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スペインはカタルーニャの秘宝 AMAROKが12thをリリース!!

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AMAROK 「Canciones Para Un Planeta Herido」'24

艶やかで透明感ある美声フィメールヴォーカルをフロントに据え、リリカルなフルートと繊細なアコギ、更に優美なピアノを交えてミステリアスな美旋律を叙情感タップリに紡ぐエキゾチック且つファンタジックなフォーキー・サウンドでその名を知られた、SpainはCatalunya州を拠点に活動するスパニッシュ・シンフォニック・フォークバンドの2枚組新作12thが3年振りに去年末にリリースされたのを少々遅れてGETしたので今頃にご紹介。

1994年デヴュー以来幾度もメンバーチェンジを繰り返してきた彼等だが『Sol De Medianoche』'07 リリース後にバンド内で何やらゴタゴタがあった結果、中心人物で鍵盤奏者の Robert Santamariaが別バンドを始めるなどAMAROKの活動が停滞、と思っていたら何と2008年に解散を迎えていた模様だ。

2015年に再結成され8年ぶりにリリースされた前々作『Hayak Yolunda』'15 でもメンツが大きく変わり、6年ぶりにリリースされた前作『El Ojo del Mundo』'21 でも再びメンツが大きく変わっていたが、遂に本作に至っては Robert Santamariaを中心とするプロジェクト体勢へ移行してしまった模様で、参加している演奏者はお馴染みの面々が中心なれど楽曲毎に奏者が入れ替わりする、彼等のこれまでの創作歴で一番の異色作と言えるだろう。

まぁ、前作時点で専任ギタリスト不在でハーディ・ガーディ(フランスの民族音楽や現代ハンガリー音楽で使用される機械仕掛けの手回しヴァイオリン)奏者とトランペット奏者を新メンバーとして迎え、さらに新ベーシストが加入した新7人編成だったので既に当初のバンド編成と大きく赴きを変えていたのだが、まさか再結成して三作目にしてバンドではなくなってしまうとは…(´д⊂)

そういったプロジェクト化が影響したのか、いきなりビートの効いた歌モノのコンテンポラリー・ポップスみたいなリードトラックが飛び出して来て『間違えて別バンドのアルバムをプレイヤーに放り込んだか!?』と戸惑わされたが、その後はいつも通りに優美でドリーミィなヴォーカルを中心にリリカルなピアノとフルートをメインに据え、Anthony Phillips調の12弦ギターや、シンセ、オルガン、メロトロン系の鍵盤サウンドでプログレ・シンフォ色も織り込み、管楽器でJAZZテイストやブズーキ等のギリシャ音楽やバナキュラーな土着音楽要素も交えつつ、音圧低めで楽器の自然な鳴りを活かした隙間が感じられる透明感ある美旋律と儚く繊細な音色でファンタジックなフォーク・サウンドを紡ぎ、更に関わる演奏者が多くなった事も影響したのか何時になく音楽性が幅広く雑多な印象で、加えて新たにヴァイオリン奏者とアコギ&ウード奏者等を迎えた事もあってかエキゾチックで妖しいアラビックな旋律やアコースティッカルな地中海フォークロア風味、そして朴訥とした音使いが随所で効いた、総じてファンが待ち望んだ美しい異国情緒香るシンフォニック・フォーク作に仕上がっている。

ただ、恐らく Robert Santamariaが独力で制作した、ドラムは打ち込みで歌入れだけ Marta Segura嬢に頼んだだろう楽曲等、二枚組の大作の中にはオミットすればさらにアルバム全体の完成度が上がったんじゃないか? という曲も収録されている点だけは些か残念だが、もうバンドではないのでドラマー他メンバーを長時間拘束出来ないし、そもそも既に各メンバーの軸足がAMAROCKに無いからなんでしょうね…orz

逆にヴァイオリンとピアノだけの協奏曲はクラシカルな気品ある佳曲で、今までにないシンプルでストレートな仕上がり具合となっておりAMAROCKの〝静”の部分だけが抽出され艶やかに輝いているかの様な小曲で個人的に大変気に入りました、がこの普通のクラッシック路線をAMAROCKに期待してはいない、という方が多数だろうとは思うのでどういう評価が下されるのか少々怖くもあったりしますね…(汗

恐らくタブラをフィーチャーした土着音楽風のエキゾチックな旋律が楽しめるダンサンブルで優美な小曲の路線を最近のAMAROCKを気に入っているファンは支持しそうですが、そんな雑多な音楽性がモザイク模様の如く交差し独特なバンドサウンドを形作っていた、その複雑な要素をバラしてそれぞれ取り出した小曲が今回は敢えて取り上げられているとも言え、本作は別の視点からAMAROCKを構成する音楽要素をそれぞれ楽しめるファンサービス的なアルバムなのかもしれません。

とまれ彼等が奏でるフォーキー・サウンドがその他のフィメール・シンガーをフィーチャーしたアコースティカルなシンフォ・サウンド作と一味違うのは、フルート、ピアノ、アコギ、シタール、ヴァイオリン等に加え、前作に続きトルコの弦楽器カーヌーンを始め、サントゥール、サズ、タールが奏でるトルコ風味やイラン風味も交え、更にテルミンやトランペット、パーカッションなど多彩な楽器が織り成す華やかで繊細なサウンドで、民族音楽をベースにありとあらゆる手法を駆使して変拍子やプログレッシヴなアレンジをも巧みに融合させた、前作で挑んだ実験が結実した唯一無二のダイナミックで色鮮やかなスパニッシュ・シンフォ・フォーク作だからだろう。

残念ながらプロジェクト化してしまった事もあってコンテンポラリー・サウンドに接近したデジタリー・タッチな楽曲や楽曲毎にサウンド・テイストが幾分かバラけた印象もあるものの、以前から試行錯誤を繰り返し民族音楽要素を取り込んだシンフォ・サウンドと独創的でミステリアスな美旋律の数々に魅せられるアコースティカルな響きが美しい艶やかなシンフォニック・フォーク作なのは間違いなく、異国情緒香るフィメール・ヴォーカルものファンな方や美しいフォーキー・サウンドがお好みな方に是非お薦めしたい一作で、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。

Track listing:
CD1:Capitulo I
01. I.A.
02. Permafrost
03. 4 Erizos
04. Los Secretos Del Rio
05. Gunung Padang
06. El Imperio Del Plastico
07. M'Goun 2024

CD2: Capitulo II
01. Bosques Silenciosos
02. Solastalgia
03. El Abrazo Del Arbol
04. La Puerta De Hegra
05. Mujer Luna 2024
06. Numa
07. Madre Agua

AMAROK Line-up:
Robert Santamaria : Keyboards、Programming、12-string Guitars、Kanun、Saz、Santur、Melodica、Glockenspiel、Kalimba、Percussions
Marta Segura : Vocals
Manel Mayol : Flute on Tracks CD1-1、CD1-2、CD1-4、CD2-1、CD2-2、CD2-4、Thin Whistle on Tracks CD1-4、CD2-7、Recorder on Track CD2-7
Pau Zanartu : Drums on Tracks CD1-1、CD1-5、CD1-7、CD2-1、CD2-5
Renato Di Prinzio : Drums on Tracks CD1-2、CD2-2、CD2-6、CD2-7、Zarb、Riq and Daf on Track CD1-5
Jordi Rallo : Tabla on Tracks CD1-4、CD1-6、CD2-4、CD2-7
Alan Chehab : Greek Bouzouki on Tracks CD1-5
Tarik Smith : Trumpet on Tracks CD1-7、CD2-2、CD2-7
Berna Jones : Violin on Tracks CD1-4、CD1-5、CD2-3、CD2-4
Joan Miro : Oud and vocals on Track CD2-5、Vocals on Track CD1-7
Victor Estrada : Theremin on Tracks CD1-6
Nuria Martinez : Clapping on Tracks CD1-7
Luis Blanco : Vibraslap on Tracks CD1-1、CD2-7


by malilion | 2025-02-21 20:00 | 音楽 | Trackback
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