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北欧メロハー路線から完全に脱却しコンテンポラリー・ハードポップ化した新作5trhをPALACがEリリース!

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PALACE 「Reckless Heart」'24

リトアニア生まれのスウェーデン人ヴォーカリスト兼マルチ・インストゥルメンタリスト Michael Palaceが率いるワンマン・プロジェクト・バンドが前作『One 4 The Road』'22から恒例の2年ぶりターンで無事5thアルバムが、今回は久しぶりに日本盤でリリースされたのを即GET!

前作の時点で既に全楽器を演奏し、全ての作詞作曲も手掛け、プロデュース、ミックス、マスタリングも自身の手でこなす完全ワンマン状態でしたが、今回は遂にアートワークま手掛け(!?)ており、本当に何から何まで全て自分一人の手による作品となった模様だ。

イヤー、ここまで全てを成し遂げちゃうと『本当の意味でのソロ・アーティスト』としか言い表せませんので、もう別段メンバーがどうとかワンマン体勢がどうとかそんな御託は欠片も意味を成しませんな…しかし、ホントに多才過ぎて Michael Palaceが恐ろしい(汗

本作リリースまでに恒例の他アーティストへ楽曲提供(FIRST SIGNAL、FIND ME等々の多数のFrontiers Records作品への楽曲提供&参加)や流行りのシンセウェヴ作を別ジャンル・アーティストとコラボと、常に活動的な Michael Palaceですが遂にと言うかやっとと言えるのか本作コンセプトは『Back To '85』なる楽曲タイトルが雄弁に物語っている様に『ルーツに戻った、即ち真の80年代AORアルバム。1985年と2024年を繋ぐミッシング・リンクだ』と自身で豪語する通り、今までにも増してオクトジェニックなノスタルジック・サウンドに磨きをかけ、よりコンパクトに、更にキャッチーに、フック満載のメロディアスなハードポップ・サウンドを聴かせてくれている。

80年代USアリーナ・ロックに産業ロック的職人芸と売れ筋要素を加味し、ほんのり北欧アーティスト特有のウェットな叙情感ある美旋律をまぶした、意図的に軽目な80年代を強烈に思わせるハードポップ・サウンドで埋め尽くされたアルバムは、たった一人の手によって完成させられたのが信じられない高い完成度とポピュラリティを誇っていて、弾き過ぎぬツボを押さえたテクニカルで軽やかなギターやセンスあるアレンジに洗練されたシンセワーク、そしてリヴァーヴの深くかかったドラムサウンド(露骨なシンセドラムが、もう!w)といい、何もかものクオリティが抜群で、ミドルレンジ主体でエモーショナルに歌い上げる Michael Palaceのヴォーカルと分厚くエネルギッシュで爽快なコーラスも相まって、本当に往年のAOR作かのような錯覚に陥ってしまう♪ (゚∀゚)

確かに革新性は皆目見当たらないし単なる80年代サウンドの焼き直し作、刺激の弱い80年代エミューレトなハードポップ作と言う批評を下される恐れはあるが、ここまでの完成度と明らかに意図して80年代サウンドの再現を目論んでいるのだから Michael Palace的には批判された事にはならないのではないだろうか?

欧米問わず綺羅星のようなメロハー・バンド達が多数在籍するイタリアのメロハー総本山レーベル Frontiers Musicのレーベルオーナー Daniel Flores氏をして『Michael Palaceは天才メロディメーカー』という言葉も頷ける、そんな本作の素晴らしい仕上がり具合には舌を巻くばかりだ。

ナチュラルな楽器の鳴りは僅かだし、コーラス等スタジオワークによる多重録音が顕著なので生っぽくワイルドなロック的テイストを求める向きにとっては正反対の作品だろうが、そもそも Michael Palaceが再現しようと試みている80年代サウンドはオーヴァー・プロデュースが当然のやたら人工的なサウンドだった訳だし、本作は最初から80年代風AOR作を創作する事を目指したアルバムなのだから生っぽさやハードエッヂなタッチが薄くても文句を言うのはお門違いと言うものだろう。

注意深く耳を傾けなくてもそこかしこにモダンなタッチや現在のテクノロジーを用いて意図的にオクトジェニックな感触へ音色を変質させている高品質サウンドなのが分かり、心地よいヴォーカルとメロディアスでキャッチー、そしてコンパクトでカッチリまとまったポップ作を楽しみたい方にとって本作は打ってつけの一枚なのは間違いない。

北欧テイスト・サウンドが仄かにその根底で鳴り響いているのが米国産メロディアス・バンド作と違っていて、そこが日本人的には堪らなく魅力的なんですよねぇ♪

前作までは僅かに残り初期作では顕著に感じられたロック・テイストが殆ど消えてしまったのが少々残念ではありますが、より広い市場で闘う事を運命づけられたコンテンポラリー路線を目指すのであればそんな事は些細な問題でしかありませんので、是非このままどこまでも完成度を高めて磨き抜かれたキャッチーでフック満載なハードポップ・アルバムを再び届けて欲しいですね。

Tracklisting:
01. Reckless Heart
02. The Widow's Web
03. Back In Your Arms
04. Girl Is An Angel
05. You Give Me A Reason To Live
06. Back To '85
07. For The Love
08. Turn This Car Around
09. Weightless
10. Move Me
11. Stronger By The Day
12. You Give Me A Reason To Live (Strippd Dowwn Piano Version)

All Instruments、Vocals、Production、Mixing、Mastering、Artwork & Songwriting by Michael Palace


by malilion | 2024-07-12 15:21 | 音楽 | Trackback
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