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北欧メロハーの期待の新星! WAKE THE NATIONSが本格始動作をリリース!

c0072376_17305123.jpgWAKE THE NATIONS 「Heartrock」'19

フィンランド産キーボード入り5ピースバンドによる2ndアルバムがリリースされたのをちょい遅れてGET!

このバンドでまず目を惹くトピックは、同じくフィンランドのB級マイナー・メロハー・バンドHUMAN TEMPLEのメンバー等が新たに立ち上げたメロハー・バンドだと言う事だろう。

HUMAN TEMPLEの今の所の最終作である12年作3rdでは、ギタリストとキーボーディストが頑張って美旋律を奏でているものの中心人物(バンド運営費的にもボス)であるフロントマン Janne Hurmeのヘッポコなヴォーカルのお陰で散々な出来だった訳だが、そのギタリストだった Risto Tuominen(Guitars、keyboards & Backing Vocals)がHUMAN TEMPLEにマッチせず(というか、ブチ壊されるのを避けた?)発表する機会のなかった楽曲を、HUMAN TEMPLEが活動休止となったのでソロアルバムを制作してリリースするというアイディアから出発し、HUMAN TEMPLEの Jori“Jorge”Tojander(Synthesizer)と、HUMAN TEMPLE参加前に Risto Tuominenがメンバーとして在籍しEPもリリースしていたグランジ風味なHRバンドVILLA SUCKAのメンバー Janne“Gekko”Granfors(Bass)、Krister Stenbom(Vocals)、Tuomas Pelli(Drums)等の手助けを借りて12年から制作を開始し、遂にWAKE THE NATIONSのデビュー作『Sign of Heart』が15年にリリースされる事になったのが始まりとなっている。

ギタリスト Risto Tuominenのソロ作から発展した事もあってこのデビュー作、HUMAN TEMPLEの Janne Hurmeや Krister Stenbomを含む総勢6名という複数のヴォーカリスト(エクアドル出身やクロアチア出身の欧米HM界では殆ど無名なヴォーカリスト達や Risto Tuominen自身も歌声を披露)を招いて制作されており、楽曲の出来もバラつきがあるし、お世辞にも極上のプロダクションとは言えぬ纏まりが今一つな出来だったものの、HUMAN TEMPLEでも聞けた叙情感あるウェットな美旋律が心地よい、イマイチ垢抜け切れぬ、だけどそこがマイナー作好きには嬉しいC級に片足突っ込んだB級メロディアス作でありました。

フィンランド国内でデビュー作は好評だったもののフロントマン不在な為、アルバムリリース・パーティーで一度限りの演奏を披露したのみでLIVE活動が出来なかったのを Risto Tuominenが考慮し、Krister Stenbomを正式にフロントマンに据えてデビュー作の制作に関わったメンツと本格的にWAKE THE NATIONSをバンドとして活動させ、やっと本作が届けられた次第であります。

待たされただけあって本作は、北欧メロハーらしい適度にメタリックなエッジを保ちつつウェットな叙情を湛えたキャッチーでメロディアスなナンバーがズラリと並び、フック満載で煌びやかだった80年代風メロディアスHRを元ネタに一ヒネリ加え、モダンなAOR風味も程良くまぶされた、定番だけど新鮮さも感じるメインストリーム寄りでバランス重視な楽曲の数々は、メロハー・ファンならずともHR愛聴者やH.E.A.T.やECLIPSEファンなら迷わず手を出しても問題ない良作だと断言出来る一作だ。

グランジ風味なHRバンドのフロントマンであった Krister Stenbomの歌声は中域メインなマイルドなヴォーカルスタイルがメインで、グランジ系定番の荒れた歌声やガナリ、グロウル等は一切聞かせずメロハー系に即した伸びやかで力強い歌声を披露しており、絶品の歌唱力とは言わないがその辺りを危惧している方には全く問題ない事をまずお伝えしておきます。

アルバムでは分厚いバッキングコーラスやハーモニーが重ねられていて Krister Stenbomの歌声や歌唱力が判然しないと思われる方は、動画サイトにLIVEでのまだまだイモ臭い(笑)ステージの様子がアップされているのでそちらを一度見て自分の好みと合うかどうかチェックしてみるのもいいかもしれない。

HUMAN TEMPLEの3rdで聞けたギターとキーボードが頑張って美旋律を奏でていたサウンドを覚えている方なら、本作で如何に Risto Tuominenがリフにメロディにと硬軟幅広くツボを押さえたギターを伸び伸びとプレイし、Jori“Jorge”Tojanderが華麗にして繊細な鍵盤捌きと楽曲をワンランクアップさせる洒落たアレンジやシンセの煌びやかな音色で水を得た魚の如く大活躍しているのかを聞いて、不遇だったHUMAN TEMPLE時代を思い起こして涙せずにはおれないでしょう(w

また、バンドメンツを固めてじっくり制作に時間を掛けたのも飛躍的に楽曲レベルがあがった要因でしょうが、何よりソングライティングに Soren Kronqvist(Joe-Lynn Turner、ONE DESIRE)や Thomas Vikstrom(THERION、TALK OF THE TOWN)を迎え、ミキシングとマスタリングはご存じ北欧ワーカホリックメタルマン Erik Martensson (ECLIPSE、W.E.T.etc...)によって行われ、プロダクションは Ilkka Wirtanen(RECKLESS LOVE、THE NIGHTS)が行うなど、楽曲制作やプロダクションを名うての北欧ミュージシャン等が全面的にバックアップしているのも間違いなく大きな要因と言えるだろう。

A級メロハー作とも言えないし、超個性的なサウンドのアルバムとも言わないが、H.E.A.T.やECLIPSE等の00年代北欧メロハー・バンドファンだけでなく、80年代を象徴するTOTO、JOURNEY、SURVIVOR等のUSアリーナロック・バンドのファンにもお薦めで、北欧HMの元祖EUROPEの香りや、モダンなAOR風味、そして欧州と英米のメロディアスHRのいいトコ取りをしたようなバランス良いキャッチーで爽快なサウンドは、メロハー・ファンなら確実にGETしておかねば後々で後悔するだろうマストアイテムだ(*´ω` *)


by malilion | 2019-02-19 17:23 | 音楽 | Trackback

北欧プログ界の大物THE FLOWER KINGSの盟主 Roine Stoltが久しぶりのソロ作をリリース!

c0072376_17195185.jpgROINE STOLT'S THE FLOWER KING 「Manifesto Of An Alchemist」'18

90年代、突如として北欧から巻き起こったプログレ・リヴァイバルの一勢大力でありTHE FLOWER KINGSのリーダーであった元KAIPAのスウェーデン人ギタリスト Roine Stolt(Guitars、Vocals)は、その後長らく活動する事になる北欧プログレ・バンドTHE FLOWER KINGSを結成する前に数枚ソロアルバムをリリースしていた訳だが、そんな彼の05年『Wall Street Voodoo』以来13年ぶりとなる8thソロがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

そもそもプログレッシヴ・ロック・シーンに Roine Stoltがカムバックした記念碑的アルバムである94年リリースのソロ作『The Flower King』がその後にバンドTHE FLOWER KINGSへ発展した経緯を知っているファンならば、今回の『King』の後に『S』が付いてないソロアルバムのこだわりの名称を見てニヤリとするはず。

Roine Stolt自身は Tomas Bodin(Keyboards)をはじめTHE FLOWER KINGSのメンツ達と新たなバンドTHE SEA WITHINを立ち上げ去年デビュー・アルバムをリリースしたので、停滞気味なTRANSATLANTICや13年にアルバムをリリースして以来音沙汰無いTHE FLOWER KINGSの活動(アーカイヴ的未発音源リリースや過去音源のリマスタBOXセットの発売はあったが…)はもう無いのか…と寂しく思っていたファンにとって、この久々のソロ作は何より嬉しいプレゼントだろう。

注目の参加メンツは、THE FLOWER KINGSでもお馴染みな Jonas Reingold(Bass)、Hasse Froberg(Vocals)、Michael Stolt(Bass,Vocals)、Nad Sylvan(Vocals)に加え、Paul Gilbertのアルバム等で叩いたり、Alex Machacekらと共にUKZに参加して話題になったドイツ人売れっ子セッションドラマーでTHE SEA WITHINのメンバーでもある Marco Minnemann(Drums)、Steve Hackettとの活動で有名なサックス奏者 Rob Townsend等が名を連ねている。

全曲 Roine Stoltの作詞作曲なのは勿論、近年ではその座を譲っていたリードヴォーカルパートもソロ作だから当然とばかりに殆ど自身で歌い、その他のパートも気心の知れたメンツをバックに伸び伸びとソロプレイを繰り広げるという、わざわざTHE FLOWER KINGとクレジットするだけあって初期THE FLOWER KINGSを彷彿させるロイネ節が随所で全開な、GENESISをはじめUKプログレッシヴ・ロックの巨人達のトレードマーク的要素を抽出し独自解釈で再構築した、緻密に作り込まれたスリリングでメロディアスなテクニカルなギターと重厚で壮大なシンフォニック・アレンジが聞く者を魅了するエモーショナルでファンタジックな原点回帰的サウンドを展開していて、アルバムタイトル通り『錬金術師(=プログレ・ミュージシャン)の宣言』を高らかに鳴り響かせるその様には、初期からの彼のファンや90年代北欧シンフォ・ファンもニッコリな内容と言えるだろう。

これだけ色々な要素を詰め込んで、それでもポップで鮮烈な歌メロとキャッチーな美旋律が耳に残るのは、やっぱり北欧ミュージシャンの作品ならではなんでしょうねぇ♪(*´ω` *)

無論、ソロ作なのでバンド作との明確な違いもあり、長らく活動を共にする盟友 Tomas Bodin(Keyboards)が本作には参加していないのでTHE FLOWER KINGSとはサウンドの感触が違って全体的にダークで淡いメロディなのが印象的なのと、ソロ作らしく実験的な試みが見られる楽曲もあって、楽曲アイデアが閃いた瞬間のフィーリングを重視して制作されたという、JAZZをはじめ、ポップスや古典的なロックソングも含む折衷的で多様なプログレ要素がクロスオーバーされた幅広い音楽性と自由奔放なプレイが光る、現代的モダンなサウンドアプローチとヴィンテージ・プログレな風味を巧みに融合させオリジナリティへ昇華させた、これまでの長く豊かな活動経験を感じさせる本作のサウンドは流石の一作だ。

また、ソロ作故のリラックスした穏やかな雰囲気や味わい深く美しいブルーズテイストが色濃いギターサウンドは、英米問わず凄腕ミュージシャン達と壮絶なテクニカル・プレイを繰り広げている彼の参加するバンド作ではなかなか聞く事の出来ぬ一面と言え、目立たないけれど本作で注目すべき点とも言えるのではないでしょうか?

THE FLOWER KINGSをベースに、各国のプログレ&シンフォバンドへのゲスト参加や、KAIPA、TRANSATLANTIC、AGENTS OF MERCY、TANGENT、近年は Jon Anderson(ex:YES)とのプロジェクトANDERSON/STOLTやTHE SEA WITHINなどの活動をはじめ未だ精力的な活動を続ける Roine Stoltの動向からプログレ&シンフォ・ファンは依然目が離せない!



by malilion | 2019-02-10 17:12 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーの新星 PALACEの2ndをご紹介。

c0072376_20400879.jpgPALACE 「Binary Music」'18

北欧スウェーデン産メロハーのニューカマーが、16年リリースのデビュー・アルバム『Master of the Universe』に続き、2年ぶりに2ndアルバムをリリースしたのをちょい遅れてGETしたのでご紹介。

1st当時は、カナダが誇るメロハー・バンドHAREM SCAREMのフロントマン Harry Hessを中心とするFrontiers主導のメロハー・プロジェクトバンドFIRST SIGNALにギタリスト兼ベーシストとして参加したのを皮切りに、CRY OF DAWNやKRYPTONITE(The PoodlesのJakob Samuelをフィーチャー)にギタリスト兼ベーシストとして参加、Toby Hitchcockのソングライター兼ギタープレイヤーとしての参加と様々なプロジェクトで名を売り、満を持してマルチ・プレイヤーにして類稀なる才能を秘めたソングライター Michael Palace(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、Produced)がBIG TIME時代の盟友 RicK Digorio(Guitars)と共にタッグを組み、同郷HRバンドADRENALINE RUSHのリズム隊を迎えて結成された北欧メロディアスHRバンドが、Frontiers Recordsのレーベルオーナー Daniel Floresの肝いりでデビュー、と鳴り物入りな新人で注目を集めた訳だが、その1stは個人的にはA級までいかない極上のB級メロハーにもう一歩、な出来なものの、北欧特有の憂いを帯びた美旋律と伸びやかなハイトーン・ヴォーカルに分厚い爽快なコーラス、北欧お約束のキラキラ感満載の大仰なキーボードに透明感溢れフック連発のキャッチーな楽曲、そして繊細さも兼ね備えたハードエッジで徹底的にメロディアスな80年代リスペクトなHRサウンドと、デビュー作と思えぬ完成度に有望な新人バンドがデビューしたものだと嬉しくなったものでした。

で、続く本作なのですが、マルチミュージシャンが率いるバンド特有の問題がやはり発生した模様で、デビュー作に関わったメンツは既に誰もおらず、今回はプロデュースとドラムだけ元MIND'S EYEの Daniel Floresがプレイし、ゲストギタリストでCODE REDの Oscar Bromvallが一曲 "Julia"でのソロパートをプレイした他、楽曲もプレイも1st同様に殆ど Michael Palaceが独力で創り上げたアルバムとなっている。

内容の方はと言うと、北欧らしい叙情性を含みながら産業ロック、AOR、ニューウェーブ、北欧HM等の要素をバランス良く取り入れたサウンドの方向性に大まかな変化はなく、さらにメロディックに構築されたコンパクトでキャッチーな楽曲の高品質なクオリティ、幾重にも重ねられたブ厚い爽快なコーラス・ワーク、テクニカル且つスリリングなプレイで魅せるギター・ソロなど、メロハーに不可欠の要素が詰まった楽曲の数々が前作を遥かに凌駕する仕上がりなのを一聴して即確信する程で、さらにHarmonica、Alto Saxophone(これはご愛敬なプレイスキルだけど…)など前作でプレイしていなかった楽器も Michael Palaceがプレイし、QUEENっぽいタッチのメランコリックなメロディな楽曲も収録するなど前作にはなかった新要素もあって、なかなかに楽しませてくれます。

また、デビュー作では無理なハイトーンを多用していて、その上ずり気味な歌声が少々耳に触ったが、本作ではミドルレンジ中心なAOR風な楽曲にマッチしたアダルトな歌唱スタイルを多用している事もあってヴォーカルのヘナチョコさ具合は気にならなくなっている。

まぁ、ギタリスト兼任でのヴォーカルと捉えれば十分以上な問題ない上手さなのだが、フロントマンましてやマルチプレイヤーを名乗って産業ロック寄りなサウンドをプレイするとなると、どうしても一段落ちるヴォーカルの力量が気になってしまうので…(汗

ヒットポテンシャルの高いキャッチーでコンパクト、そしてハードでキレのいいメロハー・サウンドに比重を置いたサウンドだったデビュー作から、幾分落ち着いた産業ロック&AOR要素と整合性重視なポピュラーミュージックのポップス要素が強まったと言える本作のサウンドですが、個人的には定番北欧メロハー要素満載過ぎて幾分没個性に感じられた1stよりも、2ndリリースまでにCODE RED、Robin Jidhed(北欧メロハーの元祖的バンドALIENの初代フロントマン Jim Jidhedの息子)をフィーチャーしたバンドCREYE、Erika、Hank Erix、FIND ME(Featuring Robbie LeBlanc)など多方面で多くのミュージシャンやバンドとコラボした成果か、本作の方が楽曲の幅も広く完成度も高いサウンドのアルバムなのは間違いないだろう。

デビュー作で必要以上にプッシュしていた溌剌爽快要素は確かに減退しているけれど、総合的に完成度とポップさとキャッチーさは増しているので、後はHR要素が多目がいいか、産業ロック要素が多目がいいか、というリスナー側の好みで評価が変わるってとこじゃないですかね?

少々不安なのは、今後もこのメロハー要素が薄まる方向性へ進むなら、ワンマン・バンドのマルチプレイヤー一人での活動はなかなか厳しいんじゃないかと思いますけどね…一人故に完成度は上がるでしょうが、一人だからこそ楽曲のネタが尽きるのも早いだろうし、独力では作曲スピードも限られてくるでしょうし、そうそう名曲を一人の手だけで量産出来るハズもないんですから…

出来る事なら信頼出来る力強い相棒か、ちゃんとしたバンドを組んで精力的に活動をして欲しいと思う、有望な新人ミュージシャン Michael Palaceなのでした…

北欧メロハー好きは勿論、80年代のAORやSTORM、JOURNEY、NIGHT RANGER等の煌びやかなキーボードサウンドが売りのオールドスタイルなUSメロディック・ロックを好む方にも十分訴求する高品質なメロディアス作なので、華やかな80年代USサウンドへの憧憬を隠さず現代風にモダンに再構築した本作のサウンドを是非チェックしてみて下さい。




by malilion | 2019-02-06 20:32 | 音楽 | Trackback

THE NEAL MORSE BANDが、前作『THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)』の第二幕作をリリース!

c0072376_14023016.jpgTHE NEAL MORSE BAND 「The Great Adventure ~Special Edition~」'19

元SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTICの Neal Morse率いるバンド名義での3rdアルバムが3年ぶりにリリースされたので、お馴染みの限定盤(2枚組CD&DVD付キ3枚組!)を即GET!

ソロやバンドのこまめなツアーや英米問わぬシンフォ系バンドへのゲスト参加と、SPOCK'S BEARD脱退後の方が精力的に活動してるんじゃないかと思える八面六臂の活躍を続ける Neal Morseだが、やはりCCM系がメイン活動となっている故か前作『The Similitude Of A Dream 』'16 に続く同一コンセプト作の第二幕作が届けられた。

SPOCK'S BEARDから突如脱退して宗教活動に傾倒した彼らしく、英国の伝道師John Bunyan(1628年~1688)による宗教寓意物語『THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)』と言う、『破壊の都』から救済の場所である『天の都』に辿り着くまでの旅の記録の物語は、到底前作だけでは語り尽くせなかったのか、再び組曲形式の二枚組アルバムというタップリなヴォリュームで壮大なストーリーが綴られている。

メンツは前作と変わりなく、Neal Morse(G、key、Vo)、Mike Portnoy(Ds、Vo:ex-DREAM THEATER)、Randy George(B:AJALON)、Bill Hubauer(Key、Vo)、Eric Gillette(G、Vo)の5人による製作で、楽曲の方向性も前作と同系統の古典寄りなサウンドながらロック、ジャズ、クラシック等の要素をテクニカルなプレイで無理なく織り込みつつ、しっかりと今風のモダンなアップデートが成されているナチュラルなフィーリングを重視した80年代的USプログレハード・サウンドな、売りの分厚く複雑に交差する美しいコーラス(いつになく他メンバーがリードヴォーカルを披露している)は勿論、USAバンドらしからぬ叙情感タップリな美旋律、そしてキャッチーな歌メロも健在の、往年のアメリカン・プログレハード好きならば文句無く楽しめる非常に独創的でドラマチックな意欲作だ。

前作の続編と言う事で宗教色に文句を言うような輩は当然本作に手を出さぬだろうが、コンセプトが宗教色ドップリな事もあって生のストリングスを大胆に導入した如何にもCCM系音楽的な荘厳でドラマチックなシンフォニック・サウンドで隙無く本作はガッチリ構成されており、続編と言う事を意識してか前作『The Similitude Of A Dream 』で聞かれたメロディもさりげなく顔を出したりする遊び心もありつつ、YES、DREAM THEATER、STYX、SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTICを思い出させる要素を前作以上に巧みに組み合わせ、仄かにUK臭が香るダークなメロディが実に感傷的な、『大冒険』なるアルバムタイトルに相応しいダイナミックでメロディックなサウンドを迫力満点に展開していく。

また、個人的に嬉しい変化だったのが、前作で幾分か影を潜めたメタリックなサウンド要素が本作では再びクローズアップされ、とりわけリズム隊が前作以上に頑張っていて楽曲に強烈な起伏とメリハリ、そしてパワフルさを生み、それ以上に Eric Gilletteのギタープレイが大々的にフィーチャーされ、スリリングなソロパートやフィーリングタップリな叙情的なメロディ、そして攻めの邪悪なリフや物語を紡ぐような繊細なバッキングやアコースティックギターの涼やかな調べ等々、本作においては主役級の大活躍を見せており、人生において経験する葛藤や苦難、そして理想的なクリスチャンの姿へと近づいていくその過程を寓意した『THE PILGRIM'S PROGRESS』に創作インスピレーションを受けたのに相応しい、しっとり優雅な気品とウェットな情感がサウンドに漂っているだけでなく、多くの障害を克服し力強く前進しようとする人間の魂の高潔さ、そして神聖な導きに従おうとする魂の救済を描き出しているかのように感じられました(*´ω` *)

本作は二重コンセプト・アルバムで『The Similitude Of A Dream 』の続編いうコンセプトと、『Similitude』の主人公の息子、Josephを中心とした物語というコンセプトで構成されており、彼は父親の後を追うことを決心し、その過程で多くの困難に直面し、それでも進んでいく…と、いう前作の音楽とコンセプトテーマがシームレスに織り込まれた、音楽的にも叙情的にも豊かになった組曲形式のサウンドで、メインテーマである『不滅の愛』が切々と綴られていく、Neal Morseの世界観、宗教観を目一杯に味わうことができる快作と言えるだろう。

SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTIC、そしてUSAプロハード・ファンは勿論、CCM系と毛嫌いせずに Neal Morseが描き出すテクニカルでシンフォニックなピュアサウンドは、音楽ファンならが一度チェックしてみても損はありませんぜ。

ボーナスDVDには、レコーディングのメイキング映像を収録しているので、マニアはこのスペシャル盤を迷わず購入しましょう。



by malilion | 2019-02-01 13:56 | 音楽 | Trackback

フランスのシンフォ・プログHMバンドADAGIOの5作目を今頃!

c0072376_17495514.jpgADAGIO 「Life」'17

フランス出身のネオクラ系ギタリスト Stephan Forte率いる6人組シンフォニック・プログレッシヴHMバンドによる8年ぶりとなる通算5作目を今頃にご紹介。

正直、とっくに解散してると思ってました……(汗

フランスのHMは情報が殆ど届かないので…勉強不足でした…orz

ネオクラ系ギタリストがリーダーなバンドの常なのか、このバンドもフロントマンが安定せずアルバム毎にヴォーカリストが代わっている印象で、初代フロントマン David Readmanを4年でチェンジしたのを皮切りに、二代目に Gus Monsantoを迎えるものの同じく4年で脱退(後に元STRATOVARIUS Timo Tolkki率いるREVOLUTION RENAISSANCEへ参加)、三代目に Christian Palin(RANDOM EYES、ESSENCE OF SORROW、etc...)を迎えるが2年程で早々に脱退し、後任の四代目には北欧HMでお馴染みな大物ヴォーカリスト Mats Leven(TREAT、CANDLEMASS、YINGWIE MALMSTEEN、AT VANCE、THERION、etc...)を迎えるものの1年少しで脱退し、五代目に Michael Amott率いるSPIRITUAL BEGGARSへ加入した Apollo Papathanasio(MAJESTIC、TIME REQUIEM、FIREWIND)のヘルプ要員としてFIREWINDのLIVEへ招集されていたアメリカ人ヴォーカリスト Kelly“Sundown”Carpenterが迎えられて(07年来日時にサポート・シンガーを務めていたが、そのまま08年に正式加入した模様)本作は制作されている。

いずれも実力派揃いのフロントマンの後任とあってその力量が注目されるが、Kelly“Sundown”Carpenterは Mats Levenに似た濁り声が基本の上も下も幅広くカバーする抜群の歌唱力を本作で披露しており、少し荒れた歌声で熱唱する所などちょっと Mike Vescera(OBSESSION、LOUDNESS、YINGWIE MALMSTEEN、etc...)っぽいイメージと言えば伝わるだろうか?

他にもこのバンド、ドラムスやキーボーディストも今までに幾度かチェンジしていて、オリジナルメンツはリーダーの Stephan Forteとベーシストの Franck Hermannyしかおらず、さらに最新作である本作から新たにヴァイオリン奏者 Mayline Gautie嬢を迎えた6人体制になって初めてのアルバムとなっているのです。

オールドスタイルな北欧様式クラシカルHM的ダーク・メロディを基本に、モダンでドライサウンドの欧州的鈍色ヘヴィサウンドを組み込みつつ、緻密に構築されたアンサンブルと高度なテクニカルプレイ、そしてシンフォニックで重厚な音の壁が渾然一体となって劇的な物語を描きだしていく基本路線は本作でも変わっていない。

なんと言っても本作からヴァイオリン奏者がメンバーに名を連ねているので、今までキーボードオンリーだったシンフォニックなサウンド創りに厚みと艶が生まれているのは大きなプラス要素と言えるだろう。

ただ、デビュー当時から感じていた弱点も未だに克服出来ておらず、これだけ長い間をあけミッチリと作曲に時間をかけた故にか、テクニカルなプレイ中心で楽曲構成が複雑であったり、唄メロがイマイチ耳に残りにくいキャッチーなシンフォHMでない事もあって著しくポピュラリティが低く、相変わらず曲単位として決め手に欠けるといったマイナス印象は変わりないのが残念でならない。

要所要所での切れ味鋭いスリリングなメロディや圧巻の楽曲展開、ふっと現れるメランコリックで繊細なメロディ、そしてクラシカルでロマンチックな美旋律や、荘厳なシンフォ・アレンジ等々、耳を惹くパートが散りばめられているだけに、全体的にダークで難解、そして無愛想なイメージがリスナーを遠ざけているように思えるんですよねぇ…うーん、勿体ない…

もう少し楽曲をシンプルにするか、キーボードとギターの音数を減らして、せっかく加入したヴァイオリニストにもっと活躍の場を与えて、サウンドに艶やかさや甘味を与えた方が一般受けすると思うんですが、まぁ、そうするとバンドのアイデンティティにも関わってくるんで、早々簡単に方向性を変化させられないのかもしれないけど…

月並みだけど、次作こそもうちょい一般受けしそうな路線へ変更してメンツの変動なく新譜を届けて欲しいですね。




by malilion | 2019-01-31 17:42 | 音楽 | Trackback

John ElefanteのKANSAS好きにお薦め! 元ANGELICAの Jerome Mazzがソロアルバムをリリース!

c0072376_21005483.jpgJEROME MAZZA 「Outlaw Son」'18

元KANSASのフロントマン Steve Walshの最新にして最終(これで引退なんて嘘だと言って欲しい…)ソロアルバム『Black Butterfly』'17 に参加し、数曲でその John Elefanteによく似た甘いハイトーン・ヴォイスを披露した Jerome Mazzaの初ロック・ソロアルバムをちょい遅れて紹介!

Steve Walshのソロ作への参加、そしてPINNACLE POINTで素晴らしいメロハー作をリリースした Jerome Mazzaをメロハー・レーベル Escape Musicが放っておく訳もなく、こうしてソロ作リリースへの運びとなったのは我々メロハー愛好家にとって実に目出度い事であります(*´ω` *)

PINNACLE POINTでは Torben Enevoldsen(Guitars&Keyboards)を相棒にアルバム制作に臨んだ Jerome Mazzaですが、本ソロでは Steve Walshのソロ作でも尽力した北欧AORオタスケマン Tommy Denander(Guitars&Keyboards)と Steve Overland(Backing Vocals)の二人の助けを借り、本人も語るようにKANSASの影響大なキャッチーでハードタッチ、そして叙情感あるAOR風味バッチリなUSAメロディック・ロックで、お得意の爽快感抜群なハイトーンヴォーカルと分厚く美しいコーラスを十分に堪能させてくれ、ANGELICAでの彼を知るHMファンには懐かしくも嬉しい一枚と言えるでしょう。

一時HM業界から身を引きショービス世界でCMソング等の仕事をしてきた事もあってAORオタスケマン Tommy Denanderとの相性は抜群で、PINNACLE POINTより幾分テクニカルさやシンフォニックさは抑え目で、キャッチーさとポップさ、そして楽曲の整合性に重点を置いた、TOTO等の産業ロックテイストが多目な本作のモダンロック・サウンドは、モロに後期KANSASっぽく聞こえる所も多々あって個人的に近年希に見る堪らない好盤であります('(゚∀゚∩

まぁ、クレジットを見る限りEscape Music主導で Tommy Denanderと Steve Overlandの二人に楽曲を用意させて久しぶりにHM界へ復帰した Jerome Mazzaに、売れ線で彼のイメージにピッタリなハードタッチなCCM系楽曲を歌わせた企画モノ、ってトコが本作の正体なんでしょうが、届けられたアルバムの出来が良いんだから Jerome Mazzaが作曲に関わっていようといまいと些細な問題じゃないですか。ねぇ?

Jerome Mazzaが語る所によるとPINNACLE POINTの2ndの制作も殆ど終わっていて19年中にはリリースされるとの事なので、Jerome Mazzaファンとメロハー・ファンは、PINNACLE POINTの新作を首を長くして待っている事にしましょう。

John ElefanteのKANSAS好きや80年代後期USAメロディアスロック、そして90年代AORハード等がお好きな方なら一度チェックしてみても決して損はしない、そんな一枚であります。

しかし、本人もSteve Walshの後釜でKANSASへ加入したかったのね…残念だったでしょうねぇ…




by malilion | 2019-01-29 20:57 | 音楽 | Trackback

三度再始動を果たした英国AORハードAIRRACEの3rdを今頃購入!

c0072376_07220405.jpgAIRRACE 「Untold Stories」'18

11年に27年ぶりとなる再結成作の2ndをリリースしてAOR愛好家を歓喜させたものの、その後の活動は洋として知れず再び歴史の闇に消えたものと思っていた彼等が、メンツを一新して三度再始動を果たし7年ぶりにリリースした3rdアルバムを半年遅れで(今頃!)購入!

前作の27年ぶりに比べれば7年は短い(?)と捉える事も出来るけれど、正直とっくに解散したと思ってたました…(汗

まぁ、その予想は遠からずって感じで、中心人物にして唯一のオリジナルメンバーは Laurie Mansworth(G、Vo)を残すのみで、新たに女性キーボーディスト Linda嬢を含む新編成の5人組バンドへ生まれ変わっていた訳ですから。

新メンツでまず目を惹くのは、Michael Schenker率いるMSGの後期に在籍し、その他セッション参加やオタスケマン的に英米問わず様々なバンドのアルバムにそのプレイを残している、古くはAIRRACEと同期バンドLIONHEARTに在籍し、再結成したLIONHEARTに現在も在籍する Rocky Newton(B)と、Laurie Mansworthの実の息子 Dhani Mansworth(Ds)の二人でしょうか。

また注目のフロントマンの交代ですが、後にMAMA'S BOYSのフロントマンになる Keith Murrell(Vo)がAIRRACEのバンドの顔であり彼の如何にもAORにマッチするクリアーなハイトーン・ヴォーカルに代わって本作で歌声を聞かせるのは Adam Payneなる無名のヴォーカリストで、幾分かハスキーな濁り声なものの高域も無理なくカバーするパワフルな歌声を聞かせ、Keith Murrell不在を悲観する従来のファンも安心な Laurie Mansworthが見込んだ実力者と言えましょう。

アルバム聞き進む度に『この声、どっかで聞いた事ある声だなぁ』と思ってたんですが、自分にはマイナーな存在ながらメロディアスな良作をリリースしてきたUSAメロディアス・ロックバンドHYBRID ICEの初期フロントマン Galen Toye Folkeっぽい歌声(分かりにくい例えで申し訳ない!)に似て(良く聞くとそんなに似てないけど…)聞こえました。

Adam Payneの声の方が音域は幅広いし、パワフルでハスキーな濁り声なんですけどね(汗 まぁ、どうでもいいか(w

これだけインターバルが開いたにも関わらずバンドの音楽性にほぼ変化はなく、以前と変わらず産業ロック寄りの耳障りのいいメロディアスHR&AORハード作なサウンドで、UK独特のちょっと湿り気のある脳天気に成りきれぬメロディや、爽やかなフックありまくりの艶やか且つソウルフルなVoメロと分厚いヴォーカルハーモニー、今回は煌びやかさは幾分控え目なキーボードサウンド、そしてツボを心得た印象的なGリフと、派手さは無いもののポップでキャッチーでありつつ叙情感や哀愁を感じさせる美旋律満載な、正にベテランの技が随所に活かされた隙無い完成度も相変わらずで、ファンなら確実に満足する安全牌作なのは間違いなしな出来で嬉しくなってしまいました(*´ω` *)

フロントマンの声質が変化したからなのか、幾分これまでよりブルージーなテイストが強く感じられる楽曲や、ムーディな雰囲気を持つ楽曲が多く収録されているように感じられるものの、デビュー当時とは時代も違うし既にメンツも全員違うんだし当然っちゃあ当然な訳で、むしろ洗練され過ぎた産業ロック&AORサウンドに、今まで余り感じさせなかった若干ワイルドでダーティーなHRテイストが新しくバンドサウンドに加えられた事によって、アルバム全体がパワフルでナチュラルなトーンの印象を持ち、新たなイメージの音像を得る事に成功しているように思う。

FOREIGNERをはじめお馴染み産業ロック系全般や、LIONHEART、FM、SHY、GRAND PRIX等のUKメロハーバンド群、そして新たに加わったテイストとしてWHITESNAKEやLED ZEPPELIN風味も実に興味深く、メロディアス系愛好家な方はきっと耳を惹くメロディがある良作ですので迷わず購入して間違いはありませんよ、って半年も経って何を今更な話ですな(w

願わくば今度こそ精力的な活動を維持して欲しいものであります。




by malilion | 2019-01-28 07:14 | 音楽 | Trackback

オセアニアン・シンフォの新星ANUBIS、活動15年の節目にユーロ・ツアーの模様を伝えるLIVE作をリリース!

c0072376_16210105.jpgANUBIS 「Lights Of Change (Live In Europe 2018)」'19

オーストラリアというプログレ&シンフォ不毛の地からデビューした期待の新星で、key入りトリプルG編成6人組の、前作の再録アルバムより1年ぶりとなる新譜は、15年リリースの十周年記念LIVE盤に続くLIVE盤が早くもリリースされ驚かされた!

なんだかんだで既に活動15年目を迎える彼等も中堅的存在になりつつある訳だが、後続でめぼしいバンドが続かないので未だに期待の新星扱いなのが、ちょっと悲しい…

さて、本作は故郷に錦を飾った十周年記念LIVE盤とは違い、18年のユーロ・サマーツアーの模様から抜粋された2枚組LIVE盤で、Disc1にはドイツでの野外フェス(7/15、Loreley Amphitheatreで開催されたProg Festivalでのほぼ全セットを収録)での熱演を、Disc2にはソールドアウトとなったオランダの有名クラブt Blok(7/8、Nieuwerkerkで開催されたProgfrog公演の後半を収録)での模様を収録した、ある種彼等にとっての海外遠征記念盤と言えよう。

メンツは前作と変わらず不動の6ピース(現体制になって5年目)で、バンド一丸となってロマンチックな情感を織り成すアンサンブル、売りの分厚く華麗なコーラスやトリプルギターの利を活かした分厚いバッキング、そしてLIVEだと二割増しで大活躍する David Eatonのリリカルで優美、そしてシンフォニックで柔和なキーボードの音色が、アルバムより一層にハードタッチな色合いが強くなるLIVEサウンドに潤いと艶やかさ、さらに透明感を与え、スタジオアルバムとまた趣を変えた一味違うスリリングでラフな魅力あるサウンドを奏でる様子が伝わってくる好盤だ。

MARILLIONっぽいロングトーンの透明感ある繊細なギターの音色の裏で邪悪に蠢くHR的なベースの存在感や、頑張ってアルバムの再現を保っている Robert James Mouldingのハイトーン・ヴォーカル、そして手数よりタイトさやグルーヴに重きを置いたシンフォ&プログレ系的には異端なHR的ドラムス(なのに音が軽ぅいのは…MIX具合のせい?)と、いい意味でLIVEならではの味やノリが変拍子やテクニカルなプレイを巧みに交差させ複雑な展開をみせるサウンドに勢いを与えていて、近作でのシンフォ度が増してマッタリ感ばかりを強く感じるサウンドに少々残念な思いもあった彼等でしたが、初期からの持ち味であったHR的スピードや攻撃性が本LIVE作ではチラリチラリと垣間見えて個人的には大変嬉しかったですね(*´ω` *)

また、本LIVE作の最大の売りは、デビュー作の映画サントラみたいなイマイチなサウンドに一気にHRタッチが加わってパワフルなハード・シンフォサウンドを奏でるバンドへ生まれ変わり彼等の人気に火がついた、個人的にも大好きな2nd『A Tower Of Silence』'11 をアルバム順通りプレイする丸ごと再現というバンド史上初のフルパフォーマンスを収録しており、スタジオ作以上にロマンチックでセンチメンタル、そしてLIVEを経て磨き抜かれ、より神秘的で完成度の高まった美しくもシャープなシンフォサウンドを奏でる見事な様は、正にファンならずとも感無量といったところでしょう。

シンフォ系のLIVE作なんだから当然なんですが、LIVE作と言うには余りにお行儀が良く、ついHRバンドのワイルドで熱くアグレッシヴなLIVE作と比べてしまう自分が間違っていると重々承知(けどメンバーの風貌はハードロッカー臭いんだよなぁw)しておりますが、もうちょいLIVEならではの原曲の崩しやアレンジをガラリと変えたLIVEバージョンの楽曲なんかの熱演も聞きたかったなぁ、なんて無い物ネダリをしてしまうくらいしか文句のつけようがない本作ですので、ファンなら勿論のこと、透明感ある壮大なオセアニアン・シンフォ好きな方や、ユーロ・シンフォ程暗くシリアスでなく、USAシンフォ程パワフルでヘヴィでもない一風変わった彼等の生の音を、是非ともシンフォ好きな方に一度チェックして貰いたいですね。



by malilion | 2019-01-27 16:15 | 音楽 | Trackback

John ElefanteのKANSAS好きにお薦め! 元ANGELICAの Jerome Mazz率いる新プロジェクトPINNACLE POINTがデビュー!

c0072376_17404430.jpgPINNACLE POINT 「Winds of Change」'17

以前ここでも紹介したCCM系USHMプロジェクトANGELICAの2ndに参加していた二代目ヴォーカリスト Jerome Mazzが新プロジェクトを立ち上げ、KASNASファンをはじめ80年代USAプログ・ハード好きな諸兄なら気に入る事間違いないなアルバムをリリースしていたとの情報を今頃(汗)小耳に挟み、1年遅れで購入してみた。

最近のJerome Mazzのトピックは、Steve Walshの久しぶりのソロ作にゲスト参加した事だと思っていたら、新プロジェクトを立ち上げてちゃんと自身のキャリアも追求していたんですね。

しかも、つい最近アノ北欧オタスケマンTommy Denanderのバックアップの元にソロアルバムもリリースしてるし…アンテナ低すぎだろ…自分…orz

本作は、ANGELICA以降セッションシンガーとして大手会社のCMソングなどで美声を披露していたもののロックシーンからは遠ざかっていた Jerome Mazz(Vocals、Keyboards)が、ACACIA AVENUE、SECTION A、FATE等の様々なバンドやプロジェクトで精力的に活動を続けているギターリスト Torben Enevoldsen(Guitars、Keyboards、Bass)と意気投合して2015年に二人を中心に結成されたニュー・プロジェクトのデビュー作で、気になる参加メンツは、ドラムに Torben Enevoldsenのバンドやプロジェクト等でお馴染みな Dennis Hansenが迎えられ、この三人がコアメンバーとなり、楽曲により複数のキーボーディストや Cara-C嬢なるヴァイオリニストを迎えて収録曲は録音されている。

基本的にほぼ全ての作曲をベテラン Torben Enevoldsenが手がけている事もあって、Jerome Mazzの John Elefanteによく似たクリアーで甘口なハイトーン・ヴォーカルの魅力を十二分に活かした、ポップでキャッチーでありながらAOR風な軟弱なサウンドへ傾ききらぬようしっかりハードなエッジで楽曲がピリリと引き締められた極上のメロディック・ロックサウンドによってアルバムは埋め尽くされていて、KANSAS、STYX、JOURNEY、TOTO、YES、ASIA、EL&P、さらにDEEP PURPLEやRAINBOW等の影響まで窺える、産業ロック&プログレ・ハード好きが小躍りするだろう、良く練り上げられたベテランの技とキャリアがしっかり封入された、爽快感抜群なコーラスやスリリリングでテクニカルなプレイや、薫り立つような叙情感豊かでフック満載な楽曲群には、本当に素晴らしいという手放しの賞賛の言葉しか思い浮かばないのであります(*´ω` *)

CCM系と言う事でかイマイチ知名度が低く、ANGELICAがマイナーな存在だった事や、プロモーションも精力的でないせいもあってか余りにも注目度が低すぎる新プロジェクトではありますが、上記の影響を感じさせるバンド達の名前や、John ElefanteのKANSAS好き(もうKANSASチックなヴァイオリンが最高!)な80年代中期USAプログレ・ハード愛好家に是非ともお薦めしたい、そんな一枚なのです♪('(゚∀゚∩

ユーロ圏ロックよりリリカルさが少々足りないとか、ドライでレンジが狭いサウンドが好みじゃない、とか色々とKANSAS臭過ぎるとか、多々難癖つける事は出来るでしょうけど、個人的にはこのアルバムには大満足しております(*´ω` *)

しかし、本作のヒットポテンシャルの高い爽快サウンドと艶やかで情感深い Jerome Mazzのクリアーな歌声を聞くにつけ、KANSASは Steve Walshの後釜に、元SHOOTING STARの Ronnie Plattじゃなくて彼を迎え入れれば良かったのに…とか、勝手な事を宣ってしまいたくなってしまいます…

まぁ、余りにも Steve Walshや John Elefanteっぽい歌声だから、あえて避けたとも考えられるけど…(汗



by malilion | 2018-12-31 17:34 | 音楽 | Trackback

John Payneの別名義ASIA? いいえ、新バンドDUKES OF THE ORIENTのデビュー作です。

c0072376_15453563.jpgDUKES OF THE ORIENT 「Same」'18

後期ASIA、GPSのヴォーカリスト兼マルチ・プレイヤーである John PayneとLANA LANEや90年代に数多くのプログレ・プロジェクトやプロデュース業で名を馳せたキーボーディスト Errik Norlanderによる双頭プロジェクトのデビュー作(メンバー・フォトではツインギター&キーボード入り5人組)がリリースされたのを、かなぁーり遅れてGET!

本作がリリースされるまでのゴタゴタやバンド名についての一連の騒動、そして新譜情報だけは John Payneの口から伝えられるのに一向にリリースされる気配もなく、内容と全く関係ない権利関係やメンバーの入れ替わり問題ばかりが話題になっていたアルバムがやっとリリースされ John Payneファンな方々は今頃は胸を撫で下ろしている事でしょう。

一時期 John PayneのASIAとオリジナルメンツが再集結したASIAが存在してファンが困惑したり、後期ASIA在籍メンツによる新バンドGPS(キーボードはSPOCK'S BEARDの奥本亮)が結成され新譜がリリースされたり、GPSとは別にASIA featuring John Payne(キーボードは Errik Norlander)なる別名義で新譜『Americana』をリリースする、という情報やらが錯綜し、結局ASIA featuring John Payneはカヴァー・アルバムしかリリース出来ず、オリジナルASIAは順調に新譜をリリース(Geoff Downesの裏切りっぷりが、また…)する、というなんともドロついた政治力が蠢いているのが透け見える状況やらに、不遇な90年代のASIAを支えてきた John Payneに対して余りな仕打ちじゃ無いか、と憤慨していたファンは少なくないはず。

結果から言って John Wettonを中心に再集結したオリジナルASIAは期待に反して碌なモンじゃないアルバムしかリリース出来ず、そうこうする内にJohn Wettonが鬼籍になってオリジナルASIAは終わり、という皮肉めいた結末(Carl PalmerはEL&Pの方を取った訳だ。そりゃボスになれるんだし、当然か)を迎えた事を考えると、一連の騒動に足を引っ張られて思うような活動が出来無かった John Payneには、今度こそ頑張って活動してもらいたいと願わずにはおれないのです…

さて、本作はASIA featuring John PayneからDUKES OF THE ORIENT(東洋の公爵達)に改名したかのような作品で、これまでに後期ASIA、GPSに関わったメンバーばかり(ギタリストがズラリ、勢揃い)がアルバムにはクレジットされている。

音楽性もAOR風味の増した後期ASIAから、そのまま音楽性を引き継いでHMテイストを加味したGPSのサウンド要素を多分に含んでいて、実際本作を耳にした方なら『コレなら改名する必要があったの?』と、素朴な疑問を誰でも抱く事だろう。

まぁ、ASIAの名前は権利的に面倒だし、さっさと新バンドとして活動を開始した方がいい、と踏んでの名義変更だろうが、GPSがイマイチ受けなかったからとは言え、見切りが早いなぁ、とビジネスライクな行動にちょっと感心してしまう…(汗

で、そういった内容以外の話題に事欠かない本作だが、その内容の方はと言うと、後期ASIAからお馴染みな John Payneの持ち味であるAORテイストを多分に含み、ハスキーな声で力強く歌い上げるディープ・ヴォイスの魅力が活かされたメロディックでキャッチーなUKプログレッシヴ・ポップロック的音像に、Errik Norlanderらしい壮大でシンフォニックなキーボード・オーケストレーションを加えた音楽性で、コンパクトでありながら叙情的な美旋律を全面に押し出した初期ASIAテイストも幾分か感じさせる(確実に Errik Norlanderは確信犯だ)ドラマティックでハードなスケールの大きいサウンドは、劇的な展開とベテランならではの構築美で隙無く纏め上げられており、もしASIAがオリジナルメンツでの再結成などという愚行を行わなかったならば、きっと『Silent Nation』'04 に続く新譜はこんなサウンドになったんじゃないか、と想像させるに十分なクオリティと完成度だ。

良く言えば後期ASIAを受け継いだ、悪く言えば後期ASIAの焼き直し、とも言えるが、最早 John Payneと Geoff Downesの和解は無いだろうし、必要も無いだろうし、John Payneファンとしては、彼がAORテイストあるウェットでメロディアスな良質のロック・アルバムをリリースさえしてくれさえすればもうメンツに拘らないので、願わくばどうかこの十数年の空白を埋めるような精力的な活動を John Payneには続けて欲しいものであります…



by malilion | 2018-12-24 15:38 | 音楽 | Trackback