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ギリシア産80年代風シンセポップ・バンドSILVERNITEがシンガーをチェンジして2ndアルバムをリリース!!

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SILVERNITE 「Lost City」'24

2019年夏にギリシア北部テッサロニキで結成され、紅一点女性シンガー Tanja Harkonen嬢を擁するレトロ・メロディアス・ポップロック・バンドが、シンガーをギリシア人歌姫 Mariangela Arapoglidou嬢へチェンジした新編成でデンマークのメロハー専科レーベル Lions Pride Music移籍第一弾となる2ndアルバムを4年振りにリリースしたので即GET!

Tanja Harkonen嬢は北欧フィンランド出身でEVERSLAVEなるメロデス・バンドの一員として3作のデモ音源をリリースしていたシンガーでしたが、やはりと言うか当然と言うべきか2019年にEP『So It Began』でデヴューした当時から不安視していた顔を見合わせてのジャムセッション等が難しい地理的問題が予想通りに勃発し歌姫をチェンジした模様です。

残念ながらギリシア・シーンについて殆んど情報を持ち合わせていないので Mariangela Arapoglidou嬢がバンド参加以前にどのような活動をしていたか詳細不明ながら、公開されている画像やその風貌から察するに、ギリシアのインディ・ロックバンドかソロ活動を数年経たシンガーと思しき人物のようだ。

さて、本作の内容についてだが、自主制作環境からインディとは言え Lions Pride Musicと契約を結んだ効果が直ぐにそのサウンドクオリティの向上から察せられ、特にシンセ類を多用するサウンド形態の本バンドに置いてはスタジオワークにかかるバジェットを得られた恩恵は大きく、アルバムの至る所にその効果を感じ取る事が出来るのがまずは嬉しいですね♪ (゚∀゚)

バンドコンセプトであるオクトジェニックなメロディアス・ロックと最新デジタル・ムーヴメントであるシンセウェイヴをシームレスに融合し、シンセウェイヴのノスタルジックなヴァイヴとメロディアス・ロックのエモーショナルなパワーを響かせるエキサイティングなレトロ・フューチャー風味のデジタル・ポップで、SF、コミック、アニメ、映画、ネオンまみれの美学への愛を描き出し、リスナーを現実と空想の境界線が曖昧な黄金の80年代の記憶を呼び起こすドリーム・ワールドへと誘う、と言うデヴュー作以来の80年代タイムスリップ・ミュージック路線を継承しつつ全ての面で大幅なアップデートを果たした、実に聴き応えのある作品を届けてくれている。

注目の新フロントマンで歌姫の Mariangela(マリアンジェラ)嬢の歌声ですが、ノルウェーのメロディックロック・クイーン Issa Oversveen嬢と 80年代に活躍したイタリアン・ポップシンガー Valerie Door嬢をミックスしたような印象の、所謂フィメール・シンガーらしい如何にもハードポップ向きな穏やかで艶やかなヴォーカルを聴かせ、時に舌っ足らずなキュート・ヴォイス、時に神秘的で厳かなソプラノ・ヴォイス、時にセクシーなウィスパー・ヴォイスを駆使する女性的な特徴を活かした滑らかでフレッシュなその歌唱と、前任者と方向性は違うものの多彩な表現やアプローチで楽曲に幅や様々な表情を生み出し、特に叙情感あるユーロ・ハードポップ・スタイルな楽曲にはこの上なくジャストフィットしており新作の仕上がり具合に多大な貢献を果たしていると言っていいだろう。

リーダー Strutterの操る煌びやかなシンセワークはバッキングにソロにと前作以上に冴え渡り、相棒 Nash G.の弾くギターワークも非常に印象的で、派手なリード・プレイをやり過ぎる事なく楽曲第一なソロやメロディを余裕を持って奏でており、さらにキーボードとギター互いのサウンドが双方を引き立て、生っぽくロックなフィーリングと冷ややかで無機質な感覚が交差しサウンドの奥行と立体感を際立たせ、ノスタルジアとフューチャリズムのユニークなブレンドを音楽にさり気なく吹き込み響かせる手法はベテランAORミュージシャン顔負けの見事さだ。

特にそれは複数収録されているシンセとエレクトリック・ギターのドラマティックなハイブリッド・インストゥルメンタル曲で証明されているので、シンセウェイヴ・ファンの方々は是非堪能して欲しい。

そしてなんと言っても本作を前作以上の聴き応えあるアルバムにするのに大いに貢献しているのは、ゲスト・サックス奏者の Artem Zhulyevのムーディーでエモーショナルな演奏の数々で、安っぽいシンセ・サンプルで代用せずに本物のサックス・サウンドの艶やかで華やかな響きを用いる事で、前作以上の音の厚みと音楽性の広がり、そして新鮮な味わいを増させる事に成功している点は見逃せないだろう。

只、諸手を上げて全てを絶賛出来るかと言うと難しく、前任者の Tanja Harkonen嬢は地元フィンランドでメロデス・バンドに参加していただけあって少しハスキーでラフな感触もあるパワフルで伸びやかな歌唱を聴かせ、シンセナイズされた幾分ハードエッヂの弱いオクトジェニック・ポップロックなデジタリー・サウンドと上手い具合に差異が生まれ互いを引き立て合う効果を感じさせていたのだが、残念ながら新シンガーの Mariangela嬢の歌声は明らかに前任者より力強さで劣り、良く言えばバックのサウンドとシンガーの歌声が同一方向へ纏まったイメージなのだが、悪く言えば Tanja Harkonen嬢がもたらしていたロック・フィールあるラフでパワフルな歌唱と柔和でメロディアスなバックサウンドとのコントラストが生んでいた興味深い独自性が消えてしまい、近年数多くデヴューしている凡百のメロディアス&シンセウェイヴ・ポップ・バンド化してデヴュー以来の彼等固有のオリジナル・サウンドが消失してしまったように思え非常に残念だ…

その他にも80年代メインストリームを騒がせた BON JOVI、DOKKEN、TOTO等のメジャー・バンドや、当時のギター・ヒーロー達を彷彿とさせるオクトジェニックな歯切れ良くスリリングなギター・リフが随所でフィーチャーされてはいるがティピカルなロック・バンド程にギター・サウンドは支配的ではなく、ロックと呼ぶに十分な手応えなもののやはりサウンドの多くを彩るシンセに埋没し勝ちな瞬間は多く、そして本作からベース・パートがシンセで代用された弊害でかベースラインは非常に主張が弱くて聴き取り難く、ドラム・パートも意図的にか楽曲にアジャストさせる為なのか専任ドラマーがプレイしているにも関わらず無機質なドラム・マシーンやメリハリの欠けた打ち込みの様に感じられる時が多々あり、この辺りの問題はリーダーでプロデュースも手掛けて総指揮を執る Strutterが全体的なサウンドの統一を図ったが為に起きた問題なのかもしれず一概に悪い点とも言い切れないのですが、出来る事なら次作は有名プロデューサーか各プレイヤーの良さを引き出すプロデューサーを迎えて、よりバンドサウンドとして一体感の向上したトータルバランスと演奏レベルを引き上げたアルバムを届けて欲しいものであります。

オクトジェニックなメロディアス・ロックとシンセウェイヴを融合させた80年代を思わせる華やかなユーロ・ハートポップ・サウンドやフィメール・シンガーの活躍するほんのりレトロ風味なメロディアス・ハードポップがお好みな方なら是非一度ご自身の耳でチェックしてメロハー・ジャンル不毛の地 ギリシアで果敢に頑張っている彼等を応援して上げて欲しい。

Tracks Listing:
01. The Dawn
02. Angels Eyes
03. Show Me The Way
04. Lost City
05. Last Stand
06. Come N' Love Me
07. Boarding
08. Tafusam's Rage
09. Yellow River
10. Road To Eternity
11. Free Now

SILVERNITE Line-up:
MariAngela      (Lead Vocals)
Strutter       (Synthesizer & Backing Vocals)
Nash G.       (Guitars)
Minas Chatziminas (Drums)

Additional Musicians:
Artem Zhulyev   (Saxophone)
Tomislav Krevzel  (Voice Over)

Produced by Strutter


by malilion | 2024-09-01 17:21 | 音楽 | Trackback
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