EUROPE 「Le Baron Boys Sessions」'24 80年代北欧HMの元祖バンドEUROPEが、1988年にリリースされた4thアルバム『Out Of This World』をフォローアップする為のツアー終了後、次作の製作準備に取り掛かかり1989年~1990年の間に行われたセッションで5th用楽曲が録音されたが、そのセッションで生まれた音源はレコード会社から『ヘヴィ過ぎる』との理由で没になり、作り直させられた結果1991年にリリースされた5th『Prisoners In Paradise』に本セッションで生まれた数曲が収録されるのみで殆んどの楽曲は未収録となった、そのお蔵入り未発アルバム用音源を収録した2枚組Boot音源集が200枚限定でリリースされたのでご紹介。 2003年に再始動して以降のEUROPEの作品が今一つピンと来ず、2009年当時彼等に対する興味がかなり薄れていただけに未発音源とは言えBootは完全にスルーしていたのだが、2017年リリースの今の所彼等の最新作『Walk The Earth』で再び彼等の作品に興味が沸いたので今回遅まきながら手を出してみました。 本Bootは2009年に同じタイトル、別ジャケット・デザインで既にリリースされた事のあるBoot音源集とほぼ同じ内容で、2009年Bootにのみに収録されている音源が数曲、そして今回のBootにのみ収録されている音源もある完全なるマニア向けアイテムで、Bootの限定枚数なんて有って無きにも等しいLimited Press品だが一応限定コレクターズCDだ。 他にもジャケ違いで一枚に編集された同じタイトルながら20分超えの大曲も収録した一部内容の違うBootも存在するので、本未発アルバムの音源はかなりの数出回っているものと思われる。 日本盤『Prisoners In Paradise』のみのボーナストラックに本セッションで生まれた楽曲『Yesterday's News』『Break Free』の2曲が収録(当時、米国でリリースされたシングル『Halfway To Heaven』に1曲だけ『Yesterday's News』が未発曲として収録されていた)され、2001年にリリースされた『Prisoners In Paradise』リマスター盤にも日本盤と違うボーナス曲が2曲収録されたが、その音源も本セッションで生まれた楽曲『Goverment Man』『A Long Time Comin'』で、さらに当時国内盤シングルもリリースされた『I'll Cry For You』にもアルバム未収録音源が2曲『Sweet Love Child』『Long Time Comin'』収録されていた他、1997年に『The Encyclopedia of Swedish Hard Rock and Heavy Metal 1970-1996』なる北欧マイナーHMからメジャー所バンドのバイオや音源記録等の細かなデータが明記(全て英字)されたマニアックなムック本が刊行されたが、その本にはオマケCDとしてEUROPEやTREAT、220 VOLT、Yngwie J. Malmsteen等の北欧HMマニアなら小躍りする北欧バンド達の未発音源等が収録されおり、EUROPEは未発デモ音源として本セッションで生まれた『Rainbow Warrior』を提供し、お蔵入りアルバムとは言え既に四分の一程は音源が世に出回っていた事になるので、EUROPEファンはレコード会社にボツを喰らったアルバムの方向性やその内容を伺い知れていたのではないだろうか? 一度はリリース・デイトまで告知された5thアルバムだが突然の発売延期、そして長らくの沈黙と当時EUROPEファンはやきもきしていた事だろうが、外部ライターを招いてさらにメロディの質と楽曲の向上を果たした5th『Prisoners In Paradise』はハード過ぎずポップ過ぎずの実に良くバランスが考慮された、前作『Out Of This World』が些かポップで小奇麗な産業ロック的スタイルへ傾倒した為か売り上げ低迷を招いた教訓を活かした充実作だと今でも思っておりますが、当時日本盤だけで聴けたボーナス曲のやたら格好良いギター・リフ主導の如何にもHR的なスピーディでハードなサウンドに非常にワクワクしたのも事実で、レコード会社が否定したヘヴィ過ぎる方向性のアルバムを当時リリースしていたならば『もしかしたらその後の長い休止期間はなかったのかも?』とも思え、本Bootで聴けるブルージーでフリーフォームなギターとジャージィなキーボードがウネる様に絡んで楽曲を彩る初期の作風へ回帰するかの如きアタック感満点で思いの他にキャッチーでスリリングな北欧HRサウンド作を当時リリースして欲しかったですね… 面白いのは『Prisoners In Paradise』完成盤では鍵盤サウンドが引っ込められ控え目なプレイに終始していたが、本セッションの音源では Mic Michaeliの鍵盤サウンドが所狭しと大活躍しており、最新作『Walk The Earth』にも通じるワイルドでヘヴィな歪むオルガン・サウンドを筆頭にバンド一丸となって実にナチュラルなグルーヴと70年代風にレイドバックしたパワフルなHRサウンドを既にここで披露していて、長い長い寄り道の末に彼等は活動休止前の状態へ復調したんだな、と良く分かる充実ぶりが嬉しいキャッチーでありながら当時の時流をしっかり意識したタフでハードな北欧HRサウンドが実に心地よい未発音源集であります。 Kee Marcelloもテクニカルでエモーショナルなツボを心得まくったギターを自由奔放に弾きまくりラウドに咽び泣かせており、実は現在の John Norumをリードギターに据えた編成のEUROPEよりも Kee Marcelloをギタリストに据えた編成の方が今後進もうとしている方向性にはより良くアジャストしているのかも、とか思えたり…(汗 Bootなので音質やヴォリューム・レベルのヨレ等とても褒められたモノではありませんが、それでも十分に彼等の奏でるサウンドを楽しめるレベルの音源ではあるのは間違いなく、90年代初頭の『失われたアルバム』の音源にご興味あるコアなEUROPEファンの方なら手を出しても後悔はしない、そんなマニアックでファン必携な一品だ。 正式リリースされる事のなかった未発曲の中にも意外に面白い曲があって、Bootならではの嬉しい発見もあったりするのがこの手の流出音源の醍醐味とも言えましょう (*´ω`*) 因みにボーナスとは言えアルバムやシングルに収められる事になる『Yesterday's News』『Break Free』『Mr. Goverment Man』『Long Time Coming』『Sweet Love Child』は後にしっかり録音し直され一部タイトルも変更されており、本作の多少ユルくワイルドでシンプルなデモ音源(キーボード・ソロはデモの方が長くラウドに弾きまくっている!)との差異を楽しむのも一興だろう。 Track listing: Disc 1 01. Here Comes The Night 02. Blame It on Me 03. Wanted Man 04. Stranded 05. Yesterday's News 06. Don't Know How To Love No More 07. Rainbow Warrior 08. Little Sinner 09. Mr. Goverment Man 10. Never Gonna Let You Go Disc 2 01. Break Free 02. Long Time Coming 03. Wild Child 04. Sweet Love Child 05. Homeland 06. Bad Blood 07. Seventh Sign 08. Little Bit Of Lovin' 09. Talk To Me 『Prisoners In Paradise』の収録曲も記しておきます。 どの楽曲が修正され生き残ったのか見比べてみて下さい。 Track listing: 01. All Or Nothing 02. Halfway To Heaven 03. I'll Cry For You 04. Little Bit Of Lovin' 05. Talk To Me 06. Seventh Sign 07. Prisoners In Paradise 08. Bad Blood 09. Homeland 10. Got Your Mind In The Gutter 11. 'Tll My Heart Beats Down Your Door 12. Girl From Lebanon -Bonus track- 13. Break Free 14. Yesterday's News EUROPE Line-up: Joey Tempest (Vocals) Kee Marcello (Guitars) John Leven (Bass) Mic Michaeli (Keyboards) Ian Haugland (Drums)
by malilion
| 2024-10-16 02:18
| 音楽
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