BABYLON A.D. 「Rome Wasn't Built In A Day」'25 1987年に米国カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアで高校時代の友人達でTHE PERSUADERSを結成、1989年からバンド名をBABYLON A.D. へと改め、同年に大手メジャー・レーベル ARISTAと契約を交わし華々しいデヴューを飾った彼等、メジャー・デヴュー前に脱退したオリジナル・ギタリスト John〝Jones" Mathewsが復帰しオリジナルメンバーで2017年にリユニオンを果たしての17年ぶりスタジオ作だった前作『Revelation Highway』'17 以来となる7年振り5thスタジオ・アルバムがリリースされたのを即GET! リユニオン・メンバーに加えてメジャー活動以降に参加したギタリスト Danny De La Rosaも含むLIVEアルバム『Live Lightning』'23 はバンド初となるトリプル・ギター6人組編成での模様を伝える大変興味深い作品だったが、当時ここで紹介した時に既に5thアルバムのリハーサルは始まっていると Derek Davisが語っていただけにまさかこんなに待たされるとは、恐らくパンデミックによるショー・ビジネス界の混乱も影響したのでしょうが何はともあれ無事新作を届けてくれた事をまずは祝いたい。 只、折角オリジナルメンバーでリユニオンを果たした彼等だが、残念な事に2023年時点で既にリズム隊がゴッソリと入れ替わって(ドラムは年齢的にキツイ仕事だから…)おり、またLIVE作に参加していた Danny De La Rosaも既にその姿は無く、新5人編成となって初のアルバムとなっている。 まぁ、ギタ-をプレイするメンバーを4人も在籍させるのは流石に過剰だし、妥当なメンツ変動と言えるでしょう。 で、『ローマは一日にして成らず』と題された待望の新作の内容ですが、現代的モダン・サウンドと00年を経過したダークで硬質な男臭いマッチョなテイストを旧来のグラム風な楽曲に組み込んで現在の音楽市場にしっかり対応させた折衷案のようなバランスの取れたサウンドを聴かせた前作と同一路線なものの、メジャー・デヴュー前のインディ時代を思わすエネルギッシュさが随所で感じられる、特にアグレッシヴでソリッドな巧妙なギター・ワークにそれが顕著で、2本のギターが生み出す荒々しくもダークで独創的なギター・サウンドを軸に、今やソロ・シンガーとして着実なキャリアを築いている Derek Davisの少しヴォヴラートの掛かったソウルフルで男臭い個性的なヴォーカルがラウドでグルーヴィなメタル・フィーリング十分の硬質サウンドをバックに、ブルージーな悔恨曲やほろ苦いラヴソング、そしてクールでホットなキック・アス・ソングをはじめ様々な感情を乗せ縦横無尽に熱唱している様は、まるでデヴュー当時の勢い任せな彼等の姿を思い起こさせ驚かされた。 個人的にはもっとメジャー時代の様なラジオフレンドリーでキャッチーなブライト・サウンドの断片を聴かせて欲しいものでありますが、時代も時代なので流石に今の米国シーンで活動するバンドにそれは無理な要求と十分理解しているが…随分とダークグレーな鈍色サウンドに様変わりしてしまったなぁ、と… フィーリングたっぷりのハードなギター、クランチングなドラム、ヘヴィでグルーヴィなベース、そして曲中に『空間』を残すことを恐れぬベテランらしい〝鳴り″と〝押し引き"を心得た味わい深くムーディなブルージー・サウンドは伊達にキャリア35年を越えて活動していない激動の時代を生き抜いてきた猛者達らしい余裕と力強さを感じさせ、90年代を襲ったグランジー旋風によるメジャー・シーンの様変わりや解散等がなければ、今やマイナーなベテラン・バンドの一つでしかない彼等はもっとビッグな存在として80年代から90年代初頭を飾った綺羅星の様なアメリカン・ロック・バンド達と肩を並べてロック・シーンにその名を残すべき存在だった事を思い出させてくれる。 と、ここまでなら最高だったのですが、どうにも本作には避けて通れぬ大きな問題点がありまして…何よりもまずプロダクションのレベルが低く、各楽器のサウンド・クオリティにバラつきがあり、特に一部のドラム・サウンド(スネア・ドラムの鳴りが…)は酷く、曲によってバランスにも問題が聴き取れる、妙にドライで濁ったサウンドが断続的に顔を出して折角の楽曲の完成度の足を引っ張っているのがいただけません。 バジェットの限られるインディ・バンド作だし仕方が無いのですが、リーダーで中心人物のフロントマン Derek Davisがミックスからエンジニアリング、そしてプロデュースまでも手掛けており、そこがもっと巧くプロデュースされていたならば更に本作のサウンドがインパクトある響きとフィーリングになっていただろう事は想像に難くなく実に勿体なくて仕方がない (´A`) 次作では是非、外部のプロデューサーを招いて意見を聞き、金を払ってプロのエンジニアを雇ってしっかりとしたミックスでアルバムを仕上げて欲しいものであります… とまれ彼等のファンは勿論お薦めで、メジャー・デヴュー前のエネルギッシュな勢いとタフなダーク・サウンドを彷彿とさせる00年代を経過したUSハード・サウンドを楽しめる本作、ご興味あるようでしたら是非一度自身の耳でチェックしてみて欲しい。 Track List: 01. Wrecking Machine 02. Pain 03. Sometimes Love Is Hell 04. Rome Wasn't Built In A Day 05. Looking for a Heartbeat 06. I Will Never Break Again 07. White Hot Bullet 08. Crashed Into The Sun 09. Face of GOD 10. Shut Up 11. Super Beast BABYLON A.D. Line-up: Derek Davis : Lead Vocals、Keyboard、Guitars Ron Freschi : Lead Guitar、Background Vocals John〝Jones" Mathews : Lead Guitar Craig Pepe : Bass、Background Vocals Dylan Soto : Drums and Background Vocals with: Lane Borchard : Background Vocals on Track 06 Produced、Mixed、Engineered by Derek Davis
by malilion
| 2025-04-14 17:56
| 音楽
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