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80年代末期に活動したカナディアン・メロディアス・トリオが残した唯一作が幻の2ndアルバム用音源と同時にオフィシャル・リイシュ-!!

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REGATTA 「Regatta +3」'24

1980年代から1990年代前半にかけて活動していたカナダ産メロディアス・ロック・トリオ REGATTAの唯一作でRCA Recordsから1989年リリースのデヴュー・アルバムと1990年から1992年にかけてレコーディングされたもののお蔵入りとなった幻の2nd用音源が『No Looking Back』として新たに編集され、初期の貴重音源をを追加収録しベーシストだった Matthew Gerrard (その後、カナディアン・メロハー・バンドVON GROOVEを結成し1992年にデヴュー作リリース、2000年頃まで在籍) の手によってオリジナル・マスターテープからRemastered&初オフィシャルCD化となりレアなメロハー再発でお馴染みの Melodic Rock Classicsから2作同時にリイシューされたのをGET!!

記念すべき1stアルバムには、1985年にQ107 Homegrown Contestで勝利を収めアルバム・デヴュー前にMCAレコードより同年にリリースした7インチ・アナログ・シングル曲でアルバム未収録であった2曲と、同時期の未発表音源1曲の計3曲のレア・トラックをボーナスとして追加収録しており貴重なオリジナル盤 (オリジナルのカナダ盤CDは入手困難なレア盤!)をお持ちの方も買い直しても損はしない、デジタル・リマスターによってクリアーにブラッシュアップ(Matthew Gerrardの手による為かブイブイ唸るベースがクッキリ!)された80年代ならではのゴージャスなポップ・センスとロックらしい躍動感が融合したブライト・サウンドが楽しめる、バブリーでキャッチーな80年代USロック作がお好みの方やオクトジェニックな作品のマニアならチェックすべき再発アルバムだ。

ただ、去年末にリリースされたもののマスターに不備(再生すると曲の途中にトラックの切れ目がある不具合)があった為、即回収され発売延期となった曰くつき再発作となってしまった(汗)のですが、無事不具合を修正し本年度早々に再リリースされメロハー・マニアの諸兄は一安心といった所でしょう。

尚、不良プレス分が回収前に極少数出回ってしまったので今後中古盤で不良マスター盤を入手してしまう危険性があり、不良プレス盤と修正盤は見た目では判別出来ぬ為に今後本作を中古盤で購入される方はその際に十分ご注意下さい。

さて、メロハー・マニアから高い評価を獲得しその名だけ長らく知られていた唯一作でデヴュー作の内容はと言うと、メジャー・シーンがグランジーの闇に覆われる前のバブリーでゴージャスなブライト&キャッチー・サウンドが持て囃されたメインストリームに沿った志向の、産業ロック、AOR、ニューウェーヴ等を融合させたスタイリッシュでエレクトロニックなポップ・ロックは、カナダらしい透明感とアメリカン・ロック風のストレートでコンパクトなサウンドと爽快でフックあるコーラスでソツ無く構成されており、強烈な個性や破天荒な勢いといったものは無いものの当時のラジオ・フレンドリーでメジャー・シーンを賑わしていたバンド達の作品と比べても少しも遜色無い、デヴュー作にしてかなりの完成度とバランス感覚を誇るアルバムと言えましょう。

エモーショナルでツボを心得た弾き過ぎぬギター、メロディアスで洒落たベース、タイトで屈強なボトムを構築するドラム、控え目に楽曲飾るシンセ、そしてキャッチーなヴォーカルと爽快なコーラス・ハーモニーが美しく溶け合い奏でられる小気味よくシャレオツな洗練されたメロディと情熱的で技巧派なプレイのコンビネーションが絶妙で、その上コンパクトでフック満載という欲張りセットを実現している本作の随所にGLASS TIGERや Bryan Adams等の同郷メジャー・バンドやアーティスト等からの影響も伺え、カナディアン・バンド特有の叙情感も仄かに漂わしているのが嬉しいのだけれど、個人的にはもう少しウェットな美旋律や透明感ある音使いが強めな深みと奥行を感じるロック・サウンドの方が好みなのですが、米国メジャー・シーンを見据えて敢えてメランコリックなメロディや音使いは控えた、意図してドライで抜けの良い人工的なポップス・サウンドへ近づけたのは当時としては全く正解な選択だと思います。

熱唱すると少しハスキーになるリード・シンガー Chris Smithのほんのり灰汁のあるパワフルな歌声の所々に Bryan Adamsっぽさを感じたりして2828しちゃいますが、ストレートなロックからデジタリーで打ち込みも用いたニューウェーヴ風曲やホーンやピアノが軽やかに舞うお洒落なJAZZっぽいテイストある曲までと実に幅広い音楽性にしっかりと即した歌唱を器用に聴かせており、ハードさやワイルドさは抑えめ、それでいて甘ったるく軟弱なポップスでもない、さらにLAメタルの様な如何わしさも薄く、飽くまでメインストリームでの成功を目論んだポップ寄りの健全なロック作という方向性に過不足なく応えたフレッシュなヴォーカル・パフォーマンスで楽しませてくれ、時代の節目とは言えこんなに売れ線狙いで上質なサウンドを鳴らすバンドが一作しか残せずアッサリとメジャーからドロップし解散してしまう当時のメジャー・シーンの激動具合が偲ばれますね…

そして時々米国の名盤で起こる現象とも言えますが、誰が決定を下したのか素晴らしい内容と反比例してどうにもジャケットのデザインがイマサンで、これではどんな音楽性か聴衆に伝わらなかった事も少なくない影響はあったのかも…

ギターも兼任する Chris Smithがクールで軽いフィーリングのお洒落なカッテイングから如何にもHRといった音数の多いテクニカルでスピーディーなソロまで、全体的にギターのハードエッヂ・サウンドが抑え目な楽曲の端々で少しでも主張しようとギター・ヒーロ全盛期であった80年代らしい派手なプレイを聴かせるべくあの手この手で躍起になっているのを楽しむのも実にオツなモノであります♪ (*´ω`*)

トリオ故か各パートの演奏がシンプルで実に良く響き渡っており、カナダでトリオ・バンドと言うとRUSHやTRIUMPHが思い浮かぶ訳ですが、そんな二大巨頭のフォロワー達が選択したプログレでもHRでもないよりメジャーでAOR寄りのアーバンでシャレオツな、バブリーでゴージャスなハードポップ・サウンドを彼等が選択したのも80年代と言う時代故なのでしょう。

また、今リイシューの目玉でオリジナル盤に未収録であった3曲のボートラですが、残念がらこちらはオリジナル・マスターが消失していたのか板起こしと思しきピチパチ・ノイズ混じりのちょっと残念なサウンドとなっておりますがアルバム本編よりも叙情的でメランコリックなメロディが楽しめるバンド最初期の貴重音源なのに変わりなく、今回こうして激レアなシングル曲を収録してくれ感謝の言葉しかありません。
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今回初お目見えとなる幻の2ndアルバム用音源の方も基本的にはデヴュー作の音楽性を踏襲しながら、サウンドのスケール感を増しつつ米国市場のウケを考慮してかよりコーラス・パートを充実させ、けれど頑張っていたギターはバッキングへ回し、AORやポップ要素を増した為かキーボードが主旋律を奏でるスタイルへ移行した感が強く、またドラマー Greg Critchley がメジャーからドロップした際に早々に脱退してしまったのか殆んどの楽曲でプレイしておらず、ベーシストの Matthew Gerrardがキーボードをプレイしたりプログラミングでドラム・パートを補完している為リズムワークは淡泊で無機質な印象で、これは元々デモテープ的な位置づけの音源だから余計にそう感じるのかもしれないが、リズム・アプローチがデヴュー作と比べて幅広くない、良く言えばシンプルでストレートになった、悪く言えばグルーヴが弱く単調でリズム・アプローチの幅が狭まって聴こえ、出来る事なら生ドラムでちゃんと演奏した音源を録っておいて欲しかったですね…(´д⊂)

デヴュー作の売り上げが想定以下だった為レーベルからプレッシャーを掛けられたのか、シンプルでパワフルなロック的テイストが薄まったのに加え、多数のゲスト奏者を招いた華やかな音色やキーボード主導のよりキャッチーでコンパクトなハードポップに接近した音楽性に変化し、前作以上に賑やかで各方面へアピール可能な最大公約数サウンドに思え、悪くはないもののデヴュー時に魅せた独特な個性が弱まって、産業ロック、AOR、ニューウェーヴがMIXされていたデヴュー作からニューウェーヴ要素が消え、代わってアコースティカルで朴訥としたシンプルな鳴りのサウンドが大きく比重を増した、結果として甘口の凡庸なハードポップへ接近した印象が強く残ってしまったようにも思えます。

後はデモ故か元ネタが透けている楽曲もあるが、当然でここからアレンジ等を詰めて元ネタの影を消していく作業をするんでしょうがそうなっていない、逆に言うとソレが聴けるのもまた未発デモ音源ならではの楽しみでもあると言えましょう (´∀`)

発掘され今回 Matthew Gerrardの手によってプロデュースされた『No Looking Back』で聴けるサウンドは所々でノイズの乗る明らかにデモテープな代物で、楽曲のアレンジ等も未完成なのが分る緩さが随所で感じられ、2ndの方向性からはみ出す様な弾きまくりのワイルドでノイジーなギター(グランジーな時勢を意識した?)も一部で掻き鳴らされているものの、もしグランジーの闇が訪れずバンドがメジャーからドロップして解散せずそのまま順調に2ndアルバムが制作されていたならば、横揺れリズムな楽曲を追加してアコースティカルなテイストも若干増した1stの音楽性を踏襲したキャッチーで爽やかな洗練されたハードポップ作を届けてくれていたのではないかと想像され、また楽曲によってはゲストにギター・プレイヤーやキーボーディストが迎えられており、外部からのインプットも影響したのかデヴュー作で聴けなかったモダンなメロディや興味深い楽曲アプローチ(シャレオツでTOTOっぽい)も顔を出していて、返す返すも本作が正式にアルバムとして制作され、録音、プロデュースされていたならば売り上げは惨敗だったかもしれないが90年代初頭の失われたアメリカン・メロハーの名作としてマニアの間で長らく話題になり続けたかも、と本当に残念でなりません…

アダルトなサックスをフィーチャーしたりと色々実験的な試みが活かされたムーディでアーバン・テイスト香るAOR風の楽曲も収録されており、2nd用音源がちゃんと完成した状態なのを本当に聴いてみたかったなぁ…(ツд`)

まぁ、2ndの路線で行くならトリオ・バンドである意味は弱く、Chris Smithと Matthew Gerrardのデュオ体勢のポップ・ユニットとして活動した方が誤解もなく、より市場にアピール出来たかもしれませんが、そもそもがメロディアスな音楽全般が受け入れられなくなってしまった90年代のグランジー・シーンでは、彼等の奏でる音楽は聴衆の耳に届く事はなかったのでしょうけれど…orz

とまれ今回初出の音源を含むリイシュー作の2枚、80年代米国メロディアス・ロック作がお好みな方やキャッチーなカナディアン・ロックがお好きな方は是非一度チェックしてみて欲しい、そんな隠れたカナディアン・メロディアス・ロックの名盤なのでした。

Track List:
01. Wherever You Run
02. This Is Love
03. Give Me A Sign
04. Matter Of Time
05. Heartbreaker
06. Wild Girls
07. Confidential Information
08. Writing On The Wall
09. I Will Be There
10. Devils In Disguise
11. Moonlight

Bonus Tracks (1985 Recovered Masters):
12. I Did It For You
13. Love Only Lies
14. Stand Alone

REGATTA Line-Up:
Chris Smith : Lead Vocals、Guitars
Matthew Gerrard : Bass、Backing Vocals
Greg Critchley : Drums、Percussion、Backing Vocals

Produced By David Bendeth for BMG Music Canada Inc.
Co-Produced By Matthew Gerrard


by malilion | 2025-01-16 10:38 | 音楽 | Trackback
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