SMOKIN' ROADIE 「Born Into Rock N Roll」'24 1982年に英国ウルヴァーハンプトンで結成された4人組NWOBHMバンドの唯一作が今回バンド名とタイトル、アートワークも一新し、大幅に曲順変更、さらに収録曲を一部変えてオーストラリアのリイシュー専科レーベル MelodicRock Classicsの500 SERIESとして限定500枚で去年末にJK Northrupの手によるリマスターを施されリイシューされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。 1989年当時 SMOKIN' ROADIE名義での発売予定が契約問題によりテイチクのメタルマニア・レーベルから THE NOW『Overnight Stay (邦題:戦慄のメタル・ナイト)』なるタイトルで日本のみCD発売され今までリイシューされる事の無かったマニアックな一枚で、原盤CDは超高額アイテムとなっていた為本作の存在を後から知って涙を流したメロディアスHMマニアにとっては世界初リイシューなので限定少数プレスとは言え嬉しい復刻リリースでしょう。 本バンドの最大のトピックは、Eric Claptonを擁するブリティッシュ・ロック界のスーパー・トリオ CREAMのベーシスト Jack Bruceの息子 Malcolm Bruce (Key、G)と同じくドラマー Ginger Bakerの息子 Kaulfi Baker (Ds)が在籍したバンドなのですが、中心人物は Rue Phillips (Vo、G)と Lee Faulkner (B)、そして Kaulfi Baker の3人で、けれど英国から米国西海岸へ移住しアメリカを主戦場に本作を制作する頃には Malcolm Bruceと Kaulfi Bakerは脱退していた、微妙にCREAM組の息子在籍がセールスポイントに繋がらない(涙)、けれど当時テイチクは既にバンドに居ない2人(なのに裏ジャケにメンバー・フォトあり)の名を大きく帯裏で取り上げ、更に Rue Phillipsが元BLACK SABBATHのオリジナル・ドラマー Bill Wardのソロ・アルバム制作に参加していた事から強引に本作のサウンドを〝BLACK SABBATHの流れを受け継いだ様式美HM”と大嘘ついて売りだそうとした、なんとも不遇なトコも如何にもマイナーなNWOBHMバンドらしい彼等であります… 当時、中古屋でさえ投げ売りされていた〝底畜らしい駄作”とレッテル貼りされ売り上げ惨敗した本作がまさか高値の付くレア盤に化けるとは…そんな事ならあの山積みの中古盤を買い集めて置くんだった…と、詮無い後悔をした人はきっと私だけじゃないハズ(w そりゃBLACK SABBATHの流れを受け継いだ様式美HMと書かれた帯見て、散々アピールされてるCREAMメンバーの息子達のバンドって聞いてアルバム買ったお客さんを全員騙したら評価も散々になるでしょうよ…別のプロモーションの仕方をしていたらそこまで酷評される内容でもサウンドでもなかったのに…('A`) 因みに表ジャケは一新されていますが裏ジャケはオリジナルの画像を流用していて、その為アルバム制作に関わっていない Kaulfi Bakerと Malcolm Bruceのメンバーフォトがガッツリとあしらわれ制作に関わっているメンツのフォトが逆に一切無い(!?)と言う、今回初めてリイシュー盤を購入した方は『誰コレ? なんでトリオの写真ばっか?』状態なアートワークになっております(汗 彼等の情報が色々と錯綜しているのは、SMOKIN' ROADIE、TEMPEST、THE NOW等々と次々と名を変え7"シングルをリリースしたりデモを制作したり、1986年には英国を飛び出し米国カリフォルニアに拠点を移して活動した為で、その実は当時よく英国に存在した米国進出を狙ってサウンドをアメリカナイズさせた、けれどどうしょうもなく英国特有のウェットな叙情感を漂わす美旋律が聴けるメロディアスな80年代ブリティッシュHMバンドでありました。 80年代米国メインストリームで売れる為にキャッチーなコーラスや派手でテクニカルなリードギター等々、良くメインストリーム・サウンドを考察している様子は伺えるものの、濁り声でパワフルにガナり立て熱唱する Rue Phillipsのヴォーカル・スタイルは彼等が目指そうとしたAORテイストも加味したブライトなメロディと分厚く爽快なコーラスハーモニーが満載な80年代の売れ線HMサウンドにアジャストし切れておらず、更に英国HMバンド故の拘りかヘヴィでラウドなドラム・サウンドやタイトでアタック感強いリズムワーク等がハードポップに近似していた当時チャートを賑わしていたアリーナ・ロックバンドや産業ロック・バンド要素をスポイルしてしまっているのが残念だ。 無論、80年代NWOBHMの流れを汲むブリティッシュHMバンドのサウンドとしてはかなりポップで軽目なサウンドとコンパクトな楽曲は十分にアメリカナイズされたサウンド形態なのだが、どうにも英国情緒漂う旋律、そしてHMらしいヘヴィでソリッドなギター・ワークとHEEP張りなコーラスハーモニーが妖しい美しさを漂わせ、絶妙に英国風味と米国風味が混在した中途半端な作風と捉えられる点が恐らくメジャー・レコード会社のお眼鏡に叶わなかったのだろう。 昨今デヴューしたメロハー・バンドで欧米ミックス型サウンドを披露する新人バンドは数多く存在しているものの、80年代当時に彼等の目指した音楽的方向性は“市場に受け入れられ難い早過ぎたサウンド”だったのがブレイク出来なかった最大の要因なのは間違いない… 個人的にはどうにも煮え切らないヴォーカル・メロディと能天気で爽快なヴォーカル・ハーモニーを演出しようとしてるのに微妙にウェットな叙情感を漂わす癖のある突き抜けきれぬ翳りの有るコーラスハーモニーが随所で楽しめる本作の独特なメロディアス80年代サウンド嫌いになれません(w 特に今回のリマスター効果でボトムサウンドがアップしヘヴィなソリッド感が二割増しになっているし、細かなバッキング・コーラスやキーボードのアレンジ等がしっかり聴き取れる充実のリマスター・サウンドに仕上がっております。 尚、オリジナル盤に収録されていた Marvin Gayのカヴァー曲はカットされ完全未発表曲が一曲入れ替えで収録されているのでオリジナル盤をお持ちの方も決して手放す事は出来ませんのでご注意を。 その未発曲ですが、恐らくデモか何かなのかノイズが全編に渡って聴き取れますが十分に楽曲を楽しむ事が出来る、まぁどうって事のないアウトテイクに相応しい楽曲ではありますが、これはこれでマニアには堪らない未発曲追加でしょう。 ポップでAOR風味も感じさせるキャッチーなNWOBHMバンドがお好きな方には是非本作を一度チェックして欲しい、あの当時にしか生まれてこない、もう決して聴く事は叶わないメジャー展開しようとして失敗した〝アメリカナイズされた独特な80年代ブリティッシュHMサウンド”がお好きな方にも是非お薦めな一作です。 Track List: 01. Born Into Rock N Roll 02. Cheating 03. All In A Dream 04. Mama's Calling 05. Overnight Stay 06. Hell Fire 07. Remember 08. Tempest 09. Dream On 10. So What 11. O'Shyte 12. Hearts Of Stone (Unreleased) SMOKIN' ROADIE Line-up: Rue Phillips : Vocals、Guitars Lee Faulkner : Bass Dave-Scott-Morgan : Keyboards、Backing Vocals Steve 'Dingo' Bell : Drums with: Paul May : Guest Guitars Produced by Dave-Scott-Morgan & Martin Smith *参考までに国内盤オリジナル曲順も記しておきます。 Track List: 01. Cheating 02. Tempest 03. Mama's Calling 04. Dream On 05. Hell Fire 06. O'Shyte 07. Overnight Stay 08. All In A Dream 09. Born Into Rock N Roll 10. So What 11. Remember 12. I Heard It Through The Grapevine
by malilion
| 2025-04-04 20:08
| 音楽
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