RED SAND 「Pain't Box」'24 2004年にカナダのケベックで結成された“カナダのMARILLION”ことネオ・プログレ・バンドRED SANDが、前作『The Sound Of The Seventh Bell』から3年ぶりとなる11thアルバムをリリースしたのを少々遅れてGET! 最初はキーボード入り5人組のスタンダードな編成であったがアルバム枚数を重ねる毎にメンバーチェンジが続き、前々作ではトリオ編成になって一層にリーダーでギタリストの Simon Caron (Guitars、Bass、Piano、Keyboards)のワンマン体制が強化され、本作では遂に2ndアルバム『Gentry』'05 以降長らくフロントマンを務めエモーショナルで歌心ある抜群のヴォーカルを披露して来た Steff Dorvalから新たにフロントマンを Michel Renaudへチェンジした新トリオ編成となっての第一弾作となっている。 デヴュー以来MARILLIONのメロゥな部分だけ抽出し煮詰めたかの様な“泣き”とメロディアスさのみを追求した木訥で真摯なプレイと美旋律の数々が甘美だった彼等だが、前々作から一気にPINK FLOYDカラーが強まり、所々でCAMELやGENESIS、そしてPENDRAGON、IQ等のポンプ系要素が顔を出す、リリカルでウェットなメロディが味わい深く叙情感あるセンチメンタルで心地よいシンフォニック・サウンドを前コンセプト作で披露したが、今作では再びMARILLIONっぽいポンプ・タッチな音色を響かせており、ここ数作で試み続けた哀愁と幽幻さ漂うミステリアスでダークな旋律をメインに、現れては消えを繰り返す叙情的な瞬間、1音1音紡がれる咽び泣くエモーショナルで甘美なギター、アコースティックで繊細なパッセージ、様々な情景を描き出すムーディーで幻惑的なキーボード、陰鬱さが絡みつくストリングス、切々と訴えるジェントリーなヴォーカル等、それら全てが一体となって物悲しい余韻が残響の様にいつまでも耳に木霊するメランコリックな曲調をシンフォニックに紡ぐ様にはクラシック・プログレッシヴ・ロックのファンや叙情派ユーロ・シンフォ愛好家が求める要素が全て散りばめられており、PINK FLOYDのヴィンテージ・プログレ・サウンドとMARILLIONが磨き上げたポンプ・サウンドの中間に位置する風な要所でモダンタッチが活かされたネオ・プログレ・サウンドは、恰もバンドの音楽的ルーツへの回帰を示すかの様で期待に違わぬ傑作と言えるだろう。 アルバム全体がシンフォニックで優美な雰囲気に包まれており、メロトロンが頻繁に使われる事でより豊かな音色と響きが増し、さらに朴訥な音色を紡ぐアコギや疾走感ある曲調がアルバムにダーク一辺倒でない爽快感や魅力的なアクセント、さらに気品あるコントラストを生み出していて、MARILLION、PINK FLOYD、GENESIS、PENDRAGON等、数多くのバンド達から得たインスピレーションの断片が顔を出しては溶け合い独自の輝きを魅せて淡く消えていく、陰鬱さやシリアス、爽快さや哀愁、そして感動的なラストまで、緊張感と不安感が入り混じったノスタルジックさ色濃いセンチメンタルでゆったりとした美しいユーロ・ネオ・プログレ・サウンドが、2つのパートに分かれた31分のコンセプチュアルな大曲を含む6曲入りアルバム (LP盤は5曲)の壮大な叙事詩を彩っていく… 注目の無名の新シンガー Michel Renaudについてだが、以前からそうだがこのバンドは余りヴォーカリストに歌うスペースを与えておらず、しかも今作は動物虐待、政府の腐敗、社会的不正義といったトピックを中心に現実世界の決してハッピーと言い難い問題を取り上げた Simon Caronの末娘 Barbara嬢の手による気恥ずかしい青臭さとナィーヴな無垢さが滲む歌詞がアルバムに独特の深みと新鮮な感触を与えてはいるが、その反面コンセプト故にヴォーカルの歌唱スタイルを狭めてしまっている様に思え、殆どが低くくぐもった傷つき疲れた風な語るように切々と訴える低中域を中心とした歌声の為に総じて淡泊な印象で、前任者とヴォーカル・スキルはなかなか比べ辛いのだが極一部で聴ける伸びやかな中域のヴォーカルは、ちょっと John Wettonのディープ・ヴォイスのトーンを甲高くした風な滑らかでエモーショナルな歌唱で決して Steff Dorvalに劣っている風には聴こえず、けれど如何せんそのスタイルの歌声を聴かせるパートが少なすぎて折角歌えるヴォーリストを迎えたのに余りにも勿体なく、前々から本バンドについて提言していますがもう少しヴォーカルの活用法を再考すべきなんじゃないかと…(´A`) 後はシンフォ作なんだしそんなの当たり前と言えば当たり前なんですが、ヴォーカル・レスな時間が長い事もあって些か助長に感じてしまう瞬間があったり、やはり専任ベーシスト不在でリズム・ワークの印象が少し弱く、この辺りにワンマン・バンドの弊害が感じられ、是非ともパーマネントなメンバーを補充して万全の体勢で創作に当って欲しいものです。 個人的には初期作で感じられた如何にもカナダ産バンドと言う爽快感ある控えめで上品なキャッチーさがヴォーカルをはじめコーラス等でもっと感じられれば文句なしだったのですがアルバム・コンセプトがコンセプトなので今回は致し方が無いですね… LIVEでは近年殆ど固定メンツとなりつつあるベーシスト Andre Godboutが再び参加する事が既に決まっている模様だが、鍵盤奏者はまだ未定な模様だ。 てっきり前々作LIVEのヘルプ要員だった鍵盤奏者 Jean Benoit Lemireが呼び戻されるかと思ったが、どうやら Simon Caron的に何かしらパフォーマンス不満があったか既に他バンドに参加しているのかした模様で、恐らく新LIVE要員キーボーディストが近い内に決定するものと思われる。 もしかしたら有名キーボーディストが迎えられちゃってそのままバンドへ加入、なぁーんて事もあるかもしれないので期待して待ちましょう。 とまれMARILLION、IQ、PENDRAGON等の80年代英国ポンプ・ファンな方からPINK FLOYD、GENESIS等の70年代英国クラッシック・プログレ・ファンな方まで楽しめる事請け合いな、ヴィンテージ・プログレッシヴ・ロックとポンプ・ロックからインスピレーションを得て独自のモダン・タッチを加えた、繊細で上品な哀愁に縁取られたセンチメンタルな美旋律の数々がタップリと堪能出来る、良く練られた複雑な味わいと赴きの深い本作を是非一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。 先行予約販売される500枚のCDジャケットにはバンドメンバーのの直筆サインが入っているので、彼等の熱心なファンは是非そちらをお求めいただきたい (´∀`) アルバムジャケが黒っぽいのでカラフルなマーカーによるサインも相まって、まるで元々そういうデザインみたいに良く馴染んでいるのは嬉しい誤算でした♪ また、以前から告知されている2012年リリースの5thアルバム『Behind the Mask』のアレンジも全てやり直してフル・リレコーディングした New Edition版は、現在新シンガー Michel Renaudを迎えてヴォーカル・トラックを作り直している所と言う事で、リリースデイトが近日中に告知されるらしいのでソレを待ちましょう。 因みに同じく初回限定500枚のCDには、バンドメンバーのサイン入りとの事デス。 Track Listing: 01. Wake Up The Child 02. Us 03. Time 04. Breaking Wings 05. Tie 06. Poland All Songs Written、Composed、Arranged & Produced by Simon Caron Lyrics Barbara Caron RED SAND Line-Up: Simon Caron (Guitars、Bass、Piano、Keyboards) Michel Renaud (Vocals) Perry Angelillo (Drums)
by malilion
| 2024-09-29 17:22
| 音楽
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