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ポップでキャッチーな北欧プログHMバンド A.C.Tの久しぶりの新譜をご紹介。

c0072376_07204910.jpgA.C.T 「Rebirth」'19

北欧スウェーデン産プログHMバンドの、前作『Circus Pandemonium』'14 から5年ぶりとなる新譜EPがリリースされたのを、少々遅れてご紹介。

これまで5枚のアルバムをリリースしている彼等だが、なんでもアルバムリリースの間隔が長く空きすぎるので、これから1年に1枚EPをリリースする予定なのだとか。
だからか、本編最後の楽曲の終わり方が、如何にも次の曲へ繋がる風で突如途切れる終わり方なんでしょうね。

とは言え、手早く音源を纏められる音楽形態とそうでない音楽があるので、かなり創り込む系な彼等のサウンドがそんなに予定通りサクサクと完成させてリリース出来るとも思えないんだけどなぁ…(汗

デビュー当時は、大雑把に言ってDREAM THEATER+SAGA+QUEEN×UKプログレなサウンドだった彼等だが、本作に至っては夢劇場からの影響から完全に脱却し、オペラチックなヴォーカルアレンジにQUEENっぽさを感じさせるのみとなった、今や完全にオリジナルなテクニカル&シンフォなポップ・サウンドをクリエイトしていると言っていいだろう。

本作もプログレをベースにしているものの相変わらずポップで親しみ易いメロディアスな作風で貫かれており、非常にカラフルで艶やかなサウンドと爽快感抜群なコーラスワーク、そしてキャッチーな甘口ヴォーカルと総じて如何にも北欧産なポップ要素をしっかり感じさせつつ、一筋縄でいかぬ展開が織り込まれた複雑で緻密なアレンジと、それでいて少しも難解な所の無いフック満載な楽曲は最後の一音まで創り込まれた高品質作で、余りにカッチリ創られ過ぎているので生っぽいロックさが乏しく感じてしまう点と、EPなのでアッと言う間(22分!?)にアルバムが終わってしまう点以外は文句の付けようがない程だ。

彼等の複雑で豊かなサウンドを知る方ならご承知でしょうが、一応このバンドのサウンドのカテゴライズとしてはプログHMと言う事になるものの、既にバッキングや短いインタープレイ等で幾分かHM要素を感じさせる程度の、ギリギリでプログHMの範疇に収まっているといったボーダーレス・サウンドは既に殆どプログHMからはみ出している音楽性な訳ですが、前作のコンセプト作故の難解さの反動か本作はよりポップなフィーリングに寄った楽曲が納められており、その為にかちょっと軽目なヴォーカルと分厚いコーラスがオランダのメロハー・バンドTERRA NOVAっぽく聞こえたり、デジタリーな加工が施されたモダン・アレンジなサウンド等の実験も相変わらず行われており、万華鏡のようにクルクルと様変わりするその複雑にして美麗なサウンドには新鮮な驚きを覚え、さすがは70年代プログレをリスペクトするA.C.Tの頭脳 Jerry Sahlin(Key、Vo)の面目躍如と言った所だろう。

まぁ、ヘヴィ要素が今回は特に薄目なコンパクトにまとめられた軽いポップサウンドのEPなので、HM的なスリリングなエッジあるサウンドを求める方や、プログレ的な熱いインタープレイの応酬なんかを求める方には少々厳しい内容なのは否めませんけど…

とまれ、メロディアスでキャッチーなプログHM好きな方だけでなく、所謂普通にキャッチーなテクニカル・ユーロHM好きな方にも是非お薦めしたい一枚であります。

果たして来年、EPが届けられるか定かではありませんが、素晴らしい楽曲が詰まった新作がリリースされるのを首を長くして待ちましょうかね(*´ω` *)







# by malilion | 2019-10-16 07:14 | 音楽 | Trackback

カナダ人メロハー・シンガー Rob Morattiのソロ第三弾『Renaissance』を今頃ご紹介。

c0072376_20211121.jpgROB MORATTI 「Renaissance」'19

様々なメロハー・プロジェクトへのゲスト参加やMORATTI、FINAL FRONTIER、SAGA、RAGE OF ANGELS等と参加するバンドを変えアルバム毎にハイトーンが冴える歌声のパワーと艶を増し、メロディアス・ロックシーンでその存在感を増してきたカナダ人シンガー Rob Morattiの、前作『Transcendent』から3年振りとなる待望のソロ三作目がリリースされたのを、かなーり遅れてGET!

前作が『超越』という大仰なタイトルのアルバムであったが、そのタイトルに偽りない高い完成度と優れた楽曲が詰め込まれた一枚であったのにメロディアス・ロックファンは異議を唱えないだろうが、続く本作タイトルが『ルネサンス(再生、復活の意)』とあって一体どんな変化が Rob Morattiの音楽に訪れたのかと少々心配したが、結局の所は音楽的に大きな変化は無く、過去2作のソロ作が気に入ったファンの期待を裏切る事無いだけでなく、幅広くメロディアス・ロック・ファンにアピール出来る安定安心な良作アルバムだ。

全ての楽曲に共通して、フックある美しいメロディーと爽快に突き抜けるコーラス、AOR風味が増し惰弱になりそうな楽曲をピリリと引き締めるツボを心得たエッジあるギタープレイと目立たぬバッキングで華麗に楽曲を飾り立てるキーボードのソツない伴奏、そしてそれらバックのサウンドを足がかりに縦横無尽にその美声を轟かせる Rob Morattiのヴォーカル・パフォーマンスが非常に優れているのは明らかであり、全体的にAOR風味の増したアルバムの楽曲の隅々にまで Rob Morattiの魅力が満載された一枚と言えよう。

アルバム制作陣は前作と同じで、ボスの Rob Moratti(Lead & Backing Vocals、Producer)をはじめ、Torben Enevoldsen(Lead & Rhythm Guitar、Keyboards:SECTION A、etc...)、Fredrik Bergh(Keyboards:STREET TALK、BLOODBOUND、etc..)、Tony Franklin(Bass:THE FIRM、BLUE MURDER、WHITESNAKE、Kate Bush、etc...)、Stu Reid(Drums:MORATTI)の五名となっており、特別なゲストなどは招かれておらず、プロデュースのみならずミックスやマスタリングまで Rob Morattiが手がけており、細部にまで自身の追求したいサウンドを創作するのに心血を注ぐ職人的な強いこだわり(の割に、楽曲フェードアウト部分がちょっとぞんざいじゃない?)が見て取れる。

ただ、何もかも手放しで褒め称えられるかと言うとそうでもなく、トリビュート・アルバムを創ってしまうくらいJOURNEY(と言うか、Steve Perryか)に影響を受けている Rob Morattiなので、彼の創作する音楽に80年代JOURNEYっぽさが漂うのは別段驚くに値しないのだが、前作は『タイトルに偽りなし!』な一作であったものの本作の楽曲の出来や音楽性の幅やバリエーションについては、この手のAOR風味なメロディアス・アルバムとしては少々典型的、類型的で、バックのメンツのプレイは総じて高いレベルで結実し文句の付けようがない高品質なのだけれど、如何せんこの手のジャンルに付きものな“独創性の欠如”や“未知のサウンドとの出会いや新鮮な驚きの欠如”という最大の弱点を覆い隠すには至らず、『アルバムタイトルに偽りあり』という印象が残ったのは少々残念でした…

とは言え、メロディアスでキャッチーな非常に強力な楽曲が最後まで途切れる事無く続くこのアルバムは多くの点で傑出しているのは疑いようもなく、その素晴らしい収録曲の多くにシングルヒットの可能性があり、AOR&メロハー・シーンだけでなくポピュラー・ミュージックシーンでも高い評価が得られるだろうハイクオリティーなサウンドであるのは間違いなく、JOURNEY、FOREIGNER、NIGHT RANGER、SURVIVOR、TOTO等のキャッチーなブライトサウンドが売りの80年代アリーナ・ロック系バンド好きな方ならば間違いなくチェックして損はない一枚と言えるだろう。

まぁ、Rob Moratti的には、煌びやかなアリーナ・ロックの本場であるはずのアメリカで、ラップやガレージロックに隅に追いやられて殆どその姿を消したロックバンド達に代わって、往年のサウンドを再生してる、決して焼き直しなんかじゃない、という意味くらいでアルバムタイトルを付けただけなのかもしれませんけど…(汗

文句の付けようのない高品質な楽曲だけれど、個人的にはもうちょい叙情的でウェットなメロディや陰影深いサウンドの“押し引き”な演出等が聴けると、本当に至極の一枚ってレベルになったように思うが、まぁ Rob Morattiの音楽的なバックボーンはUSAアリーナ・ロック的な部分が大きいのが丸分かりだし、見当違いなアーティストにユーロテイストを期待しちゃうのがそもそも間違っているのでしょう。

そうそう、やはり海外でも突き抜ける高音域を自信満々に歌う Rob Morattiの歌唱力はリスナーの多くを驚愕させるようで、Peter Cetera(ex:CHICAGO)や Jon Anderson(ex:YES)等のハイトーン・ヴォーカリストのビッグネームとも比較されるくらい知名度を上げて来た模様だが、反面あんまりにも高過ぎる天へ突き抜けるその歌声が“Mr.Autotune”と揶揄もされているようだ(笑




# by malilion | 2019-09-30 20:14 | 音楽 | Trackback

ライオンは消えたまま…北欧スウェーデンのクリスチャンHMバンドNARNIAが約3年ぶりに8thアルバムをリリース!

c0072376_22525435.jpgNARNIA 「From Darkness To Light」'19

北欧スウェーデン産クリスチャンHMバンドが約3年ぶりとなる8thと最新LIVE盤『We Still Believe Made in Brazil』を収録した日本独自仕様となる2枚組アルバムをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

デビュー当時はインギー張りの早弾きギターとキーボードのインタープレイが飛び交うド派手な様式美サウンドを奏でていたが、アルバムを重ねる毎によりテクニカルに、さらにヘヴィに、もっとモダンに、と音楽性の幅を半ば強引に拡げ、解散前には看板ヴォーカリストにして盟友の Christian Liljegrenと決別し、バンドコンセプトさえかなぐり捨ててヘヴィネスなダークサウンドにまで貪欲に手を広げた彼等だが、暫しの後の再始動作となる前作で一気に熟練度が増した、派手さの無い骨太なメロディアス・モダンHMサウンドを提示して初期からのファンを驚かせた訳だが、続く本作でも前作の流れを汲んだモダン・メロディアスHMサウンドを提示している。

また以前からイマイチ安定しないベーシストのポジションだが再び変動があった模様で、一度脱退し前作で復帰した Andreas Olssonが二度目の脱退をし、新ベーシストに Jonatan Samuelssonを迎えた以外は、リーダーの CJ Grimmark(Guitars、Backing Vocals)にデビュー作から相棒の Christian Liljegren(Vocals)に加え、2nd『Long Live The King』'98以来参加し現在はROYAL HUNTでも叩いているドラマー Andreas Johanssonの中心メンツに変動はなく本作は制作されているので、ファンの方には一安心といった所だろう(*´ω` *)

まぁ、MODEST ATTRACTION、DIVINE FIRE、GUILDER RESURRECTION等でも活躍する人気フロントマン Christian Liljegren脱退以上のメンバーチェンジの衝撃はもう誰が抜けようと無いでしょうから、ファンはそんなに驚かないか(w

前作の流れを汲んだ作風ではあるものの、初期テイストも残しつつ今風な鈍色北欧HMサウンドも取り込んだ、メランコリックでダークな雰囲気を漂わす、バランス重視のコンパクトな楽曲と、渋く隙無いツボを心得た手堅いプレイとメッセージ性の強い歌詞世界を繰り広げる王道ユーロピアンHM的なモダン・クリスチャンHMサウンドまんまと言う訳でもなく、以前挑んで巧く表現出来ず導入を断念したプログHM要素が再び本作には感じられ、明らかに複雑な楽曲構成でキーボードをプログHM的にフィーチャーしたDREAM THEATERやSPOCK'S BEARD等の影響が透け見える楽曲や、IRON MAIDENっぽさを臭わす楽曲もあり、それだけでなくグルーヴとテクノ風味をMIXした独特の雰囲気を持つパワー・メタルサウンドや、グルーヴィでありつつブルーズフィールあるサウンドなど、新たな試みにも果敢に挑んで叙情感ある北欧クリスチャンHMサウンドをさらに進化させようとしているのが分かる。

ライナーで Christian Liljegren自身が語っているように様々なアーティストの要素を取り込み、影響を受けつつして音楽性の幅を拡げる行動自体はアーティストなんだし当然だし、健全な行為なんだろうけど、以前の事があるのでちょっと心配になってしまいますね…(汗

LIVEアルバムの方は、信心深いお国柄と言う事もあってか熱狂的にバンドを迎え入れているのが伝わってくる一作で、バンドもそんな聴衆の熱気に導かれるように渾身のプレイを繰り広げており、聴衆との熱いやり取りや、大合唱に煽られるように熱が籠もっていく各メンバーのプレイといい、大層な盛り上がり(手拍子にオーレ~オレオレー♪って、サッカー会場かw)でこれだけ盛り上がってくれたらそりゃLIVE録音しちゃうよね、ってなアーティスト冥利に尽きる国なのは間違いないだろう。

しっかりしたバランスで録音されたLIVE作で曲間の編集もされており生々しさには少々欠けるかもしれないが、 CJ Grimmarkもアルバム以上に派手でエッジあるギタープレイを繰り広げており、Christian Liljegrenの安定した抜群の歌唱といい、力強くバンドサウンドを支える Andreas Johanssonのソリッドなドラムプレイといい、聴いていて実に爽快で、お手軽BEST的な聴き方も出来る一枚だ。

尚、日本盤にはボーナストラックを1曲追加収録予定とあったが、残念ながらボートラは追加されておらず Σ(゚д゚lll)ガーン 同梱のボーナスLIVEアルバムだけで我慢するしかないようだ。
まぁ、別売りされていたLIVEアルバム丸々一枚同梱してくれたんだし、そこは我慢しましょう(値段に文句は言いたいけど!)
でも輸入盤で既にLIVEアルバムを入手していた忠実なファン的には、8thもLIVEも輸入盤のままでOKって事になって買い直ししなくて済むと前向きに考えられるのかな?
価格的に手が出せない、って方はお安く輸入盤で済ませましょう。

妙な売れ線への色気を微塵も見せず、ヘヴィネス、パワー、そしてプログHM要素を巧みにMIXし、クリスチャンHM定番の分厚くパワフルで荘厳なコーラスをバッチリとフィーチャーしつつ真摯なメッセージを切々と歌い上げる、今時こんなに奇をてらわぬドストレートで勇壮な味わい深い王道ユーロピアンHMサウンドを聞かせる良いバンドもなかなか居ないので、クリスチャンHMと言うだけでも色眼鏡で見られるだろう彼等が無事活動を続けられる事を祈って、次作が一日も早く届けられるのを待ちましょう。



# by malilion | 2019-09-29 22:44 | 音楽 | Trackback

新旧DANGER DANGERメンバー3人が結成したサイドプロジェクト・バンドTHE DEFIANTSが新作をリリース!

c0072376_17554436.jpgTHE DEFIANTS 「Zokusho」'19

DANGER DANGERの2代目ヴォーカリストにして“カナダのBON JOVI”なんて意地悪く囁かれる事もある Paul Laine(Vo&G)と、同じく2代目ギタリストとして現在もDDに在籍する Rob Marcello(G)、DDのオリジナルメンツにしてメイン・ソングライターのBruno Ravel(B)の、新旧DANGER DANGERメンバー3人が中心となり結成されたサイドプロジェクト・バンドの3年ぶりとなる日本先行リリースな2ndアルバムをちょい遅れてGET!

サウンドの方向性は全く変わりなく、DANGER DANGER要素と Paul Laineが持ち込んでいるだろうBON JOVI要素、そしてほんのりユーロテイストがまぶされた、デビュー作よりさらにビッグなコーラス、増々にキャッチーなフック、より華麗に弾きまくるギターと強力なヴォーカルが描き出すブライトなメロディにさらに磨きがかかった、日本人好みな適度にエッジの利いた爽快感抜群の安心安定なメロハー作だ('(゚∀゚∩

本作では前作より幾分か80年代要素は薄まって90年代初期DANGER DANGER要素なモダンさをサウンドに感じさせる箇所もあるが、抑えきれぬBON JOVI要素(笑)が上手い具合にミックスされた独特な明朗パワー・ポップサウンドへ巧みに仕上げられているのは、これまで各自が高評価を得ているソング・ライティングのテクニックを活かし良質のメロディック・チューンを書き上げてきたキャリアが伊達でない証明と言えるだろう。

一聴した時、アルバム前半の楽曲が出来は良いもののちょっと大人しめなサウンドに思えて『掴み弱くね?』と、戸惑わされるものの、聞き込むうちに新人バンドのようなハチャメチャな勢いやキレは無いけれど、プロフェッショナルな楽曲構成やアレンジ、プロダクションがしっかり効いた、耳に残る朗らか爽快メロディアスなパワー・ポップらしい楽曲から、哀愁香るブルージーな楽曲、AOR風味なヴォーカル推しな楽曲、ちょっとヘヴィでダーク目な楽曲、各楽器陣が巧みなプレイヤースキルを見せつける楽曲等々と、実に魅力的な楽曲が多種多様にズラリと並び、デビュー作よりさらにバラエティさを増し、尚且つ上の完成度を目指したバランス重視なアルバムだと分かる。

なお、本作の制作にはDANGER DANGERのドラマー Steve Westが参加しており、それによってよりDANGER DANGER風味が強まった一枚と言えるかもしれない。

このバンドにリスナーが求めるモノは斬新さや新人バンドのような勢いではないでしょうから、より完成度を増す方向性でモダン・パワー・ポップな楽曲の質を高めた本作をリリースしてくれたのは、まさにファンが求める通りな一枚と言えるだろう(*´ω` *)

なんか本家DANGER DANGERの活動が停滞気味っぽいから、どうせならこのままパーマネントなメンツを加えてバンドとして本格的に活動してもっと素晴らしい作品を届けて欲しいですねぇ~♪




# by malilion | 2019-09-28 17:50 | 音楽 | Trackback

インドのシンフォ・バンド COMA ROSSIがデビュー作をリリース!

c0072376_09063032.jpgCOMA ROSSI 「Same」'18

プログレ未開の地と思っていたインド(!!)から、去年末にデジタル先行で配信を開始していた本格シンフォ・バンドのデビュー作が遂にプレスCDで入手可能になったのでご紹介。

Tom Borah(Vocals、Acoustic Guitar)、Gaurav Govilkar(Guitars)、Udayan Kashalikar(Bass、Vocals)、Juby Thomas(Keyboards、Samples & Pre-production)の4名からなるバンド編成に、セッショドラマーを2名招いてデビュー作は制作されている。

アルバム製作時の正式メンバーは4名だったがサイト等で5名のメンバーフォトが表示されており、アルバムリリース後に新ドラマー Anupam Pandaが正式メンバーへ迎え入れられた模様。

まず、ジャケがいいよね!('(゚∀゚∩

物悲しくもミステリアスな物語を連想させる幻想的でとても美しいデザインで、シンフォ系にピッタリなセンスあるジャケだ(*´ω` *)

で、注目のサウンドはと言うと、シンフォとフュージョンをミックスしてサイケ風味をまぶしたイメージのモダン・サウンドで、ロングトーンのギターやダークなトーンが主体なヴォーカルメロディや楽曲の方向性等からPINK FLOYDっぽさがそのサウンドから嗅ぎ取れるが、無論モロなフォロワーと言う訳ではなく一要素としてバンドサウンドに溶け込んでいて、コレという似たシンフォ系のバンドサウンドがちょっと思い浮かばない独特なサウンドを奏でている期待のニューカマーと言えるだろう。

エッジあるギタ-・リフやハードなディストーションサウンドを聞くに、間違いなく夢劇場等のプログレHM的な影響も Gaurav Govilkarが受けている模様で、歪んだHM的なギター・サウンドとソリッドなリズムが叩き出すグルーヴを覆い隠すようなキーボード主導によるミステリアスでムーディーなパッセージや不安感を煽るピアノ等に、憂鬱なイメージを醸し出す引きずるようなギターの残響音や無機質なループ音等のSEに加えサイケ風味が合わさって、単なるPINK FLOYDフォロワーでない、シンフォサウンドとフュージョン、さらに環境音楽的な要素まで混合させた独特な叙情感を伴ったサウンドを生み出している。

ドラムクレジットのない楽曲もあるが、この単調なリズムループは打ち込みを使用して意図的に無機質な感触を演出しているのだろう。

少し東欧シンフォっぽいアンビエントでミステリアスなムード漂うシンセとロングトーンのギターの音色がダークで霧深いサウンドを紡いでいくパートが聞けるが、東欧バンドのような凍てつくような寂寞感やシャープな感触は無く、少しサイケっぽいタッチも感じる深いエコーがかかったその柔和でディープなサウンドは、もっと壮大で濃厚な乳白色の濃霧が無限大に拡がっていくようなイメージを思い起こさせると言えば伝わりますでしょうか?

サウンドの感触的にアジア要素はほぼ無く、寧ろユーロ圏のシンフォサウンドに近いように思えますが、他のインドバンドやインド・シンフォバンドの音を知らないので、何とも言えないのが…(汗

また、英詞を歌うヴォーカルもミドルレンジ主体で朗々と歌い上げるパートが多いものの、時折HR風な熱くワイルドな歌唱も聞かせ、これだけ上手いヴォーカルなのにインストパートが多目な楽曲形態の為にその素晴らしい歌声(時々、声質のせいかARENAっぽく聞こえるんだよな~)を披露するパートが楽曲の長さに対して少ないのが実に勿体なく思える程だ。

サウンドは現代社会のカオス、機械世界、そして生命に関わる人間の存在を描写し、歌詞は、喪失感、悲しみ、及び人間関係に対する時間の影響を語っていて、ちょっと取っつき難い所謂一般受けするように思えぬ方向性なものの、歌詞は最終的に非常に希望が持てる結びになっているのが救いと言えば救いでしょうか…それでもちょっと一般受けはしにくい暗いイメージのサウンドと歌詞ですよね…(汗

欲を言えば、もっと分かりやすくインドらしいメロディやフレーズなんかが聞けると”インドのシンフォバンド”というワードに興味を惹かれたリスナーを簡単に満足させられると思うのですが、あえてそういった手法をとらぬサウンドを演っている所を見るに、英詞のヴォーカルといい彼等がインターナショナルでメジャーな活動を目指しているのが窺えるような気がします。

果たしてインドにプログレ&シンフォ・シーンが存在しているのか定かではありませんが、出来る事なら次なる作品を早く届けてもらいたいものです。




# by malilion | 2019-09-25 08:59 | 音楽 | Trackback

メロハー系ハイトーン・ヴォーカリスト Tony Millsが死去…


メロハー系のプロジェクトやソロ、そして英HMバンドSHYや、ノルウェーのHMバンドTNTでの活躍で知られるヴォーカリストの Tony Millsが9月18日に死去した模様…


彼の妻リンダの声明によると、Tony Millsは今年4月に末期の膵臓癌と診断されていたらしい…享年57歳。

折しもSHYの初期アルバムが今年デジタルリマスターでリイシューされたばかりだと言うのに…

もう彼の真っ直ぐに突き抜けるハイトーン・ヴォーカルを聞く事は出来ない…R.I.P.



# by malilion | 2019-09-19 14:14 | 音楽 | Trackback

STRYPERの弟分バンド、USクリスチャンHMバンドHOLY SOLDIERのデビュー作がデジタルリマスターでリイシュー!

c0072376_10535025.jpgHOLY SOLDIER 「Holy Soldier +2(2019 Remastered Limited 500)」'19

85年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成され“STRYPERの弟分”という振れ込みで活動し、強固なCCM系ファンベースを築いたツインギター5人組のUSクリスチャンHMバンドが90年にリリースし大ヒットしたファーストアルバムが、ボーナストラック2曲追加、Digital Remasteredで500枚限定(!?)の新装リイシューされたのをGET!

因みに、2ndアルバム『Last Train』も同じレーベルからDigital Remastered、500枚限定でリイシューされております。

90年と言えばSTRYPERは、徐々にメインストリームのサウンドが変化しつつあるのを敏感に察知したのか、マンネリズムから脱却する為か、クリスチャンHMスタイルからより幅広いHMサウンドへ音楽性を変化させ、トレードマークのストライプも捨て去った5thアルバム『Against The Law』をリリースし、結果的に旧来からのCCM系ファンベースから失望を買う失敗作となってバンドは解散の憂き目を見てしまう頃だ。

丁度、兄貴分がCCMファンベースを裏切る形のアルバムをリリースしたのも彼等に運が向いたのでしょうが、元から独自の音楽スタイルを保守的に護り続け、求め続けて来たクリスチャン系ファンの期待を一身に集め、初期STRYPER風なゴージャスで造り込まれた分厚いビッグサウンド、そしてストレートに朗らか爽快なアメリカンHMスタイルでファンが求める通りのサウンドを引っさげデビューした訳ですから、ダークで鬱なサウンドが主流になりつつあるポピュラーロック界の気配を身近に感じていたであろうCCM系ファンにとって、彼等は正に“救世主”に感じられた事でしょうね(*´ω` *)

クリスチャン系のバンドは大抵コーラスが分厚く綺麗だし、STRYPER風サウンドにピッタリなハイトーンのリードヴォーカルが甲高い声でシャウトしまくるハードでエッジがあるキャッチーな楽曲と、兄貴分のサウンドを研究しただろうコンパクトに纏められたそのサウンドは、まんま80年代風アメリカンHMスタイルなもののSTRYPERと比べると幾分ギタリストの弾く音符の数が少なく、どちらかと言うとブルージーさを感じさせるベーシックなアメリカンHR風なプレイをしており、トリッキーでド派手なギタープレイをギンギンに繰り広げる、というパートは少なく、歌パートをより重要視してバックの各パートがしっかりコンポーズされた楽曲バランスになっているように感じます。

パワフルでスピーディーな楽曲の時はSTRYPERとの類似点が多いドライなアメリカンHMサウンドになるが、一転ミッドテンポでしっとり歌モノ風な楽曲や、バラード風の楽曲ではブルージーさが滲み出てくる大陸的な大らかさ漂うアメリカンHR風サウンドになる点が彼等の独自色と言えなくもないかも?

後は、弟分とは言うけれど実際はSTRYPER程に分厚いコーラスとハイトーンでグイグイと派手にキャッチーに押しまくるオーバープロデュースぎりぎりなサウンドではない、比較的オーセンティックなHRサウンドスタイルな点も兄貴分との音楽性の差異と言えるだろう。

クリスチャンミュージックという特殊なファンベースが存在するアメリカの、当時の状況からCCM系で大ヒットを記録した実績はあるものの、よくよく聞くとそのメロディの質は兄貴分に及ばず、楽曲のフックもキャッチーさもA級クラスかと問われると、お世辞にもそうは言えぬレベルだと思うので、フォロワー的な情報の他にもそういった点故にか、ここ日本で彼等の知名度や人気がマイナーな存在とされるのも納得なのかもしれません…(汗

独自の流行とスタイルを貫いてきたクリスチャン系バンドの多くも、この後暫くして世間で流行っているダルくダークなグランジーサウンドなバンドばかりになっていく訳で、グランジーの暗黒に飲み込まれていなかった残された健全な音楽シーンであるCCM系で最後まで気を吐いた、ゴージャスで華やかなアメリカンHM最後の輝き、ヌーメタル時代の徒花のようですよねぇ…orz

ただ、グランジーの波が来なくとも彼等がその後も順調に活動出来たかどうかは、実際はかなり怪しかったように思えます。

何故なら、このバンドはメンバーチェンジが本当に激しかったのです……

85年、Andy、Jamie、Robbieを中心にバンドは結成される。

結成当時のラインナップは、
Andy Robbins(Bass、Guitar、Backing Vocals)
Jamie Cramer(Guitar、Backing Vocals)
Robbie Wolfe(Lead Vocals)
Chris Hyde(Drums、Backing Vocals)
Larry Farkas(Guitar、Backing Vocals)

85年にドラマーを Chris Hydeから Terry Russellへチェンジ。

86年に Larry Farkasから Michael Cutting(Guitar、Mandolin、Backing Vocals)へギタリストをチェンジ。

メジャーデビュー寸前の88年に、フロントマンを Robbie Wolfeから Steven Patrickへチェンジ。

この当時、ハリウッドサンセットストリップとその周辺でLIVEを繰り返し腕を磨き、Doug Aldrichが在籍していたLIONや、NIRVANA、NEW HAWK(THE BULLET BOYSの前身バンド)、GUNS N'ROSES、WARRANT等々の、多くの有名無名アーティスト達とステージを共にし、しのぎを削っていた。

89年、Word/A&Mのインプリントレーベルであるメジャー・クリスチャンレコードレーベル Myrrh Recordsと契約し、プロデューサーの David Zaffiroと6週間に渡りスタジオに籠もってアルバムを制作し、90年にセルフタイトルのデビューアルバム『Holy Soldier』をリリースする。

好評を博したデビューアルバムを引っさげ、ハードにLIVEサーキットを続けたバンドだが、ツアーの過酷さが原因でフロントマン Steven Patrickとギタリスト Michael Cuttingが脱退。

バンドはツアーを続けながら、フロントマンをシアトル出身のシンガー Eric Wayneへ、ギタリストを Scott Soderstromにチェンジさせる。

91年、再びフロントマンに Steven Patrickが復帰し、Eric Wayneが入れ替わりに脱退。

と、短期間の間にコロコロメンツが変動したのが順調なバンド活動の足を引っ張ったのは確実な上に、92年の2ndアルバム『Last Train』にして既にSTRYPERが音楽性を変化させたように、彼等もクリスチャン系HMのポリシーというか、CCM系というカテゴリーの存在意義である、神を称えるような歌詞から脱却し、所謂一般音楽市場向けな普通の歌詞の楽曲を収録して、兄貴分と同じようにCCM系リスナーから不評を買ってしまった訳で…('A`)

2ndのサウンドはよりオリジナリティが増した結果のSTRYPERサウンドからの脱却が感じられ、ピロピロと早弾きもフィーチャーした派手なギタープレイ・パートが増え、キャッチーでゴージャスなイメージより、よりタフでヘヴィになった骨太HMサウンドなイメージが強く、元々持っていたブルージーな要素もさらに強まり、コーラスの使い方やリズムアプローチ等より幅が拡がった楽曲の数々に、さらなる音楽性の進化を感じさせただけに残念でなりません。

結果、レーベルの期待する売り上げを果たせなかったのが原因でMyrrh Recordsから契約を切られてしまう。

メジャーからドロップしたのも影響したのか、94年にギタリストへ Michael Cuttingが復帰し、オリジナル・ギタリストのJamie Cramerが脱退する。

3rdアルバム制作前にフロントマンが Steven Patrickから Eric Wayneへ再びチェンジし、Eric Wayneが自身の低目な声域を活かした全米を席巻するグランジサウンドへバンドサウンドを移行するよう強く進言し、結局時流を鑑みて音楽性をガラリと変えたダークでヘヴィなダルサウンドの3rdアルバム『Promise Man』を95年にForeFront Recordsからリリースし、その他大勢の80年代風ブライトサウンドなバンド群と違い上手く時流にったサウンドを披露してラジオ等でシングルは好評で迎えられる。

だが、彼等の元々のファンベースであるCCM系リスナーはその転身を快く思わず、新たなサウンドは受け入れる事はありませんでした…

また好評だったアルバムに対するForeFront Recordsのサポートも不十分だった上に、CCM系ファンから求められるサウンドと流行のグランジーサウンドとのギャップもあってか、95年に Terry Russellが脱退し、ツアードラマーとして Jason Martinがバンドへ雇い入れられる。

結局、デビューアルバムがCCM系リスナーに余りにも受けてしまったが為に、その後に一般市場へ迎合したグランジーサウンドを器用に披露したものの、新たなレーベルからのバックアップ不足と元々のCCM系リスナーにニューサウンドが受け入れられ難かった事が、不運に次ぐ不運のように避けがたいダメージとなって彼等を襲ったのが致命傷になったのでしょう。

バンドはベーシストの Andy Robbinsプロデュースの元、彼自身のレーベルSpaceport Recordsから、フロントマンの Eric Wayneとオリジナル・ボーカリストの Steven Patrickの両名をフィーチャーしたLive Retrospectiveアルバム『Encore』を97年にリリースし、程なくして解散を迎える流れは、ある意味で必然だったと言えるかもしれません……

しばしの後、04年に Michael Cutting、Jamie Cramer、Steven Patrick、Andy Robbins、Terry Russellからなるメジャー・デビュー時と同じラインナップで一時的にリユニオンし、カリフォルニア州ロサンゼルスで特別な再会ショー『Up from the Ashes』を開催する。

05年に再びオリジナル・ラインナップでリユニオンが成され、ベネフィットコンサートやスタジオアルバム制作の話が持ち上がる中、たった3ステージを経ただけで三度 Steven Patrickが脱退し、急遽ドラマー Terry Russellの兄弟 Don Russellをフロントマンへ迎えて06年夏のフェスティバル等に出演したが、結局バンドはそのまま再び解散してしまった…

なんだか Steven Patrickに振り回されてるイメージしかないバンドなんですが(汗)、仮に彼が脱退しなければ器用にグランジーサウンドへ転身した3rdアルバムはリリース出来ず、その他大勢の80年代ポップメタルのバンドと同じく惨めな活動状況に陥って解散するしかなかったでしょうし、初期のままなクリスチャン系サウンドを固持していればバンドは存続したかもしれませんが、より一般的な認知度を高める事は出来ず兄貴分が陥ったマンネリズムに遠からず陥るのは目に見えていた訳で、簡単に言えば時代が悪かったって事になってしまうんですが、なかなかに有望な変化をしそうなサウンドを鳴らすバンドだっただけに、グランジーブームとメンバーチェンジの多さに祟られた不運なバンドだったなぁ、と今なら思えてしまいます。

後、Eric Wayneの歌声自体は枯れた味わいの埃っぽいアメリカンロックによくマッチする渋めないい声質してると思うし、実際アーシーなスライドギターが活躍するブルージーな楽曲やカントリー調な楽曲、そしてバラード調な楽曲等でその実力を遺憾なく発揮しているのでその辺りを鑑みて迎え入れたのかもしれませんが、だとしても何故にハイトーン・ヴォーカルがトレードマークな Steven Patrickの後釜として彼をフロントマンに迎え入れたのか、そこが疑問ですね…

元々ハイトーンが苦手っぽいんだよなぁ、Eric Wayneは…『やっぱりミスキャストだったんでは?』と、今ならそう強く思えます。

とまれSTRYPERが好きな方やハイトーンでコーラスばっちりなクリスチャンHMがお好みな方なら購入しても損はない一枚だと言えますので、ご興味あるようでしたらお早めにお求め下さい。



# by malilion | 2019-09-11 10:41 | 音楽 | Trackback

北欧ハードポップBAD HABITの記念すべきデビュー作がリマスター&未発音源&デモ追加で限定リイシュー!

c0072376_00122798.jpgBAD HABIT 「After Hours(re-cap)」'19

今やAOR風味が強い穏やかでキャッチーな爽快サンドを奏でているスウェディッシュ・ハードポップバンドの彼等が、まだハードエッジなサウンドを轟かせていた頃の89年デビュー作『After Hours』が、新曲、デモを大量に追加して待望のオフィシャル再発されたのを、幾分遅れてやっとこ入手したのでご紹介。

『After Hours』はこれまでにも何度かリイシューされているのだが、未発音源追加盤というと00年リリースの『13 Years of Bad Habits』が思い出される訳だが、今回は『13 Years of Bad Habits』収録の1st未収録音源の一部をカットし、新たなボーナス曲を一曲追加、1stリリース後のデモ、さらに二曲の未発新曲も追加した充実の二枚組で、ギタリストの Hal Marabel本人によるリマスターも施されている決定盤と言えよう。

今聞いても心地よい1stのサウンドは、キラキラしたキーボードがフィーチャーされた80年代北欧ハードポップサウンドで、幾分アメリカナイズされた方向性なものの、哀愁漂うウェットなメロディとキャッチーなコーラス、そしてハードでテクニカルなギターもフィーチャーしたメロディアスでフック満載な楽曲がコンパクトにまとめられており、ホントにメロハー好きなら小躍りする事間違いない一枚だ(*´ω` *)

この後、全米がグラジーの波に覆われ彼等のようなキャッチーなブライトサウンドのバンドは軒並み姿を消してしまい、彼等も活動を一時中止せざるおえず、2ndの『Revolution』がやっと96年にリリースと、クソグランジブームの為のタイムロスが本当に悔やまれる…orz

因みに『13 Years of Bad Habits』の内容はと言うと、

BAD HABIT『13 Years of Bad Habits』'00

01.Living On The Edge
02.Rainbow
03.Don't Stop
04.Play The Game
05.More Than I
06.Rowena
07.Coming Home
08.Never Find Another You
09.Winner Thakes It All
10.More Than A Feeling

 87年リリースのEP『Young & Innocent』収録音源

11.Dreams Die Hard
12.Try Me
13.Young & Innocent
14.Let It Go

 シングル『More Than I』のB面曲

15.Need Somebody

 日本盤『Adult Orientation』収録のボーナストラック

16.I Live For You

 未発表セッション。エディットされている短縮バージョン。

17.I Never Knew What Love Could Do

となっている。

また、今回の二枚組リイシュー盤は、ジャケのデザインに少々手が加えられている。
そして、同名バンドが存在するので混同を避ける為か、バンド名の後ろにSwedenの文字が追加されている。
00年盤にはSwedenの文字は無かったんだけどなぁ…ジャケのセピアな色味もちょっと違うし…

BAD HABIT 『After Hours(re-cap)』'19

Disc1 『After Hours』
01.Living On The Edge
02.Rainbow
03.Don't Stop
04.Play The Game
05.More Than I
06.Rowena
07.Coming Home
08.Never Find Another You
09.Winner Thakes It All
10.More Than A Feeling
11.Dancin'(New Song)

Disc2 DEMO
01.Love Will Find a Way (2010 New Song)
02.Reach for You     (2010 New Song)
03.Rainbow        (1988)
04.I Never Knew What Love Could Do(1988)ノイズや音飛びがある。ノンエディット・バージョン。
05.Need Somebody     (1988)
06.Til the End      (1988)
07.Mystery        (1988)
08.Get Wild       (1990)
09.I Want It       (1990)
10.Lay Down        (1990)
11.Let's Get High     (1990)
12.Ramona         (1990)
13.Ridin' High      (1990)

新曲の音と1stの音が全然違って、プロダクションの差が激しいのに驚かされたが、まぁウン十年経ってるし仕方が無いけど(汗

デモ音源の方は、如何にもDEMOというこもったボトムな上にバランスが不安定な劣悪サウンドながら十分その楽曲は楽しめ、当時メジャーからドロップしていた彼等が次なるレーベルとの契約を目指して2nd用の楽曲を造り込んでいた痕跡なのだろう。

結果的に2ndにはこの楽曲は収録されずボツになってしまった訳だから、今回初披露されたメロディアスでキャッチーな楽曲の数々に耳を傾けながら、もし当時活動休止せずそのまま活動継続していたならばどんな2ndがリリースされたのか、と思いを馳せてしまう…

また、DLが主流になっている為か、今回のUSリイシュー盤は限定500枚(!?)との事なので、ファンは即GETしましょう!
音源自体はDLでお手軽に入手出来るけど、やっぱり現物を手元に置いてナンボですからねぇ(*´ω` *)


# by malilion | 2019-09-10 00:06 | Trackback

35年ぶりに蘇った幻のUSメロハー・バンドFORTUNEが2ndをリリースしたのを遅ればせながらご紹介。

c0072376_09360969.jpgFORTUNE 「Ⅱ」'19

カリフォルニアをベースに活動し、85年にアルバムをメジャーシーンに放ったものの、プロモーション不足に加え所属レーベル倒産と言うアクシデントによって早々に解散した幻のKey入り5人組USメロハー・バンドFORTUNEの、35年ぶり(!!)となる2ndアルバムがリリースされたのを幾分遅れてGET!

そもそも彼等が注目された切っ掛けは、FORTUNEの元メンバーである L.A.(Larry)Greene(Lead Vocals & Guitars)と Roger Scott Craig(Keyboards & Backing Vocals)がUSメロハー・バンドHARLAN CAGEを結成し、そのAORテイスト香る憂いを帯びた叙情的なメロディとキャッチーなサウンドが日本でも受けて96年にデビュー作が国内盤でリリースされた事にはじまる。

HARLAN CAGEが好評となると、そのメンバーがかって在籍し、しかもメロディアス作の名盤をリリースしていというバンドFORTUNEの噂が知れ、当然の如く多くのメロハー愛好家がFORTUNEの唯一作を探し求めたんですが、当時はオリジナルアルバムはアナログLPでしか存在せず、しかも解散して既に十年近い歳月が流れていた為にプレミア価格でしか入手する事は叶わず、多くの愛好家が涙を呑んだのでした…(ノД`)

04年にGYPSY Rock RecordsなるUSAレーベルから、オリジナルリリースから20周年を記念してのCD化が成され、3曲の未発曲をボーナストラックとして収録したリイシューが成されるまで、長い間メロハー愛好家には手の出ない噂先行の幻のメロハー名盤アルバムでありました。

最も、04年のリイシューの前に、既に大量の板起こしブート『FORTUNE』CDが出回っていましたけど…(汗

ただ、3曲の未発曲を追加して記念盤をオフィシャルリリースしてくれたのは有り難かったのですが、GYPSY Rock Records盤は明らかに板起こしの音源でありました…('A`)グアァ

結局、11年にメロハー愛好家御用達なドイツのレーベルAOR Heavenで好評の『AOR HEAVEN Classix』シリーズの再発第9弾アルバムとして、オリジナル・マスターテープからのDigitally Remastered盤がリリースされるまで、ノイズ混じりな音でFORTUNEのアルバムを楽しむ他なかったんだよなぁ…

只、何か問題があったのか、オリジナルテープが見つからなかったのか、はたまたクオリティにメンバーが納得いってなかったのか、このAOR Heaven CLASSIX盤では、GYPSY Rock Records盤のボーナス3曲のうち2曲(2曲共にLIVE Track)がカットされ、1曲のみがボーナス曲として収録されておりますので、板起こし盤だからと言ってGYPSY Rock Records盤を無視も出来ないのがなんとも…

デビュー作のサウンドは、煌びやかでメロディアスなキーボードサウンド、エッジを保ちつつメロディ至上なプレイを奏でるギター、分厚くキャッチーなコーラスと、しっとり歌い上げるヴォーカル全てが、USバンドらしからぬウェットな美旋律を紡ぎ、メロディアスHRバンドのアルバムとして理想的なサウンドが詰め込まれた名盤と言え、ポップ系ならREO SPEEDWAGONやJefferson STARSHIP、HM系ならSAXON、Y&T、KEEL、LEATHERWOLF、Michael Schenker Group等々のプロデュース及びエンジニアリングを手がけた Kevin Beamishのビッグで光沢あるプロダクションによって、ブライトでキャッチーなサウンドに一層に輝きが与えられておりました。

タイプとしてモロに80年代アリーナロックの流れを汲むポップロックで、JOURNEY、STYX、SURVIVOR、FOREIGNER、ASIAと同じ系等のバンドと、当時は騒がれていたなぁ…

実際は、上記のバンドとは少し毛色の違うウェット感がより強いサウンドで、NEW ENGLANDやWHITE SISTER、初期のHOUSE OF LORDS等がお好みな方ならきっと気に入る、ユーロ風な香り漂うメロディとUSバンドらしいキャッチーなサウンドが楽しめるそんな一枚と言えば伝わりますでしょうか?

さて、長い長いインターバルを経て遂にリリースされた本作についてですが、残念ながらオリジナルメンバーでのリユニオンとはなりませんでした…(ノД`)

Richard Fortune(Lead Guitars & Backing Vocals)と Mick Fortune(Drums & Backing Vocals)のFortune兄弟は変わらず本作でも参加しており、フロントマンだった L.A.Greeneも今回のリユニオンに馳せ参じてくれておりますが、ベーシストに Ricky Rat、キーボ-ディストに Mark Nilanなる二人の新たなメンバーが加わっての再始動となっている。

まぁ、35年もインターバルがあった訳だし、L.A.Greeneはソロ名義で映画『Top Gun』や『Over the Top』のサントラに参加し知名度を上げ、HARLAN CAGEを Roger Scott Craigと共に結成して好評を博して未だに活動継続中な訳だし、オリジナル・ベーシストの Bobby BirchもWARPIPESなるメロディアスバンドで活動していたりで、それぞれ各自に音楽活動を継続していたのですから流石に完全なるリユニオンが成されると期待していたリスナーはそう居ないでしょうが、ソングライティング面で中心人物の一人であった Roger Scott Craigが今回メンバーに名を連ねていないのが非常に残念であります。

とは言っても、本作でも作曲やキーボード演奏で半数の楽曲に参加をしているので、彼自身も色々なプロジェクトや自身のバンドで活動をしている為、残念ながら今回メンバーとしては参加出来なかっただけ、と言う事なのでしょう。

同じくデビュー作でベースをプレイしていた Bobby Birchも本作ではメンバーではないものの一曲客演を果たしておりますので、Fortune兄弟と元メンバー達は今でも優良な関係のままなのが窺えます(*´ω` *)

ただ、バンド名が示している通りこのバンドは78年レコードデビュー当時(最初は Richard Fortuneと Richardの妻のデュオ編成で音楽性もAORセッション・プロジェクトだった)から Richardと MickのFortune兄弟が中心でありますし、オリジナルメンバーも二人を除いて82年のメジャーデビューに向けてのバンド再編成時点で他に居らず、1stのソングライティング面で中心人物だった L.A.Greeneと Roger Scott Craigの二人はその再編成時から参加したメンバーだった訳ですから、仮に L.A.Greeneと Roger Scott Craigの二人が今回のリユニオンに全く関わっていなかったとしてもバンド名はFORTUNEであっただろう事は予想出来ますけどね。

で、新作のサウンドですが、35年ぶりと言うのが嘘のようにデビュー作のままな音楽性で、よりモダンでシャープになったキャッチーでウェットなメロディが眩く輝くようなメロハー愛好家大興奮のサウンドを楽しませてくれる('(゚∀゚∩

懸念していた Roger Scott Craigの穴の影響は窺えず、自身のリーダーバンドである意地とでも言えましょうか、Richard Fortuneの頑張りが素晴らしく、デビュー作で幾分キーボードの煌びやかで分厚いサウンドに隠れていたきらいのあったギターサウンドが、美旋律に溢れたメロディアスHRサウンドの上で、伸び伸びとセンス良い、リフに、ソロにと大活躍しており、待ちに待たされた彼等のファンは歓喜する事間違いなしのウェットなメロディが心地よい、キャッチーでポップなコンパクトに纏め上げられたサウンドを披露している。

新加入の二人も控え目ながらソツないプレイを繰り広げ、デビュー作と比べると幾分裏方に回った感じなキーボードパートな配分の楽曲ではあるものの Mark Nilanがモダンでセンス良いキーボードプレイを聞かせている点も見逃せない。

まぁ、半数の楽曲に Roger Scott Craigのクレジットがあって、彼の関わった楽曲ではググッとキーボードが前に出てくるので、そう音楽性が変化する訳もないっちゃないんですけどね(汗

本作は彼等の1stアルバムを長く愛し続けてくれたメロハー・ファンへの感謝を表す意を込めてリリースされたらしく、今後バンドが本格的に活動を継続するのか幾分曖昧な状況ではありますが、出来る事なら是非このまま本格的な活動へつなげて欲しいものであります。



# by malilion | 2019-09-09 09:30 | 音楽 | Trackback

LAメタル・リヴァイバルな80年代風バッドボーイズ・サウンドから、北欧サウンド要素追加でさらなる進化!? CRAZY LIXX

c0072376_20581074.jpgCRAZY LIXX 「Forever Wild」'19

スウェーデン出身のツインGを擁する5人組スリージーHRバンド2年ぶりの新作となる6thを遅れてGETしたのでご紹介。

前作からツイン・ギター2人をゴッソリ新メンバーへチェンジし、単なる80年代LAメタルリスペクトなバッドボーイズ系ロックンロール・サウンドから北欧出身らしいウェットなメロディアス要素が加味されるサウンドを提示し俄然興味を惹いた彼等ですが、本作ではさらにスケールアップしたキャッチーでメロディアスな北欧スリージー・ロックンロールを披露している。

新世代北欧バッドボーイズ系バンド群に共通している、MOTLEY CRUE、GUNS N'ROSES、SKID ROW等の華やかでゴージャスなサウンドがトレードマークな80年代風アリーナ・ロック&グラムHMをルーツにするサウンドをベースに、アルバム毎に着実に音楽性の幅を拡げ楽曲のクオリティを上げてきた彼等だが、本作では前作で披露した哀愁漂う80年代風北欧HM&メロハーなタッチをエッジーなギターが縦ノリを刻むロックンロールに程良くまぶし、人工甘味料に包まれたキャンディの如く毒々しくも甘々なメロディを、よりキャッチーに、よりコンパクトに、より弾むリフと跳ねるリズムで、そして分厚いバッキングコーラスでさらに塗り固めたカッチリ造り込まれたプロダクションで、お手本の80年代LAメタルをよりモダンでシャープにしたバッドボーイズ系ロックンロール・サウンドを屈託無く奏っている姿(馬鹿っぽいジャケも、お手本のマンマなんだよなぁ~)には苦笑するしかない(w

やはりギタリストがゴッソリ入れ替わった影響は大きかったのか北欧ミュージシャンである血は抑えられないのか、バッドボーイズ系ロックンロール・サウンドを演奏してはいるもののLAグラムHMが垣間見せたドライさやささくれたような荒々しいヘヴィさは弱く、キャッチーな80年代風グラムHM路線なハードライヴィンするタイプの楽曲では、より勢い良くキレあるポップサウンドを叩き出し、仄かに80年代風北欧メロディアスHM風な哀愁感が香るタイプの楽曲では、よりリリカルなメロディアスサウンドを披露と、前作から持ち込まれたウェット感あるマイナーなメロが光る80年代風北欧メロディアスHM要素がまだ初期の音楽性と完全に融合しておらず幾分混沌としていたが、本作では二つの要素が完全にMIXされてサウンドのメリハリがクッキリと浮かび上がり、より一層に他の北欧バッドボーイズ系ロックンロール・バンド群のサウンドとの差別化に成功していると思う。

とは言っても、まだまだ80年代LAメタルのビックネーム達の影響から抜け出せないフォロワー・サウンドなのに変わり無いので、オリジナリティ云々については、もう少しアルバムの枚数を重ねないとダメでしょうね……

個人的には、彼等が持っている北欧HM定番な煌びやかなキーボードや透明感ある爽快でキャッチーなメロディ等の北欧メロディアス・ロック要素がより強まれば、本当の意味でのオリジナリティの確立が成されると思っておりますが、ルックスやサウンドの方向性を含めてお手本バンド達への憧憬が未だに強い彼等は、なかなかそっち方面の音楽要素を強めないかもしれません。

また、前作で苦言を呈した Danny Rexonのちょっと音域狭い、ザラつき気味な歌声と歌唱力が不足して感じられる問題点は相変わらず解消されていないが、前作でちょっと抑え気味になった分厚いバッキングコーラスが再び復活し、さらに煌びやかなサウンドプロデュースでそういった弱点は覆い隠されているので、アルバムを聞く分には大きく目立つような事はないのが救いだろう。

純粋な80年代LAメタルリスペクトなバッドボーイズ系ロックンロール・サウンドからは幾分サウンド傾向がズレ始めているので、ソレ系を求めている向きには不純物が混じったサウンドに思えて不満かもしれないが、このまま試行錯誤して自分達だけのオリジナルサウンドを見付けて欲しい、期待の北欧ロックンロール・バンドであります。





# by malilion | 2019-09-04 20:51 | 音楽 | Trackback

LAの一流セッション・ギタリスト Michael Thompson率いるバンド作が久しぶりに新作をリリース!

c0072376_18062900.jpgMICHAEL THOMPSON BAND 「Love & Beyond 」'19

70年代末期から活動を開始し、今やLAの一流セッション・ギタリストとしての名声を揺るぎ無いものとしている実力派アメリカ人ギタリスト Michael Thompsonがリーダーバンドの3rdアルバムが、前作から約7年ぶりにリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

USポピュラー・ミュージックシーンの大物達だけでなく、日本の歌謡歌手のレコーディングにも参加と、有名無名問わずセッションやレコーディングに膨大な数参加してきたベテランだけあって、そのエモーショナルでフレキシビリティの高いギター・プレイは無論の事、サウンドの質や幅広い嗜好な楽曲の出来、そしてプロダクション等に問題など欠片も見当たらぬ、Michael Thompsonの癖がなく、それでいて円熟したギター・プレイが実に魅力的な、良く造り込まれた高品質メロディアス・ロックアルバムだ。

残念ながら前作と同一メンツは、前作でリード・ヴォーカルを担当した Larry Kingが数曲でその歌声(ちょっと苦汁声で、熱くイイ歌声なんだよなぁ~、ホントHR向き!)を披露するのみで、ほぼメンツは入れ替わっている。

まぁ、継続的に活動しているバンドでもないし“ソロ作には向かない Michael Thompsonが伸び伸びとギターを弾きまくる、お仕事のセッションでは抑えているギタープレイ欲を満たすロック寄りなサウンドを出すバンド作”というコンセプトだけ固持されていればいい、というようなスタンスのバンド作だろうから、毎回メンツが入れ替わるのはデビュー作からの恒例なのでコレは驚くに値しないだろう。

今回リードヴォーカルをとるのは、アメリカン・メロハーバンドUNRULY CHILDのベーシストでもある Larry Antoninoで、作詞でも全面的に本作に参加するだけでなく、無論ベースもプレイしている。

意外に Larry Antoninoのヴォーカルがイケていて、ちょっと甲高い掠れ気味なミドルレンジ主体のアメリカンロックに実によくマッチする穏やかながら力強い歌声を披露していて、今さらながらにUNRULY CHILDで彼の歌声が殆どフィーチャーされてこなかった(まぁ、Marcie Free“ex:Mark Free”の歌声の方が強力だし…)のが悔やまれる程だ。

その流れで、と言う訳でもないだろうがキーボードにもUNRULY CHILDの Guy Allisonが全面的に参加し、オルガンやピアノで小気味良いプレイを披露している。

また、2曲でHEART、CHEAP TRICK、REO SPEEDWAGON、BAD ENGLISH、John Waite、GIANT 、MR.BIG等に楽曲提供をしている他、プロデューサーとしても活動をするアメリカ人SSWの Mark Spiroが、その伸びやかな歌声を披露している。

ドラマーは複数参加で、楽曲のコ・プロデュースやミックス、そしてアルバムのプロデュースも複数の手によるものだが、そこはしっかり Michael Thompsonが陣頭指揮をとって不具合ない仕上がりに纏め上げられており、アメリカン・ロックをベースにしつつ、AOR風だったり、キャッチーな歌メロが際立ったHR風だったり、泣きのギターが心に迫るブルージーな作風だったり、ちょっとフュージョンぽいギターが聞けるモダンサウンドだったりと、実に幅広いサウンドの楽曲を取り揃えたアルバムで、インスト・ギター小曲(ちょっと日本っぽいメロディが聞けて、驚き)を小刻みに収録して Michael Thompsonの巧みでセンス良いギタープレイもタップリとフィーチャーしている構成も、実に隙がありません(*´ω` *)

裏方作業が長いベテランだから当然だけど、もうちょいバランスを無視した、意図的に完成度より勢いを優先して Michael Thompsonがハードにギターを弾きまくる楽曲なんかも収録されてたならば、とかあんまり出来が良いから無い物ネダリをしてみたりして(w

デビューしたての新人バンドのようなキレや勢いは無いけれど、円熟のプレイと完成度の高い楽曲が取り揃えられたハイクオリティな本作は、メロディアスなアメリカン・ロック好きやAORファンにお薦めな一作なのは間違いないので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみても損はしませんよ?


# by malilion | 2019-09-03 18:00 | 音楽 | Trackback

北欧ブリテイッシュ(ナニソレ!?)シンフォHRバンドMAGIC PIEが4年ぶりに新譜リリース!

c0072376_09360663.jpgMAGIC PIE 「Fragments Of The 5th Element」'19

着実にスキルアップとサウンドスケールを拡げる北欧ノルウェー産ツイン・リードヴォーカルを擁するHR風味な6人組シンフォ・バンドが4年ぶりに5thアルバムをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

相変わらずシンフォ系では珍しい濁り声で熱唱するリードVoをフロントマンに据えている彼等だが、久しぶりとなる本作は前作からのメンツに変動が無く、変わらぬオッサン6人組によるトリプルVoを活かしたメンバーが一丸となってのブ厚いコーラス・ハーモニーが実に爽快だ。

一時期シリアスなシンフォ路線へサウンド傾向が変化したものの、オリジナル・キーボーディスト Gilbert Marshallが脱退してシンフォ風味タップリな新バンドELEPHANT PLAZAを結成するのを横目に、新たなキーボーディスト Erling Henangerを迎えて初期からのブリティッシュHR風味なハードドライヴィンするシンフォ・ロックへ再び軌道修正した訳ですが、待望の本作では立体的に交差するSPOCK'S BEARD張りなブ厚いコーラス・ハーモニーはそのままに、時に官能的なメロディを紡ぎ時に切なく咽び泣きまくりと大活躍するハードエッジなギターと、HR風な刻むオルガンや煌びやかでシンフォ風味なシンセサウンドでセンス良くバンドサウンドを飾り立てるテクニカルなキーボードがスリリングにせめぎ合いながら北欧特有の美旋律を織り成し、ちょっとQUEENっぽい華麗な香り漂うドラマチックサウンドが駆け抜ける様が”正にHRバンド!”ってなスリリングなサウンドを叩き出しております('(゚∀゚∩

前作は軌道修正の意味もあったのか、常より強めにクラッシックなブリティッシュナイズされたHRサウンドっぽいタッチが楽曲のそこここから薫り立っておりましたが、バンドメンツが久しぶりに安定し活動も順調なのも影響したのか本作ではブリティッシュHR風味なサウンドをベースに、よりメロゥで繊細な音使いでリリカルさを増した感傷的なシンフォサウンドや、繊細な美旋律が如何にも北欧という寂寞感を漂わせる翳りある妖しいメロディがセンチメンタルな叙情を醸し出す楽曲等、これまで以上にバンドサウンドの幅を拡げた冒険作のように思える。

勿論、ブルージーな泣きのギターと訴えかけるハモンドが胸に迫る殆どHRな楽曲もキープしつつ、定番の変拍子&高速キメ&ハッタリの畳み掛けアンサンブル等々を垣間見せる弾き倒しプレイで疾走感バリバリに押しまくるパートもしっかり楽しめるので、彼等の初期からのコンパクトな楽曲と駆け抜ける鮮烈なブライト・サウンドが気に入っている方も安心だ(*´ω` *)

また、本作の多様なスタイルの楽曲を歌い上げる為か、音楽性の幅が拡がった故か、いつものダミ声シャウトを抑えた歌唱スタイルを Eirikur Haukssonが多用しており、ブ厚く複雑に交差するコーラス・ハーモニーとより一体化したヴォーカル・アプローチがこれまで以上に優美な感触を楽曲に与え、どちらかと言うとパワフルな“圧し”要素が多く耳についた彼等のサウンドに優美な“引き”の繊細さや気品という要素が加わって、より一層にバンドサウンドの“深み”と“格”が上がった印象を受けました。

この Eirikur Haukssonのヴォーカルスタイルの変化は、もしかしたら同郷のシンフォバンドKERRS PINK『Mystic Spirit』'13 にヴォーカリストとして加入したのと、今やブリティッシュHRの生き字引的存なURIAH HEEPでお馴染みな Ken HensleyのLIVEバンドであるLIVE FIREにフロントマンとして参加し、KEN HENSLEY & LIVE FIRE『FASTER』'11、『LIVE!!』'13 と、スタジオ作とLIVE作にそのパフォーマンスを残したバンド外の経験も、何らかの影響(今頃?)を与えたのかもしれない。

聞き込んでいくと気がついたのだが、売りのブ厚いコーラス・ハーモニーのスタイルが、以前はMOON SAFARIのようなYESに影響を受けたシンフォ系バンド定番な優美なコーラスではなく、パワー押しなSWEETのようなUKバブルガム・バンドの朗らかコーラスやHEEPばりの妖しさ満点な裏声コーラスを絡ませるスタイルだったのですが、本作では所謂普通のシンフォ系で良く聞かれるYES風な繊細コーラス要素が強まったように思え、それもバンドサウンドの優美さが増して聞こえる要因なのかもしれません。

デビューしたての頃は、SPOCK'S BEARDやTHE FLOWER KINGSの影響ばかり取り沙汰されておりましたが、ことここに至ってはGENESIS、KANSAS、EL&P、DREAM THEATER等の影響も伺えつつ、それら全てをブリティッシュナイズされたHRサウンドと北欧シンフォサウンドを絶妙にMIXして、他の誰でもないオリジナリティあるサウンドを確立するに至った彼等。

前作で活動十周年を迎え、まだまだ伸びしろを感じさせるそのダイナミックな北欧シンフォHRサウンドを一層に進化させ、末永く楽しませて欲しいものであります。

変拍子&高速キメ&畳み掛けのテクニカルでソリッドな演奏や、ブリティッシュHR好きでメロディアス、そしてキャッチーでブ厚いコーラス好きな方は彼等の新譜を是非チェックしてみて下さい!





# by malilion | 2019-08-30 09:28 | 音楽 | Trackback

ハープサウンドをメインに据えた特異なアメリカン・プログレバンドART IN AMERICAが35年ぶりに2ndアルバムリリース!

c0072376_19063703.jpgART IN AMERICA 「Cloudborn」'19

USAミシガン州デトロイトをベースに活動したアメリカン・プログレバンドの、Ruetenikファミリー(Flynnは芸名みたいなもの)の3人兄弟(Chris Flynn:Lead Vocals & Guitars 、Shishonee Flynn:Harp & Vocals、Dan Flynn:Drums & Percussion)を中心としたShishonee嬢の操るハープをバンドサウンドのメインに据える特異なスタイルの83年デビュー作に続き、正式なフルアルバムとしては35年(!!)ぶりとなる2nd自主制作アルバムがリリースされたのを即GET!

デビュー作はプロデュース&エンジニアをEL&PやYESの仕事で知られる Eddy Offordが手がけた事や、キーボードにDIXIE DREGSやJAZZ IS DEADでの仕事で知られるジャズロック&フュージョン界で著名な Terry "T" Lavitzを迎え、アレンジとギターソロに Steve Morse(DIXIE DREGS、DEEP PURPLE)が参加と玄人好みなトピックも今となっては懐かしいですが、続く本作はGENESIS、QIEEN、RENAISSANCE、Elton Johnとの仕事で知られるイギリス人プロデューサー David Hentschelによるキーボード、プロデュース、エンジニアリングに加え、ベース奏者に Tony Levin(KING CRIMSON、Peter Gabriel、ABWH)が招かれ、再びプログレ好きなリスナーにしっかりアピールするポイントをおさえた一作となっております(*´ω` *)

ただ、本作は純然たる新作と言う訳でなく、13年に一度自主リリースされた『Hentschel Sessions - 2013』なる David Hentschelが手がけたロサンゼルスでの新録音源(Track 1~6 バンドは同時期に16曲作曲している模様で次作に収録予定だとか)に加え、過去のアルバム未収録曲のLIVE音源1曲とデモ音源3曲を収録した新旧音源のアーカイヴ作をベースに、デモ曲やLIVE曲を外して05年から15年にかけての間に作曲され録音された新曲を追加しフルアルバムに再構成した一枚(デモ曲の再録はされていない)となっており、デビュー作と同じくFlynn兄弟が中心ながら収録時期が長期に渡る(少なくとも5年の間がある)バラつきの影響でキーボーディストやベーシストが複数参加(プロデュースも Hentschel Sessionsに加え、Track 7~10は Chris Flynn、Track 11~13を元ベーシストの Jim Kuhaが手がけている)な上に、AISA、SAGA、90125YES、そして80年代の後期GENESISの影響が窺える80年代風モダンポップと70年代風プログレッシヴ・ロックのハイブリッドサウンドだったデビュー作と比べて音楽性の幅がググッと拡がり、バンドサウンドが大きく変化しているのが分かる。

と、言っても全く別バンドサウンドに変わってしまった訳ではないので、ファンの諸兄はご安心を。

これだけ前作からインターバルが開いたのだから当然同じサウンドの訳がない、と誰だって予想するものの、意外な程に1st風のハープをメインに据えた初期GENESISを彷彿とさせる繊細なアコースティカルサウンドをベースに、一切シャウトする事なく70年代プログバンドのフロントマンの多くがそうであったように、切々と歌い上げる Chris Flynnの穏やかな歌声と典雅なサウンドタッチはデビュー作と変わる事なく、巧妙なアレンジメントが施された如何にもプログレという長いインストゥルメンタルパートが軽やかに交差する、ユーロサウンドとアメリカンサウンドが絶妙に混ざった独特なプログレ・ポップサウンドがこの新作でも多く耳にする事が出来て、実に嬉しくなってしまいました(*´ω` *)

逆に新たに追加された要素としては、カントリー風のアーシーな乾いたスライドギターの音色が鄙びた味を醸し出すブルージーな楽曲だったり、ハープが少し抑え目になり普通のプログレバンドのようにキーボードサウンドがメインな楽曲や、デジタリーなパーカッションが活きるサントラ風な楽曲に、Tony Levinのプレイが活かされた幾分ヘヴィなリズムを強調した楽曲、そしてワールドミュージックな雰囲気漂うダンサンブルなリズムが強調さた楽曲等々、終始爽やかなイメージを保ちつつ、長い長いインターバルの間に培われた様々な音楽的要素が彼等の楽曲に色濃く窺える一作となっております。

とは言え、サウンドイメージは総じて爽快でポップ、そしてアコースティカルで繊細な叙情が美しい艶やかなメロディが秀逸なサウンドなのは少しも変わり無いので、デビュー作が気に入っていた方や繊細でリリカルなハープサウンドが活かされたユーロ風味ある独特なアメリカン・プログレサウンドが気になる方は是非とも本作を購入してみて下さい。


因みにオリジナルである『Hentschel Sessions - 2013』の内容の方はと言うと、c0072376_19072601.jpg『Hentschel Sessions - 2013』に収録されていたTrack 1~6は、David Hentschelによるプロデュース。

米国カリフォルニア州Woodland HillsのScott Frankfurt Studioで録音され、ドラムトラックだけはカリフォルニア州BurbankのGlenwood Place Studioで録音された。
ベースは Tony Levinによるプレイ。
英国で David Hentschelがキーボードサウンドを追加録音し、最終的にサウンドをミックスしている。

Track 7『Can't Stop It』は、1st未収の未発表曲で、83年に米国Michigan州FlintでバンドがLIVEプレイした際に録音したもの。
Track 7のベースプレイは1st録音にも参加し、当時メンバーだった Jim Kuhaによるプレイで、キーボードは Kent Richardsによるプレイ。

Track 8『Not Like That』は、Chris Flynnの手によるホームDEMO。

Track 9『Fields』は、米国フロリダ州MiamiのCriteria Studiosで、Ron&Howard AlbertによるプロデュースのDEMO曲。

Track 10『Lathe of Adonai』は、米国カリフォルニア州 Newbury Parkの Mitch Crane Studioで Mitch CraneによるプロデュースのDEMO曲。
Track 10のリズムパートは Mitch Craneによるベースとドラムのプログラミング。

と、83年のLIVEトラックに加えて、3つの未公開DEMOで締めくくられている。

今となっては入手困難なレア自主制作盤だが、このまま活動が軌道に乗って彼等の人気が再び復活すれば、なんらかの形でリリース、または収録されるかもしれないので、未入手な方々はその時をひたすら待っていましょう……('A`)

PS.デビュー作で控え目にプログレチックなセンス良いキーボードプレイを聞かせてくれていた Terry "T" Lavitzは、2010年に天に召されてしまったので再びの参加は叶わなかった…R.I.P


# by malilion | 2019-08-29 19:01 | 音楽 | Trackback

現URIAH HEEPのキーボーディスト Phil Lanzonが2ndソロ作をリリース!

c0072376_18240225.jpgPHIL LANZON 「48 Seconds」'19

GRAND PRIX、Grant&Forsyth、SAD CAFE、John Lawton、LIONHEART、Mick Ronson、Chris Spedding、SWEET等のセッションマンやサイドメンバーとして幾多の英国バンドを渡り歩いて来た現URIAH HEEP(87年加入)のキーボーディストである Phil Lanzonの2ndソロ自主制作アルバムがリリースされたのをちょい遅れてGET!

70年代後半から活動してきた、その長い長いミュージシャン歴にも関わらず前作が初めてのソロ作であった訳だが、そのデビューソロ作が好評だったのに気を良くしたのか、精力的に活動する本体バンドURIAH HEEPのスケジュールの合間を縫うようにして制作された新作が、2年ぶりという比較的早いインターバルで届けられた。

本作は1906年のサンフランシスコ地震をメインテーマにしたダイナミックなオーケストラ・ポップ作で、前作同様に John Mitchell(ARENA、FROST*、IT BITES、KINO、LONELY ROBOT、THE URBANE)と Andy Makin(Adrian Smith's PSYCHO MOTEL)の二人をメイン・ヴォーカリストに据え、同じく Phil Lanzon自身の歌声も少しフィーチャーしつつ、複数のゲストギタリスト、ゲストキーボーディスト、ドラマーを基本に、London Telefilmonic Orchestraによるストリングス・オーケストラ、サックスやトランペット等のゲスト管楽器奏者、そして男女混声合唱をバックに従え、クラシック、ロック、プログレ、ポピュラー音楽などなど雑多な音楽要素が程良くMIXされたポップでキャッチーなだけでなく英国ミュージシャンらしい叙情感漂うメランコリックなメロディが美しいスケールの大きいシンフォニック・サウンドを展開していく。

前作同様、MARILLIONのプロデュースで知られる Simon Hanhartがプロデュース、そして映画音楽等のアレンジャーで有名な Richard Cottle(CHARLIE、KEATS、Alan Parsons Project、John Parr)がアレンジ協力と、バックのプレイヤー・メンツだけでなくプロデュース・メンツも抜かりない、自主制作盤ながらすこぶる高品質な、まさにプロのソロ作と言えよう。

テーマがテーマなだけに男女混声合唱の分厚いコーラスと、ストリングス・オーケストラによる艶やかでスケールの大きいダイナミックなサウンドが抜群の効果を生んでいるのに加え、歌パートだけ注目すると意外な程にポップでキャッチーなのに決して軽薄さは感じさせない、ある種宗教音楽的な深みと安らぎを紡ぐ絶妙なアレンジの施された楽曲と隙無く緻密に構築されたサウンドが実に耳に心地よいのです(*´ω` *)

ストリングス・オーケストラや管楽器、そして男女混声合唱が交差する為か、ちょっとミュージカル(ゴスペルというか黒っぽいんだなコーラスとかが)っぽくも聞こえ、Phil Lanzonの操るキーボードも流麗なピアノパートはあるものの、どちらかと言うとシンフォニックなサウンド傾向で固められているので前作のようなポピュラーミュージック要素が気に入っていた方には少々取っつき難く感じるかもしれないし、前作で聞かれたような派手なキーボード・ソロやインタープレイの応酬だったり、プログレ的なテクニカルなプレイ部分なんかを期待していた向きにもお薦め出来ないが、ソロ作と思えぬ壮大なスケールと完成度、そして艶やかで美しいメロディアスなサウンドの数々は、流石は第一線を長年渡り歩いてきたベテランミュージシャンの放つアルバムだと納得しきり。

Phil Lanzon  (Keyboard & Lead Vocals)
John Mitchell  (Lead Vocals)
Andy Makin  (Lead Vocals)

Richard Cottle (Additional Keyboard、Saxes)
Neal Wilkinson (Drums)
Adam Goldsmith (Guitar)
Mick O'Donohue (Guitar)
Miriam Grey  (Lead vocals、Background Vocals)

Phoebe Street、Andy Caine、Andy Playfoot (Background Vocals)
Tom Walsh  (Trumpets)
Clare Mcinerney(Saxes)
Neil Sidwell  (Trombones)

Chris Haigh  (Violin solo)
Richard Harwood(Cello solo)
Levine Andrade (Viola solo)

London Telefilmonic Orchestra Violin 1、Violin 2、Viola、Cello、Double Bass





# by malilion | 2019-08-24 18:18 | 音楽 | Trackback

サイケでレトロな風味もあるUSA産ヘヴィ・シンフォ・バンドMOON LETTERSがデビュー!

c0072376_09442076.jpgMOON LETTERS 「Until They Feel The Sun」'19

アメリカ西部ワシントン州のシアトルを拠点とする幾つかのローカル・プログバンドのメンバー達5名が集って新たに結成された、J.R.R.Tolkienでお馴染みな『The Lord of the Rings』に登場するドワーフが発明した秘密文書法からバンド名をとったUSA産ヘヴィ・シンフォ・バンドが自主制作でデビューアルバムをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

垢抜けぬイモ臭ささ炸裂なヒッピー染みた髭面のメンバーのルックス(笑)まんまに、60年代風のレトロなフォントのバンドロゴやファンタジックな香り漂うバンド名に相応しい、クラシックなプログレ・サウンドに強く影響を受けたサイケデリック風味もあるシンフォ・ロックを演っている。

本デビュー作は北極海の民間伝承に触発されたストーリーがベースとなっているコンセプトアルバムで、大雑把に言って初期GENESIS+YESなシンフォ系に良く居るサウンドをベースにしつつ、KANSAS、RUSH、KING CRIMSON等の影響がチラつく音楽を奏でている訳だが、彼等がその他のシンフォ系バンドと毛色が違って聞こえるのは、より70年代初期風に寄せたレトロっぽいサウンドタッチなのと、フロントマン Michael Trewがフルートも奏でる事によってJETHRO TULLっぽいイメージ(特にLIVE映え的に)がサウンドに加味されている点や、キーボーディスト John Alldayとベーシスト Mike Murphyが揃ってトランペットも演奏し、オーケストラのようなアレンジを施した管楽器サウンドをバンドへ持ち込んでいる点も大きいのだろう。

また、Michael Trewのヴォーカルスタイルはシャウトしない歌い上げる風の非ロック系(非ガブリエル・スタイル)なのと、バッキングヴォーカルも務めるキーボーディスト John Alldayとベーシスト Mike Murphy二人も同様に非ロック的な妖しいスキャットやハミングを聞かせるスタイルなので、分厚いヴォーカルパートなのにアメリカン・ロック的な爽快さや軽薄さは無く、USヴィンテージ系なのに70年代初期アメリカン・プログレ定番なJAZZっぽさやカオスな雰囲気を醸し出すヘヴィなパワー圧しな所も見せない、かなり意図的に70年代ユーロ・プログレな音像へ接近した、サイケ風味も漂わすダイナミクスと凝った楽曲展開と高度なテクニックが交差する完全なプログレッシヴ・スタイルと言える最近珍しい正統派サウンドなのが、その他のモダンな解釈のサウンドを加えた新世代シンフォ系バンド(実際、進歩的なのはその他のバンドの方なんだけど…)と違って聞こえる面白い所と言える。

無論、単なるリヴァイバル・サウンドではないので現代のバンドらしいモダンなテイストがサウンドのそこかしこから感じられるし、複雑なメロディーが交差するヘヴィなインストゥルメンタル・パートがメインなものの、フルート、ギター、シンセがソロタイムで牧歌的でマッタリとソフトなメロディを奏でるパートも多く聞かれ、前衛的なパッセージを繰り出すややトリッキーなリズムと変化し続ける細やかなメロディーを渦巻くシンセと繊細なギターと軽めのボーカルラインが豊かに奏でるだけでなく、シアトリカルさとヒネリを加えられた歌メロは実に独創的で、アルバムを聞き終えた時に全体的に見て牧歌的なものからヘヴィ・シンフォなサウンドも含めてメロディは複雑過ぎず、けれど十分にダイナミックな展開とキャッチーさは無いけれど妙にメロディが耳に残るという、デビュー作としては上出来な魅惑的なシンフォ・サウンドなのは間違いない。

後はUSバンドながらサウンドの叙情感はかなりユーロ圏バンドに迫っており、その点でUSインディ系シンフォを毛嫌いしている方にもお薦め出来る期待の新バンドとも言えるだろう。

既に海外のプログレ系ファンジンやメディアには好評を博している模様な彼等のデビュー作だが、幾分楽曲展開が唐突に感じる点がある事や、もうちょいヴォーカルパートに爽快さとキャッチーさが欲しいし、楽曲もコンパクトな方が好みだけれども、今の時代にこれだけ個性的で正統派なプログレ・サウンドに真っ向から挑んでいるバンドは珍しいので、是非ともこの路線で長く活動を続けて欲しいものであります(*´ω` *)




# by malilion | 2019-08-12 09:38 | 音楽 | Trackback

クリスチャンHMバンドANGELICAのデビュー前音源、初代ヴォーカリスト Andy Lyonの歌声が聞けるデモテープがCD化リリース!


c0072376_12353705.jpgANGELICA 「The Demo Sessions」'19

後にソロアルバムも発表するカナダ出身のギタリスト Dennis Cameronが87年に結成、80年代後期から90年代初頭にかけてアルバム4枚をリリースしたクリスチャンHMバンドANGELICAの超レア発掘音源が限定リリースされたので即GET!

最近、1st、2ndが限定盤とは言えデジタルリマスター&リイシュー(残念ながら未発音源追加等のボートラは無い)されANGELICAファンは歓喜に沸いた事でしょうが、本作はそんなオリジナル・アルバムのリイシューと同時にリリースされた超目玉作です。

以前ここでも解説したと思うのですが、彼等のデビュー作のメンバークレジットは Andy Lyon(Vocals)、Scott Ernest(Drums)、Robert Pallen(Bass)、Dennis Cameron(Guitars)の4人なのですが、実際アルバムに納められている歌声はDRIVERプロジェクト(Rudy Sarzo、Tommy Aldridge、Tony MacAlpine、Rob Rock)でその歌声を披露していた、後にIMPELLITTERIで長らくフロントマンを務める事になる Rob Rockと何故か一曲だけ 当時SHOUTで活動中の Ken Tamplinが歌声を披露しているというクレジットとパフォーマーが一致していない怪作であったのですが、今回遂に1stアルバムでは聴く事の叶わなかったその Andy Lyonの歌声が納められた、デビューへ向けてのオリジナル・デモ音源が初CD化と相成りました!!('(゚∀゚∩

いや~、まさか30数年の時を経て幻の Andy Lyonの歌声がこうして聞ける時が来るとは、正に予想外のお宝音源の登場だ(w

さて本作についてですが、本アーカイヴ収録の9音源の楽曲は1曲を除き全てデビュー作に収録されており、デビュー・アルバムにしては12曲収録と多目なヴォリュームな処女作の、そのアレンジの変化や Ken Tamplinが関わる前と後での楽曲の仕上がりの違いを楽しむ事が出来ます。

デモ音源と言う事でテープの回転数のムラなのか音像が揺れっぱなしだったりバランスや音程が急変したりとボトムの音もスカスカ(後半音質は幾分か改善する)なのも相まってそう何度も聞きたいと思えるアーカイヴアルバムではないのですが、Andy Lyonの歌声は所謂アメリカンHMに良く居たちょっと苦汁声も交えたミドルレンジ主体のメロディアスでストレートな歌唱を聞かせ、デモなんでちょいヘナチョコ(笑)でキャッチーなコーラスハーモニーもフィーチャーしたスタンダードな80年代USロックに近い、デビュー前の時点でのANGELICAサウンドに良くマッチしている。

面白いのはデモ時点で Dennis Cameronのギタープレイは既にテクニカルで音数の多いプレイを披露しているものの、アルバム全体のバランスを気遣ったフューチャー具合(完成版はMIXで前に押し出されてるから?)で完成版より地味目なプレイと言え、後に見られる派手でトリッキーな自己主張の強いインギー張りなプレイへの変化はアドバイザーであった Ken Tamplinの助言(そういう時代だったんですよねぇ…)であったのでしょう(笑

屈託の無いアメリカの若者まんまな表情の Andy Lyonのフレッシュな歌声と若かりし頃の Dennis Cameronの、その時点で最高のアイディアとプレイ全てを詰め込んだ成功を夢見て才気走る情熱が封入された本デモの音源の方が、パワー満点で安定感抜群な Rob Rockの圧倒的な歌声をフィーチャーしたゴージャスな完成版の造り込まれたサウンドと違ってアマチュア臭いけども瑞々しい感性を感じさせ、デビュー前だからこその勢いや焦燥感のようなものがサウンドから滲み出しているようにも思えて、この後時を置かずして凋落していくメロディアスでキャッチー、そしてテクニカルなギターをフィーチャーした華やかなアメリカンHM最期の輝きのようで実に儚いのです……

もし、Andy Lyonがデビュー前に燃え尽きずその歌声を納めたアルバムを予定通りリリース出来ていたならば、恐らくANGELICAのデビュー作はB級USメロディアスHM程度の扱いでメディアにもそう注目されなかったかもしれないが、バンドとしては着実なステップを踏んでレベルを上げ長く活動を続けられたかもしれない、とも思うし、その後暗黒のグランジーの波が全米を覆う事を考えると脱退していなくてもバンド自体90年代を迎えずに解散するかシーンに埋没していたかもしれない、とも思え、Andy Lyonが脱退した事で Rob Rockと Ken Tamplinという抜群に歌の巧いヴォーカリストを迎えたデビュー作の話題性と注目をANGELICAにもたらし、バンドの寿命をとりあえずは延ばす要因となったと考えると、なんとも皮肉な運命の悪戯だと言わざるを得えませんね……

しかし、ANGELICAだけでなくTAMPLINやSHOUTのレコードも最近デジタルリマスター&リイシューされたようですが、CCM系のHMバンド再発ブームが来てるんですかね?

だったらもっともっとリイシューして欲しいアルバムが星の数ほどCCM系にはあるんだよなぁ~!

CCM系は独自のカテゴリーなのも影響してか、なかなか輸入盤が入ってこなかったりそもそもプレス数も少ないのか話題にならなかったりで、ホント昔から情報も無いし現物も無いという、なかなかに手強いジャンルなんスよねぇ…('A`)

歌詞の内容はお察しなものの、美麗で分厚いコーラスだったりキャッチーでブライトなサウンドが実に魅力的なバンドがホントCCM系は多いんだよなぁ…でも短命なバンドやプロジェクトなんか多くて音源は入手が困難で困難で…orz

ともかくANGELICAファンなら迷わず買い! な激レアアイテムなのは間違いないので、売り切れる前に早々に入手しておきましょう!

所で、なんでジャケにカタカナで『アンジェリカ』って、デカデカと表示されてるのか謎です…(汗


PS.8月にANGELICAの新作(!!)が27年ぶりにリリースされる模様なので、ANGELICAファンは刮目して続報を待ちましょう!('(゚∀゚∩


# by malilion | 2019-07-23 17:43 | 音楽 | Trackback

70年代末期のカオスなUSプログ・サウンドを彷彿とさせるUS新人バンド GREAT WIDE NOTHINGがデビュー!

c0072376_22442357.jpgGREAT WIDE NOTHING 「The View From Olympus」'19

米国ジョージア州アトランタを拠点とする三人組 Daniel Graham(Lead Vocals、Rickenbacker Bass、Electric & Acoustic Guitars)、Dylan Porper(Moog、Korg M-3、Roland D-50)、Jeff Matthews(Drums、Percussion)による、70年代プログレッシヴ・ロックに完全にインスパイアされたキーボードメインでマニアックなヴィンテージ風味シンフォ・サウンドが展開されるデビュー・アルバムをGETしたのでご紹介。

当初、Daniel Grahamがソロ活動を開始し、彼の作った曲を演奏する為にアトランタ音大の卒業生である二人を迎え本格的にバンドとして16年頃に始動しだした模様で、当然リーダーはフロントマンの Daniel Grahamと言う事になるんでしょう。

主にヘヴィなオルガンと繊細なピアノをメインに音楽は展開し、ヴィンテージ感を醸し出すメロトロンや華麗なシンセソロで要所要所を彩られたサウンドを聞くまでもなく、今風のモダンでメロディアスなシンフォサウンドと古典的UKプログレサウンドをMIXさせた初期USプログ・ロックのカオスなパワーと勢いを感じさせるノスタルジックなシンフォニック・ロックには、定番所のEL&P、GENESIS、YES、SAGA、RUSH、KANSAS、IQ、MARILLION等の影響が見て取れるだけでなく、USシンフォのILUVATARやMANFRED MANN'S EARTH BAND、それに初期PALLASっぽい所や図太くワイルドなオルガン大活躍な事もあって70年代のDEEP PURPLE風な感触や、意外にギター・サウンドにはPINK FLOYDっぽさもあり、様々なバンドのテイストを感じさせつつ洗練された今風のカラフルで叙情的なサウンドへ纏め上げているのは、結成されて間もない新人バンドのデビュー作としては上々の出来と言えるだろう。

Daniel Grahamの掻き鳴らすアコギと力強く歌い上げるその野暮ったいヴォーカルは、決して音域が広いとか巧いとは言えないが、ヴィンテージ感あふれる本バンドの70年代風USプログ・ロックには良くマッチしていて、中途半端に高く、それでいて低過ぎもしない70年代末期から80年代初期のインディUSプログ・バンドのフロントマン達に良く居た不器用ながら情熱的で不安定な歌声が絶妙な味を生み出しているように思う。

Daniel Grahamが Glenn McLaughlin(ILUVATARのヴォーカル)と Greg Lake足してFishで割った風な独特な声な事や、爽快なコーラス等ポップでキャッチーなヴォーカルメロディが殆ど見当たらない所なんかも如何にも混沌としたアートロックと呼ばれていた頃の70年代末期USプログ風ながら、しっかり今風にモダンな感覚も付け足されているので、70年代発掘テープモノのような時代遅れなサウンドに聞こえはしないのでご安心を。

現代のバンドらしく、歌詞で扱う主題は精神的なものだったり社会的に敏感な問題をモチーフにしたりと些か重苦しいが、そこはUS産バンドらしくテクニカルでスリリングなインタープレイの絡みを押しだしたり、キーボード弾き倒しを見せつけたりとパワー圧しで強引に楽曲を展開させたり、一転、涼やかなシンセやエレガントで艶やかなピアノも絡め、豊かなメロディと絶えず変化する巧みなリズム運び、そして効果的に配されたギターの音色を使い、幅広い魅力を持つカオスチックでカラフルなサウンドを紡ぐ様は往年のアメリカン・プログレハードに迫る風格も感じさせる、聴き応え十分な力作だ。

そもそもUS系全般に希薄だけれど、叙情感という点で言うとかなりユーロ系シンフォ・バンドに劣ると言わざる得ないが、北欧70年代リヴァイバル・プログ勢のダークサウンドとも一味違う抜けの良いクリーンなモダン・サウンドの感触と壮大なスケール感は新人USバンドならではの持ち味だろう。

現時点ではヴォーカルスキルがC級に片足突っ込んだB級クラスなのがモロに弱点になっているものの、キーボーディストの奮闘やリズム隊、特にドラマーの頑張りはなかなかのモノだし全体的なサウンドの完成度は上々と言えるので、ギタリストを追加で迎えるか、巧いヴォーカリストを迎えでもしたら、ひょっとしたら大化けする可能性も無きにしも非ずな期待の新人と言えましょう。

70年代UKプログ・バンドや80年代初期USインディ・プログバンドがお好みな方はチェックしても損はない新人バンドと言えると思います、が…本作はR盤なのよね…orz

もう今やDL購入がメインな時代とは言え、ちゃんとデュプリしたレコードをリリースして欲しかったなぁ…('A`)
なんかノイズ入ってるんですよね、所々で…R焼いてる時に電子レンジでもつけたのかエアコンか…それともオリジナルテープにノイズが乗っているのか…orz




# by malilion | 2019-07-22 22:38 | 音楽 | Trackback

Robert Berryを筆頭に凄腕ミュージシャン揃いなALLIANCEが十数年ぶりに新譜をリリース!

c0072376_10223922.jpgALLIANCE 「Fire And Grace」'19

欧米シーンを股にかけ、AORからプログレまで幅広いジャンルで活躍する Robert Berry(Vocals&Bass ex:3、ex:GTR、etc..)と Gary Pihl(Guitars ex:BOSTON、ex:Sammy Hagar、etc..)そして David Lauser(Drums ex:Sammy Hagar、ex:THE WABORITAS)によるメロディアス・ロックバンド ALLLIANCEが、前作『Road To Heaven』'08 以来、約十年ぶりとなる5枚目の新譜をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

久しぶりの新譜と言う事で残念ながらメンツに変動があり、前作に参加の Alan 'Fitz' Fitzgerald(keyboard ex:NIGHT RANGER、etc..)は本作に参加(Alanはロックシーンから引退してしまった模様…)しておらず、本作のキーボードパートは全て Robert Berryがプレイしている。

ただ、近年 Keith Emersonの遺作とも言える『3』の続編『3.2』を独力で完成させた事で元々マルチプレイヤーだった Robert Berryのキーボードプレイにも一層の磨きがかかったのか、兼任パートながら80年代メロディアス・ロックを思い出させるサウンドに満ちた本作の至る所で際だったシンセワークをタップリとフィーチャーし、Alan 'Fitz' Fitzgeraldの不在を全く感じさせない。

デビュー作はキャリアあるミュージシャン達が結成したスーパーバンド的な扱いで注目され日本盤もリリースされたりしたものの、派手さとは無縁な奇をてらわぬオーセンティックな正統派アメリカンHRをプレイしていた事もあって次第に注目度が落ち国内盤リリースも見送られるようになり、各自多忙を極める活動状況もあってか次第にALLIANCEの活動が停滞していった彼等だが、本作では幾分か以前よりハードでエッジを感じさせるサウンドなもののファンの期待通りのクラシック・スタイルなアルバムを提供してくれている('(゚∀゚∩

アルバムは80年代初頭のシンプルなメロディアスロックとAOR要素で構成されているが、流石に単なる懐古サウンドである訳はなく、経験に裏打ちされた名うてのミュージシャン3名の手による、至る所にフックが有る魅力的なメロディーとダイナミックなアレンジ、キャッチーな雰囲気とブルージーなタッチ、そして素晴らしいハーモニーとコーラスが満載な、タイトでソリッドなリズムとグルーヴの上に構築されたコンパクトな楽曲の、Robert Berryの力強く説得力あるメロディアスな歌声と Gary Pihlの如何にもアメリカン、というワイルドでストレート、そして急上昇するギターソロが爽快な、プログレ的な要素は全くないシンプルなプレイだけの組み合わせ(乾いたスライドギターの音色と跳ね踊るホンキートンク調のピアノが如何にもアメリカン! な上に、ファンキーなベースラインも最高♪)で過剰な装飾やドラマティックさが排除された、けれど心地よくポジティヴな雰囲気に満ちた80年代フィーリングの洗練されたモダン・アメリカン・ロックアルバムは、今の耳で聞くと妙に新鮮で個人的にも大満足であります(*´ω` *)

もしALLIANCEのサウンドをご存じない方でも、幾分商業的な色づけのされたシンプルなアメリカンHRがお好みな方なら、本作はきっとお気に入りな一枚となる事でしょう。

Robert Berryをはじめ各自多様なプロジェクトやツアーで多忙を極める売れっ子ミュージシャンなのは承知しているけれど、出来る事ならば次のアルバムまで今回程長いインターバルを彼等が開ける事なく良い知らせを届けてくれる事を祈って…




# by malilion | 2019-07-09 10:15 | 音楽 | Trackback

HOUSE OF LORDSのフロントマン James Christianのソロ第四弾『Craving』をご紹介。

c0072376_18485089.jpgJAMES CHRISTIAN 「Craving」'18

US産メロディアスHMバンド HOUSE OF LORDSのヴォーカリストとして長きに渡り活動を続ける実力派シンガー James Christianの、前作『Lay It All On Me』'13 から4年半振りとなるソロ4作目がリリースされたのを、遅れに遅れ今頃にGET。

近年の James Christianのソロアルバムは、Frontiers Recordsの全面的なバックアップと外部ライターの導入により優れた楽曲ばかりが集められる、まぁ言ってみればある一定以上のクオリティが保障された“プロフェッショナル集団によるプロの仕事な一枚”ですので、慌てず後回しにしててこんなに遅れてしまいました…('A`)スマヌ…

さて、本作についてだが、アルバムの音を耳にする前に目につくのが楽曲タイトルで、“渇望”なるタイトルのアルバム名だし、ジーザスだとかエイメンだとか妙に宗教色を感じさせるタイトルや単語が並んでいるので、もしや難病から回復したアーティストにありがちな、神への感謝を語ったりこれまでの半生を振り返る系の自省的で地味な方向性のアルバムかと思いきや、なんて事はなくいつも通りな穏やかで朗らかなポップ寄りメロディアス・ロックで一安心。

James Christian自身のヴォーカルについて今さら何だかんだと文句もあるわけもなく、いつも通りのハスキーだけど甘い声質を活かしたソウルフルでエモーショナルな歌唱、そしてキャリアに裏打ちされた抜群な熟練の歌い回し、圧倒的な表現力に些かの不安も無く、ファンが彼のソロ作に望む通りな素晴らしい歌声を聞かせてくれております(*´ω` *)

そうなってくると後は参加しているバックのメンツの方に注目が行くのは当然で、前作はHOUSE OF LORDSの面々が演奏陣で参加しておりましたが、今回は北欧オタスケマン Tommy Denander(今回は複数曲で楽器全般を担当、加えて流麗なギター・ソロも披露)をはじめ、Frontiers企画モノではお馴染みの Alessandro Del Vecchio、Chris Pelcer、Jimi Bell、Richard Hymas、Charlie Mason、Jeff Kent、そしてAOR系のビックネーム Clif Mag-ness(!!)と、メロハー系&AORリスナーなら一度は目にした事があるだろう名がズラリと並び、それら有名メンバー等による作曲、客演でバッチリとアルバムは隙無くサポートされている('(゚∀゚∩

サポートメンバーが豪華なのはいいけれど問題が無いわけでもなく、大勢のライターが関わった作品なので楽曲のバラエティは富んでいて幅広い音楽性を感じさせるが、反面統一感に乏しく、各自がそれぞれに作曲し個別に録音したと思われるバックのサウンドやプレイにも明らかにバラついて聞こえる箇所があって、どうにも複数の有能スタジオミュージシャンが創った出来の良い楽曲のカラオケをバックに James Christianが巧い唄を聞かせている、例えるならサントラにゲストで参加している有名アーティスト達の“やらされている楽曲風”に感じられてしまう点(通常なら James Christianが歌わないだろう歌メロ等、歌わされている風に感じられる曲調もあるのが…)があって、そこが少々残念だ。

今回のソロ作の新基軸としては、多少アコースティックギターが多目に導入されている点くらいで、他はいつも通りにキャッチーなコーラスと魅力的な力強いメロディーを持つミッドテンポな楽曲が殆どと安定感抜群ながら、前作と比べると曲調が暗め(前作は妙に明る過ぎる気もするけど…)なのと、各ライターが売れ線を意識したからなのか制約があったからなのか展開に驚きのあるような楽曲もなく、やや平坦で似た曲調の楽曲が多く感じられ、その点も本作の出来の印象を弱めているように感じる。

とは言え、抜群に歌の上手いヴォーカリストのソロ作で、安心の良質メロハー&AOR作をお求めの方なら、迷わず本作を購入しましょう!


Line-Up:
James Christian      : Lead Vocal, Acoustic Guitar, Background Vocals
Billy Seidman       : Additional Acoustic Guitars
Tommy Denander: Guitars, Bass, Keys (Wild Boys, Love Is The Answer, Sidewinder, I Won’t Cry)
Jimi Bell         : Guitars (Black Wasn’t Black)
Pete Alpenborg       : Guitars and Bass (Jesus Wept)
Alessandro Del Vecchio   : Keyboards (Jesus Wept)
Clif Magness        : All Instruments (Craving)
Josh Freese        : Drums (Craving)


# by malilion | 2019-07-05 18:42 | 音楽 | Trackback

唯一無二の強烈なハイトーン・ヴォーカル再び! STEELHEARTがLIVE作をリリース!

c0072376_14330493.jpgSTEELHEART「Rock'n Milan -Deluxe Edition CD+DVD-」'18

90年初頭にUS産HMシーンの中で新人離れした実力とフロントマン Mike Matijevic(後に Miljenko Matijevicへ改名)の強烈なハイトーン・ヴォーカルを武器に圧倒的な存在感を放ち、米国コネチカット州で1981年に前身バンド“RED ALERT”が結成され、メジャー契約時にバンド名を“STEELHEART”へチェンジしてリリースしたデビュー作から早々に『I'll Never Let You Go』や『She's Gone』等のヒットシングルが生まれ、ここ日本でも絶大な人気を誇ったSTEELHEARTの、2017年4月にイタリアで熱演を繰り広げる模様を収録した二枚組LIVE作(CD+DVD)をちょい遅れて購入したのでご紹介。

90年代後半からLIVE中の大怪我やバンドの長期の活動停止、そしてバンド解体を経て活動も人気も低迷していたが01年に公開され人気作となった米映画『ROCK STAR』の挿入歌を(STEEL DRAGONなる架空のバンドとして)歌った事が幸運を呼び、再びSTEELHEARTを率いるフロントマン Miljenko Matijevicに注目が集まるものの、4th『Good 2B Alive』リリース後に家族の不幸に見舞われたりレーベルの財政難問題に遭遇し碌なプロモーションも無くアルバムは全く世間に知られることない存在に…と、公私共に不運続きな Miljenko Matijevicであったが、近年は韓国で人気者となりTVドラマ等に楽曲を提供したりして精力的に活動を続けているのだが、正直ここ日本での現在の知名度は地に落ち、人気も殆ど無い状況なのが悲しいデス…(ノД`)

オリジナルメンツはもう Miljenko Matijevic以外残っておらず、オリジナルはツインギターの5人編成だったが、本作を含め現在はシングルギター編成の4人組なのがデフォ状態の模様で、LIVEでは最新スタジオアルバム『Through Worlds of Stardust』'17と同一メンツでの演奏を披露している。

人気作となった米映画『ROCK STAR』の挿入歌と、デビュー作の楽曲を中心に構成されたセットリスト(実際は2ndの楽曲もプレイされたかもしれないが未収録)で、同梱のDVD映像作の方は1曲多く『Live to Die』(from 3rd『Wait』、日本盤はボートラとしてCDに楽曲が収録されている)が収録されているものの、17年リリースの5thアルバムのプロモーションのはずのLIVEなのにコレでいいのかとちょっと疑問に思う選曲だ…(汗

最新作の紹介でも述べたと思うが、既に初期の音楽性とはバンドサウンドが様変わりしており、以前のようなキャッチーでコンパクトな如何にもUS産HMと言うブライトでメロディアスなサウドではなく、かなりZEPPELIN風なイメージが加わった重々しく引きずるようなリズムとスリリングに斬り込んでくるギターがメインなダークなサウンドが身上となっていて、時折垣間見せるアコースティカルだったり民族音楽風なサウンド(この辺が特にZEPPELIN臭いんだよなぁ)やリードギターの Kenneth Kanowskiとのツインヴォーカルのハモり・コーラスなど初期には聴く事が出来なかった独特な味わいがLIVEサウンドからも感じられるようになっている。

LIVEなので当然だが時々ヨレたり息切れやピッチが狂っている箇所も多々あるものの、Miljenko Matijevicが操るレンジの広い強靱な喉は未だ健在で、本作でも衰えを感じさせぬ強烈なハイトーンヴォーカルを変幻自在に轟かせ、彼こそがSTEELHEARTそのものなのだ、と言うインパクトをしっかりとアルバムに刻みつけているのは見事の一言だろう。

ただ、ボスが Miljenko Matijevicな為当然なのだろうが、ヴォーカルばかり目立つように感じるLIVEアルバムなのは如何ともしがたく、観客との掛け合いだったりドラムソロが収録されたりはしているものの、総じてバックのメンツの演奏の印象は薄く、個性も余り感じられないのは悲しい…orz

最新作の向いている方向性のままだと、ここ日本や世界中のメロハー系リスナーの間で人気が再燃するのは難しいと思われるけれども、どうにか末永く活動して欲しいバンドの一つではあります……

Track List:

01. Blood Pollution     (STEEL DRAGON Song)
02. Livin' The Life      (STEEL DRAGON Song)
03. Gimme Gimme      (from 1st『Steelheart』)
04. Like Never Before    (from 1st『Steelheart』)
05. My Dirty Girl      (from 5th『Through Worlds of Stardust』)
06. She's Gone        (from 1st『Steelheart』)
07. Cabernet         (from 3rd『Wait』)
08. Drum Solo
09. Everybody Loves Eileen (from 1st『Steelheart』)
10. Rock 'N' Roll      (from 1st『Steelheart』)
11. I'll Never Let You Go  (from 1st『Steelheart』)
12. We All Die Young     (from 3rd『Wait』& STEEL DRAGON Song)


# by malilion | 2019-07-01 14:25 | Trackback

Jeff Scott Soto率いるSOTOのゴリッゴリなモダン・ヘヴィネスサウンドに変化の兆し。メロディアスさが増した新譜をリリース!

c0072376_17515147.jpgSOTO 「Origami」'19

Yngwie Malmsteenに見いだされ、以降長きに渡って様々な世界中のプロジェクトやバンドに参加してきたUSメロハー界きっての働き者ヴォーカリスト Jeff Scott Soto(現SONS OF APOLLO、ex:Yngwie Malmsteen Band、ex:TALISMAN、ex:JOURNEY、etc…)が自身のリーダー・バンドとして始動したUSモダンHMバンドSOTOの、前作『Divak』'16 から3年ぶりとなる通算三作目がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

それまで甘いメロディ主体なキャッチーなユーロ系のメロハー・バンドにばかり参加してきた反動でか、ゴリッゴリのダークネスな鈍色USモダンHMサウンドを披露して彼の活動を80年代から追い続けていたファン達を落胆させたデビュー作の苦い苦い記憶が、未だにこのバンドの日本国内での人気をスポイルしていると個人的には思っとります。ハイ('A`)

キャリアも実力もメロハー系に置いては人気だって申し分無い割に報われる事の多くない Jeff Scott Sotoでしたが、アメリカンHM界の凄腕メンツ等が結成した新ス-パー・プログHMバンドSONS OF APOLLOに近年フロントマンとして迎え入れられたのが心理的にも経済的にも余裕をもたらしたのか、フラストレーションの塊を叩きつけるかの如き一切甘味の無い無愛想な怒号サウンドに前作で幾分メロディアスさが感じ取れるようになり、続く本作でもメロディアスさが幾分か増して(1曲目のダンサンブルでデジタリー、そしてポップでキャッチーなメロディアスな楽曲には驚かされた)感じられ、お得意のファンキーさを封印し、上から下まで存分に伸びる強靱な喉を轟かす、パワフルでエモーショナルな Jeff Scott Sotoの骨太ヴォーカルを存分にフィーチャーした、テクニカルでソリッドなモダンUSヘヴィサウンドを本作でも披露している。

現行のUS産モダンHMバンドらしいソリッドでヘヴィなダークサウンドは、依然として硬質でドライ、そしてマッチョでタフな雰囲気に満ち満ちているものの、前作よりさらにポジティヴなエナジーが充満して感じられ、重々しいリフでゴリゴリ攻めまくるテクニカルでエッジあるギターをメインにしつつ、キャッチーなコーラス・ハーモニーも時折交え、グルーヴィなボトムのウネリとうっすら哀愁漂うウェットなメロディが甘過ぎぬ絶妙のバランスで配合された、パワフルなシャウトだけでなく深みあるディープヴォイスを活かしたバラード調の楽曲もしっかりと披露して Jeff Scott Sotoのスキルの高さを十二分に実感させる、良くプロデュースされたUSモダンヘヴィネス作に仕上がっていると言えるでしょう。

元々 Jeff Scott Sotoのソロ・アルバムの楽曲をLIVEで披露する為に集められたバンドがスライドしてSOTOに成った訳ですが、残念ながら本作で初のメンバーチェンジが勃発してしまい、ベーシストが David Zから Tony Dickinsonへチェンジしている。

ただ、メンバーチェンジがあったものの本バンドのキー・プレイヤーである、目立たないけれどしっかり味あるフレーズとテクニカルなリード・プレイを披露するスペイン人ギターリスト Jorge Salan(G)とソリッドでタイトなドラムでバンドの土台を支えるブラジリアン・ドラマー Edu Cominato(Ds)の2人は変わらず在籍しておりサウンドへの影響はほぼ感じられないので、前作が気に入っていたファンの方はご安心を。

そうそう、地味ながらしっかりサウンドに厚みと彩り(ブラスをフィーチャーした楽曲は、恐らくキーボードのサンプルだろう)を加えている BJ(Guitars & Keyboards)の存在も決して忘れてはならないと思っとります(*´ω` *)

心機一転、SONS OF APOLLOと同じソニー傘下のInsideOut Musicへ移籍しての初のアルバムとなる本作には、Jeff Scott Sotoの長年のキャリアに裏打ちされた揺るぎ無い自信と、SONS OF APOLLOともソロ作とも、これまでFrontiers RecordsやESCAPE MUSICフィールドで参加してきたユーロ系メロハー・バンド達とも違う、独創的で現代的なヘヴィ・サウンドが深く刻まれているので、彼のファンは無論の事、USモダンHMサウンドが好きな方にも是非一度チェックしてもらいたいアルバムであります。



# by malilion | 2019-06-30 17:46 | 音楽 | Trackback

UKベテランHRバンドTENの新譜『ILLUMINATI』を今頃購入してみた。

c0072376_17492797.jpgTEN 「Illuminati」'18

盟友 Vinny Burns(G、ex:DARE ex:ASIA)の脱退以降メンツも定まらずどんどん売りの叙情的メロディもフックも色褪せていった Gary Hughes(Vo)率いる英国産ベテランHRバンドが、20周年記念盤『Albion』'14で劇的に作品レベルや楽曲クオリティが戻り、連作の『Isle De Muerta』'12も素晴らしい出来でメロハー・ファンを歓喜させた彼等の、前作『Gothica』'17に続く新作が1年半ぶりにリリースされたのを今頃手に入れてみた。

『Albion』と『Isle De Muerta』の二枚組構成に、さらにEP収録の新曲を収録した限定500枚『Battlefield』'16を手に入れた時は、その出来の良さに小躍りしたものですが、前作『Gothica』'17の出来は正直イマイチでガッカリでした。

毎度お馴染みなコンセプチュアルな雰囲気や全体のサウンドは良いものの、聞き終えた後でアルバムのメロディや楽曲の印象が薄く、しかも『Albion』以前の大仰さが鼻につく大作志向な楽曲にフックが乏しく退屈なミッドテンポな曲ばかりの駄AOR化していた頃のタルさが再びアルバム全体から強く感じられたからです。

勿論、『Albion』以前の楽曲よりもサウンドはモダンで出来は良かったし、楽曲構成やトリプルギターがイマイチどう活かされているか分からないもののメロディの質や各プレイヤーの披露する演奏も平均的で、これまで余り表現されてこなかった白蛇的エロティックな歌詞等、幾分か新基軸も聞き取れ期待したのですが、結局は『Battlefield』の時のような新鮮な驚きや歓喜は訪れませんでした…

やはりネックとなってくるのはボスでありバンドの頭脳でもある Gary Hughesの狭い音域のヴォーカルと激しさの余り感じられない歌唱法だと個人的に思うのですが、マンネリ気味になりがちな歌メロや楽曲展開をどう手を変え品を変え新鮮味を感じさせるか、という点で『Gothica』はバックのメンツの頑張りは余り感じられなかったと言うのが正直な感想です。

まぁ、バックばかりを一方的に責めるのも酷だとは分かっているんですけどね、なにせ仕切っているボスはヴォーカリストの Gary Hughesなんですから。

トリプルギターにキーボーディストまでいる7人の大所帯編成ながら音の隙間はしっかり感じられる流石はベテランというサウンドはよろしいのですが、やはりヴォーカル偏重な楽曲構成故かHRバンドとして見るとバックのメンツのインタープレイ・パートなんかは控え目で、壮大でシネマチックなサウンドはバランス重視と言えば聞こえは良いけれど、3人もいるギタリスト達の活躍の場が少ない退屈極まりないマンネリズムの波に溺れ勝ちな状況がなんとも…

折角『Battlefield』で再び購入意欲が戻ったものの前作『Gothica』でガックリ、だったので本作に手を出すのを再び躊躇した訳ですが、ダメ元と覚悟をして購入したもののヤッパリ本作も…な、出来と言わざるを得ません…orz

アルバムの制作に置いて意見が食い違い、所属していたFrontiers Recordsを離れ、新規一転新興レーベルから『Albion』と『Isle De Muerta』をリリースし、その出来の良さが耳に入ったのか再びFrontiers Records所属へ戻り前作『Gothica』をリリース、そして本作という流れが悪いとは言わないけれど、なんと言うか再び勝手知ったる安住の地を得たので、新興レーベルから心機一転新譜をリリースするぞ、という時のような冒険心や成功するぞ、というハングリー精神や意気込みが失せてしまったのでしょうかねぇ…(汗

本作もHRバンドお決まりのテーマを取り上げたコンセプト作で、彼等お得意の物語性ある壮大なサウンドが紡がれていくのですが、やはり以前の悪癖である楽曲のコンパクトさやフック、そしてキャッチーな歌メロ等が霞み、HRバンドらしいスリリングな展開や各プレイヤーのインタープレイ等も殆ど聞こえず、AOR的にも歌メロに耳を惹くような驚きもなく、所々で耳を惹くメロディや展開も聞けるものの終始雰囲気は良いし各メンツのプレイもソツないけれど、アルバムを聞き終えた後にメロディやメンバー達が奏でたプレイが殆ど耳に残らない退屈な一作でした。

厳しい事ばかり並べ立ててますけど、それだけ彼等には期待してるし期待に応えられるポテンシャルは確実に持っているバンドなんですよぉ…('A`)

しかし、残念ながら次作に手を出すかどうかかなり怪しい状況ですね……

メンツも時代も違うのは重々承知しているのですが、どうしても初期『The Name of the Rose』'96当時の素晴らしい美旋律と完成度と扇動力の高かったサウンドを知っているとなぁ…(ノД`)

『Albion』で取り戻した輝きを、次作でこそ聞かせてくれる事を祈って…




# by malilion | 2019-06-29 17:43 | Trackback

Bender一家率いる北欧スウェーデン産シンフォ・バンドINTROITUSの5年振り4thがリリース!

c0072376_22071738.jpgINTROITUS 「Shadows」'19

北欧スウェーデン産6人組シンフォ・バンドの5年振りとなる4thがリリースされたので即GET!

これまでどちらかと言うと美麗系なジャケのイメージだったが、ここに来ていきなりダークで妖しげなジャケになっているのを見てファンは驚かされた事だろう。

当然、何か変化が? と予想するがその予感的中で、前作でツインキーボード編成の7人組だったのがこのインターバルの間にメンバーチェンジが勃発して6人編成へと変わっている。

デビュー作の時点でBender一家(旦那 Mats BenderがKeyboards、妻 Anna Jobs BenderがLead Vocals、息子 Mattias BenderがDrums&Vocals)がバンドの中心で、2ndより娘の Johanna Bender嬢までもバッキングヴォーカルとして参加し、オリジナルメンバーで一家以外のメンツは皆無になった事からもBenderファミリーが仕切るバンドなのが見て取れた訳だが、今回の4th制作メンツはと言うと、2ndより加入したギターの Par Heljeとベースの Dennis Lindkvistの2人は今回もちゃんとその名を見る事が出来るものの、前作のサウンドに華やかな彩りを添えていたキーボード兼フルート兼ギターの Henrik Bjorlindの姿は無く、また Johanna Bender嬢も本作ではメンバーから外れてゲスト扱いになっている。

個人的には Henrik Bjorlindの活躍でバンドサウンドが飛躍的にグレードアップしたと思っていたので彼の脱退は残念(ボスの Matsより目立ったから? 結局シングルキーボード編成になってるし…)ではあるものの、代わりといっては何だが本作から Linnea Syrjala嬢(Accordion、Ocarina、Chalumeau、Vocals)が新たに加わり、前作で Henrik Bjorlindが聞かせた繊細で華やかな美旋律の補完のみならず Johanna Bender嬢の役目も兼ねる事になった模様だ。

因みにChalumeau(シャリュモー)とは、後期バロックから初期古典派の時代に用いられたシングルリードの木管楽器で、近代クラリネットの前身となった民族楽器となっており、アコーディオンやフルートを活用するシンフォ系バンドや北欧系トラッドバンドは多いが、このバンドはChalumeauのみならずOcarinaの音色も取り込み、ややもすると個性が弱く類型的なサウンドになりがちなフィメール・ヴォーカルのシンフォサウンドの独創性を高めようと模索しているのだろう。

また、Helena Tenstam嬢なるフルート奏者がゲスト参加で流暢なプレイを全編で披露したり、一曲だけゲストヴォーカルとして Martin Jobsを招くなど新しい試みにも臆する事なく挑み、これまでの重要なサウンド要素も保持しつつ、よりヴォーカルの厚みやコーラスの導入などを重視し、さらに楽曲の荘厳さや艶やかさ、そしてスケールを増すと共にINTROITUSならではのシンフォ・サウンドの進化と確立を図っているのが良く分かる。

北欧女性声シンフォ・バンドは数あれどフェーメールVo苦手な自分でもこのバンドが聴けるのは、アルバム枚数を重ねる毎に表現力を増し Nancy Wilsonを彷彿とさせる美声な Anna Jobs BenderのA級まで行かない、いい意味で木訥さも残すB級なヴォーカル・スキルもさる事ながら、やはりボスである Mats Benderの操る多彩で細やかな鍵盤プレイと目立たないけれどフィーリングバッチリで印象的なメロディを情熱的に紡ぐ Par Heljeのギタープレイがシットリ憂いを湛えた叙情的でドラマチックな物語を描き出す様や、モダン且つ格調高いクラシカルなサウンドの配合具合が絶妙なのが大きく、今回は特に物悲しいオカリナや鄙びたアコーディオンなど、これまで以上にセンチメンタルで淡い情感を漂わす新たなテイストが加わり、北欧特有の透き通るようなクリアーな空気感と哀愁漂う幻想性、そしてデビュー当時からこだわっている必ず導入されるフルート(今回、専任メンバーが居ないけれど)が紡ぐメランコリックな美旋律が本当に堪りません♪

幾分かこれまで以上に壮大でシンフォな響きのシンセ群(時々、ちょっと安っぽいサンプルな気がする時もあるが、今やソレも味と言える?)の音色がフィーチャーされた楽曲が納められているが、基本的にいつものスタンス通りに俗っぽいロックテイストやそこそこテクニカル、時々驚くほど複雑で活気ある鍵盤とギターのソロプレイがスリリングな展開を聞かせてくれる点も、そこらの無駄に壮大で纏まりが無い自己満足的で懐古趣味な、退屈極まりない無駄展開の連続な長尺曲を垂れ流してるB級マイナー・シンフォバンド群と一線を画していて、このバンドを気に入ってるポイントです。

実は Mats Benderのキーボードプレイだけに注意すると、モダン・シンフォ系と言うよりかなりネオ・プログレ的なプレイをしており、下手をすると野暮ったく古臭くなりがちなサウンドを Par Heljeの絶妙なフレージングとトーンコントロール、そしてしっかりコンポーズされバランスが考慮されたソロとリフが堅実にバンドサウンド支え、全体的にスケールアップし壮大になったロマンチックな響きの香る楽曲にソリッドなエッジと独特の輝きを与えているように思う。

プログレ的な独創性と進歩性は余り感じられないし、完成度が高く他の追随を許さぬ極上の美麗サウンドでもないけれど、非常に調和の取れた、円熟味さえ感じさせるドラマチックでシンフォニックなサウンドは、デビュー当時からの物悲しさを漂わせながら、ゆったりと淡く静かに拡がっていく波紋のようで、幻想的な艶やかな美しさをしっかりと湛え今にも零れ落ちそうだ(*´ω` *)

フルートやオカリナが物悲しい叙情を掻き立てる、リリカルでドラマティックな北欧シンフォ好きな方なら一聴の価値はある彼等の新作ですので、是非一度チェックしてみて下さい!



# by malilion | 2019-06-24 22:01 | 音楽 | Trackback

KANSAS+RUSH+YES×モダン・プログレ、なUSシンフォ・バンド AFTER THE FALLが13年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_19145665.jpgAFTER THE FALL 「Early Light」'18

86年に米国コネチカット州で結成されたキーボード入り4人組USシンフォニック・バンドの、前作『Knowledge』'05以来13年振りの通算6作目となるアルバムがリリースされたので即GET!

Mark Alden Benson(Vocals、Electric & Acoustic Guitars、Percussion)と Ken Archer(Keyboards、Backing Vocals)を中心に結成され、デビュー・アルバム『The Last Hero』と2nd『Light and Shadows』は、それぞれ88年と91年にリリースされたが、残念ながらこの二作はカセット・オンリーでのリリースで現在までフルCD化されおらず、二作のカセット作から数曲ずつをチョイスしてデジタルリマスターを施した音源を収録したコンピレーション盤『BEFORE...』のみが97年にCDリリースされている。

カセット音源時代から3rdアルバム『In A Safe Place』'97 リリース時でメンツ変動があったがそれ以降バンドメンツは不動の4人 Mark Alden Benson、Ken Archer、Jeff Brewer(Bass、Bass Pedals、Acoustic Guitar、Percussion、Vocals)、Rich Kornacki(Drums、Percussion)で、前作リリース後も精力的な活動を続け、各種プログレ・フェスティバルに参加したり、ニュージャージーでの公演でTHE FLOWER KINGSとステージ共演を果たすなど長く地道なLIVE活動を続けたが、なかなか活動が報われぬのが引き金になったのか結成当時からのオリジナル・ドラマー Rich Kornackiが脱退し、バンドは12年から活動休止状態になっていた模様だ。

久しぶりの再起動作である本作では新ドラマー Marc Dupuisが迎えられているが、Rich Kornackiも二曲でドラムを叩いている所を見ると、脱退は円満に行われたのだろう。

また、折角の再起動作なものの、活動休止を挟んだ事が原因でかオリジナル・ベーシスト Jeff Brewerの姿は本作に無く、Jim Rosatiなるベーシストがゲストで一曲プレイし、残りは最初期のメンバー Jon Quinnが再び復帰してベースをプレイしている。

因みにカセット音源時のフロントマン Jon Quinnは、脱退後もバンドと交流を続け、前作『Knowledge』ではAdditional Vocalsをはじめ、Guitars、Samples Electronics等での客演のみならず、ジャケットデザイン等でも協力して来たが、本作では再びバンドに再加入し、Bass、Keyboards、Additional Guitarsをプレイするだけでなくアルバムのプロデュースまでも手がけている八面六臂の活躍で、なにげにバンドにとっての長年の影の功労者と言えよう。

ベーシスト Jeff Brewerが脱退したのでバンドの売りだった Mark Alden Bensonとの爽やかなツイン・ヴォーカルはもう聞けないのかと落胆した方も、代わりに初代フロントマン Jon Quinnがベーシスト兼任で復帰と言うことなのでその点の懸念は心配御無用だ。

さて本作についてだが、4th『The Living Drum』までは正直ピンとこないユルユルな自己満三流マイナーUSグレ・バンドだった訳だが、前作『Knowledge』からKANSASとRUSH風味を隠し味に、シャープなヴォーカル&コーラスとEL&P張りのシンフォニックなキーボードが大活躍する長尺曲ばかりながら助長な所無くコンパクトに構成された、タイトにテクニカルに攻めまくりなUSシンフォ・サウンドへ急成長し、マイナーなインディ・バンドながら一気に大化けして期待のUSシンフォ・バンド最右翼へと躍り出て驚かされたが、待ち望んでいたファンの期待を裏切らぬ前作で示した方向性のままな会心の一作を届けてくれた('(゚∀゚∩

KANSAS、RUSH、YESという古典的プログレ系に始まり、JAZZハーモニー、奇妙なメロディー、その他の実験的な試みも敬遠せず、キャッチーでメロディアスなHR要素だけでなく様々な現代音楽のサブジャンルからの影響も貪欲にブレンドし、シンフォニックとプログHMの色合も兼ね添えたサウンドを意識しつつ、爽快なコーラスとシャープなヴォーカルは朗らかに歌い上げ、エッジあるギターはテクニカルにリフを刻み、オルガン、アナログ・シンセ等のビンテージ・キーボードは重厚華麗な音の壁を築き、繊細なベース・プレイとソリッドでタイトなドラムが複雑で軽快なリズムを交差させ、非常に独創的なモダン・プログレッシヴ・サウンドを奏でている。

アナログ・シンセ等の重厚で図太い音色は如何にも70年代風といった趣を感じさせ古典プログレ好きに訴求するサウンドながら、決して懐古主義と言う訳で無いRUSHっぽいデジタル加工を施したサウンドも隠し味的に随所で顔をのぞかせモダンさを感じさせつつ、チラリチラリとKANSASっぽいメロディやヴァイオリンのサンプリング・ストリング、そしてオルガンのヘヴィな音色を弾ませ、アメリカ産バンドならではの抜けの良いYES系シンフォ・サウンドと爽快さ、そして熱気溢れるパワー圧しの畳みかけと強烈なアンサンブルが駆け抜ける、上手い具合に各要素をスポイルさせる事無く組み合わせ自分のカラーにしたバンドサウンドが実に魅力的だ。

70年代初期からUSインディ・グレ系はJAZZっぽいサウンドや、サイケっぽいサウンド要素を取り入れるバンドが多かったが、本作でも以前は余り聞かれなかったムーディーなJAZZフレイバー香るピアノやギター、ベースがセンス良くシャレオツな音色を聞かせ、時折ファンキーなギターのリフも朗らかに絡ませつつ、パワフル且つドラマティックな大作志向の楽曲をテクニカルに、スリリングに、前作よりかなりインスト重視なスタイルで堂々と鳴り響かせている。

前作で爽快なヴォーカルを聞かせてくれ一気にUS系らしいキャッチーさが増したと喜んだのだが、本作では再び各楽器パートが長尺で如何にもプログレ系というサウンド形態なアルバムとなったのがちょっと残念なものの、決して助長さは感じさせぬしっかり構成された手の込んだ楽曲は時間をかけて緻密に編み上げられたのが伝わってくる力作なので、今回はポップでキャッチーな要素は少々控え目にして、長い間にグツグツと溜まりに溜まって熱を帯びた各プレイヤーの迸る創作意欲と演奏欲を満たした結果なのだろう。

KANSAS、RUSH、YESファンや、70年代風な香り漂うモダン・USシンフォ・サウンドがお好みの方に是非一度チェックして欲しいバンドであります。

因みに同名のバンドが複数存在しておりますので、マイナーなシンフォ系バンドの本バンドは上記のアルバムタイトルしかリリースしていませんので、間違って購入されないようご注意下さい。





# by malilion | 2019-06-12 19:10 | 音楽 | Trackback(2)

元ANGRAのヴォーカリスト、Andre Matosが死去…


元ANGRAのヴォーカリスト、Andre Matosが6月8日に死去した模様だ。

『…え!? なんのジョーク?』って、いう驚きがこの情報を耳にした最初の反応だった。

だって、彼はまだまだ若いはず…47歳じゃないか? と…

予測出来ぬ交通事故にでも巻き込まれたかと思ったが、なんと心臓発作を起こしたらしい…

しかも、6月2日にブラジルのサンパウロでTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAのLIVEにゲスト参加していたのに…

その5日後に、この世を去るなんて、誰が予想できようか。

ともかく、これでオリジナルANGRAが再結成する事は永遠になくなってしまった……orz

今夜はANGRAのデビューアルバムでも聞くかな…

Andre Matosよ、安らかに眠れ…R.I.P



# by malilion | 2019-06-09 20:42 | 音楽 | Trackback

40年の歴史に幕を降ろしたカナダのSAGA…最終LIVE作をご紹介。

c0072376_19225693.jpgSAGA 「So Good So Far - Live At Rock Of Ages」'18

このアルバムだけは、正直聞きたくなかった…

もう随分前に本作のリリース情報を知り、ちょい遅れて入手していましたが、どうにも本作を聞く気になれなかったのです…orz

勿論、内容どうこう文句があるわけでなく、大好きなバンドの最終作、しかも活動終了というある意味で解散以上に悲しくも潔い結末を迎えた最後の勇姿が記録されているから…

本作は結成40周年を迎える2017年に“最終章”のLIVEツアーが行われ、18年のプログレ・クルージング・フェス“Cruise To The Edge”で行う特別な一回限りのパフォーマンスを最後に活動を終了(最終公演は18年10月12日プエルトリコ公演)した、カナダが誇るプログレ・ポップバンドSAGAの最終作であり二枚組CD+DVD LIVEアルバムだ。

17年ドイツのSeebronnで開催された『Rock Of Ages Festival』でのパフォーマンスを収録しており、夕刻から定評のある1時間半のセットを、数千人のフェスティバル参加者の前で披露した様子が納められた本作には、CD二枚組盤の他、アナログLP二枚組盤や、DVD盤、Blu-ray盤等のメディア違いのパッケージが多数用意され、有終の美に華を添えている。

『Rock Of Ages』フェスティバルの06年初開催時にSAGAが招聘されLIVEを披露して以来、毎年のように同地を訪れて人気を博し続けていた事から、常にSAGAにとって重要なLIVE会場先であった場に再び戻ってきてのLIVEを記録に納めるのは、ある意味で必然だったのかもしれません…

ここ日本での知名度や人気は信じられないくらい低い彼等ですが、結成以来、フロントマンの Michael Sadler(Vocals、Keyboards、Guitar、Bass)と、Ian Crichton(Guitars、Synthaxe、Banjo)と Jim Crichton(Bass、Keyboards、Moog synthesizer、Guitar、Synthaxe)のCrichton兄弟が中心なバンドで、そのトリプル・キーボードを活かした軽快でキャッチーなサウンドが、本国カナダを始め北米、そしてユーロ圏、特にドイツでは昔から絶大な人気を誇るバンドでありました。

ですが、オルタナ&グランジーの影響か90年代末期から流行に日和った路線のアルバムを数作リリースして旧来からのファンの不興を買ったり、結成以来バンドの顔であったフロントマンの Michael Sadlerの脱退、そして一作だけ同郷のメロハーシンガー Rob Morattiを迎えてアルバムを制作した後すぐさま Rob Moratti脱退、電撃的に Michael Sadler復帰と、近年はゴタゴタ続きでイマイチ活動が軌道に乗れていなかった模様なものの、12年にはしっかり21作目となる新譜をリリースしてくれて、まだまだ素晴らしいアルバムを届けてくれるものとばかり思っていたのに…゚・(ノД`)・゚・

まぁ、Jim Crichtonは70歳になったし、他のメンバーも高齢なので流石にLIVE活動をこれ以上続けるのは辛くなったのだろうとは予想つきますけど、主要メンツを欠いてもメンバー補充して半ば懐メロバンド状態に陥りながらもDEEP PURPLEはまだ活動続けてるし、Ozzy Osbourneなんて引退、復帰、引退を何度繰り返してるんだかだし、KISSなんて引退ツアーを何年やってんだ、ってな金になるなら反吐の出るようなド汚い不義理がまかり通るショービジネス界に身を置き、そんな中で潔く活動終了を宣言した彼等には拍手を送るべきでしょう。

これまでも未発音源集やらアーカイヴ作は積極的にリリースしてきてくれた彼等なので、恐らく今後もなんらかの音源はリリースされるものと思われますが、ともかく活動中のバンドとしての音源はもう本作で最後と言うことになりますね…悲しい…orz

さて、本作についてですが、流石にベテランの最終作だけあって、全ての楽器のバランスはしっかり調整されており、各楽器は聞き取り易くバンドは実にタイトで、華麗なキーボードとテクニカルなギターのアンサンブルが活躍するポップなバンドサウンドに相応しくクリーンなサウンドに纏め上げられている。

99年以来、数多くのLIVEアルバムをリリースして来たが、幾枚かは本当にポップでクリアーな良いサウンドだったり、また幾枚かはダークでヘヴィな荒れたサウンドであったが、本作のプレイは最終作『Sagacity』から加入した新ドラマーの Mike Thorne(バンド史上最高のドラマーと称されている)のお陰もあってか非常にヘビィでソリッドで、そんなドラムに背中を押されるように各プレイヤーの演奏にも熱がこもり、トレードマークの螺旋を描くように上昇するギターフレーズで Ian Crichtonが魔術師のように聴衆を魅了し、さらにSAGAを特徴づける Michael Sadlerと Jim Crichton、そしてキーボーディスト Jim Gilmourらによるトリプルキーボードの分厚い音の壁がスリリングに迫り、キャッチーでファンタジック、そしてポップでコンパクトな楽曲を Jim Gilmourが操る華麗なシンセワークがまるで目の前で軽やかに跳ね踊るように繰り広げられ、馴染み深い名曲の数々をカラフルに彩っていく。

ドイツでのLIVEという事もあってか Michael Sadlerがドイツ語で聴衆に呼びかけたり、煽ったりしていてちょっと奇妙に感じるし、LIVE作にしては少々聴衆の声が聞き取りにくいように思えるものの、その事がLIVE作自体の質を決して落としている訳ではないのでご安心を。

これまでリリースしてきたアルバム枚数も多く、楽曲はさらに数多いので、さすがにまんべんなく全ての時代の代表曲を演奏する事は現実的に不可能だし、本作の殆どの人気曲は他のLIVEアルバムにも全て収録されているものの、『Help Me Out』『Will It Be you?』の二曲は非常に希にしか演奏されぬ楽曲なので、本作の目玉収録曲で聞き所と言えるかもしれない。


全SAGAファンにとって本作は『必需品』であり、まだファンではない方にとっては、名曲の数々が納められた本作はSAGA世界への完璧な紹介作と言える一枚と言えましょう。


# by malilion | 2019-06-07 19:17 | 音楽 | Trackback

70年代イタリアン・プログレの雄 BANCOが新フロントマンを迎えまさかの復活!

c0072376_17391114.jpgBANCO DEL MUTUO SOCCORSO 「Transiberiana ~Limited Mediabook~」'19

スタジオアルバム・リリースは97年のアンプラグドアルバム『Nudo』以来で、オリジナル曲で構成されたスタジオ・アルバムのリリースは94年の『Il 13』以来と、実に25年振り(!!)となる新作17thが遂にリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

70年代からPFMやLE ORMEと肩を並べるイタリアン・プログレ・レジェンドバンドのカリスマ的フロントマンで、ヒゲモジャのデブな禿げオヤジ(字面だけ見るとホンットに酷いなw)という特異なそのキャラクターとオペラティックな美声がメジャーデビュー以来“バンドの顔”そのものであったヴォーカリストの Francesco Di Giacomoを14年に交通事故で亡くし(涙)、てっきりバンドは解散したものとばかり思っていましたが、まさかの新ヴォーカリスト Tony D'Alessioを迎えた6人編成で活動を再開し、リーダーの Vittorio Nocenzi(Piano、Keyboards、Vocals)のみ残してメンツを総入れ替えしたツインギーター&キーボード入り新編成となって初のスタジオ・アルバム(ボーナストラックとして18年のLIVE2曲と44ページの綴じ込みブックレット&ハードカヴァー仕様の限定盤)が遂にお披露目された。

正直、Francesco Di Giacomo亡き後に誰を加入させようとも、もう以前のような懐かしの古典的イタリアン・プログレを奏でるBANCOサウンドを聞く事は叶うまいと確信していたので本作に手を出すのを少々躊躇っていたが、不遇の80年代末期からバンドに加入し、前作では時代を意識したメタリックでエッジある派手なギター・サウンドを聞かせた Rodolfo Maltese(15年に逝去…R.I.P)に代わり90年代以降バンドに参加している Filippo Marcheggianiがリード・ギターへ昇格し、12年から参加している Nicola Di Giaがリズム・ギター、そしてベーシストに元IL BALLETTO DI BRONZOの Marco Capozi、ドラムスにMETAMORFOSIの Fabio Morescoを迎えたという情報を耳にし、なかなか強力なリズム隊を従えたんだな、とちょっと興味をそそられ、LOST INNOCENCE、GUERNICA、POZZO DI SAN PATRIZIO等のバンドに参加し、イタリアン・プログHMバンドSCENARIOを率いる実力と十分なキャリアを持ったフロントマン Tony D'Alessioが加入というダメ押し情報で、遂には好奇心に負け(笑)本作を購入してしまいました。

前作のメタリックでドライヴィンな幾分かプログHMを意識しただろう(夢劇場の2ndは92年リリース)ハードサウンドでありつつ過去作もしっかりフォローする Vittorioの躍動的で煌びやかなシンセ大活躍な作風が個人的に大好きだった訳だが、既に新人バンドがデビューして解散してしまうくらいの年数が前作から経過している事実を見るまでも無く当然サウンドは前作と全く違っているものと予想していたが、本作は初期の重厚な70年代風イタリアン・プログレ・サウンドと、より現代的なHRサウンドをMIXさせた絶妙なバランスのサウンドがベースになっており、モダン・プログレからアバンギャルドな作風だけでなく、AORやJAZZ風な要素まで多種多様に取り入れたその恐れを知らぬ挑戦的サウンドは、70年代の黄金期を想わせる名盤サウンドを継承しつつも、新たな要素を貪欲に加えてモダンサウンドへ進化を遂げた、まるで新人バンドのような新鮮な活気と情熱に満ちた極上のイタリアン・シンフォサウンドが息づくアルバムで本当に驚かされた。

勿論、メンツが殆ど違うので同じサウンドなはずないのは当然だが、どうやらこのサウンド進化の一番の要因は、本作の作曲を Vittorio Nocenziが『まるで自分が作曲したかのようで驚かされた』と言う、彼の息子でありピアニストでドラマーの Michelangelo Nocenziのインプット(当人達が見失いがちなBANCOらしいサウンドを外部の若い感性を持つ目を通して再構築されたか?)を得た事が大きいようで、作詞は70年代以来バンドに度々力を貸している脚本家の Paolo Logliの協力を得て完成させられている点も見逃せないだろう。

“Trans-Siberian”は非常にパーソナルで複雑なコンセプト・アルバムで、シベリア鉄道をモチーフにした地球上で最長となる遙かな旅路が綴られており、何年にも渡って経験し現在までに味わった喪失感(バンドメイトとの死別や Vittorioの病の事を指して?)や、さらには希望の復活を伝える人生の比喩的な物語(壮大な風景、事故、狼との闘い、荒廃した遺跡、美しい降雪、そして最終的には海に到着するまでのアジアを横断する架空の旅)は、困難、夢、希望、期待、驚き、そして世の不思議について語られ、それらの比喩話には商業的成功を求めての失敗(80年代の愚かなポップ路線変更で金を稼ごうとしたのを指して)から学び、再びやり直すアクシデント等が赤裸々に描かれていて、全てをさらけ出して再び自らのアーティスティックな未来を定義づけると共に、その長いキャリアを音楽的にも歌詞的にも自伝的物語の態をとって総括した渾身の復活作となっている。

また、Vittorio Nocenziが語る所によると、シベリア鉄道をモチーフにした理由は『シベリアは極端な土地で、それは我々が経験する極端な時代、環境の大惨事の深刻さ、そして知性を破壊するグローバリゼーションの為の隠喩でもあり、無知で思いやりのある原理主義的狂信者によって支配される現代生活の衰退に対する警告でもり、全ての芸術家がそれらの問題に対して倫理的な緊張を与えなければならないと信じているから』と言う事らしい……

時代が時代なので70年代のような壮大で長尺な楽曲の姿は無く、本作の最長トラックは6分半程度となっているが、バンド創設時から作曲を務める Vittorio Nocenziと息子 Michelangeloによる楽曲群やアレンジメントの妙は冴え渡っており、キャッチーなビートに、パーカッシブなキーボードサウンド(図太いシーケンサー・サウンドが最高♪)、渦巻くようなソリッドなリズムセクション、浮遊する金物を活躍させるアバンギャルドな面を覗かせつつ変拍子が随所で顔を出すHR的畳みかけや、エッジ鋭いギターが強調された攻撃性と、これぞBANCO!と、いう情熱を再燃させる古典的でジャジーなタッチとモダン・ロックがMIXされた重厚なサウンドに、アートロック風の艶やかなアコースティック・パートを導入した古典的イタリアン・プログレらしいメロディアスでフックある展開は、結成1969年というキャリア50年を誇るイタリアン・プログレ大御所バンドの面目躍如な、優れたミュージシャンシップと未だ衰えぬエネルギー、そして独創的な静寂と荘厳なムードできめ細かく装飾されており、まるで煌びやかな宝石のように眩い輝きを放つその楽の調べは素晴らしいの一言だ(*´ω` *)

そして、本作における最大の注目点と言えば、新たに伝統あるバンドのフロントマンの座に就いた Tony D'Alessioについてだが、IL BALLETTO DI BRONZO、OSANNA、PFM、AREA、そしてBANCOの熱烈なファンだったと言う事で生前の Francesco Di Giacomoと交流があり、奇しくも“もし自分が歌えなくなったならば後任には是非 Tonyを”と Giacomoからお墨付きをもらう程の歌唱力で、同郷バンドMETAMORFOSI、LE ORME、MUSEO ROSENBACH等でも耳に出来る、喜怒哀楽の感情表現で巧みに声を使い分ける技量や、オペラチックに憂いある声色を震わせたり、弾けるような朗らかな歌声を轟かす、非常に情熱的なイタリアン・ヴォーカルスタイルで、勿論 Giacomoの唯一無二の美声を再現は出来ないが、可能な限り似せた歌唱を聴かせたり、自身のスタイルであるシャープで伸びやかな歌唱やHM畑で培ってきた強靱でパワフルな喉を披露したりと、ステージに出る度に Giacomoと絶えず比較される過酷な立場ながら、勇気、技術、そして持てる情熱の全てを捧げたその堂々たる歌いっぷりは、新たなる時代へ向けてBANCOサウンドが進化する足がかりとなっているのは間違いないと言えよう。

古典的イタリアン・プログレサウンドが色濃く思える本作だが、じっくり耳を傾けてみるとそこかしこにモザイク画のように雑多な要素が散りばめられており、80年代のKANSASのようにハモンドとロックギターでキャッチーに攻めるパートや、IL BALLETTO DI BRONZOのような“Jazz Meets Rock & Avantgarde”といった美しいアコースティック・ギターが光るパート、持ち味のクラシカルなピアノが活きる艶やかなパートや壮観なシンセサイザーが大活躍するパート、情熱的なヴォーカルとソフトなピアノが夢のように艶やかなGENESIS風のパートや、80年代CRIMSON風の硬質なギターが繰り返し響くパート等々、実験的な音楽要素を複合させたりサウンドにデジタル処理を施してみたりと、果敢に新基軸を構築しようと手探りで新たなモダン・プログレサウンドを構築するべく挑戦しているのが分かり、その飽くなき探究心と情熱の証を追いかけるだけで、もうお腹一杯になってしまうくらい濃密な内容の一作だ。

ジャケットはお馴染みのテラコッタの壺形貯金箱があしらわれたデザインになっていて、昔ながらのファンならずともニヤリ、としてしまいますね。

古典的イタリアン・プログレ・ファンは勿論のこと、高品質なユーロ・モダン・シンフォ作をお求めな方や、参加メンバーが元居たバンドのファン、そしてベテランの妙技と味わい深い熟練のプレイの数々を楽しみたい方にもお薦めな、安心安定の会心作となっておりますので、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。


# by malilion | 2019-06-05 17:31 | 音楽 | Trackback

男女混声ヴォーカルが大活躍♪ USシンフォ IZZが4年ぶりにハイセンスでモダンな新譜をリリース!

c0072376_21171062.jpgIZZ 「Don't Panic」'19

96年に New Yorkで結成され米国東海岸を拠点に活動する Tom(Keyboards、Vocals、Production & Mixing)と John(Bass、Electric & Acoustic Guitars、Ukulele, keyboards、Vocals)の Galgano兄弟率いる、ツインドラムにツイン・フィメールヴォーカルという特異な編成の7人組US産シンフォ・バンドが前スタジオ作から4年ぶりとなる9thアルバム(アーカイヴ作を含む)をリリースしたのでご紹介。

テクニカルでスタイリッシュ且つモダンなシンフォサウンドを以前から奏でている彼らだが、本作は今まで以上にスッキリとシンプルな楽曲構成な為か所謂普通のシンフォ作のように一聴して聞こえ、特に Anmarie Byrnes嬢と Laura Meade嬢のツイン・フィメールヴォーカルとそこに絡む Galgano兄弟の四声男女ヴォ-カルが織り成す分厚くキャッチー、それでいてリリカルな歌メロはまるでコンテンポラリーなポップスのようにメロディアスな楽曲を鮮やかに彩っており、シンフォ系というカテゴリーにくくっていいのか迷ってしまうくらい美しくて絶品だ♪('(゚∀゚∩

ここ数作、ちょっとダーク気味で重厚なシンフォ・サウンドを提示していただけに、このYES風コーラスを活かした華麗なるポップ風メロディアス・シンフォへ突き抜けた変化は、正直予想外でした。

ただ、Galgano兄弟主導による未発音源集のアーカイヴ作『Ampersand, Volume 2』'16で聞けた、ピアノとアコギだけが繊細な音色を紡ぐアコースティカルで瑞々しいクラシカルな作風やポップなヴォーカル小曲の片鱗が本作で垣間見え、なるほど本作の予兆は既に示されていたのか、と勝手に納得しきり。

勿論、男女混声ヴォーカルをメロディアスに織り交ぜた甘くキャッチーな歌メロが乗っかる軽やかな楽曲だけでなく、近年提示し続けて来た硬質でダークでヘヴィなテクニカル・シンフォや、切れ味鋭く構築美を響かせYESばりに複雑怪奇に音が飛び交うスリリングなインタープレイの応酬も決して技巧に走った難解さを感じさせぬ、ある種カタルシスを伴った爽快感さえ感じさせる叙情的なフレーズと柔和で煌びやかなキーボードの音色で包み込んだセンチメンタルで物憂げな淡い美しさが光るモダン・シンフォサウンドもタップリとフィーチャーされているので、以前からのUSモダン・シンフォサウンドが好きだと言う方もご安心あれ。

今まで以上に華麗なコーラスと軽やかなキーボード(クラシカル風味満載なピアノの調べが堪らん!)が活躍している(ブリブリのトリッキーなベースもメチャ目立ってる!)ように思える本作だが、YES張りな技巧性とSPOCK'S BEARD風の優美なメロディアスさをMIXしたUS産らしいクリアーでタイトな音像の中、G・G風のリズムや、JAZZっぽいタッチのサウンド運び、米国東海岸拠点バンドと思えぬGENESIS、CRIMSON風なユーロ・テイスト漂うモダン・シンフォニック・ロックを、時にキャッチーに、時にシットリ艶やかに、と緩急の効いた押し引きの間合いも絶妙に、縦横無尽に心惹かれるフレーズとソリッドでダイナミックなリズムで紡ぐ、技巧派テクとキャッチーな美旋律のバランスが本当に見事な一作だ。

総じて今まで以上に複雑で凝った楽曲構成なのに、今まで以上にスタイリッシュに聞こえ、US産の抜けの良いキャッチーさとユーロ系の艶っぽさや叙情感のどちらも堪能出来る、無駄なくコンパクトに纏め上げられた本作は、耳の肥えたグロプレ・ファンのみならずグロプレ初心者な方や男女混声ヴォーカルが大活躍するポップロック好きな方にもお薦め出来る傑作となっております(*´ω` *)




# by malilion | 2019-06-01 21:11 | 音楽 | Trackback

継続は力なり! ベテランHRバンド LUCIFER'S FRIENDの新作!('(゚∀゚∩

c0072376_08453417.jpgLUCIFER'S FRIEND 「Black Moon」'19

今やブリティッシュHRの生き字引とも言える URIAH HEEPの二代目ヴォーカリスト John Lawtonが元在籍したバンドとしても有名なドイツの古参HRバンドの再々結成第三弾、前作から3年ぶりとなる新作をちょい遅れてGET!

いつ活動停止になってもおかしくないご老体ばかりなバンド(SCORPIONSより先にデビューしてる!)だけに新作が届けられた事が素直に嬉しいのですが、なんとバンドメンツに変化が起こってしまった模様で、前作から加入して地味ながら楽曲の輝きが増す小技を繰り広げていた新人キーボーディスト Jogi Wichmannが早くも脱退してしまい、本作は再々結成時のBEST盤リリースと同じ John Lawton(Vo)、Peter Hesslein(G、Key)、Dieter Horns(B)のオリジナル3人に、新加入の Stephan Eggert(Ds)の4名体制へ戻ってしまっている。

前作は新加入メンツが化学変化の起爆剤だったのか、意外な程に(失礼!)充実した内容で、適度にハードでありつつ、キャッチー且つコンパクトでフック満載な古典HRのメロディアス・チューンがズラリと並ぶなかなかの力作でありましたが、続く本作では解散前の中期頃に聞かせたような拡散方向へ音楽性が変化(先祖返り?)した模様で、トランペットやコンガが大活躍する楽曲や、ムーディーなJAZZっぽい楽曲、スリリングなヴァイオリンが活躍するリズミカルな楽曲に、初期風なダークでミステリアス、それでいてパワフルなちょっとHEEPっぽさ漂う70年代風HRな楽曲等々があったりと盛り沢山な内容となっており、専任キーボーディストが不在ながらオルガンをはじめシンセ等の鍵盤系サウンド大活躍な楽曲もタップリとフィーチャーされていて、全てが彼等がこれまで聞かせてくれた幅広い音楽性の範疇内に収まる別段目新しい事をしてる訳でもないものの、その70年代風味漂う骨太な極上のB級HRが安心安定で実に心地よいんだなぁ~♪('(゚∀゚∩

Jogi Wichmannが聞かせてくれた小技の効いた絶妙なアレンジやカラフルな華やかさは影を潜めてしまったけれど、音楽性が拡散方向へ向いているのでストレートでシンプルなアレンジの楽曲が多くても単調さや淡泊さは感じ難くなっており、その辺りは流石ベテランミュージシャンにして長らくLUCIFER'S FRIENDを率いていた Peter Hessleinの面目躍如といった所でしょうか。

手の込んだ構成の楽曲は少なくともメロディアス度やキャッチーさは解散前の輝きを取り戻しつつあるように思うのだが、如何せん経年の為に John Lawtonの超絶なハイトーンがもう聞けないのが悲しい……が、それにも増してミドルからロウトーンの絶品な深みある艶声が本作でも眩い輝きを放っており、そこらの若さが売りの小僧ヴォーカリストには太刀打ち出来ぬ円熟味滴るような堂々たる歌唱は流石の一言だ。

じっくり聞き込むとオーソドックスな展開の楽曲のそこかしこに顔をだす味あるアレンジや、アダルトな魅力プンプンな John Lawtonの歌唱をタップリとフィーチャーしたAOR風味な楽曲以上に耳を惹くのは、ちょっとレイドバックした“泣き”のギタープレイや、軽やかなJAZZっぽいギターソロ、不意に斬り込んでくるアコースティカルなギター等と、本作は前作以上に多種多彩な音色とプレイを聞かせる Peter Hessleinのギターが所狭しと大活躍(早弾にも挑戦!)しているアルバムと言えるだろう。

さらに楽曲全体から漂う“今っぽさ”を意識したサウンド創りや、前作では聞けなかったファストでスピーディな楽曲の存在に、パワフルさを押しだした楽曲が収録されているのを聞くにつけ、『ベテランだからと言って容易く懐メロバンドには決して成り下がらんぞ!』という Peter Hessleinの現役プロミュージシャンとしての意地と気概がビンビン伝わってきて実に小気味良いのです(*´ω` *)

昨今のハードでファストなサウンドを聞き慣れている諸兄には少々刺激が足りぬ音かもしれないが、歯切れ良く骨太でグルーヴィな70年代直系HRサウンドを、ここまで堂々とストレートに“今”繰り広げられてしまうと『つまらん戯れ言なぞどうでもいいんじゃ! ガタガタ言わずにコレを聞け!』と老害丸出しな爺さんみたいに叫び出したくなるんですよ(w

あ~~~~~っ、ヤッパ70年代HRは最高やぁ~~~~~~~~っ♪

これが最終作と言われても驚かぬベテラン勢な彼等ですが、出来る事ならもう少し活動を続けて再び快作を届けて欲しい、そう願わずにはおれないのであります。



# by malilion | 2019-05-28 08:35 | 音楽 | Trackback

L.A.の人気セッションギタリスト Michael Thompsonのメロハー・プロジェクト CULVER KINGZをご紹介。

c0072376_21010640.jpgCULVER KINGZ 「This Time」'16

先月 Michael Thompson Bandの3rdアルバムが海外で無事リリースされ、国内盤の情報を揉み手しつつ待っている所で Michael Thompson Band周辺のラックを漁っていたら見付けた本作を今頃ご紹介。

確か17年頃には既に輸入盤店で購入出来た本作だが、L.A.の人気セッションギタリストである Michael Thompsonが組んだメロハー・プロジェクトでESCAPE Musicリリースなのに何故かソレ系のお店等でも話題になっておらず、未だに本作の存在を知らぬ方も多いのではないだろうか?

まぁ、Michael Thompsonファンと言うとAOR系好きな方が多いだろうから『メロハーに寄ったサウンドは守備範囲じゃない』って事でAOR系からソッポ向かれ、メロハー系からは『Michael ThompsonっていうとAOR系だろ?』って事でソッポ向かれたのかもしれない。

本作は Micheal Thompsonとヴォーカルの Billy Trudelだけによるデュオ・プロジェクトで、参加プレイヤーのクレジット等が見当たらない所を見るとギターをはじめ殆どバックのサウンドは打ち込みサウンドも含め Micheal Thompsonの手によるものと思われる。

ハード且つキャッチーでメロディアスなブライト・サウンドにピッタリとマッチする上から下まで伸びやかな歌声を聞かせる甘い声質の Billy Trudelは以前 Micheal Thompsonと一緒にバンド活動をしていた旧知の仲で、 Michael Thompson Bandのバッキングコーラスにも実は参加していたりする実力派セッション・ヴォーカリストらしく、ポピュラー・ミュージックシーンの大物達のアルバムにも多数参加していると言う。

どうしてその2人がパーマネントなバンドを組まずにいるのかは謎だが、まぁお互い有名セッションマンとして引っ張りダコな訳だから、裏方作業の方が稼ぎが安定して良いので妙な冒険はしない、っていう安定思考な活動スタンスなのかも……

さて、本作のサウンドだが、名うてのセッション・ミュージシャンが創り上げただけあって、売れ線バッチリなポップさとキャッチーさ、そしてAOR系にも訴求するアダルトなメロディとソツなくコンパクトに纏められたモダンでコンテンポラリー寄りな楽曲は如何にもプロの仕事と言う隙無い仕上がりで、打ち込みサウンドなのが全く気にならない程だ。

アルバムに納められている楽曲は総じてソフト目な印象ながら、Michael Thompsonのギターは思いの外にハードでエッジが立っており、メロハー系に相応しくHR張りのテクニカルなギター・プレイを縦横無尽に弾きまくるものの、そこは流石に勢いだけのメタルヘッドな駆け出しミュージシャンとは違って敏腕セッションマンらしく抑制の効いたプレイを心得ており、Billy Trudelのキャッチーで爽快な歌メロ(ちょっとSteve Perryっポイとこアリ)を阻害する事の無い曲の全体像をしっかりと捉えた、楽曲に相応しくコンポーズされたギターワークを披露している。

レベルの高いモダンサウンドな仕上がりのAOR風味なメロハー・アルバムながら、逆に言えば大きな破綻や勢い任せな所もなく新鮮な驚きも無い、有名セッションマンが主導したプロジェクトという点以外にコレと言って大きく注目するようなポイント(元々そんなに個性のキツいギタリストでもない優等生セッション・ミュージシャンってのが、また…)も少ない、宣伝する立場としては少々困りものな平均的に高レベルな仕上がりのキャッチーでメロディアスな“良く出来た”作品でもあるかもしれない…(汗

メロハー系にキンキンのドポップな勢い有るキャッチーでアップテンポな楽曲ばかりを求める向きには本作はAOR風味が強すぎる作風ながら、Michael Thompsonのファンや、質の高いアダルトなポップロックを許容出来る方ならば本作はきっとスルメのように長く味わい深い作品となるに違い無い。


# by malilion | 2019-05-27 20:54 | 音楽 | Trackback