2018年 10月 29日 ( 1 )

UK産ZEP系バンド? いいえ、イタリア産70年代指向ブルースHRバンドなSILVER HORSESデス

c0072376_16445066.jpgSILVER HORSES 「Same (Digital Remaster Version)」'16

後期BLACK SABBATHの6代目元ヴォーカリスト Tony Martinが参加した4人組イタリアン・ブルーズHRバンドのデビュー作がリマスター&ボートラ2曲+ビデオクリップ1曲追加で16年にリイシューされていたのに今頃気づき、慌てて購入したのでここでご紹介(汗

元々12年にリリースされていたデビュー作ですが、17年に2ndがリリースされるのに先駆けて再発されていたんですね…チェック不足でした…orz

BLACK SABBATH脱退以降、ソロ作だったり色々なプロジェクトにゲストに招かれたり、他アーティストのソロ作やトリビュート作等々に参加しつつも、基本的にマイペースでゆっくりした活動を続ける寡作な Tony Martinですが、本作は久しぶりにちゃんとしたバンドメンバーとして最初から参加した新バンドでした。

Tony Martin以外は、Gianluca Galli(G:イタリアンHMバンドMANTRAの元ギタリスト。TIME MACHINEの最終作『Reviviscence Liber Secundus』'04で新加入したギタリストの片割れ)、Andrea Castelli(B:イタリアのグラム系HRバンドSHABBY TRICKの元ベーシスト)、Matteo "Bona" Bonini(Ds:イタリアン・モダンHMバンドMGRBの元ドラマー)という何れも他バンドでアルバムをリリースしたキャリアを持つイタリア人ミュージシャン達でバックが固められているので、日本では知名度が殆ど無いバンドばかりながら厳密には全くの新人バンドと言う訳ではありません。

インディ・レーベルからのデビューながら、そのサウンドを聞けば駆け出しのアマチュアミュージシャンが出せるはずもない音なのは一目瞭然で、WHITESNAKEやLED ZEPPELIN、そしてDEEP PURPLE等の一連の70年代ブリティッユ・ブルーズHRバンドに影響を受けた玄人好きする典型的な枯れたサウンドを鳴らしており、虚仮威しが効かぬ実力がストレートに反映されるサウンド形態故にヴォーカリストに相応の歌唱力とバックのプレイヤーに熟練した演奏技術が求められる訳だが、派手さはないものの各プレイヤーの余裕ある演奏(ZEPやSABBATH臭っ!)が実に味わい深く、いつも以上にロートーンを中心とした Tony Martinの久しぶりの歌唱も抜群で、70年代指向のブルース・ロックなサウンド故かデビカバ風な渋く穏やかな歌声が実に艶やかで、今まで参加してきたMH作等では余り聞く事のなかった彼の歌声の新たな魅力を教えてくれる良作だ。

Ronnie James Dio的な歌声をBLACK SABBATHで求められ、脱退した後も同様の歌声を各方面から求められていた Tony Martinですので、実はこんなに渋く豊かな低音ヴォーカルも披露出来たのか、とBLACK SABBATH時代のシャウトしていた彼しか知らぬHMファンは驚かされる事請け合いな一作と言えましょう。

よく動く蠢くような太いベースラインに乗って、グルーヴィーでヘヴィなギターがカリッカリの乾いたサウンドを掻き鳴らすシンプルでストレートなZEP風ダークサウンドに噛みつくような Tony Martinの Robert Plant風な歌唱や、初期ZEP風の風変わりで奇妙なリフとメロディのブルーズサウンドに乗って、朗々とちょっとサイケっぽい鼻歌を歌いつつコーラスとか、ちょっとおどけた感じで歌う、なーんて曲は、今まで彼の参加してきたプロジェクトやゲストの仕事では聞けませんでしたから(w

ブルーズロックの記号的にハモニカやピアノ、アコギにバンジョー等の音が聞こえるものの、まんま70年代リバイバル・サウンドでなく、ちゃんと今のサウンドとしてモダンさも加味(意図的にBLACK SABBATH風なボトムのサウンドに寄せてる?)しているHRサウンドなので『古臭いロックは苦手』という最近ロックを聞き始めた若いファンの方々の耳にも十分訴求するストレートでシンプルなロックサウンドなのでご安心を。

ボーナストラックの13曲目「Me」は奇妙なオリエンタル風のリズミックな楽曲がAcoustic Versionになる事で、より一層にオリエンタル風なメロディと枯れた味わいが強まった初期ZEP風の曲で、14曲目「The Song That Never Was」はストリングスが活かされた、風変わりなZEP風の短いインスト曲で、恐らく1stのアウトテイクなのだろう。

バンドは17年に『Tick』なる2ndアルバムを5年ぶりにリリースしたが、残念な事に Tony Martinは既に脱退(あぁ、またか…)しており、新たにイタリアンHMバンドMASTERCASTLEで近年バッキングヴォーカルを聞かせた、イタリアン・パワメタ・バンドODYSSEAの元ヴォーカリスト Andrea“Ranfa”Ranfagniを後任に迎え、バンドメンツ全員がイタリア人の布陣に落ち着いた模様です。

因みにMASTERCASTLEは、元LABYRINTH、NECRODEATH、ATHLANTIS他の Pier Gonella(G)と、元SHADOWS OF STEEL、ATHLANTISの Steve Vawamas(B)等による女性ヴォーカリストをフロントに据えたイタリアン・ネオクラHMバンドなので、ご興味ある方は一度チェックしてみると宜しいかと。

また、この2ndでは2曲だけ Tony Martinがゲストで歌声を披露しており、他にも1曲SNAKES IN PARADISEのヴォーカリスト Stefan Berggrenがゲストで歌声を披露しておりますので、彼の脱退でガッカリしたファンの方も『だったらもう2ndは要らないや』と聞かずにSILVER HORSESの2ndを無視するのはお薦め出来ません。

個人的には、この2ndにSNAKES IN PARADISEの Stefan Berggrenがゲスト参加していた事が全く予想外な嬉しい驚きでした。

恐らくイタリアン・メロハー・バンド作を数多くリリースしているドイツのメロハーレーベル AVENUE OF ALLIES企画による Stefan Berggen参加のプロジェクトバンドREVOLUTION ROADの制作時にイタリア人ミュージシャンが招かれていた経緯で Stefan Berggrenとイタリア人ミュージシャンのコミュニティに繋がりが出来、その関係で元白蛇メンバー等によるバンドTHE COMPANY OF SNAKESでの活動や元URIAH HEEPのドラマー Lee KerslakeとのコラボHRバンドBERGGREN KERSLAKE BANDでの70年代ブリティッシュHRサウンドにドンピシャなイブシ銀の魅力漂う歌唱スタイルが Gianluca GalliをはじめSILVER HORSESの面々の耳にとまってゲスト参加を打診、みたいな流れなんでしょう。きっと。

もしかしたら Tony Martinの後釜に、同じように既に知名度のあるミュージシャン Stefan Berggrenを迎え“売り”にしようとしたバンド及びマネジメント側の策(実際、数曲の歌詞と歌メロが彼の手による)だったのかもしれませんけどね。

まぁ、2ndのZEPテイストが強まったサウンド(モロZEPなリフや、パーシーまんまなシャウトは如何なモノかと…)には、Robert Plant風ハイトーン・シャウトを頑張って聴かせる(地味に数種類の歌声を使い分ける器用系?) Andrea Ranfagniの方が結果的にはマッチしていると思うので、仮に Stefan Berggrenが加入していても2ndの方向性にはマッチしなかったでしょうけど…

サウンド全般のモダンさが増しているのと、オルガンが鳴る典型的70年代風の楽曲や、女性バッキングコーラスがいい味を出してる曲、お約束なオリエンタル風メロディのバナキュラー臭が香るアコースティックでミステリアスな楽曲、ゴスペル風な分厚いコーラスをバックに従えたリズミカルなブルーズ・ベースなサウンド、ムーディーで雰囲気ある古典的なブルージー・サウンド、定番のZEP風ハードブルーズ、そしてアコースティカルな楽曲等々と1st以上に幅広く様々な趣と味わい深い70年代指向サウンドを聞かせ、何より大きな変化であるフロントマンの交代がもたらした影響でか、Andrea Ranfagniの歌声は Tony Martinのようなロートンの魅力は劣るものの、逆に Tony Martinでは出せぬストレートに伸びる甲高い金属的な歌声が特徴的で、強引に例えるならばデビュー作がLED ZEPPELIN+WHITESNAKE風なら、2ndはブルーズをベースに音楽性が拡散したLED ZEPPELIN風へバンドサウンドが移行(ジャケがモロにZEP風なのはヤリ過ぎw)した、そんな風なイメージと言えば伝わりますでしょうか?

1st、2nd共にお気に入りなアルバムですが、どうにもプロモーション不足と言いましょうか、売りだった Tony Martinが既に居ないという現状や、新人バンドなんだけど派手さ皆無なサウンド、しかもイタリアお得意のプログレや臭メタルじゃなく70年代風ブルーズHRって…という状況もあってか、イマイチSILVER HORSESの存在自体がHR/HMファンに知られていないようで悲しいのが現状であります…orz

日本じゃ全く知名度皆無な彼等ですが、TIME MACHINEで披露したネオクラ早弾きプレイが嘘のように、Gianluca Galliが泣き泣きの枯れた渋いブルーズギターを切なく掻き鳴らしていて、70年代HR好きには堪らないンすよ~♪(*´ω` *)

殆どその存在と情報が日本へ伝わってこないイタリアン・ブルーズHRバンド群ですが、本作自体の出来は決して他のユーロ圏のバンドに劣る訳ではありませんので、是非ともこのまま堅実に活動を続けて欲しいものです。

それにしてもジャケデザインはオリジナルの方が雰囲気もあって格好良かったのに…なんでこんなWHITESNAKEかSNAKES IN PARADISEのBOOTかパチモンみたいな劣化激しいチープなデザインのジャケでリイシューしたんですかね…謎すぎる…

確かにオリジナルのデザインはモダン過ぎて70年代ブルーズHRっぽくないと言えばそうかもだけど、だからってコレは無いよなぁ…('A`)c0072376_16455689.jpg

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by malilion | 2018-10-29 16:36 | 音楽 | Trackback