人気ブログランキング |

フランスのベテラン・プログレ・バンドMINIMUM VITALの新譜をご紹介。

フランスのベテラン・プログレ・バンドMINIMUM VITALの新譜をご紹介。_c0072376_14241645.jpgMINIMUM VITAL 「Air Caravan」'19

双子のマルチ・プレイヤー Payssan兄弟(KeyとG)を中心に、80年代から地道に活躍するフランスのマイナー・プログレ・バンド4年ぶりとなる8thアルバムが去年年末にリリースされていたのを今頃にGET!

前作はゲスト演奏者を数名招いていたが、本作は再びメンバー4名だけのプレイとなっており、メンツ変更以降は変化は無く以下の通り。

Jean-Luc Payssan (Guitares、Percussions、Vocals)
Thierry Payssan  (Keyboards、Percussions、Metallophone、Vocals)
Eric Rebeyrol   (Bass、Horn)
Charly Berna   (Drums)

内容の方はと言うと、これまで通り、中世トラッドや古楽、地中海音楽や民族音楽等を織り交ぜ、YESやGRYPHON、JETHRO TULL、そして Mike Oldfield等の影響を感じさせるフォーキー・サウンドは、80年代のデビューからアルバム毎に様々な変化を見せ、ダークなシンフォ・サウンドに偏ったり、ポップなコンテンポラリー・サウンドに接近したりしつつも、本作でもトレードマークの古楽器を扱って紡ぐ独特なリズムを伴った魅力的な楽曲で楽しませてくれる。

ただ、前作は殆どヴォーカル・パートが無いインスト作であった反動か、今作はいつになくヴォーカル・パートが充実しており、ヘタウマなオッサン声、良く言うとジェントリー系ヴォーカル(汗)がかなりフィーチャーされ、さらに前作で強く感じられたGRYPHON風な古楽サウンドは幾分抑え気味で、変わってクリアーでエレクトリックなフュージョン的サウンドが大きく前面に押し出された、歌モノ要素だけはいただけない(汗)もののインテリジェンスなセンスが香るスタイリッシュなサウンドへと変化している。

そういった方向性の変化も関係してか、前作では獣人が森の中で楽器を奏でている如何にもプログレ系らしいファンタジックなジャケットだったのに対して、本作は楽器フォトをカラフルにモザイク画のように組み合わせたコラージュ風ジャケになっており、その点からも本作の内容がある程度察せられるのではないだろうか?

中世や南ヨーロッパの伝統的な音楽要素が薄まったのに比例して、ワールド・ミュージック風なサウンドタッチや、ミステリアスなアラビック・メロディやイタリア・ナポリの舞曲タランテラを想わせる速く、軽快で、激しいリズムを導入したりと、時にエキゾチックなフレーズが軽やかに舞い、時にコミカルなフレーズが朗らかに踊るだけでなく、プログレらしく変拍子も用いたテクニカルなアプローチも垣間見せるなどいつにも増してリズム・パターンが豊富で、これが一風変わった彼等なりのスタイリッシュなフュージョン・アプローチなのだろう。

ググッとギターのシャープなエレクトリック・サウンドがクローズアップされたフュージョン・サウンドに接近した緻密なプレイに一糸乱れぬアンサンブルと楽曲アレンジの妙は流石にベテランといった独創的な表現だし、前作までいつもチープなシンセサンプルだったりがトレードマークでもあった彼等だが、やっと本作においてはそういった否定的な印象を与えるサウンドが払拭(完全にではないけれど…)されたのも本作への好印象を増させる要因の一つのように思えます(*´ω` *)

プログレ的な革新性やロック的なパワフルさ、そしてシンフォ的な音の厚みは望むべくもないが、それらと別方向で古楽器とエレクトリック楽器を組み合わせて奏でる開放感あるシャープなフュージョン風サウンドが心地よい、様々な音楽要素のテクスチャーがモザイク画のように交差するインテリジェンス香るサウンドが楽しめる一作ですので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみて下さい。



# by malilion | 2020-03-31 14:17 | 音楽 | Trackback

オセアニアの星 ANUBISが1年ぶりとなる新作をリリース!

オセアニアの星 ANUBISが1年ぶりとなる新作をリリース!_c0072376_09281549.jpgANUBIS 「Homeless」'20

Key入りトリプルG編成6人組のオーストラリア期待の新星が行ったユーロ圏サーキットの模様を伝えた19年のLIVEアルバムより1年ぶりとなる6thアルバムが早くも届けられたのを、ちょい遅れてGET!

メンツは前作と変わらず不動の6ピースで、以下の通り。

Robert James Moulding (Lead Vocals、Acoustic Guitar、Percussion)
Dean Bennison     (Acoustic & Slide Guitars、Clarinet、Vocals、Mixing)
Douglas Skene     (Acoustic & Jazz Guitars、Vocals)
David Eaton      (Piano、Organs、Keyboards、Acoustic Guitars、Laud、Strings、Melodica、Vocals)
Anthony Stewart    (Bass、Vocals)
Steve Eaton      (Drums、Percussion、Vocals)

バンド一丸となってロマンチックな情感を織り成すアンサンブル、売りの分厚く華麗なコーラスやトリプルギターの利を活かした分厚いバッキング、華麗な鍵盤捌きを魅せる David Eatonのリリカルでシンフォニック、そして様々な物語を予感させるシネマティックなシンセワークは時にダークに時に艶やかにと万華鏡のようにカラフルで、移りゆく感情をハードタッチからウットリする繊細な音色で紡ぐ Dean Bennisonのセンチメンタルでエモーショナルなギタープレイは斬れ味と深味を増しその存在感は抜群で、さらに前作まで古典的なシンフォ・サウンドやHRサウンドに寄っていたバンドサウンドに明らかな変化の兆しが伺え、新たな領域にバンドが踏み込んだのが分かる意欲作だ。

『Homeless』とは、なかなかヘヴィなアルバムタイトルだが、意外にも本作はコンセプトアルバムではない。

アルバムは非常にANUBISらしいキャッチーな歌メロと壮大でドラマッチクなサウンドで構成されおり、『現在の我々が暮らす世界について』という基本テーマで楽曲は綴られている。

テクノロジーへの依存度ばかり高まる時流や、格差と貧困の増大が進む世界、蔓延するポピュリズムから環境崩壊問題まで、選ばれたリーダー達の空虚な『想いや祈り』から、悟りや共感、そして心の探求を進める個人など様々なストーリーが、メロディアスな調べに乗って胸焦がすセンチメンタル・サウンドで語られていく。

“らしい”とは言ってもこれまでと全く同一ではなく、一聴して気付くのは、前作までは抑え目だったが本作で再び1st時のサントラ的な楽曲アプローチが取り入れられ、しかもデジタリーにヴォーカルを加工した歌声や意図的に無機質な打ち込みサウンドやノイズ等も駆使して断片的な情景を交差させ物語を示唆する手法を駆使したり、2nd以降のキャッチーでメロディアスなシンフォ路線を前作までである程度完成させた自信からか、実験的なダークでヘヴィな鈍色モダン・サウンドを用いた表現を試みている点だろう。

これまで通りにエモーショナルでキャッチーなメロディとテクニカルなインストルメンタル・パートで楽曲は構成されているが、以前よりもストーリー性を帯びた楽曲の為かコンパクト感が少々後退し、歌メロのキャッチーさも少々薄れて(それでシンフォ系としては十分以上にポップなフックがある)感じるものの、彼等の持ち味であるHR的にスリリングでオセアニアン・シンフォらしい透明感あるサウンドの魅力をいささかも曇らせては居ないので、これまでの彼等のサウンドが好きだった方にも安心してお薦め出来る一作と言えます。

また、紡がれるメロディはいつにも増して艶やかでセンチメンタルだが、ドラマチックな演出効果を強める為か以前よりもリズム隊のソリッドでテクニカルなプレイが全面に押し出されているパートが多く耳につき、期せずして楽曲が以前よりも立体的に感じられ、シンフォニックでテクニカルなメロディの上へ様々なドラマの断片がまぶされた、これまでで一番奥行きのあるサウンド創りがなされており、聞けば聞くほど味わい深くイマジネーションが刺激されるアルバムだ。

特筆すべきはラスト・トラックで、5分台ちょっとの長さなれど、ストリングス・オーケストラをフィーチャーし、美声の女性バッキング・ヴォーカルも加えて壮大にして繊細なサウンドが艶光る、これまでの彼等の楽曲中で随一に物憂げでロマンチックな美旋律を儚げに響かせ、美しく静かにアルバムは幕を閉じる所など、ホント堪りません♪('(゚∀゚∩

彼等のファンのみならず、叙情感あるユーロ圏のシンフォ系バンドをお好みな方に是非にチェックしてもらいたい、神秘的で壮大さを感じさせるとても優美な一曲であります(*´ω` *)

全曲捨て曲が見当たらぬ充実の一作なのですが、シネマチックでスケールの大きさを感じさせる楽曲の多くがフェードアウト気味にアッサリ終わってしまう(物語の場面展開的な演出を意図して?)点だけに少々不満を感じるくらいしか文句が思い浮かばない、総じて文句無い仕上がりと言えましょう。


P.S.
ProgTokyo 2020 Spring にて来日(5月4日)するらしいけど、このご時世に大丈夫なのだろうか?
まぁ、イベント自体が中止になりそうだけど…(ツд`)



# by malilion | 2020-03-30 09:21 | 音楽 | Trackback

マイナーなUSA産プログレ・ハードバンドMORNINGSTARのリイシュー作もご紹介。

マイナーなUSA産プログレ・ハードバンドMORNINGSTARのリイシュー作もご紹介。_c0072376_11405744.jpgMORNINGSTAR 「Same」'78

再発でお馴染みな英国のRock Candyのリイシューついでにこちら、マイナーなUSA産5人組プログレ・ハードバンドのデビュー作もご紹介。

78年度リリースのデビュー作にボーナストラック2曲(未発表曲)を追加収録して2018年度Remastered盤でのリリースとなっている。

USAカンサスシティー出身で同郷先輩バンドにアメリカン・プログレ・ハードの王者KANSASが居るが、彼等のサウンドはKANSASの弟分バンドと呼ばれヴァイオリンをフィーチャーした似たサウンドでデビューしたSHOOTING STARとは異なり、もっとアメリカン・ロックの要素が色濃く、サザン・ロック風やウェストコースト・ロック風、果てはカントリーやファンクにブギー風味まで感じさせる楽曲を含み、ラフでワイルドなプレイが主体でプログレ的な技巧派プレイやウェットなメロディや繊細さも薄味なのもあって、彼等の演る音楽をアメリカン・プログレ・ハードとみなさないUSグレ・ハードファンも多いのが現実です。

バンドメンツは以下の通りで

Greg Leech    (Bass、Synthesizer)
Greg Harris   (Drums、Percussion、Backing Vocals)
Rick Bacus    (Lead Vocals、Guitars、Keyboards)
Michael Edmunds (Lead Vocals、Guitars)
Jerry Chambers  (Guitars、Backing Vocals)

兼任ながら鍵盤奏者を複数含み、ギターも3本という如何にもな構成に加え、ツイン・ヴォーカルをメインにUSバンドらしい分厚く爽やかなコーラスを活かし、抜けの良い爽快なメロディとカラフルな楽曲は総じてキャッチーでフックがあり、大手メジャーからのデビューとあって音質的にも万全の仕上がりで、プログレ・ハードバンドとしての資質は見た目だけで言えばバッチリだったのになぁ…(汗

ただ、当時バンドはSTYXと交流があったらしく、コーラス多目な総じてキャッチーでポップな楽曲や、ストレートで豪快なロックンロール風と叙情感あるユーロ風バラード曲との対比でアルバムを構成する手法がSTYXに通じるものがあると当時から言われていたのを鑑みるに、彼らは本拠地がカンサスシティーなものの他の同郷バンド達と違って音楽的なバックボーンにUKプログレは無く、UKプログレ要素を巧く咀嚼してUSロックとMIXさせ独自の音楽を創り上げたSTYXがお手本にあったのではないかと察せられます。

つまりプログレ・ハードであるのに欠かせぬ要素の1つであるユーロ圏風のウェットなメロディやキーボード主導の繊細な楽曲構成をSTYXから受け継いでいると言えるので、まぁ大まかに言って彼等のサウンドもをアメリカン・プログレ・ハードと捉えても、間違いではないんじゃないかと……

実際、そんなUSA風味が強過ぎるプログレ・ハード・サウンドだったのが関係したのか、STARCASTLEやTRILLION等と共に第二次USプログレ・ハード勢として大手米Columbiaから本作はリリースされたにも関わらずチャートアクションは全く奮わず、ヒット曲のカヴァーを2曲も取り入れさらにポップ化が加速した2ndアルバム『Venus』'79 でも状況は変わらず、プログレ・ハード衰退期の70年代後期デビューが大きく関係したのか結局彼等の活動は実を結ぶこと無く、人知れず歴史の闇の中へ消えていったのでした…

そういう事もあって彼等の評価はイマイチ芳しくなく、当然ここ日本でも知る人ぞ知るマニアックな存在であり、98年に世界初CD化で国内のみで発売されたアルバム2枚は現在では国内でも廃盤で長らく入手困難な状態となっておりましたが、Rock Candyからの18年リイシューでやっと世界的に流通する再発アルバムと相成ったので、後は再評価されるのを待つばかりかな、と…

内容の如何はご自身の耳で判断していただくとしても、Remastered効果でサウンドはクリアで聞きやすく、そしてパワフルにリフレッシュされているのと、目玉に1st制作前、制作時に創られたとい未発表曲『Gentlemen Of Fortune』『Remember When』の2曲を収録しているので、国内盤をお持ちの方も本作に手を出しても損はありませんぜ。

2nd『Venus』のRemasteredリイシュー盤にはボートラが無いのが悲しいです…デモ・テイクでもなんでも追加収録してくれたらよかったのに…(ツд`)

STARCASTLE、TRILLION、KANSAS、STYX、REO Speedwagon、ROADMASTERのファンなんかにもお薦めしたい、隠れたUSAプログレ・ハードバンドの1つであります。

バンド解散後のメンバーは、そのままカンザスシティに居続け新バンドを結成したり、バンドを転々としたりと音楽シーンに関わり続ける者や、音楽業界から足を洗う者、他の州へ移り住む者などと多種多様な生き様を送っている模様だ。

あ、現在他にもメタル・トリオバンドやHRバンドなんかで同じ名前のバンドが複数存在するようですので、もし彼等のアルバムをご購入の際にはご注意を。



# by malilion | 2020-03-28 11:34 | 音楽 | Trackback

カナダのプログレHRバンドZONのデビュー作が20年最新リマスタード盤でリイシュー!

カナダのプログレHRバンドZONのデビュー作が20年最新リマスタード盤でリイシュー!_c0072376_11575063.jpgZON 「Astral Projector」'78

77年にCANADAのTorontoで結成結成されたプログレッシヴHRバンドのデビュー作が20年度RemasteredでリイシューされたのでGET!

81年に解散するまでにアルバム3枚を発表し、Kim Hunt(Drums:HANOVER、URGENT、MOXY)や Howard Helm(Keyboards:REFUGEE)らメンバーが後に有名バンドへ加入し音楽シーンで幅広く活躍する事や、70年代後期プログレHRの名作と呼ばれるだけあって若かりし頃の Howard Helmの卓越した鍵盤捌きが堪能出来る事でも有名なバンドだ。

05年に『Astral Projector』'78と『Back Down To Earth』'79の1st&2ndを2枚組CDとしてEscape Musicがリイシューした事があるので、彼等のサウンドを耳にした事がある方も多いかもしれない。

今回は、再発でお馴染みな英国のRock Candyからオリジナル・デビューアルバムにボーナストラック4曲(未発表曲含む)を追加収録しての2020年度最新Remastered盤となっている。

サウンドの方は当時70年代後半から80年代中頃まで流行っていたSTYX、KANSAS、BOSTON等と同じコーラスを活かしたメロディアスでキャッチーでポップなアメリカン・プログレ・ハードと呼ばれるメインストリーム寄りのサウンドを演っており、カナダのバンドらしいユーロ圏に近い叙情感や透明感、そしてUSロックっぽい豪快でカラッと抜けの良い爽快感が程良くMIXされた楽曲は、今の耳で聞いても実に心地よいのです(*´ω` *)

聞き所は、やはり Howard Helmが多種多様なキーボードやシンセを駆使して鮮やかにバンドサウンドを彩る英国70年代プログレ・バンド張りにテクニカルなキーボードプレイ(古臭いサンプルがもう堪りません♪)でしょう。

地味に Howard Helmのキーボードワーク、特にオルガン等からHEEP等の70年代英国HRサウンドからの影響(今回収録の未発表曲がリズム隊のプレイもHEEPっぽくて個人的にグゥ♪)も感じられる点も面白く、そして味わい深いですね。

メンバーは解散するまで変動は無く、以下の通り。

Denton Young (Lead Vocal、Percussion、Cello、Drums)
Brian Miller (Guitars、Vocals)
Howard Helm (Acoustic & Electric pianos、Organ、MiniMoog、PolyMoog、Davolisint、Solina、Clavinet、Vocals)
Jim Sampson (Bass)
Kim Hunt (Drums、Percussion)

ZON解散後に、ヴォーカリストの Denton Youngは同郷である Rik Emmettのソロ作品に参加し、ドラマーの Kim HuntはHANOVER、URGENT、MOXY、とバンドを渡り歩き、キーボードの Howard Helmはカナダの新バンドMICHAEL FURYへ加入、そのバンドが後にREFUGEEへと変貌を遂げる事になる。

ベーシストの Jim Sampsonも後にMOXYへ加入、唯一ギタリストの Brian Millerだけトロントのギターショップ勤めへと業界から足を洗う堅実な選択を。

Howard Helmは88年には、Mick Ronsonと Ian Hunterのツアー・キーボーディストとして雇われ、その後4年間世界ツアーを行った後、プロレスのテーマ曲やTVCMの作曲などスタジオ作業メインの裏方へ回り、セッション・ミュージシャンとして今もキーボードを演奏し続けている。

全く関係ないけど Denton Youngの歌声聞くとHEEPの四代目フロントマン Peter Goalbyを思い出してしまう。声質は違うけど、なんか歌い方が似てるからかなぁ…? 謎ですわ…

さて、注目のボートラですが、

Track List:
01. Put on the Show
02. Time for Your Love
03. Point of View/Where to Spend My Dollars
04. Man in the Mirror
05. Talkin' About
06. Melody
07. On the Road
08. Astral Projector
09. Hollywood

Bonus Tracks:
10. Astral Projector (Alternate Take)
11. The Battle (Unreleased Track)
12. Hollywood (Full version)
13. On the Road (Alternate Take)

となっております。

『Hollywood』のフルバージョンは、アルバムバージョンではバッサリとカット(涙)されている Brian Millerのギターが5分程大活躍する導入部分の長くヘヴィなパートがフィーチャーされており、全体的にプログレ寄りなスケール感ある仕上がりとなっており聴き応え抜群ですね。

この勢いで一気にシンセポップへ傾倒した2ndや一番アメリカンなテイストが強いハードドライヴィンでポップでキャッチー、そしてオサレな感触が強い3rd『I'm Worried About The Boys』もリイシューして欲しいなぁ~
3rdはやっぱりレーベルの問題やマスターテープの所在とかに問題あって難しいんですかねぇ…

03年に、ZONの元メンバーは、バンドのバックカタログのCD再発に合わせ、Howard Helmを中心に新しいスタジオアルバムの制作を検討したらしいが、結局実現しなかった(涙

そうこうしているウチに、ギタリストの Brian Millerは2015年9月28日、トロントで癌との闘病の末、60歳で死去してしまう…R.I.P.

こうしてオリジナルメンバーでの再結成は永遠に不可能となってしまった……orz

今回の未発音源に興味がそそられなかった方でも、オリジナル・アルバムのサウンドが実にクリアでパワフル(ベースとドラムサウンドがクッキリ!)になっておりリマスター効果バッチリなので、オリジナルLPや以前のCDアルバムを所有している方でも是非一度本作をチェックしてみてください。



# by malilion | 2020-03-27 11:50 | 音楽 | Trackback

Lee Abrahamをはじめ英国プログレ系ミュージシャンが集っての新プロジェクトなれど、内容は80年代リスペクト薫るキャッチーなUKポップ作!

Lee Abrahamをはじめ英国プログレ系ミュージシャンが集っての新プロジェクトなれど、内容は80年代リスペクト薫るキャッチーなUKポップ作!_c0072376_08142235.jpgARRIVAL 「Light From A Dying Star」'20

現GALAHADのギタリスト Lee Abraham(Guitars、Keyboards、Bass、Backing Vocals)、COSMOGRAFのドラマー Kyle Fenton(Drums、Keyboards、Backing Vocals)、RUSHトリビュート・バンドR2やKEPLER TENのベーシスト&ヴォーカルである James Durand(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards)による英国産メロディアス・ロック・プロジェクトのデビュー音源を少々遅れてGET!

本作をディストリビューションしているGravity Dream Musicは、英国産ワンマン・プログレ・プロジェクトCOSMOGRAFのマルチ・インストゥルメンタリスト Robin Armstrongによって19年に設立された新規インディペンデント・レコード・レーベル(プログレ、HM、アート・ロック等のバンドやアーティストの活動を支援している)で、これまで Robin Armstrongは Lee Abrahamのソロ・アルバム制作に複数回関わった事やCOSMOGRAFのドラマー Kyle Fentonが関わったプロジェクトである事から、本作がGravity Dream Musicからリリースされる運びとなったのだろう。

Lee Abrahamの5thソロ『Distant Days』制作前後の12年頃から本作のレコーディングが開始されたものの、彼のソロ活動やGALAHADへの復帰等で時間が取れなかったのか、COSMOGRAFの活動が多忙だったのか、13年頃には制作が完了していたにも関わらず今に至るまで未リリースであった。

ハッキリとした理由は明かされていないが、アルバムの出来は決してお蔵入り未発音源にして良いレベルではなく、本作をリリースへ導いてくれた Robin Armstrongには感謝してもしきれないくらいだ(*´ω` *)

Lee Abraham関係と言う事で手を出してみたが予想以上に良い出来で、プログレ系ミュージシャン・トリオによる新バンドという情報や、無愛想なアルバム・ジャケから受ける印象と内容は大きく異なり、全編に渡って如何にも英国産というウェットなメロディが光るヴォーカル・オリエンテッドな80年代風AOR&メロディアス・ロックを繰り広げており、メンバー全員によるキャッチーなコーラス、エッジを保ちつつ爽快感あるギター、ソツなく楽曲を盛り上げるアレンジの効いた透明感ある煌びやかなキーボードと、キャリア十分なミュージシャンが揃っただけあって素晴らしいプロダクションのサウンドで、それもそのはず Lee Abrahamのソロ作やGALAHADでお馴染みの Karl Groomの手によるマスタリングとなっており、スタジオワークにも細心の注意を払ったベテランらしい高品質なアルバムで、一体何がこんなに素晴らしい本作のリリースを躊躇わせたのかその理由が気になって仕方が無い。

ちょっと聞きは普通のUKポップロックなサウンドだが、じっくり聞き込むとキャッチーなサウンドとポップなヴォーカルを軸にした英国調のメロディック・ロックをベースに、シンフォニックなアレンジやプログレ要素を帯びたドラマチックなタッチが楽曲の至る所に散りばめられており、UKロックお家芸な煮え切らぬポップで穏やかなヴォーカルメロディとモダンでお洒落なコーラスワークが何とも言えぬノスタルジックな喜びを思い起こさせ、下手にプログレだシンフォだと前情報を入れずに本作のサウンドに耳を傾けてもらった方が断然評価が高くなるのでは? と、そんな風に思える、今風モダンサウンド・プロダクション作なれどサウンドの根底やバッキングコーラスの使われ方、そして音色には明らかに80年代UKポップロックへのリスペクトが窺えて、懐かしの80年代UKエロクトロ・ポップロックがお好みの方には堪らない一作だろう('(゚∀゚∩

トータルで見るとアルバムはバランスの取られた楽曲で無駄なくコンパクトに構成されているが、Lee Abraham入魂の早弾きパートや James Durandのブンブン唸る疾走するベースプレイだったり、ここぞとばかりにテクニカルなプレイで斬り込んで来る Kyle Fentonのソリッドで派手なドラム等、各メンツが普段は本隊バンドで見せる事が少ないスタンドプレイもチラリと垣間見え、新プロジェクトならではの遊び心とバンドコンセプトや自身が属するシンフォ系カテゴリー故のプレイスタイルに縛られぬ開放感のようなものも感じられて実に興味深い。

甘美でセンチメンタルなトーンが胸くすぐる Lee Abrahamのフィーリング重視なギターワークや、メンツ全員がこなすキーボードワークがそこらのポップバンドなんぞより断然に素晴らしいセンスある音色とアレンジで楽曲を瑞々しく輝かせており、何よりも James Durandのミドルレンジ主体ながらポップでキャッチーなフック満載の楽曲に相応しい繊細な歌声からダーティでハードなシャウトまで見事にこなす伸びやかな歌唱力は本当に素晴らしく、サウンドのタイプは違うがASIA的な職人芸の活かされた英国情緒薫るメロディー・センスが光る傑作ポップロック作だと思うし、こんなにミュージシャン同士のケミストリーが眩く輝いている素晴らしいアルバムを制作したトリオなのに今の所パーマネントな活動予定が無いと言うのが本当に勿体なくて仕方が無いのです。

ホント、寧ろGALAHADやCOSMOGRAF止めて、こっちをメインに活動して欲しいくらいだから。マジで(笑

出来る事なら是非とも同じメンツで次作を届けて欲しいものだが、こんな素晴らしい音源をお蔵入りにさせてしまうくらいだから次は絶望的なのだろうか…?(ツд`)

シンフォ系リスナーにはちょっとポップでキャッチー過ぎるし、定番のプログレ・サウンドでもテクニカルなプレイの応酬なんて場面も余り無い作品なので訴求はイマイチしないかもしれないが、純粋にキャッチーなUKポップ・ロック好きな方に是非チェックしてもらいたいそんな傑作アルバムであります。


# by malilion | 2020-03-26 08:07 | 音楽 | Trackback

当時無数に居た、イタリアの夢劇場症候群バンドZENの唯一作をご紹介。

当時無数に居た、イタリアの夢劇場症候群バンドZENの唯一作をご紹介。_c0072376_18021713.jpgZEN 「Gaze Into The Light」'97

イタリア中部のラツィオ州アプリーリアを本拠地に活動したキーボード入り5人組プログレHMバンドの唯一作をご紹介。

当時、イタリアに無数にいた夢劇場症候群バンドの一つで、DREAM THEATERの2nd『Images & Words』'92 がサウンドアイディアの基本なのはその他のDREAM THEATERクローン達と同じながら、本家程メタリックなでもヘヴィでもなく、ベースには重厚な古典イタリアン・プログレサウンドが脈打っているのが、凝ったアレンジやテクニカルなプレイを大々的にフィーチャーせず、あくまでメロディと歌を聴かせる点や本家以上に叙情感あるメロディアスな楽曲のそこここから感じ取れる所がその他の夢劇場症候群バンド達との違いだろうか?

上から下まで伸びやかに歌い上げる安定感あるヴォーカル、メロディアスでスリリングなプレイを紡ぐギター、テクニカルで派手なキーボード(ギターより鍵盤系サウンドの方が楽曲に占める割合が大きい)、変拍子を組み込んだソリッドで堅実なリズム隊、パワフルでドラマティックな楽曲展開、メタリックなスピードチューンから流麗なピアノパートが映えるバラードまで楽曲は幅広くバラエティに富み、悪くない出来なもののやはりオリジナリティの欠如は如何ともしがたく、その他のクローンバンド達との差異を確立出来なかったのが大きかったのか程なくしてバンドは活動を終了する。

バンドは後に名前をKARNYAに変更した模様だが、音楽性やメンバーが変わったのかどうか、その後の動向も音源リリースも含め全て未確認だ。

ヘタウマなプログHMバンドが多い中で彼等は歌唱力に問題ないフロントマンを得る事が出来た点は僥倖であったのだが、ヴォーカリストの Andrea Polidoroは基本的にイタリア版 James LaBrieといったコピースタイル(声を伸ばす時のビブラートは明らかに意識的)ながら、本家のようなハイトーンシャウトや高音域で声を張り上げるような事はなく、楽曲に添った歌メロを丁寧に歌い上げるスタイル(ロートーンの歌声はちょっと元HELLOWEENの Michael Kiskeっポイ)なのでヴォーカルパート自体にHM的な感触は少なく、その他の夢劇場症候群バンド達に比べてHM的な攻撃性がサウンドに余り感じられず、その点でも後に全世界を覆うダークでヘヴィなHMサウンドが流行る時流に上手く乗れなかったのかもしれない。

反面、ユーロ圏のバンドらしいウェットなメロディやドラマティックな楽曲展開の中に光る叙情性や憂いを帯びた繊細なメロディ等、今から考えるとかなり悪くないモノを持っていただけに短命に終わったのが実に残念であります。

何よりも、その後 Andrea Polidoroの名をプログHMやイタリアンHMで見かけていないので、アレだけ歌えるヴォーカリストがその後消息が不明なのが実に勿体ない話です…ヘタウマなヴォーカリストの多過ぎるイタリアン・メロスピに加入でもしてくれれば良かったのになぁ…(つд`)

C級の夢劇場症候群プログHMバンドが多い中で、まぁハズレではない部類と思えるバンドの作品ですので、今は亡きWMMSレーベルからのリリースなので既に廃盤でしょうが、地味に未だに新品が輸入盤で購入可能のようだし、既に随分古いアルバムなので中古輸入盤店に転がっていると思われますのでご興味あるようでしたら一度チェックしてみてもいいかもしれませんね。




# by malilion | 2020-03-25 17:55 | 音楽 | Trackback

Nils Patrik Johansson擁する北欧正統派HMバンドASTRAL DOORSが間もなく新譜をリリース!

Nils Patrik Johansson擁する北欧正統派HMバンドASTRAL DOORSが間もなく新譜をリリース!_c0072376_07515887.jpgASTRAL DOORS 「Black Eyed Children」'17

花粉症とコロナでせっかくの連休も引き籠もり確定でアンニュイ(涙)な本日は、間もなく新譜『Worship Or Die』がリリースされる彼等のアルバムを引っ張り出して耳を傾け気分を無理矢理ハイにしておりました。

このスウェーデン産6人組HMバンドの一番の話題性と言えば、やはり桁外れのパワーと Ronnie James Dio+David Coverdaleな声質を備えた超絶シンガー Nils Patrik Johanssonの存在を外しては語れないでしょう。

Richard Andersson率いるSPACE ODYSSEYでその名をHM界に知らしめ、以降CIVIL WAR、LION'S SHARE、WUTHERING HEIGHTS等多種多様なジャンルのバンドやプロジェクトに引っ張りダコなその強靱な歌声は、まさにDEEP PURPLE、RAINBOW、BLACK SABBATHを彷彿とさせる70年代にレイドバックした、ASTRAL DOORSがデビュー当時から一貫して追及している正統派の様式美HMを歌うに相応しく、時にはDIOのように強力なコブシを轟かせ、また或る時は David Coverdaleのようにシブいディープヴォイスを聞かせ、北欧ミュージシャンらしくダークでドゥーミーな荘厳さも垣間見せるその暑苦しく粘っこい熱唱は唯一無二の個性なのに、これまでイマイチその存在がメジャーにならなかったのはどうにも彼の創る歌メロがイマサンな出来(CIVIL WAR紹介の記載をご覧下さい)だったからなんですよね……

DIOの代役として Tony Iommiに良いように使いっぱしり(涙)されていた悲運のヴォーカリスト Tony Martinと声質的には殆ど同じなものの、Nils Patrik Johanssonの方がパワフルでラフな迫力や伸びやかさもあるし、ディープヴォイスの芯の太さと重厚さでは一枚上手で歌唱スキルも勝っている(穏やかな歌唱や深味ある歌声はまだ若いので流石に巧さに欠けますが)と思っていますが、如何せんヴォーカリストにとって重要な才能である歌メロをクリエイトする能力は完全に Tony Martinに軍配が上がっておりました。これまでは。

その声質や歌唱力ばかり話題にされる Nils Patrik Johanssonですが、本作に置いてやっとウィークポイントだった凡庸で平坦だった歌メロにも変化の兆し(前作でも歌メロは頑張っていたが歌唱アプローチを変える挑戦の反動か、売りの野太い歌声が妙な甲高い声、アメリカで売れた白蛇アルバムでのデビカバの歌声みたいでマイナス印象だった)が訪れ、A級まで行かぬまでも極上のB級様式美HMバンドに相応しい、キャッチーさや派手さはイマイチでもどの曲もフックがあり様々なタイプの正統派HMサウンドを盛り下げぬ歌メロになったのが当時、嬉しくありましたね('(゚∀゚∩

この成長はステージを重ねた事と各種プロジェクトやバンドで色々な音楽やミュージシャンと交流したのが糧となって、彼の中で成熟されてこうして本作で現れてきたのかと思うと、バンドを見捨てず長らく凡作(涙)を買い支えてきて良かった、と感慨もひとしおで…(ツд`)

売れ線や流行のサウンドに目もくれず、コツコツと枚数を重ねる毎により完成度とピュアなユーロHMサウンドの純度を高め続けていたバンドメンツも、これでやっと質の高いソング・ライティングと高練度のスリリングな演奏が報われた訳です。

日本盤リリースが絶えて久しい彼等ですが、順当に行けば間もなくリリースされる新譜は本作を凌ぐ素晴らしい良作になるのは間違いないでしょうから、正統派様式美HMサウンドを好む古参メタル愛好家は是非にASTRAL DOORSの新譜をチェックしてみて下さい。



# by malilion | 2020-03-21 07:45 | 音楽 | Trackback

英国ワンマン・メロハー・バンドNEWMANが会心作をリリース!

英国ワンマン・メロハー・バンドNEWMANが会心作をリリース!_c0072376_09184415.jpgNEWMAN 「Ignition」'20

イギリス人マルチ・プレイヤー Steve Newman(Vo、G、Key)率いる英国産メロディアスHRバンドの3年ぶりとなる12th(LiveとBEST含まず)がリリースされたのを、日本盤あるかもしれないけど待ちきれず即GET!

97年に結成されて以来、常にメロディアスでキャッチーなHRサウンドという一貫性と高品質作を提供して来たワンマンバンドだけあって、Steve Newmanのエモーショナルかつソウルフルな歌唱と切れ味鋭いギタープレイ、そして洗練されたAOR風メロディを軸とした美旋律作という方向性やサウンドが今さらガラリと変わるはずも無いが、今作は幾分ハードエッジなギター・サウンドが前面に押し出されており、爽快感は保ちつつAOR風味を少し抑えてより骨っぽくソリッドなロックサウンドへと変化したのが新作から聞き取れる。

製作メンツはいつも通り、今回も06年作からずっとアルバム収録に名を連ねるドラムス Rob McEwenのみ引き続き参加しているだけなワンマン体制に変化はなく、これまた前作同様にゲストで元PRAYING MANTISのヴォーカルだった Mark Thompson-Smithがバッキングヴォーカルに参加している以外これといったゲストは招かれていないので、本作のハードタッチ推しなサウンドの変化は Steve Newmanの心境の変化か、前作が結成20年作という区切りだったし、これまでのAOR風味あるサウンドはある程度極めたと考えての方向転換なのかもしれない。

前作はHAREM SCAREMの Harry Hessがマスタリングしたお陰でか細かに造り込まれたサウンド・プロダクションであったが、今作では再び全てを Steve Newmanが手がけているが、前作での作業から色々学んだのか以前のような薄っぺらで奥行きの無い軽いサウンドに戻る事なく、ググッと図太いボトムが弾ける、ストレートで力強い芯のあるロックサウンドをアルバム全体から感じる仕上がりになっているのが実に好印象だ('(゚∀゚∩

前作の紹介時に、長年の問題であるマンネリ感をどう払拭するのかという点と、ハードタッチが強まって幾分かサウンドから爽快感が薄れてしまった点が気がかりだと述べましたが、流石はベテラン・ミュージシャンの Steve Newmanであります。

一聴してNEWMANと分かるキャッチーなコーラス、活気に満ちたフック、そしてブライトなメロディーと、コンパクトなモダン・サウンドへ進化した80年代後期USAロック風な楽曲という定番路線をキープしつつ、HM、AOR、民族音楽、エレポップと様々な要素を巧みに散りばめ、シンプルでありながら繊細な美旋律と絶妙のアレンジが施された、よりパワフルで骨っぽいHR的パワーを前面に推し出し、突き抜ける爽快感と熱い躍動感を巧みに交差させて前作での問題的をしっかり補強した、現時点で間違いなくNEWMANの最高傑作であろう会心のメロハー・アルバムが届けられたのは流石の一言でしょう(*´ω` *)

個人的に、今の所ケチのつけようがない高い完成度のアルバムだと思っとりますが『ホントそんなにベタ褒めする出来なのかぁ?』と、思われる方は後はご自身の耳で確かめて戴くしか他にありませんね。

この出来なら間違いなく日本盤がボートラ付きで出ちゃうだろうけど、まぁ…一足先に素晴らしい出来の本作を耳に出来たので、そこは納得しております…ホントに…orz

メロハーファンならずとも彼等のファンにとっても安心の一作なのは間違いありませんので、ご興味あるようでしたらチェックしてみて下さいね。



# by malilion | 2020-03-20 09:09 | 音楽 | Trackback

80年代シンセポップが逆に新鮮な新バンドSILVERNITEがギリシアからデビュー!

80年代シンセポップが逆に新鮮な新バンドSILVERNITEがギリシアからデビュー!_c0072376_15371008.jpgSILVERNITE 「So It Began +2」'19

今年初めにカセットテープのみ40本(!?)限定リリースして、そのレトロ風味な80年代まんまサウンドが好事家の間で話題になった、19年にギリシャ北部のテッサロニキで結成された、紅一点女性シンガー Tanja Harkonen嬢(Vo)を擁する Thanos G.(Guitars)、Strutter(Synths、Programming、Bass&Backing Vocals)等によるトリオ編成のメロディアス・ロックバンドが5曲のテープ音源に新曲を2曲追加してEPとし、新たに限定CDリリースしたのを即GET!

個人的にフィメール・ヴォーカルものは余り好まない自分ですが、サンプル音源を聞いてそのエレドラばしばし(笑)な80年代シンセ・ポップスにユーロ・ロックテイストを加えた80年代リバイバルなモダン・サウンドにちょっと後期SWEETっぽいシンセ・ロック風味が嗅ぎ取れたので手を出してみました。

ドイツにも80年代エレポップ風味を活かしたモダン・テクノ・ポップロックバンドA LIFE DIVIDEDが居て同じような方向性のサウンドと言えますが、あちらの方がよりモダンでハードエッジ、さらにダークなグランジー要素なんかも加味して居るのに対して、SILVERNITEの方はよりレトロ風味が強く、パワフルな歌唱やしっとり艶やかに歌い上げる Tanja Harkonen嬢の歌声の印象でかより80年代ポップス要素が強く感じられ、さらに意図的な古いシンセサンプルやエレドラ、そしてキーボードの使い方などのお陰か朗らかでブライトな王道ポップスに少しHRテイストが加わった、というような幾分か毛色の違うノスタルジックなキャッチーサウンドが実に自分好みで好印象だ。

インナー内にEP楽曲の内容について明記があり、どうやら連続のSFコンセプト・ストーリー作のようで、エイリアンが地球侵略してきて人類は敗退し、大型宇宙船アエロフで火星へ移民する事に。
色々あって地球奪還の為に金星に要塞を建築する。
そして、宇宙船で生まれた3人の子供達の復讐物語、みたいな…

ちょっとチープなお話だけど、まぁこの手のコンセプトはプログレ系でもHM系でも昔からお約束なのでそれ程の問題ではないでしょう。
ACT1との事なので、次のデビュー・フルアルバムへ物語は続くんでしょうね。

SFコンセプト作と言う事で楽曲でのシンセサウンドもソレっぽい煌びやかなキラキラサウンドが目立っておりますが、それが如何にも80年代風という趣を増させる効果を生んでいるのも面白い所と言えましょう。

楽曲は、歌詞も曲も、Thanos G.と Strutterの2人が手がけており、Tanja Harkonen嬢は歌詞に関わっていないのがちょっと先行き不安な要素なのと、レトロ風味サウンドが今のリスナーの耳には逆に新鮮に聞こえるでしょうし懐古サンド好きも呼び寄せはするでしょうが、正直まだまだ楽曲の出来はC級レベルなので、この方向性でよりワールドワイドな活動を目指すならもっともっと楽曲の練度を上げる必要があるように思えます。

とまれ、まだ結成して日も浅いトリオが要注目なサウンドを引っさげて20年代にこうしてギリシアから登場したのをまずは喜びたいですね。

ギリシアではHRやHMバンドの活動する場は殆ど無いと聞き及んでいるだけに、出来るだけ長く活動して良作を届けてくれる事を祈っております…




# by malilion | 2020-03-19 15:33 | 音楽 | Trackback

USメタルシンガー Frank Vestryがキャリア30年を総括するBEST盤をリリース!

USメタルシンガー Frank Vestryがキャリア30年を総括するBEST盤をリリース!_c0072376_18215903.jpgFRANK VESTRY 「My Collection」'20

キャリア30年超えとなるアメリカNY出身のHRシンガー Frank Vestryがこれまでリリースしてきた楽曲から選曲されたコンピレーションBEST盤をリリースしたのを即GET!

妙なしゃがれや癖の無い、クリアーで直線的な如何にも豪快で朗らかなアメリカン・ロックが似合う爽快感ある伸びやかな歌声で、これだけ歌が上手くてキャリアも十分なのにイマイチな知名度に売り上げ的な実績も厳しいのが広大なアメリカでのショービジネスの厳しさを物語っております(ツд`)

元VIRGIN STEELEの Jack Starr(G)率いるマイナーUS産HMバンドJACK STARR'S BURNING STARRのデビュー作にて84年にキャリアをスタートさせ、名シンガー&ベーシストの Greg Smith(Alice Cooper、RED DAWN、RAINBOW、Joe Lynn Turner、Tokyo Motor Fist、Ted Nugent、Billy Joel、etc...)等とのDEBIASデビュー作、インディUSメロハー・バンドLAST TEMPTATIONの再結成作『Better Late Than Never』、を経て現DANGER DANGERの Rob Marcello(G)との08年のコラボ・プロジェクトMARCELLO-VESTRY、13年にはイタリアが本拠地のメロハー復興旗印的レーベルFrontiers Recordsを中心に活躍する今やイタリア人名プロデューサー Alessandro Del Vecchio(Key)、元BONFIREの Dominik Hulshorst(Ds)、イタリアン・ワンマンメロハー・バンドBRUNOROCKの Bruno Kraler(G)等と組んだメロハー・バンドLANESLIDEのデビュー作と、ソロ、プロジェクト、バンドと英米地域問わずメジャー、インディ関係なく幅広くコラボ活動してきた彼のキャリアを総括した作品となっており、彼個人を追いかけているダイハードなファンにとっては『なんだ、全部既発曲ばかりじゃないか!』と、お怒りかもしれませんが、そうでない自分のような者にとっては今回初めて耳にする音源もあったりで、お手軽にキャッチーでポップ、そしてブライトなUSメロハーの良曲を楽しめるなかなかお得な一枚だと思っとります(*´ω` *)

実際、今となっては入手困難なレア音源も含まれているので、本作の収録曲を聴いて気に入ったならそこからバンドなりソロ作なりの Frank Vestryが関わったアルバムを買い求める切っ掛けになる一枚と言えるのではないでしょうか?

Track List:
01.Without You     (MARCELLO-VESTRY)
02.Understand      (LANESLIDE)
03.Break It       (LAST TEMPTATION)
04.Gone         (MARCELLO-VESTRY)
05.Dancing Girls    (LANESLIDE)
06.Without Love     (LAST TEMPTATION)
07.When You Grow Up   (MARCELLO-VESTRY)
08.Starcrossed     (THE PACK)
09.Desperate      (DEBIAS)
10.One More Night    (MARCELLO-VESTRY)
11.In Your Arms Again  (JACK STARR‘S BURNING STARR)
12.Last Night      (ソロEP)

因みにJACK STARR'S BURNING STARRの初期アルバムは最近リイシューされておりますので、お求めの方は是非チェックして見て下さい。

本BEST盤の目玉は、マイナーUSメタルDEBIASや、元MANOWARの Ross The Bossと組んだTHE PACKでの'89年頃の音源に、これまた今となっては入手困難な隠れたメロハー名作LAST TEMPTATIONの2ndの楽曲辺りでしょう。

個人的に彼の歌声を聞いたことが無いって方には、キャッチーでフック満載な近年作のMARCELLO-VESTRYのアルバムをお薦めしたい(*´ω` *)

結果的に言って、これまで彼の関わってきたバンドなりプロジェクトなりは殆どがその活動が継続しなかったり大きなセールスを上げられずにいた訳ですが、実際多少楽曲の出来がマズくともクリアーからダーティ、パワフルに繊細にと様々に喉を使い分けて幅広いカラーの楽曲を器用に歌いこなす彼の素晴らしい歌唱力と歌声のお陰で大抵の楽曲は良く聞こえてしまう仕上がりになるからこそ、こうしてキャリアを重ねて来れたのだし、未だに各方面からお呼びが掛かってシーンの第一線で活動出来ている、流石はベテランな証明とも言えるでしょう。

また本作収録の古い音源は2019年度のニュー・リマスター音源が収録されており、オリジナルのアナログLPやCDを所有されている方も、懐かしの音源を現在のクリアーなサウンドで楽しめますので、ご興味あるようでしたら是非チェックしてみて下さい。

P.S.
公式サイトの更新が期限切れで落ちてるんですけど…(汗
本作にしっかりサイトドメインが明記されててコレですからね…アメリカ人ってのは大雑把っていうかなんていうか…orz
まぁ、マネジメントしてる人物が大雑把なのかズボラなのかもしれませんが…


# by malilion | 2020-03-17 18:17 | 音楽 | Trackback

UKシンフォのベテランPALLASが旧曲リ・アレンジコンピアルバムをリリース!

UKシンフォのベテランPALLASが旧曲リ・アレンジコンピアルバムをリリース!_c0072376_13011363.jpgPALLAS 「The Edge Of Time」'20

80年代ポンプムーヴメントでデビューしたポンプ第一世代の代表格バンドである彼等が、今年行われるヨーロッパ&アメリカ・ツアーに向けてリリースしたコンピレーション・アルバムをちょい遅れてGET!

ベテランバンドではあるけれど、長くシーンの表舞台から遠ざかっていた期間もあるし、ぶっちゃけ現状ではアメリカでは殆ど無名状態に近いだろう事を予想してか、新規リスナー向けに『Arrive Alive』'81 から最新作となる『Wearewhoweare』'14までのほぼ全アルバムからバランス良く選曲したコンピレーション・アルバムではあるものの、旧曲に新アレンジ&新録音を施した新規音源と言える仕様なのでこれまでのアルバムを全て入手済みな忠実なファンの方が入手しても決して無駄にはならない企画盤と言えるだろう。

バンドラインナップは『XXV』'11以来安定の Paul Mackie(Vocals)、Niall Mathewson(Guitars、Backing Vocals)、Ronnie Brown(Keyboards、Backing Vocals)、Graeme Murray(Bass、Taurus Bass Pedals、12string Guitar、Backing Vocals)、Colin Fraser(Drums、Backing Vocals)の五名で、曲によってヴァイオリンや、スパニッシュ・ギター、ストリングスパートやドラマチックなオーケストレーションを加え、現在のシンフォテイスト溢れる重厚なバンドサウンドに準じたスタイルにお色直しされていて、録音環境とキーボードサンプルの質の向上故か実にシネマティックなアレンジ(Niall、Graeme、Ronnieが映画音楽のサイドプロジェクトに関与している為?)が効いた旧曲の数々はまるで別曲のように、時に勇壮に、時にファンタジックに、時に瑞々しい叙情が薫り、と至る所から英国バンドらしい気品と風格を滲ませており、予想外の良い出来に驚かされる。

初期のようなキャッチーでコンパクトな仕上がりよりシネマティックなアレンジを優先したが故か長尺のインストパートが目立つ楽曲が多く収録されおり、余り Paul Mackieのヴォーカルパートを聴けないのが少々残念ではあるが、まぁ、それが聴きたければオリジナルアルバムを聴けばいい、って事なので本企画作を“NEW CINEMATIC & ATMOSPHERIC ANTHOLOGY REMIX ALBUM”と銘打つ通り割り切って重厚で荘厳な雰囲気の漂うインストパートを強化した楽曲で固めたのだろう。

流石に長年演奏してきた楽曲だけあって全編に渡ってベテランらしい余裕のあるプレイやクールで落ち着いた雰囲気に満ちており、ポンプ時代の溌剌としたキャッチーさやスピーディさは影を潜めたものの、替わって英国産シンフォバンドらしい幽玄なサウンド感やファンタジックなテイストが増しており、2020年に活動するシンフォバンドとしてしっかり新規リスナーにアピールするだろうサウンドに磨き上げられた本作のサウンドに、果たして今のUSAリスナーはどんな反応を示すのか興味津々だ。

収録曲の子細についてはオフィシャルサイトで細かに説明されているので、どう音源が変化しているのか、リアレンジの要はどこか等を知りたい方はそちらにも目を通すといいだろう。

また既発曲だけのコンピという情報で一気に食指の動きが鈍った長年のファンに向けて、しっかりとアルバム未収の新曲も一曲収録されている商売上手な気も効かされているので『な~んだ企画盤コンピか』と侮ってはいけません(笑

まぁ、ロック的なダイナミクスやスリリングさがあるサウンドではないしムード重視な為スピードもないしコンパクトでもないサントラ風な長尺曲ばかりなので、初期の彼等のサウンドがお好みだった方には少々退屈と捉えられてしまうかもしれないが、ここは一つ毛色の違った企画コンピ盤ってことで(汗

Bandcampからオーダー出来る先行販売盤(DLオンリー?)には6曲のMIX違いなボーナス音源等が追加されている模様なので、本作が気に入った新規リスナーはそちらにも手を出してもいいかもしれない。



# by malilion | 2020-03-06 12:56 | 音楽 | Trackback

北欧フィンランドから叙情派フォーク・シンフォ・バンドSUNHILLOWがデビュー作をリリース!

北欧フィンランドから叙情派フォーク・シンフォ・バンドSUNHILLOWがデビュー作をリリース!_c0072376_21100044.jpgSUNHILLOW 「Eloise Borealis」'20

70年代プログレ要素と、ポップス、そして民族音楽的フォーク要素をMIXした一風変わった叙情派シンフォ・サウンドを奏でる、キーボーディストがヴォーカリストを兼ね、さらに女性ヴァイオリニストも擁する5人組バンドが北欧フィンランドからデビュー作をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

プログレ好きなら即分かる、Jon Andersonのファーストソロ作『Olias Of Sunhillow』からバンド名をいただいたと思しき所が気になって購入した訳ですが、結果的にYES系フォロワーサウンドのバンドではありませんでした(汗

SUNHILLOWは15年秋に結成されたフィンランドのヘルシンキを拠点とする新バンドで、中心人物の Matti Kervinen(Keyboards、Lead Vocals)はレコードレーベル兼プロデューサーとして既にフィンランドの音楽シーンでは著名人であり、SUNHILLOW以前に短命に終わったKATAYASTA、WOLF LARSEN、フォーク系のPAX ROMANAや同じくプログレバンドのWOLMARI等の幾つかのバンドに席を置きながら新たに本バンドを立ち上げた模様だ。

本バンドのサウンドを個性的にしているのは、殆どリード楽器と言っていいくらいに大活躍している Elisa Heikkinen嬢(Violin、Backing Vocals、Autoharp)の紡ぐヴァイオリンの繊細で艶やかな音色と、Matti Kervinenが操る鍵盤サウンドが生み出す如何にも北欧バンドと言ったメランコリックでダークさ滲む怪しげなメロディだろう。

さらに単なる北欧シンフォ系バンドのサウンドとの差異を強く感じさせるのは、そこここから滲むフォークタッチな民族音楽的要素なのは紛れもなく、定番の70年代期YESや初期のネオプログレ期から脱却したMARILLIONを連想させる要素に、中期RUSHやFMからの影響も窺えるモダン・プログレ要素とアンビエントな雰囲気漂うPINK FLOYDっぽい要素などが複雑に絡み合ってちょっとレイドバックした古臭さも漂う独特の木訥とした叙情派フォーク・シンフォ・サウンドを生み出している。

これで Matti Kervinenのヴォーカルがもうちょい巧ければ言うこと無かったのだが、残念ながら良く言ってジェントリー系、悪く言えば音域狭い只のオッサン声(カントリーなら似合いそう…)でメロディを殆ど歌い上げていない、歌詞を伝えるだけの語り的役割なのが少々残念だ。

まぁ、その辺りは本人も理解しているのか楽曲におけるヴォーカルパートの比重はかなり少なく、またリードヴォーカル的に Elisa Heikkinen嬢のヴァイオリンが楽曲の中心で大活躍しているし、Pekka Hakkarainen(Guitar、Backing vocals)と Elisa Heikkinen嬢が男女混声バッキングヴォーカルで楽曲に変化を付けるべく歌メロパートを補強したり、Elisa Heikkinen嬢の可憐なバッキングヴォーカルがドリーミングな雰囲気を醸し出す曲もあったりで、Matti Kervinenのヴォーカルの不味さは余りに気にならない構成にはなっているのがせめてもの救いだろう(汗

Matti Kervinenが操るエレピやオルガン等の鍵盤プレイはリーダーバンドにも関わらずどちらかと言えばバッキングや雰囲気重視で派手なソロや楽曲を主導するようなプレイが聞けないので、所謂、通常の北欧シンフォ的サウンドを期待するとガッカリするだろう本アルバムではありますが、ヴァイオリンの哀愁漂う美しい音色や、あくまで美旋律を紡ぐのに注力しているデリケートなギター・サウンドやムーディーでリリカルなシンセサウンドにはフォークタックのみならず北欧らしい透明感と木訥としたファンタジックさがあって実に味わい深く、定番の重厚な北欧シンフォ・サウンドは聞き飽きた方なんかには一服の清涼剤になりえるかもしれない。

個人的には美しく艶やかなヴァイオリン大活躍なサウンドを堪能出来たので本作を購入して後悔はしていないが、中心人物の Matti Kervinenがコレ一本で活動している訳ではなく、またプログレ系ファンにも大いに受けるような定番サウンドでもないので、単発プロジェクトに終わるかもしれないのが少々心配だし残念な所だろうか…

もし次作があるならば、せめて Elisa Heikkinen嬢をリードヴォーカルに据えるか、ちゃんと歌えるヴォーカリストをメンバーに招くかして欲しいものだ。

あ、後このご時世にアルバムの再生時間が37分(!?)とメチャ短いので、今度はもっとタップリとその美しいサウンドを堪能させて欲しいものです。



# by malilion | 2020-03-05 21:05 | 音楽 | Trackback

待った甲斐があった! UKの新生メロハーバンドSHAFT OF STEELがデビュー作をリリース!

待った甲斐があった! UKの新生メロハーバンドSHAFT OF STEELがデビュー作をリリース!_c0072376_21203645.jpgSHAFT OF STEEL 「Steel Heartbeat」'20

以前ここでデビューEPをご紹介した首都ロンドンをベースに活動するUKのKey入りツインギター6人編成な新バンドが、6年の歳月を経てやっとこデビュー・フルアルバムをリリースしたので国内盤あるかもしれないけど我慢仕切れずに即購入してしまいました(汗

EPの時点で、ちょっと線の細い甘い声質のハイトーンVoをメインに、日本人好みな北欧風のウェットな叙情派メロディと爽快感ある美旋律を奏でるバックの演奏がマイナー調の哀愁漂う英国独特の煮え切らぬポップ感を伴った楽曲の上を軽やかに交差するスタイルだった彼等。

ESCAPEレコードかAOR HEAVEN辺りと契約するんじゃないのかと予想しておりましたが、まんまAOR HEAVENからのデビューと相成りました(*´ω` *)

本作もそんなEPの音楽性を受け継ぎ正統に進化したウェットな美旋律と甘口でキャッチーな歌メロが実に日本人好みな翳りある英国産メロディアスHRを聴かせてくれているので、フルアルバムのリリースを今か今かと待ちわびていたファンの方々は大満足な一枚と言えるだろう('(゚∀゚∩

まだまだ知名度が低いインディ・バンドにも関わらずデビューEP同様に Dennis Ward(元PINK CREAM69のアメリカ人ベーシスト)によるマスタリングで音の方は新人バンドらしからぬクオリティな上に、なんと今回は全編に渡ってバッキング・ヴォーカルで客演してくれているという肩入れっぷりで嬉しくなってしまいます。

それにしても、元々彼等はイギリスの名門国立大であるハル大学で Robert Fenning(Vo)と Alex Markham(G)を中心に04年に結成されたスクールバンドだったのですが、その当時は IRON MAIDEN、DREAM THEATER、BLIND GUARDIAN等に影響を受けたパワー・メタルを演奏していたと言うのだから面白い。

そしてメンツ皆が卒業し07年にバンドは活動を休止するが Robert Fenningと Alex Markhamは11年にバンドを再始動させ、新たに Adam Carruthers(G)と Chris Smurthwaite(Key)が加入し、徐々にメンツを固めつつ14年に前記のEPを Dennis Wardの助けを借りてリリースする。

この時既にバンドサウンドは Robert Fenningと Alex Markhamが影響を受けた Peter Gabriel、Phil Collins、JOURNEY等のサウンド要素を取り込んだ、EPで聞ける80年代メインストリーム・ロックと80年代UKポップをMIXし、メロディアスなHMやプログレ、70年代HRやAOR等の音楽要素も織り交ぜたコンテンポラリー寄りな叙情派UK産メロディアス・ロックへ変化していた。

EPリリースに前後して大小様々なフェスや大物バンドのサポートアクトとして幾度もステージを踏んで実力を磨き、順調に活動を軌道に乗せたかに見えたが17年に Andy Cooper(B)と Garth Vickers(Ds)のリズム隊がゴッソリと脱退してしまう。

だが Robert Fenningと Alex Markhamはめげること無くメンツを補充し、新たに Dominic Swords(B)と Michael Levy(Ds)という新メンバーを迎え、EPリリースから6年という決して短くない時間を経てバンド初のフルアルバムをこうして届けてくれたと言う訳だ。

Robert Fenningの線が細いものの甘い声質な伸びやかなヴォーカルは以前と変わりなく、爽快で溌剌としつつハードにスピーディに果敢に攻め込む鮮烈なサウンドに実に良くマッチし、EP時点では幾分か穏やかでAOR向きだった歌唱スタイルもバンドの進化に伴って変化が見え、本作ではステージで鍛えた成果か80年代北欧HMのフロントマンで良く聴けた甲高い歌声やハイトーンのシャウトを聴かせたりと、以前と比べ幾分か歌唱力が増して逞しくなったのが窺える。

もっともまだまだ不安定な所や線の細さがパワー不足を感じさせる場面や、フラットすれすれでヨレヨレ(汗)な歌唱が耳につく箇所も多々あるので、これは今後克服すべき課題だろう……

また、Alex Markhamのギタープレイは以前とは段違いにテクニカルで流暢、そして派手なプレイを聴かせ、剛柔様々に楽曲にマッチしたプレイやフレーズ、印象的なリフを紡ぐだけでなく、スクールバンド時代に培っただろうヘヴィでダークなキレあるギタープレイも織り交ぜ、バンドサウンドに一層の深味と奥行きを生み出しているのは、伊達に6年も活動を続けてきた訳ではないと強く主張しているかのようだ。

そしてこのバンドで忘れちゃならないのが Chris Smurthwaiteが操るキーボードが時に煌びやかに、時に冷ややかに、と変幻自在にメロディを彩って、モダンにノスタルジックにバンドサウンドを色づけする楽曲への貢献度だろう。

余り自己主張せず目立たないけど彼のソツないキーボードプレイと音色のチョイスが、実はこのバンドならではのサウンドと味わいを増させている大きな要因だと個人的には思っとります。

ハード過ぎないツインギターのエッジあるサウンドと微妙なバランスでバッキング多目な煌びやかなシンセサウンドが織り成す80年代風英国モダン・メロディアスロックを精一杯歌い上げる Robert Fenningの、技量はまだまだなものの直向きで真摯な熱唱が、そこかしこからインディバンド特有な臭い立つマイナー調なメロディや垢抜け切れぬ楽曲の上で絶妙な化学反応を起こして輝きを放ち、なんとも言えぬ甘くノスタルジックな喜びをもたらしてくれるこのサウンド、ホント堪りません(*´ω` *)

ただ、このバンドサウンドは実は危ういバランスの上に成り立っているように思え、今後益々バンドがキャリアを重ねていくにつれ、このB級バンドだからこその荒削りな勢いと危うさ、けれど壊れ物のように眩い輝きを放つ未完成故の無垢なサウンドや独特の雰囲気が消え失せてしまいそうで、そこが少しだけ心配ですね……

とまれマイナー調な英国産ポップロックがお好みの方なら必ず気に入る期待の新星ですので、ご興味あるようでしたら是非彼等のサウンドを一度チェックしてみて下さい。

因みにバンドは自身の影響源としてSHY、SERPENTINE、MAGNUM、HAREM SCAREM、STRYPER等を挙げているので、前記のバンドやアーティストも合わせてこのバンド名にピン! と来た方は是非チェックして見てね!(*´ω` *)


# by malilion | 2020-03-04 21:12 | 音楽 | Trackback

BOSTONの現フロントマン Tommy DeCarloが結成した新バンドがデビュー作をリリース!

BOSTONの現フロントマン Tommy DeCarloが結成した新バンドがデビュー作をリリース!_c0072376_14312148.jpgDECARLO 「Lightning Strikes Twice」'20

07年に自死したBOSTONのオリジナル・フロントマン Brad Delpに替わってバンドに加入した、BOSTONトリビュートバンドで歌声を披露していた Tommy DeCarloと彼の息子でギタリストの Tommy DeCarlo Jr.を中心にノースカロライナ州シャーロットにて結成されたUSAメロハー・バンドのデビュー作をちょい遅れてGET!

往年の Brad Delpを彷彿とさせるクリアーで艶やかな彼の歌声を現在の所BOSTONの最新作『Life, Love & Hope』'13で耳にされた方も多いと思うが、その Tommy DeCarloが自身のリーダーバンドを立ち上げデビュー作をリリースと聞いて、BOSTONファンなら誰もが興味を持ったでしょうし、即BOSTONがなかなか新譜をリリースしないので痺れを切らして Brad Delpが立ち上げたメロハー・バンドRTZが思い浮かんだ事でしょう。

斯く言う私もその口でして、ネットに先行公開されたサンプルをチェックして、そのBOSTON臭を漂わせつつもFOREIGNER、SURVIVOR、REO Speedwagon等の80年代にUSAを席巻した煌びやかなアリーナロック&産業ロックバンド群からの影響大なそのメロディアスなポップサウンドを即気に入り、購入の機会を伺っとりました(w

BOSTONからの影響が大きい、というか現フロントマンだし元々トリビュートバンドで Brad Delpクリソツな歌を披露していたしで、どうしたって彼等のサウンドに Tom Scholzの影がチラつくのは致し方が無いのですが、その只のフォロワーバンドに成り下がりかねない危うい状況に抗う要素として若い Tommy DeCarlo Jr.の持ち込む要素と感性が本作に活かされている様で、BOSTONっぽい楽曲に巧みに独自の繊細なメロディー・センスを持ち込んだり、BOSTONには無いハード目なギターで軟弱になりがちな楽曲に勢いとエッジを与えたりと、父親の話題ばかりになりがちな本バンドに置いて実は彼の紡ぐギターサウンドは重要な役割を担って居るように思います。

総じてドライ目なカラッと明るいUSAロック定番なサウンドなれど、所々でAORっぽいウェットなメロディやアレンジが効いていて、壮大なスケール感と音の壁を作りがちな本家BOSTONには無い軽快なフィーリングと今っぽいサウンドタッチが楽しめる良盤と言えるのではないでしょうか?

まぁ、オリジナリティと言う点ではまだまだ前途多難な気がしますが、本作制作時は Tommy DeCarloと Tommy DeCarlo Jr.にドラマーの Dan Hitzの3人だけな上に楽曲の殆どを Tommy DeCarloが作成したのが影響したのでしょうが、その後にメンバーをチェンジを行いDeCarlo親子はそのままに、Payton Velligan (Keys、Guitar、Vocals)、Christian Sturt (Drums)、David Netta (Bass)の3名を新たに迎え5人組バンドの新体制を整えた模様ですから、新たなインプットが増えるだろう次作では一層にオリジナリティが感じられるサウンドになるのが容易く予想されます。

個人的には、見た目にもLIVE映えし、サウンド的にもキーボードとギターを兼任するだけでなく歌声でもバックアップ出来る Payton Velligan嬢が大活躍するだけでかなりBOSTONっぽさから距離を置いた独自路線なメロディアス・サウンドが構築されそうに思え、今から次なる新作に期待が高まってしまいますね(*´ω` *)

とまれBOSTONファンには勿論お薦めで、80年代風メロディアス・ハードポップやAOR、80年代風USAメロハーがお好みな方なら一度チェックしても決して損はしない、聞き終えて爽快な感覚が残るそんな一枚ですのでご興味有るようでしたら是非ご購入を検討されてみてはいかがでしょうか?



# by malilion | 2020-02-24 14:25 | 音楽 | Trackback

英国ベテラン・シンフォバンドPENDRAGONが久しぶりに心機一転な傑作シンフォ・アルバムをリリース!

英国ベテラン・シンフォバンドPENDRAGONが久しぶりに心機一転な傑作シンフォ・アルバムをリリース!_c0072376_19291615.jpgPENDRAGON 「Love Over Fear -Limited Deluxe Edition 3CD Book-」'20

英国ポンプ&シンフォ系シーンを代表するバンドの一つで、結成40年でアルバムデビュー35年目を迎えたベテラン・バンドである彼等の、前作『Men Who Climb Mountains』より6年ぶりとなる新フルアルバムが3枚組豪華装丁盤で通常盤に先駆けて限定リリースされたのを即GET!

他バンドの掛け持ちやらプロジェクトや裏方作業に多忙な Clive Nolan(Keyboards、Backing Vocals)を筆頭に各メンバーがソロやバンド外活動に忙しかったからなのか、まさかこんなに新作を待たされるとは思いませんでした(汗

しかし、その甲斐あってか今回の先行リリース盤は、Disc1hが本編アルバムでDisc2がアコースティック・バージョン、そしてDisc3がアルバム全曲のインスト・バージョンという豪華3枚組仕様で、フランスのアコースティック・シンフォバンドSEVEN REIZH張りな分厚いLPサイズの絵本風ハードカヴァー・ブックレットの表紙に淡い色使いの鮮やかな水流(海波?)が描かれており、ここ数作のシリアスなサウンドを反映してのダークでモノトーンなジャケと一気に赴きが変わった、柔らかで温かみと清涼感、そして初期風のファンタジックなタッチを見るに、新作の方向性をファンならば即察して期待が高まる事でしょう(*´ω` *)

また、再びドラマーがチェンジしており、前作から参加ドラマーのFROST*の Craig BlundellからサタニックHMバンドGHOSTやインダストリアルHMバンドPIGのサポート・メンバーとしても活躍する、これまでにPENDRAGONへ参加してきたドラマーと畑違いな新鋭 Jan-Vincent Velazcoに交代して制作されたアルバムだが、良くも悪くも Nick Barrettの描くシンフォ・ワールドには些かのブレも変化ももたらしていない。

て言うか、今さら誰が変わろうと Nick Barrett(Lead Vocals、Guitar)のヘタウマなヴォーカルがある限り変わりようも無いけどね……(汗

バンマスでありバンドの頭脳であるその Nick Barrettが語る所によると『意味のあるギターソロに戻り、70年代の大好きだったアルバムに似たサウンドが欲しかったので、12弦のギターセクション、メロトロンストリング、そして非常にメロディックなキーボードパートが沢山あるよ』との事で、その言葉通りに本作はPENDRAGONのアルバムが国内盤でリリースもされた90年代当時のメロディックでドリーミィな作風への回帰が見て取れ、旧来からの彼等のファンは欣喜雀躍となる事請け合いだ('(゚∀゚∩

奇しくも同期のMARILLIONと同じ道を辿るように、ここ数作はダークでアグレッシヴな音像への試行錯誤を繰り返し、典型的ポンプ風な派手さよりシンプルでストレートな硬質サウンドで構成されたアルバムには、その完成度の高まりとは裏腹に90年代のファンタジックな彼等のサウンドを恋しく思っていた方も多々いらっしゃるはずですよね?

リアル系タッチで幻想世界を描いた当時のジャケと違って今回の児童書的な絵本風に描かれた空想画(今回はイルカがキーパースン?)なジャケのイメージ通り、90年代作で紡がれたファンタジック且つカラフルで瑞々しい色彩感触に富んだシンフォ・ロック路線ではあるものの単なる退化では無く、10年代で試行錯誤を試みた重厚なダーク色を後退させつつも哀愁や物憂げな感情はしっかりと保つ事でサウンドに色濃く陰影が刻まれた、軽やかさと柔らかな感触を伴ったレトロ風味漂う穏やかながら深みあるモダン・シンフォ・サウンドとなっており、ここ数作でのヘヴィ・サウンドへの挑戦が決して無駄でなかった事を証明している。

やはり特筆すべきは、陰影のハッキリしたその奥行きある新シンフォ・サウンドからはドリーミィなファンタジック・サウンドだからと言って初期作のような楽観的で夢想的な薄っぺらさが消え失せ、Nick Barrettのつたないヴォーカルと泣きまくりなギターから重みと説得力が滲み出しているかのようで、全体的には淡く穏やかな英国叙情薫るメロディアスで軽やかなドラマティック・サウンドなものの、しっかりと重厚さと壮大さを感じさせる、まさにファンが彼等に期待するファンタジック・サウンドに一層に磨きが掛かった、予想以上に素晴らしい新シンフォ・サンドがジャケの通りに渦巻き泡立って弾けているかのような逸品と言えるだろう。

透明感あるエモーショナルな泣きまくりのギターとメロウな抒情性が胸に迫る、まるで歌うような Nick Barrettのギター・プレイもさる事ながら、変幻自在の音色で楽曲を時に豪奢に、時に繊細に飾り立てる Clive Nolanのバイプレイに徹したキーボードワークと、しっかりボトムを支える目立たないけど実際かなりメロディアスなベースプレイを聴かせる Peter Gee(Bass、Bass Pedals、Backing Vocals、Keyboards)の職人的プレイも見逃せないのはファンならば周知の事実だ。

ジャケットが象徴するように“海”や“水”といったキーワードを中心に様々な感情と情景を描き出していく Nick Barrettのヴォーカルスキルはお世辞にも上手いとは言えぬものの、PENDRAGONサウンドはもう彼の木訥な歌声でなければマッチしなくなってしまっているので今さらどうこう言う気も起きませんが、良く聴くとちょっとだけ以前より上手くなっている風に感じられたりして(笑

とまれ近作で試みていたダークでアグレッシヴな音像から距離を置き、再び薫り立つような美旋律と軽やかで叙情感あるメロディに扇動性を取り戻した本作は、Clive Nolanのオーケストレーションを含むシンフォニックなキーボード&リリカルなピアノだけでなく、数名のゲストプレイヤーを迎えて加味したヴァイオリン・サウンドやサックス・サウンドで一層に艶やかさを増し、ソリッドでパワフルなリズム陣が一糸乱れぬ奔流となってモダンで華麗なシンフォニック・サウンドを描き出していく様は以前のような幻想性だけでなく、薄っすら哀愁を漂わすセンチメンタルでデリケートなガラス細工のような美しくも眩い輝きを終始放っているようで、本当に本当に待った甲斐あるアルバムだ(*´ω` *)

さて、限定盤の目玉と言えるDisc2のアコースティック・バージョンのサウンドの方は、大雑把に言うとドラムレス(楽曲によってドラムは入っていたり無かったり)でアコギの爪弾きとベース(Peter Geeのしなやかなプレイが堪能出来る)が大きくクローズアップされ、キーボードの華麗な美旋律とオーケストレーション・サウンドで包み込んだバージョン、って所でしょうか?

楽曲によってアレンジが変わっていたり、新規バッキングコーラスが分厚目に入ってたりと色々と細かな違いを楽しめる、オマケとしては中々秀逸な品なのは間違いないだろう。

エレクトリックなパワーサウンドが取り払われて、より一層に楽曲の素の状態のメロディを堪能出来る作風で、ゲストのサックスやヴァイオリンの艶やかな音色以上に、Clive Nolanの煌びやかで冷ややかなピアノ・プレイが楽しめ、オマケにヴォーカルとコーラスワーク等もハッキリ聞き取れるというPENDRAGONに置いてはソレって誰得? なバージョンとも言えるかもしれない…(汗

Disc3のインスト・バージョンは、Nick Barrettの歌声を邪魔だと感じているリスナーには特に嬉しいアイテムだろうが、それだけでなく歌メロが無くなるだけで楽曲の雰囲気が随分と変わるんだな、という思いがけない印象を持ちました。

先行リリースの限定3枚組バージョンはちょっとお高い(価格1万円超え!)ものの、本作の内容の素晴らしさを考えれば十分に価値あるものと言えるので、ファンなら手を出しても決して損ではないと断言出来ますよ!

まぁ、最近の子はDLでサクッと音源だけ購入しちゃうのかもしれないけど、是非本作の大きな絵本サイズの鮮やかなブックレットを眺めつつその瑞々しいサウンドに耳を傾けて欲しいですね。

20年2月、3月、4月に、PENDRAGONは新譜『Love Over Fear』を引っさげて大規模なヨーロッパ・ツアーを敢行するとの事なので、本作が好評ならばもしかしてここ日本へも足を伸ばしてくれたりもするかもしれないとか、そんな嬉しいパプニングを今から願っておきましょうか……


# by malilion | 2020-02-04 19:20 | 音楽 | Trackback

UKポンプ・ロックの代表的バンドTWELFTH NIGHTが最新メンツでのLIVE作をリリース!

UKポンプ・ロックの代表的バンドTWELFTH NIGHTが最新メンツでのLIVE作をリリース!_c0072376_10523530.jpgTWELFTH NIGHT 「A Night To Remember ~Live At The Barbican 2012~」'19

ロンドンの名門バービカンシアターで友人や招待客を招いて12月に行なわれた特別なLIVE、2012年のファイナル・ギグから7年、ようやく二枚組LIVE音源として本作がリリースされたのをちょい遅れてGET!

MARILLION、IQ、PALLAS、PENDRAGON等と並び80年代UKポンプ・ロックの代表的バンドの一つであり、近年活動を再活性化させているものの活動休止以降は蔵出し音源や旧作のリマスター、そして蔵出しメモリアルLIVE音源のリリースなどなど、旧曲を再録したシングル『Sequences』以外は殆ど新規音源では無く、ある種の懐メロ・バンドのようで一抹の寂しさを感じさせる彼等だったが、そんな彼等が久しぶりに新規音源をリリースしてくれた。

オリジナルメンバーの Andy Revell(Lead Guitars、Voice)や Brian Devoil(Drums、Percussion)が語る所によると旧譜音源のリマスター作業や蔵出し音源の作業等で時間が取られて本作リリースがここまで遅れたらしいが、それにしたって遅れすぎでは…?(汗

音源だけを耳にしているととてもそうは思えぬが、当時スタッフの間で風邪が流行っていたらしく、ヴォーカリストとして致命的な事に Mark Spencer(Lead Vocals、Guitars、Keyboards)も喉頭炎に苦しんでおり、気分も優れぬ状態で正直話すことさえ苦痛な状況でLIVEへ挑む事になってしまったという裏話がブックレットで明かされており、けれどアドレナリンとプロ根性でタフで困難な状況を見事に乗り切った顛末に驚きを隠せない。

そういう裏話を知って本作を耳にすると、確かにいくらか高音域での歌声が苦しそうに思えるが、LIVEではどんなヴォーカリストでも同じ様な状況になるし、逆にアルバム通りまんまに見事な歌声を聞かせるヴォーカリストの方が少ないのをロックファンならば誰でも知っているので特別彼の身にそんなアクシデントが起こっているとは思えないくらい情熱的に数々の名曲を見事に歌いきっている。

また、Mark Spencerの体調を考慮したのか全体的にインストパートが長めに演奏され、インストメインな初期曲も演奏されているのだが、元々TWELFTH NIGHTはヴォーカルレスのインストバンドとして結成されたのをファンならば良く知っているし、ポンプバンドの楽曲がインストパート長めなのを誰も疑問に思わぬだろうから、Mark Spencer的には不調の喉の負担を減らせ、ファン的も初期の代表曲を楽しめる、という誰も不満を持たぬ結果だけが残ったというのも面白い。

そういう経緯もあってか本LIVEでの Mark Spencerのヴォーカルはミドルレンジ主体で、以前のLIVE作『MMX』で聞けた Geoff Mannを多分に意識したシアトリカルでオーバーな振り幅広い感情表現を聞かせる歌唱スタイルではないが、それでも所々で Geoff Mann張りなお約束の素っ頓狂な叫びやシャウト、唸りや不気味な囁き等のエキセントリックなパフォーマンスを垣間見せている。

実際の所、シアトリカルな歌唱抜きなのが Mark Spencer本来の歌唱スタイル(声質は非常に良く、Geoff Mannにも似て聞こえる)なのだろうし、だからこそシンフォ・アレンジされた旧曲を伸び伸びと穏やかなディープヴォイスで歌い上げていて、モダンなタッチの増えた旧曲にもマッチしており別段違和感は感じない。

同時リリースのブルーレイ映像作では、Geoff Mannでお馴染みな第一次世界大戦時の英国兵のカーキ色の戦闘ジャケットを身に纏ってのパフォーマンスや、血塗れの白衣、ゴム手袋、サングラスを着用し、狂気を漂わす囁きやくぐもった唸りを響かせファンを湧かせる Mark Spencerの姿が確認出来る。

フロントマンは喉にトラブルを抱えていたが各バンドメンバーは猛者揃いなので演奏はいつものように素晴らしく、やっと復帰してくれた Clive Mitten(Bass、Acoustic Guitar、Keyboards、Voice)のしなやかなベースプレイと Brian Devoilのパワフルでタイトなドラムスが織り成す安定したリズムセクションの上で、Andy Revellは耳馴染みあるリフやメロディをクールに紡ぎ、GALAHADのキーボーディスト Dean Baker(Piano、Keyboards)もお得意なシンフォニック・アレンジを効かせたサウンドを操って楽曲のスケールを一段と壮大にし、時にアコースティカルで繊細な調べ、時にパンキッシュでハードな疾走するサウンド、と『Fact And Fiction』をはじめ有名曲の数々を和やかな雰囲気が満ちた会場で余裕タップリに繰り広げていく様は見事の一言に尽きるでしょう。

内輪向けのLIVEであった事もあって新曲等のお披露目はされなかったし、通常の聴衆を相手にした熱狂が伝わる白熱のLIVE作と言う訳でもなく、セットリスト的にも新鮮味と言う点でいささか欠けるきらいはあるものの、ファンにとっては当然入手して然るべきアイテムだが、もしTWELFTH NIGHTを知らぬ方には、時にドラマチックで、時に叙事的、そしてエキセントリックなアイデアと感情が渦巻き弾け飛ぶ、高品質なプログレッシブ・ロックをお好みであるなら是非チェックしてみて欲しい一作であります。



# by malilion | 2020-01-28 10:43 | 音楽 | Trackback

80年代後期に活動したクリスチャンHMバンドANGELICAが久しぶりに新譜をリリース!!

80年代後期に活動したクリスチャンHMバンドANGELICAが久しぶりに新譜をリリース!!_c0072376_13430074.jpgANGELICA 「Without Words」'19

カナダ出身のギタリスト Dennis Cameronが87年に結成、80年代後期から90年代初頭にかけてアメリカ・シーンで活躍し、アルバム4枚をリリースしたクリスチャンHMバンドANGELICAの約27年ぶりとなる新譜、5thアルバムがリリースされたのでGET!

去年、1st、2ndのデジタルリマスターでのリイシューに合わせてデビュー前のデモ音源をオフィシャル・リリースしてファンを歓喜させた Dennis Cameronですが、予告していた通り夏の終わりにデジタル先行でリリースしていた新作が現物でやっと入手可能になりました。

ただ、せっかくの久しぶりの新作なのですが、残念ながら名義がANGELICAなだけでほぼ Dennis Cameronが独力で創り上げたタイトル通りなインストゥルメンタル・アルバムなので、以前のメロハー・サウンドを期待している方には少々肩すかしな内容となっております……

クリスチャンHMバンドの、そのギタリストのソロ作と言えるアルバムなので購入前は下手をするとスーパーマーケットのBGM(汗)に成り下がっているような穏やかで柔和な心地よさ重視で、知らない間にアルバムを聞き終えている最悪なパティーンのアルバムになるのでは、と危惧しておりましたが、意外や意外、予想以上にダークでヘヴィなテイストもあるザクザクしたリフ圧しのトリッキーなプレイが切り込んで来る楽曲がしょっぱなから飛び出してきて安心させられました。

この辺りのダークなテイストは悲しいかな90年代グランジーの波を経験しているUSプレイヤーにとって、今となっては当然なギタープレイなんでしょうねぇ…

後半カントリーっぽい楽曲やブルーズテイスト漂う楽曲だったりも飛び出してきて、如何にも陽気なアメリカン・サウンドなのにニンマリさせられます。この手のテイストやプレイはユーロ圏のミュージシャンでは敵いませんね、やっぱり(w

とまれ、相変わらずなハードでエッジあるテクニカルで流麗な早弾きプレイもしっかりフィーチャーしつつ、歌心あるメロディアスで爽快なプレイが全編に渡って披露されており、彼個人の技巧派ギタープレイのファンな方にとってはこれ以上ないくらい満足いく作品と言えるでしょう。

彼のキャリアや交友関係的に幾らでも歌の巧いクリスチャン・シンガーを招いて往年のANGELICA"らしい"アルバムを創る事は出来たのでしょうが、敢えてシンガーを招かず、彼自身のプレイのみで全てを語り表現する作風に挑んでいる点を見ても、以前とは違い自身のプレイに絶大な自信を持って本アルバムの制作に至ったのだと察せられます。

キーボードやドラムは殆ど打ち込みと思われますが、ベーシストとドラマーの二人がスペシャル・ゲストで招かれているので、打ち込みでは無機質に成り過ぎる箇所等でプレイを披露しているのかもしれません。

逆に言うと殆ど打ち込み臭さを感じさせない自然なフィーリングのサウンドだとも言え、この辺りは以前と違って近年のテクノロジーによる所が大きいのでしょうね。

個人的に Neil Peartの一件があっただけに、このアルバムに少し癒やされました…(つд`)

CCM系は独自のカテゴリーなのも影響してか、なかなか輸入盤が入って来ないしそもそもプレス数も少ないので、ともかくANGELICAファンなら迷わず買い! なアイテムなのは間違いありませんから売り切れる前に早々に入手しておきましょう!

P.S.
それとCD裏面に明記されてたんですが、どうやら Dennis Cameronはフルタイムのプロミュージシャンとしての活動は断念し、現在は開業医(!?)となっている模様なので、今後ANGELICAの新譜はなかなかリリースされる事は無い、もしくは本作と同じようなインスト作で彼個人が満足出来るような作風になるのではないかと思われます…

まぁ、ミュージシャンとして成功出来なくても人生は続くんだし、彼は彼なりに次のステージへ進んだって事なんでしょうね。堅実に。





# by malilion | 2020-01-19 13:37 | 音楽 | Trackback

RUSHのドラマー、Neil Peartが死去…


RUSHの頭脳にしてドラマーであった Neil Peartが1月7日、米カリフォルニア州サンタモニカにて死去した模様。

死因は脳腫瘍とのこと。

3年半にわたる闘病の末に亡くなった。享年67歳。R.I.P

RUSHはもうLIVE活動しないと近年発表していたが、腱鞘炎だけでなくこれが隠れた大きな原因だったのかも…orz

奥さんや娘さんで辛い思いをしつつ、それでも創作活動を再開してくれたNeil Peartに感謝だったのですが、やっとこれで彼も安らかになれたんだと思うしかありませんね……

今日はRUSHのアルバムを引っ張り出して夜通し聞き倒しますか…(T-T)



# by malilion | 2020-01-16 12:49 | 音楽 | Trackback

新アメリカ人キーボーティストを迎え、劇的に生まれ変わった北欧シンフォ・バンドTHE FLOWER KINGSが新譜をリリース!

新アメリカ人キーボーティストを迎え、劇的に生まれ変わった北欧シンフォ・バンドTHE FLOWER KINGSが新譜をリリース!_c0072376_17594323.jpgTHE FLOWER KINGS 「Waiting For Miracles ~Limited 2CD Digipack~」'19

北欧スウェーデンの大御所プログレ・ギタリスト Roine Stolt率いるシンフォ・バンドが6年ぶりとなる新譜をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

去年 Roine Stoltはソロ名義のRoine Stolt's THE FLOWER KINGとしてアルバムをリリースしているので、バンド作としてそんなに間隔が開いていたのかと、今さらながら驚かされた方もいらっしゃるかも?

95年デビュー以来幾度もメンバーチェンジを行ってきたバンドだが、今回の大きなトピックとしては長らく Roine Stoltの盟友としてバンドに在籍し、サブリーダー的な立ち位置だった Tomas Bodin(Keyboards)が本作では脱退し、代わって新キーボーディストにUS産テクニカル・シンフォ・バンドAN ENDLESS SPORADICを率いる天才的作曲家にしてマルチ・プレイヤーの名手 Zach Kaminsを迎えた事だろう。

地味にドラマーも Felix Lehrmannから Mirko DeMaioへチェンジしているが、このバンドはリズム隊が昔から良く変わっているので、それは驚くには当たらないでしょう。

しかし、面白いのはRoine Stolt's THE FLOWER KINGにも Zach Kaminsはゲスト参加しており、その時の演奏が気に入って Roine Stoltが新たなキーボーディストに彼を招いたのではないだろうか?

まぁ、Tomas BodinをはじめTHE FLOWER KINGSのメンツ達と新たなバンドTHE SEA WITHINを立ち上げアルバムを既にリリースしているので、Roine Stoltとしてはバンドごとのサウンドの差異をハッキリさせる為にも、あえてメンツを変更したとも考えられますね。

実際、Tomas Bodinはデビュー作から長らくTHE FLOWER KINGSのキーボーディストの座に有り続けバンドサウンドのカラーを決めていた大きな要素であった訳だから、バンドサウンドが同一方向性のままで大きく分かり易い変化を付けるならリーダーでギタリストの Roine Stoltか、彼を代えるのが一番てっとり早いでしょうから。

活動歴が長いバンドがマンネリズムに陥るとやらかす、同一メンツのまま妙な新要素を追加してダンサンブルになったり、ダークでヘヴィなグランジーさを加味したり、妙にデジタリーなサウンドへ接近したりと今風要素を無理くり追加するような試行錯誤をされるくらいなら、主要メンツをチェンジしてバンドサウンドをリフレッシュしてくれた方がファンとしては安心…かなぁ?(汗

さて、その主要メンツをチェンジして初となるアルバムのサウンドは、お馴染みな70年代回帰型のレトロ風味なHR寄りのプログレッシヴ・ロックを現代風なモダン要素を加えブラッシュアップしたスケール大きいサウンドで、ソリッドでヘヴィなサウンドとシンフォニックな優美さと艶やかなサウンドを絶妙のバランスで交差させており、その上で何時ものようにヴォーカルと分厚いコーラスは歌心があって実にキャッチーで聞きやすく、北欧プログレお得意のビンテージ感漂う哀愁のメロディとエモーショナルながらも透明感あるギター・サウンドが終始耳を捉えて放さないのは同じなのだが、バンドサウンドが明らかに変わった事を示すのに十分な程に異なっているのが分かる。

Tomas Bodinも多彩な鍵盤楽器を操ってTHE FLOWER KINGSのサウンドを鮮やかに飾り立てていたが、本作の Zach Kaminsに至っては、メロトロンやハモンド、ムーグやシンセ、ローズ・ピアノ、ハーモニウムなどのヴィンテージ・キーボード類だけでなく、鉄琴やマリンバ、ギター、テルミン(!)、オーケストレーションに至るまで多種多様な楽器を操り、その的確でハイセンスなテクニカル・プレイと絶妙のアレンジで、幾分かマンネリズムに陥りかけていたTHE FLOWER KINGSのサウンドに新鮮な風を持ち込み、一気にバンドサウンドのレベルを一段引き上げ、さらにモダン化を加速させる事に成功していると言えよう。

若手プレイヤーの発奮が呼び水になったのか、Roine Stoltを始め他メンバーのプレイも切れ味鋭い渾身のプレイを披露しており、まるでデビュー作のような迸る熱くスリリングなプレイがそこら中から飛び出してきて、Zach Kaminsというアメリカ人プレイヤーがベテラン北欧バンドに与えた影響が如何に絶大だったのかを物語(メンバー・フォトのど真ん中に陣取ってるのが象徴的だw)っているようだ。

そんなベテラン・プレイヤー達に囲まれ Zach Kaminsは少しも臆する事なく、如何にもプログレ的なテクニカルなプレイやエモーショナルなプレイ、そして素早く派手なリックをダイナミックに繰り広げており、幾分かこれまでのアルバムよりサウンド全体の北欧的な透明感や叙情感は薄れた印象はあるものの、逆にこれまで余り感じられなかったムーディーでミステリアスな雰囲気や民族音楽的なテイストなどが持ち込まれるなど、THE FLOWER KINGSサウンドを再び輝かせた起爆剤が Zach Kaminsが操る鍵盤類サウンドであるのは間違いなく、キャリアあるシンフォ・バンドが新たなキーボーディストを迎えた事で、ここまで劇的に変化するものなのかと驚かされっぱなしな一作と言えるだろう。

そういった人事的なトピックを知らぬリスナーが本作に耳を傾けたとしても、その緻密に作り込まれたスリリングでメロディアスなギターと重厚で壮大なシンフォニック・アレンジが聞く者を魅了するエモーショナルでファンタジックなサウンド、そして圧倒的な演奏力と説得力ある歌声だけでリスナーを完全にバンドの音世界へ連れて行ってしまえる力量は、ベテランバンドの風格未だ衰えず、と言った所でしょう。

ポップスや古典的なロックソングも含む多様なプログレ要素がクロスオーバーされた幅広い音楽性とテクニカルでスリリングなプレイが飛び交う重厚にして壮大なサウンドの中にあって、フッと訪れるソフトなアコースティック・パートが織り成す“圧し”だけでない“引き”の美しい叙情感は、ユーロ圏バンドに特有な上に、キャリアあるバンドでなければ表現の難しい音数は少ないけれど胸に訴えかけるエモーショナルなサウンドという奴で、本作でもしっかりとその柔和なサウンドが、瞬間的にキラリと清涼な輝きを放つ様が実に美しいのです(*´ω` *)

毎度同じ方向性でちょっとマンネリだなぁ、と彼等のサウンドに飽きてしまった旧来のファンの方々や、スリリングでモダンな上にキャッチーで安定感抜群という北欧シンフォ・サウンドがお好みな方なら、是非本作をチェックして見て下さい。



# by malilion | 2020-01-03 17:54 | 音楽 | Trackback

YES+EL&P+GENESIS÷3×アメリカンな初期USプログバンドLIFTがデジタルリマスターでリイシュー!


YES+EL&P+GENESIS÷3×アメリカンな初期USプログバンドLIFTがデジタルリマスターでリイシュー!_c0072376_23512998.jpgLIFT 「Caverns Of Your Brain ~Expanded Edition~」'76

74年に録音して500枚限定でリリースしたものの何の反応も得られず、その後77年にメンバーの知らぬ間に勝手にLPリリース(ブート)までされてしまった、だけどそのお陰でその存在が知れ渡ったドマイナーな5人組アメリカン・プログレバンドのリマスター&ボートラ追加盤がリリースされたのでご紹介。

それまでにもブートレッグ音源は何度かリリースされて来た模様だが、90年に一度オフィシャルCDリリースされて国内盤も発売されており、本作の半分の南部(Topekaは中部寄りだけど…)時代の音源(KANSAS州の州都Topekaで結成され、録音された初期音源)を耳にされたプログレ・マニアな方も多い事だろう。

今回は後に本拠を東部GEORGIA州のAtlantaへ移し、大きくメンバーチェンジをした後に制作された76年以降の音源を追加し01年に『The Moment Of Hearing』なるアルバムタイトルで再びリイシューされた音源を、『Caverns Of Your Brain』のオリジナルアートとタイトル、そして紙ジャケ仕様でリマスター再発したものとなっている。

さて、本作のサウンドだが、既に方々で語られているように、初期YES、EL&P、そしてGENESISを足して3で割って倍速のハイテンションでプレイしたようなサウンド、という説明通りの、如何にもアメリカン・バンドというイメージ通りな豪快さとテクニカルに畳みかけるパワーとスピードが前半の音源では漲っており、その異様なテンションはHRバンドにも決して引けを取らない激しさだ!('(゚∀゚∩

プログレの代名詞的楽器メロトロンをフィーチャーしながら、ハモンド、ムーグ・シンセなど多彩な鍵盤楽器が所狭しと駆け回り、疾走するリッケンバッカーの図太いベース・サウンドと手数の多過ぎるドラムがせわしなく変拍子を刻み、時折歪んだスリリングなギターが切り込んでくる、バックのサウンドのレベルと比べると幾分スキル足らずなC級な力量のヴォーカリスト(フルート奏者も兼ねている)がメロディアスな歌メロを歌い上げている前半部分は、如何にも70年代末期の混沌としたUSプログレという、情熱のウネリと若さ故の歯止め無きパワーを感じるテクニカルな演奏でけたたましく攻め立てており実に爽快であります(*´ω` *)

70年代UKプログレ・バンド群からの影響が絶大なサウンドなれど、フルート奏者がメンバーに居る事と、UKバンド群のサウンドの重要なピースである優美さや楽曲構成の緻密さをメインにするのではなく、猪突猛進な怒濤のパワーで叩きつけるように演奏する事でお手本に無い独特なオリジナリティが生まれているのが非常に面白い点と言えましょう。

後半はフロントマンとギタリスト、ベーシストをチェンジし、美声のフィメール・ヴォーカリスト Laura "Poppy" Pate嬢をフィーチャーした楽曲となっており、作風もグッとゆったりとしたテンポでメロディアスになり、今度はRENESSANCEとGENESISをミックスしたような、儚さと可憐さを漂わすファンタジックでシンフォニックなポップサウンドへ様変わりしていて驚かされる。

ていうか、もう完全に別バンドなサウンドだ。

後半分の音源はマスターに問題があるのか、ヨレたり音量が急に変化したりと万全な状態での音源でないのが少々悔やまれるが、それでもこうして再びリリースしてくれた事には感謝しかありません。

なにせ初CD化からもう30年近く(!)時が経過しているので、今の再生環境にマッチしたクリアなリマスター音源で傑作を楽しみたいですから。

70年代末期のアメリカン・プログレと言うとまだアートロックというイメージが濃厚な、商業性より芸術性が重要視された孤高のサウンドが個人的に大好きでして、BABYLONやCATHEDRAL、MCARTHUR、そしてYEZDA URFA等の混沌とした独特のサウンドが癖になる初期USプログレ・バンドがお好きな方ならば是非チェックして見て下さい(*´ω` *)


# by malilion | 2019-12-30 23:41 | 音楽 | Trackback

北欧スウェーデンのベテラン・メロハー・バンドHOUSE OF SHAKIRAが新作『Radiocarbon』をリリース!

北欧スウェーデンのベテラン・メロハー・バンドHOUSE OF SHAKIRAが新作『Radiocarbon』をリリース!_c0072376_21160716.jpgHOUSE OF SHAKIRA 「Radiocarbon」'19

活動20年を超える北欧スウェーデンのツインギター5人組ベテラン・メロハー・バンドであるHOUSE OF SHAKIRAの、前作『Sour Grapes』から3年ぶりとなる13枚目のアルバム(BEST、LIVEを含む)がリリースされたので即GET!

新たなヴォーカリスト Andreas Novakを迎えて4枚目となる久しぶりの新作でも、爽快なコーラスワークを活かしたポップでキャッチーなアメリカン・ロックに北欧風味をまぶした絶妙のメロディアスHRサウンドな方向性に大きな変更はないものの、長らくベーシストの座についていた Basse Blybergに代わってオリジナル・ベーシストでありROYAL HUNTにも在籍していた Per Schelanderが復帰した新編成となっての初のスタジオ作だ。

また、メンツ変動だけでなくイタリア最大手でありメロハー・ジャンルのレーベルとしてユーロ圏で代表的な存在であるFRONTIERS Musicへレーベル移籍して初の作品となっており、さらに共同プロデュース及びミキシング・エンジニアとして、TALISMAN、EUROPE、ROYAL HUNT等の作品にも関わっているHAMMERFALLの Pontus Norgrenを起用と制作環境が今回は大きく変化しており、バンドメンツの変化は最小限で外部の環境を変化させる事で少々マンネリ気味になりつつあるサウンドに安定感を保ちながらも刺激を与えようと画策したのかもしれない。

この新作のサウンドに耳を傾けて気づくのは、これまでにも増してAORへの傾斜をさらに強めた分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカルが聞ける事と、グランジスタイルなハードエッジで非常にヘヴィなリフを重ねたり、ROXY BLUEやAC/DCを彷彿とさせる適度にエッジあるストレートでシンプルなリフを刻み、軟弱になりそうな楽曲を引き締めつつ、北欧風味漂う叙情感あるメロディアスHRサウンドに見事に仕上げている点だろう。

“スカンジナビアのVAN HALEN”張りなクラシックなリフで構成された80年代HRに近い豪快なギター・サウンドが飛び出してきたり、意図的にリードギタリストの Mats HallstenssonがクラシックHR風な先祖返り的サウンドを織り込んでいたり、ヴォーカルやコーラスはEUROPEやDEF LEPPARDにインスパイアされたのが明白だったりと、そういったフォロワー的な手法にHRファンは恐らくニヤリとさせられ事だろうが、だけでなく時折聞ける流麗なツインリードやフックの効いたリフ、初期DANGER DANGERを彷彿とさせる弾けるような陽気な楽曲、現代的なモダンに洗練されたリフやアレンジ、そして高らかに歌い上げるヴォーカルを包み込むキャッチーでメロディアスなサウンドのそこここで彼の絶妙なギタープレイが光りを放っているのが分かる。

ビッグなフックと分厚いヴォーカル・ハーモニー、キャッチーなメロディと耳に馴染みやすい歌メロを大事にしつつもギター・オリエンテッドな80年代風味漂うアメリカン・ロックに北欧情緒をまぶしたメロディアスHRに、デビュー作からのお約束である中近東の民族音楽的な旋律やミステリアスな雰囲気の漂う歌メロを交えつつ、ベテランらしい風格と安定感バッチリに聴かせるそのサウンドは、特にテクニカルな事をしている訳ではないが非常にヴァラエティ豊かでバランスも取れた素晴らしいと一作と言えるだろう。

ただ、VAN HALEN、EUROPE、DEF LEPPARD、ROXY BLUE、AC/DC、DANGER DANGERだけでなく、RAINBOW(Stargazerっぽいんだよなぁ…以前リッチーのトリビュト・アルバムにも参加してたし、やはり北欧ミュージシャンはリッチー好きなんですねぇ)までの影響がこれまで以上に露骨に感じられた本作のサウンドは、当然意図してなのだろうけど、一体どうしてこんな手法を選択したのか少々不可解ではあります。

もしかして、80年代アメリカンHRと北欧清涼感系HRのMIXサウンドに中近東の民族音楽的なフレーズ、だけで十分に個性的だと思うのですが、今回は自身のルーツ的なサウンドを再確認しつつアルバムに反映させるってのがコンセプト、って事なんでしょうかね?

まぁ、前作は長い活動を通じて多種多様な音楽要素を取り込みつつ、初期からの朗らかでキャッチーなサウンドという軸を堅持しつつ全曲コンパクトに纏め上げられた捨て曲が見当たらぬ完成度の高いアルバムだっただけに、今回はルーツ再確認という手法と要素で意図的にバランスを崩したサウンドにして魅せた、というマンネリ打開の手法なのかもしれませんね。

ハードエッジや即効性の刺激を求める向きや、ハイテンションな迸るパッションを求める向きにはお薦めできませんが、キャッチーなAORやフック満載なメロディアスロックを好む方や80年代風のメロディアスなHRがお好みの方ならきっと気に入るだろうアルバムに仕上がってますので、ご興味あるようでしたら是非チェックしてみて下さい(*´ω` *)



# by malilion | 2019-12-29 21:09 | 音楽 | Trackback

ファンタジックなユーロ・シンフォを聞かせるDRIFTING SUNがアルバム未収コンピレーションCDをリリース!

ファンタジックなユーロ・シンフォを聞かせるDRIFTING SUNがアルバム未収コンピレーションCDをリリース!_c0072376_11171207.jpgDRIFTING SUN 「Singled Out」'19

先頃最新6thアルバム『Planet Junkie』を発表したばかりの、フランス人キーボーディスト Pat Sanders率いる多国籍ユーロ・シンフォ・バンドが、多数のシングルからセレクトされたアルバム未収シングル・コンピレーションCDをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

再結成しての活動が順調なのを反映してか、マネジメントがバンドが受けてるから今こそ小銭の稼ぎ時と画策したのか、15年~18年までにダウンロードのみでリリースされたアルバム未収録のシングル曲のBサイド12曲(未発表曲1曲含む)が今回初CD化された('(゚∀゚∩

ポピュラー・ミュージックシーンではDL販売が殆ど主流になっている音楽業界で、未だにアルバム偏重なアーティスト嗜好の強いバンドが多い事やインディ故に現物をリリースしたいというアーティスト側の記念碑的なアイテム故かプレスした盤が主流であったプログレ系バンド達の間でもジワジワとDL販売が主流になりつつあるようだが、こうしてプレス盤CDをリリースしてくれるのは個人的に大変ありがたいのです(*´ω` *)

やっぱり、手で直に持ってライナー眺めつつじっくりと音楽を味わいたい古いタイプなもので……(汗

再結成したばかりの時は、活動休止前通り Pat Sandersのワンマン的キーボード弾きまくりとシンフォ系サウンドに不釣り合いなHM的なメタリックなギター・サウンドがファンタジックなバンドサウンドをスポイルしていたように感じたが、その後ギタリストをチェンジしウェットな英国叙情が漂うメロディアスなモダン・ユーロ・シンフォサウンドにマッチしたシンフォ系向きプレイへ変化し楽曲の方もアルバム全体の完成度を考慮した方向へ軌道修正し現在に至る訳だが、本コンピレーション盤に収録の音源は、当初のワンマンっぷり(笑)のままに Pat Sandersの鍵盤メインな楽曲が多く、ピアノ独奏の弾き語りやキーボードとギターがメロディアスに舞い踊るインスト曲等々、現在ではバランスを考えてアルバムの楽曲作りをしている Pat Sandersが溜まったフラストレーションを吐き出すかの如くコレでもか、とデビュー当時のままに弾き倒し(録音も殆ど自身のみでメンバーほぼ不参加)ていて実に微笑ましい(*´ω` *)

アルバムではリリカルで華麗なキーボード主導な繊細なアコギ・パートや薄っすらメロディをなぞる柔和なコーラス、そして優美なストリングス・パート等の美しいアンサンブルや“引き"の美しさが際立つアレンジが効いた完成度の高い楽曲が納められているが、このアルバム未収録曲ではそういった完成度を度外視したバランス無視で思うままに演奏する、如何にもジングルのB面曲ならではといったアルバム収録曲の対局とも言える趣の楽曲はユーロ・シンフォ的な完成度の高いサウンドとはまた違ったカラーやタッチが楽しめて、ファンならずとも80年代ポンプ愛好家ならニンマリしてしまう事だろう。

PENDRAGON、GENESIS、YES、MARILLION、そしてPINK FLOYD等の影響が透け見える繊細でドラマチックなメロディアス・シンフォサウンドなものの、ただ柔和なキーボード・サウンドばかり詰め込まれたリリカル・サウンドばかりではなく、ハードドライヴィンするロックティスト有るギターも活躍するアンサンブル際立つその美旋律はソフト目なプログHM好きにも訴求するでしょうから、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。

毎度お馴染み自主盤なので、お求めの方はお早めにね!





# by malilion | 2019-12-27 11:10 | 音楽 | Trackback

UKシンフォ界の重鎮バンドIQが、5年ぶりに2枚組の大作を放つ!

UKシンフォ界の重鎮バンドIQが、5年ぶりに2枚組の大作を放つ!_c0072376_20333751.jpgIQ 「Resistance ~Limited Edition~」'19

MARILLIONを旗頭に、英国ポンプロック・シーンを代表するGENESISフォロワー・バンドの1つとしてPENDRAGON等と共に80年代初頭に唸りを上げてシーンを賑わした新鋭バンドであった彼等も既に活動40年を超える重鎮バンドであり、その彼等が前作『The Road Of Bones』'14以来となる、5年振りの通算11枚目の3面開き紙ジャケット仕様の2枚組限定盤を、ちょい遅れてGET!

なんでも当初は1枚モノとボーナス・ディスクという構成で制作を進めるものの、バンド創立メンツにして唯一不変のオリジナル・メンバーであるギタリストの Michael Holmesが語る所によると『ディスク1の雰囲気と全く一致しなかった』という素材を元に15分超えの大作3曲を含むなど楽曲が予定より増え、結果収まりきらぬマテリアルをカットするのは惜しい、と言うことで2枚組アルバムへ変化したと言う本作だが、頭っから如何にも彼等らしい英国プログレッシヴ・ロック直系の重厚にして濃密な王道シンフォ・サウンドが飛び出してきて、これにはファンならずともニンマリしてしまいます(*´ω` *)

さて、新作の内容についてですが、基本的にこれまでと同一路線なGENESISをルーツとした明快なメロディアス・サウンドと、このバンド独特のリリシズムを湛えたこれぞ英国叙情という気品とミステリアスなダークさ漂うドラマ性を継承しつつ、静かで憂鬱な詩と、軋むようなシンセサイザー、70年代風ハモンド、荘厳な教会オルガン、中東の影響を受けた倍音素材、お約束の重厚なメロトロン、不吉で邪悪な雰囲気漂わす多彩なサウンドなど、多種多様な鍵盤楽器を用いて幻想的で優美な物語を綴り、センチメンタルでデリケートなタッチのサウンドから一転爆発するような激しくドラマチックな楽曲展開と、絶妙な緩急の付け方で思わず息を呑む美旋律の数々を対比させる事で、カラフルでイマジネイティヴに満ちた劇的な効果を何倍にも高めて魅せる、ハードなダイナミズムを前作より一段と強めた作品だ。

ファンの方には、Peter Nichollsのシアトリカルなヴォーカル、長らく屋台骨を支え続けてきた Paul Cook のタイトでソリッドなドラム、Michael Holmesのエレガントなタッチから一転ハードに切り込む鋭く歪んだギター、そして『Frequency』'09 以来再結成IQの特徴となっているダークなトーンの音の壁がアルバムをタップリ埋め尽くした、鈍色な闇の奥でキラキラ光るメロディが輝きながら今にも滴り落ちそうなシンフォニック・サウンド、と言えば即理解していただけるかと。

それにしても前作『The Road Of Bones』から加入した新キーボーディスト Neil Durantの影響がこんなに大きく感じられるアルバムになるとは思いませんでした。

前作の時点では出たり入ったり忙しいオリジナル・キーボーディスト Martin Orfordの穴を埋められるのか、少々心配(前任者 Mark Westworthは一作のみの参加だったから…)な塩梅だったものの、本作に至っては完全にバンドサウンドの要とも言える大活躍をしており、彼の持ち込んだフレッシュな感覚や重厚にして華麗なキーボードワークと魅力的なサウンドメイキングが、より進化したバンドサウンドを反映した新たなIQサウンドの特徴になりつつあるように思いますね。

極論すると、以前は Michael Holmesのギター・サウンドがバンドサウンドの中心的存在だったが、今では Neil Durantの操るキーボード・サウンドがバンドサウンドの中心となっている、と言っていいくらいに感じられますから。

ディスク2の方は、如何にもプログレっていう変拍子とリズムチェンジの激しい派手でスリリングな楽曲が納められており、ある意味でこっちの方が一般的なプログレ好きにはウケがいいだろうが反面古臭くも聞こえ、やはりモダンサウンドを追求しさらなる進化を目指しているバンドとしてはディスク1のサウンドコンセプトにマッチしない、という判断をしてディスクを分けたのは賢明だったと思いました。

でも、正直言って嫌いじゃないんだよなぁ~~~~~~~~っ! ディスク2のサウンド(w

プログレ系で二枚組大作アルバムというのは今となってはそう珍しい事はありませんが、IQが今回放った本作はこれまでレジェンド・バンド達がリリースしてきたアルバムと比べて即効性の強いメロディやテクニカルで派手なプレイは乏しく、ちょっと聞き“弱く”感じるかもしれないけれど、じっくり聞き込むに相応しい緻密なアンサンブルと細心の注意で構成された楽曲は魅力に満ちており、決して期待を裏切らぬ一作だと言えましょう。

イマイチ落ち着きの悪かったキーボーディストの座も Neil Durantで安定したようだし、今後はメンツ変化などなくますますの活躍をして欲しいですね。




# by malilion | 2019-12-23 20:22 | 音楽 | Trackback

期待の北欧メロハーの新鋭 ART NATIONが3rdアルバムをリリース!

期待の北欧メロハーの新鋭 ART NATIONが3rdアルバムをリリース!_c0072376_15060653.jpgART NATION 「Transition」'19

Alexander Strandell率いる北欧スウェーデン産メロハー・バンドが2年ぶりに新譜をリリースしたのをちょい遅れてGET!

13年にデビューアルバムをリリースした北欧メロハー・バンドDIAMOND DAWNの元フロントマンが立ち上げた新バンドとして鳴り物入りでデビューし、そのTNTを彷彿とさせるキャッチー且つ哀愁を感じる叙情的メロディが光る躍動感あふれるサウンドから洗練されたAOR風味までカヴァーする煌びやかでハイクオリティな楽曲や Alexander Strandellの上から下まで伸びやかに歌い上げる強靱なハイトーン・ヴォイスと抜群の歌唱力でメロディアス愛好家を一発で魅了した彼等が『Revolution(革命、大変革)』'15 『Revelation(天啓、啓示)』'17 と来て、続いて『Transition(変化、過度)』なる3rdアルバムをリリースした訳だが、アルバムタイトルが示す通りデビューからの音楽性に幾分か変化が生じたようだ。

この変化がバンドの練度が上がった故のモダン嗜好へのサウンド変化だったなら何の問題もなかったのですが、どうにもこのバンドはメンツがデビュー以来安定(Alexander Strandellのワンマンバンドだと割り切れば問題でもないかもだけど…)せず、今回もサウンドの変化も大幅なメンツの入れ替えの結果なように思えるのが少々先行きの不安を感じさせますね……

アルバムデビュー前に Alexander Strandell(Vo)、Simon Gudmundsson(B)、TASTEで活動していた Christoffer Borg(G、Backing Vo)、そして Theodor Hedstrom(Key)、最後に Christofferの弟である Felix Borg(Ds)が迎えられて5人組ラインナップが一端完了する。

のも束の間、セカンドギタリストに Johan Gustavsson(G)と Felix Borgに代わって名うての新人ドラマー Carl Tudenが加入し、ツインギター&キーボード入り6人組バンドとしてデビュー作を録音し、リリースする。

スウェーデン国内をツアーした後に2ndアルバム制作に取りかかるが、よりソリッドでハードエッジなサウンドへ進化した結果か、前作での作曲で重要な役割を担っていた Theodor Hedstrom(Key)が脱退(DIAMOND DAWNを追い出された傷痕故か、Christofferや Theodorとの出会いやコンビネーションにあんなに喜んでいたのに…)し、レコード会社も移籍してツインギター5人組バンドとして2ndをリリース。

2ndの作曲作業には Theodor Hedstromも関わっていた関係か、2ndまではデビュー作からの音楽性が進化したというのも納得なサウンドだった訳ですが、その後のメンバーチェンジの頻度がヤバ過ぎた……

2ndレコーディング後に Simon Gudmundsson(B)が抜けて女性ベーシスト Rebecka Tholerusを迎えツアーに挑むツアーをこなすものの、17年終わりには Christoffer Borg(G)、 Carl Tuden(Ds)、 Rebecka Tholerus(B)が脱退 エェェ(´д`)ェェエ

その煽りで日本公演がキャンセルとなる中、Sam Soderlindh(G)と旧友にして宿敵だったDIAMOND DAWNの Efraim Larsson(Ds)を迎えLIVE活動を再開するも、すぐにドラマーが Linus Thomssonへチェンジする。

と、初期からのメンツで残っているは Alexander Strandell(Vo)を除くと Johan Gustavsson(G)のみとなり、慌ただしくメンツが入れ替わって3rdアルバムの制作へ突入。

で、レコーディングが完了した後、またメンツ変動が起こり(マジで良く解散しないな…って言うか、もう殆ど別バンドだよね?)、現在のラインナップは、Alexander Strandell(Vo)は不動なものの、FOUREVERなるバンドにも在籍中の Mia Moilanenなる女性ギタリスト(G)、Sam Soderlindh(G)、元DEVILICIOUSの Alexander Lundgren(Ds)の4名で、ベーシストの席はまだ空席となっている模様だ。

初期の作曲中心人物 Theodor Hedstrom(Key)と Christoffer Borg(G、Backing Vo)が抜けた上に、これだけメンツが代わっての3rd制作となれば音の方も自ずと変化するのは当然の流れな上に、どうもさらに Alexander Strandellがバンドサウンドのポピュラリティを高めようと画策した模様で、本作のサウンドはよりモダンなタッチが強く感じられ、初期楽曲のような疾走感はかなり抑え目になり、代わって普遍的なロック的展開の楽曲や、女性ヴォーカリストとのデュエット曲や、専任キーボーディストが居ないにも関わらず2ndで軽減させた煌びやかでデジタリーなキーボードサウンドの比重が大幅に増えているのはどういう事なのか……

初期のキレ味鋭くキャッチーでポップでありながら、しっかりとハードエッジも感じさせる叙情派北欧メロハー・サウンドが好みだった方にとって、幾分かサウンドが柔和になったのとスピードとキレが落ちたように感じられる本作のマイルドサウンドをどう捉えるか、で本作の評価は分かれるような気がします。

まぁ、あのままハードエッジな方向性で進んでもその他大勢の北欧メロハー・バンド達との差異を構築するのに苦労する事になるのは目に見えていたので、本作からのより一般層へ向けてサウンドの方向修正は間違ってはいないとも言えますが、そうなると相手をするのはポップス畑のアーティスト達って事になりますので、現時点のサウンドの洗練度ではまだまだそちら系のファンを唸らせるのは少々厳しいんじゃないかと要らぬ心配をしてしまいますね……

とは言え、またメンツが変動してサウンドの方向性がコロっと変わるかもしれませんし、仮にメンツ変動なくても現在のメンツでのアルバム制作はまだですし、まだまだ北欧メロハーのフィールドで語られるべきサウンドではありますので、そこまで彼等のこの先を悲観はしてませんけどね(w

次なる新作まで、ともかくメンツを安定させて活動して欲しいものであります。



# by malilion | 2019-12-09 14:56 | 音楽 | Trackback

初期北欧HMバンド KEEN HUEがまさかの復活!? 未発旧音源を旧メンバーが集ってリリース!

初期北欧HMバンド KEEN HUEがまさかの復活!? 未発旧音源を旧メンバーが集ってリリース!_c0072376_19571064.jpgKEEN HUE 「Heydays」'19

80年代初期スウェディッシュHMシーンを支え、マイナーながらアルバム2枚を残して解散したツインギター5人組スウェーデン産メロディアスHMバンドが、前作『Juicy Fruit Lucy』から約26年(!!)ぶりに再結成して3rdアルバムをリリースしたので即GET!

77年頃結成されるもののデビューアルバムをリリースする頃には結成メンバーは誰も残っておらず、一番の古株がギタリストの Stefan Morenとドラマーの Peter Erikssonで1stから在籍し、2ndでもプレイしており、本作でもしっかり在籍して熱演を披露している。

そもそも『Ogre King』'84 でアルバムデビューした当時はツインギターでベースがヴォーカルを兼ねる4人組バンドで、垢抜けないイラストがジャケのイメージ通り典型的な初期北欧マイナーHMバンドだった。

音域の狭いヘタクソなオヤジ声の如何にもなリードヴォーカルが力一杯熱唱し、ハモってないダメダメなコーラスにバタつくドラム、そしてハードドライヴィンなギターがおぼつかないテクを披露し、荒っぽいツインギターが時折耳を惹くマイナー調のメロディを弾くという初期北欧HMの典型パターンとも言えるブリティッシュHMの影響を受けたイモ臭いスピーディなHMを奏でていたので、その筋のマイナー北欧系HMバンドが好みな方には知られた存在だったらしい。

因みにリリース元のレーベル倒産につきもう本作は入手不可能とのことで、権利関係問題があるのか今現在も未CD化なアルバムだ。

北欧地域ではそこそこ売れたらしいのでストックが存在したのか、自分はかなり前に運良く新品LPを購入出来たが今現在はどうなのかは不明です……(汗

それからかなりの年月を経て『Juicy Fruit Lucy』'94 なる2ndを発表し、北欧HM好き特にスウェーデン産バンドなら日本で受けると思われたのか彼等も国内盤デビューとなる。

国内盤はちょっと妖しい雰囲気なイメージのジャケにデザインが変更されているが、外盤はもっとタイトル通りな分かりやすいエロいジャケだ。

きっと国内的にはB級北欧メロディアスHMとしてプッシュしたかったのだろう。

下世話なイメージのジャケより国内盤のお上品な方が、まぁ確かに一般受けはするだろうが、サウンドのイメージとはちょっと遊離しているように感じますね…

2ndでは新たに専任ヴォーカリスト Mats Frimodigsを迎え、元SIX FEET UNDERのベーシスト Kent Janssonも新たに加入、ギターも Stefan Moren一本になり、さらにキーボーディスト Per Anderssonが迎え入れられた新編成の5人組バンドとなっていた。

1stから時間的な間隔がかなり開いている間にメンバーのスキルも上がった(Peter Erikssonのドラムもかなり安定したプレイを披露)のと、1st時のヴォーカルとは比べものにならない上手いフロントマンを得たのも功を奏したのだろう、B級マイナー北欧HMから2ndで一気に高品質なB級メロディアHMへチェンジしたサウンドを披露する。

ただ、所謂日本人好みなマイナーな美旋律が疾走する楽曲を聞かせる北欧メロハー・タイプでなく、もっとルーズでラフな感覚のロックンロール寄りなサウンドだったのと楽曲のキャッチーさがイマイチだったのも影響したのか、ぶっちゃけ日本では人気は出ず、数ある北欧のマイナー・メロディアスHMバンドの1つとして埋もれていった……

キーボードが活きる楽曲は、DEEP PURPLE、RAINBOW系の北欧HMっぽい疾走サウンドでなかなかよろしかったのに、もっとソッチ系にサウンドを纏めていれば少なくとも日本では人気が出たのでしょうが、結局世を覆うグランジーの波に飲まれたのか彼等の続報は伝わってこなくなってしまう。

因みにバンドの情報が途絶えた後、96年にギタリスト Stefan Morenは『Yippie Ya Ya』なるソロアルバムを自主制作でリリースしていて、Stefan Moren自身のポップな歌声(なかなか上手い!)といい分厚いコーラスといいビートロック系なサウンドといい、伸び伸びとハードにメロディアスにギターを弾きまくりなその屈託なく朗らかなハッピー・サウンドはどこかSWEETっぽくて個人的にはバンドのアルバムより彼のソロ作の方が楽しめましたね(w

Stefan Morenが05年に2ndソロ『The Last Call』を続いてリリースしている所を見るに、それまでKEEN HUEは何度か活動休止をしつつ存続していたらしいが、当時は実質活動していなかったか、もしくは既に解散していたのではないのだろうか?

なんでも今現在もKEEN HUE-Under Coverなる別名義バンドとして有名ヒット曲のカヴァーを地元クラブ等で披露するローカルな活動を継続している模様で、Stefan Morenと Kent Janssonが在籍しているとの事。

で、本作はそんなカヴァー曲ばかり演奏する状況に飽き飽きしたのか、Stefan Morenの発案で1stで歌っていた Lars-Ake "Platis" Nilzonと、オリジナルギターのもう1人である Ake Nystroem、そしてドラマーの Peter Erikssonが復帰し、ずっと在籍していたリーダーでギタリストの Stefan Morenとベーシスト Kent Janssonはそのままに5人組バンドとしてリユニオンし、2ndリリースまでにメンバーチェンジが何度も起こりながらも作曲を続けていたが2ndでバンドサウンドの路線が変更されて陽の目を見なかった81年から89年の間に書かれた古い楽曲を昔のメンバー達と新たに録音したのが本作だ。

『え? あのヘタクソな Lars-Ake "Platis" Nilzonを呼び戻すの!?』と、本作の企画を知った時驚きと不安を覚えたのですが、届けられた新作に耳を傾けると、あら驚き! 長い年月が経過してスキルが上がったのか、当時の録音状況が悪かったのか、ヴォーカルプロデュースが不味かったのか、本作での Lars-Ake "Platis" Nilzonの歌声は別人かと思うくらいちょっと苦汁声なものの断然上手く(w)なっており、マイナー調の疾走する楽曲でツインギターが華麗にメロディアスなソロを紡ぎつつ、ポップでキャッチーでありながらしっかり芯のある熱い歌声とコーラスという、1st路線が正統に進化した今となっては古式ゆかしい初期北欧スピードHMな荒々しくもメロディアスな楽曲が詰め込まれたアルバムにジャストフィットしたヴォーカルを披露している。

発掘テープの類いと違って現在のテクノロジーで録音されプロデュースされているので音は当然よろしいしのですが、それ以上に現在のモダンな感覚も取り入れられた楽曲アレンジだったり、ストリングスが追加されたり、マイナー調の北欧HM定番な哀愁漂うバラード曲を飾り立てるさり気ないキーボードサウンド等、ソロ活動やローカルながら地元で音楽活動を続けてきた Stefan Morenの手腕が活かされた旧曲新録アルバムだと言えよう。

しかし、今現在の耳で80年代初期北欧HMの上質なサウンドを耳にする事になるとは本当に予想外でした(w)、しかも地味に本作の楽曲は出来が良いんだなぁ~コレが(*´ω` *)

きっとコレも長い間 Stefan Morenがヒット曲のカヴァーを演奏してきたから自然とアレンジ力が上がったのが本作に活かされているんでしょうね。

当然、サウンドも楽曲プロダクションもA級でないけれど、勢いばかりで荒削りで未完成だった80年代初期北欧HMサウンドに当時足りなかった要素(ちゃっかり1st収録曲“Ogre king”が再録されている)が加味された“古くて新しいサウンド”を今回こうして耳にして感じるのは、もう今となっては聞く事の出来ないストレートでピュアな北欧HMサウンドがノスタルジックな趣を伴ってビンビンとハートを震わせる、って事(w

HEAVY LOAD、TORCH、OVERDRIVE、220 VOLT、UNIVERSEらと肩を並べて成功を目指して疾走していたKEEN HUEの80年代初期北欧HMは、きっと当時を知る古参リスナーは勿論、しらなくてもスピーディーでストレートなマイナー調北欧HMがお好みな方ならば、きっと気に入ってくれる一作だと思いますで、ご興味あるようでしたらチェックしてみても決して損にはならないでしょう。

そうそう、バンド名の意味は Stefan Morenによると「シャープな色調」という意味らしいが、イギリス人に言葉の意味を確かめたら怪訝な顔をされたという事なので、結局は彼等の造語というのが正解なようだ(w

本作の編成がこのまま続くのか、今回限りの企画の為だけなのかは判然としないが、出来る事ならこのまま本格的にこの編成でバンド活動を開始して欲しいものです。


# by malilion | 2019-12-06 19:47 | 音楽 | Trackback

スイスのシンフォ・バンドCLEPSYDRAが再結成して18年ぶりの新譜をリリース!

スイスのシンフォ・バンドCLEPSYDRAが再結成して18年ぶりの新譜をリリース!_c0072376_13490782.jpgCLEPSYDRA 「The Gap」'19

01年に4枚目のアルバム『Alone』をリリースし、程なくして惜しくも解散してしまったスイスのキーボード入り5人組シンフォ・バンドが18年ぶり(!)となる再結成第一弾5thアルバムをリリースしたのを、国内盤出るかとしばし待ったけど我慢し切れず(汗)輸入盤で遂に購入したのでご紹介。

14年にデビューから解散までの10年間の音源を全てリマスターして収録した限定BOXをリリースしていたので音源的には5年ぶりの素材となる訳だが、解散後も断続的に同窓会的なLIVEをしていたのが実ったのか、こうして新規音源をリリースしてくれたのをまずは祝いたい。

ただ、これだけのインターバルが空いた(すっかり皆オッサンに…)事もあって完全なるリユニオンとはならず、ギタリストが Marco Cerulliから Luigi Biaminoへチェンジしているのは仕方が無いだろう。

で、再結成作の内容はと言うと、解散したその時から全く時間が経過していないような、スイスのシンフォバンド、と聞いてイメージする通りの、妙な癖や灰汁の無いスッキリ冷ややかな叙情派メロディアス・シンフォのお手本のような、まんまCLEPSYDRAなネオ・プログレ風味ある正統派ユーロ・シンフォ・サウンドでした。

革新的な何かをサウンドで成している訳でもないし、目指している訳でもない再起動した彼等のサウンドは、ややもすると70年代の巨人達や80年代のネオ・プログレバンド達のエミュレート(元々、お手本が初期MARILLION)に聞こえるが、メランコリックなギターと雰囲気満点なシンセが繊細で叙情感溢れる美しく淡い水彩画を描くように紡ぐゆったり展開の多いシンフォ要素をベースに、元来彼等が持っているストレートでシンプルなユーロ・メロディアスロックなサウンドピースを随所で聞かせるスタイルに変化は無く、ギタリストの交代も大きな影響をその温和なサウンドに与えていないのは、前任者も得意としていた表情豊かで物憂げなギターの壊れ物のような爪弾きを聞くだけですぐ気付くだろう。

今となっては珍しいポンプ系バンドで良く聞けた、ちょっと線の細く甲高い Aluisio Magginiの歌声も相変わらずで、今の時代には独特な特徴となって聞こえるのが面白い効果だろうか?

冷ややかな叙情派サウンドの要である Philip Hubertの鍵盤捌きは相変わらず流麗で、小気味良いピアノのアレンジや涼やかなシンセワークを聞かせ、解散前より幾分か目立って聞こえるのは、新加入の Marco Cerulliのギターが幾分控え目(遠慮して?)だからかもしれない。

プログレ系としては至って普通というか堅実でソリッドに重きを置いたリズムセクションは、変にテクニカルな事をして悪目立ちせぬ屋台骨的プレイを解散前と変わらず繰り広げ(実際は必要に応じてパートパートでダイナミックでパワフルなHM的アグレッシヴ・プレイを繰り広げている)ており、その点ではHR的と言えるかも。

北欧シンフォのような邪悪さや寂寞感も無く、英国シンフォのような先進的な革新さやモダンな感触も薄く、米国シンフォのようなパワー押しやアグレッシヴさも聞こえず、スタープレイヤーの妙技で聴衆を惹きつけるでもない、テクニカルな畳みかけるインタープレイより夢見るような淡いパッセージが紡がれる、メンバー全員のバランス良い演奏と程良く構成された楽曲やアレンジ等の総合力で勝負する、淡い色づきの柔和な清涼感と冷ややかな哀愁を漂わす美しくドラマチックな彼等の叙情派シンフォ・サウンドはちょっと聴き今の若い聴衆にはインパクトが弱く聞こえるかもしれないが、じっくり聞き込む程にそのデリケートでロマンチックなファンタジック・サウンドの微妙な味わいと甘やかな香り漂う魅力に惹き込まれて行く事だろう。

バカテクだとかプログレ的革新性は皆無だけれど、停滞だとか進歩が無いという中傷を恐れずに、ただただ美しくロマンチックな叙情派シンフォ・サウンドを18年ぶりに変わらず届けてくれたCLEPSYDRAには大感謝なのです(*´ω` *)

叙情派ユーロ・シンフォ好きな方なら一聴する価値はありますので、もしご興味あるようでしたら是非チェックしてみて下さい。

自主制作盤ですので、お求めの方はお早めにね!


# by malilion | 2019-12-03 13:41 | 音楽 | Trackback

北欧スウェーデンの新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDが大興奮の5thをリリース!

北欧スウェーデンの新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDが大興奮の5thをリリース!_c0072376_14090683.jpgDEGREED 「Lost Generaton」'19

Robin(Vo&B)と Mats(Ds)のEriksson兄弟を中心とする北欧スウェーデン出身の4人組新世代ハイブリッドHRバンドが約二年ぶりに放つ5thアルバムをちょい遅れてGET!

前作に引き続き国内盤がリリースされ一安心だ。

さて本作の内容についてだが、大手レーベル移籍と新マネジメントのバックアップや、Ted PoleyとのコラボバンドMODERN ARTでのアルバム制作経験も間違いなくプラスに働いたのだろう、前作よりさらにサウンドが整理され、よりシャープでモダンになった印象を受け、全体的なサウンドの華やかさとキャッチーさ、そしてスレートな音が増して幾分かアメリカナイズされたように思えるが、しっかりと端々に北欧らしいウェットなメロディ使いやフック、そして細やかなアレンジと艶やかなヴォーカルメロディが実に味わい深く、ドライで作り物臭いUSA産バンド群のサウンドとはひと味もふた味も違うアグレッシヴで骨太なサウンドに満ちた傑作アルバムとなっている。

キャッチーでポップでありながら、ユーロテイスト漂うウェット感と北欧系特有のキラキラしたキーボードと透明感あるメロディ、メインリフでヘヴィに攻めつつサビでは突き抜ける爽快感とフック満点な分厚いコーラスというデビュー時からの方向性は変わる事なく、楽曲の完成度やアレンジの妙、そしてモダンなサウンド造りとバンドが持つ魅力をより一層に磨き上げ、さらにドラマティックさとダイナミックさ迸るサウンドスケールを逞しく成長させた前作を超える強力な高揚感と爽快感がメンツ一丸となって疾走する溌剌サウンドに満ち溢れており、以前にも増して大活躍な Micke Janssonが操る鍵盤が紡ぐ涼やかなデジタルパッセージや煌びやかなシンセサウンドに包まれる中、Robin Erikssonの噛みつかんばかりの激しい熱唱と Daniel Johanssonのコンパクト且つエモーショナルでテクニカルな絶妙のギタープレイが交差し、まるで魔法のような眩いトリックを生み出していて、もう大興奮!('(゚∀゚∩

しかし、北欧メロハー系と言うとハイトーンなシンガーや凄腕のギタリストばかり話題になりがちですが、殆どの楽曲を作曲しているのみならず目立たないけれど楽曲をしっかり引き立てるシンセや艶やかなピアノの繊細な調べ等のセンス抜群な鍵盤捌きを見せる、本バンドの Micke Janssonはもっと注目されてしかるべき逸材だと言えましょう。

正直、最近耳にした新譜で最も興奮したのが本作で、背筋をゾクゾクするような悦びが駆け上ってくるフレッシュな感触と燃え上がるパッションサウンドを、まさか彼等が届けてくれるとは思っておりませんでした。

さらに洗練されシンプル化が進んだ、と言うと従来のテクニカルパートを隠し味にキャッチーな北欧サウンドを奏でていた彼等のサウンドが好きだった方は不安になるかもしれませんが、よりスマートでモダンなアメリカナイズされたシンプルな楽曲構成故にメロディの美しさが引き立っており、多くの要素を高い次元で融合させた極上のメロディアス・ハードサウンドをコンパクトでモダンな手法と絶妙のアレンジで聴かせてくれるので、旧来の彼等のファンの方でも決してガッカリする事はないと断言出来ます。

さらなるメジャー展開を考慮してか、本作から Robin Erikssonが Robin Redに、Micke Janssonが Mikael Blancという芸名に変更したりと、さらにサウンドのモダン化を進めてアメリカ進出やワールドワイドな展開を目論んでいるのか、そうなると彼等を彼等たらしめている北欧風味、キーボードとギターのセンチメンタルなユニゾンパートなどの以前にも増してメロディアスでロマンチックなサウンドパートなんて如何にも北欧バンドって感じのリリカルな感触が実に心地よいのですが、そういった要素が減退してしまわないかこの先少々心配ですけど……

Ted PoleyとのコラボバンドMODERN ARTで少しは知名度がアップしたかもしれませんが、まだまだ無名に近いのが理解出来ぬ高品質な北欧メロハー・サウンドを届けてくれる彼等、HEAT、ECLIPSE、Work Of Art等の北欧メロハー好きな方からAOR好きな方まで是非お薦めですぜ!


# by malilion | 2019-12-02 14:02 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーの雄 ECLIPSE、7作目にして遂に変化の兆し!?

北欧メロハーの雄 ECLIPSE、7作目にして遂に変化の兆し!?_c0072376_22313770.jpgECLIPSE 「Paradigm」'19

楽曲提供だけでなく様々なプロジェクトやコラボ等で引っ張りダコな北欧ワーカホリックマン Erik Martensson(Vo&G&Key)率いる北欧スウェーデン産メロハー・バンドの、17年リリースの前作『Monumentum』以来2年半ぶり7作目となる待望の新作がリリースされたのを少々遅れてGET!

前作はユーロHM的ウェットなメロディと叙情感、そしてアメリカンHM的キャッチーな爽快感と疾走感をMIXさせたハードエッジなスリリングさと躍動感あふれる従来通りの折衷メロハー路線を推し進めた充実作であったが、本作では少々サウンドのタッチに変化が見られるようだ。

同一路線のサウンドをこれまで磨き抜いて来た為のマンネリズムに対する変化を求めたのか、ユーロ圏のみならずアメリカでも積極的にLIVE活動を行うなど、北欧メロハー系バンドに多いLIVE活動は少なくスタジオでアルバムを量産するタイプでない彼等ならではのステージングからのフィードバックを活かしたからなのか、本作ではこれまでのような Magnus Henrikssonによる派手でハードエッジなギターサウンドが抑え目になり、Erik Martenssonのヴォーカルやコーラス等にかなり焦点が集められたある意味でヴォーカル主導なAOR&ポップス風の楽曲スタイルに変化しており、彼等の激しくも華やかなバンドメンツ一丸となっての疾走感あるインタープレイが気に入っていたファンにとっては少々物足りなく感じてしまうかもしれない問題作とも言えるだろう。

無論、相変わらずハードエッジなサウンドだし、キャッチーでフックあるコンパクトな楽曲は以前と変わりなく高品質な仕上がりだし、変わらずスリリングで劇的な楽曲展開も聞かれるのだが、幾分ミッドテンポの楽曲が多く収録されている為かアルバムを聞き通すと途中で少々ダレるように感じられるのが個人的には気になりましたかね……

まぁ、いつまでも勢い任せのルーキーバンドじゃないんだから、っていう好意的な見方も出来るかもしれませんけど…

代わりと言ってはなんだが、その分これまで以上に Erik Martenssonの上手い歌が堪能出来るし、幾多のプロジェクトで揉まれ幾人ものアーティスト達とコラボレートした経験が活きたのか、より深みを増したその歌声の表現力や声の使い方の幅はデビュー当時とは比べものにならぬくらい拡がりと安定感を増しており、スローテンポな楽曲でそのヴォーカルスキルの真骨頂を発揮している(*´ω` *)

ことここに至っては、以前聞かれたような露骨な白蛇フォロワー臭いギターサウンドや楽曲ピースは姿を消し、完全にオリジナルなバンドサウンドへ成長したのが分かり、これは Magnus Henrikssonの弾きまくりギターが主軸だったバンドサウンドのバランスを変化させた、前作より落ち着いた印象のマイルドサウンドな本作だからこそよりそう強く感じるのかもしれない。

昨今のバンドがこぞってダークでハードな硬質サウンドへ突き進んでいる中で、ヴォーカル中心なメロハー系バンドとしてはよりソフトな要素を取り入れた方向へ進む選択をしたのは、やはり Erik Martenssonの意識が既にそれらHMバンド達とは次元の違う、よりポピュラリティの高いモダンサウンドな方向へ進んでいるからなのでしょう。

個人的にはヴォーカルオリエンテッドなアルバムも大好物だし、ちょっとハード目なメロハー・ヴォーカルものなんかも大好きな自分的には本作の方向性は全く気にならないのですが、元気溌剌なハードドライヴィングするギターサウンド主導なメロハーサウンドを求めている向きにどう評価されるのか少々不安ではありますね… 随所で顔を出す Magnus Henrikssonのギターソロも悪く無いんだけど、やっぱりコンパクト過ぎて少々食い足りないんだよなぁ…

楽曲の質は変わらず高いし、メロディも未だに優れており実に煌びやかで派手なサウンドなので、キャッチーでメロディアスという要素を彼等に求めている従来のファンは安心して本作に手を出していいだろう。

逆にハードなギターサウンドやロックバンドらしいソロプレイの応酬や手に汗握る予想不能なインタープレイが飛び交う、そんなパートを求める向きには、コンパクトで小綺麗にコンポーズされ過ぎた彼等のサウンドは御気に召さない可能性が高いんでしょうかね?


とまれ、メロディアスな北欧ロック好きな方になら間違いなしにお薦め出来る一枚と言えるでしょう。

しかし…また日本先行発売なんだよな…また、Frontiers盤でボートラ大量追加でリリースで買い直し確定なの??(ノД`)



# by malilion | 2019-12-01 22:23 | 音楽 | Trackback

MARILLION旧曲リアレンジ企画盤ながら、室内管弦楽隊との共演作は絶品! な美麗シンフォニック作!

MARILLION旧曲リアレンジ企画盤ながら、室内管弦楽隊との共演作は絶品! な美麗シンフォニック作!_c0072376_18375329.jpgMARILLION 「With Friends From The Orchestra」'19

ネオ・プログレの旗手として80年代に英国で唸りを上げて誕生し、幾多の紆余曲折を経て昨今では枯山水の如き渋ぅ~い世界へ旅立ってしまった彼等の、旧作に追加音源をプラスした限定新装版やオフィシャル・ブートレッグLIVE等々の怒濤の大量音源リリースを経て前スタジオ作『F.E.A.R』'16 以来3年ぶりとなる、新企画スタジオ・アルバムをGET!

燃え上がるヴァイオリンが目を惹くジャケの本作は、Sreve Hogarth(Vocals)、Mark Kelly(Keyboards)、Ian Mosley(Drums & Percussion)、Steve Rothery(Guitars)、Pete Trewavas(Bass & Vocals)のいつものバンドメンツ5名に加え、ストリングス・クァルテット、フレンチ・ホルン、フルート、サックス奏者からなる7人編成の室内管弦楽隊との共演作となっており、89年の『Seasons End』から、12年の『Sounds That Can't Be Made』までの曲を取上げシンフォニックなリアレンジを施し、さらに美旋律に、さらに叙情的に、オリジナル以上に艶やかでドラマチックなサウンドを奏でており、最近のすっかり枯れた味わいに比重を置いた彼等のサウンドに一抹の寂しさを感じていた旧来のファンは歓喜する事間違いなしな一作だ。

バンドとオーケストラの共演作にありがちなお上品になり過ぎる事なく、ロック的なダイナミズムもキープしつつ、さらに美旋律に磨きをかけたそのサウンドは、彼等の楽曲が秘めていた新たな魅力と新アレンジの妙が実に素晴らしく、MARILLIONはベテランなれどまだまだ枯山水世界の住人で落ち着くのは早い、と再認識させてくれる。

ていうか、無理なのは分かってるけど、もっと分かりやすいド派手で俗っぽいシンフォ作をもう一回聞かせて頂戴ぃ~! と、切実に本作の優美で芳醇なサウンドを耳にして思ってしまいました(*´ω` *)

ある意味企画の内容を知ったファンが想像するだろうサウンドと方向性で、妙な小細工や奇をてらった策や意外性など微塵も無い、望む通り“まんま”な美しいサウンドを届けてくれたMARILLIONには感謝しかありませぬ。

下手なシンフォ・バンドの楽曲よりよっぽどシンフォニックで美しいんだよなぁ~、ホントに。やっぱMARILLIONはいいわぁ~♪

MARILLIONファンは無論、優美でメロディアスなクラシカルな調べがお好みな方はチェックしても決して損はしない一作ですので、是非に一度お試し下さい。

例によって例の如く自主制作盤なので、お求めはお早めにね!




# by malilion | 2019-11-30 18:30 | 音楽 | Trackback

YESトリビュート・バンドでマニアに知られたTIM MORSEがソロ第三弾をリリースしていたのを、今頃ご紹介。

YESトリビュート・バンドでマニアに知られたTIM MORSEがソロ第三弾をリリースしていたのを、今頃ご紹介。_c0072376_19000498.jpgTIM MORSE 「III」'18

元々はYESトリビュート・バンドPARALLELSで活動していたUSAのマルチ・ミュージシャンで、歴史的な飛行家リンドバーグの生涯をテーマしたコンセプト・アルバムだった前作『Faithscience』'12 以来となる3rdアルバムが実は去年ひっそりとリリースされてた模様で今頃に慌てて購入。

2ndソロ以降、フュージョン系のJerry Jennings BANDのメンバーになった事や Bret BinghamとのTHE MANGOESでの活動も関係してかなかなか新譜が届けられなかったが、こうして無事新譜がリリースされてなによりだ。

参加者の数は少なくなったが、ギターをはじめベースやドラム、マンドリンやヴァイオリンなど前作同様にゲスト奏者陣を多数招き、自らの多重録音プレイ(ギター、ベース、シンセにドラム、そしてヴォーカル)で緻密に造り込んだサウンドのアルバムという“1人プログレ・バンド”なスタイルに変化は無い。

前作はヴァイオリンにKANSASの David Ragsdaleを招くなどしていたが、残念ながら本作では別ヴァイオリン奏者が参加していて個人的にはちょっとそこは残念かなぁ…

本作のサウンドだが、適度にテクニカルなリズム展開を見せつつキャッチーなメロディとシンセで楽曲を彩るスタイルに変化はないものの、前作までのSPOCK'S BEARD風だったり Neal Morse風だったりの、如何にもアメリカンという抜けの良い爽快感ある90年代以降のUSシンフォ&プログレ・タッチなサウンドから、今まで意図的に抑えて来ただろうYES風のサウンド、特にキーボードプレイやサウンドで露骨にYESカラーを押し出したり、ムーディーなJAZZっぽいフレーバーや古き良きプログレ風味な鍵盤サウンドを聴かせている点が大きな違いだ。

また、特にヴィンテージ機材で録音する事にこだわったと言う本作は、ハモンドオルガン、フェンダーロードスのエレクトリックピアノ、ミニムーグ、メロトロンのサンプル等々をたっぷりフィーチャーしている上、ムーグトーラスベースペダルも活用しているので、その手の機材マニアの方には嬉しい一作となる事だろう。

元々バリバリにテクニカルなインタープレイを見せつけるようなプレイでグイグイ推していく派手なタイプでないのもあるが、流石にSPOCK'S BEARDや Neal Morseの二番煎じじみた方向性では明確なオリジナリティの確立難しいと見たのか、本作のYES風味を加味したサウンドへ軌道修正したのは個人的に“アリ”だと思いますね。

オリジナリティ確立目指してYESっぽくなっちゃイカンだろう、という突っ込みは重々承知なんですが、最近の耳当たりの良いモダン・シンフォ系で分厚いコーラスにキャッチーな歌メロ、そしてキレと抜けの良いサウンドってなると、どうしてもSPOCK'S BEARDにサウンドが近似しがちですから、敢えてSPOCK'S BEARDの源流でもあるYES風味までサウンドを原点回帰させた方が良い結果を生むと判断したのではないでしょうか? 勿論、勝手な推測でしかありませんけど。

まぁ、即興プレイを活かした殆どデモのテイクを利用したみたいな事を言ってるので、なんだかんだと小難しい考えなんぞ皆無な、ただ気持ちよくプレイしてたら地のYES好き要素が顔を出してこういう次第になった、ってだけかもしれませんが(w

ただ、前作でも感じたのですが、マッタリと穏やかでスッと耳に入ってくる心地よいメロディと優しいヴォーカルや重ねられたコーラスは実に聴き易いし、要所要所で耳を惹くメロディやプレイなんか聞けるものの、総じて既にビッグネームであるSPOCK'S BEARDや Neal Morse、そして他のモダン・USシンフォ・バンド達以上の個性や差異を感じられず、Tim Morseでなければ聞けない、というような強烈な個性やプレイは見当たらず、そういう視点から見ると些か魅力の薄い作風と言わざるおえないのが、高品質に造り込まれた優等生サウンドなだけに実に惜しい、悪くないアルバムです。

そこここにプログレチックなサウンド・ピースやプレイが散りばめられた心地よく和め、爽快感もあるTim Morseのサウンドを嫌う人は少ないでしょうから、ワンチャンどこかのビッグネーム・バンドへ誰かの後釜で転がり込むか、思い切ってプログレ的サウンドは捨ててもっとポピュラー・ミュージック寄りなサウンドへ接近でもするかしないと、きっと次も『出来の良い佳作止まり』な印象のアルバムを聞く事になるような気がしてなりません…

また本作はCDーR盤しか存在しないので、入手が面倒だと思われる方はDLで購入してもいいのではないでしょうか?

前作まではちゃんとデュプリ盤リリースしてくれたのになぁ…これも時流なんですかねぇ…orz





# by malilion | 2019-10-31 18:54 | 音楽 | Trackback