RED SAND 「The Sound Of Silence」'25 2004年にカナダの古都ケベックで結成された“カナダのMARILLION”ことネオ・プログレ・バンドRED SANDが、前作『Pain't Box』'24 から1年と思いの他に早いインターバルで12thアルバムをリリースしたのを少々遅れてGET! 最初はキーボード入り5人組のスタンダードな編成であったがアルバムを重ねる毎にメンバーチェンジが続き、近年はリーダーでギタリストの Simon Caron (Guitars、Bass、Piano、Keyboards)のワンマン体制が強化され、前々作で長らくフロントマンを務めエモーショナルで歌心ある抜群のヴォーカルを披露して来た Steff Dorvalから新たにシンガーを Michel Renaudへとチェンジした新トリオ編成となっての第二弾作がリリースされた。 メンツ変更は無い Simon Caronワンマン体制なのも前作から変わりなく、初期からキーボーディストのみならず他パートも常に不安定であったが2013年の6th『Cinema Du Vieux Cartier』から Simon Caronの愛娘 Pennsylia Caron嬢がキーボーディストとして参加してからは比較的安定していたものの彼女も程なくして脱退、以降長らく専任鍵盤奏者不在のままなのは Simon Caron自身がキーボードも兼任してアルバム制作した方がダイレクトに自身の音楽性を表現出来ると考えている為で、LIVEではその都度ステージ要員を雇えば良いというスタンスが確定してしまったのだろう。 その為か前作から幾分キーボードとギターの比率に変化が見えており、初期の頃は完全にアルバムの主役はエモーショナルに咽び泣くデリケートで甘美なギター・サウンドでキーボード・サウンドは〝刺身のつま”状態だった様に思うが、Simon Caron自身が鍵盤類を操る様になった事やプロデューサー的思考が高まってトータルバランスを重要視するに至った為かギターと双璧を成すシンフォニックでセンチメンタルな美旋律を奏でる重要楽器へと楽曲内での扱われ方が変化しており、所謂普通なシンフォ・バンド的バランスなサウンド(以前のバランスが歪過ぎたのもあるけど…)へと数段完成度が上がっている! デヴュー時、IQやPENDRAGON等の80年代ネオ・プログレ&ポンプ・ロック路線サウンドが出発点だった本バンド、PINK FLOYDの Roger WatersやGALAHADの Stuart Nicholsonを彷彿とさせる巧みに声色や音域を変えてエモーショナルに歌い上げるシアトリカル・テイスト強めな Michel Renaudの英国調ヴォーカルがGENESISや初期MARILLIONを彷彿とさせる事に今更ファンは驚かぬだろうが、ここ数作で徐々に高まっていたPINK FLOYDの影響大な揺らぐ風のドラマチックでシンフォニックな劇的な響きを全面的にフィーチャーしつつ、ムーディーなギターと色彩豊かなキーボードが奏でる叙情感タップリな美旋律が主軸なのは前作同様なれど、大きく耳を惹くのはこれまで以上にリズム隊のプレイにも焦点が当てられている事で、Phil Collinsっぽい手数多く躍動感あるドラミングと芯が太くテクニカルで攻撃的なベースがブイブイとアグレッシヴに唸りを上げ複雑なアレンジの施された楽曲を激しくキックしてロック的ダイナミクスを生み出すと共に巧みなリズム変化とネオ・プログレッシウ風な色彩のニュアンスにRED SAND特有な印象的タッチが顕著に表れており、ややもするとセンチメンタルでメロゥな美旋律ばかりでロック・サウンドとしては些か弱々しい印象だったサウンドがググッと逞しく生まれ変わっていて、本バンドに惰弱で女々しい印象をお持ちだったシンフォ・ファンな方にこそ改めて本作のエネルギッシュなサウンドをもう一度聴いて欲しい、往年の叙情派ブリティッシュ・ロックをモダンにアップデートさせた風な快作だ。 David Gilmourと Steve HackettをMIXした風なデリケートで気品香る果てしないフィーリングを秘めた絶品のギター・サウンドに導かれ、心地よく震えるメロトロン、淡く滲む音像をキリリと引き締めるシリアスなストリングス、儚げでリリカルなピアノ、ヴィンテージに霞むオルガン等の多彩な鍵盤サウンドがドラマチックな調べをメランコリックに奏でつつパワフルなリズム隊と一丸となって織り成す壮大なサウンド・パノラマは、シンフォニック、叙事詩、そしてアコースティック・パッセージの間でバランスを巧みに取りながら、大音量と静寂を行き交い壮大な瞬間のコントラストを美しく描き出し、常に新たな展開を見せ新鮮な驚きを与えてくれる。 20年以上に渡ってオマージュとオリジナリティの境界線を行き来しつつ美しい作品を発表してきた彼等だが、前作で遂に自身だけのサウンドを探り当てた模様で、キャッチーでダイナミックな典型的ネオ・プログレ・スタイルは当然のようにMARILLION、PENDRAGON、CAMEL、『Animals』期のPINK FLOYD、KING CRIMSON等、お馴染みのプログレ&ポンプ・バンドから多大なインスピレーションを受けているが音楽的にはバラエティに富んだ独自の音世界を構築しているのがハッキリと分かり、アルバム・テーマであるナルシシズム、疎外感、人間同士の出会いがもたらすダークサイドを中心に展開し、常に不愉快な人々との過酷な試練のような歌詞が添えられていて、歌詞を担当した Simon Caronの愛娘 Barbara Caron がどんな不満を胸に秘めているのか推して知るべしで、それが意外にも Roger Watersの痛烈な歌詞を彷彿とさせメランコリックなダーク・サイドを掘り下げた英国的テイストを楽曲にもたらす風にも思えて実に興味深い。 とまれRED SANDファンは無論の事、既述のバンド名にビビッと来た方は是非一度本作をチェックしても決して損にはならない、英国風な奥深さ壮大さを醸し出す仄かにレトロスペクティヴでドラマチックな叙情派モダン・シンフォの良作なのは間違いありません。 Tracklist : 01. Puzzle 02. Lost Fantasy (We Love) 03. The Sound of Silence Part 1 04. Watcher 05. The Sound of Silence Part 2 06. The Last Voice 07. The Best RED SAND are : Simon Caron : Guitars、Bass、Piano、Keyboards Michel Renaud : Vocals Perry Angelillo : Drums All Songs Writte、Composed、Arrenged and Produced By Simon Caron Lyrics By Barbara Caron
by malilion
| 2025-10-27 22:19
| 音楽
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