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2020年 01月 28日 ( 1 )

UKポンプ・ロックの代表的バンドTWELFTH NIGHTが最新メンツでのLIVE作をリリース!

UKポンプ・ロックの代表的バンドTWELFTH NIGHTが最新メンツでのLIVE作をリリース!_c0072376_10523530.jpgTWELFTH NIGHT 「A Night To Remember ~Live At The Barbican 2012~」'19

ロンドンの名門バービカンシアターで友人や招待客を招いて12月に行なわれた特別なLIVE、2012年のファイナル・ギグから7年、ようやく二枚組LIVE音源として本作がリリースされたのをちょい遅れてGET!

MARILLION、IQ、PALLAS、PENDRAGON等と並び80年代UKポンプ・ロックの代表的バンドの一つであり、近年活動を再活性化させているものの活動休止以降は蔵出し音源や旧作のリマスター、そして蔵出しメモリアルLIVE音源のリリースなどなど、旧曲を再録したシングル『Sequences』以外は殆ど新規音源では無く、ある種の懐メロ・バンドのようで一抹の寂しさを感じさせる彼等だったが、そんな彼等が久しぶりに新規音源をリリースしてくれた。

オリジナルメンバーの Andy Revell(Lead Guitars、Voice)や Brian Devoil(Drums、Percussion)が語る所によると旧譜音源のリマスター作業や蔵出し音源の作業等で時間が取られて本作リリースがここまで遅れたらしいが、それにしたって遅れすぎでは…?(汗

音源だけを耳にしているととてもそうは思えぬが、当時スタッフの間で風邪が流行っていたらしく、ヴォーカリストとして致命的な事に Mark Spencer(Lead Vocals、Guitars、Keyboards)も喉頭炎に苦しんでおり、気分も優れぬ状態で正直話すことさえ苦痛な状況でLIVEへ挑む事になってしまったという裏話がブックレットで明かされており、けれどアドレナリンとプロ根性でタフで困難な状況を見事に乗り切った顛末に驚きを隠せない。

そういう裏話を知って本作を耳にすると、確かにいくらか高音域での歌声が苦しそうに思えるが、LIVEではどんなヴォーカリストでも同じ様な状況になるし、逆にアルバム通りまんまに見事な歌声を聞かせるヴォーカリストの方が少ないのをロックファンならば誰でも知っているので特別彼の身にそんなアクシデントが起こっているとは思えないくらい情熱的に数々の名曲を見事に歌いきっている。

また、Mark Spencerの体調を考慮したのか全体的にインストパートが長めに演奏され、インストメインな初期曲も演奏されているのだが、元々TWELFTH NIGHTはヴォーカルレスのインストバンドとして結成されたのをファンならば良く知っているし、ポンプバンドの楽曲がインストパート長めなのを誰も疑問に思わぬだろうから、Mark Spencer的には不調の喉の負担を減らせ、ファン的も初期の代表曲を楽しめる、という誰も不満を持たぬ結果だけが残ったというのも面白い。

そういう経緯もあってか本LIVEでの Mark Spencerのヴォーカルはミドルレンジ主体で、以前のLIVE作『MMX』で聞けた Geoff Mannを多分に意識したシアトリカルでオーバーな振り幅広い感情表現を聞かせる歌唱スタイルではないが、それでも所々で Geoff Mann張りなお約束の素っ頓狂な叫びやシャウト、唸りや不気味な囁き等のエキセントリックなパフォーマンスを垣間見せている。

実際の所、シアトリカルな歌唱抜きなのが Mark Spencer本来の歌唱スタイル(声質は非常に良く、Geoff Mannにも似て聞こえる)なのだろうし、だからこそシンフォ・アレンジされた旧曲を伸び伸びと穏やかなディープヴォイスで歌い上げていて、モダンなタッチの増えた旧曲にもマッチしており別段違和感は感じない。

同時リリースのブルーレイ映像作では、Geoff Mannでお馴染みな第一次世界大戦時の英国兵のカーキ色の戦闘ジャケットを身に纏ってのパフォーマンスや、血塗れの白衣、ゴム手袋、サングラスを着用し、狂気を漂わす囁きやくぐもった唸りを響かせファンを湧かせる Mark Spencerの姿が確認出来る。

フロントマンは喉にトラブルを抱えていたが各バンドメンバーは猛者揃いなので演奏はいつものように素晴らしく、やっと復帰してくれた Clive Mitten(Bass、Acoustic Guitar、Keyboards、Voice)のしなやかなベースプレイと Brian Devoilのパワフルでタイトなドラムスが織り成す安定したリズムセクションの上で、Andy Revellは耳馴染みあるリフやメロディをクールに紡ぎ、GALAHADのキーボーディスト Dean Baker(Piano、Keyboards)もお得意なシンフォニック・アレンジを効かせたサウンドを操って楽曲のスケールを一段と壮大にし、時にアコースティカルで繊細な調べ、時にパンキッシュでハードな疾走するサウンド、と『Fact And Fiction』をはじめ有名曲の数々を和やかな雰囲気が満ちた会場で余裕タップリに繰り広げていく様は見事の一言に尽きるでしょう。

内輪向けのLIVEであった事もあって新曲等のお披露目はされなかったし、通常の聴衆を相手にした熱狂が伝わる白熱のLIVE作と言う訳でもなく、セットリスト的にも新鮮味と言う点でいささか欠けるきらいはあるものの、ファンにとっては当然入手して然るべきアイテムだが、もしTWELFTH NIGHTを知らぬ方には、時にドラマチックで、時に叙事的、そしてエキセントリックなアイデアと感情が渦巻き弾け飛ぶ、高品質なプログレッシブ・ロックをお好みであるなら是非チェックしてみて欲しい一作であります。



by malilion | 2020-01-28 10:43 | 音楽 | Trackback