オランダ最古参HMバンドPICTUREの未CDアルバムが遂に再発!

c0072376_13191423.jpgPICTURE 「Every Story Needs Another Picture + Marathon」'86 '87

近年再結成され現在も活動中の、79年結成とオランダ初のHMバンドと言われている今やベテラン中のベテランバンドの長らくCD化が待たれていた6thアルバムが当時リアルタイムで唯一CDリリース作であった7thとカップリング2in1CD(楽曲カット無しで一枚へ完全収録!)にて待望のオフィシャル再発(!)となったので、そそくさとGET!

オフィシャル再発は目出度いのだが、残念な事にデジタルリマスターでもなく、当然リミックス等の作業も行われておらず、ピチパチノイズが入る所をみるとマスター消失からの板起こし盤な疑いが強い残念な再発盤だ…orz

まぁ、海賊盤を抜きにしてこれまでCDで聞く事が叶わなかった6thがこうしてリリースされたんだし、それだけでも良しとしましょう…

これで彼等の再結成前のオリジナルアルバム7枚は全てCD化された事になるので、ともかく今の若いHMリスナーでも彼等の音楽に気軽に触れる事が出来るようになったのは喜ばしいですね(*´ω` *)

なにせ他のオランダ産HMバンド達と比べキャリアでは一日の長がある彼等ですが、如何せん知名度が低いのです。ここ日本では特に。

オランダのHMバンドでここ日本で最も知名度があるのは、後に白蛇へ加入する Adrian Vandenberg(G)が率いていた日本人好みな哀愁のメロディと全世界的に旺盛を極めていたポップHM的キャッチーな楽曲が耳を惹くVANDENBERG、そして今やヨーロピアン・ロック・オペラプロジェクトとしてその名を轟かすAYREONを率いる Arjen Anthony Lucassen(G&Vo)が在籍していたVENGEANCEくらいで、あと幾つか有望なバンドが存在するもののさらにマイナーな扱いであった事は否めないだろう…

PICTUREはそれらのバンド達より1世代は前のキーボード入り5人組バンドで、当初は70年代風な野暮ったいチープなHRサウンドを鳴らしていたが、NWOBHMの影響を受けてか2nd以降は作を重ねる毎によりハードエッジでウェットなメロディが冴えるユーロピアンHMサウンドへサウンドが磨かれ練度が上がり、そのままHM街道を愚直にひたすらファスト&ヘヴィに突き進むのかと思いきや、'85年リリースの5thアルバム『Traitor』でサウンドが一気にメジャー指向へ激変し、ポップ度とメロディアス度が増すと言う世界的な時流である煌びやかでキャッチーな産業ロック&ポップHM的サウンドへと様変わり(今から考えるとソレ程ポップでもキャッチーでも無い音なんスけどね…)し、デビュー当時からのファンを失意のドン底(汗)へ突き落としたのも今となっては懐かしい話ですね…

6th、7thアルバムはバンドがその売れ線のアメリカナイズされたサウンドへ最も接近していた時期のアルバムなので、これ以前のアルバムはマイナー・ユーロHMサウンドでイマイチ好みでない、という方でも所謂80年代的華やかでキャッチーなメロディアスHMがお好きな方なら気に入るだろうサウンドだと言えます。

もうお気づきかと思いますが、彼等がマイナーな存在であった理由の一つはこの音楽性の変化も大きな原因であったのは間違いないでしょう。

初期の彼等のサウンドが好きなファンは、ゴリゴリなハードドライヴィンでもない甘々にドポップでもない程々にメロディアスでスピーディな楽曲、男らしい無骨さとタフさが漲る単純明快なリフ主体の、メジャーレーベルがこぞってHMバンドを売り出していたメタル全盛期であるアメリカンでバブリーなイメージの80年代直前にだけ存在した、純粋で無垢、そして不器用で実直な、アンダーグラウンド臭も漂うオールドスタイルなユーロHMサウンドに胸焦がれたんでしょうから、ソレが一気に売れ線狙いなサウンドへ変化しては目も当てられなかった事でしょうねぇ…

また彼等が今一つマイナーな存在に留まらざる終えなかった最大の要因は、バンドメンツの入れ替えが激しかった(立ち上げメンバーの Jan Bechtum(G)が追い出されたり、最終的にベーシスト Rinus Vreugdenhilだけ残る…)のに加え、アルバム毎にフロントマンが変わる、と言える程にヴォーカリストの変遷が激しいかったのが最大の要因なのは疑いようもありません。

実際、三代目ヴォーカルの Pete Lovellは『Eternal Dark』'83 『Traitor』'85に歌声を残して脱退(EMERGENCYへ加入)し、続いて四代目フロントマンとして迎え入れられたのが元VANDENBERGのリードボーカルだった Bert Heerink(6th時点では正式加入ではない…謎)で、彼の持ち込んだ音楽的影響が大きかったのか彼のブライトな歌声がそうさせたのか、『Every Story Needs Another Picture』'86からアルバムのメロディアス度がまるで別バンドのように一気にアップし、キャッチーでフックあるメジャーな80年代HMバンドに相応しいメロディアスHMサウンドを披露するに至ったのだが、これだけのサウンドの変化とバンドの変節についていける古参ファンは少なかったのか、さらにメジャー志向が強まった続く7th『Marathon』では、キーボードを大々的にフューチャーしたゴージャスなLAメタル風サウンドを披露したもののファンの支持は失せ、売り上げ的にも望む結果が得られなかった(そもそもレーベルがバンドに売れ線を要求しプレッシャーをかけたのが低迷の原因なのに…)のか、バンドはその活動を一端終える事に…

個人的には初期サウンドも後期サウンドも気に入っていたので、今回の再発はまさに待望、って感が強いのですが、改めてこうして本作に耳を傾けると、ZZ TOPのパクリ的なノリや、モロにDEEP PURPLEをパクったりが耳について思い出し笑いのような苦笑せざる終えませんでした(w

今になって思うのは、リフ主体の攻撃的な楽曲をベースにしつつ、女性バックコーラス等も活かし、如何にもメジャー的なアメリカンHM風要素を巧みに組み込み、ベースがマイナー・ユーロHRだったバンドがメンツを変え、フロントマンを変えして不器用ながら苦心してサウンドを流行にマッチさせ、アルバムの完成度を上げして、メジャーシーンの激流へ挑んだ作品と捉える事も出来て、実に感慨深いものがありますねぇ…

初期サウンド云々抜きにして、80年代のメジャーシーンを賑わしたポップでキャッチーなHMがお好みな方は一度チェックしてみても後悔はしないと思いますよ。

ここで述べましたように(未だに)マイナーバンドな彼等の旧作リイシューですので、そうプレス数も多くないでしょうから、入手困難になる前に素早くGETしておくのをお薦めします。

因みに三代目ヴォーカリスト Pete Lovellを擁するメンツで再結成を果たし、LIVE活動も行っていた彼等の最新のラインナップは、

Ronald van Prooijen(Lead Vocals):初代ヴォーカリスト
Rinus Vreugdenhil(Bass Guitar):唯一のオリジナル・フルメンバー
Jan Bechtum(Guitars):バンド創設者
Appie de Gelder(Guitars)
Laurens “Bakkie” Bakker(Drums):オリジナルドラマー

と、なっている。

もう皆いいお爺ちゃん、って風貌だが、気合い入りまくりでHMを今でも演奏し続けてくれているのが嬉しいですね(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-10-11 13:11 | 音楽 | Trackback

北欧メロハー SNAKES IN PARADISEが再始動作を16年ぶりにリリース!

c0072376_17564682.jpgSNAKES IN PARADISE 「Step Into The Light」'18

北欧スウェーデン産メロハー・バンドの再始動第一弾となる16年ぶりの4thアルバムがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

一度脱退したものの今回バンドへ復帰した Stefan Berggenが、さらに円熟味の増した絶品のソウルフルなディープヴォイスを期待通りに披露してくれて、もう最高デッス♪('(゚∀゚∩

キーボード入りツインギターの6人編成で94年にデビューアルバムをリリースし、キャッチーながらソウルフルな Stefan Berggenの歌唱スタイルと“軽めなデビカバ”ってな感じのディープヴォイスを活かしたメロディアスでキラキラした所謂北欧系HMなサウンドと程良くアメリカンなポップメタルをミックスしたサウンドが実に日本人好みで当初注目された彼等ですが、時代はグランジーにシーンが席巻されつつあった為に彼等の活動は順調とは言えず、同時期にデビューしたオールドスタイルなメロディアス北欧HMサウンドを演るバンド達と同様にサウンドの路線変更やダーク系サウンドを取り入れる事を余儀なくされ、いつしかシーンからその姿を消していく事に…

特に彼等の場合は同時期デビューの同郷バンド達より、よりアコースティカルでオールドスタイルなサウンドだった事と Stefan Berggenのソウルフルな歌唱を中心に据えた楽曲スタイルだった事も影響してか時流になかなか合わせる事が出来ず、挙げ句にその Stefan Berggenが3rd『Dangerous Love』'02 リリース後に脱退してしまったのが致命的でした…

まぁ、その呼び水となったのはバンドへ在籍しつつ、初期白蛇の両輪だった Bernie Marsden(G)と Micky Moody(G)によって結成されたTHE SNAKESが発展した別バンドCOMPANY OF SNAKESのフロントマンとして Robert Hart(ex:BAD COMPANY)~ Gary Barden(ex:MSG、etc)の後釜として00年に参加しファーストアルバムをリリースした事なのは間違いないしょう。

そもそも2ndリリース後に別名義(バレバレだけどw)でFOUR STICKSなるレイドバックした70年代スタイルのHRバンドでアルバム『Electric Celebration』'97をSNAKES IN PARADISEのメンバーと一緒にリリース(ジャケがモロ昔風!)しているのを見ても、1stリリース以降のバンドの音楽性の変化に不満があったのは予見できた事でしたけどね…

以降、SNAKES IN PARADISEの名前をシーンで聞く事はなくなり、代わって Stefan Berggenはそのデビカバ風な歌唱スタイルが認められ、元EMPIRE、元MAJESTYの Rolf Munkes等によって結成されたオールドスタイル北欧HMバンドRAZORBACKへ加入し、三枚のアルバムでその歌声を残したり、ドイツのメロハーレーベル AVENUE OF ALLIES企画による Stefan Berggenの歌声主導なプロジェクトバンドREVOLUTION ROADでアルバムをリリースしたり、14年の元URIAH HEEPの Lee Kerslake(Ds&Vo)とのコラボバンドによる渋いブリティッシュHR作リリースと精力的な活動を続け、そのREVOLUTION ROADへSNAKES IN PARADISEのメンバーがゲストで招かれていた事が切っ掛けになったのか、メロハー系バンド御用達レーベルFrontiers Records主導の元、再びSNAKES IN PARADISEが始動する事になり、今回のアルバムリリースと相成った模様です。

嬉しい事に活動休止前のメンツにおおよそ変化はなく、唯一キーボーディストの Thomas Janssonのみバンドメンツから外れているものの、本作でもレコーディングで2曲そのプレイを聞かせてくれている(*´ω` *)

と、言う訳で現在はツインギターの5人編成バンドになった彼等だが、休止前は作を重ねる毎にグランジーな影響がチラつき鬱陶しかったが、再始動作となった本作ではその影が綺麗サッパリなくなり、さらに各メンバーがこれまでの休止期間で培ってきた経験も加味され、初期WHITESNAKEっぽさを残しつつ、よりAOR風なポップフィールやアダルトな落ち着き、メロハー的なキャッチーさとハードエッジなフィーリング、お得意のアコースティカルな軽やかさ、そしてしっとりブルージーな味わいと豊かな楽曲の表情等々、シンプルでストレートでありつつジックリ熟成されバランスの取れた隙無いサウンドが冴え渡る、デビュー当時からの『AORやってる白蛇』というイメージなサウンドに一層に磨きが掛かり、完成度が上がった、ブルージーな北欧メロディアスHRの快作を久しぶりに届けてくれたのが本当に本当に喜ばしい!('(゚∀゚∩

北欧HM的なキラキラ感や朗らかブライト感、そして新人メロハー・バンドのような溌剌ドポッピーな所謂北欧的な透明感ある爽快サウンドを求めると肩透かしになるが、WHITESNAKEや70年代風ブルージーなモダンロック、そしてメロディアスなAORロック等がお好きな方になら是非にお薦めしたい一枚だ。

もうシーンを覆うグランジーな暗雲は晴れたのだし、出来る事ならこのまま順調に活動を続け、来たるべき新作を早く聞かせて欲しいものであります。



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# by malilion | 2018-10-10 17:48 | 音楽 | Trackback

怒濤の勢い止まるを知らず! 新世代イタリアン・プログレバンドSYNDONEが再び傑作をリリース!

c0072376_15515597.jpgSYNDONE 「Mysoginia」'18

前作で70年代の古典プログレ・バンド群と肩を並べる創作レベルへ到達した、正に破竹の勢いと言える新世代イタリアン・プログレバンドの復活後第5弾、通算7枚目となる前作より2年ぶりの新譜がリリースされたのでご紹介。

復活後メンツがイマイチ安定していなかった彼等だが、本作に置いては前作とメンツの変動がなく、Vibraphone(鉄琴)とXilophone(木琴)を操る女性Keyプレイヤー Marta嬢を含む6人組なままなのですが、前作のギターも含むトリプルキーボード編成は流石にやり過ぎと思った(今更!?)のか本作では Riccardo Ruggeriは一切ギターをプレイせず歌唱のみに集中し、従来のギターレスのツインキーボード体制に戻り、また Marta Caldara嬢は鉄琴、木琴、パーカッションのみの演奏となっている。

まぁ、前作でもストリングス・カルテットをゲストに迎えて重厚なサウンド造りに心血を注いでいましたが、本作ではそれをさらに推し進め、ブダペスト・シンフォニー・オーケストラや合唱団をフィーチャーした、如何にもイタリアン・プログレという胸焼けしそうに濃密な味わいと壮大なスケール感を誇るアルバムとなっているので、キーボードが三人も要らなかった、というか恐らく居ては邪魔になるという判断なんでしょう。

ギターレスながらハモンド、シンセ、メロトロン、ムーグ、ピアノ等々の多彩なキーボード類を今回もふんだんに織り交ぜつつ、シンフォニー・オーケストラの分厚いストリングや荘厳な美声を響かせる合唱団をフィーチャーして前作での本物の大聖堂パイプ・オルガンを使った重厚なサウンドに負けず劣らずの超弩弓に壮大で複雑、そして華麗なシンフォニック・サウンドを炸裂させるその様は、何世紀にも渡って続く女性達への性犯罪や時代や権力に翻弄され犠牲になった悲劇のヒロイン達を題材にした、重苦しい社会テーマを扱ったコンセプト・アルバムなものの、まるでオペラか映画のサントラかという圧巻の一大絵巻のようで、下卑た感触や後ろめたさを微塵も感じさせず、これでもかと暑苦しいイタ公の熱気ムンムンに豪快に、時に密やかに、繰り広げられていく。

復活後は初期のような押しまくるスピードやけたたましいパワーといったテクニカルHMバンドの如きサウンド要素が消え失せ、リーダー Nik Comoglioの創作とミュージシャン・レベルが上がった証とばかりに、引きのサウンドの美しさや優雅でアーティスティックな要素が前面に押し出されていた彼等だが、メンツが充実し安定したからなのか前作で初期曲を再録したりと初期のパワー圧しの片鱗を感じさせ、本作では初期のパワフルさも随所で感じさせる暑苦しさ(主にシアトリカルなヴォーカルが)も効かせつつ、復活してから積極的に表現していた地中海音楽や中世音楽等の古典要素も巧みに楽曲に織り込みながら、リリカルに優雅に気高く磨き抜かれた極上の美旋律が紡がれ唯一無二のSYNDONEワールドが構築されていく様からは、正に70年代の巨人達を追い抜かんばかりの熱い息吹と勢いがヒシヒシと感じられ、ホント感無量であります(*´ω` *)

NEW TROLLSの Vittorio De Scalzi(Flute)やARTI E MESTIERIの Gigi Venegoni(Electric Guitar)といった有名所がゲストで参加してアルバムに華を添えている以上に、イタリアン・ポップス歌手の Viola Nocenzi嬢(Banco del Mutuo Soccorsoと繋がりが深い)が可憐な歌声でフロントマンの Riccardo Ruggeriとデュエットしたりバックコーラスを聞かせたりとアルバムの華麗さが増すのに一役買っているのも見逃せぬポイントでしょう。

そうそう、Marta Caldara嬢がキーボードプレイを止めて鉄琴、木琴のプレイに集中したせいか、思いの外軽やかな鉄琴や木琴のサウンドがキーボードとは一味違った音色を豊かに響かせ、このバンドならではの特色になっているのに今回改めて気付かされましたね(*´ω` *)

唯一の不満は、こんなにスケールのデカイサウンドのアルバムなのに、アッサリと終わってしまう、ってトコでしょうか?
いや、長ければいいってもんでもないんで、綺麗にまとまって終わる方がいいんですけど、もっと聞きたい! っていう欲求の方が大きいのですよ…

アルバムのサウンドが重厚であればある程に、フッと訪れるピアノの軽やかな独奏やクラシカルな味わい深い音色を紡ぐ様は本当に美しく、キーボードサウンド・ファンやイタリアン・プログレファンは勿論のこと、モダン・シンフォ好きな方にも是非お薦めしたい一枚であります。



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# by malilion | 2018-10-02 15:45 | 音楽 | Trackback

80年代LEPSフォロワー? いいえ、USポップメタルの進化サウンドです。USA一人バンドDALLASが遂にアルバムデユー!!

c0072376_11405162.jpgDALLAS 「Same」'18

2012年にEP『Over The Edge』をデジタル配信オンリーながらリリースしたカリフォルニア州サンフランシスコのソロ・ロックアーテイスト Bryan Dallas(Vox&Guitar)が、今回6年ぶりにやっとフルアルバムであるデビュー作をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

独力で製作したEPリリースの後、メンバーを募り3人組バンドDALLAS(Bryan Dallas:Vo&G、Zac Curtis:Ds、Matt Feifert:Key)を結成して活動開始した(ベーシストだけLIVだけヘルプ?)ものの、その後の活動がトント聞こえてこなかったのですが、今回やっとフルアルバムをリリースしたにも関わらず、この短くないインターバルの間に案の定でバンドメンツは誰も居なくなり、再びソロ状態に戻ってしまっている…

NEWMANもそうだけど、この手のマルチプレイヤーって、ソロバンド立ち上げるんだけど、結局全部自分でプレイしてアルバムも録音しちゃうからバンドメンツが長居しないんですよねぇ…後、エゴの問題(自身のリーダー・バンドに拘って他バンドからの加入の誘いを断り続けていたって言うし…)もあるのかも…(汗

そういう訳で本作収録の楽曲は全て Bryan Dallasの手による演奏だが、EP収録曲を今回3曲再収録していて、再録した際に以前在籍していたドラマー Zac Curtisの手によるドラムプレイでリレコーディングした音源に差し替えたものを収録し、また別名義VON HINERでリリースした2曲入りシングル音源の楽曲も1曲本作に収録しており、それら以前の音源全てをリマスタリングして本作に収録しているので、シングルやEPの音源そのままが再収録されている訳ではないのでご注意を。

因みに間もなくリリースされるUK盤にも日本盤と同じくボーナストラックが収録されおり、4曲中3曲(EP収録曲を1曲含む)が日本盤(日本盤はボートラ5曲)と違う楽曲が収録され、これによって1曲を除き全てのEP楽曲が1stに再収録される事になっているので、音源マニアの方はお見逃し無く(*´ω` *)

で、内容の方ですが、EP時点で既に濃厚な80年代テイストが香る、FIREHOUSE、DEF LEPPARD、BON JOVI、ALICE COOPERといった有名所だけでなく、CRYSTAL ROXXやBIG BAD WOLF、LOUD AND CLEAR、RESTLESS等々のマイナー所(再発の雄、MTMレーベル愛好家なら分かるよね!)や、一連の00年代北欧メロハー系やユーロ系メロハーバンドであるH.E.A.T.、FAIR WARNING、WORK OF ART、BROTHER FIRETRIBE等からの影響も窺えるエネルギッシュで朗らかキャッチー&ブライトなHRチューンが詰め込まれた魅力的なメロディアスロック・サウンドだった訳ですが、続く待望の本作でもその方向性に些かの迷いも見えず、DEF LEPPARDカラーが強く感じられる、80年代HRファンやメロハー・ファンなら間違いなく気に入るだろう分厚くオーバーダビングされたサビのコーラスが特徴的な煌びやかでフック満載な、如何にもアメリカンロックというカラッと爽快で、ほんのりスリージー・ロックンロールっぽい味わいが隠し味の、人工甘味料的メロディアスなキャッチーさが光る創り込まれたHR/HMサウンドを披露している。

コーラス処理がモロに『Hysteria』時のDEF LEPPARD風なものの音楽的にはLEPSの影響下にあるサウンドでないのは明白で、あくまでLAメタルを中心に80年代にポップメタルと言われたブライトなUSメタルがサウンドの中核になっており、それでいてUSバンドに顕著なドライ過ぎる事も無くウェットなメロディもしっかり保ちつつ、デジタリーな味付けで一ヒネリを加えてオリジナリティをちゃんと感じさせる、単なる80年代リバイバルではない新世代サウンドに仕上がっているのは流石の一言。

とは言え、まだまだ強烈なオリジナリティを確立しているとは言い難いし、Bryan Dallasのヴォーカルやギタープレイが超個性的で絶品の巧さ、と言う訳でもないものの、デビュー作にしてここまでハイレベルな完成度とバランスの取れたアルバムを独力で創作した事を見ても Bryan Dallasが只者ではない事は明白で、続く新作が早くも気になってしまう。

EP当時は26歳だったが今は32歳になっている訳だし、もう若者という年齢でもないのだから、出来るならばちゃんとバンドメンツを集めてしっかりと落ち着いた活動を継続させて欲しいなぁ~(*´ω` *)

ここ十数年USAを中心にHM界で猛威を振るったダークでファストでヘヴィな鈍色メタリックサウンドは皆無なので、ソレ系をお求めの方には全く駄目な作品と言えましょう。
まぁ、ここまで読んでおいて、このアルバムを購入するとは思いませんけどネ(w

DEF LEPPARD好きは無論、LEPSフォロワー好きや派手で軽目な80年代USロック好きに是非お薦めしたい一枚であります。


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# by malilion | 2018-10-01 11:31 | 音楽 | Trackback

UKメロハー・バンドNEWMANが未発音源満載のBEST盤第二弾をリリース!

c0072376_14574018.jpgNEWMAN 「Decade II」'18

イギリス人マルチ・プレイヤー Steve Newman(Vo,G,Key)率いる英国産メロディアスHRバンドが、10年前にリリースされたBEST盤に続く二枚組BESTの第二弾をリリースしたので即GET!

第一弾はリ・レコーディング音源を含むBEST盤であったが、今回のBEST第二弾は未発表音源12曲に加え『Under Southern Skies』の日本盤ボートラであった2曲も収録した、計17曲という大盤振る舞いだ。

Disc1には『Primitive Soul』'07、『The Art Of Balance』'10、『Under Southern Skies』'11、『Siren』'13、『The Elegance Machine』'16のスタジオ5作品(最新作『Aerial』は除外)からからそれぞれ3、4曲づつ17曲を選曲し収録、Disc2には、2011年以降の貴重な未発表曲を中心に17曲が収録されており、他アーティストの為に書かれた楽曲が3曲、日本盤オンリーのボーナストラックだった2曲、『The Elegance Machine』'16 製作中にセッション録音された未発曲6曲と、『Aerial』'17 製作中にセッション録音された未発曲が6曲収録されている。

『The Elegance Machine』時のセッション音源が多いのは『The Elegance Machine』制作時にちゃんとバンドメンツを集めて録音作業した為と思われるが、『Aerial』で何時もの如くワンマン録音体制へ戻ってしまっているので『Aerial』セッション音源は、ドラムスだけいつものお気に入りドラマー Rob McEwenが参加してデモに合わせてスタジオで録音した音源(ドラムは打ち込みかも)かもしれませんね…

Disc1の方の既発曲は、いつもの通りな英国バンドらしからぬ爽快でキャッチー、そしてフックあるメロディアスな楽曲のAOR寄りなメロハー・サウンドの詰め合わせで、さすが選りすぐりな楽曲だけあって幅広い曲調の楽曲を収録している為、毎度の弊害であるマンネリ感が薄く最後まで飽きが来ないハイレベルな一枚となっていて、近年のハードさは抑え目だがAOR的な完成度を上げたクリアーで心地よいメロディアス・サウンド(ボトムはかるぅいけど…)は、初期の勢いのあった頃のNEWMANサウンドの方が好みな自分でさえ、この10年でLIVEや創作活動で磨き抜かれた Steve Newmanのキャリアが十分に活かされたプロフェッショナルな仕事ぶりの結晶だと感心させられてしまいます。

さて、注目のDisc2の未発音源集だが、元々ワンマンバンドで作詞作曲、歌はおろか殆どの楽器演奏も Steve Newmanがこなしてしまう為、ドラムが打ち込みなデモ音源はバンド結成前から延々と造り続けてきただろうし、最近はなんでもコンピューター上で楽曲が合成出来てしまう上にそのデモのレベルもメチャ高い為か、今回収録されている未発表曲は、所謂よくアーカイヴものなどに収録される発掘音源のような“作りかけ感”は皆無なので、その点を期待していた方々にはちょっと肩透かしかもしれません。

それでも『The Elegance Machine』制作時のセッション音源が完成度の高い所謂バンドサウンドっぽい出来なのと比べ、『Aerial』セッション時の未発音源は、恐らく Steve Newmanが独力で製作したものと思われ、ギターを中心にした弾き語りをベースに楽曲を組み立てて肉付けしていったサウンド(リズムの楽曲に対する絡みが弱い)なのが伝わってきて、これはこれで興味深い発見が聞き取れ面白いですね。

ただ一つハッキリしているのは、未発音源でも徹頭徹尾メロディアスで爽やかキャッチーな楽曲だと言う事で、幾つかの楽曲はそのまま完成度を上げてアルバムに収録してもおかしくない良いメロディの楽曲なのが驚きで、どうしてコレを仕上げてアルバムに収録しなかったんだ!?と、いらぬお節介な不満が込み上げてしまいます(w

◆Disc 2
Track List:
01.Breaking the Barrier
02.Girl Found Love
03.Liar
04.One More Night With You
05.Fight No More
06.She's the Woman
07.Nightmare
08.Angel
09.World Keeps Turning
10.In Too Deep
11.The More I Love
12.Crossed My Heart
13.A Witness to Love's Decline
14.Does It Feel The Same?
15.Race of a Lifetime
16.Never Becomes Again
17.My Fantasy

なお本作は1000枚のみの限定盤なので、お求めの方はお早めにお求め下さい!

NEWMANファンのみならず、爽やかメロハー好きな方なら見逃せないアイテムですので、一度チェックしてみて下さいね(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-09-30 14:48 | 音楽 | Trackback

UKポンプ黎明期バンドIQが華麗にシンフォ・バンドへ生まれ変わった重要作が、25周年記念盤が未発音源大量追加でリリース!

c0072376_15002404.jpgIQ 「EVER 25th Anniversary Collector's Edition」'18

未だ英国シンフォ界で気を吐き続ける重鎮シンフォ・バンドの93年リリース5thが、発表25周年を記念しCD2枚+DVDの豪華3枚組、4面デジパック仕様の限定盤がリリースされたので即GET!

MARILLIONを旗頭に、英国ポンプ・ロックを代表するGENESISフォロワー・バンドの1つとしてPENDRAGON等と共に80年代初頭に唸りを上げてシーンを賑わした新鋭バンドであった彼等も、メジャー契約を果たしフロントマンの交代を挟んでメインストリームへ進出すると思いきや、短期間で趨勢が減じたシーン変化の果てにメジャーをドロップ、暫しの活動休止を挟んで自主レーベルGiant Electric Peaを立ち上げインディ活動ながら満を持して放つ、再び初代ヴォーカルの Peter Nichollsを復帰させ、初期風なバンクス風キーボードやハケット風ギターを強く意識して幻想的で優美なサウンドで綴った、これぞ英国叙情という気品とダークでミステリアスな陰鬱さ漂う、新たに高まりつつある潮流(当時)であったシンフォニック・プログレサウンド(十分ポンプなテイストを残してはいるけれど…)で、分厚く複雑、そして荘厳に、多種多様な鍵盤楽器を用いて劇的に描ききった、久しぶりのコンセプト・アルバムでありました。

今回はその5thアルバムであるDisc1を現メンバーである Neil Durant(Key)によるオーヴァーダブ(実際はマスターテープの劣化とオリジナルの24トラック音源に不具合等があり新たにキーボードの再録音が必要な箇所が多々あった為)と Mike Holmes(G)による新規Remix(本人的にはリミックスに反対だった…)を施した'18年ヴァージョン(当時とはキーボードが Martin Orfordから Neil Durantへ、ベースが John Jowittから Tim Esauへチェンジしている)へ音源をブラッシュアップし、さらに2曲のボーナス曲を追加収録、Disc2には18年2月ドイツAschaffenburg:Colos-Saalにて行われた現メンバーの手によるタイト且つダイナミックなサウンドのLIVE音源から『EVER』収録曲をピックアップして収録、DVDにはCD1&CD2の5.1 Surround Sound Mixに加え、今回初出となる28曲に及ぶ『EVER』制作時の未発表デモ、アウトテイク、未使用アイデアの断片、リハーサル音源等などを多数収録したファン垂涎の一品だ。

この手の発売ン周年記念盤って奴は大抵がデジタルリマスターされた(それすら無いのもある!)だけで、後は未発表曲が数曲オマケについてくる程度で新譜と同じ値段取ろうとするファンから金を搾取するのが目的なだけの悪辣な商品が多い中、ファンサイドに立って価値ある音源をタンマリ封入してリリースする姿勢は流石インディ活動でファンベースを拡げてきたバンドだけありますねぇ(*´ω` *)

そして、オリジナル盤と音源が違うという、今回のアニバーサリィ盤さえ所有していればいい、という訳ではなくちゃーんとオリジナル盤(マスターテープが劣化してる訳だから、この音源盤は貴重って事か…)にも価値を持たせているとこも心難いポイントであります。

また、ブックレットにはアルバム、シングル盤ジャケットやFunzine写真や販促、プライヴェートフォト、スタジオ&LIVEショット等の貴重写真及び本作発表前後の活動を追った新規バイオグラフィー、元メンバーの John Jowitt(B、Backing Vo)、Martin Orford(Key、Mellotron、Synths、flute、Backing Vo)を含むメンバーの新規回想録を掲載した豪華装丁盤となっている。

アルバム内容については今さらここで語る必要はないだろうが、GENESIS系サウンドが好きなUKポンプ~シンフォ・ファンなら見逃せないアニバーサリィ盤なのは間違いないので、限定盤と言う事なのでお求めの方はお早めにね!

Track List
◆Disc1 -Ever 2018 Remix-
01 The Darkest Hour
02 Fading Senses
03 Out Of Nowhere
04 Further Away
05 Leap Of Faith
06 Came Down
07 Came Down-The Solos That Got Away(Bonus Track)
08 Lost In Paradise(Bonus Track)

◆Disc2 -Ever Live At The Colos-Saal,Aschaffenburg,February/10/2018 Stereo Mix-
01 The Darkest Hour
02 Fading Senses
03 Leap Of Faith
04 Came Down
05 Further Away
06 Out Of Nowhere

◆DVD -Ever 2018 Remix-Dolby Digital 5.1 Surround Sound Mix-
01 The Darkest Hour
02 Fading Senses
03 Out Of Nowhere
04 Further Away
05 Leap Of Faith
06 Came Down

-Ever Live At The Colos-Saal,Aschaffenburg,2/10/2018 Dolby Digital 5.1 S Sound Mix-
07 The Darkest Hour
08 Fading Senses
09 Leap Of Faith
10 Came Down
11 Further Away
12 Out Of Nowhere

-Album Demos-
13 The Darkest Hour
14 Fading Senses
15 Unholy Cow(Out Of Nowhere)
16 Further Away(Intro)
17 Further Away(Full Demo)
18 Leap Of Faith
19 Came Down

-Studio Outtakes(Instrumental)-
20 The Darkest Hour
21 Fading Senses
22 Out Of Nowhere
23 Further Away
24 Leap Of Faith
25 Came Down

-Unused Ideas-
26 Waltzy Song
27 Echo Song
28 The Blues Riff
29 Bassy Track
30 Guitar Thing
31 Quiety Demo
32 Some Chordage
33 Monks

-Rehearsals-
34 The Darkest Hour(Part 2)
35 Fading Senses(Jamming The Riff)
36 Fading Senses(#2)
37 Unholy Cow(developed)
38 Further Away(Jamming The Riff)
39 Further Away(Arrangement)
40 Came Down(Different Intro)
41 Sad Chords

デモだとモロにポンプっぽいサウンドだったんだなぁ、とかアウトテイクだと9割同じっぽいけど細かなフレーズやタイミング、展開のズレや変化だったり、後で付け足される楽器の音色がいくつか無かったりと、色々と本編との相違を見付けて一喜一憂できるのは未発音源ならではの楽しみ方ですねぇ(*´ω` *)

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# by malilion | 2018-09-27 14:54 | 音楽 | Trackback

8年ぶりの来日! RENAISSANCEが織り成すクラシカル・シンフォサウンドが室内管弦楽団を加え一段と美しく!

c0072376_17373914.jpgRENAISSANCE 「A Symphonic Journey」'18

去る9月中旬に8年ぶりの来日公演を東京で披露した記憶もまだ新しい、英国プログレッシヴ・ロック及びクラシカル・ロックを代表するバンド RENAISSANCEの、2017年10月アメリカ・ペンシルヴァニアでの『A Symphonic Journey』ツアーの模様を収録したDVD映像+2CDの豪華3枚組、4面開きデジパック仕様盤(UK盤)をちょい遅れてGET!

ここの所アーカイヴ的な過去のLIVE作リリースが続き、スタジオアルバムは Michael Dunfordも途中まで制作に関わっていた『Symphony of Light』'13以降リリースされていない事を見ても、長らくバンドの音楽的中心であった Michael Dunford(G、Acoustic G)を失ったバンドの痛手の程がありありと分かりますね…(涙

90年代中頃に Michael DunfordがRENAISSANCEを復活させたのに呼応するように、Annie Haslam(Vo)率いるRENAISSANCEが始動し、一時2つのRENAISSANCEが存在してファンを混乱させた事がありましたが、後に和解し再び円満に活動を共にするようになった彼等、まさかその Michael Dunfordが12年に逝去し、二度と再び揃って活動する姿を見る事が叶わなくなってしまうとは……(涙

さて、ここの所続いた発掘過去LIVE音源ではなく去年のLIVEの程を納めた、久しぶりに“今の彼等”の姿を伝えてくれる本作だが、『Symphony of Light』時のメンツ(そう言えば、John Wettonも参加して Annieとデュエットたんですよね…)から変動が見られ、今や誰憚ること無く盟主の座に着いた歌姫 Annie Haslamは当然として、リズム隊がゴッソリ入れ替わっているのとツインキーボードの片割れが Jason Hartから Geoffrey Langleyへ変わり、新たに Michael Dunfordの後任ギタリストとして Mark Lambert(Guitar、Backing Vocals)が迎えられたツインキーボードの6人新編成へとなっている。

これまでにリリースした全アルバム収録曲から選曲された楽曲を、新編成バンドに加え9人編成の室内管弦楽団をゲストに迎えて一糸乱れず織り成される、アルバムタイトル通りに優美にして艶やかなストリングスをタップリとフィーチャーした豪華で重厚なシンフォニック・サウンドを従え、昔から変わらぬ5オクターヴを誇る美声を響かせ往年の名曲を熱唱する歌姫 Annie Haslamのパフォーマンスが存分に楽しめる、正に来日公演を彷彿とさせる一作に仕上がっており、久しぶりの公演に駆けつけたファンの方々も納得の出来だろう。

また、本作はLIVE音源としては初となる「KALYNDA」や、Annie Haslamと Michael Dunfordが加入する前のオリジナルRENAISSANCEで Jane Relf(Vo)が歌った「ISLAND」も披露されるなど、アーカイヴLIVE作とは一味違った選曲もなされているのも見逃せない点だ。

付属の映像DVD作は、Annie Haslamの圧巻の歌唱のみならずオープニングMCを含む開幕からアンコールまで、公演の全貌を完全収録したファンには堪らないアイテムとなっており、これまでの過去のLIVE映像作を入手して来たファンならば今すぐGETせねばならぬファン必携の1枚なのは間違いない。

まぁ、正直言うと経年でさすがに Annie Haslamの透き通る歌声も少々パワーの衰えが見えたり、テクニックで補っているもののどうしたって若かりし頃と較べて艶やかさが失われているのが分かるのですが、ファンにとっちゃそんなの些細な事でしかないのであります!(`・ω・´)

プログレ・ファンならば、そこらのポッと出のB級新人シンフォ・バンドのアルバム買うくらいなら、大本命のこのアルバムを買いましょう!



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# by malilion | 2018-09-26 17:31 | 音楽 | Trackback

残暑にはラテンフレーバーなサウンドがよく似合う♪ MATT BIANCOの初期作リイシューをご紹介。

c0072376_17455345.jpgMATT BIANCO 「Indigo: 3CD 30th Anniversary Deluxe Edition」'18

残暑と蒸し蒸しする長雨、そして連続して襲い来る台風にグッタリな最近ですが、少しでも気分良くしようと本日はコレに耳を傾けておりました。

独自のラテン・ソウル&ポップスをベースに、JAZZ、ファンク、ブラックコンテンポラリー等の要素を融合させた作風で人気を博すUKポップデュオ、だったのですが16年、その両輪の一人 Mark Fisherが死去(RIP...)してしまったが、現在は Mark Reilyのソロ・プロジェクトとして再始動し、去年17年にJAZZ色を強めた新譜『Gravity』をリリースしたばかり。

そんな彼等の初期作が15年頃からリマスター&ボートラ大量追加で順次リイシューされ始めて(Cherry Red Recordsバンザイ!)おりまして、今年6月にリリースされた88年にリリースされた3rdアルバムの発売30周年を記念した3枚組デラックスエディションが本作であります。

近年CMのテーマソングに使われたりしていたので彼等のポップでラテンフレーバーあふれる朗らかサンシャイン・サウンド(笑)を耳にした事のある方も少なくないと思いますが、初期作ではまだそこまでアダルトなラテンフレーバー色も強くなく、幾分80年代UKポップス寄り(WHAM!っぽい打ち込みとかモロに聞こえる)なアーバンでデジタリーなダンサンブル・ポップサウンドが心地よい作風でした。

で、当時はディスコ~クラブブームもあって7インチや12インチ・ヴァージョンとかダンス・リミックヴァージョンとかEDIT、USリミックス、DUBヴァージョン等々やたらと別ヴァージョンが作られていた訳ですが、その手の一体幾つあるのか判別つかないくらいシングルに収録されリリースされたアルバム未収録音源をタップリ3CDに収録した本作は、当時を知る者としてはこの上ない音源集だ(*´ω` *)

軽やかなピアノやダンサンブルな打楽器、そしてフックあるファンキーなメロディとキャッチーな歌メロ、そこへ流れるムーディーで艶やかなサックスの音色が実に心地よく、スムースなリズムを刻むUKポップサウンドが南国の風が吹き込んでくるかのように実に爽快で、このウザイ湿気たんまりな一日でダルだった気分をリフレッシュさせてくれますん♪

新規リマスタリングされたオリジナル・アルバム収録曲に加え、アルバム未収録曲、シングル・ヴァージョン、リミックス・ヴァージョン等々レアな音源満載なボーナストラックを37曲(!)も追加したお得盤ですので、彼等のファンで彼等の一連のリイシュー盤がリリースされたのを知らない方はお求めになっても決して損はしませんぜ!

ヴァージョン違いの楽曲の中には、全く別メロ、別リズムの、殆ど別曲っていうような仕上がりのオリジナルよりグンと出来が良いトラックもあったりして、嬉しい発見満載です('(゚∀゚∩

Track List
◆CD 1
01. Don’t Blame It On That Girl
02. Nervous
03. Slide
04. Say It’s Not Too Late
05. Wap Bam Boogie
06. Good Times
07. R&B
08. Hanging On
09. Jack of Clubs
10. Indigo

ここまでオリジナル盤収録曲

Bonus Tracks-Single Version & B-Sides
11. Wap Bam Boogie (7”Edit)
12. Good Times (New Version)
13. Tumbao (Edited Version)
14. Nervous (Re-Recorded Version)
15. Say It’s Not Too Late (7”Version)
16. R&B (Brad Davis 7”MIX)
17. Poolside

◆CD 2
Bonus Tracks-Additional Recordings
01. Fire In The Blood(7”Version)
02. We’ve Got The Mood (Matt's Mood'90) (7”Version)

Bonus Tracks-Remixes & Alternate Versions
03. Don’t Blame It On That Girl (Extended Mix)
04. Wap Bam Boogie (Latin Remix)
05. Good Times (New Long Version)
06. Tumbao (Long Version)
07. Nervous (Extended Re-Recorded Version)
08. R&B (Bastone 12″Mix)
09. Don’t Blame It On That Girl (Rare Groove Mix)
10. Good Times (Miami Mix)
11. Nervous (Extended US Mix)
12. Hanging On (Extended Version)
13. Indigo (Alternate Version)
14. R&B (Bastone Dub)

◆CD 3
Bonus Tracks-More Remixes & Alternate Versions
1. Don’t Blame It On That Girl (Rare Groove Mix Edit)
2. Wap Bam Boogie (The Sok It To Me Mix)
3. Nervous (Flute Version)
4. R&B (Brad Davis 12″Mix)
5. Fire In The Blood (Caliente) (Club Mix)
6. We’ve Got The Mood ?(Matt's Mood'90) (12”Version)
7. Don’t Blame It On That Girl (Rare Groove Sax Edit)
8. Wap Bam Boogie (Alternate 7″Edit)
9. Nervous (Fish Mix)
10. R&B (Bastone 7″Mix)
11. Say It’s Not Too Late (Edit)
12. Don’t Blame It On That Girl (Gail"Sky"King Edit Of 12")
13. Wap Bam Boogie (The Sok It To Me Mix Edit)
14. Nervous (US Mix)
15. Fire In The Blood (12" Version)
16. Slide (Instrumental)


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# by malilion | 2018-09-07 17:39 | 音楽 | Trackback

遂に英国プログ・バンドENGLANDの41年ぶりとなる新譜がリリース!

c0072376_14574663.jpgENGLAND 「Box Of Circles」'18

アルバム1枚とシングル1枚だけ残して消えた幻の4人組英国プログレ・バンドとしてその名が長らく囁かれ続けてきた彼等の、再結成第一弾作が遂にリリースされたので即GET!

正式なスタジオアルバムとしては77年の1stに続きこれで2作目になるが、幻の2nd用未発音源集リリースだったり、30年ぶりに再結成して06年に日本での演奏を納めた新曲を含むLIVE作や、待望の1stデジタルリマスター紙ジャケ盤や、アルバム未収録のシングルB面曲をボートラに加えた1stの大判紙ジャケ再現リマスター盤、さらにGolden EditionなるLIVE音源やシングル音源、未発音源を加えた豪華装丁1stの2枚組盤が本作リリースまでに幾度も発売(その都度、買い直したなぁ…)されていたので、未発音源集を入れても『スタジオ作はまだ3枚目だったっけ!?』と、今更ながらに驚かされました(汗

それにしても、1stリリース時に既にバンドは分解状態でLIVEを衆目に披露した事のなかった彼等が、オリジナルメンツではないものの初めてLIVEを披露し、幻のベールを脱いだのがここ日本だったというのが実に感慨深いですねぇ…

しかし、長かった…待望の再結成作が出る出ると言われ、どれだけ待たされた事か…(´・ω・)

実際、2010年に本作のプロモとして4曲入りEP(本作に同曲が収録されているがNEW MIX版だ)がリリースされたものの、それ以降一向にアルバムがリリースされる気配がなかったのだから……8年は(プロモの意味ねぇ…)いくらなんでも待たせ過ぎじゃない? ねぇ?

さて、まず注目はバンドメンツについてだが、再結成LIVE時とラインナップが変わっており、LIVE時はオリジナルメンツは Robert Webb(keyboards,Vocals,Guitar)と Martin Henderson(Bass,Vocal)の二名のみで、後は新規メンツ3名を加えた編成だったが、本作制作にあたって Franc Holland(Guitars,Vocal)と Jode Leigh(Drums,Percussion,Vibes,Vocal)の二名が復帰し、オリジナルメンツ4人揃ってのリユニオン作となっている('(゚∀゚∩

また、LIVE時の新規メンツに加え、RIVERSEAの Marc Atkinson(Acoustic Guitar)をはじめ多数のゲストプレイヤーや、Robert Webb参加の未発音源『Rare Bird In Rock』がCD化されたばかりの女性ヴォーカリストの Jenny Darren嬢等を含むバッキングヴォーカリストを多数迎えて制作されているのも、これまでの彼等の作品との違いと言えるだろう。

で、サウンドの方だが、さすがにデビュー作のような先走った様なパワーや爽快感あるキャッチーさ、如何にもプログレというテクニカルな畳みかけは影を潜めているものの、ENGLANDなるバンド名に恥じぬ英国風味香るシンフォニックで穏やか、そしてクラシカルで気品ある、紛う事なき70年代直系UK・プログレサウンドを、分厚く複雑、そして荘厳なヴォーカル&コーラスを筆頭に、多種多様な鍵盤楽器(Mellotron、Hammond、Mini-Moog、Harpsichord、Piano、etc…)が繊細に、華麗に、格調高く、甘く切ないメロディをリリカルにファンタジックに織り成してゆく美しい様は、まさに“アノ”ENGLAND節以外の何物でもなく、実に素晴らしくて、本当に本当に感無量(つд`)

まぁ、冷静になって聞き直すと、繊細な美しさは申し分ないが、やはりデビュー作で聞けたようなキャッチーさやポップさ、そして他のUKプログ・バンドには余り見受けられなかった爽快感や開放感をもっと感じさせてくれれば文句は皆無だったのになぁ、などとモダン度が増して枯れた味わい系に傾いている彼等の現状のサウンドへ無い物ネダリしたくなる訳だが、これだけ時間が経過して当時と同じ心境で創作が出来る訳もないし、プログレ終焉期に彼等が最後の輝きを放った当時と時代背景も全く違う現状に置いて、これは仕方が無いと諦める他ないでしょうね……

もし彼等の作品に触れたことのない方がおられましたら、70年代直系UK・プログレサウンドなものの、妙に難解でもなく暗くアンキャッチーでもない、ポップでカラフルな親しみやすい柔和なメロディアス作にして驚異の完成度を誇る彼等の記念すべきデビュー作を一度チェックされる事を強くお薦め致します。

そうそう、ジャケのデザインが違う、センサーシップ対応版と丸見え(って程に猥雑な画でもないけどさ…)版がある(?)ようですが、私が購入したのは対応版でした。

c0072376_14580752.jpg1stのジャケは秀逸だっただけに、本作のイマイチなイラストのジャケには苦言を呈したい所はありますが、何はともあれやっとリリースされた新譜にこれ以上なんだかんだと言うのは無粋なので止めておきます…(-_- )



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# by malilion | 2018-09-01 14:49 | 音楽 | Trackback

英国の古楽プログ・バンドGRYPHONが41年ぶりに再結成第一弾作をリリース!

c0072376_15352403.jpgGRYPHON 「ReInvention」'18

イギリス王立音楽院出身の Richard Harvey(Recorders,Soprano,Alto & Tenor Krumhorns,Organ,Harpsichord,Harmonium,Glockenspiel,Mandolin,Classical Guitar,Vocals)と Brian Gulland(Bassoon,Bass & Tenor Krumhorns,Recorders,Keyboards,Vocals)を中心に71年結成され、73年にアルバム・デビューを果たし、77年の解散までに五枚のユニークな作品を残した、宮廷風味の強い古楽スタイルのフォーク・ロックとポップス、そしてプログレ(特にYES)の影響を消化し、中世~ルネサンス音楽とプログレッシヴ・ロックを融合させ再構築した唯一無二のオリジナリティ・サウンドを誇った英国産古楽プログレ・バンドの再結成作が遂にリリースされたので即GET!

オリジナルメンツによるリユニオンは15年頃に成ったものの創作活動は遅々として進まず、結果的にオリジナルメンバーであり中心人物でもあった Richard Harveyが多忙を理由に脱退してしまったが、75年作『Raindance』を最後に脱退していたオリジナル・ギタリストの Graeme Taylor(Guitars,Acoustic Guitars,Vocals)が43年ぶり(!)にバンドに復帰しており、オリジナル・スタジオアルバムとしては41年ぶり(!!)となる本作にも参加しているのが昔からのファンには嬉しいトピックだろう。

なお、Brian Gullandと Graeme Taylor、そして Dave Oberle(Drums,Percussion,Lead Vocals)のオリジナルメンバー三名に加え、Graham Preskett(Violin,Mandolin,Keyboards,Harmonica)と Andy Findon(Flute,Piccolo,Soprano Krumhorn,Soprano Sax,Clarinet.Sweetheart Fife)、そして Rory McFarlane(Bass)の新規メンバー三名を含む6人組バンドとして本作は制作されている。

73年のデビュー作以降、75年の4th『Raindance』まで主要四名は変わらず、ベーシストだけ不安定だったのが彼等5人組バンドだと覚えているが、売りであった古楽的フォーキーさが激減し、一気にポップ度と一般的なプログ・ロック度が増したサウンドが賛否両論な最終作5th『Treason』では Richard Harveyと Brian Gulland、そして Dave Oberleの三名のオリジナルメンバー以外に、新たにベース、ギター、専任ドラマーの新規メンツ三名を迎え、初めて6人組編成で制作された経緯があったのを、41年ぶりとなる本作の制作状況もソレに似たものがあるなぁ、などとフッと思い出してしまいました。

惜しくもアルバムリリース前に中心人物が脱退したというニュースにガックリきた昔からのファンな方も多いだろうが、往年のGRYPHONを彷彿させる本作の素晴らしい出来を耳にすれば、代役の大任を担った Andy Findonのプレイは Richard Harvey不在を一切感じさせぬ軽やかで艶やかなサウンドとテクニカルさを十二分に発揮し、再結成作の出来を少しも損なう事ない見事な仕事ぶりだと理解するのに時間は要すまい。

さて、本作の内容だが、飛び出してきた軽やかで忙しないピッコロの調べに艶やかなアコギの爪弾きが絡み合い、まさに“アノ”GRYPHONサウンドが展開されていくのに耳を傾けるだけでもう十分に幸せで満足な気持ちになれる待ちに待たされたこの新譜、やはり再現されているのはポップ度とエレキのパワーを借りたロック度の増す前の初期から中期、『Midnight Mushrumps』頃の古楽をメインにして活動していた時分のサウンドで、メンバー一同何を周りから求められているかをしっかりと理解している(理解してない再結成の多い事…)流石の方向性なものの、やはりこれだけ時が経過している為か全く“まんまのサウンド”という訳でもなく、幾分かモダンなタッチがサウンドのそこかしこから感じられるのと、Richard Harveyが不在だからこそ外側から見て“GRYPHONてこういうサウンドが特徴だったよね?”的な新規メンツによる故意的な再現やインプットも関係してか“古臭いんだけど妙に聞いた事のない新しい音”というような不思議な感覚に陥ることがしばしある一作と言えよう。

個人的にも、まんまの再現ではセルフパロに陥ってしまうし、全く過去を顧みないサウンドを展開されても期待外れ作になるのは確実だったろうから、本作のような懐古趣味的な再現を果たしつつ、新しいサウンドも気付かぬ内にしたたかに組み込まれている、というような難しい顧客の要求に応える優等生なサウンドは、さすがのキャリアと英国ミュージシャンの気概を感じさせてくれて大変気に入っております(*´ω` *)

まぁ、この奇跡的なサウンドバランスに仕上がったのは Richard Harvey不在だからこそとも言え、もしオリジナルリユニオン状態のままで創作が進んでアルバムが完成していたなら、果たして一体どのような方向性だったのか、幾分か今風に変わっていたのか、どんな完成度だったのか、と尽きぬ妄想が膨らんでしまいますよね。

そうそう、本作収録の10曲目のトラックと以前リリースされていた『The Collection II』'95 収録のアルバム未収録曲と同名曲ですが作曲者が違う別曲ですので、お間違いのないように。

尚、本作は日本先行発売、紙ジャケット仕様、SHM-CD、さらにボーナス・トラックを1曲収録となっており、海外盤ではまた収録内容が変化するかもしれませんので、ファンの方は今後のリリース情報から目が離せません。

古楽器を用いた異色の編成で中世音楽を演奏するフォーク・スタイルから出発し、ポップスやロック要素を加えつつYESとの接触で一気にプログレ度を増大させ、ジェントリーなヴォーカルによる穏やかなコーラス、フォーキーだったりトラッドだったりと様々にその色を変えながらリズミカルに展開していく控え目だが着実にバンドサウンドの要所を押さえている繊細なギター、古楽風のフレーズを交え細やかに宮廷風な雅を奏でる気品ある多彩なキーボード、そして古楽で鍛えた精緻なアンサンブルの如何にもプログレらしいスリリングな演奏を披露し、独特のサウンドを展開し続けた何者にも似ていないGRYPHONサウンドを、もしまだ耳にした事が無い過多がおられるなら、これを気に一度彼等の作品に触れてみる事をお薦め致します。



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# by malilion | 2018-08-30 15:30 | 音楽 | Trackback

地味に10年超えのメロハー・プロジェクト Joe Lynn Turner率いるSUNSTORMが5thをリリース!

c0072376_21330052.jpgSUNSTORM 「The Road To Hell」'18

言わずと知れたメロハー業界の仕掛け人イタリアのFrontiers Recordsが企画した Joe Lynn Turnerを中心に据えたAOR&メロハー・プロジェクトの約2年ぶりとなる5thアルバムがリリースされていたのを今頃購入。

先行公開された新アルバムの楽曲を聴いて、安心の出来と方向性と分かったのでここまで購入が遅れてしまいました(スマヌ

前作『Edge Of Tomorrow』'16 から参加メンバーを一新し、Frontiers Recordsで数多くのプロジェクトに参加し、楽曲も提供している Alessandro Del Vecchio(Key&Vo:EDGE OF FOREVER)等を起用し、当初のAOR寄りなサウンドからよりハードタッチな楽曲を含むアルバムを制作しだした本プロジェクトだが、米国人が率いているにも関わらずウェットで愁いを帯びたメロディのユーロテイストと爽快感あるポップでキャッチーなアメリカンさも兼ね添えた叙情派メロディアスHRという方向性は本作でも変わっていない。

元々、Joe Lynn Turnerの幻の2ndソロアルバム用のAOR的な楽曲を世に出したいという動機から本プロジェクトが始まったのに、よりハードなサウンドへ変化していく流れが Joe Lynn Turnerのこれまでの活動や発言を考えると中々に興味深いですよね。ホントにHRが好きなんだなぁ(*´ω` *)

前作同様に Alessandro Del Vecchioをソングライティングのメイン・パートナー(最近バンド活動より専ら裏方作業ばっかだよなぁ…)とし、同じく前作に続きL.R.S.などFrontiers企画のプロジェクト作品にも多数参加している Nik Mazzucconi(B:EDGE OF FOREVER)と、イタリアン・プログHMの頂点と個人的に大絶賛しているDGM在籍の Simone Mularoni(G)、そして Francesco Jovinoから新たにFOLKESTONEの Edo Sala(Ds)へチェンジした布陣で制作された本作は、そんな Joe Lynn Turnerの起用に応えるべく、職人達によって緻密に創り込まれ、磨き上げられた Joeのパフォーマー、フロントマン、そしてミュージシャンとしての魅力を存分に知らしめるキャッチーでフック満載のハードでメロディアスな楽曲が目白押しな、メロハー好きなら大満足間違いなしのハイクオリティな快作と言えるだろう。

以前の紹介時も苦言を呈したと思うが、やはりどうしても予定調和的な展開やメロディの流れやフレーズ等が耳につき、新人バンドのデビュー作を聞くような新鮮な驚きは流石に無いもののよりバンド作らしい音に仕上がっており、以前感じた作り物っぽさは本作において綺麗に払拭されているのが地味に嬉しいポイントでもあります。

Joe Lynn Turnerの上から下までよく伸びるキャリアに裏打ちされた抜群の歌声とエモーショナルな熱唱もさる事ながら、Alessandro Del Vecchioの派手なオルガンソロやシンセワーク、そして名手 Simone Mularoniのテクニカルで流暢なフレージングや、ツボを心得た無駄ないコンパクトなギター・ソロも本作では楽しめ、ヴォーカリストのソロ作じゃないんだぞとばかりなスリリングに疾走するHRサウンドとバンドメンツ各員の熱演が非常に心地よいんだな~('(゚∀゚∩

以前のソフトロック路線から幾分ハードなサウンドになってはいるものの、基本は爽快にして哀愁漂う大人の魅力満載な“安定の王道メロハー・サウンド”をプロフェッショナルなソングライティングチームと有能な裏方ミュージシャンで隙無く固めているのに変化はありませんので、高品質のポップでキャッチーなメロディアスHR作をお求めの方に迷わずお薦め出来る安心安定な一品です。



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# by malilion | 2018-08-26 21:25 | 音楽 | Trackback

シンフォから一気に演劇サウンドへ?! ドイツのCENTRAL PARKが7年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_19182745.jpgCENTRAL PARK 「At The Burial Vault」'18

ドイツ産ネオ・プログレバンドの前作から7年振り、バンド結成35年目の節目作となる3rdがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

デビュー作はEL&PにASIAをMIXしたような(本人達的にはYES、MARILLION的UKプログレ系サウンドとSAGA、ASIA的メロディアス・ロック的サウンドをMIXさせていると考えている模様)ポップでキャッチーな歌メロやフレーズ、そしてコンパクトな楽曲なものの、キーボーディスト Jochen Scheffterの自己主張の強い古典的UKプログレ風な鍵盤の音色やその重厚なプレイとサウンドが90年代初期風なモダンさも感じさせるバンドサウンドと少々ギャップがあったけれど、83年に結成されたにも関わらずなかなかアルバムデビュ-が叶わなかった焦燥感と抑え切れぬ熱き想いが伝わってくるような力作でした。

プログレ系には珍しく濁り声のフロントマン Heiko Mockelを06年の1st『Unexpected』では起用していた彼等ですが、11年の2nd『Reflected』で Jannine Pusch嬢なるフィメール・ヴォーカリストを迎え、より繊細なタッチの活かされた20分越えのシアトリカルな組曲も披露するモダン・シンフォ系サウンドへ進化した訳でしたが、個人的には女性フロントマンになった事でデビュー作で感じられた迸るようなロック的パワフルさや、ASIA的キャッチーさがそのサウンドや歌メロから著しく減退した事もあって、Jochen Scheffterもバランスを考慮したキーボードプレイを聞かせていただけに残念で、そして退屈な一作でありました…('A`)

で、久しぶりの新作なのに『葬儀場で』なる、暗さ爆烈なアルバムタイトルでちょっと不安になる本作で再びメンツ変動があり、長らくドラマーを務めてきた Artur Silberが12年にバンドを脱退した後、Holger Roderなる新ドラマーを迎えたにも関わらず、今度は特に癖もなくソプラノ主体の典型的フィメール声なもののパワーが無く歌唱スキルにも少々問題のあった Jannine Pusch嬢が脱退、代わって初代ヴォーカルの Heiko Mockelがフロントマンとしてバンドに復帰するがバンドメンツとの住まいの距離が離れていた事(ケルン在住)が創造的な作業を続ける上で大きな障害となり最終的には脱退し、15年秋、新フロントマンに再びフィメール・ヴォーカリスト Barbel Kober嬢を迎え、本作の創作に挑む事になった模様だ。

女性ヴォーカリストながらパワフル且つ濁り声などでドスのある歌声も聞かせ幅広い表現力と歌唱法を誇る Barbel Kober嬢のエネルギッシュな歌声は前任者より癖が強く好みが分かれる所だろうが、より複雑でシンフォニック、そしてテクニカルで重厚なサウンドへ進化したCENTRAL PARKの多様な要素を含んでいるバンドサウンドを表現するには彼女の歌声の方が適しているのだろう。

個人的には Barbel Kober嬢の歌声は好みじゃありませんし、低音ダミ声を多様するヴォーカルアプローチも(オマケにオバちゃんじみたルックスも…)好きではありませんけどね…

美声で美人のフィメール・ヴォーカリストをフロントに据えて、ってのがプログレ好きには多いように思うんですが、その点では彼等の選んだアプローチは余り受けないように思うなぁ…('A`)

デビュー作当時のASIAやEL&Pを感じさせるポップさやキャッチーさは本作に置いて殆ど姿を消しているのが個人的に残念でなりませんが、どうやらコレはオーストリアの劇場の舞台俳優 Ferdinand Pregartnerと協力して"Verbal Inferno Meets Rock Music"なる演劇を2017年に行い、その音楽にCENTRAL PARKが全面的に参加してた事が影響してか、より大仰で複雑、そしてダークでミステリアスなヘヴィ・サウンドへ、大きくバンドサウンドが変化した要因と考えられます。

まぁ、本作に置いてもデジタリーなアレンジや打ち込みリズム、そしてシアトリカルで不安を煽る様なヴォーカル・アプローチ等、常に前作で見られぬ新要素を加味してバンドサウンドを進化させ新たなサウンド形態やアイデアを具現化している点を見るまでもなくバンドはしっかりと“プログレス”し続けて“今”のサウンドへ挑み続けている訳だからプログレバンドとしちゃなんら間違った事をしてる訳じゃないんですよね。

ただ、その選択し進んだサウンドが初期に較べて大きく好みじゃない、ってのがネックなだけで…orz

また Ferdinand Pregartnerと協力しての小規模な演劇ステージの為にバンドサウンドを大きく変化さた結果、今までのロック的なサウンドアプローチを捨ててジャズやスイング等の要素を加えたアコースティック・サウンドをメインとするパフォーマンスや方向性が好みで無かったのか Holger Roderは17年後半にバンドを脱退し、代わってアフリカン・ビートに精通している Arnold Zohrerなる新ドラマーをバンドは迎えている。

そして、今後バンドはこの演劇ステージで選択した凝った構成のアコースティック・サウンドをメイン(!?)とするサウンドで活動するらしい……(汗

以前のようなロック形式のLIVEには12年に脱退した Artur Silberが時間が許せばヘルプでドラムを叩いてくれるらしいが、ロックパフォーマンスより芸術的なミュージカル・サウンドに近い、ジャズとロックを融合させたサウンドをメインとするバンドの次なる新作が出るとしても…ちょっと…購入するかどうか悩みますね…

次はプログレ・フォークのカテゴリーなサウンドになるんかなぁ…?

美声のフィメール・ヴォーカルものがお好きな方や、以前のようなASIA的なポップでキャッチー、そしてEL&P的な古典的プログレなシンフォサウンドをお求めの方は本作に手を出さない方が無難でしょう。

相変わらず所々で美しいピアノやキーボードの音色は聞こえるものの、久しぶりに届けられたアルバムが大きくガッカリな方向性のアルバムでちょっと悲しいです…(つд`)




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# by malilion | 2018-08-25 19:13 | 音楽 | Trackback

ブルガリアのHMバンド?? ブルガリアン・プログHMバンドMUSIC STATIONの唯一作。

c0072376_02302026.jpgMUSIC STATION 「Shaping」'03

ラック漁っててまた転がり出てきた懐かしのアルバムをご紹介。

ブルガリア産ツインG&Keyを擁する6人組メロディアス・プログレッシヴHMバンドによる'03年リリースのデビュー・アルバムにして唯一作だ。

ブルガリア共和国はバルカン半島に位置し、北にルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、南にギリシャ、トルコと隣接し、東は黒海に面している文化の交差点とも言える国で、その首都ソフィアでバンドは02年に結成されている。

一聴して分かるのが、彼等は夢劇場のフォロワー・サウンドがバンドの出発点だと言うこと。

ただ、既に夢劇場の影響から大方は脱しており、剛柔様々な声色を使い分け艶やかで見事な歌唱を披露する Pavilin Manevのヴォーカルスタイルに James LaBrieの影響が窺えるものの、バックのサウンドは所謂定番の夢劇場フォロワーではなく、特にキーボーディスト Boris Zashevの古典的ユーロ・プログレやクラッシックの影響を窺わせる軽やかでテクニカルな鍵盤捌きや、リズム隊のエスニックな香り漂わす音色やプレイ、そして一風変わったリズムパターンやJAZZっぽいプレイは本家夢劇場で聞けぬテイストで十分にオリジナリティを感じさせ、メロハーとプログHMをMIXさせたような上品さとキャッチーさのある爽快なサウンドは独特で、これ一作でバンドが終わってしまったのが実に残念でならない。

逆にリーダーでギタリストの Ventzy Velev(G)と Jordan Donov(G)のテクニカルなプレイやヘヴイなフージングが幾分か類型的プログレHM的と言え、一番夢劇場的な要素を臭わせているように思う。

ただ、彼等がデビューしたのが03年と、夢劇場症候群バンド達が触発された92年作の『Images & Words』との時間的距離が幸運にも空いている事もあってか、本家もサウンドを変化させていた事もあるし、92年以降世界中で雨後のタケノコの如く出現した露骨な夢劇場フォロワー群と同じ亜流サウンドへは成りにくかったとも予想出来る。

ブルガリアのシングルレーベルUBPからのリリースだった事や、予算の都合上で約1週間でレコーディングを終了させ、約一ヶ月でミックスダウンとマスターリングを完了させたアルバムにも関わらず、インディ・レーベルもののプログHM作品としてはかなりの上物、隠れた名作と言えるだろう。

実際、当時ディストリビュートされた日本やアメリカのローカルラジオ番組等でかなり好意的にアルバムは迎えられ、勢いバンドはプロモーションLIVEを首都ソフィアで計画したものの、残念ながら Boris Zashev(Key)と Radoslav Haralampiev(Ds)がLIVE活動を拒否した為、バンドはアルバム1枚をリリースしたのみで空中分解してしまったらしい…(つд`)

まぁ、バンドサウンドのイニシアチブを握り独特なカラーを創りだしていたその二人が居なくなっては、アルバムのサウンドの再現も難しかったでしょうから、活動継続を断念したのもむべなるかな、ですかね…

今となっては入手困難かもしれませんが、フランスのMuseaがディストリビューションに関わっていたので意外に輸入盤取り扱い店で未だにストックしていたり、中古盤で転がってる事もありますので、もしご興味あるなら一度チェックしてみて下さい。

そう言えば東京で営業中のブルガリア・レストランの音楽好きな日本人オーナーがバンドのデモを聞いてコンタクトを取り、本作の制作に尽力(プロデューサーのクレジットに注目!)したと言うのも、本作を一層に特色づけているトピックでもありますね。

以降、ブルガリアからのプログHMやプログレ系バンドのニュースは聞かないんですが、もしかしてまだ見ぬ未完の大器や、期待の新鋭インディ・バンドなんかがここ日本に全く知られる事なく精力的に活動しているのかもしれませんし、多文化が入り交じる地域的にプログレ系に有利なんじゃないかと思うので、またその日本人オーナーさんが有力バンドなんぞをガンガン紹介してくれると嬉しいなぁ(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-08-15 02:24 | 音楽 | Trackback

ドイツ産だけどアメリカンロック?  E・Martinがゲスト参加なHARTMANNの新譜がリリース!

c0072376_09401388.jpgHARTMANN 「Hands on The Wheel」'18

元AT VANCEのフロントマン&ギタリスト Oliver Hartmann率いる4人組ドイツ産AOR&メロディアス・ロックバンドの2年ぶり通算6作目がリリースされたので即GET!

ドイツ産バンドなのに如何にもアメリカンなAOR風ロックサウンドが身上の彼等だが、前作よりカントリー・テイストも取り入れる事により益々アメリカン風味が増した彼等だが、本作もその路線は変わらず、言われなければドイツ産バンドのアルバムとは決して思わぬアーシーで埃っぽい枯れたサウンドが味わい深いオールド・アメリカンスタイルが顕著なメロディアスな作品だ。

サウンドがアメリカン路線だからか、以前から白蛇のデビカバ風っぽかったりMr,BIGの Eric Martin風っぽかったりの抜群に上手い歌心に満ちた渋いヴォーカルを披露する Oliver Hartmannだが、今作では遂にそのMr,BIGの Eric Martin(!)がゲストで一曲に参加となって、一気にバンドサウンド及びヴォーカル・スタイルの焦点が絞り込まれた感が強まっている。

それにしても Eric Martinをフィーチャーしての楽曲で、堂々と対等に渡り合ってデュエットしているのを聞くと Oliver Hartmannはホントに歌が上手いんだなぁ、とハッキリ再確認させてくれました。

これでギターの腕前もリードギタリストを兼ねられる程のテクニカルな技巧派ってのが、ホントに嘘みたい(*´ω` *)

無い物ネダリなのは分かっちゃいるけど、デビュー当初のHMバンドに相応しいハイトーンのパワフルシャウトで喉を唸らせていた Oliver Hartmannの歌声が実に格好良く好きだっただけに、この激渋路線の穏やかで深みある歌声ばかり披露する路線が少々残念だが、まぁ騒々しくスピーディーなHMサウンドと決別してソロバンドを立ち上げたんだし、今さらそれを言うのは野暮ってもんでしょうね…('A`)

埃っぽくアーシーなオールドスタイルのアメリカン・ロックをベース(EAGLESみたいなサウンドが飛び出してきて苦笑)にしつつ、AOR風なヴォーカルアプローチやカントリーテイストも隠し味に、少々メロハーっぽいギターサウンドやプレイなんかでダレそうになる楽曲を程良くキリリと引き締めてエッジとフックを加味したバランス抜群なそつ無いサウンドって、一番近いのはポピュラー系ポップスなんだろうけど、こちらの方が断然にサウンドが持つ躍動感が上だし、歌メロだったりバックの演奏に隠し味的にユーロティストが漂ってキャッチーさとウェットさも忘れていない、US産ポップアーティストには無い深い味わいが実に素晴らしい欲張りなバンドサウンドを披露してくれる。

バンドメンツに変動はなく前作と同一なものの、前作は意図してかカントリーっぽい乾いたギターの音色といい、かなりアメリカン・ポップスを意識したドライな音創りが耳を惹いた訳だが、本作ではもう一度以前のアメリカン路線だけどウェットさを残した音に戻っているのは微妙ながら個人的に気になるポイントでした。

まぁ、あんまりやり過ぎると只のアメリカン・ロックの劣化コピーになってしまうので、ユーロ圏バンドとしてのアイデンティティも保ちつつな各種要素をMIXさせてモダンに仕上げた音、ってスタンスなのかもしれませんね。

バランス重視で刺激強めな音楽性って訳でもないし、前作と同じくミッドテンポとバラードな楽曲が多く、ややもすると今時の若いロックリスナーにはダレて聞こえる渋過ぎなサウンドかもしれないが、適度にアップテンポな楽曲も挟みつつ、幅広い音楽性と抜群に上手い歌声の妙で聞く者の耳を惹きつけ、最後まで飽きさせぬのはお見事と言う他ないでしょう。

これだけ見事なアルバムをリリースしているのに知名度がイマイチなのは、やっぱりモダンでシャレオツな音楽性に反してムサい鬚ズラなオッサン達の風貌(汗)なせいなのか、分かりやすい刺激に乏しい味わい深い系AOR&ロックなせいでしょうか……(´・ω・)

そうそう、前作にあったアルバム本編が終わってからの隠しトラックを今回も期待しましたが、流石に二作続けてはありませんでした(w

白蛇好きな方やMr,BIG系のアメリカン・ロック好きな方は、ドイツ産と思えぬポップでキャッチーな高品質アメリカンAORサウンドですので是非チェックしてみて下さい('(゚∀゚∩





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# by malilion | 2018-08-14 09:33 | 音楽 | Trackback

英国メロディアス・ロックバンドDAREがデビュー作30周年を記念し、リレコーディング作としてリリース

c0072376_19513461.jpgDARE 「Out Of The Silence II」'18

記念すべきデビュー作『Out Of The Silence』リリース30周年を祝し、88年作を再録音したAnniversary Special Editin盤がリリースされたのでGET!

再録とは言っても当時のメンバーはもうリーダーでフロントマン、そしてキーボーディストの Darren Whartonと復帰したオリジナルギタリストの Vinny Burnsしか居ないので当然サウンドのタッチも変わる訳だが、新曲があるわけでなし、プロダクションもプレイもオリジナル盤に及ばないという、本当に熱心なファンから集金する為だけの再録記念盤と言えよう。

オリジナルにあったメロハー的なエッジや瑞々しい清涼感、そしてロック的なダイナミクスや雄大さがすっかり失せ、どっぷりとソフトケイスされ奥行きの無いサウンドのAOR作と言っても過言ではない実に穏やかに美しいメロディが蕩々と終始流れていく…('A`)

唯一評価出来るのは Darren Whartonのヴォーカルスキルが向上している点と、オリジナルより一段と円熟味の増した深みあるプレイや絶妙な“泣き”のフレージングを Vinny Burnsが垣間見せてくれる点で、その差を聞く為だけのアルバムと断言してもいい。

あ、7曲目の“King of Spades”だけExtended Editionとなって、オリジナルは4分後半台だったが6分30秒と大きく楽曲タイムが長くなっております。

手厳しい事を述べましたが、近年のすっかり牙が抜けて惰弱なAORバンドに成り下がってしまった彼等のアルバムしか知らぬファンの方ならば十分に受け入れられる穏やかで優しいメロディが終始奏でられている内容なので、実は未だにオリジナル1stが入手出来ていない、という方にはこの記念盤は嬉しいサプライズなのかもしれない…

元THIN LIZZYの Darren Wharton率いる新鋭ハードロックバンドのデビュー作! って、売り文句で当時は紹介されてたなんて、今のサウンドからは全く想像出来ないよなぁー…

いや、その前にオリジナル盤をリイシューすればよくね? やっぱレコード会社的な契約で再発出来無い、ってヤツですか? そんなにメチャクチャ売れた訳でもあるまいし、そう版権高くもないっしょ? ああ、権利どこぞの再発レーベルが買い取ってくれないかなぁ…('A`)

80年代末期のゴージャスでバブリーなHM全盛期の残り香を纏った期待の新鋭バンドだった頃の彼等を知る身としては、今の気の抜けたコーラみたいなサウンドが唯々悲しいのですが、まぁ、長い時を経て彼等はAORバンドになったんだ、と割り切れればそう本記念盤も悪い出来ではない…のかな…?

c0072376_19515383.jpg
しかし、このいバンドって再録が好きですねぇ。

以前も3rdアルバム『Calm Before The Storm』を再録してましたが、初期のロックテイストがあった楽曲を今の軟弱AORサウンドへ改変しないと気が済まないんでしょうか?

それともデビュー作故に色々と心残りがあって、それでこの穏やかなサウンドに?? それこそ、何故に??

つーか、この内容で Vinny Burnsは納得しているの? TENよりソフトなバンドに、どうして未だに在籍するの??

……これ以上何か述べても懐古ジジィの戯言みたいにしかならないので、本作の評価についてはどうぞ各自ご自身の耳で判断して下さい。




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# by malilion | 2018-08-04 19:47 | 音楽 | Trackback

テクニカル・オセアニアン・モダン・シンフォバンドの期待の新星SOUTHERN EMPIREが待望の2ndをリリース!

c0072376_13060077.jpgSOUTHERN EMPIRE 「Civilisation」'18

解散・分裂したオーストラリアのメロディアス・シンフォニック・バンドUNITOPIAのキーボーディスト Sean Timmsが新たに結成した5人組技巧派モダン・シンフォバンドの15年デビュー作に次ぐ2ndが3年ぶりにリリースされたのをちょい遅れてGTE!

デビュー作はスタジオLIVE映像を収録したボーナスDVD付きの2枚組豪華仕様と大盤振る舞いだったが、続く本作もデジパック仕様なもののボーナスDISC等は付属していない通常の1枚ものだ。

洋上を行く帆船だったジャケデザ(KANSASっぽいサウンドかな?と期待したのは内緒だ)が、本作ではFINAL FANTASYを連想させる幻想的でSFチックな飛行船へ変更されており、その如何にもプログレ系という月夜を進む飛行船の美しくファンタジックな姿に弥が上にも期待が高まるが、そんな想いに応えるハード&テクニカル志向のスケール感抜群な上に爽快なキャッチーさ満点のプログHM&シンフォ・ロックサウンドを今回もバッチリ披露してくれている(*´ω` *)

デビュー作の触れ込みで比較されたバンドは、TRANSATLANTIC、MOON SAFARI、CIRCUS MAXIMUS、MIND'S EYE等だったが、それらのバンド群をより一段とモダンでシャープ、そしてフュージョンにも通じるテクニカル志向へシフトさせたそのサウンドは、Danny Loprestoのミドルメインでちょっと高域で掠れるけれど、ストレートで朗らか、そしてパワフルな歌声が実に魅力的で、US産バンド群より幾分ウェット感あるサウンドの上をしっかりとキャッチーな歌メロやメンバー達の流暢なコーラスがフィーチャーされていて、インディ・プログ系バンドがしでかすメロディそっちのけで無駄に展開が凝っているだけの楽曲を延々と披露するような自己満足的なアマチュア臭さは皆無な、冒頭から最後の一音に至るまでプロフェッショナルなミュージシャンシップが炸裂するメロディアス且つドラマティックな傑作でありました。

バンドを創設までしたのだから当然だが、デビュー作では華麗で煌びやかな Sean Timmsの軽快なキーボードプレイが俄然目立って耳を惹きつけていたが、シンフォ系定番のクラシカルで重厚な音の壁をキーボードが構築するような三流ポンプバンドのような無粋はせず、JAZZやAORっぽいムーディーさだったりエキゾチックなムードのフレーズやリズミカルなプレイが実に新鮮で、若干メタルテイストあるプレイやフレージングを聞かせる Cam Bloklandのテクニカル且つエモーショナルなギタープレイを筆頭に実力派インスト陣が織りなす巧みなプレイも総じてハイレベルで、歌モノ楽曲のようなヴォーカルをメインに据えたキャッチーさも兼ね添えたフュージョンチックでモダンな楽曲構成の一癖も二癖もあるスピーディーな切り返しや、バンド一丸になって畳みかける疾走感ある怒濤のアンサンブルは手に汗握るスリリングさで圧巻の一言('(゚∀゚∩

本作でもその妙は変わらず楽しめ、前作の音楽性を踏襲しつつダイナミックさと繊細さに更なる磨きを掛けたテクニックとセンス共に申し分なく聴き応え抜群なアルバムで、下手をすると前作以上に軽快で独特なファンキーでダンサンブルでさえあるリズミカルな楽曲が巧みなコーラスも配されたシャレオツなヴオーカル・オリエンデッドな作風で展開され、彼等が単なるバカテク集団なだけでない、まず第一に楽曲と歌をしっかりと聴かせる事に注力している本当の意味でプロフェッショナルなミュージシャン集団なのだと再確認させてくれる。

キャッチーでメロディアスなフックある Danny Loprestoの華やかな歌メロをメインにメンバー全員で幾重にもうっすらとコーラスを時間差で重ね織り成すポップスのような様や、デビュー作で要所要所をピリリと引き締めていたメタル・テイストなギターサウンドが減退している為か、全体的に前作よりサウンドがソフトになったかのようなイメージを一聴して受けるが、シンフォ度は本作の方が断然上で楽曲のスケールも一段と増し、所々に配されるKANSASチックなストリングスが紡ぐメロディは極上の美しさで、ハッタリ抜群のキメ技連打や高速ユニゾン・バトルも控え目ながらしっかりとフィーチャーされており、前作より引きのパートが多く感じるものの(ミステリアスなフレーズやリズムがイイ!)それがより一層にアルバムが語るストーリーのイマジネーションを掻き立て、随所で光るリーダー Sean Timmsの操る鍵盤が紡ぐシンフォ・アレンジもハイソで嫌味無く、実にモダンで優美なバンドサウンドの気品を増す一役をさり気なく担っているのは見事の一言に尽き、全てが高い次元で結実した結果、バンド2作目にして驚きの完成度を誇る爽快ドラマティック・サウンドなアルバムに仕上がったのだろう。

いやホント、これだけテクニカルでシンフォニックなサウンドなのにユーロ圏のバンドのような重厚さは程々でスタイリッシュに纏め上げられ、それでいてキャッチーな歌モノな印象が大きく残るモダン・ロックサウンド、尚且つ米国産バンドのようなドライさやポップスのような軽薄さは皆無に仕上げられているのは生半可なセンスやコンポーズ能力じゃ不可能ですよ。ええ。

ぶっちゃけ、このバンドのアルバムの国内発売が何故見送られているのか謎過ぎます(ツд`)

SPOCK'S BEARDやTRANSATLANTIC、MOON SAFARI等が国内盤リリースされているのなら、同じ客層に絶対に受けると言うのに…

近い将来、必ず国内盤がリリースされるだろう期待の新鋭バンドとして、是非皆さんも今は外盤を購入して彼等を応援してあげて下さいね。

また、前作に引き続き多国籍なメンバーが名を連ねるTHE SAMURAI OF PROGからヴァイオリン&フルートを操る Steve Unruhがゲストに招かれアルバムに華を添える、華麗にして艶やかなプレイを披露しているのもデビュー作を気に入った方には朗報ですね。




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# by malilion | 2018-08-02 13:01 | 音楽 | Trackback

3の2nd? いいえ、3.2なる新ユニットだけど、実質 Robert Berryのソロ作みたいなアルバムです。

c0072376_11211654.jpg3.2 「The Rules Have Changed」'18

米国プログレッシヴ・ロック界でも名うてのマルチ・プレイヤー、Robert Berryが Keith Emerson(Key)と Carl Palmer(Ds)とで88年に結成し短期間で消滅してしまった3を復活させて新作をリリースしたので即GET!

……したはいいけど、うーん…なんていうか、レビューするのに困ってしまう一枚なんですよね。

モヤモヤした気分を抱えて何度か繰り返し聞き続けて見たんですが…

“あの3”の続編という触れ込みで情報が飛び込んで来たものの、実際には Keith Emersonと Robert Berryのみのコラボレートで、そこに Carl Palmerは一切関わっていない、“3.2”なる新名義ユニットの作品という事実。

Robert Berryとのコラボレーション途中で Keith Emersonが自殺してしまった為に楽曲のアイディアが完成しているのは数曲のみ(Keith&Robertのクレジットからなる楽曲は全9曲中4曲のみ)で、まだまだアルバムは未完成だったという事実。

残されたアイディアや楽曲構想を Robert Berryが独力で再構築し、全ての楽器を演奏し、歌い上げ、まさに八面六臂の活躍でアルバムを完成させた、Keith Emersonのプレイは一切収録されていない、実際の所は Robert Berryのソロ作に近い状況な作品だという事実。

こういった情報を耳にすると、どうしたって感傷的な気分になるし、Keith Emerson生前最後の楽曲という価値も手伝って、本作を無下に出来かねる状況にならざる終えない訳なんですが…(汗

上記の情報を一切排除してアルバムの音だけに耳を傾けてみると、実際キーボードのフィーチャー具合もなんだかイマイチな、意図して3のデビュー作っぽいキーボードサウンドを再現しているけれどソレは結局音だけだというチグハグな部分(Keith Emersonっぽい音で他人が中途半端な再現度の演奏をしている、という印象)を感じる点や、盟友の死というヘヴィな状況を乗り越えてアルバムを完成させた疲労や苦悩からなのか Robert Berryの歌声が所々でいつになく疲れて荒れたような印象を受け、その為か肝心な歌メロも彼の他のソロ作と比べてキャッチーさや艶やかさが欠けて聞こえ、オマケにサウンドを3に近づければ近づく程 Carl Palmer不在が大きく影響したのかリズムに力強さやキレ、独自性が薄い、というなんとも煮え切らぬ完成度のアルバムに聞こえるのです。

なんて文句を垂れておいてなんですけど、冷静になって考えてみればオリジナルの3のアルバムだって、やたら大仰に鳴り響く弾きすぎなキーボードに、やたら自己主張の強いうるさいドラムスが耳につくバランス極悪なサウンド(当時はやたら Keithの大仰なキーボードイントロがTVでジングル代わりに使われてましたねぇ)であったのを、当時殆ど無名だったベースとヴォーカルの Robert Berryがそのプレイで懸命に繋ぎ止めてなんとか曲の態にしていた、と考えるとむしろ本作3.2のサウンドの方がバランスは重視されていて、よりヴォーカル・オリエンテッドで纏まってる作風と言えなくもないんですけどね(汗

とまれ本作の評価は、何を求めてこのアルバムを購入したかで大きく変わってくるのではないでしょうか?

幻の3の復活という幻影や、故 Keith Emersonの残した楽曲や、彼の残り香的なものを求めている向きには十分に本作を楽しめると思います。

3というEL&Pを現代的にブラッシュアップしたバンドが、さらに今現在のモダン・サウンドで蘇るハズ! と思っていた向きには少々不満が残る出来に思うのではないでしょうか?

GTR、3、へ参加した後、米MAGNA CARTAレーベルお抱えミュージシャンとなって多数のコラボやトリビュート作や数多くのバンドの作品への参加を知るRobert Berry個人のファンで、彼のコンポーズ能力が活かされたキャッチーでフック満載なAOR&メロハー的なサウンドを求める向きは、残念ながら殆ど愉しむ事が出来ぬ一作となってしまうのではないかと…orz

まぁ、本作を購入される殆どが、3の続きや Keith Emersonが残した最後の作品を聞きたい、という忠実なファンの方達でしょうから、これ以上何か言うのは無粋でしょうし、この辺りで終わりにしておきます。



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# by malilion | 2018-08-01 11:14 | 音楽 | Trackback

CHICAGO meet DEF LEPPARDなプロジェクトPLANET3の声、CLIF MAGNESSの約24年ぶりの2ndソロがリリース!

c0072376_19483931.jpgCLIF MAGNESS 「Lucky Dog」'18

番組テーマ曲やCMで楽曲が取り上げられ91年当時知名度がメチャクチャあった事もあってAORファンやメロディアス系のサウンドを好む方以外でもご存じかもしれない、AIRPLAYやセッション活動で有名なギタリスト Jay GraydonとMichaelJacksonの“Man in The Mirror”の作曲者としても知られる Glen Ballardと組んだメロディアス・ポップ・プロジェクトPLANET3のヴォーカル、ソングライティングを担っていた Quincy Jones、Celine Dionや Avril Lavigne 等の大物アーティストに楽曲提供やプロデュ―スを行い、グラミー賞を受賞しオスカーにも顔を出すテキサス州出身の売れっ子シンガー&ソングライター Clif Magnessの約24年ぶりとなる2ndソロアルバムがリリースされたので即GET!

彼の名前とこれまでのキャリアを考えればアルバムを聞く前から隙ない売れ線バッチリな高品質ポップアルバムであろう事は分かっている訳ですが、なんとこんな素晴らしいアルバムが彼の本国USAでは未発売で、日本とヨーロッパ圏のみでのリリースだと言う。

米国ではもうこの手の完成度の高い産業ロック&AOR作へのニーズが乏しいらしいという事のようだが、俄には信じられませんね。

つーか、クソみたいな勢いだけのチープなサウンド鳴らしてるガレージバンドばかり持て囃して、こんなプロ中のプロの高品質作を評価する余地がシーンに無いなんて、アメリカの音楽業界は大丈夫なんでしょうか? ちょっと心配になってしまいます…

さて、こんなにソロ作の間が空いたのはひとえに彼は売れっ子で、自身の活動より他のミュージシャンとのコラボレートやプロフデュース、作詞作曲等の裏方作業に引っ張りダコだった為なのはその足跡を調べれば一目瞭然な訳ですが、そんな彼が久々に届けてくれたソロアルバムのサウンドは、意外な程にハードドライヴィングでワイルドなギターがフィーチャーされた、すわVAN HALENかGIANTかという疾走感あふれるロック・チューンが多目な一枚となっており、デビューソロ作やPLANET3に近いAOR系サウンドを予想していたので正直驚かされました。

裏方作業でソフトポップや売れ線メインの制約がある“お仕事”が散々に続いたので、その反動で本作のようなハードなギターをメインに据えたサウンドの、AOR作というよりも殆どメロハー・アルバムと言っていい構成になったのかもしれませんね。

ハード目なサウンド中心とは言ってもAORマスターの名に相応しく、美旋律と爽快感抜群なコーラスが心地よいAOR風な楽曲や、彼の力強くクリアなハイトーン・ヴォイスをバッチリとフィーチャーしたメロディアス・ポップな楽曲、それに当然、切なく叙情的なメロディが映えるミディアム・バラードまで、フック満載な歌メロが最後まで途切れる事なく展開されるヴァラエティ豊かで隙ない高品質なプロダクトが施された楽曲が目一杯詰め込まれた、シンガー・ソングライターにしてマルチ・プレイヤー、さらに辣腕プロデューサーとしても腕をふるってきた職人ミュージシャンが殆ど独力で創り上げた、正にプロフェッショナルな一作と言えましょう(*´ω` *)

まぁ、なんだかんだ小難しい事を考えなくとも、このキャッチーでフック満載の歌メロが秀逸なハード目なサウンドが心地よい高品質AOR&メロハーなサウンドに耳を傾ければ、メロディアスな音楽好きならば誰だって文句なしに楽しめるのは疑いない秀作でありますので、是非メロハー・ファンで彼の事を知らない方でも、迷う事なく手を出しても後悔する事無い一枚だと断言できます。

まだ磨かれていない宝石の原石の如き名も無いインディ・バンドのアルバムを漁るのも楽しいけれど、たまにはこういうプロ中のプロが創り出すプロフェッショナルな極上の一枚を愉しむのも、実に爽快でいいものですよねぇ♪


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# by malilion | 2018-07-31 19:43 | 音楽 | Trackback

これがバンド最終作!? 結成50周年を迎えた英国プログ・フォーキーバンドSTRAWBS

c0072376_12584511.jpgSTRAWBS 「The Ferryman's Curse」'17

後にYESへ加入するキボーディスト Rick Wakemanが一時在籍した事でプログレ・ファンにお馴染みの、1968年結成、69年アルバムデビューして以来途中一時活動休止期間を挟んで今日まで50年に渡って活動継続中な5人組英国産プログ・フォークバンドの23thアルバムが去年末にリリースされていたのを今頃GETしたのでご紹介。

前作から3年ぶりとなるこの新作だが、当初レビューするつもりはありませんでした。

いえ、ちゃんとアルバムは即購入ではないにしても毎回入手してたんですが、ここ数作の出来を見るに別段誰かにお薦めする事もない、旧来からのファンだけが彼等を支えればいいか、ってな感じの穏やかで鄙びた味わい深い作品が続いていたもので(汗

まぁ、そう言う事もあって、こんなに購入が後回しにされてたんですけどね(スマヌ

ブッチャケもうプログレでもなんでもないくたびれたオッサン(てか、もうお爺ちゃんか)のリーダー Dave Cousins(Vocals、Acoustic & Electric Guitars、Electric Dulcimer、Autoharp)が朗々と歌う、木訥な英国フォーク・アルバムでしかありませんので、今のロック・リスナーには刺激の乏しい、下手をすると聞いてる最中に寝落ちしちゃうかも、ってくらい穏やかなサウンドですから…

どうせ今回もいつも通りの出来なんだろ? と高を括っていたら予想外の良い出来に驚かされまして、慌ててここで紹介せねば! と、相成った次第でして(汗

正直、新譜だからと言って、もうネタも出尽くした今さら新しい驚きなど殆ど聞けぬベテラン・バンドの彼等ですが、ここ数作でアルバム毎にキーボードプレイヤーだけが入れ替わり立ち替わり出入りしていたので、そのメンツ変動が影響を及ぼしたかと察した通り恒例のメンバーチェンジが行われた模様です。

何と John Youngから16年の英国、北米ツアーにも帯同した同郷ケルティック・プログバンドIONAの Dave Bainbridge(!!)へキーボーディストがチェンジしており、その繊細にして流麗なキーボード・プレイのみならず、ハモンド、ブズーキィ、アコギと多彩な楽器でもってバンドサウンドに多大な貢献を果たし、2つのインストゥルメンタル曲を含む全10曲のアルバム収録曲の内、5曲にその名をクレジットされているという大活躍ぶりで、全く期待していなかった彼等のアルバムに、ベテランならではの“引き”の技が光る木訥なメロディながらも深い情感が潜む楽曲と如何にも英国バンドという煌びやかで気品に富むシンフォニックな美旋律を紡ぎ出し、そのメリハリの効いた楽曲展開でドラマチックなストーリーを感じさせるアルバムの完成度にかなり驚かされました。

また、アルバムタイトル曲は、デビュー作『Dragonfly』収録の“The Vision Of The Lady Of The Lake”の続編となる楽曲で、本作が噂されるバンド最終作だからこその続編曲を収録したのでは? というトピックも注目すべき点だろう。

フォーク的な楽曲構成をベースに、ピアノとオーケストラのストリングスが華麗に絡み合い、メロトロンやフルート、軽快なアコースティック・ギターが控え目ながら楽曲をしっかりと盛り立てる、最初の音符から最後の音符まで密やかに優美、そして味わい深い、という70年代後期の典型的なSTRAWBSサウンドの再現だけでも大変に魅力的なのに、彼等が最も支持されていた頃の美しいメロディーを備えた叙事詩を今風なモダンサウンドへアップデートさせているのが実に見事で、本当にコレでバンドが終わってしまうのだとしたら有終の美を飾るに相応しい秀逸な出来映えの、英国詩人 Dave Cousinsのプライドが垣間見えるさすがの一作と言えましょう。

出来る事なら最終作というのは何の根拠も無いデマだった、と後になって笑い話になる事を祈って、バンドサイトで50周年を祝っている彼等の次なる新作がヒョッコリ届けられるのを待つ事にしましょうか……



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# by malilion | 2018-07-31 12:52 | 音楽 | Trackback

華麗に蘇ったオランダの貴公子Robby Valentine率いるVALENTINEが新譜をリリース!

c0072376_00585091.jpgVALENTINE 「The Alliance」'18

オランダの貴公子こと、Robby Valentine率いるVALENTINEの14年リリース『BIZZARO WORLD』以来約4年ぶりとなるスタジオ・アルバムがリリースされたのをちょい遅れてGET!

確か最初のソロを含めて10枚目くらいだったはず(汗

最初のソロをバンドと捉えるかどうかや、国内盤未発のトリビュートアルバム等でアルバムのカウント数が変わってくるのがややこしい…

本作制作の前にQUEENトリビュート作をリリースした事も関係しているのか、やり切ったと思ったのか、今作のサウンドはいつもよりもQUEEN的なカラーが弱まっているように感じる。

いや、勿論未だにそこかしこでQUEEN張りな重厚なコーラスだったりフレーズなんかが聞けるけれど、初期のような露骨なフォロワー臭さは薄れているのは彼個人のオリジナリティの確立という点を考えても非常に良い事でしょう。

QUEENからの影響だけでなく THE BEATLES、MUSE、ELO、等がMIXされた本作は、一時のダーク&ヘヴィ路線から初期の作風へ戻った流れの末に一気にソフトポップ化しており、これまでで一番ハードなロック要素の薄いアルバムと言え、今までの彼のディスコグラフィを考えるとコレは大事件なのではないでしょうか?

ライナーで告白しているが Robby Valentineは過去数年間、重度のウイルス感染による片目の視力喪失など、プライヴェートで心悩ませるいくつかの問題を抱えていて、それが引き金になったのか鬱病も併発し、精神的に創作が厳しい時間が長かったと言う。

数作前のダークでヘヴィだった作風当時、その手の問題を抱えていた事が反映して、あの暗く粗い陰鬱な作風だったのだとすれば頷ける話だ。

その手の問題を本作創作中に乗り越えられたからなのか、前作までに漂っていた重苦しく張り詰めた雰囲気がアルバムから消え失せ、代わって初期のような若さ故の才気走った焦燥感とも違う、実に落ち着いた穏やかな何かゆったりとした空気感が本作のサウンドには漂っているように感じられるのは大変喜ばしい。

やっぱり彼のパワーは無いけれどデリケートで優しげな歌声やメロディックでキャッチーな音楽性には、ダークで陰鬱な要素は似つかわしくないものね(*´ω` *)

ただ、Robby Valentine自身が語っているが、David Ickeなるニューエイジ系などのUFO的な“キナ臭い”モノに絡んでいる英国ジャーナリストの提唱するレプティリアン宇宙人陰謀論が本作に色濃く反映している様子で、病や心の苦しみの救いをニューエイジ思想へ Robby Valentineが求めた結果、本作のどこか悟りを開いたような穏やかなサウンドへ音楽性が変化したのだとしたら、ちょっと先行きが心配だったりして…

サンタナもそうだったけど、昔から特定の思想やオカルトにハマる音楽家は結構いて、その結果サウンドが一気に解脱してあさっての方向へリスナーを無視して飛んでいってしまう事があるのがね…(汗

今の時点でニューエイジ思想の影響はまだ穏やかなサウンドのバックボーンになっているに過ぎず、QUEENからの借り物ばかりだったサウンドに一大変革をもたらす切っ掛けになったのだとしたら、ロック的な熱いスピリットは弱めな本作のサウンドだけれど全否定する事も出来ぬだろう。

SF的ファンタジーやシニカルな思想も垣間見える、美旋律と壮大なスケールで綴られたソフト・ポップな本作は、QUEEN張りの重厚なコーラスをフィーチャーし緻密に構築されたドラマティックな楽曲と内省的でデリケート、それでいて道化のようにナルシスティックな妖しい華やかさも併せ持った Robby Valentineというアーティストの個性が余すこと無く詰め込まれた、久しぶりに快く耳を傾ける事が出来る美しい芸術的作品だ。

ここまで褒めていてなんですけど、華麗さや美しさにのみクローズし、ロック的なダイナミクスやハードさ、スピードといった心躍る“熱い”要素が非常に薄い本作は、寧ろAOR作に近いと個人的には感じますね。

ファンの期待を裏切らない、とハッキリ言い切れないのが少々もどかしいが、良質なメロディアス作である事には間違いない。



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# by malilion | 2018-07-30 00:53 | 音楽 | Trackback

まさかの復活! 米国産メロディアスHRバンドGUILD OF AGESが再結成第一弾作をリリース!

c0072376_14120058.jpgGUILD OF AGES 「Rise」'18

米国産メロディアスHRバンドが復活し、前作から17年ぶりとなる4thアルバムをリリースしたのでGET!

クソったれなグランジーの波に全米が覆われる前の90年代に、如何にも日本人好みな80年代風味も残すメロディアス・サウンドを聞かせた前身バンドCAUGHT IN THE ACT(Bobby Barthがバンドに深く関わってAXEの弟分的な紹介もされてましたね)の2枚のアルバムが当時ゼロコーから国内盤でリリースされていたので彼等を知るメロハー好きな方も多いと思いますが、オランダの同名アイドル・グループ(!?)との混同を避ける為にGUILD OF AGESへ改名して活動を続けるものの、グランジーまっただ中なメロハー暗黒時代だった事や改名のゴタゴタの影響、そして時流を鑑みての音楽性のブレ等もあってか売り上げは伸び悩み、3rdアルバム『Citadel』を01年にリリースしたのを最後に02年に敢えなく解散してしまう。

時は流れ、14年にイギリスで開催されたFIREFESTへ一時再結成で招待されLIVEを披露したのが呼び水になったのか本格的にバンドは再始動となり、90年代から彼等に好意的な日本市場を鑑みてか、再結成第一弾作をここ日本で先行してのリリースと相成った訳です。

そうそう、これだけインターバルが空いたにもかかわらず、バンドの頭脳である Anthony“Antz”Trujillo(Guitars、Keyboards、Backing Vocals)をはじめバンドの顔であるフロントマンの Danny Martinez等もちゃんと居る、前作と同一メンツで再始動(風貌はワイルドさを増してるけど)してくれた事は素直に喜びたい。

再結成したはいいけれど、オリジナルのメンツが一人二人、しかもドラマーだけ、なーんてバンドは最早同じバンドでも何でもない集金集団ですからねぇ…

しかも、いつもの通りにAXEの Bobby Barthがプロデュースという、ホントに17年もシーンに不在だったのかと思わず疑ってしまう念の入りような、満を持しての再結成第一弾であります('(゚∀゚∩

で、内容の方でありますが、ハードエッジなギターにキャッチーなヴォーカルメロディ、華麗な分厚いコーラス、爽快でありながら憂いを漂わすウエットなメロディが美しいフックある楽曲、とCAUGHT IN THE ACTの2ndアルバムから続く新譜と言われても少しも疑わぬだろう、何の変哲もない90年代当時の米国産バンドらしからぬ仄かなユーロテイスト香るメロディアスHRサウンドをまんまに再現しておりまして、コレが今の耳で聞くと逆に新鮮でイイんですよねぇ~♪

勿論、今の時代のプロデュースを施されておりますのでサウンドはモダンで高品質ではありますが、なんだか妙に懐かしい、つい笑顔になってしまう、メロハー好きな諸兄なら分かって貰えるだろう実に安心出来る良質なメロディアス・アルバムなのだ。

当然、バンド消滅以降各自の活動を通して腕を磨いて来た事も関係しているのだろうが、楽曲も演奏も総じて安定安心の高レベルに纏まっていて、解散前より断然に奏でるサウンドやフレーズ、コーラス等が優れている点も見逃せません。

ああ、そういえば当初から幾分それっぽかったんですが、経年による変化の現れか歌い方の変化なのか、ちょっと Danny Martinezの声質が変化していて掠れる声になる時に、オランダのメロハー・バンドTERRA NOVAの Fred Hendrix(Vocals、Guitars)っぽく聞こえたりして、個人的に2828しちゃいましたね(*´ω` *)

スピーディーでゴリゴリな殺伐としたメタルサウンドやオーバープロデュースすれすれのドキャッチーな造り込まれたメロハーサウンドをお求めの方は決して手を出してはいけない、ハイテンションなインタープレイやテクニカルな技の応酬なんて皆無な、ちょっとノスタルジックな雰囲気を漂わす本当に奇をてらわぬ真っ正直なメロディアスHR作であります。

ファンは勿論、80年代後期~90年代初期のメロハー好きな方に是非お薦めしたい一作です。

また、最近CAUGHT IN THE ACTの2枚のアルバムがEscape Musicからカップリング・リマスター盤(2ndのジャケに手が加えられたジャケ)で、限定1000枚でリイシューされておりますので、彼等の昔のサウンドが気になった方がおられましたらそちらをチェックしてみるといいのではないでしょうか?

オリジナル盤をお持ちの方も、かなりクッキリとクリアで太い音になっておりますので、リマスター盤お薦めですよ。



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# by malilion | 2018-07-29 14:05 | 音楽 | Trackback

ツイン・キーボードを擁するオランダ産シンフォ・バンドHANGOVER PARADISEが待望の2ndリリース!

c0072376_14381342.jpgHANGOVER PARADISE 「Out Of Sight」'17

オランダのZwerus兄弟率いるツインKeyを擁する6人組バンドの4年ぶりとなる2ndをちょい遅れてGET!

2010年に結成され、13年にデビュー作『Mirrors』をリリースし、その80年代ポンプをベースに、より歌もの作品へ味付けしたようなシンフォ・ロックが心地よかった訳ですが、続くこの2ndでもセンチメンタルな甘いメロディとポップでキャッチーな要素も取り入れたドラマチックでクラシカルな楽曲が秀逸な、同一路線を継承するモダン・シンフォサウンドが展開されていて、デビュー作を気に入っていたファンの期待に十分に応える安心の良作となっている。

ただサウンドの路線は変わらなかったものの、このインターバルでメンバーチェンジが勃発した模様で、Peter Zwerusと Henk Zwerusの兄弟キーボーディストと、ベーシストの Cynthio Oomsのみ残留し、フロントマンを Elias de Vriesから Henk Bruggeへ、ギタリストを Pieter Nanuruから Richard Saimimaへ、ドラムスを Jeroen van Stenisから Daniel Bransへと大幅なメンバーチェンジが行われた模様だ。

テクニカルなインタープレイの連続でグイグイとハイテンションに突き進むタイプでない彼等にとって、フロントマンの交代劇という決して小さくないサウンドへの影響だが、前作の音域が狭く歌えるメロディに限界が見えていた Elias de Vriesと違って、新たに迎えられただけあって Henk Bruggeは太いミドルレンジが中心ながら高域もカヴァー出来る甘い声質の、ARENAの三代目フロントマンの Rob Sowdenに似たその歌声を得た事で、バンドのポップでフックある歌メロのレベルが一段も二段も上がって楽曲全体の完成度を上げるのに大きく貢献しているのは一聴してすぐ分かるだろう。

また、本作より Mac Drikusなるバッキングヴォーカリストを招いて、さらなるヴォーカルパートの充実に注力している点も見逃せない変化と言える。

ゆったり穏やかでメロゥなパートには前作同様にKAYAKやCAMELの影響が伺え、PINK FLOYDっぽいイントロやARENAを思い起こさせるテクニカルで複雑な構成のインストゥルメンタル・パートを聞くまでも無く、ユーロ圏プログ・ロックのカテゴリーに属する彼等のサウンドですが、陰鬱でややもするとメジャー路線を忌避する傾向にある英国プログレ・バンド群と違い、オランダという地がそうさせるのかより商業的な要素をそのスタイリッシュなサウンドに多分に含んでいて、カラフルなポップロックとソフトでアダルトなAOR要素の強いラジオフレンドリーなサウンドも垣間見えるのが、その他のユーロ圏のポンプ&シンフォ系インディ・バンド達との大きな差異ではないでしょうか?

華麗に響き渡るヴィンテージな音色のキーボードの美旋律と咽び泣くエモーショナルなギターで飾られた壮大で劇的なオーケストレーションをメインに、その上を柔和で甘い声質の歌メロが漂い、歌うようなベースラインとテクニカルでソリッドなドラムがエネルギッシュでシャープなリズムを構築し、時にポップなノリも交え軽やかに駆け抜けていくのが実に爽快だ。

そうそう、前作で楽曲の端々で感じられたHMテイストが消え、替わってPINK FLOYDっぽさやPENDRAGONっぽい“泣き”のギターの感触が増しているのは、どう考えてもギタリストの交代劇が影響しているのは確かでしょう。

Richard Saimimaって、PENDRAGONっていうか Nick Barrettのセンチメンタルでリリカルなギタープレイがかなり好きなんでしょうね(w

リーダーのZwerus兄弟が操るツイン・キーボードの音色がバンドサウンドのカラーをほぼ決定づけているのは確かではありますが、柔和なシンフォサウンドのこのバンドに置いてギタリストの紡ぐサウンドの質の変化はプラスへ大きく働いているので、このベンバーチェンジもバンドサウンドの質を向上させるのに地味に関係してると思っとります(*´ω` *)

ヨーロピアン・ロックらしいウエットなメロディを主軸に、古典プログレから現代のシンフォに至るまで多様なテクスチャを取り込んで再構築し、ハードさやスリリングさより美しさや艶やかさに重きを置いた、ツインキーボードだからと言って変に弾きすぎる事もなくAOR的売れ線のキャッチーさやも踏まえた、OPUS、GENESIS、MARILLION、IQ、PENDRAGON等だけでなく、TOTOやSAGAといったバンド群の影響もしっかりと血肉にした実にバランスの取れたそのモダン・シンフォサウンドはとても2作目と思えぬ完成度で、大幅なメンバーチェンジと短くないインターバルが彼等のレベルを飛躍的に高める為に必要だったのだとそのサウンドが語りかけてくるようだ。

ここまで手放しで絶賛しておいてなんですが、勿論物足りなく感じる点もありまして、折衷案的に複合要素をバランス重視で組み上げている為か、少々そつなく纏まりすぎているのとツインのキーボード編成ながらサウンド全体のスケール感がちょっと小さい点だけは残念であります。

古典的な重厚さあるシンフォサウンドや最先端のテクニカルさや真にプログレスする姿勢を求める向きにはお薦め出来無いが、程良くモダンでポップなメジャー路線に近い軽めのシンフォ・ロックがイケるという方にお薦めしたいモダン・シンフォバンドであります。


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# by malilion | 2018-07-26 14:31 | 音楽 | Trackback

南国の風、で連想するのがSEBASTIAN HARDIEならプログレ脳! NUCLEAR VALDEZなら陽気なラテン野郎!

c0072376_10551847.jpgNUCLEAR VALDEZ 「Present From The Past」'17

クソ暑い夏の日差しにグッタリ干涸らびかけていると、無性に聞きたくなるアルバムがありまして。
それが、今回ここでご紹介する“気怠げな南国の夕暮れ゙”を感じさせるサウントなバンドであります。

実は今年もレコードラックに手を伸ばし、アルバムに耳を傾けつつ何気なく彼等の事を検索してみたら…え!? 去年の4月末に音源がリリース!?

USフロリダで結成されマイアミを拠点に活動し、そのモダンでラテン風な哀愁メロディが注目を集めた、キューバやドミニカ共和国出身者で構成されたポップ・ロックバンドの、全世界を覆ったグランジーの波に呑まれ敢えなく所属レーベルのSONYをドロップする憂き目にあった後に制作された80年代後半時期頃のDEMO音源が、アナログ盤オンリー(LP)ながらリリース(DL販売済)されていたのを今頃知った…Σ(゚д゚lll)

収録曲は計8曲で、全てアルバム未収録曲となっております。

00年に久々にアルバムをリリースしたものの、その後一切消息が伝わってこなかった事からとっくに解散していたものと思っていた訳ですが、メンバーの Froilan Sosaのインタビューを見る限りその予想は外れてはおらず、既にNUCLEAR VALDEZはパーマネントなバンドとして常時活動していない模様で、Froilan Sosaも半ば表舞台から身を引いているようだが、それでもファンの声に応えて不定期にLIVEを行ったり、こうして音源をリリースしてくれたのをまずは感謝したい。

ギター中心のブルージーなシンプルサウンドなれどラテンフレーバー漂うアダルティックでアンニュイ、それでいて心地よいポップさも伴った楽曲が素晴らしい4人組バンドによる、SONYからの89年メジャーデビュー作『I Am I』は英国でスマッシュヒットを飛ばし、続く92年にキーボード中心なよりメロディアスでメランコリックなサウンドへ変化し、一気にAOR&ラテンテイストを強めポップ化(個人的に彼らの最高傑作と思っとります!)が加速した2nd『Dream Another Dream』をリリースしたものの活動は滞り、敢えなくメジャーレーベルよりドロップして消息不明になってしまう。

しばしの後、00年により落ち着いたシンプルサウンドながら楽曲の完成度は実は今までで随一な3rd『In a Minute All Could Change』をUS再販中心レーベルからリリースするが、この時点でオリジナル・ギタリスト Jorge Barcalaが脱退した3人組バンドとなってしまう。

アルバムには Dan Ceratelliなるリードギタリストが招かれ作曲にも数曲で参加もしているが、最新のLIVEフォトでは3人組になっているのを確認するまでもなく、早い段階でバンドを脱退した模様だ。

時流がら仕方が無いがダーティでラウドなギターサウンドが耳に付くものの、特に奇をてらったサウンドでもなく、ドポップでキャッチーという訳でもなく流行に乗っかった訳でもないサウンドでは弱小レーベルリリースのアルバムがそう話題になる訳もなく、この後自然消滅的に彼等の情報は入ってこなくなる……

本作は、その3rd制作のかなり前にセッションされたDEMO音源という事で、3rdほど落ち着いた枯れた味わい路線へいっていないラフでシンプルなそのサウンドは寧ろ1stに近いものを感じさせます。

ただ、次なるメジャーとの契約も目論んでいたのか、多分に時流を意識したっぽいアングリーテイストを漂わす暗めな粗いサウンドは、正直、彼等っぽさが薄いサウンドだなぁ、とは感じました。

メジャーとの契約を諦めて挑んだ3rdのサウンドには、むしろ清々しささえ漂っているように思えるので、このDEMO音源の方向性でメジャー契約した末にアルバムがリリースされる事なく終わったのは、今から考えれば彼等のファン的には良かった事になるもかもしれませんね…

さて、やはりこのバンドを語るとなるとどうしても外せないのが、ボーカルにして、ギターやキーボードもこなすバンドの頭脳 Froilan Sosaの気怠げで艶っぽく、男の色気を漂わす渋みある歌声についてでしょう。

日本独自ジャケ(世界共通のオッサンジャケはイメージブチ壊しだ)が秀逸な1stのシンプルなギターサウンドに乗っかるブルージーな歌声より、シンセやリズムマシーンを中心にしたよりメジャー志向な2ndの楽曲に乗っかるスムースで熱を秘めたアダルティックでありつつ、ロックぽい力強さと渋さを感じさせるマイルドで伸びやかな歌声が実に映えます。

特にゴスペルコーラスや管楽器なんかもフィーチャーされて、よりアメリカン・ポップさとラテンフレーバーや黒っぽいヴァイブが絶妙にミックスされたモダン・ポップサウンドの完成度はかなりのもので、どうしてコレが当時メジャーで受けなかったのか不思議だと常々思っとりましたから。

本当に全米を襲ったグランジーのクソ波は一体どれだけの有望なメロディアス・ロックバンドの命運と前途有望なミュージシャンの未来を奪ったのか、想像するだけで腹立たしい限りであります(#・ω・)

シンプル且つ哀愁の漂う歌モノなロックポップもイケる! と、いう方に是非お薦めしたい、そんなバンドであります。

本作はサウスフロリダのレコードストアで発売され、現在もアマゾン等で購入可能なので、ダイハードなファンな方は見逃せませんね。



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# by malilion | 2018-07-17 10:48 | 音楽 | Trackback

まだLEPSコピーバンド丸出しだった頃のGRAND DESIGNの2ndがリイシュー!

c0072376_13360846.jpgGRAND DESIGN 「Idolizer Re-issue.ver」'18

北欧スウェーデンのLEPSコピーバンド(当時)と話題になった彼等の2ndにボートラが加えられ、今年4月末にリイシュー済と小耳に挟んだので今頃GETしてみました。

オリジナル・リリースはAOR Heavenからでしたが、今回から契約を本国レーベルSHARP Music Swedenへ移してのリイシューとなっております。

Track List
01.Get On With The Action
02.Change Me Up
03.Oughtograuph [2017]
04.Your Love's A Runaway [2017]
05.Stealin' My Love
06.Let's Rawk The Nite
07.Addiction For Love
08.Idolize Me
09.Rawk Back To The 80s
10.You're Gonna Dig On It [2017]
11.Oughtograuph [Original ver]
12.Your Love's A Runaway [Original ver]
13.You're Gonna Dig On It [Original ver]

Remastered&Remixedでのリイシューにあわせてジャケット・デザインが新たに変更されております。

オリジナルのデザインも悪くなかったんですが、まぁ、抽象的過ぎると言えばいそうなのでもっと分かりやすいイメージへ変更したのでしょう。

どうやら今後はヒョウは登場させず、SFというか宇宙的なイメージ、もしくはサイバーなイメージで以後はバンドカラーを纏めようとしているのかもしれません。

またトラッリストを見れば一目瞭然ですが、ボートラとはオリジナルバージョン音源の事で、今回のリイシューに合わせて全体のサウンドをリマスタ-、そして3曲を17年リミックスヴァージョン音源に差し替えただけのアルバムです。

オリジナルリリースからそんなに時間が経過しておらず元々音がメチャメチャ悪くもなかったので、聞き比べれば分かりますが別段驚く程にリマスターとリミックスの効果でサウンドが変わっているとか楽曲イメージがガラリと変わるって事もないので、ダイハードな彼等のファンか音源マニア以外は手を出す必要はないでしょう。

具体的な変化でいうとリミックス音源は大まかに、ギター・サウンドが少々追加され前に押し出されたMIXなのとハーモニー・ボーカルのヴォリュームが上げられている点、そして Janne Starkによる新しいギターソロが追加され、80年代のポップヒットメーカー LILI&SUSIEの Susie Paivarinta嬢によるバッキングボーカルがトラック04に追加れている点が特に大きな変化と言えるでしょうか?

勿論、彼等の2ndをまだお持ちでない方はこちらのリイシュー盤をお求めになった方がお得ではあります。

なんでも本国を中心にDEF LEPPARD懐古サウンドがユーロ圏各国で大受けしたらしく、既に1stはレーベルでも完売だとか。

まぁ、元々DL中心な今の市場を考えるとそんなに数はプレスしてなかったんでしょうけれど、それでも北欧の弱小マイナー・コピーバンドのデビュー作が完売とは恐れ入ります。

そんな好評もあってレーベルを本国へ移しての本作のリシューという運びなのでしょうが、ドイツを中心に昔からSWEETやSAGAなんかのポップでメロディアス、そしてキャッチーなバンドが好まれていた層の需要に、本家DEF LEPPARDが再現しない旧ゴージャスサウンドを臆面もなくパクりまくるという禁じ手(笑)がドンピシャでハマったって事なんでしょうかね?

とまれ本家LEPSのサウンドを下地に遂にオリジナリティある魅力的なサウンドを構築しはじめた彼等の新作が早く聞いて見たいものです。



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# by malilion | 2018-07-16 13:30 | 音楽 | Trackback

まさかの15年ぶりの復活! USシンフォバンドTEN JINNの新作は完全に別バンドの傑作だ!

c0072376_17151109.jpgTEN JINN 「Sisyphus」'17

まさかの復活を果たした4人組USA産シンフォ・バンドの、17年初頭にDL先行でリリースされていた15年ぶりとなる4thがプレスされ現物がリリースされたので即GET!

リーダーの John Paul Strauss(Vocals&Keyboards&Acoustic Guitar:有名なオーストリア作曲家の血脈に連なると自称)が3rdアルバム『Alone』'03を置き土産にスウェーデンへ移住するのに伴ってバンドは消失と思っていた訳ですが、実際は04年に米国へ戻り音楽学校で勉強を始めていたんですね…

数年後、音楽大学を無事卒業し、再びバンドを再集結させた彼が放つのは、ピアノとオーケストラの為に作曲された8つのパートから成る26分越えの交響曲『Sisyphus』の、ヴォーカル入りとインスト・ヴァージョンの2ヴァージョン、つまり楽曲としては1曲のみ、を2トラックだけ収録した変則的なアルバムだ。

ポンプの唸りも消え失せた1991年 John Paul Straussを中心に結成され、幾度かのメンバーチェンジを繰り返して97年に『Wildman』でデビューを果たすが、その1stアルバムに元HAPPY THE MANの Stanley Whitaker(G)をゲストに迎えるなど、70年代に活躍した同郷USAプログレ・バンドHAPPY THE MANの影響が、クリアーなフュージョン的サウンドを主体とするそのサウンドから色濃く窺える事は自他共に認める所だろう。

無論その他にも、GENESIS、GENTLE GIANT、JETHRO TULL、QUEEN、SAGA等といったバンドの影響も窺え、それら一連のプログレ&シンフォ系のサウンドにAORやニューウェーブ、その他にもハードロック要素や中世民族音楽等、様々な音楽要素をパズルのピースの様に組み合わせて加え、キャッチーなメロディ、緩急あるダイナミクス、巧みな楽曲構成、精巧なオーケストレーション、そして耳を惹くインストゥルメンタル・パッセージをコンパクトにまとめ上げ、アメリカ産バンドらしく鮮やかで爽快感のあるモダンでシャープな知性派シンフォ・サウンドをデビューアルバムでは披露している。

また、USA産シンフォ・バンドながらパワフルさやスピードといったサウンド要素は余り感じとれず、キーボードだけでなくMIDI Guitarも操るギタリスト Mike Matier(後にUS産YES系シンフォバンドHELIOPOLISとBOX OF SHAMANSへ参加)のプレイやChapman Stickやキーボードも操るベーシスト Matt Overholtzerのプレイもあってシンセサウンド主体なSAGAっぽいカナダ産ポップスっぽく聞こえ、その印象に拍車をかけるのがSAGAの Michael SadlerとVDGGの Peter Hammillを足して二で割ったような John Paul Straussの柔和で涼やかな歌声のイメージが大きくバンドサウンドのカラーを決定づけていたように個人的には思えます。

アッサリ気味だったデビュー作から打って変わり、Anne Riceのヴァンパイア誌『The Vampire Lestat』と『Damned of Queen』にインスパイアされた99年の2ndアルバム『As On a Darkling Plain』ではのっけから40分越えの大作を披露するなど、コンパクトなバランス重視から一気にシンフォバンドらしい大作志向へ路線変更し、JETHRO TULLとHAPPY THE MANを融合させたかのような、シャープでクリアーながら未だにポップさも保っているミステリアスなサウンドの、芝居がかったヴォーカルが好みを分ける出来には驚かされた。

バンドメンツに変動もなく、デビュー作に続き Stanley Whitaker(G)を再びゲストに迎えるなど総じて出来は悪くないものの、クリエイティビティの高まり故の大作だったのだろうが、教会オルガンやハープシコード、そして合唱団等で盛り上げているにも関わらずそのサウンドにはユーロ圏のバンド達が表現している“深み”や“艶”といったものが欠け(やっぱサウンドが軽いんだなぁ…インディ作だし仕方が無いけど)て聞こえ、また John Paul Straussのヴォーカルスキルもそういったコンセプト作的な物語を表現出来る程に高くなかった(声質はいいんだけどね…)のもあって、この手の重厚な大作に挑むのはバンドのポテンシャル的にも爽やかでスタイリッシュなサウンドが似合うバンドカラー的にも厳しいと当時感じたものです。

しばしのインターバルの後、03年に3rdアルバム『Alone』がリリースされたが、ここでアルバムデビュー以来初となる大きなメンバーチェンジが勃発し、ベーシストの Matt Overholtzerが脱退し、2ndリリース後に脱退していたギタリスト Mike Matierはバンドへ復帰、さらに新たにギタリスト Kenneth Skoglundを加え、ベースはドラマーの Mark Wickliffeが兼任でレコーディングするという変則的5人組編成になってしまう。

John Paul Straussと Robert NiemeyerのダブルキーボードにMIDIギターも操る Mike Matierがキーボード的ギターサウンドも添えるというSAGA的なキーボード偏重編成から、ツインギターに加えダブルキーボードという如何にもプログレ的な音の厚みとライヴパフォーマンスを重視したバンド編成で、しかも楽曲によってはギタリストとベーシストをゲストに迎えて制作された3rdアルバムのサウンドは、これまでのキーボード主体サウンドより明らかにワイルドでラウドなギターサウンドが活躍しているものの、けれどそれ程重厚にはなっておらず個人的にはこのツインギター編成には余り意味を見いだせませんでした…('A`)

またサウンドの方向性が今までのシットリしたウェット感とユーロテイストの色濃かったシンフォ系サウンドから様変わりし、朗らかワイルドなアメリカン・ロック要素が強く感じられる楽曲が多く、爽やかな分厚いヴォーカルコーラス等も今まで以上にフィーチャーされたり、キーボードの音色も妙にシンセシンセした明るいサウンドにアコースティックギターが絡むなど、今まで見受けられなかった要素が大きくクローズアップされた創りになっており、なんだかサウンドが散漫な3rdを最後に彼等は音信不通になる訳ですが、そのイマイチな出来を思うと当時そう寂しくもなかったように記憶しております(汗

そうそう、そんな方向性だったからなのか3rdには Stanley Whitaker(G)が客演していないのも妙に納得でしたね、当時。

さて、再始動した本作のバンドメンツですが、リーダーの John Paul Strauss(Vo&Key)は無論、 デビュー作以来ずっとリーダーを支え続けているドラマーの Mark Wickliffeも当然そこには居て、Mike Matierと Kenneth Skoglundのギタリスト2人も再び参加しているものの、キーボーディストの Robert Niemeyerの姿は既にそこには無く、未だにベーシスト不在なままの正式メンバーは4人のバンドとなっている。

当然、ベースはゲストプレイヤーが迎えられている訳だが、なんとここでも何度か紹介した事のあるドイツ人ギタリスト Derk Akkermann率いるポップ・シンフォバンドSARISの93年デビュー作『Dead End Street』にのみキーボーディストとして参加(!?)していた Stefan Kramer(まさかの同姓同名?)が本作ではベースとトロンボーンをプレイしていて驚かされた。

本当に同一人物だとしたら、一体どういった経緯でキーボーディストだった彼がベーシストとしてアルバム制作に参加したのか、ちょっと興味津々であります(w

その他にも Helena Skoglundと Evelyn Haddadなる2人の女性をバッキングヴォーカリストにゲストで招くだけでなく、メンバー全員が本作ではバッキングヴォーカルにも加わりこれまで以上にヴォーカルパートへの拘りが感じられる構成になっているが、時を経て放つ本作では再び2ndと同一路線の組曲形式の大曲を披露する方向へ軌道修正した模様で、一聴して全く別のバンドかのような華麗にして重厚な、正にENID張り(!!)のシンフォニック・サウンドになっていてこの大変貌にはファンならずとも度肝を抜かれる事だろう。

学校で音楽を学んだ成果が十分に発揮されたのか、まず最大の弱点(個人的には強みでもあると思っていたけど…)だった軽いサウンドが一気にユーロ圏のシンフォ・バンド群にも引けを取らぬ、クラシカルさとシアトリカルさが妖しくそして優雅に混ざり合った壮大な作風へと様変わりしていて、正に2nd当時に欲しかった艶やかさと深みを伴った殆どクラシック音楽と言ってもいい美旋律がど迫力のオーケストレーションで描き出されている(*´ω` *)

また John Paul Straussの歌声にも経年による変化が見て取れ、以前より幾分渋みを増したちょっとPENDRAGONの Nick Barrettっぽい歌声になっており、それがこの重厚にしてドラマチックなアルバムのサウンドに実にマッチ(お察しの通り、決して上手い訳ではない)していて、以前は聞く事のなかった優雅に軽やかに舞い踊るかのような入魂のピアノ・プレイも相まって、15年の隔絶は決して無駄ではなかったのだと証明してくれている。

ピアノやストリング中心でオーケストレーションがサウンドの根幹を成しているものの、バックのギターやリズム隊、そして女性バッキングヴォーカリスト達も目立たないながらも楽曲を適切に盛り上げる役割をしっかりとこなしており、これまでの彼等のアルバムを一切聞いたことなくとも本作だけでも十二分にその美しく幻想的なシンフォニック・サウンドを愉しむ事が出来ると言えましょう。

いや、ホントにもうコレって殆ど別バンドだから(w

ENIDファンは無論の事、クラシカルなサウンドが好きな方や重厚にして華麗なシンフォニックをお好みの方に是非お薦めしたい、そんな一枚であります!('(゚∀゚∩



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# by malilion | 2018-07-09 17:09 | 音楽 | Trackback

謎に野郎のツインヴォーカル編成へ。チェコ産シンフォHMバンドSYMPHONITYの2nd!

c0072376_15345399.jpgSYMPHONITY 「King Of Persia」'16

北欧ドゥームHMの開祖CANDLEMASSの前身バンドNEMESISと同名ながら人脈的も音楽的にも一切無関係ないHM辺境国チェコ共和国(旧チェコスロバキアのドイツ寄り側)から03年に日本盤デビューを果たした後、08年にフロントマンの交代やメンバーチェンジ、さらにレーベル移籍を経てバンド名をSYMPHONITYへ改めデビューし直したkey入り5人組バンドの、前作『Voice from the Silence』より約8年ぶりとなる2ndアルバムを今頃ご紹介。

アルバムのリリース間隔の長さもさる事ながら、バンド名の変更や音楽性の変化、そして情報の入って来難い東欧マイナーHMバンドと言う事で、既に彼等の事を忘れてしまっている方も多いかもしれないが、18年現在まだちゃーんとバンドサイトも残っている、デビュー以来地道な努力と活動をコツコツ続けるマイナーHMバンドのお手本のようなバンドであります。

NEMESISのデビュー作『Goddess of Revenge』は、HELLOWEEN風ジャーマンHMをベースに北欧シンフォニックHM風のマイナー調でメロディックな臭メロをまぶした北欧メロハーの雄 SONATA ARCTICA“っぽい(ココ重要)”スタイルで、その実にB級臭メロ映えするDARK MOORやHEAVENLYと同系統の拙い演奏&クサクサB級メロスピ定番ツーバスドコドコ疾走シンフォHMサウンドに、ここ日本の愛好家達も泣いて喜び好評を博した訳でした。

続く改名後の第一弾作では、ドイツ人の元DIONYSUSのフロントマン Olaf Hayerを迎えた事で一気にヴォーカルパートのレベルが上がり、線は細いながらも甘い声質でなかなかマイナー北欧疾走HMにマッチしていた Vilem Majtner(Vo)に無い太く力強い歌声と暑苦しい圧しの強さ(汗)が加わってバンドサウンドがさらに進化発展し、NEMESIS時代の東欧産らしい叙情感あるマイナー臭が減ってスタイリッシュでテクニカルな近年のSTRATOVARIUSサウンドへ接近した、よりメジャー志向でモダンなメロディック・パワーHMへとサウンド路線を微調整した一作で、それでも未だにクサメロスピのウェット&マイナーな残り香がそこかしこからプンプン発散され、大仰な表現と劇的展開で怒濤の如く圧しまくるマッチョな濃密さが少々鼻につく、メジャーHMバンドが失ってしまったマイナー臭を未だに漂わすが故に東欧産バンドというアイデンティティと相まってテクいモダン・ジャーマン&イタリアン・メロパワと近似サウンドだけど微妙に唯一無二のオリジナリティを保っている、A級までもうチョットな遮二無二に突っ走るB級HMアルバムを個人的に今でも大変気に入っております。

で、長らく待たされた末にやっとリリースされたこの本作ですが、この短くないインターバルも影響したのか残念な事に再びメンツに変動があった模様です。

SYMPHONITY改名と前後して、後にCRADLE OF FILTHやMASTERPLANに加入する事になる名手 Martin Skaroupka(Ds)と、DIONYSUSで活動した Olaf Hayer(Vo)、そしてやっと専任ベーシストの Tomas Celechovskyを迎え入れてバンド体制の充実とサウンドの軌道修正を図った彼等ですが、本作制作中の12年に不幸にして Tomas Celechovskyを病で亡くすアクシデントに見舞われ、替わって Ronnie Konigなる新ベーシストを迎えるゴタつきでアルバム制作が遅れたのと、なんとHELLOWEEN、そしてBLIND GUARDIANの遺伝子を継承するジャーマン・メロディック・パワーHMバンドSINBLEEDの Herbie Langhans(Vo)が新たに加わったツインヴォーカル編成(!?)の6人組となって初めて制作されたアルバムとなっている。

311やZEBRAHEADなんかの所謂ミクスチャー・ロックバンド系なら見かけるし、ゴス系なら男女ツインヴォーカル編成は定番なものの、MH系で、しかも野郎のツインヴォーカル(楽器兼任ヴォーカルでない)というのはなかなかお目にかかれないので、やはりこの点が本作の一番の話題なのは間違いないでしょう。

しかも、タイプや声質や毛色の違うフロントマンで差を出すという作戦なら分かるが、熱唱系の比較的似ているヴォーカルスタイルと声な二人をフロントに迎えた意味って、正直コレありますぅ? ってのが初めてこのアルバムに耳を傾けた時の偽らざる感想だ。

大体、それぞれが独立して歌う楽曲が殆どで、掛け合いだったりハモりを効かせたり、二人でデュエットしたり、というパートは殆ど聞かれない、またはソレを強く押した楽曲の造りではない、なんて一体なんの為のツインヴォーカル編成なのか甚だ疑問であります。

もしかして、楽曲の制作は殆ど終わっていたけど話題性を考えてレーベルと政治的な取引で Herbie Langhansが新たにバンドへ加入した、だから楽曲ではツインヴォーカルの利点は活かされていないんでしょうか? デュエットしてるはしてるけど、2曲だけじゃなぁ…しかも、殆ど効果を生み出してない構成っていう…

つーか、8年も待たせたんだし、今更多少遅くなろうとファンは気にもしないし、そもそも存在を忘れてるくらいだったんだろうから、ちゃんとツインヴォーカルを活かした構成の楽曲を収録したアルバムを届けて欲しかったなぁ…('A`)

寧ろ、ハモりやツインの構成を活かしてるのはリーダーの Libor Krivak(G)が奏でる自由奔放なリードギター・プレイだったりキメのメロディアスなフレーズばかりで、これまでに無いくらい爽快でポップなフィールの、フュージョンにも通じるクリーンでモダンなギターサウンドが飛び出してきて驚かされるばかりでした。

ギタープレイがそうだから、と言うだけの理由ではないだろうが、これまでの北欧HMスタイルを取り入れた、シンフォニックで力強く、そしてドラマティックな曲調が特徴な疾走感溢れるクサメロが仄かに香るメロディック・パワーHMな作風に変化が起こり、従来の北欧風な透明感と哀愁漂うマイナーなユーロテイストある繊細なメロディや遮二無二突き進む疾走感が大きく後退し、ググッと男臭くタフなヘヴィネス・サウンドが強まって、荒々しいダークでパワフルなサウンドが強く押し出されたドイツ産モダン・ヘヴィネス・バンドお得意のミドル&ファストな鈍色パワーHMサウンドに接近したイメージで、バンド結成以来メインとも言えた臭メロのメロスピ・タイプな楽曲は完全に脇役に押しやられてしまっている。

ただ失うモノもあれば得たモノも大きく、キャリアに裏打ちされた確かなバンドサウンドとアンサンブルの質は高く、デビュー間もない頃の殆ど差異の無い音楽性が本作においては多様になり、曲調も幅が拡がって、オペラチックな大仰なコーラスをフィーチャーした重厚なシンフォHMやポップでキャッチーなフィールあるメロ・ハーHM、そしてメインのザクザクしたリフで重く鈍く攻め立てるミッドテンポ主体なパワーHM等と、実にバラエティに富んでおり、アルバムにしっかりとした起承転結の流れと深い叙情の陰影を生み出していて、一気に最後まで聞き通させる魅力を放っている点には驚かされた。

この手のデビュー作の疾走感と勢いが売りだったマイナー・バンドがキャリアを重ね、サウンドの幅を拡げて音楽性の深みを増したサウンドを披露した時、大抵感じるガッカリ感と新しい魅力が与えてくれる喜びの差が問題な訳ですが、残念ながら彼等の場合はガッカリ感の方が少々大きかったかな、というのが正直な感想であります。

やっぱり、曲調の変化以上にパワフルに歌えるヴォーカリストを二人も備えた贅沢とも言えるツインヴォーカル編成の効果が殆ど活かされぬ楽曲への失望が大きいですね…うーん…orz

所で、『Voice from the Silence』でも聞く事が出来き、本作でもアルバムタイトルになるくらいでバッチリ楽曲中でも奏でられてもいる、アラビックなフレーズやミステリアスなメロディ展開は恐らくリーダーの Libor Krivak(G)の嗜好によるものだろうが、東欧産のメロディック・パワーHMバンドが中近東風メロディを頻繁に奏でるのって中々興味深いですよね。
デビュー当時からお手本にしてるHELLOWEENやSTRATOVARIUS、そしてSONATA ARCTICAでは余りそんなサウンド要素は聞けない事を考えると、もしかしてコレって彼の叙情味溢れる技巧派プレイスタイル的にインギーの影響を受けたって事なんじゃ、とか妄想は尽きませぬ(w

ともかく作を重ねる毎に焦点を絞り、少しづつサウンドの幅を拡げて到達地点へ愚直に邁進してきた不器用な彼等が、本作で一気にサウンドの幅を拡げた副作用でかサウンドの焦点がボヤけてしまい、なんだか迷走しているように思えて仕方がありません。

出来る事ならば、次作はそんなに待たせずに疾走感を取り戻した、まとまりある新作を届けて欲しいものであります。



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# by malilion | 2018-07-06 15:27 | 音楽 | Trackback

これが最終作なの? UNRULY CHILDの5thはメロハー・ファンには厳しい内容だ…

c0072376_16383272.jpgUNRULY CHILD 「Can't Go Home」'17

華やかな80年代アリーナロックの眩い残光に包まれ92年にデビューしたUSA産メロハー・バンドの、幾度目かの休止を経てのEP『Down The Rabbit Hole」』リリースから3年ぶりとなる、アーカイヴBOXセット『Reigning Frogs』の少し前にリリースされた、今の所最新アルバムを1年以上遅れて今頃ご紹介(汗

前アルバム『Worlds Collide』'10でオリジナルメンバーによる待望のリユニオンを果たしたものの活動は継続せず、ネットDLのみでEP『Down The Rabbit Hole」』をリリースするなどイマイチ活動が軌道に乗らぬ彼等ですが、ともかく本作でもオリジナルメンツの態は保って25周年の節目に新譜をリリースしてくれた事は、ファンならば誰もが文句無く感謝したいだろう。

まぁ、結成前からそれぞれ名の知れたバンドのメンツであり、最初の解散の後も、それぞれ新バンド結成やセッション、プロジェクト、ソロ活動等と各自精力的に活動しており、既にUNRULY CHILDでの活動はプライオリティの低い事柄なのだろうし、今後の活動継続は不透明とこの時点でコメントしている所を見ると、これがUNRULY CHILDとしての最終作と捉えてもいいかもしれない…(つд`)

そういったバンド活動の内幕の情報にも増して本作について一番の話題は、サウンドの方向性が一気にAORテイストの比重が増えた、所謂渋めなバランス重視のオーセンティックなポップロックに変わり果ててしまった事だろう。

EPのサウンドには未だにメロハー・テイストがそこかしこで感じられたのに、本作においては以前の彼等のアルバムで聞けたメロハー的な尖った部分や、ハードドライヴィングするスピーディなサウンド展開やヘヴィなボトムといったHM的要素が殆ど姿を消し、デビュー作で聞かれた造り込まれ磨き抜かれた人工的で濃密な厚みある爽快産業ロック的サウンドといった要素のみが残った、下手をすると Marcie Free(Vo:元Mark Free)のソロアルバムと言ってもいいくらい衝動に乏しい普通のロック・アルバムなのだ。

勿論、キャリアの長い名うての名手揃いな彼等のアルバムなのでプレイやプロダクション、楽曲アレンジ等に野暮ったさなど皆無でケチのつけようなんぞないハイクオリティな仕事ぶりなのだが、どこか冷めた感触さえあるアーバンな雰囲気漂うシャレオツなモダン・ポップサウンドの質は総じて高い(アレンジがアッサリ目なんだよなぁ…)ものの、最早コレは溌剌としたキャッチーでポップでフック満載なメロディアスHMサウンドをクリエイトしてくれていたUNRULY CHILDではないのが悲しい……orz

長いキャリアを誇る彼等なのだし、ましてやメンツの変動やリユニオン等あってサウンドの方向性が変化するのは当然だろうし、ソレを否定もしないけれど、UNRULY CHILDをUNRULY CHILDたらしめていたサウンド要素が殆ど姿を消した、Marcie Freeの歌声のみが残った現状には…流石に…ねぇ?(汗

Marcie FreeのソロAORアルバム、って言われた方が納得出来るサウンドなんですよね…ホントに…寧ろ、そうだったら手放しで歓迎してる質の高いAORアルバム(裏で薄っすら聞こえるコーラスがTOTOっぽかったりELOやCHICAGOっぽかったり♪)だと思いますもの…

アーカイヴBOXセットをリリースした事でもあるし、実際他での活動がメインなメンバー達からしてみたら既にUNRULY CHILDは実体のない過去のバンドなのかもしれないが、最終作かもしれぬアルバムがこの出来なのは悲しすぎる…

叶うならば次なる新作で、一連のネガティブな感情を吹き飛ばすようなキャッチーでフック満載なキンキンにド派手な懐かしのメロハーサウンドをひっさげて再び新譜を届けて欲しいものである。



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# by malilion | 2018-07-05 16:32 | 音楽 | Trackback

TWELFTH NIGHTいつもの再発盤シリーズ

c0072376_09212594.jpgTWELFTH NIGHT 「Fact And Fiction ~The Definitive Edition~」'18

UKポンプ・ロックの代表的グループの一つであるTWELFTH NIGHTのお馴染みのDIGITAL REMASTERED再販盤シリーズが届けられた。

オリジナルメンバー Rick Battersby(key)が一時的に不在だった四人編成な事も大きく影響したのか、典型的UKポンプに当時流行だったニューウェイヴテイストを加えた癖の強くパワフルでパンキッシュなサウンドが特徴の、今で言うプログレHM的な独自のハードシンフォ・サウンドを確立した彼等の代表作3rdアルバム『Fact And Fiction』'82が、今もファンを魅了し続ける亡きカリスマ・ヴォーカリスト Geoff Mannの強烈な弾けっぷりとエキセントリックに感情を迸らすLIVEパフォーマンスが楽しめる音源等を追加収録して3枚組で再発だ。

Disc1『Studio 1982』は、オリジナルアルバム『Fact And Fiction』にデジタルリマスター処理が施された音源に、以前US再発盤でも収録されていたアルバム未収シングル&未発表曲等4曲をボーナストラックとして加えた一枚で、Disc2『Live & Demos』は、今回初出となる83年の Geoff Mann脱退が決まって行われたサヨナラLIVEで録音された音源を含む未発表LIVE音源(83年11月&84年3月英国ロンドン公演、08年オランダはロッテルダム公演、既発盤『MMX』収録の2010年5月英国公演、2012年9月&12月の英国ロンドン公演)と、『Fact And Fiction』制作時の未発表DEMO音源を収録した一枚、Disc3『Cover & Interpretations 1983-2018』は、バンド自らによるセルフカヴァー等や、PENDRAGON、GALAHAD、Clive Nolan、Alan Reed & Kim Seviour等による本年度18年に録音された新しいカヴァー音源を含む既にリリース済みなコンピ盤や企画物収録の既発音源集となっている。

各バンドのカヴァーは基本的にはオリジナルに忠実な演奏だが、それぞれ自分印を感じさせる微妙なアレンジやフレーズ、ソロ等を織り込んでいるので、オリジナルとの差異やカヴァーしているバンドの個性を味わえるUKポンプアーティスト・コンピ作のように楽しめもする(*´ω` *)

なお、今回収録されている以外でも他の英国ポンプバンド等がベネフィットアルバム等に収録する為カヴァーした音源が多数存在しTWELFTH NIGHTカヴァー音源全てが収録されている訳ではない(そりゃそうだ)のでご注意を。

『Fact And Fiction ~The Definitive Edition~』Track List

◆Disc 1『STUDIO: 1982』
01.We Are Sane (10:27)
02.Human Being (7:50)
03.This City (4:04)
04.World Without End (1:54)
05.Fact and Fiction (3:59)
06.The Poet Sniffs a Flower (3:51)
07.Creepshow (11:57)
08.Love Song (5:40)
09.Being Human (3:56)
10.Paradise Locked (1:23)
11.East of Eden (3:27)
12.Eleanor Rigby (3:22)

◆Disc 2『LIVE: 1983-2012』
01.We Are Sane (12.49)
02.Human Being (7.56)
03.This City (3.59)
04.World Without End (1.26)
05.Fact and Fiction (5:53)
06.The Poet Sniffs a Flower (3.42)
07.Creepshow (13:33)
08.Love Song (6:26)
09.Fact and Fiction (4:44)

『Demos: 1982』
10.Constant [proto Fact and Fiction] (2:27)
11.Fistful of Bubbles (3:18)
12.Leader (2:41)
13.Dancing in the Dream (2:59)
14.Creepshow (After The Bomb Drops) (3.50)

◆Disc 3『COVERS AND INTERPRETATIONS: 1983-2018』
01.Dean Baker - Electro Sane (1:25)
02.Mark Spencer - We Are Sane (11:01)
03.PENDRAGON - Human Being (6:05)
04.Tim Bowness - This City (4:35)
05.COBURG - This City (5:26)
06.Clive Nolan - World Without End (2.23)
07.GALAHAD - Fact and Fiction (5:17)
08.Mark Spencer ft. Lee Abraham - The Poet Sniffs a Flower (3:48)
09.TWELFTH NIGHT - Creepyshow (11:49)
10.Alan Reed & Kim Seviour - Love Song (6:04)
11.AXE - Don’t Make Me Laugh (3:46)
12.EH! GEOFF MANN BAND - Fact and Fiction (4:21)
13.EH! GEOFF MANN BAND - Love Song (7:02)

しかし、このDIGITAL REMASTERED再販シリーズといい以前のリイシュー盤といい、どんだけTWELFTH NIGHTの未発音源やらDEMOを引っ張り出してきて飯のタネにするんだか、と少々呆れ気味(w

もういい頃未発音源もあるまいに、と思っていた所に他バンドによるカヴァー、しかも18年新録カヴァー有りという隠し球をブチ込んでくるとは…イヤハヤ、ホント商売上手ですわぁ(苦笑)

まぁ、ファンとしては耳にした事のないレア音源がオフィシャル・リリースされるのは有り難いんですけどね~

因みにカヴァーしているバンドのAXEですが、アメリカンHRバンドのAXEとは同名別バンドですのでご注意を。

と、言う訳でファンならずともUKポンプ・ファンなら手を出さざるおえないマニアックな音源を収録している一品で、いつものように限定盤ですからお求めの方はお早めにね!



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# by malilion | 2018-07-02 09:12 | 音楽 | Trackback

スイス産メロディアスHMバンドCRYSTAL BALLが久しぶりに国内盤で新譜をリリース!

c0072376_15202970.jpgCRYSTAL BALL 「Crystallizer」'18

スイス産ツインGの5人組メロディアスHMバンドの約2年ぶりとなる10thアルバムが今回久しぶりに国内盤でリリース(!)されたのを、そそくさとGET!

前作でサウンド傾向が変化し、ダークでミステリアスな要素がサウンドに色濃く反映され、時流のヘヴィ路線へ近づいたサウンドを披露されて少々ガッカリしたのを覚えているが、本作では前作のダーク・サウンド要素は隠し味程度に弱まり、以前の硬質なギター・リフで楽曲のエッジを保ちつつ、耳を惹くキャチーなメロディの上をポップなサビと分厚いゴージャスなコーラスが埋め尽くすデビュー以来からのサウンド形式へ再び軌道修正したようで、昔からのファンは一安心といった所だろう。

まぁ、99年デビューの長いキャリアを誇るバンドならではの、路線変更やサウンドの幅を拡げる試行錯誤、そして音楽的挑戦は常に起こりえる事なので、むしろ褒めこそすれ批判なんてする気はサラサラないんですけどね…
実際、分かり易いキャッチーさや爽快感、スピードというメロハー要素は薄まったものの、デビュー当時と比べると格段にサウンドはメロディアスになり、二代目フロントマン Steven Mageneyの荒れたしゃがれ声が活かされたよりタフでハードなソリッドさを増したアルバムは、現在進行形なバンドの熱い生き様をヒシヒシと感じさせますから。

また、本作は前作とメンツに変動はなく、サイドギタリストの座がいつも不安定な彼等にしては、その点を見てもバンド状況が安定しているのが窺え嬉しい限りです。

元々が奇をてらったサウンドが売りのバンドでなかっただけに、欧州的な叙情メロディを生かしたオーセンティックなユーロピアン・メロディアスHMサウンドを披露している本作は、驚きや新鮮味という点では褒めるべき所はないかもしれないが、キャリアが長いだけあって収録曲の質は総じて高く、絶妙にフックが効いた楽曲アレンジや、分厚く美麗なコーラス、耳に残る歌メロ、テクニカルではないもののツボを押さえた弾力あるリフ、さりげなく楽曲を盛り立てる職人的キーボードプレイや、ユーロHMお約束のキラキラしたキーボード・エフェクト等々、決してポッと出の新人バンドには出せぬ安定感とハードロックとヘヴィメタルが交差するかのような微妙にテイストが変化して陰影を生み出すサウンドでハードサウンド好きならではの喜びを十二分に味合わせてくれる、実に堅実でバランスの取れた創りのアルバムと言えましょう。

プロデュース、エンジニアリング、マスタリングをお馴染み元ACCEPT&元U.D.O.の Stefan Kaufmannがいつも通り出かけている安心の一品で、こういった細かいところもしっかりとした品質を担保する為に手を抜かない所がベテランらしいですね。

因みに日本盤はユーロ盤のボーナストラック2曲に加え、DIOの「Sacred Heart」カヴァーとBLACK SABBATHの「The Sign Of The Southern Cross」のカヴァー2曲を追加した計4曲が本編後に追加されておりますので、購入の際は国内盤をお求めになった方がお得ですヨ♪




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# by malilion | 2018-07-01 15:15 | 音楽 | Trackback

遂にLEPSコピーから脱却! 一段上のステージへ飛躍した北欧メロハー・バンド期待の新作!

c0072376_20350728.jpgGRAND DESIGN 「Viva La Paradise」'18

スカンジナヴィアンHMシーンの重鎮であり、元ZEELIONのヴォーカリスト&プロデューサーであった Pelle Saetherを中心に06年に結成されたスウェーデン産ツインG5人組メロハー・バンドの、レーベルを本国スウェーデンのレーベルに移して初となる前作から4年振りとなる4thアルバムが前回に引き続き今回も無事国内盤がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

前作からモロLEPSのコピー路線から外れつつあった訳ですが、この新作では遂にLEPSサウンドはバンドサウンドの一要素(いや、半分くらいまだか…)にまで落ち着き、変わってスリージー&グラム要素やAOR的整合感、そして本家DEF LEPPARDが捨て去ってしまった人工甘味料たっぷりな造り込まれたゴージャス・ポップロックに北欧フレーバーをタップリまぶしてキャッチーさに磨きをかけた北欧メロハー要素がググッと全面に押し出された新機軸路線へサウンドが進化し、その楽曲完成度も前作より明らかに高く、これには少々驚かされました('(゚∀゚∩

まぁ、冷静になって彼等のアルバムに耳を傾けていたファンは既にご存じだったでしょうが、周囲が言うようなDEF LEPPARDの影響って、このバンドの場合サウンドのゴージャスな人工的処理だったり、確信犯的なフレーズやコーラスの盗用(汗)だったり以外では、実はバンドの音楽的な共通点(Pelle Saetherがこのバンド以前に活動していたZELLOやZEELIONのサウンドを聞けば簡単に憶測可能)は殆どなく、ベースは脈々と70年代より連なる、透明感と哀愁を湛えたキラキラしたサウンドが日本人受けする北欧叙情HMの典型的サウンドフォームだったんですよね。

ですので、オリジナリティが増す=自然と北欧HM的ウェット感だったりが表面化、と薄々感づいておりましたが、新譜のここまでの楽曲の完成度までは正直予想出来ませんでした(アッパレ!

また、この変化は北欧バンドの定番とも言えるメンバーチェンジが強く影響し、それが良い方へサウンドの発展を促した原因とも考えられます。

以前はヴォーカリスト&プロデューサーであった Pelle Saetherが殆どの楽曲を手がけていたが、本作から前作から引き続き参加している80年代前半から活動を続けている北欧HMの元祖的バンドOVERDRIVEやCONSTANCIAで活動中の Janne Stark(G)とDennis Vestman(G)も楽曲制作に関わり、さらに本作より同郷HRバンドROCKETT LOVEのギタリストでリーダーである Stefan Westerlundがベーシストとして加入し、モロに80年代に影響を受けたキャッチーでハイクオリティな、CRAZY LIXX、RECKLESS LOVE等を彷彿させるLAメタル的サウンドを聴かせた彼の持ち込んだ音楽的要素でか、相変わらずのオーバー・プロデュース気味な人工的サウンドと、過剰な分厚さと大仰なコーラスが鼻につく所もあるものの、今まであまり強く感じられなかったスリージー&グラム要素が大きく全面に押し出され、妖艶さや下品さ等のバッドボーイズ・サウンド要素も合わさり、小綺麗で人工的な作り物臭いばかりだった借り物サウンドに絶妙な化学反応を引き起こしたのではないでしょうか?

しかし、この新作の出来が良ければ良い程に心配なのが、このメンツがいつまで続くのか、って事もありますよね…

元々、デビュー以来メンバーが流動的で、特にリズム隊は常に不安定で Magnus Ulfstedt(ECLIPSE、Jimi Jamison、TALISMAN、LIONS SHARE)が前作リリース前の13年から15年辺りまで在籍していたものの、ECLIPSEを優先する(当然だわな…)と言う事で16年にはCOLDSPELLの Perra Johanssonがヘルプで叩き始め、本作の収録も担当したもののCOLDSPELLを優先する為彼はバンドを離れ(またか…)、本作リリース後に新ドラマーとして Joakim Jonsson(AXENSTAR、PSYCHOPUNCH)が加入という、これもまた掛け持ちメンバーなので不安が拭えませぬ…(汗

それにも増して、ドラッグ&セックス&ロックンロール、なんて今時恥ずかしくて口にも出来ぬフレーズを恥ずかしげも無く高らかに歌い上げ、ゴージャスで煌びやかな人工的サウンドを合成して飾り立てた甘々メロディーと爽快エネルギーが一杯な楽曲をこれでもかとプッシュしてくる、絶えて久しいド・ストレートな80年代的スリージー&グラム要素満載LAメタルサウンドと合わさって今の時代には逆に新鮮に映っちゃうのが、なんとも微笑ましいというか自分も歳を取ったんだなぁ、とちょっと寂しく感じたりして(苦笑

80年代スタイルのAOR&ハードポップサウンドにモダンなダイナミックスを加えLEPS的なサウンド路線はそのままに、DEF LEPPARD的な流暢なハーモニーとメカニカルなグルーヴに人工的処理が未だに強く感じられるものの、Janne Stark(G)が奏でるHM要素全開なギター・ソロはよりメロディアスでフックが増し、まさに北欧HM的フレーズとウェットな艶をバンドに与えてそれらのマイナス要素をいい具合にカバーし打ち消しているし、PRETTY BOY FLOYDやMOTLEY CRUEが明らかにヒントであろう彼等の表現しているグラムやスリージーのバッドボーイズ・テイストやPVイメージ等は、下品さやダーティさ、そしてバカっぽさ(笑)が本家に比べて希薄で、それが本作では上手い具合に混ざり合って独特の輝きを放つオリジナリティの確立に大きく役立っているのが個人的には大変よろしく思っております。

前作の時点ではオリジナリティの増加につれて楽曲の完成度が低くなるのではと危惧しましたが、それは杞憂に終わって一安心なのですが、本作のゴージャスで煌びやかなサウンドが派手になればなる程に、リーダーでありフロントマンである Pelle Saetherの歌声のか細さやパワー不足が浮き彫りになるという新たな問題点が浮上してきて、イヤハヤなかなかに手放しで活動を喜べないバンド、という印象は未だに覆りませんね…(汗

とまれ本家DEF LEPPARDが捨て去った&進まなかった路線が行き着く“聴けそうで聴けなかった”LEPS進化サウンドをこうしてしっかりと提示するという、数多くいるLEPSフォロワーの中でもなかなかに為し得ない偉業(大げさ過ぎかw)を果たした彼等のこの新作の頑張りと手腕には素直に喝采を送りたい。

北欧風な憂いあるウェット感の強いメロディや透明感と清涼感溢れるメロディを保ちつつ、グラム&スリージィーなダーティなロックンロール要素も加味して人工甘味料的LEPSサウンドに独自色と多様性を加えるという、実に絶妙なさじ加減が必要なこの方向性、いつまで続けられるのか…次なる新作に今から期待が高まりますね(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-06-30 20:22 | 音楽 | Trackback