PERFECT STORM 「Stairs」'24 Netherlands北東部Groningen州で Gert-Jan Schurer (Guitar)を中心に結成された、スタイリッシュでモダン、更にキャッチーで多彩なユニーク・サウンドが特徴の、男女ツイン・ヴォーカリストとキーボーディストを含むオランダ産6人組モダン・シンフォ・バンドの2ndアルバムが前作『No Air』'21 より3年ぶりに去年末にリリースされたのを少々遅れて即GETしたのでご紹介。 以前ここでも紹介した90年代末に活躍したオランダ産4人組プログレハード・バンドGALAXYの元鍵盤奏者 Ard Offersが脱退し、代わってWITHIN TEMPTATIONの“次”に来ると目される人気のオランダ産ゴシック・メタルバンドAUTUMNでも活動中の Jan Munnik (Key)を迎え、更にドラマーも Jesse Bosmanから新たにオランダのホーンをフィーチャーしたファンキーなTOP 100カヴァー・バンド GROOVE DEPARTMENTや同じくポップ・ソウルのカヴァー・バンド Mr. MUNGOで叩いていた Wieger Dijkstraを迎えた新体制で初めて制作されたアルバムとなっている。 とても新人バンドと思えぬ完成度と高品質なモダン・サウンドのデヴュー作に驚かされたが、中東Syria出身のリード・シンガー Adel Saflouはオランダ・アンダーグラウンド・シーンでカルトな人気を誇るProgressive Death Metalバンド AMBROTYPEを2013年にソロ・プロジェクトとして開始し現在もバンドリーダーとして絶賛活躍中で、その彼の伴侶である Hiske Oosterwijk嬢とのANATHEMA風のエモーショナルな男女ツイン・ヴォーカルのミステリアスでムーディな二重唱と、その複雑さにも関わらず強引さや悪目立ちは一切せず、要所で緻密なアレンジを効かせた心に残るメロディアスなフレーズや幻想的な音色でタイトでリッドなバンド・サウンドを主導する Gert-Jan Schurerの抜群のギター・ワークの多彩さは前作以上にスムースでモダンなサウンドに様々な表情や深みと美しさを与え、以前は聴かれなかったエキゾチックな民族音楽的アプローチやジャズ・エッセンス、そして如何にもオランダ産バンドらしいデジタリーなエレクトロ・パッセージや叙情的な美旋律が交錯し響き渡るシンフォ・サウンドは期待を上回る幅広い音楽性と目を見張るセンスの良さを示していて、正直2ndにしてここまでサウンドに磨きをかけて来るとは予想外でありました。 本作の予想以上の飛躍は、間違いなく新加入の2人がもたらした多様な音楽要素と、特に人気カヴァー・バンドで様々な楽曲を独自にアレンジし披露する事で好評を博してきた Wieger Dijkstraの巧みでソリッドな表情豊かなドラム・サウンドが起爆剤となっているのは間違いなく、そんな新加入の2人に刺激されたのか Gert-Jan Schurerも時にハード・エッヂあるダークでヘヴィなギター・リフでアグレッシヴに攻め立て、またある時はメロゥでメランコリックな旋律をクラシカルに紡ぐなど、決してフラッシーではないものの前作以上にダイナミックで冒険的、そして繊細で華やかなハーモニーの響きが魅惑的なギター・プレイを聴かせてくれている。 また前作では幾分か典型的なシンフォ・スタイルのヴォーカル・パフォーマンスや歌唱を聴かせていた Adel Saflouと奥方 Hiske Oosterwijkのヴォーカル・アプローチにも大きな変化が見て取れ、力強いデュエットや表現力豊かな美しいハーモニーはそのままに、新たにANATHEMA風のエキゾチックでミステリアスな叙情美を加え楽曲で描き出される世界観を構築していく様はファンタジックでドリーミィなだけでなく前作以上の冷ややかさやダイナミックなパワーも感じさせ、様々なスタイルやジャンルの音楽要素を巧みに取り込み一糸乱れぬバンド・アンサンブルでバランス良く纏め上げた、まさかのLEVEL 42にも通じるモダンでスタイリッシュ、そしてエネルギッシュでキャッチーなシンフォニック・サウンドに印象的な特徴と色濃い陰影を生み出しているのは間違いない。 多彩なセッションや音楽活動で培った Gert-Jan Schurerの経験と幅広いギター・サウンドが本バンド・サウンドを特徴づけているのは間違いないが、本人も認めている様に間違いなく“第二のPINK FLOYD”と評価された Steven Wilson率いるPORCUPINE TREEからの影響は大きく、更に Pat Methenyの様なジャズ・タッチ、Hans Zimmerの様な映画風なサウンド・エフェクト、Aphex Twinの様なエレクトロニック・パイオニアからの影響をブレンドし生み出したユニークなモダン・ユーロ・シンフォサウンドだと自己分析しており、そこに Adel Saflouの持ち込む中近東要素やジャズ畑の Hiske Oosterwijk嬢が持ち込むヴォーカル・アプローチ、更に新加入の Jan Munnikが間違いなく持ち込んだであろうゴシック・メタル的な鍵盤サウンド、そしてどんなジャンルの音楽でも巧みに解析しタイトでソリッドなリズムに昇華してしまう Wieger Dijkstraの叩き出すグル-ヴィなビートが合わさって新生PERFECT STORMサウンドをその他のシンフォ・バンド達と一味違う捻りの効いた、けれど決して小難しく無い親しみ易い爽快感あるロック・サウンドにしているのだろう。 ただ、少々スタイリッシュに纏まり過ぎて所謂一般的なインディ・シンフォ・バンドの鳴らすぎこちなさを感じる素人臭いサウンドと違い耳に馴染良過ぎて通り過ぎてしまうフュージョンっぽい無色透明なサウンドに聴こえる瞬間もあり、演奏も余りにコンパクトでバランス良く繰り広げるものだからロック作としては些か引っ掛かりの弱い、心地良過ぎる美旋律が滔々と流れ気が付けば曲が終わっているそんな灰汁や癖の無さが、上手過ぎて文句をつけるのもなんだがシンフォ定番のフォロワー臭さも極めて希薄なのが逆にインパクトを弱めている風にも思えたりする、既にベテラン級とも言えるソツ無い仕上がり具合にしか逆にケチをつける所が無い、けれどデヴュー作ほど強烈なインパクトや鮮烈な印象を残さない、余りにも多くの音楽要素を巧みにミックスした為に散漫でぼやけた雰囲気に包まれているそんな風に思える一作であります。 まぁ、単純に私の音楽的な教養が足りず彼等の奏でる複合的な音楽性と高い演奏技術等を耳が捉え切れていないだけ、という可能性の方が高いと思うので戯言と思って聞き流して下さい… とまれキャッチーでポップな楽曲を彩る爽快なコーラスハーモニーとエモーショナルでパワフルな歌声が特徴のクリアーな透明感あるデジタリー風味も隠し味にしたモダン・ユーロ・シンフォ作がお好みな方やANATHEMAやPORCUPINE TREEのファンな方、そして叙情感あるプログレとポッフスの折衷モダン・サウンド作がお好みな方などは、もし興味あるようでしたら是非一度ご自身の耳で本バンドのサウンドをチェックしてみて下さい。 Track List: 01. Demon's Dance 02. Skin Deep Sky 03. Don't Go 04. I Am Tomorrow 05. Misspend 06. Stairs 07. Depraved Mind PERFECT STORM Line-up: Gert-Jan Schurer : Guitars Adel Saflou : Lead Vocals Wieger Dijkstra : Drums Jan Munnik : Keyboards David Klompmakers : Bass Hiske Oosterwijk : Vocals
by malilion
| 2025-02-11 16:38
| 音楽
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