RADIANT MOON 「Now's The Time」'25 米国 New York州を拠点に活動する70年リスペクトな4人組米国産プログレ・プロジェクト・バンドRADIANT MOONのデヴュー作が今年、新年早々に米国インディペンデント・レコード・レーベル Deko Entertainment よりリリースされたのをちょい遅れてGET! 〝GENESIS + YES なバンド”として幾度もリマスターやボーナストラックを追加してリイシューを重ねる名盤『Garden Shed』を1977年にリリースし今も愛され続けている英国プログレ・バンドENGLANDを強烈に連想させる70年代風ヴィンテージ・プログレ・サウンドを高らかに鳴らす彼等は、複数のローカル・バンドに在籍し、音楽と音楽理論の修士号も持つベテラン・インテリ・ミュージシャンでソングライターの Brian Facklam (Key、Vo)と、60~70年代にロサンゼルスを拠点に活躍したスタジオ・ミュージシャン集団THE WRECKING CREWの1人でギタリスト Tommy Tedescoの90年代ツアー要員ではベーシストとして、また幾多のセッションやフュージョン作に参加し著名な米国人技巧派ドラマー Steve Gaddとの共演経験や、R.E.M.メンバー達と共演した唯一のR.E.M.トリビュート・バンドDEAD LETTER OFFICEでの活動やトリオのオルタナ・ロックバンド TRANSISTOR SKYではフロントマンを務める Dave Shahin (G、B、Key、Vo)の2人を中心に2021年に結成され、90年代末期にNY州南東部の島 Long Islandにて結成された Frank Zappaのカヴァー・バンドが出発点のUS前衛JAZZ ロックバンド FROGG CAFEのフロントマン Lieto (Vo)と Carl Palmerのドラム・テックでのツアー経験や、無数の有名アーティストやプロジェクトに参加し全国的なクラブやフェスティバルに出演してきた米国人セッション&JAZZ ドラマー Jimmy Grillo (Ds)に協力を仰ぎ本作を制作した、期待の米国産プログレ・プロジェクト・バンドだ。 ENGLANDフォロワーな英国風味増し増しのヴィンテージ・サウンドなので当然YESっぽいシンフォニックさやGENESIS風のファンタジックな音使いも感じ、終始メロディアスな旋律を紡ぎつつ、レスリー系オルガン、ムーグっぽいシンセ、小気味よく美しいピアノ、重厚なメロトロン系など、それら多彩な鍵盤サウンドをメインに展開する抜群のアンサンブルには各自キャリアに裏打ちされた高度なプレイヤースキルが伺え、巧みなベースや変拍子を刻むリズム隊の活躍する見せ場も十分にあり、12弦アコースティック・ギターが爪弾く繊細な響き、曲によって配されるゲスト奏者が奏でるフルート、チェロ、クラリネット、サックス、トランペット等は生楽器(!)の艶やかな鳴りを活かした、キーボード主体のプログレハード作なのに意外にコンパクトな楽曲が多い所などは如何にも昨今のUSAバンドらしく、総じてテクニックよりメロディ重視で耳を惹く歌メロやENGLANDフ風コーラスも満載な、70年代英国ヴィンテージ・プログレ・バンドがお好きな方なら確実に楽しめる、そんな一作に仕上がっている。 ただ、ENGLANDファンな私でも手放しで絶賛する事は出来ず、YESやGENESISのフォロワーやエピゴーネン・バンドは数あれど滅多にENGLANDフォロワーなUSAバンドは居ない事や本物のストリングスやホーン等を活用した独特のムードとヴィンテージ・フレーバーが売りな本作だが、残念ながらENGLANDをはじめ英国プログレ・バンド達が聴かせてくれた優美さや気品の様な響きはそのプログレ然としたサウンドに希薄で、更に意図的にヴィンテージ・サウンドへ寄せている為かUSプログレハード等に顕著な美麗なコーラスや爽快でキャッチーなヴォーカルは殆んど聴けず、スタイリッシュさやモダンなタッチを敢えて控えめにしているのか80年代初期のアンダーグラウンド臭がプンフンする粗削りで不器用なUSプログレっぽい感触や、終始ハモリ具合がイマイチな野暮ったいオッサン・ヴォーカル(妙な癖の強いシアトリカルさが無い点は高評価)を聴かされ些か閉口してしまう、プログレお約束の夢と幻想でも退廃でも単なる70年代リヴァイバル作でもなければENGLANDの米国風焼き直し作でもない、古さと新しさが混在し独特な模様を描き渦巻いている一風変わったアルバムなのは間違いない。 もうちょっとメランコリックな叙情感ある美旋律や儚く艶やかな音色が聴けると嬉しいのですが、そこは逆に英国風に似せていないエネルギッシュさやヘヴィさに重きを置く米国産バンドである彼等の強みでありアイデンティティーであるのかもしれませんね。 中心メンバーの Brian Facklamと Dave Shahinの多彩で巧みなキーボード・ワークとロングトーンの甘美さも兼ね備えたエモーショナルなギター・ワークばかりでなく、図太くメロディアスで表情豊かなリズム隊の幅広いプレイや所々で顔を出すJAZZっぽいアプローチの素晴らしさが本作のバンドサウンドを一つも二つもレベルを押し上げているのは確実で、出来る事ならこのまま制作に関わったヘルプ要員もパーマネントなメンバーになって次作でも素晴らしい演奏を聴かせて欲しいものであります。 まぁ、リード・ヴォーカリストはもうちょっと上手く歌える声質の良いシンガーに頼むべきではあると思いますけど(汗 歌メロ的にもどうしょうもなくマイナー感が強いのがなぁ... とまれYES、GENESIS、ENGLANDをはじめ70年代英国プログレや、テクニカルでユニークなヴィンテージ米国プログレ作がお好みな方なら一度本作をチェックしてみてもいいかもしれない、期待の米国産70年風プログレ・プロジェクト・バンドだ。 Tracklist: 01. Waking Dream 02. Castaway 03. We Are One 04. Keep The Faith 05. One Life 06. Now's The Time 07. Leave Yourself Alone 08. Nirvana 09. Take My Hand 10. Never Again RADIANT MOON Line-up: Brian Facklam : Keyboards、Vocals、Clarinet Dave Shahin : Guitars、Keyboards、Bass、Percussion、Vocals with: Jimmy Grillo : Drums Nick Lieto : Vocals、Trumpet Produced By Brian Facklam and Dave Shahin
by malilion
| 2025-02-27 19:00
| 音楽
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