MASQUE OF ART 「Masquerade + 1」'24 スウェーデン人ギタリストで Jorgen J. Andersson率いるキーボード入りツイン・ギター6人組メロディアス・ロック・バンドが2022年にイタリアのWormhole Death Recordsよりリリースしたデヴュー・アルバムがスウェーデンのマイナー・レーベル King2music Recordsから2024年にボーナストラックを追加収録してリイシューされたのを今頃にやっとGETしたので遅ればせながらご紹介。 北欧の多岐に渡るジャンルで長年活動を続けてきたベテラン・ギタリストでソングライターの Jorgen J. Anderssonが、それまでに書き溜めて来た楽曲を形にしようと2016年末にレコーディング・プロジェクトを立ち上げたのが本バンドの発端で、まずドラマーの Peter Lundgren (7th PLANET、ex:DESTINY、ex:IMMORTAL、ex:Marc Quee Band、ex:RIGID DOMAIN、etc...)とシンガーの Michael Storck (NEON ROSE、STALKER、ex:CREOZOTH、ex:EXPLODE、ex:PARADISE、ex:Yngwie Malmsteen、ex:BaROCK、ex:HIGHBROW、ex:MICROVOLTS、ex:SEXSHOOTE)が加わり、一緒にレコーディングするのに相応しいミュージシャンを探す内に有能なメンバーが集まった結果プロジェクトからフル・バンドへ発展したパターンで、2017年にはベースに Nalle Pahlsson (TREAT、LAST AUTUMN'S DREAM、THERION、GROUNDBREAKER、STALKER、GATHERING OF KINGS、WORK OF ART、AB/CD、etc...)、キーボードには Mathias Norberg (ex:XSAVIOR、ex:Chris Catena、ex:SIEBENBURGEN)、ギターに Jorgen Svensson (ex:STATE OF MIND、ex:MIND'S EYE)が加入と、何れも80年代から地元スウェーデンでアンダーグラウンドな活動やメジャー・シーンでその名をワールド・ワイドに轟かせて来たベテラン・ミュージシャン達ばかりで構成された強力ラインナップを誇る新鋭バンドであります。 リーダーの Jorgen J. Anderssonをはじめメンバー全員が、60年代、70年代、80年代の偉大なロックバンド達に影響を受けた音楽を演奏する事を愛しており、各自別働バンドに参加している為に忙しいスケジュールの合間を縫ってプリプロダクション・プロセスとレコーディング・セッションに時間を費やし、更にミキシング作業も長期間に渡って行ったお陰でメンバー各員が培ってきた経験とテクニックの効果は無論の事、THE BEATLES、QUEEN、VAN HALEN、CITY BOY、JOURNEY、TOTO等の影響を受けた Jorgen J. Anderssonの創作した楽曲、パフォーマンス、雰囲気と全てがメジャー・クラスのクオリティに迫る極上のメロディアス・ロック&AOR&クラシック・ロック作へと仕上げられている♪ (゚∀゚) 当初の予定では2020年中にリリース予定だったが世界中を襲ったパンデミックの影響でリリースが延期され、結局2022年までズレ込むと言う世界中のミュージシャン達と同じく様々なスケジュールが狂わされた彼等ですが、不運は続くものなのか主にダークでブルータルなHMバンドをメインに扱うイタリアのWormhole Death Recordsとライセンス契約を結んだのがミスマッチ(レーベル名の時点で…)だったのか、記念すべきデヴュー作は本来届くべきだった彼等のサウンドを好む聴衆達へ至らず日々新鋭メロハー・バンド達の情報が大量に伝えられる中で埋没し、その素晴らしい出来栄えとは裏腹に2022年当時余り話題にならなかったのが残念でありました… Wormhole Death Recordsから2024年に一度リイシューされ、その後に契約期間を満了したのか本国スウェーデンのレーベル King2music Recordsからジャケット・デザインをミステリアスさと気品を漂わす風へ一部変更し、更にボーナストラックを1曲追加して2024年にやっとデジパック仕様で少数リイシューされた、までは良かったが今度はオリジナル盤はちゃんとしたプレスCDであったがスウェーデン・リイシュー盤は残念な事にCD-Rリリース(何故か本国盤の方が劣化…)と相成りましたのでオリジナルのイタリア盤をお持ちの方は大事に保管しましょう! (゚~゚) 最初、彼等の楽曲サンプルをネットで試聴した時、程良く荒れたしゃがれ声のパワフルな叫び、キャッチーでフック満載なサウンド、分厚くポップで北欧らしい爽快なコーラス・ワーク、が耳から流れ込んで来くると同時に脳裏を駆け抜けたイメージは、同じく北欧はノルウェー産のハードポップ・バンドRETURNでした。 RETURNにキーボーディストが加入して70年代っぽいテイストとグルーヴあるクラッシック・ロックをポップにキャッチーに演奏してる、という当初に抱いたサウンド・イメージはアルバムを聴くと半分当たっていて、残り半分は違っていたのが本作を初めて聴き終えた時の感想であります。 RETURNよりもクラシック・ロックへ大きく傾いた音楽性ながら当然テクノロジーの恩恵と丁寧なプロダクションの効果抜群な2020年代作に相応しいモダン・サウンドで、特にギタリストの技量は、フィーリング、フレージング等全てに置いてこちらの方が圧倒的に上回っており、印象的なソロ・パートとシャープなギター・リフ、安定したソリッドなリズム・ワーク、控え目で無駄の無い効果的なキーボード・プレイ、気の利いたアレンジの数々、コンパクト且つ耳を惹きつける楽曲展開、そしてベテラン勢が集ったバンドらしい非の打ち所の無いテクニックも相まって、スウェーデン人はどうしてこうもキャッチーでパンチの効いた楽曲と心震わすロマンチックな美旋律の数々を紡ぎ出せるのかと本当に関心してしまう。 ギタリストが中心となって立ち上げられたバンドなので当然だが、緩急を巧みに使い分けるほんのりブルージーでメランコリックなギターに導かれた楽曲の数々は時間をかけまくって完成させたと言うのも納得な緻密で隙無い造りで、終始メロディアスでキャッチーなのにどこか旋律の端々に哀愁が漂っているのも如何にも北欧メロディアス・ロックバンド作らしく、何故に国内盤リリースがなかったのか不思議なくらいだ。 逆にヴォーカリストが楽曲を引っ張る勢い、歌メロのフックや質、意外性ではRETURNの方が圧倒的に勝っており、但し全体の音楽の方向性がよりバランス重視で幅広く多様な音楽性をカヴァーしている為にドポップで元気溌剌という狭い北欧ハードポップな音楽性の中で魅力を発揮しているRETURNとの単純な比較はナンセンスと重々承知ながら、冷静に分析するまでもなくエモーショナルさや感情表現の幅では Michael Storck の歌いっぷりの方に軍配が上がるもののやっぱり個人的にRETURNの Knut Erik Ostgard のヴォーカル・パフォーマンスの方が堪らなく魅力的に聴こえてしまうのです、ハイ。 RETURN程にモロに80年代アメリカン・テイストを漂わす単純明快サウンドでない、シンセによるオーケストレーションや優美なストリングスの使い方等でちょっとCATS IN SPACEっポイ感じもある英国風味も所々で漂わせつつ程々にアメリカン・テイストも香る複雑で奥深い音楽性が垣間見えるオーセンティックでオクトジェニックなユーロ・メロディアス・ロックという一筋縄でいかぬ音楽性なのも無関係ではないとは思いますが… とまれ既述のバンド名に引っ掛かるものを感じた方なら本作をチェックしても決して損はしない、2020年リリース予定な作品が何度もリイシューを繰り返されている事を鑑みても単なる北欧マイナー・バンドのデヴュー作でないメロディアス愛好家にとって魅力的な一作だとご理解いただけるのではないでしょうか? こうなると俄然次なる新作に期待が高まるのですが、残念な事に2022年7月3日にバンドの中心人物で創作面でもリーダーの Jorgen J. Anderssonが急逝してしまった… 世界中の美旋律愛好家とMASQUE OF ARTにとってこれ以上無い大きな痛手であり深い悲しみなのは無論だが、なんと彼は他界する前に次作用のギター・パートのレコーディングを終えており、彼に敬意を表す遺志を引き継いだ2ndアルバムが間もなくリリースされる予定との事なので、各メンバー多忙なのは分かっているがどうか一日も早く Jorgen J. Anderssonが放った最期の輝きを聴かせて欲しいものであります。 尚、ボーナス・トラックはアルバム中でも一番にドキャッチーな同名曲のアレンジ・インストヴァージョンで、オリジナルの持つブライトで弾むポップ・フィーリングを、亡き Jorgen J. Anderssonへ捧げる為に Mathias Norbergがしっとり壮大で優美なプログレ系を思わすシンフォニックな葬送曲風(奇しくもタイトルが…)へお色直しして奏でられており、このバンドが単なるオクトジェニックでストレートなロックを演るだけのユニットではない懐の深さも垣間見せる秀逸なアレンジ曲と言えるだろう。 Track List: 01. Don't Let it Rain 02. You Will Be Touched 03. We Live In America 04. Grace of God 05. My Way 06. Sensation 07. Heaven Can Wait 08. Healed By You 09. You Need A Little Lovin’ 10. After All These Years 11. Save The World 12. Heaven Can Wait (Alternative Instrumental Version) MASQUE OF ART Line-up: Jorgen J. Anderson : Lead Guitar & Backing Vocals Michael Storck : Lead Vocals Peter Lundgren : Drums & Percussion Nalle Pahlsson : Bass & Backing vocals Mathias Norberg : Keyboards Jorgen Svensson : Guitars、Additional Keyboards & Backing Vocals Produced By MASQUE OF ART
by malilion
| 2025-09-25 18:33
| 音楽
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