルバムになるのでは、と危惧しておりましたが、意外や意外、予想以上にダークでヘヴィなテイストもあるザクザクしたリフ圧しのトリッキーなプレイが切り込んで来る楽曲がしょっぱなから飛び出してきて安心させられました。

この辺りのダークなテイストは悲しいかな90年代グランジーの波を経験しているUSプレイヤーにとって、今となっては当然なギタープレイなんでしょうねぇ…

後半カントリーっぽい楽曲やブルーズテイスト漂う楽曲だったりも飛び出してきて、如何にも陽気なアメリカン・サウンドなのにニンマリさせられます。この手のテイストやプレイはユーロ圏のミュージシャンでは敵いませんね、やっぱり(w

とまれ、相変わらずなハードでエッジあるテクニカルで流麗な早弾きプレイもしっかりフィーチャーしつつ、歌心あるメロディアスで爽快なプレイが全編に渡って披露されており、彼個人の技巧派ギタープレイのファンな方にとってはこれ以上ないくらい満足いく作品と言えるでしょう。

彼のキャリアや交友関係的に幾らでも歌の巧いクリスチャン・シンガーを招いて往年のANGELICA"らしい"アルバムを創る事は出来たのでしょうが、敢えてシンガーを招かず、彼自身のプレイのみで全てを語り表現する作風に挑んでいる点を見ても、以前とは違い自身のプレイに絶大な自信を持って本アルバムの制作に至ったのだと察せられます。

キーボードやドラムは殆ど打ち込みと思われますが、ベーシストとドラマーの二人がスペシャル・ゲストで招かれているので、打ち込みでは無機質に成り過ぎる箇所等でプレイを披露しているのかもしれません。

逆に言うと殆ど打ち込み臭さを感じさせない自然なフィーリングのサウンドだとも言え、この辺りは以前と違って近年のテクノロジーによる所が大きいのでしょうね。

個人的に Neil Peartの一件があっただけに、このアルバムに少し癒やされました…(つд`)

CCM系は独自のカテゴリーなのも影響してか、なかなか輸入盤が入って来ないしそもそもプレス数も少ないので、ともかくANGELICAファンなら迷わず買い! なアイテムなのは間違いありませんからり切れる前に早々に入手しておきましょう!

P.S.
それとCD裏面に明記されてたんですが、どうやら Dennis Cameronはフルタイムのプロミュージシャンとしての活動は断念し、現在は開業医(!?)となっている模様なので、今後ANGELICAの新譜はなかなかリリースされる事は無い、もしくは本作と同じようなインスト作で彼個人が満足出来るような作風になるのではないかと思われます…

まぁ、ミュージシャンとして成功出来なくても人生は続くんだし、彼は彼なりに次のステージへ進んだって事なんでしょうね。堅実に。





by malilion | 2020-01-19 13:37 | 音楽 | Trackback

RUSHのドラマー、Neil Peartが死去…


RUSHの頭脳にしてドラマーであった Neil Peartが1月7日、米カリフォルニア州サンタモニカにて死去した模様。

死因は脳腫瘍とのこと。

3年半にわたる闘病の末に亡くなった。享年67歳。R.I.P

RUSHはもうLIVE活動しないと近年発表していたが、腱鞘炎だけでなくこれが隠れた大きな原因だったのかも…orz

奥さんや娘さんで辛い思いをしつつ、それでも創作活動を再開してくれたNeil Peartに感謝だったのですが、やっとこれで彼も安らかになれたんだと思うしかありませんね……

今日はRUSHのアルバムを引っ張り出して夜通し聞き倒しますか…(T-T)



by malilion | 2020-01-16 12:49 | 音楽 | Trackback

新アメリカ人キーボーティストを迎え、劇的に生まれ変わった北欧シンフォ・バンドTHE FLOWER KINGSが新譜をリリース!

新アメリカ人キーボーティストを迎え、劇的に生まれ変わった北欧シンフォ・バンドTHE FLOWER KINGSが新譜をリリース!_c0072376_17594323.jpgTHE FLOWER KINGS 「Waiting For Miracles ~Limited 2CD Digipack~」'19

北欧スウェーデンの大御所プログレ・ギタリスト Roine Stolt率いるシンフォ・バンドが6年ぶりとなる新譜をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

去年 Roine Stoltはソロ名義のRoine Stolt's THE FLOWER KINGとしてアルバムをリリースしているので、バンド作としてそんなに間隔が開いていたのかと、今さらながら驚かされた方もいらっしゃるかも?

95年デビュー以来幾度もメンバーチェンジを行ってきたバンドだが、今回の大きなトピックとしては長らく Roine Stoltの盟友としてバンドに在籍し、サブリーダー的な立ち位置だった Tomas Bodin(Keyboards)が本作では脱退し、代わって新キーボーディストにUS産テクニカル・シンフォ・バンドAN ENDLESS SPORADICを率いる天才的作曲家にしてマルチ・プレイヤーの名手 Zach Kaminsを迎えた事だろう。

地味にドラマーも Felix Lehrmannから Mirko DeMaioへチェンジしているが、このバンドはリズム隊が昔から良く変わっているので、それは驚くには当たらないでしょう。

しかし、面白いのはRoine Stolt's THE FLOWER KINGにも Zach Kaminsはゲスト参加しており、その時の演奏が気に入って Roine Stoltが新たなキーボーディストに彼を招いたのではないだろうか?

まぁ、Tomas BodinをはじめTHE FLOWER KINGSのメンツ達と新たなバンドTHE SEA WITHINを立ち上げアルバムを既にリリースしているので、Roine Stoltとしてはバンドごとのサウンドの差異をハッキリさせる為にも、あえてメンツを変更したとも考えられますね。

実際、Tomas Bodinはデビュー作から長らくTHE FLOWER KINGSのキーボーディストの座に有り続けバンドサウンドのカラーを決めていた大きな要素であった訳だから、バンドサウンドが同一方向性のままで大きく分かり易い変化を付けるならリーダーでギタリストの Roine Stoltか、彼を代えるのが一番てっとり早いでしょうから。

活動歴が長いバンドがマンネリズムに陥るとやらかす、同一メンツのまま妙な新要素を追加してダンサンブルになったり、ダークでヘヴィなグランジーさを加味したり、妙にデジタリーなサウンドへ接近したりと今風要素を無理くり追加するような試行錯誤をされるくらいなら、主要メンツをチェンジしてバンドサウンドをリフレッシュしてくれた方がファンとしては安心…かなぁ?(汗

さて、その主要メンツをチェンジして初となるアルバムのサウンドは、お馴染みな70年代回帰型のレトロ風味なHR寄りのプログレッシヴ・ロックを現代風なモダン要素を加えブラッシュアップしたスケール大きいサウンドで、ソリッドでヘヴィなサウンドとシンフォニックな優美さと艶やかなサウンドを絶妙のバランスで交差させており、その上で何時ものようにヴォーカルと分厚いコーラスは歌心があって実にキャッチーで聞きやすく、北欧プログレお得意のビンテージ感漂う哀愁のメロディとエモーショナルながらも透明感あるギター・サウンドが終始耳を捉えて放さないのは同じなのだが、バンドサウンドが明らかに変わった事を示すのに十分な程に異なっているのが分かる。

Tomas Bodinも多彩な鍵盤楽器を操ってTHE FLOWER KINGSのサウンドを鮮やかに飾り立てていたが、本作の Zach Kaminsに至っては、メロトロンやハモンド、ムーグやシンセ、ローズ・ピアノ、ハーモニウムなどのヴィンテージ・キーボード類だけでなく、鉄琴やマリンバ、ギター、テルミン(!)、オーケストレーションに至るまで多種多様な楽器を操り、その的確でハイセンスなテクニカル・プレイと絶妙のアレンジで、幾分かマンネリズムに陥りかけていたTHE FLOWER KINGSのサウンドに新鮮な風を持ち込み、一気にバンドサウンドのレベルを一段引き上げ、さらにモダン化を加速させる事に成功していると言えよう。

若手プレイヤーの発奮が呼び水になったのか、Roine Stoltを始め他メンバーのプレイも切れ味鋭い渾身のプレイを披露しており、まるでデビュー作のような迸る熱くスリリングなプレイがそこら中から飛び出してきて、Zach Kaminsというアメリカ人プレイヤーがベテラン北欧バンドに与えた影響が如何に絶大だったのかを物語(メンバー・フォトのど真ん中に陣取ってるのが象徴的だw)っているようだ。

そんなベテラン・プレイヤー達に囲まれ Zach Kaminsは少しも臆する事なく、如何にもプログレ的なテクニカルなプレイやエモーショナルなプレイ、そして素早く派手なリックをダイナミックに繰り広げており、幾分かこれまでのアルバムよりサウンド全体の北欧的な透明感や叙情感は薄れた印象はあるものの、逆にこれまで余り感じられなかったムーディーでミステリアスな雰囲気や民族音楽的なテイストなどが持ち込まれるなど、THE FLOWER KINGSサウンドを再び輝かせた起爆剤が Zach Kaminsが操る鍵盤類サウンドであるのは間違いなく、キャリアあるシンフォ・バンドが新たなキーボーディストを迎えた事で、ここまで劇的に変化するものなのかと驚かされっぱなしな一作と言えるだろう。

そういった人事的なトピックを知らぬリスナーが本作に耳を傾けたとしても、その緻密に作り込まれたスリリングでメロディアスなギターと重厚で壮大なシンフォニック・アレンジが聞く者を魅了するエモーショナルでファンタジックなサウンド、そして圧倒的な演奏力と説得力ある歌声だけでリスナーを完全にバンドの音世界へ連れて行ってしまえる力量は、ベテランバンドの風格未だ衰えず、と言った所でしょう。

ポップスや古典的なロックソングも含む多様なプログレ要素がクロスオーバーされた幅広い音楽性とテクニカルでスリリングなプレイが飛び交う重厚にして壮大なサウンドの中にあって、フッと訪れるソフトなアコースティック・パートが織り成す“圧し”だけでない“引き”の美しい叙情感は、ユーロ圏バンドに特有な上に、キャリアあるバンドでなければ表現の難しい音数は少ないけれど胸に訴えかけるエモーショナルなサウンドという奴で、本作でもしっかりとその柔和なサウンドが、瞬間的にキラリと清涼な輝きを放つ様が実に美しいのです(*´ω` *)

毎度同じ方向性でちょっとマンネリだなぁ、と彼等のサウンドに飽きてしまった旧来のファンの方々や、スリリングでモダンな上にキャッチーで安定感抜群という北欧シンフォ・サウンドがお好みな方なら、是非本作をチェックして見て下さい。



by malilion | 2020-01-03 17:54 | 音楽 | Trackback

YES+EL&P+GENESIS÷3×アメリカンな初期USプログバンドLIFTがデジタルリマスターでリイシュー!


YES+EL&P+GENESIS÷3×アメリカンな初期USプログバンドLIFTがデジタルリマスターでリイシュー!_c0072376_23512998.jpgLIFT 「Caverns Of Your Brain ~Expanded Edition~」'76

74年に録音して500枚限定でリリースしたものの何の反応も得られず、その後77年にメンバーの知らぬ間に勝手にLPリリース(ブート)までされてしまった、だけどそのお陰でその存在が知れ渡ったドマイナーな5人組アメリカン・プログレバンドのリマスター&ボートラ追加盤がリリースされたのでご紹介。

それまでにもブートレッグ音源は何度かリリースされて来た模様だが、90年に一度オフィシャルCDリリースされて国内盤も発売されており、本作の半分の南部(Topekaは中部寄りだけど…)時代の音源(KANSAS州の州都Topekaで結成され、録音された初期音源)を耳にされたプログレ・マニアな方も多い事だろう。

今回は後に本拠を東部GEORGIA州のAtlantaへ移し、大きくメンバーチェンジをした後に制作された76年以降の音源を追加し01年に『The Moment Of Hearing』なるアルバムタイトルで再びリイシューされた音源を、『Caverns Of Your Brain』のオリジナルアートとタイトル、そして紙ジャケ仕様でリマスター再発したものとなっている。

さて、本作のサウンドだが、既に方々で語られているように、初期YES、EL&P、そしてGENESISを足して3で割って倍速のハイテンションでプレイしたようなサウンド、という説明通りの、如何にもアメリカン・バンドというイメージ通りな豪快さとテクニカルに畳みかけるパワーとスピードが前半の音源では漲っており、その異様なテンションはHRバンドにも決して引けを取らない激しさだ!('(゚∀゚∩

プログレの代名詞的楽器メロトロンをフィーチャーしながら、ハモンド、ムーグ・シンセなど多彩な鍵盤楽器が所狭しと駆け回り、疾走するリッケンバッカーの図太いベース・サウンドと手数の多過ぎるドラムがせわしなく変拍子を刻み、時折歪んだスリリングなギターが切り込んでくる、バックのサウンドのレベルと比べると幾分スキル足らずなC級な力量のヴォーカリスト(フルート奏者も兼ねている)がメロディアスな歌メロを歌い上げている前半部分は、如何にも70年代末期の混沌としたUSプログレという、情熱のウネリと若さ故の歯止め無きパワーを感じるテクニカルな演奏でけたたましく攻め立てており実に爽快なのです(*´ω` *)

70年代UKプログレ・バンド群からの影響が絶大なサウンドなれど、フルート奏者がメンバーに居る事と、UKバンド群のサウンドの重要なピースである優美さや楽曲構成の緻密さをメインにするのではなく、猪突猛進な怒濤のパワーで叩きつけるように演奏する事でお手本に無い独特なオリジナリティが生まれている点が非常に面白いと言えましょう。

後半はフロントマンとギタリスト、ベーシストをチェンジし、美声のフィメール・ヴォーカリスト Laura "Poppy" Pate嬢をフィーチャーした楽曲となっており、作風もグッとゆったりとしたテンポでメロディアスになり、今度はRENESSANCEとGENESISをミックスしたような、儚さと可憐さを漂わすファンタジックでシンフォニックなポップサウンドへ様変わりしていて驚かされる。

ていうか、もう完全に別バンドなサウンドだ。

後半分の音源はマスターに問題があるのか、ヨレたり音量が急に変化したりと万全な状態での音源でないのが少々悔やまれるが、それでもこうして再びリリースしてくれた事には感謝しかありません。

なにせ初CD化からもう30年近く(!)時が経過しているので、今の再生環境にマッチしたクリアなリマスター音源で傑作を楽しみたいですから。

70年代末期のアメリカン・プログレと言うとまだアートロックというイメージが濃厚な、商業性より芸術性が重要視された孤高のサウンドが個人的に大好きでして、BABYLONやCATHEDRAL、MCARTHUR、そしてYEZDA URFA等の混沌とした独特のサウンドが癖になる初期USプログレ・バンドがお好きな方ならば是非チェックして見て下さい(*´ω` *)


by malilion | 2019-12-30 23:41 | 音楽 | Trackback

北欧スウェーデンのベテラン・メロハー・バンドHOUSE OF SHAKIRAが新作『Radiocarbon』をリリース!

北欧スウェーデンのベテラン・メロハー・バンドHOUSE OF SHAKIRAが新作『Radiocarbon』をリリース!_c0072376_21160716.jpgHOUSE OF SHAKIRA 「Radiocarbon」'19

活動20年を超える北欧スウェーデンのツインギター5人組ベテラン・メロハー・バンドであるHOUSE OF SHAKIRAの、前作『Sour Grapes』から3年ぶりとなる13枚目のアルバム(BEST、LIVEを含む)がリリースされたので即GET!

新たなヴォーカリスト Andreas Novakを迎えて4枚目となる久しぶりの新作でも、爽快なコーラスワークを活かしたポップでキャッチーなアメリカン・ロックに北欧風味をまぶした絶妙のメロディアスHRサウンドな方向性に大きな変更はないものの、長らくベーシストの座についていた Basse Blybergに代わってオリジナル・ベーシストでありROYAL HUNTにも在籍していた Per Schelanderが復帰した新編成となっての初のスタジオ作だ。

また、メンツ変動だけでなくイタリア最大手でありメロハー・ジャンルのレーベルとしてユーロ圏で代表的な存在であるFRONTIERS Musicへレーベル移籍して初の作品となっており、さらに共同プロデュース及びミキシング・エンジニアとして、TALISMAN、EUROPE、ROYAL HUNT等の作品にも関わっているHAMMERFALLの Pontus Norgrenを起用と制作環境が今回は大きく変化しており、バンドメンツの変化は最小限で外部の環境を変化させる事で少々マンネリ気味になりつつあるサウンドに安定感を保ちながらも刺激を与えようと画策したのかもしれない。

この新作のサウンドに耳を傾けて気づくのは、これまでにも増してAORへの傾斜をさらに強めた分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカルが聞ける事と、グランジスタイルなハードエッジで非常にヘヴィなリフを重ねたり、ROXY BLUEやAC/DCを彷彿とさせる適度にエッジあるストレートでシンプルなリフを刻み、軟弱になりそうな楽曲を引き締めつつ、北欧風味漂う叙情感あるメロディアスHRサウンドに見事に仕上げている点だろう。

“スカンジナビアのVAN HALEN”張りなクラシックなリフで構成された80年代HRに近い豪快なギター・サウンドが飛び出してきたり、意図的にリードギタリストの Mats HallstenssonがクラシックHR風な先祖返り的サウンドを織り込んでいたり、ヴォーカルやコーラスはEUROPEやDEF LEPPARDにインスパイアされたのが明白だったりと、そういったフォロワー的な手法にHRファンは恐らくニヤリとさせられ事だろうが、だけでなく時折聞ける流麗なツインリードやフックの効いたリフ、初期DANGER DANGERを彷彿とさせる弾けるような陽気な楽曲、現代的なモダンに洗練されたリフやアレンジ、そして高らかに歌い上げるヴォーカルを包み込むキャッチーでメロディアスなサウンドのそこここで彼の絶妙なギタープレイが光りを放っているのが分かる。

ビッグなフックと分厚いヴォーカル・ハーモニー、キャッチーなメロディと耳に馴染みやすい歌メロを大事にしつつもギター・オリエンテッドな80年代風味漂うアメリカン・ロックに北欧情緒をまぶしたメロディアスHRに、デビュー作からのお約束である中近東の民族音楽的な旋律やミステリアスな雰囲気の漂う歌メロを交えつつ、ベテランらしい風格と安定感バッチリに聴かせるそのサウンドは、特にテクニカルな事をしている訳ではないが非常にヴァラエティ豊かでバランスも取れた素晴らしいと一作と言えるだろう。

ただ、VAN HALEN、EUROPE、DEF LEPPARD、ROXY BLUE、AC/DC、DANGER DANGERだけでなく、RAINBOW(Stargazerっぽいんだよなぁ…以前リッチーのトリビュト・アルバムにも参加してたし、やはり北欧ミュージシャンはリッチー好きなんですねぇ)までの影響がこれまで以上に露骨に感じられた本作のサウンドは、当然意図してなのだろうけど、一体どうしてこんな手法を選択したのか少々不可解ではあります。

もしかして、80年代アメリカンHRと北欧清涼感系HRのMIXサウンドに中近東の民族音楽的なフレーズ、だけで十分に個性的だと思うのですが、今回は自身のルーツ的なサウンドを再確認しつつアルバムに反映させるってのがコンセプト、って事なんでしょうかね?

まぁ、前作は長い活動を通じて多種多様な音楽要素を取り込みつつ、初期からの朗らかでキャッチーなサウンドという軸を堅持しつつ全曲コンパクトに纏め上げられた捨て曲が見当たらぬ完成度の高いアルバムだっただけに、今回はルーツ再確認という手法と要素で意図的にバランスを崩したサウンドにして魅せた、というマンネリ打開の手法なのかもしれませんね。

ハードエッジや即効性の刺激を求める向きや、ハイテンションな迸るパッションを求める向きにはお薦めできませんが、キャッチーなAORやフック満載なメロディアスロックを好む方や80年代風のメロディアスなHRがお好みの方ならきっと気に入るだろうアルバムに仕上がってますので、ご興味あるようでしたら是非チェックしてみて下さい(*´ω` *)



by malilion | 2019-12-29 21:09 | 音楽 | Trackback

ファンタジックなユーロ・シンフォを聞かせるDRIFTING SUNがアルバム未収コンピレーションCDをリリース!

ファンタジックなユーロ・シンフォを聞かせるDRIFTING SUNがアルバム未収コンピレーションCDをリリース!_c0072376_11171207.jpgDRIFTING SUN 「Singled Out」'19

先頃最新6thアルバム『Planet Junkie』を発表したばかりの、フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いる多国籍ユーロ・シンフォ・バンドが、多数のシングルからセレクトされたアルバム未収シングル・コンピレーションCDをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

再結成しての活動が順調なのを反映してか、マネジメントがバンドが受けてるから今こそ小銭の稼ぎ時と画策したのか、15年~18年までにダウンロードのみでリリースされたアルバム未収録のシングル曲のBサイド12曲(未発表曲1曲含む)が今回初CD化された('(゚∀゚∩

ポピュラー・ミュージックシーンではDL販売が殆ど主流になっている音楽業界で、未だにアルバム偏重なアーティスト嗜好の強いバンドが多い事やインディ故に現物をリリースしたいというアーティスト側の記念碑的なアイテム故かプレスした盤が主流であったプログレ系バンド達の間でもジワジワとDL販売が主流になりつつあるようだが、こうしてプレス盤CDをリリースしてくれるのは個人的に大変ありがたいのです(*´ω` *)

やっぱり、手で直に持ってライナー眺めつつじっくりと音楽を味わいたい古いタイプなもので……(汗

再結成したばかりの時は、活動休止前通り Pat Sandersのワンマン的キーボード弾きまくりとシンフォ系サウンドに不釣り合いなHM的なメタリックなギター・サウンドがファンタジックなバンドサウンドをスポイルしていたように感じたが、その後ギタリストをチェンジしウェットな英国叙情が漂うメロディアスなモダン・ユーロ・シンフォサウンドにマッチしたシンフォ系向きプレイへ変化し楽曲の方もアルバム全体の完成度を考慮した方向へ軌道修正し現在に至る訳だが、本コンピレーション盤に収録の音源は、当初のワンマンっぷり(笑)のままに Pat Sandersの鍵盤メインな楽曲が多く、ピアノ独奏の弾き語りやキーボードとギターがメロディアスに舞い踊るインスト曲等々、現在ではバランスを考えてアルバムの楽曲作りをしている Pat Sandersが溜まったフラストレーションを吐き出すかの如くコレでもか、とデビュー当時のままに弾き倒し(録音も殆ど自身のみでメンバーほぼ不参加)ていて実に微笑ましい(*´ω` *)

アルバムではリリカルで華麗なキーボード主導な繊細なアコギ・パートや薄っすらメロディをなぞる柔和なコーラス、そして優美なストリングス・パート等の美しいアンサンブルや“引き"の美しさが際立つアレンジが際立つ完成度の高い楽曲が納められているが、このアルバム未収録曲ではそういった完成度を度外視したバランス無視で思うままに演奏する、如何にもジングルのB面曲ならではといったアルバム収録曲の対局とも言える趣の楽曲はユーロ・シンフォ的な完成度の高いサウンドとはまた違ったカラーやタッチが楽しめて、ファンならずとも80年代ポンプ愛好家ならニンマリしてしまう事だろう。

PENDRAGON、GENESIS、YES、MARILLION、そしてPINK FLOYD等の影響が透け見える繊細でドラマチックなメロディアス・シンフォサウンドなものの、ただ柔和なキーボード・サウンドばかり詰め込まれたリリカル・サウンドばかりではなく、ハードドライヴィンするロックティスト有るギターも活躍するアンサンブル際立つその美旋律はソフト目なプログHM好きにも訴求するでしょうから、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。

毎度お馴染み自主盤なので、お求めの方はお早めにね!





by malilion | 2019-12-27 11:10 | 音楽 | Trackback

UKシンフォ界の重鎮バンドIQが、5年ぶりに2枚組の大作を放つ!

UKシンフォ界の重鎮バンドIQが、5年ぶりに2枚組の大作を放つ!_c0072376_20333751.jpgIQ 「Resistance ~Limited Edition~」'19

MARILLIONを旗頭に、英国ポンプロック・シーンを代表するGENESISフォロワー・バンドの1つとしてPENDRAGON等と共に80年代初頭に唸りを上げてシーンを賑わした新鋭バンドであった彼等も既に活動40年を超える重鎮バンドであり、その彼等が前作『The Road Of Bones』'14以来となる、5年振りの通算11枚目の3面開き紙ジャケット仕様の2枚組限定盤を、ちょい遅れてGET!

なんでも当初は1枚モノとボーナス・ディスクという構成で制作を進めるものの、バンド創立メンツにして唯一不変のオリジナル・メンバーであるギタリストの Michael Holmesが語る所によると『ディスク1の雰囲気と全く一致しなかった』という素材を元に15分超えの大作3曲を含むなど楽曲が予定より増え、結果収まりきらぬマテリアルをカットするのは惜しい、と言うことで2枚組アルバムへ変化したと言う本作だが、頭っから如何にも彼等らしい英国プログレッシヴ・ロック直系の重厚にして濃密な王道シンフォ・サウンドが飛び出してきて、これにはファンならずともニンマリしてしまいます(*´ω` *)

さて、新作の内容についてですが、基本的にこれまでと同一路線なGENESISをルーツとした明快なメロディアス・サウンドと、このバンド独特のリリシズムを湛えたこれぞ英国叙情という気品とミステリアスなダークさ漂うドラマ性を継承しつつ、静かで憂鬱な詩と、軋むようなシンセサイザー、70年代風ハモンド、荘厳な教会オルガン、中東の影響を受けた倍音素材、お約束の重厚なメロトロン、不吉で邪悪な雰囲気漂わす多彩なサウンドなど、多種多様な鍵盤楽器を用いて幻想的で優美な物語を綴り、センチメンタルでデリケートなタッチのサウンドから一転爆発するような激しくドラマチックな楽曲展開と、絶妙な緩急の付け方で思わず息を呑む美旋律の数々を対比させる事で、カラフルでイマジネイティヴに満ちた劇的な効果を何倍にも高めて魅せる、ハードなダイナミズムを前作より一段と強めた作品だ。

ファンの方には、Peter Nichollsのシアトリカルなヴォーカル、長らく屋台骨を支え続けてきた Paul Cook のタイトでソリッドなドラム、Michael Holmesのエレガントなタッチから一転ハードに切り込む鋭く歪んだギター、そして『Frequency』'09 以来再結成IQの特徴となっているダークなトーンの音の壁がアルバムをタップリ埋め尽くした、鈍色な闇の奥でキラキラ光るメロディが輝きながら今にも滴り落ちそうなシンフォニック・サウンド、と言えば即理解していただけるかと。

それにしても前作『The Road Of Bones』から加入した新キーボーディスト Neil Durantの影響がこんなに大きく感じられるアルバムになるとは思いませんでした。

前作の時点では出たり入ったり忙しいオリジナル・キーボーディスト Martin Orfordの穴を埋められるのか、少々心配(前任者 Mark Westworthは一作のみの参加だったから…)な塩梅だったものの、本作に至っては完全にバンドサウンドの要とも言える大活躍をしており、彼の持ち込んだフレッシュな感覚や重厚にして華麗なキーボードワークと魅力的なサウンドメイキングが、より進化したバンドサウンドを反映した新たなIQサウンドの特徴になりつつあるように思いますね。

極論すると、以前は Michael Holmesのギター・サウンドがバンドサウンドの中心的存在だったが、今では Neil Durantの操るキーボード・サウンドがバンドサウンドの中心となっている、と言っていいくらいに感じられますから。

ディスク2の方は、如何にもプログレっていう変拍子とリズムチェンジの激しい派手でスリリングな楽曲が納められており、ある意味でこっちの方が一般的なプログレ好きにはウケがいいだろうが反面古臭くも聞こえ、やはりモダンサウンドを追求しさらなる進化を目指しているバンドとしてはディスク1のサウンドコンセプトにマッチしない、という判断をしてディスクを分けたのは賢明だったと思いました。

でも、正直言って嫌いじゃないんだよなぁ~~~~~~~~っ! ディスク2のサウンド(w

プログレ系で二枚組大作アルバムというのは今となってはそう珍しい事はありませんが、IQが今回放った本作はこれまでレジェンド・バンド達がリリースしてきたアルバムと比べて即効性の強いメロディやテクニカルで派手なプレイは乏しく、ちょっと聞き“弱く”感じるかもしれないけれど、じっくり聞き込むに相応しい緻密なアンサンブルと細心の注意で構成された楽曲は魅力に満ちており、決して期待を裏切らぬ一作だと言えましょう。

イマイチ落ち着きの悪かったキーボーディストの座も Neil Durantで安定したようだし、今後はメンツ変化などなくますますの活躍をして欲しいですね。




by malilion | 2019-12-23 20:22 | 音楽 | Trackback

期待の北欧メロハーの新鋭 ART NATIONが3rdアルバムをリリース!

期待の北欧メロハーの新鋭 ART NATIONが3rdアルバムをリリース!_c0072376_15060653.jpgART NATION 「Transition」'19

Alexander Strandell率いる北欧スウェーデン産メロハー・バンドが2年ぶりに新譜をリリースしたのをちょい遅れてGET!

13年にデビューアルバムをリリースした北欧メロハー・バンドDIAMOND DAWNの元フロントマンが立ち上げた新バンドとして鳴り物入りでデビューし、そのTNTを彷彿とさせるキャッチー且つ哀愁を感じる叙情的メロディが光る躍動感あふれるサウンドから洗練されたAOR風味までカヴァーする煌びやかでハイクオリティな楽曲や Alexander Strandellの上から下まで伸びやかに歌い上げる強靱なハイトーン・ヴォイスと抜群の歌唱力でメロディアス愛好家を一発で魅了した彼等が『Revolution(革命、大変革)』'15 『Revelation(天啓、啓示)』'17 と来て、続いて『Transition(変化、過度)』なる3rdアルバムをリリースした訳だが、アルバムタイトルが示す通りデビューからの音楽性に幾分か変化が生じたようだ。

この変化がバンドの練度が上がった故のモダン嗜好へのサウンド変化だったなら何の問題もなかったのですが、どうにもこのバンドはメンツがデビュー以来安定(Alexander Strandellのワンマンバンドだと割り切れば問題でもないかもだけど…)せず、今回もサウンドの変化も大幅なメンツの入れ替えの結果なように思えるのが少々先行きの不安を感じさせますね……

アルバムデビュー前に Alexander Strandell(Vo)、Simon Gudmundsson(B)、TASTEで活動していた Christoffer Borg(G、Backing Vo)、そして Theodor Hedstrom(Key)、最後に Christofferの弟である Felix Borg(Ds)が迎えられて5人組ラインナップが一端完了する。

のも束の間、セカンドギタリストに Johan Gustavsson(G)と Felix Borgに代わって名うての新人ドラマー Carl Tudenが加入し、ツインギター&キーボード入り6人組バンドとしてデビュー作を録音し、リリースする。

スウェーデン国内をツアーした後に2ndアルバム制作に取りかかるが、よりソリッドでハードエッジなサウンドへ進化した結果か、前作での作曲で重要な役割を担っていた Theodor Hedstrom(Key)が脱退(バンドを追い出された傷痕故か、Christofferや Theodorとの出会いやコンビネーションにあんなに喜んでいたのに…)し、レコード会社も移籍してツインギター5人組バンドとして2ndをリリース。

2ndの作曲作業には Theodor Hedstromも関わっていた関係か、2ndまではデビュー作からの音楽性が進化したというのも納得なサウンドだった訳ですが、その後のメンバーチェンジの頻度がヤバ過ぎた……

2ndレコーディング後に Simon Gudmundsson(B)が抜けて女性ベーシスト Rebecka Tholerusを迎えツアーに挑むツアーをこなすものの、17年終わりには Christoffer Borg(G)、 Carl Tuden(Ds)、 Rebecka Tholerus(B)が脱退 エェェ(´д`)ェェエ

その煽りで日本公演がキャンセルとなる中、Sam Soderlindh(G)と旧友にして宿敵だったDIAMOND DAWNの Efraim Larsson(Ds)を迎えLIVE活動を再開するも、すぐにドラマーが Linus Thomssonへチェンジする。

と、初期からのメンツで残っているは Alexander Strandell(Vo)を除くと Johan Gustavsson(G)のみとなり、慌ただしくメンツが入れ替わって3rdアルバムの制作へ突入。

で、レコーディングが完了した後、またメンツ変動が起こり(マジで良く解散しないな…って言うか、もう殆ど別バンドだよね?)、現在のラインナップは、Alexander Strandell(Vo)は不動なものの、FOUREVERなるバンドにも在籍中の Mia Moilanenなる女性ギタリスト(G)、Sam Soderlindh(G)、元DEVILICIOUSの Alexander Lundgren(Ds)の4名で、ベーシストの席はまだ空席となっている模様だ。

初期の作曲中心人物 Theodor Hedstrom(Key)と Christoffer Borg(G、Backing Vo)が抜けた上に、これだけメンツが代わっての3rd制作となれば音の方も自ずと変化するのは当然の流れな上に、どうもさらに Alexander Strandellがバンドサウンドのポピュラリティを高めようと画策した模様で、本作のサウンドはよりモダンなタッチが強く感じられ、初期楽曲のような疾走感はかなり抑え目になり、代わって普遍的なロック的展開の楽曲や、女性ヴォーカリストとのデュエット曲や、専任キーボーディストが居ないにも関わらず2ndで軽減させた煌びやかでデジタリーなキーボードサウンドの比重が大幅に増えているのはどういう事なのか……

初期のキレ味鋭くキャッチーでポップでありながら、しっかりとハードエッジも感じさせる叙情派北欧メロハー・サウンドが好みだった方にとって、幾分かサウンドが柔和になったのとスピードとキレが落ちたように感じられる本作のマイルドサウンドをどう捉えるか、で本作の評価は分かれるような気がします。

まぁ、あのままハードエッジな方向性で進んでもその他大勢の北欧メロハー・バンド達との差異を構築するのに苦労する事になるのは目に見えていたので、本作からのより一般層へ向けてサウンドの方向修正は間違ってはいないとも言えますが、そうなると相手をするのはポップス畑のアーティスト達って事になりますので、現時点のサウンドの洗練度ではまだまだそちら系のファンを唸らせるのは少々厳しいんじゃないかと要らぬ心配をしてしまいますね……

とは言え、またメンツが変動してサウンドの方向性がコロっと変わるかもしれませんし、仮にメンツ変動なくても現在のメンツでのアルバム制作はまだですし、まだまだ北欧メロハーのフィールドで語られるべきサウンドではありますので、そこまで彼等のこの先を悲観はしてませんけどね(w

次なる新作まで、ともかくメンツを安定させて活動して欲しいものであります。



by malilion | 2019-12-09 14:56 | 音楽 | Trackback

初期北欧HMバンド KEEN HUEがまさかの復活!? 未発旧音源を旧メンバーが集ってリリース!

初期北欧HMバンド KEEN HUEがまさかの復活!? 未発旧音源を旧メンバーが集ってリリース!_c0072376_19571064.jpgKEEN HUE 「Heydays」'19

80年代初期スウェディッシュHMシーンを支え、マイナーながらアルバム2枚を残して解散したツインギター5人組スウェーデン産メロディアスHMバンドが、前作『Juicy Fruit Lucy』から約26年(!!)ぶりに再結成して3rdアルバムをリリースしたので即GET!

77年頃結成されるもののデビューアルバムをリリースする頃には結成メンバーは誰も残っておらず、一番の古株がギタリストの Stefan Morenとドラマーの Peter Erikssonで1stから在籍し、2ndでもプレイしており、本作でもしっかり在籍して熱演を披露している。

そもそも『Ogre King』'84 でアルバムデビューした当時はツインギターでベースがヴォーカルを兼ねる4人組バンドで、垢抜けないイラストがジャケのイメージ通り典型的な初期北欧マイナーHMバンドだった。

音域の狭いヘタクソなオヤジ声の如何にもなリードヴォーカルが力一杯熱唱し、ハモってないダメダメなコーラスにバタつくドラム、そしてハードドライヴィンなギターがおぼつかないテクを披露し、荒っぽいツインギターが時折耳を惹くマイナー調のメロディを弾くという初期北欧HMの典型パターンとも言えるブリティッシュHMの影響を受けたイモ臭いスピーディなHMを奏でていたので、その筋のマイナー北欧系HMバンドが好みな方には知られた存在だったらしい。

因みにリリース元のレーベル倒産につきもう本作は入手不可能とのことで、権利関係問題があるのか今現在も未CD化なアルバムだ。

北欧地域ではそこそこ売れたらしいのでストックが存在したのか、自分はかなり前に運良く新品LPを購入出来たが今現在はどうなのかは不明です……(汗

それからかなりの年月を経て『Juicy Fruit Lucy』'94 なる2ndを発表し、北欧HM好き特にスウェーデン産バンドなら日本で受けると思われたのか彼等も国内盤デビューとなる。

国内盤はちょっと妖しい雰囲気なイメージのジャケにデザインが変更されているが、外盤はもっとタイトル通りな分かりやすいエロいジャケだ。

きっと国内的にはB級北欧メロディアスHMとしてプッシュしたかったのだろう。

下世話なイメージのジャケより国内盤のお上品な方が、まぁ確かに一般受けはするだろうが、サウンドのイメージとはちょっと遊離しているように感じますね…

2ndでは新たに専任ヴォーカリスト Mats Frimodigsを迎え、元SIX FEET UNDERのベーシスト Kent Janssonも新たに加入、ギターも Stefan Moren一本になり、さらにキーボーディスト Per Anderssonが迎え入れられた新編成の5人組バンドとなっていた。

1stから時間的な間隔がかなり開いている間にメンバーのスキルも上がった(Peter Erikssonのドラムもかなり安定したプレイを披露)のと、1st時のヴォーカルとは比べものにならない上手いフロントマンを得たのも功を奏したのだろう、B級マイナー北欧HMから2ndで一気に高品質なB級メロディアHMへチェンジしたサウンドを披露する。

ただ、所謂日本人好みなマイナーな美旋律が疾走する楽曲を聞かせる北欧メロハー・タイプでなく、もっとルーズでラフな感覚のロックンロール寄りなサウンドだったのと楽曲のキャッチーさがイマイチだったのも影響したのか、ぶっちゃけ日本では人気は出ず、数ある北欧のマイナー・メロディアスHMバンドの1つとして埋もれていった……

キーボードが活きる楽曲は、DEEP PURPLE、RAINBOW系の北欧HMっぽい疾走サウンドでなかなかよろしかったのに、もっとソッチ系にサウンドを纏めていれば少なくとも日本では人気が出たのでしょうが、結局世を覆うグランジーの波に飲まれたのか彼等の続報は伝わってこなくなってしまう。

因みにバンドの情報が途絶えた後、96年にギタリスト Stefan Morenは『Yippie Ya Ya』なるソロアルバムを自主制作でリリースしていて、Stefan Moren自身のポップな歌声(なかなか上手い!)といい分厚いコーラスといいビートロック系なサウンドといい、伸び伸びとハードにメロディアスにギターを弾きまくりなその屈託なく朗らかなハッピー・サウンドはどこかSWEETっぽくて個人的にはバンドのアルバムより彼のソロ作の方が楽しめましたね(w

Stefan Morenが05年に2ndソロ『The Last Call』を続いてリリースしている所を見るに、それまでKEEN HUEは何度か活動休止をしつつ存続していたらしいが、当時は実質活動していなかったか、もしくは既に解散していたのではないのだろうか?

なんでも今現在もKEEN HUE-Under Coverなる別名義バンドとして有名ヒット曲のカヴァーを地元クラブ等で披露するローカルな活動を継続している模様で、Stefan Morenと Kent Janssonが在籍しているとの事。

で、本作はそんなカヴァー曲ばかり演奏する状況に飽き飽きしたのか、Stefan Morenの発案で1stで歌っていた Lars-Ake "Platis" Nilzonと、オリジナルギターのもう1人である Ake Nystroem、そしてドラマーの Peter Erikssonが復帰し、ずっと在籍していたリーダーでギタリストの Stefan Morenとベーシスト Kent Janssonはそのままに5人組バンドとしてリユニオンし、2ndリリースまでにメンバーチェンジが何度も起こりながらも作曲を続けていたが2ndでバンドサウンドの路線が変更されて陽の目を見なかった81年から89年の間に書かれた古い楽曲を昔のメンバー達と新たに録音したのが本作だ。

『え? あのヘタクソな Lars-Ake "Platis" Nilzonを呼び戻すの!?』と、本作の企画を知った時驚きと不安を覚えたのですが、届けられた新作に耳を傾けると、あら驚き! 長い年月が経過してスキルが上がったのか、当時の録音状況が悪かったのか、ヴォーカルプロデュースが不味かったのか、本作での Lars-Ake "Platis" Nilzonの歌声は別人かと思うくらいちょっと苦汁声なものの断然上手く(w)なっており、マイナー調の疾走する楽曲でツインギターが華麗にメロディアスなソロを紡ぎつつ、ポップでキャッチーでありながらしっかり芯のある熱い歌声とコーラスという、1st路線が正統に進化した今となっては古式ゆかしい初期北欧スピードHMな荒々しくもメロディアスな楽曲が詰め込まれたアルバムにジャストフィットしたヴォーカルを披露している。

発掘テープの類いと違って現在のテクノロジーで録音されプロデュースされているので音は当然よろしいしのですが、それ以上に現在のモダンな感覚も取り入れられた楽曲アレンジだったり、ストリングスが追加されたり、マイナー調の北欧HM定番な哀愁漂うバラード曲を飾り立てるさり気ないキーボードサウンド等、ソロ活動やローカルながら地元で音楽活動を続けてきた Stefan Morenの手腕が活かされた旧曲新録アルバムだと言えよう。

しかし、今現在の耳で80年代初期北欧HMの上質なサウンドを耳にする事になるとは本当に予想外でした(w)、しかも地味に本作の楽曲は出来が良いんだなぁ~コレが(*´ω` *)

きっとコレも長い間 Stefan Morenがヒット曲のカヴァーを演奏してきたから自然とアレンジ力が上がったのが本作に活かされているんでしょうね。

当然、サウンドも楽曲プロダクションもA級でないけれど、勢いばかりで荒削りで未完成だった80年代初期北欧HMサウンドに当時足りなかった要素(ちゃっかり1st収録曲“Ogre king”が再録されている)が加味された“古くて新しいサウンド”を今回こうして耳にして感じるのは、もう今となっては聞く事の出来ないストレートでピュアな北欧HMサウンドがノスタルジックな趣を伴ってビンビンとハートを震わせる、って事(w

HEAVY LOAD、TORCH、OVERDRIVE、220 VOLT、UNIVERSEらと肩を並べて成功を目指して疾走していたKEEN HUEの80年代初期北欧HMは、きっと当時を知る古参リスナーは勿論、しらなくてもスピーディーでストレートなマイナー調北欧HMがお好みな方ならば、きっと気に入ってくれる一作だと思いますで、ご興味あるようでしたらチェックしてみても決して損にはならないでしょう。

そうそう、バンド名の意味は Stefan Morenによると「シャープな色調」という意味らしいが、イギリス人に言葉の意味を確かめたら怪訝な顔をされたという事なので、結局は彼等の造語というのが正解なようだ(w

本作の編成がこのまま続くのか、今回限りの企画の為だけなのかは判然としないが、出来る事ならこのまま本格的にこの編成でバンド活動を開始して欲しいものです。


by malilion | 2019-12-06 19:47 | 音楽 | Trackback

スイスのシンフォ・バンドCLEPSYDRAが再結成して18年ぶりの新譜をリリース!

スイスのシンフォ・バンドCLEPSYDRAが再結成して18年ぶりの新譜をリリース!_c0072376_13490782.jpgCLEPSYDRA 「The Gap」'19

01年に4枚目のアルバム『Alone』をリリースし、程なくして惜しくも解散してしまったスイスのキーボード入り5人組シンフォ・バンドが18年ぶり(!)となる再結成第一弾5thアルバムをリリースしたのを、国内盤出るかとしばし待ったけど我慢し切れず(汗)輸入盤で遂に購入したのでご紹介。

14年にデビューから解散までの10年間の音源を全てリマスターして収録した限定BOXをリリースしていたので音源的には5年ぶりの素材となる訳だが、解散後も断続的に同窓会的なLIVEをしていたのが実ったのか、こうして新規音源をリリースしてくれたのをまずは祝いたい。

ただ、これだけのインターバルが空いた(すっかり皆オッサンに…)事もあって完全なるリユニオンとはならず、ギタリストが Marco Cerulliから Luigi Biaminoへチェンジしているのは仕方が無いだろう。

で、再結成作の内容はと言うと、解散したその時から全く時間が経過していないような、スイスのシンフォバンド、と聞いてイメージする通りの、妙な癖や灰汁の無いスッキリ冷ややかな叙情派メロディアス・シンフォのお手本のような、まんまCLEPSYDRAなネオ・プログレ風味ある正統派ユーロ・シンフォ・サウンドでした。

革新的な何かをサウンドで成している訳でもないし、目指している訳でもない再起動した彼等のサウンドは、ややもすると70年代の巨人達や80年代のネオ・プログレバンド達のエミュレート(元々、お手本が初期MARILLION)に聞こえるが、メランコリックなギターと雰囲気満点なシンセが繊細で叙情感溢れる美しく淡い水彩画を描くように紡ぐゆったり展開の多いシンフォ要素をベースに、元来彼等が持っているストレートでシンプルなユーロ・メロディアスロックなサウンドピースを随所で聞かせるスタイルに変化は無く、ギタリストの交代も大きな影響をその温和なサウンドに与えていないのは、前任者も得意としていた表情豊かで物憂げなギターの壊れ物のような爪弾きを聞くだけですぐ気付くだろう。

今となっては珍しいポンプ系バンドで良く聞けた、ちょっと線の細く甲高い Aluisio Magginiの歌声も相変わらずで、今の時代には独特な特徴となって聞こえるのが面白い効果だろうか?

冷ややかな叙情派サウンドの要である Philip Hubertの鍵盤捌きは相変わらず流麗で、小気味良いピアノのアレンジや涼やかなシンセワークを聞かせ、解散前より幾分か目立って聞こえるのは、新加入の Marco Cerulliのギターが幾分控え目(遠慮して?)だからかもしれない。

プログレ系としては至って普通というか堅実でソリッドに重きを置いたリズムセクションは、変にテクニカルな事をして悪目立ちせぬ屋台骨的プレイを解散前と変わらず繰り広げ(実際は必要に応じてパートパートでダイナミックでパワフルなHM的アグレッシヴ・プレイを繰り広げている)ており、その点ではHR的と言えるかも。

北欧シンフォのような邪悪さや寂寞感も無く、英国シンフォのような先進的な革新さやモダンな感触も薄く、米国シンフォのようなパワー押しやアグレッシヴさも聞こえず、スタープレイヤーの妙技で聴衆を惹きつけるでもない、テクニカルな畳みかけるインタープレイより夢見るような淡いパッセージが紡がれる、メンバー全員のバランス良い演奏と程良く構成された楽曲やアレンジ等の総合力で勝負する、淡い色づきの柔和な清涼感と冷ややかな哀愁を漂わす美しくドラマチックな彼等の叙情派シンフォ・サウンドはちょっと聴き今の若い聴衆にはインパクトが弱く聞こえるかもしれないが、じっくり聞き込む程にそのデリケートでロマンチックなファンタジック・サウンドの微妙な味わいと甘やかな香り漂う魅力に惹き込まれて行く事だろう。

バカテクだとかプログレ的革新性は皆無だけれど、停滞だとか進歩が無いという中傷を恐れずに、ただただ美しくロマンチックな叙情派シンフォ・サウンドを18年ぶりに変わらず届けてくれたCLEPSYDRAには大感謝なのです(*´ω` *)

叙情派ユーロ・シンフォ好きな方なら一聴する価値はありますので、もしご興味あるようでしたら是非チェックしてみて下さい。

自主制作盤ですので、お求めの方はお早めにね!


by malilion | 2019-12-03 13:41 | 音楽 | Trackback