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70年代~80年代初期風な英国レトロ・メロディアスHRバンドCATS IN SPACEが約2年振りに6thアルバムをリリース!!

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CATS IN SPACE 「Time Machine」'24

70~80年代初頭にかけての多くの優れたバンド達が遺したクラッシック・ロック要素を巧みに取り込んだキャッチーでポップなノスタルジック・サウンドが特徴の、SWEET、AIRRACE、MORTIZ等で活動してきた英国ベテラン・ミュージシャン達によって結成されたキーボード入りツインギター6人組メロディアス・ロック・バンドが、前作『Kickstart The Sun』'22 から約2年振りに6thアルバムを遂に自主制作をやめて英国 Cherry Red Records傘下のインディ・レーベル Esoteric Antennaと契約し初リリースしたので即GET!

2015年のデヴュー作『Too Many Gods』でUKロック・シーンに登場すると SWEET、QUEEN、E.L.O、STYX、URIAH HEEP、MAGNUM、BOSTON、10cc、THE WHO、Elton John、Billy Joel、Herbie Hancock、Dire Straits等々の70年代~80年代初期にチャートを賑わした欧米メジャー・アーティスト達のサウンド全てをMIXしたような、クラシック・ロックの最高のサウンドを思い起こさせるキャッチーなレトロ・ポップロックが聴衆の心を捉えたのか彼等らのアルバムは自主盤にも関わらず全作品がUKチャートの上位にランクインし、過去2作は全米ロック・チャートで1位も獲得と、今世紀に登場した最も優れたクラッシック・ロック・バンドの1つという評判を瞬く間に築き上げ、DEEP PURPLE、STATUS QUO、THUNDERとのUKアリーナ・ツアー、Phil Collinsや BLONDIEとのHyde Parkでの共演、その後のヘッドライン・ライヴ、続くアルバムのフォロー・アップツアー、主要フェスティバルへの出演( Bonnie TylerとのLondon Palladium Theatreでの特別公演を含む)により名声は確固たるものとなっていった。

結成9年目を迎えるCATS IN SPACEだが、当初はサイド・プロジェクトとして幾つかの楽曲をレコーディングする為だけにスタートしたシリアスでない半ばお遊びバンドであったというのが面白い。

そんなお遊びバンドが今ではチャート1位を獲得し、レーベルともレコード契約を結ぶとは、本当に何が売れるのか分からないショービジネスってのはタイミングが重要で、意図してヒットさせるのが難しいものなんですなぁ…

きっと数多くのバンドに関わって来たメンバー達はその事を嫌と言う程に思い知っているベテランばかりですし、CATS IN SPACEの思わぬ成功を本当に喜んでいる事でしょう。

前々作でシンガー交代劇があったが本作にメンツの変化はなく、ゴタついたフロントマン問題(前作紹介で既述)も治まりレコード契約も得て、そんなバンドを取り巻く状況も反映されたのかソングライティング、パフォーマンス、(臆面もなくレトロな)プロダクションに至るまで全てのクオリティが高く、これまで以上に豊かで感染力あるハーモニー・コーラス、耳を捉えて放さないメロディアスなギター・リフ、一糸乱れぬアンサンブル、伸びやかでフックあるエモーショナルなヴォーカルは絶品で、クラッシック・ロック、パワー・ポップ、グラム・ロックが絶妙にブレンドされ凝縮された、70~80年代の伝説的ビッグネーム・バンド達から受けたインスピレーションのみならず、今回は Jim Steinman、THE RASPBERRIES、さらにはHenry Mancini等の60年代後半まで遡ったテイストも披露するなど、本作の持つストーリー性とコンセプチュアルな要素がバンドの高い音楽性と相まって、ノスタルジックでありながら遊び心も交えた、時代を超越するコンテンポラリー・ロックへと一段階サウンドのスケール・アップが図られている。

この更なる進化は、抜群の歌唱力と表現力を誇るミュージカル畑のシンガー Damien Edwardsを得た事が起爆剤となっているのは間違いなく、パンデミックがCATS IN SPACEにアクシデントと不幸をもたらしたのは確かだが、それ以上の幸運も運んできたとも言えるだろう。

実は最初に本作のリリース・インフォを見た時、70年代~80年代初期のレトロ・ロックをモダン・リヴァイバルしてきたCATS IN SPACEに『Time Machine』というコンセプトは『成程、彼等にピッタリだな』と思った訳です。

前作の壮大な叙事詩では星々を訪れ、海の中にも行ったし、ナルニア国にも赴いたり、とCATS IN SPACEが得意とする事の1つはストーリーテリングなので、きっと古典的な H.G. Wellsの小説をネタにしたコンセプト作か、それとも『Back To The Future』や『Terminator』の様な娯楽アドベンチャー風の彼等お得意な80年代風の豪奢で煌びやかなレトロ・ポップサウンドで彩る楽しい作品になるに違いないと予想したのですが、その辺りはリーダーの Greg Hartをはじめメンバー達も予想していた模様で彼等は違う選択をしたのでした。

『すぐに誰もが『Time Machine』= H.G. Wellsになるだろうと予想した。タイムマシンに乗って70年代に戻るんだ。イヤ、それは止めよう。我々がやると思われている事とは正反対の事をやろう、と』

『我々が『Time Machine』で発信するポジティヴなメッセージには、タイムマシンは必要ないという事。 そのポータルを通り抜けるんだ』

前作『Kickstart The Sun』での大成功によってバンドは高いハードルを課せられた為、次のアルバムがどのような方向性を示すのか憶測が飛び交っていた中で、敢えて逆方向へ行く重大な決断だったのは言うまでもない。

『このアルバムは良い意味で今までとは違ったモノになった。明らかにレーベルと契約した事で、僕らがどうやって行くかという事に、これまでとは違った傾斜が付けられた。ちょっとプレッシャーも有ったかもしれない。このアルバムは今まで僕らがヒットした事の無い場所の全てでヒットさせる事がとても重要なんだ』

レーベルからの資金的援助で今までの自主盤は紙ジャケでリリースでしたが今回はデジパックでリリースとなり、細かい所ですが恩恵を感じます。

『これまでのアルバムにはそれぞれテーマやコンセプトがあったが『Time Machine』もそうだ。 タイムマシンはタイムトラベルを楽しむ作品じゃない』

『より直接的で個人的なモノで、今を生きる事を促している。Greg と Steevi が作曲を始めた時このコンセプトはすぐに纏まったよ』

彼等は70年代~80年代のムードを取り入れたアルバムを制作するのが得意で、そのサウンドはノスタルジーを誘うかもしれないが、最初から彼等は現代を生きるバンドなのだ。

『これは落ち込んだ暗いアルバムじゃない』
『というのも、私達は世界がかつて見た事もない大バカをやってのけ、大きなダメージを受けたからだ。 多くの人々をメチャクチャにしたんだ』
『正直言って、今の我々はメッセージを発信する必要があると思う。曲はとても簡潔で、我々が経験しうるさまざまな感情の状態を表現している』
『今しか生きられないし、それはとても難しい事なんだ』

彼等が進む旅は心の内側にあり、強烈に個人的で、感情的で、内省的で、死と不死について歌詞は触れている。

陰鬱で、おざなりで、メランコリックな内容では全くない、その代わりに高揚感や胸に迫るものがあり、大人の為のラブソングであり、メロディアスなHRが詰め込まれた一枚だ。

お決まりのユーモアと示唆に富んだアイデアがミックスされた、自分の中にある青春を取り戻すチャンスと訴える歌や、自分の父親との関係について考えさせられるロック・バラード、定番な失恋の余波を歌ったモノ、グラム・ロックに影響を受けたノリノリの朗らかなポップロック、実にキャッチーでメンバーそれぞれの長所が見事に融合したメロディアス・ポップ、10cc風のは流行遅れのシンガーを揶揄するようなキャッチーで瑞々しいロック曲、ロックの重要性を賛美するナンセンスなアンセム、甘いストリングスが響き渡る繊細なバラード等々、ノスタルジー=タイムマシンというセンチメンタルな切り口で幅広い題材を扱いつつポップでキャッチーに纏め上げたカラフルでブライトな作品に仕上がっていて、レコード契約を得た事でバジェットに余裕が出たのかこれまで以上に華やかなブラスや優美なストリングスがフィーチャーされており、プロダクションの良さが際立った素晴らしい楽曲とサウンドのアルバムとなっている。

Greg Hart 曰く、『Time Machine』は2ndアルバム『Scarecrow』の姉妹作だろうと語っていて『このアルバムは、パワー・バラードを含むロック・アルバムだ』との事だ。

なーんて大真面目に語ってますが、オープニング・タイトル曲の“Time Machine”で THE WHOの『Baba O’Riley』のオープニング・リフを丸ごとパク…少々やり過ぎなオマージュしたり、クローズ・トラックの“When Love Collides”が Alice Cooperの『Only Women Bleed』に少々似過ぎていたりと、相変わらずなんですけどね(汗

まぁ、Alice Cooperの『Only Women Bleed』は大仰なストリングスとメランコリックなアコギが大きくフィーチャーされているが、こちらはストリング控えめでピアノ・メインで進行し、ヴォーカルの巧さや盛り上げるQUEEN張りの分厚くセンチメンタルなヴォーカル・コーラスの華麗さでも明らかにCATS IN SPACEの方に軍配が上がり、元々ストリングスをフィーチャーしたバラード系の楽曲は曲調が似るのは仕方が無い事とも言え、丸パクと言う事もないんでしょうが全体の雰囲気がどうにも似てるのは確かなので、彼等的なオマージュだったのか偶然に似たのかは判別つきかねます…(´~`)

って、今まで散々QUEENやE.L.Oを擦りまくって来たし、本作も他にもチラホラ顔を出しているし今更っちゃ今更かもしれませんが…

また、CDのみボーナス・トラックが4曲収録されており、THE WALKER BROTHERSの『No Regrets』、SLADEの『How Does It Feel』、John Milesの『Music』程バンドに相応しいカヴァー曲はないだろう。

Greg Hart はこの3曲が彼のお気に入りで、何せ彼等の2019年リリースの3rdアルバム『Day Trip To Narnia』のNARNIA BOXなる豪華アナログLPボックスにも、THUNDERのフロントマン Danny Bowesをフィーチャーした『How Do You Feel』のカヴァーが7インチLPにて披露済みで、これまでのLIVEでの定番曲が今回遂にフロントマンの Damien Edwards の歌声で収録されたスタジオ・ヴァージョンがお披露目された訳です。

尚、『No Regrets』には特別ゲストとしてオリジナル曲にも参加していた BJ Coleによるペダル・スティールをフィーチャーした完全版となっている。

彼がCATS IN SPACEのアルバムに参加するのは『Kickstart The Sun』へのゲスト参加に続いて2作目となり、そのアルバムのセッション中に自分のパートを録音したというオマケつきだ。

他の2曲のボーナス・トラックは、今年初めに開催された fan VIP DayでLIVE収録されたもので、このバンドのLIVEでの実力を正確に示していると言えるだろう。

『John Milesの曲は、僕等がスーパーソニック70sで演奏した事が有るし、Jeff Brownも彼のバンドで演奏しているから、僕等が演奏出来る事は皆知っている』
『この曲をツアーに組み込んで皆の頭を吹っ飛ばしたいね。 あれはLIVEヴァージョンだけど、オーケストラとトランペットだけ後からオーバーダブしてるんだ』

生演奏で John Milesのディープ・カット『Music』に挑み、それを完璧に歌いこなしたCATS IN SPACEは正に本物のバンドで、このカヴァーだけでもノスタルジック・ライドの入場料を払う価値があるだろう。

CATS IN SPACEは Cherry Red Recordと3枚分のアルバム契約を結んでおり、早くも Greg Hart は次作の構想を練っている模様だ。

『次のアルバムは、本格的なコンセプト・アルバムになるかもしれない。イヤ、まだ誰にも分からないよ』

つらつらデータ的な事を書き連ねましたが、全てファンタスティックに演奏されたキャッチーなノスタルジック・サウンドは、以前よりもコンテンポラリー・ロックへ傾いた作風なのは確かではありますが、未だに彼等を最初に気に入る要因となった70~80年代風ジュークボックス・ミュージカル・ポップスなのに些かの変わりもなく、もし貴方が既述の一連のバンドのファンであるならば破顔するのが止まらぬハズなので、楽しく秋の夜長を過ごしたいのなら一度ご自身の耳で本作をチェックしてみては如何だろうか?

Track List:
01. Time Machine
02. My Father's Eyes
03. Crashing Down
04. Occam's Razor (Not The End Of The World)
05. Forever And Ever
06. Ivory Anthem
07. Run For Your Life
08. This Velvet Rush
09. Yesterday's Sensation
10. Immortal
11. When Love Collides

-Bonus tracks-
12. No Regrets
13. Music
14. How Does it Feel
15. This Velvet Rush (Ghost Mix)

CATS IN SPACE Line-up:
Damien Edwards : Lead & Backing Vocals
Greg Hart : Electric & Acoustic Guitars、Synthesizers、Backing Vocals ex:MORTIZ ex:IF ONLY ex:GTS、etc...
Steevi Bacon :Drums、Percussion、Timpani ex:Robin Trower Band、etc...
Dean Howard:Electric Guitars ex:BAD COMPANY ex:IAN GILLAN BAND ex:T'Pau ex:再結成AIRRACE、etc...
Andy Stewart :Piano、Synthesizers ex:MORTIZ ex:IF ONLY、etc...
Jeff Brown :Bass、Backing Vocals ex:Andy Scott's SWEET ex:STATETROOPER ex:WILDFIRE、etc...

Additional Musicians:
Mick Wilson : Vocals
Julie maguire : Vocals
BJ Cole : Pedal Steel
Jack Birchwood : Brass

Produced By Greg Hart


by malilion | 2024-11-05 18:07 | 音楽 | Trackback
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