2018年 11月 06日 ( 2 )

80年代風USAプログハード・サウンドが絶品だったEVERSHIPが、メンツも新たに新譜をリリース!!

c0072376_15274731.jpgEVERSHIP 「Evership II」'18

ヴァイオリン入りUSA産デュオ・プロジェクトバンドが5人組ツインギター体制になって、2年ぶりに2ndをリリースしたのを即GET!

デビュー作はヴァイオリンが導入された如何にも80年代風USAプログハードなサウンドが絶品だったデュオ・プロジェクトだったが、本作では作曲家、マルチミュージシャンでありプロデューサー&エンジニアでもある Shane Atkinsonの操るシンセ、オルガン、メロトロン系等のヴィンテージ感ある多彩なキーボードサウンドを前作同様に主軸にしつつ、ツインギターでサウンドにハードエッジを生み、時にアコギ、スライド、クラッシックギターと、繊細で艶やか、土埃舞う乾いた感触といった演出を様々に加え、TRIUMPHの Rik Emmettっぽい透明感ある歌声で抜群の歌唱力なヴォーカリスト Beau Westがキャッチーな歌メロを歌い上げる、という隙無いバンドサウンドへ進化している。

前作にも参加していたギタリストの James Atkinson(Shane Atkinsonの弟)を除き他のメンバーを一新し、新たに John Roseなるギタリストをもう一人追加した新体制になって初のアルバムだが、前作同様にドラマーはおらずリーダーの Shane Atkinsonがドラムスを担当(セッションドラマーも制作には参加)しての制作となっており、恐らくLIVE時のみ助っ人ドラマーを呼んで活動を行うスタンスなのだろう。

また、ツインギター体制になった為か、前作で美しく艶やかな音色を聴かせアルバムの魅力を増す貢献をしていたヴァイオリン奏者 Nicelle Priebeの名がアルバムに無いのが個人的に非常に残念ではあるが、本作では各曲のバックにナッシュビル交響楽団の団員らによるオーケストラ・ストリングスパートが前作以上にタップリとフィーチャーされ、重厚で艶やか、幻想的で壮大、そして哀愁漂うスペイシーでメロディアスなシンフォニック・サウンドの様々な場面をドラマチックにこれでもか、と前作以上に盛り上げているので、デビュー作の艶やかなサウンドが気に入っていた方の期待を決して裏切る事ない渾身の力作なので安心して欲しい。

前作同様に、YES、GENESIS、QUEEN、KANSAS、Jimmy Hotzの影響を前面に押し出した、USA産バンドのサウンドと思えぬリリカルさとウェット感あるメロディに加え、壮大なスケールを演出する80年代初期USAプログレ風スペイシーな感触(堪らん!)と、ツインギターによるHRらしいハードエッジな感触、さらにUSA産バンドらしい爽快感とパワフルさが徹頭徹尾アルバムを貫いている点も見事の一言。

長らく音楽業界の裏方として仕事をこなし、遂に意を決して活動を始めた、本人曰く“心からプレイしたい音楽”と言うだけあって、KANSAS張りな繊細なメロディの絡みと美旋律、そして圧巻の展開を見せる凝ったアレンジの施されたドラマチックで叙情感ある楽曲の完成度に Shane Atkinsonの並々ならぬ情熱と、夢を追いかける男の純粋さと一途なロマンチックさを感じますねぇ~(*´ω` *)

勿論、狙っての事なのだろうが、Shane Atkinsonの操るヴィンテージ感満載なキーボードの音色といい、古典的なスペイシー・フレーズといい、ファンタジックな楽曲展開といい、プログレチックなのにしっかりポップでキャッチーという、どうにもノスタルジックな心をくすぐりまくる80年代USAプログレ・ハード愛好家には堪らんサウンドなんですよねぇ、ホント♪

この手のキーボーディスト主導なバンドにありがちなキーボードで音の壁を構築して壮大なスケール感を演出するのではなく、しっとりとしたアコースティックな感触や繊細にギターを爪弾く音色、そして各パートの紡ぐ音と音の隙間も活かされた、商業的なポップなキャッチーさと芸術的な美しさや独創性との折衷案と言える、所謂80年代中期風USAプログハードな柔和なオーケストレーション・サウンドが実に素晴らしく、時代が時代なら間違いなくメジャー級な扱いだったろうバンドサウンドなだけに、自主制作に甘んじている今の状況が不憫でならない…

意外にキーボードの鳴っていないパートも長尺で多く、楽曲によってはギターメインなパートばかり聞こえ、加えて Beau Westがキャッチーでフックある歌メロを歌い上げるパートなどはポップスそのもので、それが本作の重厚なサウンドにおける“押し引き”のメリハリを一層に強め、叙事詩に印象的な陰影を産みだす効果をもたらしているのは確実だろう。

いやー、それにしてもホントに Beau Westは抜群に歌が上手いですねぇ♪

少しも物マネやリバイバルというサウンドではないのだけれど、イメージはまんま、80年代中期USAインディ・プログバンドに Rik Emmettが飛び入りしてKANSAS風プログ・ハードを奏ってる風ですわぁ~(*´ω` *)

本作は方向性の変化故か前作よりコンパクトさという点では少々劣るものの、代わりに前作では聞けなかった28分越えとなる一大組曲が収録されるなど、荘厳なシンフォニックサウンド、壮大なサウンドの奥行きという点では断然上回っている一作で、USAプログハード作はユーロモノと比べて重厚さや艶やかさが足りない、騒々しくて軽薄なポップさやバカっぽさが気に入らない、というインテリジェンスなユーロ・シンフォ好きな方にも訴求する一作だと思う。

まぁ、と言ってもどう聞いてもユーロ・シンフォのような仄暗い情念のような後ろ向きな感情は感じられぬ本作に対して、USAプログ・ハードのパワー圧しな所や、ポップさや爽快感に傾いてる、秘めやかさや仄暗い美しさの漂う芸術性の香るサウンドが聞けない、等々のユーロ・シンフォ好きな方の不満な気持ちも分かりますけどね…

話は変わって、なんでも既にアルバム4枚分の楽曲ストックがあるそうで、もうこれは次なる新作が楽しみでしょうがないですね!('(゚∀゚∩

80年代アメリカン・プログレ好きは勿論のこと、メロトロン、シンセにオルガンが唸りを上げるシンフォニックにしてHR的なパワーも十分感じさせるプログレHMにも通じるサウンドは、その筋を好む方には間違いなくドストライクな一枚なのは確実ですので、何はともあれチェックしてみて下さい!



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by malilion | 2018-11-06 15:18 | 音楽 | Trackback

スケールアップして戻ってきたルクセンブルク大公国のシンフォバンドLIGHT DAMAGEが新譜をリリース!

c0072376_00463781.jpgLIGHT DAMAGE 「Numbers」'18

今は亡きポンプ系バンド NO NAMEでお馴染み(?)な欧州の中心地、ルクセンブルク大公国からデビューしたキーボード入り五人組シンフォ・バンドの待望の新作が4年ぶりにリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

ギタリスト Stephane Lecocqと共にバンドを創設したメンバーであるドラマー Thibaut Grappinのみを Christophe Szczyrkへチェンジしての本作だが、その変化の程はアルバムの音を耳にする前から、随分とモダンなデザインになったジャケットからある程度は伺える2ndアルバムだ。

2014年末に自主制作リリースされ、15年にドイツ・レーベル『Progressive Promotion Records』の手で再リリースされたデビュー作は、バランス重視な古典的プログレとポンプをMIXさせた優等生シンフォ・サウンドでバンドの独自性やサウンドの個性が薄い印象だったが、続く本作では女性ヴォーカリストをゲストに迎えたり、定番のフルート、チェロ、ヴァイオリン等のストリングス・ゲスト陣等を迎え叙情的なクラシカル・アンサンブルを効かせたアレンジによってサウンドの質と艶やかさが増しただけでなく、メランコリックな雰囲気やユーロ圏バンド特有の陰鬱で気怠げなメロディ、そしてリリカルで優美な美旋律の度合いが一段と強まり、さらに前作ではフロントマンの Nicholas-JohnがギターとE-Bowを操ったが、本作ではテルミン(!?)を操るなどデジタリーで近代的なサウンド処理にも意欲的に挑んでモダンなサウンドを進化させ、精巧なアレンジを施し楽曲の表情の幅も拡げた、待たせた甲斐のある新人バンドらしい意欲作と言えよう。

特に Sebastien Perignonの操る可憐で繊細なピアノの軽やかな音色と、MARILLIONの Steve Rothery張りな哀愁と泣きの音色を聴かせる Stephane Lecocqのギターが楽曲のそこかしこで切なく咽び泣き、息をのむような哀愁で楽曲を染め上げていく様は以前には聴かれなかった表現で、実にユーロシンフォ・バンドらしいメロディアスさと、程良いスケール感もあって大仰過ぎてB級イタ公シンフォのように安っぽくならぬ、このバンドならではのバランス感でコンパクトに纏め上げられていて胃もたれせずに最後まで聞き終える事が出来るので、長尺曲が多く複雑な楽曲展開でリスナーをウンザリさせてしまう事が多々あるプログレ系が苦手な方にこそお薦め出来る、プログレ導入にもってこいなバンドではないだろうか?

癖のない歌声で Nicholas-Johnがシアトリカルな歌唱で物語を紡ぎ出すが、そのサウンドは北欧バンド群のサウンド程にミステリアスでもなく仄暗くもない、イタリアン程に騒々しく大袈裟で暑苦しくもない、丁度程良い塩梅なサウンドなのも新世代バンドならではのスタイリッシュなモダン・ユーロ・シンフォサウドと言える。

間違いなくデビュー作よりサウンドのスケールと楽曲表現の幅を拡げた着実な進歩の見える本作だが、Nicholas-Johnの音域の狭い歌唱と癖の少ない歌声も相まって、強烈な個性やサウンドの進化具合、そして他ユーロ・シンフォバンド群との差別化に成功しているとは現時点で言えないものの、この調子でオーソドックスで透明感ある欧州風シンフォサウンドにさらに磨きをかけ、次なる新作では一層のレベルアップを計ってその名とサウドをシーンに轟かせて欲しい、期待出来る新人バンドの一つだ。



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by malilion | 2018-11-06 00:41 | 音楽 | Trackback