ART NATION 「Chapter V: The Ascendance」'25 数多くのバンドやプロジェクト (CROWNE、NITRATE、LIONVILLE、ex:CREYE、etc...)へ参加し見事なその歌声を披露のみならず、現在は地元スウェーデンの国営TVやラジオを中心に大衆受けの良いソロ活動やコンテンポラリー・ミュージック界隈の著名アーティスト達とのコラボ活動の方が寧ろメインになりつつある気配(市場規模が違い過ぎるし仕方が無いが…)もあり、そんな事もあってかFrontiers Recordsお抱えミュージシャン Alessandro Del Vecchioと今や若干ポジションが似通って感じるシンガー&ソングライター Alexander Strandell 自身が率いる北欧スウェーデンはヨーテボリを拠点に活動するモダン・メロハー・バンド ART NATIONが前作『Inception」』'23 以来となる5thアルバムを2年ぶりにリリースしたのをちょい遅れてGETしたのでご紹介。 これまで本バンドはやたらメンバーチェンジが起きてきた経緯があり、前作『Inception」』リリース前の休止期間 (実質、解散状態)を経てオリジナル・ギタリストで元TASTE、そしてART NATION脱退後にAMARANTHE、ANTHRAX、EVERGREY、OSUKARU等の同郷バンドのみならずワールドワイドで活躍するバンド達とも仕事をこなし今やプロデューサーとしても名高い Christoffer Borg (Guitars)が復帰、更に『Inception」』レコーディング前にバンドに加わった、深いグルーヴと複雑なベースラインを操る卓越した演奏力と高い音楽性で知られ数多くのミュージシャン達と共演し元ANTHRAXのヴォーカリ スト Neil Turbin率いるDEATHRIDERSにも籍を置く Richard Svarsd (Bass)、同じく前作レコーディング後にバンドに加わった元DEVILICIOUSの Alexander Lundgren (Drums)の新4人編成へ落ち着き『今からバンドの新章がスタートだ!』と Alexander Strandell が意気揚々と語っていたにも関わらず再び Alexander Lundgrenが脱退、と本当にこのバンドはデヴュー当時からリズム隊メンツが安定しない状態が続きますねぇ…何か創作面かバンド運営上で問題を抱えてるんでしょうか? (´~`)クレジットの問題ナノ? そんな訳でドラマー不在の3人が現在パーマネント・メンバーとなっており、本作はLIVE時のサポート・ドラマーを務める2人 Gabriel Gomerと Rickard Johnssonを招いて叩かせている完全なバンド体勢での制作では無いがそこはプロデュース業で名を馳せて来た Christoffer Borgと、数多くの課外事業で歌唱力だけでなくスタジオ作業等もスキルアップを図り今やソロシンガーな扱いを本国で受けている Alexander Strandell の手によって些かの不備も感じ無い素晴らしい仕上がり具合となっている。 3rdアルバムまで目まぐるしくメンバーが変わるのに合わせるかの様にサウンドの方もモダンさやポピュラリティーの向上による音楽性の拡散が著しかった彼等だが、前作から意図的に初期の所謂トラディショナルな北欧メロハー的スタイルに寄せるサウンドを聴かせ、続く本作では北欧特有な憂いと叙情を帯びた美旋律にシンフォニックな壮大さと今まで以上にメタリックな重厚感、そして爽快さと躍動を伴った疾走感を加味し、ティピカルな北欧HMと00年代メロディアス・ハードのMIXサウンドをベースに、突き抜けるパワフルで情熱に満ちた Alexander Strandellのハイトーン・ヴォーカルと Christoffer Borgのリフにソロにとメロディアスでエッヂある卓越したギター・ワークを活かした、随所にモダンでデジタリーなアレンジとシンセの音色をまぶす事で最近巷に溢れているオクトジェニックなメロディアスHM勢と一線を画す、ART NATIONの典型的なトレードマークを失う事なく洗練されたドラマチックなメロディとダイナミックで限りなく美しいサウンドをエネルギッシュに轟かせる北欧HMシーン屈指の傑作を届けてくれた。 大雑把に言って2019年の活動休止前は同郷バンドH.E.A.T.っぽい方向へ音楽性が拡散し不確かで不安定にブレはじめていたが、本作に置いては敢えて音楽性の幅を狭めて焦点を絞ると同時に説得力を高め、SONATA ARCTICA風な聖歌隊やオーケストラ・パートを加味してシンフォニックで仄かにファンタジックな雰囲気を醸し出した、それでいて洗練度と壮大感は増したスピーディでアンセミックな北欧メロハー・サウンドが新生ART NATIONの止まる所を知らぬ鮮烈な勢いと迸る創造性の基礎となって凛として眩く輝き鳴り響いていると言えよう。 前作が原点回帰作だとしたら本作はシンフォニック要素とHMらしい疾走感を付け足した、より明確なヴィジョンを伴ってモダンで美しくプロデュースされた初期SONATA ARCTICAを更に洗練させた新基軸サウンドと言え、80年代に憧憬を抱く凡百のメロハー・バンドなら単なる過去の焼き直しや有名バンドのオマージュに留まる所を Alexander Strandellと Christoffer Borgは更に一歩進めて、北欧パワー・メタルに近い音圧高めでよりメタリックな音色をフィーチャーしつつソリッドなボトムのヘヴィさや全体的なアグレッシヴさはソコソコに抑え、キャッチーさとポピュラリティを保つ絶妙のバランス加減とシャープでエネルギッシュな楽曲をコンパクトに無駄なく纏め上げた、北欧らしい透明感ある美麗な音使いで『これぞ北欧HM!』という安心と満足感と、デジタリーで手の込んだアレンジを施したフックある美旋律の数々で『進化したモダンHMだ!』というエキサイティングな手応えも感じさせる、新旧のみならず攻守にも隙無しの現代的でメロディック志向のエネルギッシュな満足感ハンパない欲張りサウンドが詰め込まれたアルバムだ。 ただ、前々作から専任キーボーディストを在籍させぬ体勢になったのを残念に思っていたが、本作での全編でキーボード・サウンドが鳴り響いているものの完全にバッキングがメインでアレンジや楽曲に彩りや華やかさ、雰囲気を変化させる使われ方をしているのを聴くに、初期には重要な作曲メンバーでもあったがもうバンドメンバーとして個性的な音色を奏でるキーボーディストをART NATIONは必要として居ないと分かってそこは少し悲しかったですね…北欧メロハー・バンドには煌びやかな音色を弾く個性的なキーボーディストが居て欲しいと願ってしまうから… 紛れもなく高品質な作品なのだが、個人的にはモダンさやポピュラリティ具合が活かされたサウンドはソロ活動の方で満足させてART NATIONの方ではもう少しバランスを崩して所謂HMらしいヘヴィなボトム・サウンドが地響きの様に轟きツーバス・ドコドコで炸裂する頭の悪そう(失礼!)なメタリック・サウンドなんかも聴かせて欲しい、余りに垢抜けてオサレ度が上がり過ぎるとメロハーや北欧HMらしい〝マイナー臭″や〝不器用な味わい″が抜けてアッサリ気味な軽い音に聴こえて物足りなく感じちゃうんスよね…これだけ緻密で創り込まれた美しいサウンドのアルバムにトンでもない暴言だし『ならそーいうジャンルの作品聴けよ! 最先端の北欧メロハー ART NATIONに求めるな!』と突っ込まれる事も重々承知ですけど、北欧勢に特有なカラーと言うか翳りのある響きってあるじゃない? 個人的にそこら辺にも異様に心惹かれ仰け反る(笑)くらい魅力的に感じてしまうものでして…無いものネダリの典型みたいで申し訳ない(汗 ART NATIONの2025年は、ヨーロッパ大陸全体と英国でのコンサート公演を増やし、北欧圏以外への進出を本格的に拡大しようと試みるらしいので、恐らくパーマネントな新ドラマーが近々発表されるのではないでしょうか? 今度こそ安定したメンツで着実な活動をして欲しいものですね。 とまれ彼等のファンな方は当然として、モダンでキャッチーな北欧メロハー作がお好みな方や、DYNAZTY、ECLIPSE、H.E.A.T.、CROWNE、MAJESTICA、SONATA ARCTICA等のメロディアスなサウンドが信条のバンドがお好みな方なんかにも訴求するだろう優れた本作、ご興味ある様でしたら是非一度自身の耳でチェックしてみて下さい。 Track listing: 01. Set Me Free 02. Thunderball 03. Halo 04. Runaways 05. Julia 06. The Last Of Us 07. Lightbringer 08. A New Beginning 09. Unstoppable 10. Rise 11. Fallout 【Bonus Track】 12. Lightbringer (Acoustic Version) ART NATION Line-up: Alexander Strandell : Lead Vocals Christoffer Borg : Guitars Richard Svard : Bass Additional Musicians: Gabriel Gomer : Drums on tracks 3、5 & 8 Rickard Johnsson : Drums on tracks 1、2、4、6、7、9、10 & 11 Felix Borg : Guitar on track 8 Jona Tee : Piano on track 5 Recorded & Mixed by Christoffer Borg Mastered by Jacob Hansen Produced by Christoffer Borg & Alexander Strandell
by malilion
| 2025-05-13 19:24
| 音楽
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