YA YA 「Scarred」'84 YA YA脱退後に英国HMバンド FASTWAYへ加入し2代目シンガーとなって1997年の7thアルバム『On Target Reworked』まで在籍する事になる Lea Hartを擁する英国4ピース・ハードポップ・バンドによる1984年リリースのデヴュー・フルアルバムがBoot CDリリースされたのを泣く泣くGETしたのでコッソリご紹介。 御覧になれば分る通りオリジナル・デザインはここ日本では些かセンシティヴ過ぎたのか国内盤LPは独自デザインのジャケットへと変更されており、マニアな方々には強烈に80年代を思い起こさせるイラストレーター Patrick Nagelやわたせせいぞう風味を漂わすカラフルでオサレな日本独自ジャケ盤の方が好まれていたりします。 近年、Melodic Rock Classicsから幻の2ndアルバム『II』奇跡のオフィシャル・リイシューが叶いましたが本作は未だにオフィシャル・リイシューCD化が実現していない(何故リイシューされぬかはここで『II』紹介時に触れたので割愛)、半ばBoot的なリイシュー盤を繰り出す事で有名(相手からの許可の有無に関係無く強引に金を懐へ捻じ込んで再発するらしい)なZoom ClubやKrescendoからも本作はCD化されておらずオフィシャルCD化は絶望的な為、手軽にCDでサウンドを楽しみたいので仕方が無くBootに手をだすハメに…(´A`) Scotti Bros. Recordsから当時CDがリリースされたオリジナル盤が存在し、まるでリプロ盤がリリースされたかの様なCD盤面やブックレットまで細かく作り込まれている秀逸なデザインのコレクターズCD/Boot盤なのが唯一心の慰めでしょうか? 元がシンプルなサウンドだった事も関係してか板起こし音源の音圧上げただけだろう本Boot盤は一部ノイズが聴こえるものの総じて音の方も悪くないんですよ、ええ(汗 今までに何度か見かけた劣悪な出来のBoot盤に比べたら金を出してもいいかな、ってレベルの装丁も良い出来のBoot盤で、って褒めちゃ駄目だけどバンドに対する愛着が欠片も無い金儲けだけ目的の糞みたいな極悪コピー盤も多いんで… さて、ブリティッシュ・ハードポップの名盤としてメロディアス・ロック愛好家の間で知られる本作は、当初ソロ活動をしていた英国人シンガー Lea HartがLEA HART & THE ROLL-UPS等を経た後、ソロ活動時のバックバンド(78年のJUDAS PRIEST英国ツアーもサポート)を母体にTHE LEA HART BANDが結成され、既にこの時点でギタリストに Ray Callcut、元PANACHEのリズム隊であったベーシスト Terry Stevensとドラマー Graham Garrettを迎えており、インドとタイでのツアーを敢行した後にバンド名をTHE LEA HART BANDからYA YAへ変更し米国のレコード会社 Scotti Brothersと契約を交わすと、Joan Jett BANDのベーシスト Jeff Petersとキーボーディスト Nick Colerがゲスト参加したデヴュー・アルバム『Scarred』を1984年にリリースする。 ハードポップ作として語られる事の多い本作だが、そのサウンドは今の耳で聴くと溌剌としたシンプルな縦ノリRock'n'Rollと当時英国で大流行しUKチャートを賑わしていたシンセと打ち込みを多用したダンサンブルなニュー・ウェイヴ・サウンドをMIXし、さらにキャッチーなブリティッシュ・ポップフレーバーをまぶした独特な英国風味あるカラフルなAOR&ポップサウンドに思え、当時としてもかなりシンプルで軽いそのサウンドを指して『奴等は100%Crap Rockだ!』と軟弱なサウンドが目の敵のメタルヘッドな諸兄から激しく揶揄されていた作風のデヴュー・アルバムでありました。 因みにCrap Rockとは侮蔑の意味合いが強い呼称で、70年代初期に流行ったチープなサウンドに音楽性も浅く歌詞も少ない単語を繰り返すだけの愚かで陳腐な子供向けのシンプルな音楽であるバブルガム・ポップと同じ意味合いな80年代前半の型にハマった歌詞とサウンドで構成された定番サウンドの極めてソフトなロックを指してカテゴライズされる音楽の事で、AIR SUPPLYやTHE COMMODORES、Hall & Oates、Kenny Loggins、Peter Cetera等の作品を指して海外では言われている、らしい(汗 SWEETもAIR SUPPLYもPeter Ceteraも大好きな私からすると、単に売れ線なキャッチーで軽いサウンドの恋愛歌詞中心なアーティストやバンドの作品を指してムサ苦しいメタル野郎共(失礼!)が一方的に見下してるだけの暴言な気がするし、THE WHITE STRIPESが90年代末にガレージロック・リバイバルを代表するバンドとして再びCrap Rockを流行らせているので若年層を中心に常に需要がある音楽と言えるんじゃないでしょうか? まぁ、華やかなメジャー・シーンを彩るアーティストやバンドでなくアンダーグラウンドなカルト・バンドの最小限のスタジオ・プロダクションと粗末な機材を使用したシンプル&チープだがリアル・サウンドを聴く事がクールと考えたキッズ達によってメインストリームに持ち込まれ人気を博したTHE WHITE STRIPESやTHE STROKESは、その実は数百万ドルもバジェットを掛けてデジタル・レコーディングしたサウンドを60年代の5ドルで売られていたレコード風のチープでシンプルなサウンドに意図的に聴こえるレトロ・スタイルが売りなので、80年代中期のデジタル機材が未発達な為に貧弱で当時も今も安っぽく聴こえるいシンセ・サウンドを活用した本作とは根本的に音の粒子の密度やクオリティが違うんですが、故意か必然か聴衆にとって細かな違いは聴こえてくるサウンドが同じに思えるなら何も関係ない話ですもんね。 話が逸れましたがリリースから40年以上が経った本作の、39分間ずっと軽快な素晴らしいフックと感染力あるバックビート、そしてシンセ・ダンス・ヴァイヴと泣きのギターが見事に噛み合ってロマンチックな音色を奏でつつ、少し癖のある鼻に掛かった声で果敢に歌い上げる Lea Hartの伸びやかなハイトーン・ヴォーカルを主軸に、多彩で印象的なギター・ソロとニュー・ウェイヴ風のダンサンブルで間抜けなコーラスを交えて幾度もフック満載のブリッジを繰り返し、グリッターでロマンチックなシンセポップの音色からチープさとプリミティヴィズムを滲ませながら最初から最後まで小気味よいアレンジとメロディアスな事に拘り抜いた80年代ハードポップサウンドでストレートにブライトに攻め立て続ける様は、今の耳で聴いてもセンス抜群で実に爽快だ!! レゲエやディスコ、そしてファンキーなタッチも顔を出すなど全体的にアメリカナイズされたサウンドなれど、やはり随所で英国らしい叙情感ある美旋律が垣間見えるのが本作最大のセールス・ポイントだと個人的には思っていて、当時の時流からすると完全にドライでカラッとしたメロディとサウンドでなければブレイクは難しかっただろうに英国バンドらしいノーブルさか不器用故かその点は保ちつつ、80年代を席捲したa-haやMr.Mister風のデジタル・ポップスにTHIN LIZZY風の翳りあるスムースな歌メロをMIXするなど定番スタイルの中で果敢に独自性を発揮しようとしていたりと、デヴュー作を最後に主導者である Lea Hartが脱退してメジャー・レコード会社 Warner Brosに主導権が移ると新ヴォーカル Sam Blueを迎えてプロダクションを向上させ、楽曲と音楽性の完成度も上がり、ヒットポテンシャルも大幅にアップした2ndアルバム『II』をリリースするのですが、本作のみで失われてしまった80年代米国メジャー・シーンでの展開を目論みながら英国特有の音色を鳴り響かせるあの時代でしか聴く事の叶わぬ唯一無二のブリティッシュ・ハードポップ・サウンドが本当に堪りません♪ (゚∀゚) チープなサンプルのシンセが寄り添う様にシンプルなバンドサウンドへ様々な彩りを付け加え単調なフレーズながら朗らかに鳴り響いてるのが堪らなく良いのですわぁ~♪ 結果的に成功は訪れずこの方向性とサウンドは永遠に失われてしまったのが本当に惜しいですね…大々的に売れなかった本作と同系統の英国ハードポップサウンドを誰も追わなかった、YA YAの名だけ残ったもののもう今となっては懐メロな本作がクリアーにリマスターされたサウンドで聴けないのが本当に悲しい…(´~`) とまれ80年代風ニュー・ウェイヴと80年代UKポップをMIXしアメリカナイズしたメロディアス・ハードポップな2ndアルバムよりも一層に英国風味が濃厚に香る本作、80年代風味あるシンプルでキャッチーなユーロ・メロディアス・ハードポップがお好みな方なら間違いなく気に入るだろう一枚でありますので、もしご興味あるようでしたら一度自身の耳でチェックしてみる事をお薦め致します。 Track listing: 01. Don't Talk 02. She Don't Wanna Know 03. We've Only Tonight 04. Those Eyes 05. Dead Lovers 06. Stop...Breaking Me Up 07. Just Go 08. Talk To Me 09. Cut Me Up 10. Are You Ready YA YA Line-up: Lea Hart : Lead Vocals、Guitars Ray Callcut : Guitars Terry Stevens : Bass Graham Garrett : Drums Additional Musicians: Jeff Peters : Bass Andy Flashman : Keyboards Rob Adams : Drums Nick Coler : 〝YA YA" Keyboards Produced by Lea Hart Mixed by Tony Papa & Lea Hart
by malilion
| 2025-05-15 18:26
| 音楽
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