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期待のオクトジェニック・メロディアスHR&AORデュオ TIMSONがバンド名をTIMSON AORへ改めて改めて英国からデヴュー!

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TIMSON AOR 「The Next Level」'25

去年、自主CD-R盤『Forever's Not Enough』でアルバム・デヴューを果たした英国人60代ロッカー Mark Timson率いる80年代リスペクトなUKメロディアスHR&AORデュオ TIMSONの2ndアルバムが自主制作盤でリリースされたのでGET!

同名バンドとの混同を避ける為か今回からバンド名がTIMSON AORへ改められているが、メンツは変わらず楽曲制作を主導するイギリス人ミュージシャン Mark Timson (Guitars、Bass、Keyboards、Drum Programming)とチリ人シンガー Lukky S (Vocals、Lead Guitars、Keyboards、Bass)によるデュオ・プロジェクトによる第2弾作がUK古参プログHMバンドTHRESHOLDのリーダーでギタリスト、そして今では数多くのプログHMバンドやHMバンド作のプロデュースを手掛けて来た事で有名な Karl Groomにミックスとマスタリング、そしてプロデュースを任せて無事に2025年2月28日に本国でリリースされた事を祝いたい。

前作が英国とチリの二国間でネットを介して音源をやり取りしながら長い時間をかけて徐々に楽曲が創作された事や、リーダーの Mark Timsonが決して若いと言える年齢でないプレイヤーなので下手をすると単発プロジェクト作で終る事を危惧していましたが、自主盤とは言えこうしてプレスCDでセカンド・アルバムが届けられてファンは一安心した事だろう。

とは言え、未だにメンツは2人のみなスタジオ・ワーク中心なプロジェクトですので、出来る事ならステージでの演奏披露を考えて少なくともリズム隊メンバーだけでも専任プレイヤーを迎え入れて本格バンド始動して欲しいものであります…

前作紹介時も指摘したが、リアルタイムで80年代を経験している Mark Timsonのペンによる楽曲故か、当時を知らぬ今の若いミュージシャン達が華やかなロック黄金期への憧憬を抱えて創作したサウンドと感触が明らかに違い、アルバム全体からノスタルジックな香りが隠しようもなく漂っているが今のバンド達が無意識に混入させてしまうモダンな感覚が希薄なのが逆に今の耳には妙に懐かしく、そして新鮮に感じられるオクトジェニックなHR、AOR、産業ロックまんまなトラディショナル・ロックサウンドという方向性に少しも変更は無いので、今流行りの刺激が強くキンキンに磨き抜かれたサウンドが詰め込まれたメロハー・サウンドやAOR作をお求めな方には古臭く刺激に乏しいアルバムに聴こえてしまうかもしれないのでご注意願いたい。

逆に80年代当時のメインストリーム・サウンドが好きな方なら歓喜する事間違い無しな夜明けのネオン街というイメージ通りの、エモーショナルでソフトなヴォーカル、グリッターなシンセとクリーン・トーンのギター、そしてリズムを溶け合わせ響き渡るシャレオツでクールな80年代風ロックが貴方に至福の喜びと笑みをもたらす事だろう。

圧倒的にHR風味よりAORタッチが強い、ハードエッヂより美旋律さ重視の甘くメロディックなリフ、印象的でコンパクトなギター・ソロ、気の利いたアレンジが活かされた小気味よいキーボード、さり気なく配された甘美なストリングス、控えめで華やかなシンセ、目立たないが堅実なリズム・ワーク、ミドルレンジ主体で爽快に歌い上げるエモーショナルなヴォーカル、そして耳馴染の良いフックの数々と、80年代メジャー・ポップロックと聞いて連想する通りなサウンドであります。

前作よりギター・サウンドがクローズアップされるバランスに幾分かサウンドのタッチが変わったのと、より Lukky Sの Robin McAuleyの歌声から灰汁を抜いてマイルドにした風の伸びやな濁り声と爽快でキャッチーなコーラス・ワークに焦点を当てたバランス重視の洗練された仕上がり具合になっている。

しかし Mark Timsonの弾くリード・ギターより若い Lukky Sの弾くリード・ギターの方が派手で音数多い、所謂80年代風ピロピロ・ギターなのには苦笑してしまった(w

なんと言うか強烈な個性の無い中道でベーシックなバランス重視のピュア・サウンドが、逆に今ではなかなか聴かれぬオクトジェニック・サウンドとなって彼等唯一の個性を際立たせている様に思え、若いミュージシャンなら地味でオマケに面倒なバランス重視の作風よりもスタンドプレイに走り勝ちなハイテク・プレイや勢い重視だったりパッション任せでド派手で強烈な印象を残す作風を好む、そして実際売り出し易くカテゴライズされたメロディアス系バンドが多い昨今のインディ・シーンのレーベル事情も関係しているのかもしれない。

まぁ〝特徴が無いのが特徴”なんて商品を売り易いとはレコード会社でなくとも音楽で商売しようとする者なら考えませんし、金儲け第一主義でない自主制作デュオ体勢だからこそ微妙なバランスで成り立っているTIMSON AORの音楽とも言えるだろう。

下手にインディ・レーベルに所属してしまうとデリケートでピュアな感性が際立った壊れ物の様に危うい音楽性が霧散して単なる80年代ポップ・ロック・エミュレートの懐メロ・コピーバンド化してしまいそうで、けれどもっと彼等のレトロなグルーヴ、ブライトなメロディと親しみやすい雰囲気、そして純粋で美しいポップロックが多くの人々の耳に届けば良いのにとも思ってしまう、なんとも難しい問題であります…

Karl Groomが裏方で作業したアルバムと思えないくらいシンプルで軽めなサウンドで、サウンドのクリアーさ加減とギター・サウンドの鳴りの良さくらいにしか彼の得意なスタジオワークが活かされなかったんじゃないかと心配したくなる、それくらい良く言えばストレート、悪く言えば密度の薄い、そんな何の変哲もない朴訥としたサウンドだ…(汗

後は少しシンセのサンプルが安っぽい響きなのと楽曲のフェードアウトが雑なのも些か気になりましたね、音楽性のお陰か全体の完成度を著しく低下させる要因にはなっていないのが幸いでしたが。

とまれ80年代UKメロディアス・ロック・ファンな方、イタリア Frontiers Recordsリリース作や英国ESCAPE MUSICリリース作がお好みの方なんかにもお薦め出来る、派手な刺激や強烈な個性、そしてオリジナリティに乏しいが味わい深いキャッチーなメロディを長く楽しめるオクトジェニック・メロディアスHR&AOR作ですので、ご興味あるようでしたら是非とも自身の耳でチェックしてみて下さい。

Track List:
01. The Wind Whispers (Your Name)
02. One Step Ahead
03. Nevermore
04. Starlight
05. Be True To Yourself
06. From The Ashes
07. Wake the Night
08. The Last Ride
09. Where The Sun Meets The Sea
10. Midnight Radio
11. Farewell

TIMSON AOR Line-up:
Mark Timson : Guitars、Bass、Keyboards、Drum Programming
Lukky S : Vocals、Lead Guitar、Keyboards、Bass

Mixing & Mastering By Karl Groom
Produced by Karl Groom、Mark Timson & Lukky S

P.S.
HPサイトによると国内盤がAvalonからリリースされ、特にオリジナル盤に強い拘りがある訳で無いならしっかりした装丁の国内盤を購入する方が宜しいだろう。

自主盤もそうだが最近の低コスト盤の流行りなのかブックレットの紙質由来なのかカラープリンターで印刷したみたいなんですよね(汗 しかも価格面でも国内盤の方がお安いっていう…

あー、やっぱりボートラ1曲追加されてるわー買い直しかぁ…orz


by malilion | 2025-03-14 07:24 | 音楽 | Trackback
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