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ドイツ産ロック・バンドだけどアメリカン・テイストが売りなHARTMANNが新譜をリリース!!

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HARTMANN 「Twenty Times Colder」'25

ドイツのネオクラHMバンドAT VANCEの元シンガー兼ギタリストと言うよりも、メガセールスを記録した Sascha Paeth率いるメタル・オペラ・プロジェクトAVANTASIAへの参加やROCK MEETS CLASSICプロジェクト、さらにドイツ国内チャートでDVD作が20位を記録したPINK FLOYDトリビュート・バンドECHOESのリード・ヴォーカリストとして今や欧州全域でその名を知られ、他にも様々なプロジェクトに関わっている Oliver Hartmann率いるドイツ産AOR&メロディアス・ロックバンドが、結成20年を迎えて前作『Get Over It』'22 以来3年ぶりとなる8thスタジオ・アルバムをリリースしたので即GET!

前作では長らくギタリストの座を務めた Mario Reckの姿が無くトリオ編成でのアルバム・リリースとなったが、デヴュー以来キーボードパートに客演者を迎えてアルバムを制作していた本バンドに今作からパーマネントなキーボーディストが加入し、以前のツイン・ギター編成からギターとキーボードの絡みが新たな魅力を生み出す新編成となっての初作品となっている。

さて、本作の内容ですが鍵盤奏者が加入したからといってキラキラしたシンセが鳴り響いたり派手なキーボード・ソロが飛び出してくる訳もなく、いつも通りにハードでエモーショナルに泣き叫ぶブルージーなギター主導のアメリカン・テイストあるユーロ・ロック風味を隠し味にしたキャッチーでコンパクト、そしてストレートなロック作となっており、相変わらずグルーヴィなリズムとフックに富んだメロディアスなサウンドは素晴らしく、しっかりコンポーズとプロデュースが成されたプロフェッショナルなソングライティングが楽しめる前作同様スムースでアダルトなコンテンポラリー・テイストも漂う安心安定の一枚で、彼等のファンならずとも辛口批評なユーロ・ロック・ファンも唸らすだろう Oliver Hartmannの抜群の歌唱と巧みで味わい深いギター・ワークが隅々まで堪能出来る秀作だ。

本作を購入する方の殆どはWHITESNAKEの David CoverdaleとMr.BIGの Eric Martinを足して二で割ったようなディープでソウルフル、そして伸びやかでパワフルな Oliver Hartmannの歌声が目当てでしょうが、妙な派手さやトリッキーな仕掛けも無い代わりに実に手堅く、それでいて聴く者の耳を飽きさせぬバラエティ豊かな楽曲の数々と Oliver Hartmannの抜群のヴォーカル・パフォーマンスが十二分に堪能出来るバックのツボを抑えた演奏の端々にもベテランの技が活かされた見事な仕上がり具合で、昔からのファンならずとも大満足な一作なのは間違いない。

面白いのはこれまで意図的にか抑えてきたユーロ・テイスト、もっと言うとRAINBOWっぽい妖しくマジカルな雰囲気漂うギター・フレーズを Oliver Hartmannがリッチー張り(笑)にミステリアスに紡いでおり、長らく埃っぽいアーシーな乾いたギターばかり掻き鳴らしてきた反動なのか、結成20年の節目で新機軸を試みたかったからなのか、もしくはECHOESでの成功が何らかの呼び水になったからなのかは判然としませんが、ともかく初期作以降なかなか聴く事の無かったユーロ・テイストを濃厚に漂わすウェットな美旋律を奏でるギター・サウンドが数多く楽しめるのも本作ならではの注目点でしょう。

前作からクラッシック・ロック風味が一気に増したサウンドを鳴らす様になった彼等ですが本作も同一路線作と言ってよい70~80年代クラシック・ロックの伝統とモダンな感覚を融合したサウンドで、所謂メロハー系リスナーだけでなく普遍的なロックを好むリスナーにも十分にアピールする作品と言え、その辺りの微妙な路線変更は80年代風サウンドを鳴らす新人バンド達が多く関わるドイツのメロハー・レーベル Pride & Joy Music所属になって長らくな事とも無関係ではないのだろう、きっと。

重く歪んだリズミックでグルーヴィなハモンド等の鍵盤サウンドがクラッシック・ロック風味ある本作の楽曲に実に良くマッチしており、その方面の展開を目論んで選任鍵盤奏者を迎えたんでしょうね♪ (*´ω`*)

本作も前作同様 Sascha Paeth (AVANTASIA、BEYOND THE BLACK、KAMELOT、HEAVENS GATE、etc...)が共同プロデュース、及びミックス、マスタリングを手掛けており、モダンなAORやUSメロディアス・ロック等のお馴染みな要素だけでなく、今回は持ち前のアコースティカルなテイストに加え雄大なケルテイックフレーバーまでも楽しめ、その幅広いジャンルを網羅するロマンティックなサウンドからはメジャー・アーティスト並の上品な調和と繊細なタッチが感じられ、Oliver Hartmannの多彩な才能とシンガー、ギタリストとしての非凡な技量が際立った、メジャー・レーベルからのリリース作でないのが信じられぬハイ・クオリティな仕上がりの一作だ。

こんなに素晴らしい作品なのに今回も日本盤リリースは見送りなのだろうか? 派手さや目新しさは無いけれど、それでもこれだけのバランス取れた高品質ロック作がスルーされるなんて…世の中、不条理過ぎでしょう?

Track List:
01. Twenty Times Colder
02. No One But You
03. This Heart
04. Alone
05. Just Fly
06. Don't Cry
07. Someone Like You
08. The Time Of Your Life
09. Valentine's Day
10. Heart Over Mind
11. Remember Me

HARTMANN Line-Up:
Oliver Hartmann : Lead Vocals、Guitars
Armin Donderer : Bass
Markus Kullmann : Drums
MarKus Nanz : Keyboards

Produced by Oliver Hartmann & Sascha Paeth
Mixed & Mastered by Sascha Paeth


by malilion | 2025-09-19 16:58 | 音楽 | Trackback
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