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90年代末に米国カルフォルニアで活動していたRUSHフォロワー・インディ・バンドAFTERLIFEの唯一作をご紹介。

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AFTERLIFE 「Same」'96

花粉の嵐で一歩も外へ出られず、何故かラックの奥から転げ出て来た半ば忘却の彼方へ霞んでいた本作に今日はドヨーンと耳を傾けておりました…

殆んど情報らしい情報が見当たらない米国カルフォルニアのインディ・プログHMバンドの唯一作で、トリオ編成といい、ヴォーカルの Geddy Leeっぽい甲高いヴォーカルや雰囲気ある伸びやかでパワフルな歌声を一聴すれば即RUSHフォロワー・バンドなのが分かり、けれど90年代というグランジ旋風吹き荒れるアメリカで活動するインディ・バンドな為か本家RUSHと比べてググッとダークなギター・サウンドを主軸にダルく緩い横揺れするサウンドを聴かせつつ、所々でどうしてもRUSHっぽい切れ味鋭いギターのカッティングや複雑に絡み合い怒涛の展開で魅せるリズムワーク、そしてハイト-ンでパワフルにシャウトするヴォーカルにフォロワーらしさが垣間見えてしまう、そんな短命に終わった米国インディー・バンドだ。

グランジー風だけどベースとドラムが織り成すリズムワークは手数が多く巧みで、変拍子も織り込むなどとてもストレートでシンプルとは言い難く、グランジー全盛期にこのテクニカル・サウンドじゃノルにノリ切れなかっただろうに、と苦笑してしまうが、やはりRUSHの特徴の一つでもある Neil Peartっぽい金物やオカズを鳴らすテクニカルなリズム・ワークは外せなかったんでしょうねぇ(w

米国バンドらしくアコースティカルで朴訥なテイストやカントリーっぽいタッチを感じるストレートでシンプルな楽曲、そしてガレージロック風なラウド・サウンドも掻き鳴らされており、大雑把にRUSHフォロワー・バンドだからプログHMバンドとカテゴライズされているが、そのアルバムから聴こえてくるチグハグ感を隠し切れぬサウンドはかなりプログHMの範疇からズレており本作を残すのみなマイナーな存在なのも納得と言えるだろう。

ヴォーカルの確かな歌唱力といい、各パートの高い演奏能力といい、恐らくメインストリームでグランジーが流行っているからとサウンド形態をダルなヌーメタルへと近づけたが、本心ではもっと初期から中期RUSH風なキャッチーでフックがあり尚且つテクニカルなインタープレイ飛び交う攻めまくりな正統派プログHMサウンドを思う存分に鳴らしまくりたかったに違いない。

無論、シンプルなサウンドが特徴なグランジーに寄せているので、お手本程にテクニカルでは無いし、本家張りなインテリジェンス溢れる雰囲気が有る訳でもなく、もしかしたらRUSHの『Counterparts』'93 っぽいハード&ダークネス路線を狙ったのかもしれませんがソリッドでシンプルなサウンドなればこそドロップチューニングを導入したからと言って容易く再現出来るハズも無く、ましてや独創性がある訳でもないが、程々にキャッチーな上にメロディアスでRUSHよりも曲調がストレートな為に聴き易いという点が唯一の個性と言えるかも…

意図的にグランジー形態を装っているので仕方が無いが歌メロの盛り上がらなさ加減に閉口したり、USバンドお得意の分厚いコーラス等でサビを華やかにする事も無く、人知れず消えていったインディ・バンドに相応しい今一つ盛り上がりに欠けるRUSHフォロワー・サウンドながら、RUSHファンなら『ああ、このリフの元ネタはアレだな』とか『ああ、この曲はアレンジもひっくるめてあの曲をいじったんだな』と分かり、別の意味で楽しめる一枚なのは間違いないだろう。

後はDREAM THEATERが2ndアルバム『Images And Words』'92 で大ブレイクを果たしたのを横目で見ていたのか、抑えきれぬテクニカル・プレイがアルバムのそこかしこで顔を出し、そのせいでメインストリームで持て囃されているグランジー・サウンドとの帳尻合わせに四苦八苦している風にも聴こえ、同時期の1997年に唯一作『Antique』をリリースしているドイツのドマイナー・インディRUSHフォロワー・バンドSTREETもトリオ編成だし、Geddy Leeっぽいヴォーカルをフィーチャーしているがアルバムを構成する楽曲の多くにRUSHっぽさは薄く、所謂ドイツ・ロックバンドらしいメロディアスでキャッチーな曲想が大きく前に押し出されたストレートなユーロHMサウンドを演り出したり、ビッグバンド風なJAZZテイストあるマッタリ感が面白い楽曲や野太い野郎のシンガロング・メインで展開するラップ風な楽曲等も聴かせ、実際のところ彼等はガチガチのRUSHフォロワー・バンドではなく、最初からRUSHを目指していたフォロワー・バンド達と比べてそのギャップが面白味を生んでおり、同様にAFTERLIFEもグランジー風な装いがRUSHサウンドになんとも言えぬ煮え切らなさと鈍色ダークネス・テイストが加わった絶妙なズレが生じた奇妙なRUSHフォロワー・サウンドを形作る独特な作風が、結局の所は亜流ではあるが大変興味深く面白いと言えよう。

総じてB級レベルのサウンドながら、当時DREAM THEATERに沼って追いかけ回し、その過程でドイツのRUSHフォロワーが珍しくてSTREETと一緒に本バンドの自主盤アルバムも輸入盤店で探り出しホクホク顔で入手した様に覚えております。

他にもちょっと遅れて活動し出した米国中西部Wisconsin州Milwaukeeを拠点としていたOUTLANDER等々、RUSHフォロワーなインディ・バンドは枚挙に暇がないくらい昔から米国は言うに及ばず全世界に無数に存在しているので全てをチェックするのは至難の技ではありますが、DREAM THEATERを追いかけると必然的にその師匠枠のRUSHも追いかける事になり、その過程でなんだかんだとRUSHフォロワー・バンドのアルバムをチェックする事になったんですよねぇ…(涙

とまれRUSHがお好きな方や、好事家向けのRUSHフォロワー・バンドなんぞにご興味ある方ならチェックしてみても決して損はしない面白い変わり種RUSHフォロワー・バンドが数多く存在しますので、是非一度ご自身の耳で確かめてみてください。

Track List:
01. The Native Element
02. August
03. Demon Hour
04. Seasons
05. Falling Apart
06. Mosaic Of Scars
07. The Wasteland
08. Love Medicine
09. Minor Seconds

AFTERLIFE Line-up:
Jarrod Cox : Bass、Vocals、Keyboards、MIDI Pedals
Micheal Johnson : Drums、Percussion
Brian Montrey : Electric & Acoustic Guitars

Produced by AFTERLIFE


by malilion | 2025-03-24 21:36 | 音楽 | Trackback
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