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2020年 02月 04日 ( 1 )

英国ベテラン・シンフォバンドPENDRAGONが久しぶりに心機一転な傑作シンフォ・アルバムをリリース!

英国ベテラン・シンフォバンドPENDRAGONが久しぶりに心機一転な傑作シンフォ・アルバムをリリース!_c0072376_19291615.jpgPENDRAGON 「Love Over Fear -Limited Deluxe Edition 3CD Book-」'20

英国ポンプ&シンフォ系シーンを代表するバンドの一つで、結成40年でアルバムデビュー35年目を迎えたベテラン・バンドである彼等の、前作『Men Who Climb Mountains』より6年ぶりとなる新フルアルバムが3枚組豪華装丁盤で通常盤に先駆けて限定リリースされたのを即GET!

他バンドの掛け持ちやらプロジェクトや裏方作業に多忙な Clive Nolan(Keyboards、Backing Vocals)を筆頭に各メンバーがソロやバンド外活動に忙しかったからなのか、まさかこんなに新作を待たされるとは思いませんでした(汗

しかし、その甲斐あってか今回の先行リリース盤は、Disc1hが本編アルバムでDisc2がアコースティック・バージョン、そしてDisc3がアルバム全曲のインスト・バージョンという豪華3枚組仕様で、フランスのアコースティック・シンフォバンドSEVEN REIZH張りな分厚いLPサイズの絵本風ハードカヴァー・ブックレットの表紙に淡い色使いの鮮やかな水流(海波?)が描かれており、ここ数作のシリアスなサウンドを反映してのダークでモノトーンなジャケと一気に赴きが変わった、柔らかで温かみと清涼感、そして初期風のファンタジックなタッチを見るに、新作の方向性をファンならば即察して期待が高まる事でしょう(*´ω` *)

また、再びドラマーがチェンジしており、前作から参加ドラマーのFROST*の Craig BlundellからサタニックHMバンドGHOSTやインダストリアルHMバンドPIGのサポート・メンバーとしても活躍する、これまでにPENDRAGONへ参加してきたドラマーと畑違いな新鋭 Jan-Vincent Velazcoに交代して制作されたアルバムだが、良くも悪くも Nick Barrettの描くシンフォ・ワールドには些かのブレも変化ももたらしていない。

て言うか、今さら誰が変わろうと Nick Barrett(Lead Vocals、Guitar)のヘタウマなヴォーカルがある限り変わりようも無いけどね……(汗

バンマスでありバンドの頭脳であるその Nick Barrettが語る所によると『意味のあるギターソロに戻り、70年代の大好きだったアルバムに似たサウンドが欲しかったので、12弦のギターセクション、メロトロンストリング、そして非常にメロディックなキーボードパートが沢山あるよ』との事で、その言葉通りに本作はPENDRAGONのアルバムが国内盤でリリースもされた90年代当時のメロディックでドリーミィな作風への回帰が見て取れ、旧来からの彼等のファンは欣喜雀躍となる事請け合いだ('(゚∀゚∩

奇しくも同期のMARILLIONと同じ道を辿るように、ここ数作はダークでアグレッシヴな音像への試行錯誤を繰り返し、典型的ポンプ風な派手さよりシンプルでストレートな硬質サウンドで構成されたアルバムには、その完成度の高まりとは裏腹に90年代のファンタジックな彼等のサウンドを恋しく思っていた方も多々いらっしゃるはずですよね?

リアル系タッチで幻想世界を描いた当時のジャケと違って今回の児童書的な絵本風に描かれた空想画(今回はイルカがキーパースン?)なジャケのイメージ通り、90年代作で紡がれたファンタジック且つカラフルで瑞々しい色彩感触に富んだシンフォ・ロック路線ではあるものの単なる退化では無く、10年代で試行錯誤を試みた重厚なダーク色を後退させつつも哀愁や物憂げな感情はしっかりと保つ事でサウンドに色濃く陰影が刻まれた、軽やかさと柔らかな感触を伴ったレトロ風味漂う穏やかながら深みあるモダン・シンフォ・サウンドとなっており、ここ数作でのヘヴィ・サウンドへの挑戦が決して無駄でなかった事を証明している。

やはり特筆すべきは、陰影のハッキリしたその奥行きある新シンフォ・サウンドからはドリーミィなファンタジック・サウンドだからと言って初期作のような楽観的で夢想的な薄っぺらさが消え失せ、Nick Barrettのつたないヴォーカルと泣きまくりなギターから重みと説得力が滲み出しているかのようで、全体的には淡く穏やかな英国叙情薫るメロディアスで軽やかなドラマティック・サウンドなものの、しっかりと重厚さと壮大さを感じさせる、まさにファンが彼等に期待するファンタジック・サウンドに一層に磨きが掛かった、予想以上に素晴らしい新シンフォ・サンドがジャケの通りに渦巻き泡立って弾けているかのような逸品と言えるだろう。

透明感あるエモーショナルな泣きまくりのギターとメロウな抒情性が胸に迫る、まるで歌うような Nick Barrettのギター・プレイもさる事ながら、変幻自在の音色で楽曲を時に豪奢に、時に繊細に飾り立てる Clive Nolanのバイプレイに徹したキーボードワークと、しっかりボトムを支える目立たないけど実際かなりメロディアスなベースプレイを聴かせる Peter Gee(Bass、Bass Pedals、Backing Vocals、Keyboards)の職人的プレイも見逃せないのはファンならば周知の事実だ。

ジャケットが象徴するように“海”や“水”といったキーワードを中心に様々な感情と情景を描き出していく Nick Barrettのヴォーカルスキルはお世辞にも上手いとは言えぬものの、PENDRAGONサウンドはもう彼の木訥な歌声でなければマッチしなくなってしまっているので今さらどうこう言う気も起きませんが、良く聴くとちょっとだけ以前より上手くなっている風に感じられたりして(笑

とまれ近作で試みていたダークでアグレッシヴな音像から距離を置き、再び薫り立つような美旋律と軽やかで叙情感あるメロディに扇動性を取り戻した本作は、Clive Nolanのオーケストレーションを含むシンフォニックなキーボード&リリカルなピアノだけでなく、数名のゲストプレイヤーを迎えて加味したヴァイオリン・サウンドやサックス・サウンドで一層に艶やかさを増し、ソリッドでパワフルなリズム陣が一糸乱れぬ奔流となってモダンで華麗なシンフォニック・サウンドを描き出していく様は以前のような幻想性だけでなく、薄っすら哀愁を漂わすセンチメンタルでデリケートなガラス細工のような美しくも眩い輝きを終始放っているようで、本当に本当に待った甲斐あるアルバムだ(*´ω` *)

さて、限定盤の目玉と言えるDisc2のアコースティック・バージョンのサウンドの方は、大雑把に言うとドラムレス(楽曲によってドラムは入っていたり無かったり)でアコギの爪弾きとベース(Peter Geeのしなやかなプレイが堪能出来る)が大きくクローズアップされ、キーボードの華麗な美旋律とオーケストレーション・サウンドで包み込んだバージョン、って所でしょうか?

楽曲によってアレンジが変わっていたり、新規バッキングコーラスが分厚目に入ってたりと色々と細かな違いを楽しめる、オマケとしては中々秀逸な品なのは間違いないだろう。

エレクトリックなパワーサウンドが取り払われて、より一層に楽曲の素の状態のメロディを堪能出来る作風で、ゲストのサックスやヴァイオリンの艶やかな音色以上に、Clive Nolanの煌びやかで冷ややかなピアノ・プレイが楽しめ、オマケにヴォーカルとコーラスワーク等もハッキリ聞き取れるというPENDRAGONに置いてはソレって誰得? なバージョンとも言えるかもしれない…(汗

Disc3のインスト・バージョンは、Nick Barrettの歌声を邪魔だと感じているリスナーには特に嬉しいアイテムだろうが、それだけでなく歌メロが無くなるだけで楽曲の雰囲気が随分と変わるんだな、という思いがけない印象を持ちました。

先行リリースの限定3枚組バージョンはちょっとお高い(価格1万円超え!)ものの、本作の内容の素晴らしさを考えれば十分に価値あるものと言えるので、ファンなら手を出しても決して損ではないと断言出来ますよ!

まぁ、最近の子はDLでサクッと音源だけ購入しちゃうのかもしれないけど、是非本作の大きな絵本サイズの鮮やかなブックレットを眺めつつその瑞々しいサウンドに耳を傾けて欲しいですね。

20年2月、3月、4月に、PENDRAGONは新譜『Love Over Fear』を引っさげて大規模なヨーロッパ・ツアーを敢行するとの事なので、本作が好評ならばもしかしてここ日本へも足を伸ばしてくれたりもするかもしれないとか、そんな嬉しいパプニングを今から願っておきましょうか……


by malilion | 2020-02-04 19:20 | 音楽 | Trackback