PROST 「Believe Again」'25 ギター歴40年以上でプロキャリア30年ながら59歳の殆んど無名なフランス人ギタリストト Antoine Prost 率いる4人組メロハー・プロジェクト作のデヴュー・アルバムがドイツのメロハー専科レーベル Pride & Joy Musicよりリリースされたのを即GET! 申し訳ないがフランス人ギタリストト Antoine Prostの名に惹かれなかったものの北欧スウェーデン新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDのドラマー Mats Erikssonが参加(だけでなくミックス、マスタリングも担当)との事で手を出してみたが、これが思いの外に良い出来の80年代にインスパイアされたメロハー作でありました♪ (*´∀`*) キャリアは長いものの全く Antoine Prostについて情報が無いので公式サイトに載っている情報を一応メモ代わりに転載しておきます。 科学者とミュージシャンの選択でプロ・ミュージシャンを選んだギタリスト Antoine Prostは、1984年当時最初に影響を受けたのが Michael Schenkerと Gary Mooreと言う事で、その後もクラシック音楽、バロック音楽を学ぶ傍ら、Yngwie Malmsteen、Vinnie Moore、Tony Macalpine、Paul Gilbert等の Mike VarneyがShrapnel Recordsの為に発掘した名ギタリスト達からインスピレーションを得つつ数多くのアマチュア・バンドで活動を続けながら自身のスタイルとテクニックを高め音楽性を広げていく。 1994年、プロ・ミュージシャンになる決意をした Antoine Prostは、クラシック音楽理論の知識を深めながら様々な高度なギター・テクニックの習得に打ち込み、数多くの音楽学校でレッスンを行う傍ら、元Yngwie Malmsteen BANDの Mark Boals率いるRING OF FIREやARTENSIONのウクライナ人キーボディスト Vitalij Kuprijのソロ作にも参加したアメリカ人ネオクラシカル・ギタリスト George Bellas やUSロック・バンドMr.BIGでお馴染みな Paul Gilbertへ師事するなど、更なる音楽性の広がりと経験値を高める頃には、彼の作曲とギター・プレイには WHITESNAKE、UFO、MSG、GIANT、TNT、NIGHTRANGER等の80年代を代表するメジャー・バンド達への深い憧憬が反映されていたらしい。 一時期は科学者を志していた事やプロ・ミュージシャンとしてのスキル・アップに余念が無い活動から容易に想像できるのは、Antoine Prostがどちらかと言えば感性やフィーリングで気軽に音楽を創作するタイプでなく、緻密な理論と現代的な文脈の中で創作へのアプローチに重きを置くタイプの技巧派ギタリストだと言う事だろう。 音楽学校講師を続けながら長年温め続けて来たアイディアを抱え燻っていた Antoine Prostに転機が訪れたのは、2023年に数多くのバンドに参加するギリシャ人実力派シンガー Manos Fatsis (CITY OF LIGHTS、HIDEAWAY、ODYSSEY DESPERADO、STAR.GATE、etc...)と偶然の出会いを果たした時で、瞬く間に音楽的な化学反応が起こって Antoine Prostの中で芽生えたアイディアと情熱を世に放つ為のプロジェクト・バンドが立ち上がり、80年代にインスパイアされたHRサウンドを現代的アプローチで再構築する情熱を共有するミュージシャン達が集結し本プロジェクト作が完成した模様だ。 年齢的にも70~80年代の音楽が Antoine Prostの主なバックボーンなのは疑い無いが、近年はREVOLUTION SAINTS、ECLIPSE、DEGREED、SUNSTORM等のモダン・メロハー・バンド等からの影響も受けたと告白しており、欧米新旧HR/HMバンドから Johann Sebastian Bach、Antonio Lucio Vivaldiといったクラシック音楽まで幅広く影響を取り込んで己の音楽性を構築し遂にデヴューを果たす遅れて来た新人ギタリスト Antoine Prostが放つ本作は、時に壮大な世界観を展開し、時に繊細な感情を描く、濃厚な80年代エッセンスが香るキャッチーでダイナミックなアメリカンHRの魅力を凝縮しつつ懐かしさと現代的アプローチを融合させた、切れ味鋭いリフが炸裂し、華麗なギターソロが唸りを上げ、煌びやかなシンセが鳴り響く、テクニカルでフラッシーなギター・ワークをメインに据えた美旋律系ロック・ファンにお薦めのオクトジェニックなメロディアスHR作となっている。 無名の高齢ギタリストがネットを通じてシンガーと出会い屈折ウン十年かけた楽曲を世に放つ、という流れだけ聞くと最近新譜をリリースしたベテラン・ギタリスト Mark Timson率いるデュオ・プロジェクト TIMSON AORが思い浮かぶが本作は少々状況が異なっており、Manos Fatsisがフロントマンを務めるツテで英国人ギタリスト Neil Austin率いるブリティッシュ・メロディアスハードの新鋭 CITY OF LIGHTSにも参加していたDEGREEDのリズム隊 Robin Eriksson (Bass)とドラマー Mats Erikssonに声をかけたが、最終的にベーシストには Antoine Prostの長年の友人 Greg Aubertが迎え入れられプロジェクトの構成メンツが決定した流れと思われ、中心人物である Antoine Prostではなく Manos Fatsisの広い人脈を活かし、既にキャリアと実績があり現在バンドで活躍中の実力派ミュージシャンを集めて制作された、どちらかと言えば Antoine Prostが Manos Fatsisの幅広い交友関係に加わったという風な、アマチュア・ミュージシャンが集ったインディ・デュオのTIMSON AORがリリースしたアルバムは如何にも自主制作盤という仕上がりだったが、本作は流石に名うてのプロ・ミュージシャンが集いメロハー作の品質には煩い Pride & Joy Musicのお眼鏡に叶ったプロジェクト作なだけあってプロダクションもサウンド・クオリティもメジャー作に決して引けを取らぬ上々な仕上がり具合となっており、そんな所にもインテリ・ギタリスト Antoine Prostの細かな拘りが伺え、彼は出会うべくして意中のミュージシャン達と交友を持ったのだな、と思えます。 長い年月かけて Antoine Prostが練りに練り上げた楽曲の美旋律や構成はケチのつけようがなく、歌メロもフックがありアレンジも絶妙で心地よく、特に耳を惹くのが表面的には80年代メジャー・アメリカンHRのオマージュ・サウンドなれど、北欧スウェーデン、ギリシャ、そしてフランスの感覚がミックスされた間違いなくユーロ圏特有な叙情感とウェットな音使いが楽曲に垣間見える所で、モダン・タッチが随所で活かされている為か全体的なサウンドの方向性がオクトジェニック・サウンド形態なれどノスタルジックな感触は思いの外少なく、更に元ASIAフロントマンでGPS、DUKES OF THE ORIENTなど多彩なプロジェクトでも活動する John PayneとFMの Steve Overland、そしてH.E.A.Tの Kenny Leckremoをミックスしたようなスムースでソウルフルな歌声を聴かせる Manos Fatsisの重厚で伸びやかなヴォーカルが実に素晴らしく、又意図的にかWHITESNAKEの David Coverdaleっぽいブルージーなディープ・ヴォイスや所謂北欧メロハー的ヴォーカル・アプローチを聴かせる時もあり、この辺りは恐らく Antoine Prostの指示なのだろう。 現在進行形で活動する北欧メロハー・バンドやネオクラ・バンド等に参加するミュージシャンを迎え入れた効果か、ベーシックな部分は懐古的な80年代サウンドながら現代的な音使いやアプローチ、そしてモダン・アレンジが加わって古くて新しい美しく構築された楽曲構成のメロディアスHRサウンドを形作る事に成功しており、そんなサウンドの上で喜怒哀楽あらゆるフィーリングを織り成し、火を噴くように激しくハイエナジーなギター・ソロが終始輝きを魅せ、屈折ウン十年越しに念願叶って遂に世に放たれる Antoine Prostの紡ぐ入魂のギター・ワークはリフにソロに緻密でコンパクトだが決して無表情でもドライでもなく、まるで歌うかの様な七変化の音色をエモーショナルに鳴り響かせているのが実に素晴らしく、こんなに弾き過ぎる事なく楽曲に即したソロやギター・プレイを自分中心のデヴュー作で心がけられるなんて俄かには信じ難く驚きであります。 ギタリスト中心なプロジェクトだと往々にしてインスト曲が収録されますからね、折角上手いヴォーカリストが居るのに『オレのギター中心の長尺インスト曲をどうしても演りたいんだ!』というエゴ丸出しなのに些か閉口しますが、まぁ若いミュージシャン故な勇み足と理解は出来ますけど(汗 その辺りが本作の楽曲構築度の高さやアルバムの完成度の見事さに繋がっているのは間違いなく、Antoine Prostがギタリストとして以上にプロデューサー、コンポーザーとしての能力が高かったのは、長らく音楽学校で講師をしていた間に育んだ技術なのか彼本来の学者肌で几帳面な性格故か分かりかねますが、これまで培ってきた経験が余すところなく活かされているのは間違いない。 無論、サイドメン以上の働きで本作のサウンドクオリティを上げている陰の功労者 Mats Erikssonのスタジオワークの程も見逃せないでしょう。 サウンドの方向性が80年代風な米国メジャーHRサウンドだから David Coverdaleっぽいソウルフル・ヴォイスを聴かせている Manos Fatsisだが、これがちょっとでも今風のヘヴィ・サウンドへ傾くとASTRAL DOORSの Nils Patrik Johanssonっぽさが増えて歌声に耳障りな灰汁が出てきて折角の美旋律をブチ壊しそうに思え、絶妙なシンガー人選であった事も幸いして素晴らしいギター・ワークと様々な感情表現を操る抜群に巧いヴォーカルが合わさってどの楽曲もアルバムの中で光り輝いており、退屈な曲は一つも見当たらたないのが実に素晴らしく、惜しむらくは中心人物の Antoine Prostが後数年しか現役プレイヤーでいられぬ為に本作の様な充実作を数枚しか届けてくれぬだろう事が本当に悲しい… 本作を聴くにつけ Antoine Prostが何故今までメロハー系ジャンルで名を馳せて来なかったのか驚きを隠せないが、間違いなく彼は美旋律を愛するHRファンの心を惹きつける音色を紡ぐ事が出来る卓越したギタリスト兼コンポーザーで、願わくば本プロジェクトを1回切りで終わらせず、近い将来もっと多くの音源をリリースしてくれると信じたい、のだがメンツがメンツだし仕方が無いが本作リリースの後に何の続報も無いのが余りに惜しいプロジェクトだ。 メロディアスでエモーショナルな80年代風アメリカンHRがお好みな方や、FM、DEGREED、WHITESNAKE等のファンにもお薦めな注目の新プロジェクト・バンド作ですので、もし興味あるようでしたら一度ご自身の耳でチェックしてそのサウンドの素晴らしさの程を確かめてみて下さい。 Track List: 01. Lone Survivor 02. Believe Again 03. Comfort Zone 04. Never Let You Go 05. Through The Nights 06. Hearts & Dreams 07. Summer Days 08. Road Of Tomorrow 09. Cold & Fire 10. Standing On The Edge 11. Flame Of Hope PROST Line-Up: Antoine Prost : Guitars、Keyboards Programming Manos Fatsis : Vocals Greg Aubert : Bass Mats Eriksson : Drums Produced by Antoine Prost Mix & Master by Mats Eriksson
by malilion
| 2025-04-29 10:42
| 音楽
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