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ドイツ産ハードポップ・バンドVIOLETが待望の2ndアルバムを約2年ぶりにリリース!

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VIOLET 「Mysteria」'24

2022年にリリースされたデヴュー作『Illusions』はその屈託ない80年代風ユーロ・ハードポップ・サウンドがユーロ・ロックファンやユーロ・メロハー・ファンに話題となった、2019年にドイツのStuttgartで結成されフィメール・シンガー Jamie Beckham嬢を擁するキーボード入り5人組バンドVIOLET (ヴァイオレット)が、前作から約2年ぶりとなる2ndアルバムをYellow Muffin Recordsからリリースしたので即GET!

前作は国内盤が何故かリリースされるという快挙に驚きましたが、残念ながら続く本作は Yellow Muffin Records レーベルオーナーによると日本盤リリース予定は今の所無いとの事で、若干流通の悪いレーベルからの発売なので彼等のファンは早めに本作をチェックし入手しておきましょう。

メンツに変化は無く、デヴュー作と同じ布陣で制作されている。

デヴュー作は Samantha Foxの80年代UKヒット・シングル曲のカヴァーを取り上げていた事からも察せられる様にモロに80年代風ユーロ・ハードポップ・サウンドで、敢えて狙ってかシンプルで隙間が多くデジタル風味が薄い音の隙間と広がりを感じさせる、良く言えば80年代にタイムスリップしたかの様なオールドスクールな、悪く言えば現在主流の密度の高いプロダクション作と比べるとかなり古臭く質素なプロダクションやサウンドなアルバムだった訳ですが、本作でもその路線は変わっておらず第一印象は妙に懐かしく馴染みある古き良き80年代風サウンドなれどしっかりと随所にモダンなテクノロジーが用いられたソツない創りとなっていて、本バンドの目指す音楽的な方向性と、心地よいシンガーの滑らかな歌声、こじんまりとしているが瑞々しく素敵な美旋律、アナログ風味なテクノロジーとキャッチーでソフトなポップ・サウンドを楽しむ為には最適な選択と言えるのだろう。

リード・ヴォーカルを務める Jamie Beckham嬢は元JOURNEYの Steve PerryとHEARTの Ann Wilsonからの影響を公言する24歳の若き歌姫で、少しハスキー気味でマイルドな如何にもキャッチーなポップスにピッタリの滑らかな歌声がバンドの奏でるシンプルでオクトジェニックなユーロ・ハードポップ・サウンドにマッチしているだけでなく、バンドの頭脳でギタリストの Manuel Hellerのジェントリーで穏やかな歌声もフィーチャーし、部分的に男女混声でリードにコーラスにとフックある華やかな歌メロを構成している点が楽曲に実に良い捻りを加えていて、本作でもそれは健在でバンドをその他大勢のハードポップ・バンド達と差別化しているように思える。

前作ではまんま80年代な髪を逆立てたルックスが苦笑を誘い目一杯にキャッチーな歌声を張り上げていた Jamie Beckham嬢だが、デヴュー作をフォローアップするLIVEを経験して余裕が生まれたのか、本作では幾分か声を張り上げるのを控え、よりエモーショナルで心揺さぶる情感を表現する事に主眼を置いた大人びた歌唱法へシフト(MIXも少し引っ込められた)しており、その為か前作までの80年代ハードポップ・サウンドの焼き直しなイメージから一歩新たな領域へ踏み出した印象を受けました。

デヴュー作では80年代UK歌姫でセックスシンボルだった Samantha Foxのハードポップ風カヴァーを取り上げていたが、今回は全てオリジナル曲で占められており、デヴュー作でもフィーチャーされ楽曲にカラフルな彩りと艶やかさを生んでいたムーディーで瑞々しいサキスフォン・サウンドが本作でもしっかりとフィーチャーされていて、その点もエレクトリック・サウンドオンリーでドライに成り勝ちな事の多い他のハードホップ・バンド達が聴かせるサウンドとの差異を生んでいるのは間違いないだろう。

特筆すべきはバンドのキーマン Manuel Hellerの創作する楽曲の構成の緻密さや音使いの幅が一気に広がっていて、軽やかなクリーントーンのギターが奏でる爽快感と心地よいヴォーカルが歌い上げる歌メロのフックがより増しており、男女混声ヴォーカルの使われ方も更にモダンに複雑に進化するなど、前作で露骨だった80年代焼き直し感をかなり払拭する事に成功している点は見事だ。

まぁ、バンドの更なる進化と前進を印象付けたかったからなのでしょうけど、個人的にはもう一度くらい出自とスタンスを明らかにするのとオールド・ポップス好きにアッピールする為にも80年代歌姫のカヴァーを取り上げても良かったんじゃないかなぁ、とは思いますね。

やはり有名バンドに在籍していた元メンバーが立ち上げたとかでない全くの無名の新人な訳だし、そのサウンドをチェックしてもらう為の切っ掛けは多い方が良いですから…

他にも見逃せぬ変化として、元々ドイツ産バンドらしからぬアメリカナイズされた朗らかでオクトジェニックなハードポップ・サウンドを奏でていたが、本作ではググッと英国ハードポップ風味が増し、部分的に透明感ある北欧テイストも感じるなど、アルバムの随所で感じ取れる叙情感あるユーロ・ハードポップな美旋律が実に心地良く、キーボードの紡ぐ涼やかな音色や翳りを孕んだウェットなコーラスの使われ方、そして鮮やかに響き渡る音の深みなどに顕著な成長を感じ取れ、一人2828してしまいました (*´ω`*)

無論、未だにTOTO、HEART、STARSHIP、ROXETTE、THE BANGLES (Suzanne Vega)、SURVIVOR、VIXEN、Lita Ford、Patty Smyth等をはじめ、他バンドやアーティスト達からの影響も色濃く感じるが、Manuel Hellerをはじめメンバーは自分達自身のオリジナリティを生み出そうと懸命に試行錯誤しているのが伝わり、きっと次なる新作で更なる進化した姿と素晴らしい作品を届けてくれるに違いない。

隠し味にちょっぴりテクノポップ風味やDURAN DURANなんかもチラ見せするなど、単なるロック、ポップスのみがバックボーンでない事を伺わせている点も、次作でどのような変化を見せてくれるのか期待が高まる要因の一つであります。

ドイツ産バンドと言う事で、煌びやかな音色のキーボードをフィーチャーしたキャッチーな80年代末期~90年代初頭にかけて活躍した DOMINOEが個人的に強く思い起こされた瞬間も多く、リードとバッキングの差はあれど本バンドもDOMINOEも男女混声ヴォーカルで耳障りの良いハードポップ・サウンドを聴かせてくれているので、もし貴方がオーセンティックな80年代サウンドが好きで上記バンド達をお気に入りの1つに数えているならVIOLETは見逃すべきバンドではないし、懐かしのDOMINOEファンな方なんかにも是非お薦めしたニューカマーだ ♪ (゚∀゚)

Tracklist:
01. Sex In Harmony
02. Angelina (Talk To Me)
03. Bad Dream
04. That Night
05. Only You
06. Arms Around
07. I Don't Want To Fall In Love
08. Mysteria
09. Eighteen In Love
10. If I Had You

VIOLET Line-Up:
Jamie Beckham : Lead Vocals
Manuel Heller : Guitars、Vocals
Filip Kuzanski : Keyboards
Eric Hart : Bass
Maurice Probst : Drums


by malilion | 2024-12-07 18:33 | 音楽 | Trackback
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