PLEASURELAND 「Same」'24 既にメンバー各自それぞれキャリアを築いてきたメンツが集まって立ち上げられた男女ツイン・ヴォーカルを擁するキーボード入り6人組メロハー・バンドがデヴュー作をリリースしたので即GET! フロントの一翼を担う Jonna Sailon嬢は、スウェーデンのTV番組『Fame Factory』出場者の一人として知られ、後にスウェーデン・ヨーテボリ出身のオルタナティヴHMバンドALL ENDSへ二代目シンガーとして加入した経歴の持ち主で、ALL ENDSには元IN FLAMESの Bjorn Gelotteと Jesper Strombladが在籍していた事で有名だ。 元MAJESTIC、元TIME REQUIEM、元FIREWIND、元EVIL MASQUERADE、そして現在はSPIRITUAL BEGGARSの3代目シンガーで2016年にはソロ・アルバム『APOLLO』もリリースした実力派スウェーデン人シンガー Apollo Papathanasioを擁する北欧シンフォニック・パワーメタル・バンドARTURIUSの創設メンバーでギタリストの Jalle Westergrenは本バンドでもギター、キーボード、プロデュース、作詞を担当している。 他のメンバーも何れれもスウェーデン国内で活動してきた経験豊富なミュージシャンで、本作に収められている新人インディ・バンドらしからぬ楽曲とサウンドの完成度を聴けばそれは直ぐに察する事が出来るだろう。 中心人物であるベーシストの Tom Rydellやシンガーの Bjorn SegerbladはGIANT、HARDLINE、JOURNEYからの影響を語るが、正直それらのバンドのハード・ドライヴィンするサウンドからのインスパイアは余り感じられず、恐らくキーボーディスト Mattias Andrenの嗜好だろうTOTOを思わす小気味よいアレンジと洒落たシンセが楽曲を華やかに彩り、如何にも北欧バンドらしい雰囲気を感じさせる叙情と郷愁漂う美旋律をバンドは尽きる事無く紡ぎ、キャッチーで爽快なヴォーカル・メロディとコーラス・ワークが最後まで心地よい、オクトジェニックなUSメロディアスHRやAORをベースにしつつウェストコースト要素やキーボードを多用したアメリカン・クラシック・ロック要素もまぶした軽目で柔和なAOR寄りのメロハー作だ。 非常にプロフェッショナルなサウンドのインディ作なれどやはりプロダクションに重厚さが足りず、ボトム・サウンドが些か軽すぎる点は気になるが、それでも十分にソリッドでタイトなサウンドには聴こえ、無名の新人バンドのデヴュー作としては上々の仕上がり具合と言えるのは間違いない。 ただ、USクラッシック・サウンドのエミューレートを試みているのは分るが、モダンな方向性のメロハー・サウンドに纏め上げた為か致命的なまでにUSバンドに特有な泥臭いブルージー・テイストが希薄で、メンバー達が培ってきた豊富な経験が逆に洗練されたアーバン・タッチのスタリッシュなポップロック・サウンドへ昇華され過ぎてしまい、演奏もソングライティングも余りに小慣れ過ぎていて平均的な印象しか残らず、新人バンドらしい無謀な試みや勢い余った熱いパッションや新人ならではの灰汁の強さ等、不完全ながら未知の可能性を感じさせるフレッシュさがどうにも薄く、良く出来ているアルバムなれど『コレ!』と言う個性に乏しく『カヴァー・バンドのヒット曲コンピアルバムを聴いているみたい…』というのが偽らざる感想だろうか。 ギターもキーボードも全編に渡ってソツなくツボを心得えたノスタルジックな雰囲気を漂わす多彩なメロディと美しい音色を紡ぎ、エモーショナルでソウルフルなヴォーカルも終始耳に馴染み易い歌唱を聴かせてくれているのですが、メロディかフックかアレンジなのか『なんだろう…何かがもうちょっとだけ足りない…』そんなもどかしい思いがアルバムを聴き進めるうちにどんどん募っていく、なんとも言えぬ惜しい一枚でした。 後は本バンドの一番の売りだと思う男女ツイン・ヴォーカルなんですが今一つ巧く有効活用されていないような、なんだか Jonna Sailon嬢がバッキング・ヴォーカルばかり担当している風な、もう一つ男女ヴォーカルの差異やハーモニーを活かしきれていないアンバランスな印象で、そこもちょっとインフォから想像したサウンドと違う点でしたね。 言葉は悪いが毒にも薬にもならない、良く出来ているけど平々凡々とした薄味で引っ掛かりが少なく耳を通り過ぎていく作品、というのが残念ながら今の時点での彼等のアルバムへの評価だと思う… 決して酷評されるような作品でもないしバンドの方向性やサウンド、アルバムの仕上がり具合も大変好ましいのですが、今のままだと個性豊かで尽きる事なく次々と北欧からデヴューしてくるエネルギッシュでフレッシュな新人メロハー・バンド達の勢いで脇い追いやられてしまいそう、そんな現時点でのバンドイメージが残念です。 とまれこの先に期待の持てる新人メロハー・バンドなのには違いありませんので、80年代USロックやTOTO、GIANT、HARDLINE、JOURNEY、FOREIGNER等がお気に入りな方なら一度はチェックしてもいいかもしれない新人バンドでありますので、後はご自身の耳で確かめてみてください。 Track listing: 01.Before I Die 02.Hardly Believe It 03.The Game 04.City Of Rain 05.Right Before My Eyes 06.Shotgun City 【 HABIT のCover 】 07.Waiting In The Wing 08.White Light 09.King Of Confusion 10.Hate Stronger Than Love 11.Mr Jackson PLEASURELAND Line-Up: Bjorn Segerblad : Lead & Backing Vocals Jonna Sailon : Lead & Backing Vocals Jalle Westergren : Guitars、Keyboards、Vocals Mathias Andren : Piano、Keyboards Tom Rydell : Bass Martin Fernandez : Drums、Percussion Recorded mixed & Produced By Jalle Westergren
by malilion
| 2024-10-28 17:28
| 音楽
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