STREETLIGHT 「Night Vision」'25 北欧スウェーデンの南部スモーランド地方の都市ヨンショーピングを拠点に活動しプロデューサーとしての活動も知られる Johannes Hager(Vo、G)率いるキーボード入り5人組メロハー・バンドの前デヴュー作『Ignition』'23 から2年ぶりとなる待望の2ndアルバムがイタリアのFrontiers Music Srlからリリースされたのをちょい遅れてGET! 北欧メロハー的な透明感を感じさせつつJOURNEY、TOTO、KANSAS、DEF LEPPARD等の80年代米国メインストリームを賑わしたメジャー・バンド群のテイストや、西海岸アリーナロック・バンド、ポピュラリティ高いAOR、ラジオフレンドリーな産業ロック要素、それら全てを巧妙にMIXしバンドの中心人物 Johannes Hagerのキャッチーで爽快な突き抜けるハイトーン・ヴォーカルとツボを心得たメロディアスでフックあるギター・ワークに焦点を定めた、オクトジェニックなクラッシック・ロックをカラフルでモダンに仕上げた洗練度高くコンパクトなユーロ・メロディアス・ロックを聴かせ世界中の美旋律愛好家を虜にした彼等ですが、バランス重視の軽く殆んどハードポップな仕上がり具合故か心地よくはあるものの些か引っ掛かりが弱い優等生的サウンドに感じられたデヴュー作の反省点をシッカリと踏まえた、キャッチーでハイクオリティな楽曲はそのままに新たに80年代アメリカン・プログレハード的テイストを感じさせる凝ったアレンジや華やかなキーボード・サウンドが大活躍の一風変わった路線の新譜を届けてくれた! デヴュー作のジャケ・デザインがその爽快で完成度高いキャッチーなメロハー・サウンドと反比例した美意識に欠ける酷いダサダサ具合だった事も一部でセンセーショナルな話題(汗)になっておりましたが、続く本作では『なんでKANSAS!? チープなAudio Visionじゃん!? てか、タイトルからして(w』なオマージュ・デザインに思わず破顔してしまった諸兄も多いのでは? ご安心下さい、今回もタチの悪い冗談みたいな時代錯誤感ハンパないジャケデザの美意識の低さ具合に反比例して内容の方はキャッチー&フック満載な極上のメロハー作となって御座います♪ (゚∀゚) 確かに前作でも所々でピアノのアレンジや控えめなキーボードの使われ方の端々に80年代アメリカン・プログレハードっぽい感触はありましたが、まさか本作でそのポイントに大きく焦点を当てて来るとは予想外でありました。 プロデューサー的思考で Johannes Hagerが選択するのならば、2ndアルバムによりヒットポテンシャルを求めるべくもっとコンパクトでキャッチーなコンテンポラリー寄りのヴォーカルに焦点を当てた大衆受けする洗練されたハードポップ化が一層に進むものと思っていましたからある意味で正反対の方向へ進んだとも言え、売り上げなどに妙な色気を見せず純粋にミュージシャン的な思考と恐らく彼の個人的な嗜好で進むべき次なる道を選んでくれたのが嬉しい (*´ω`*) デヴュー・シングル『Hit The Ground』はPVも公開され、現在迄に14万回以上のYouTube再生回数を記録し、Spotifyでのストリーミング数は500kを超えるなどデヴュー・アルバム『Ignition』はメンバーを含め全ての人々の期待を上回る評価を得た一枚となったが、バンドはそんな評価に奢る事なく地道なLIVE活動も行っており、クラブやフェスティバルの両方で盛んに演奏する姿を聴衆へ披露しており、スウェーデンのAORフェスティバル Malmo Melodic等にも参加するなど、来るべき2ndアルバムの構想を練りつつ聴衆からのフィードバックやリーダー Johannes Hagerの次なる一手を読んだ選択が本作『Night Vision』で結実し、楽観的で高揚感あるパンチの効いた独特の美旋律と爽快で分厚いコーラス、そしてバンドのトレードマークとなった Johannes Hagerのストレートにどこまでも突き抜けるハイトーン・ヴォーカルと一体となって高らかに鳴り響いている。 本作でも80年代ロック黄金期を思わすオクトジェニックなクラッシック・ロックにモダンアレンジを施し華やかでキャッチーな独自のカラーに染め上げる音楽的方向性にブレは無く、コンパクトで洗練された粒揃いのハイレベルな楽曲、透明感と叙情感ある北欧バンドらしい美旋律、そして何よりもメロディアスである事に拘り抜いた美麗サウンドを比較的短い期間で届けてくれた事や新たな音楽要素を追加し好評だった80年代半ばの典型的ロックに多大な影響を受けたサウンドを更に進化発展させる新人バンドらしい挑戦心を見るまでもなく、今STREETLIGHTはデヴュー時を凌ぐクリエイティヴィティの高まりを見せ、数多の音楽要素を有機的に溶け合わせる高いアビリティを発揮しているのは間違いないだろう。 又、本作のサウンドがFrontiersリリース作にありがちなサウンド・テイストと一味違って感じられるのは、新人バンドを即席で売れる音に仕上げる為にFrontiers Musicが良くやる手法、お抱えミュージシャンでプロデューサーの Alessandro Del Vecchio に任せてメロハー・ファンにアピールする定番サウンドに仕上げさせる事なのですが、リーダーである Johannes Hagerがプロデューサーとして手腕をふるい本バンドならではの音作りをしている為なのは明白で、そういった点からもSTREETLIGHTのアルバムがFrontiers Musicにありがちな作風でもサウンドでもない北欧バンドらしい独特で現代的なアプローチと、キャッチーなメロディとハーモニー、耳が惹きつけられっ放しなキラーなブリッジ、そしてフックあるカウンターメロディが素晴らしい印象的なサウンドカラーを発揮しており大変に好ましいですね。 只、申し訳ないが文句が何も無いと言う訳ではなく、アプローチを変えた影響でかキーボード・サウンドがミックスでかなり前面に押し出されているのと前作で大活躍していたギター・ワークが控えめになり、代わってデジタリーなキーボード・サウンドに多くのスペースを楽曲で与えておりデヴュー作とはまた違った意味でハードポップ化へ一歩近づいた感触が強まっていて、前作の爽快なギター主導のメロハー・サウンドが好みだった方からすると少々軟弱になって古臭い80年代風のシンセシンセした安っぽい音色が煩く感じられるかもしれない作風となった点と、本作の楽曲はどれも聴き応えがあり上品で優れた音楽性を感じさせるが、残念な事にプロダクションに些か問題を抱えており、華やかなヴォーカルとコーラス、透き通ったシンセ・サウンドに反して、納期の問題だったのか、それとも機材のアクシデントか何故かベースとドラムの音が濁って聴こえ、キーボード偏重な事もあってかMIX具合が上手く行われなかった点はいただけない。 プロダクションやMIX等の細かな点が別段それほど重要と思っていない方にはどうでもいい話かもしれないが、デヴュー作で既に優れたサウンドを一度聴かせてくれたバンドな訳だし、ハードポップ寄りの美しいサウンドや音の響き等が少なからず試聴する時に重要なポイントとなるジャンルであるAORや産業ロック好きなファンにも訴求する為にもその点は疎かに出来ないのは間違いないので、是非次作では改善をお願いしたいものである。 まぁ、そんな細かな苦言もアルバム中盤以降に登場する、WORK OF ARTにSTEEL BREEZEを足して80年代TOTOフレーバーをまぶした風な楽曲が飛び出してきたり、DREAM THEATERにTOTOをMIXしてSURVIVORフレーバーをまぶした風のムーディでシャレオツな、メロハー好きでプログレ好きな私の心を鷲掴みにしてガンガン揺さぶるプログレッシヴ・タッチな楽曲が飛び出してくる頃にはノリノリの欣喜雀躍状態でちっとも気にならなくなってはいるのですが(汗 どの楽曲もメロディアスでキャッチーな上に美旋律には必ずフックが設けられており、楽曲展開も気の利いたアレンジが施された、メロハー・ファンならずともユーロ・ロック好きな方なら耳を惹きつけられる事請け合いなアルバムで、甲乙つけ難い平均的に優れた楽曲ばかりが収録された反面『これぞキラー・ソング!』というシングルヒット確定の鮮烈な楽曲は見当たらず、やはりその点は既に偉大な先輩バンドの音楽性に大きく倣ったサウンドを奏でているオリジナリティの欠如と言う弊害でもありますが、才能も演奏技術も十分以上な彼等ならば遠くない将来必ずその問題を克服した素晴らしい作品を届けてくれると誰もが疑わぬ事でしょう。 とまれ既述のバンドのファンな方々や、80年代風のノスタルジックでキーボード・オリエンテッドなAOR、産業ロック等も愛する全ての方々にも是非聴いてもらいたい、ほんのり80年代アメリカン・プログレハードっぽさを加味したキャッチーでフック満載のオクトジェニックな北欧メロハー作がお好きな方なんかもご興味あるようでしたら一度自身の耳でチェックしてみるのも良いかもしれません。 Track listing: 01. Long-Distance Runner 02. Captured In The Night 03. Sleep Walk 04. Learn To Love Again 05. Late Night Hollywood 06. Leanna 07. Straight To Video 08. Where Eagles Fly 09. Where Did Love Go 10. End Game STREETLIGHT Line-Up: Johannes Hager : Lead & Backing Vocals、Guitars Filip Stenlund : Guitars、Backing Vocals John Svensson : Keyboards、Backing Vocals Johan Tjernstrom : Bass、Backing Vocals Erik Nilsson : Drums、Backing Vocals Produced by Johannes Hager Recorded & Mixed by Johannes Hager P.S. 所でこんなに日本人受けしそうなキャッチーなメロハー作が国内盤リリースされないなんて俄かに信じられません。 まぁ、デヴュー作は少々個性が弱かったので売り上げ的に芳しくなかったのかもしれませんがデヴュー作出しっぱで2ndリリース見送りはちょっと酷くない? と、言う訳で本作のフィジカル盤をお求めの方はお早目に輸入盤屋さんで探して購入される方が宜しいでしょう。
by malilion
| 2025-05-10 20:30
| 音楽
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