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元HUMAN TEMPLEのメンバー達が新たに立ち上げた北欧フィンランド産メロハー・バンドWAKE THE NATIONSが5年振りに3rdアルバムをリリース!!

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WAKE THE NATIONS 「Heartageddon」'24

北欧フィンランド産メロハー・バンドHUMAN TEMPLEのメンバー等が新たに立ち上げたキーボード入り4人組バンドによる3rdアルバムが約5年振りにフィンランドのインディーズ・レーベルInverse Recordsからリリースされたのをちょい遅れてGET!

前作『Heartrock』'19 では元バンドメイトの鍵盤奏者 Jori“Jorge”Tojander (Synthesizer)が参加する5人編成でしたが、このインターバルの間に彼は脱退した模様で本作は専任鍵盤奏者を迎えずデヴュー作から同様にギタリストの Risto Tuominen (Guitars、Keyboards & Backing Vocals)がキーボードパートを兼任する4人組編成となって初のアルバムとなっている。

まぁ、元々が Risto Tuominenのソロアルバムに元HUMAN TEMPLEのメンバー達がゾロゾロ参加し、そのままバンドが本格始動すると同時に各自メンバーに収まった様な編成だったし、各員他バンドに同時に在籍するなどしている模様なのでメンバーは未だに流動的なのかもしれません。

前作は国外ではドイツのAOR HEAVENより、国内盤はAnderstein Musicよりボーナストラック追加でリリースされていましたが両レーベル共に現在は廃業と相成り、本作はデヴュー作『Sign Of Heart』'15 をリリースしたのと同じインディーズ・レーベルInverse Recordsからのリリースとなっている、がどうにもここのレーベルは弱流通(涙)なので国内盤も出る見込みは無い様子ですしファンの方はフィジカル盤が入手可能な内にGET(デヴュー作入手も難儀しました…)しておきましょう。

前作はHUMAN TEMPLEでも聴けた北欧産バンドらしい叙情感あるウェットな美旋律とキラキラしたシンセ・サウンドが心地よい、けれどイマイチ垢抜け切れぬ、だけどそこがマイナー作好きには嬉しいC級に片足突っ込んだB級メロディアス作な延長線上にある、適度にメタリックなエッジを保ちつつウェットな叙情を湛えたキャッチーでメロディアス、フック満載で煌びやかだった80年代風メロディアスHRをベースに一ヒネリ加え、モダンなAOR風味も程良くまぶされた、定番だけども新鮮さも感じるメインストリーム寄りでバランス重視な同郷先輩バンドH.E.A.T.やECLIPSEを彷彿とさせる極上のB級北欧メロハー作でありましたが、本作は専任鍵盤奏者が抜けた影響でかシンセのフィーチャー具合が減って主にバッキングに回り、代わって骨太なギターやタイトなリズム・ワークがフィーチャーされた、AOR&メロディアス・ロック路線を引き継ぎつつ、より洗練されコンパクトに纏まった楽曲とソリッドでメタリックなパワフルさも強調されたスケール感もあるA級まであと一歩といった仕上がり具合な新基軸の北欧メロハー・サウンドを披露している。

大まかに北欧メロハー路線なのに適度にアメリカンなテイストやタフで男臭いサウンドを鳴らし、惰弱で甘口になりがちなメランコリックな美旋律を奏でる北欧サウンドをピリリとエッヂあるギターとソリッドなリズム・ワークで引き締め、それでいてしっかりと随所に爽快なハーモニー・コーラスや男臭いシンガロング、そして艶やかで華やかなフィメール・バッキングヴォーカルを配するなどしてアルバム全体の雰囲気を一辺倒でないカラフルで多彩なイメージに纏め上げている手法は実にベテランらしい気の利いた手法だろう。

ただ、典型的なスピーディーでキャッチーな北欧メロハー作やウネル様なパワフルなリズムワーク主体のロックン・ロール作など幅広く多彩な音楽性を示すのは良いのだけれどちょっと焦点が絞り切れていなボヤけた印象が残り、あの手この手のアレンジや音色、小気味よいプレイを繰り広げているものの独創性という点では少々弱いのは否めず、前作でゲスト・ヴォーカルから正式メンバーへ昇格した Krister Stenbomの歌声は中域メインでマイルドなメロハー系に即した伸びやかで力強い歌声を披露しているものの本作の幅広い音楽性の楽曲を歌いこなすには幾分歌唱力不足な感があり、元々グランジ系HMバンドで歌っていたし幅広い歌唱法が売りな巧いヴォーカリストではなかったが、どうにも能力以上のパフォーマンスを要求されたが為に楽曲の完成度を些か損なっている風にも聴こえ、HUMAN TEMPLEのフロントマン Janne Hurmeのヘッポコなヴォーカルに比べれば何十倍もマシ(汗)なんですが、それでも目指す方向が完成度の高いA級メロハー作な事もあってどうにも細かな点が耳についてしまうのでした…

前作はソングライティングに Soren Kronqvist (Joe-Lynn Turner、ONE DESIRE)や Thomas Vikstrom (THERION、TALK OF THE TOWN)を迎え、ミキシングとマスタリングはご存じ北欧ワーカホリックメタルマン Erik Martensson (ECLIPSE、W.E.T.etc...)、プロダクションは Ilkka Wirtanen (RECKLESS LOVE、THE NIGHTS)が行う等、楽曲制作やプロダクションを名うての北欧ミュージシャン等が全面的バックアップしていましたが、本作のプロデュースは Risto Tuominen自身の手によって行われ、さらに歌詞の殆んどのみならず、アルバム・カヴァーのデザインやグラフィックスをベーシストの Janne“Gekko”Granforsが手掛けるなど多才な大活躍を見せ、初めてバンドのみの手で制作された本当の意味でのデヴュー作であり勝負作と言えるのではないだろうか?

円満脱退したキーボーディスト Jori“Jorge”Tojanderをはじめ、1984年結成なフィンランドのベテラン・ポップバンド FINLANDERSのギタリスト Timo Pelanderや、フィンランドの恐竜着ぐるみパワメタ・バンド HEVISAURUSや同じくフィンランドのプログ・メタル・バンドSOULCAGEで叩いているドラマー Ville Siuruainen (ex:CONQUEST)の他、フィンランドのメロディアス&ゴス・HMバンドDEATHLIKE SILENCEやケルティック・パンク・バンドLORETTA PROBLEMで歌っている Maya Liittokivi嬢(ex:CRYSTAL EXTASY)とフィンランドのプログ・ゴスHMバンドCLAYSKINのギタリスト Veikko Wahlroosがバッキング・ヴォーカルで参加するなど同郷ミュージシャン達が本作でも多数ゲストに招かれ客演しアルバムに華を添えている。

アルバムの焦点と言う意味では音楽性の幅は狭かったが故に前作の方が纏まっていたのは確かだが、本作では音楽性の幅を広げ多彩なサウンドを聴かせる事に挑んだのが裏目に出てしまった感があり、更に楽曲がこじんまりとしている為かもう少しサウンドのスケール感を広げ完成度を上げたならワンランク駆け上がれるのに、というもどかしい想いが終始残ってしまうのでした…

シンセベースを大胆に活用したりシンフォニックなアレンジを仕込んだり、STYXっポイ感触のコーラスが飛び出してきたりと、チョイチョイ他の北欧メロハー系で聴けないなかなか面白く新しいチャレンジも見え隠れするだけに、大胆なあと一押しが欲しかったなぁ…orz

とまれ、北欧メロハー作の良作なのは間違いないし、曲は良く練られており、格好良いギター・サウンドやキャッチーなコーラス、そしてアレンジも実に小慣れていてクールなのは間違いなく、まだまだトップクラス・バンドには及ばぬかもしれぬが将来性は十分に期待出来る新人バンドでありますから、もし気になるようでしたらご自身の耳でチェックしてみる事をお薦め致します。

Track listing:
01. Alive
02. Don't Call Me Tonight
03. Never Say
04. Bulletproof
05. Wheel Of Fortune
06. Lifesaver
07. Seven
08. Crossroads Of Love
09. I Can Take It All
10. The Shadows
11. Cowboyz & Call Girlz
12. Hey
13. Street Of Fire

WAKE THE NATIONS Line-Up:
Krister Stenbom : Lead Vocals
Risto Tuominen : Guitars、Keyboards、Backing Vocals
Janne“Gekko”Granfors : Bass、Backing Vocals
Tuomas Pelli : Drums、Backing Vocals

Additional Musicians:
Maya Liittokivi : Backing Vocals on Tracks 2 & 11
Veikko Wahlroos : Backing Vocals on Tracks 6 & 12
Timo Pelander : Guitar Solo on Tracks 8 & 13
Olli Rindell : Keyboards on Track 2
Jori“Jorge”Tojander : Keyboards on Track 8
Ville Siuruainen : Drums on Track 9

Produced By Risto Tuominen


by malilion | 2024-12-10 18:58 | 音楽 | Trackback
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