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80年代にカルフォルニアでカルトな人気を博したUSファミリー・バンドTHE MUGGSの全アルバムが初CD化でリイシュー!!

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THE MUGGS 「Touche」'88

最初、THE MUGLESTON FAMILY BANDとしてユタ州ソルトレイクシティで1963年に6歳から9歳の小さな音楽トリオとしてスタートした米国ファミリー・バンドが出発点の、1980年代にカルフォルニアでカルト的人気を博したMugleston兄弟を中心に結成されたキーボード入り4人組ロック・バンドTHE MUGS (後にTHE MUGGS名義へ変更)が遺したオリジナル・スタジオアルバム3枚が Jk Northrupによる2024年度デジタルリマスターに加え初CD化&限定500枚でMelodicRock Classicsからリイシューされたのを即GET!

中でも本作3rd『Touche』は当時カセットでしかリリースされなかった音源で、今回遂に初CD化となったメロディアス・ロック愛好家にとって長年入手困難であったレア・アイテムだ。

当初、長男の Bob Muglestonがアコーディオン、長女で紅一点の Desiree Muglestonがピアノ、Blaine Muglestonがドラムのキッズ・トリオとして活動を開始し、次いでカリフォルニアへ移住し、5歳と3歳の弟 Troyと Lanceがバンドに加わると、彼等はショー・バンドとしてアメリカ、カナダ、サウジアラビア、カリブ海全域でショーを行い、Frank Sinatra、Red Skelton、Kenny Rogersとの共演や、カジノのショー・ルームや各地の州の見本市、コンサートホール、クラブでのショーと数多くのヘッドライナーの前座を務めるなど、アーティスト、パフォーマーとして成功を収め24年に及ぶ活動を続け、地元を中心にカルトな人気を誇っていたファミリー・バンドでありました。

キッズ・バンドが出発点であった事やショー・バンドとした活動をしていた為に我が国のロック・ファンには馴染の薄い彼等ですが、レコーディング・キャリアは1972年から73年にかけてのカヴァーを多数含むTHE MUGLESTON FAMILY BANDのLP5枚組ファースト・アルバム『Little Red School House』から始まり、1977年の2ndアルバム『The Muglestons』、そして曲作りのスキルに磨きをかけ本格的なロック・バンドとして活動し出すと同時にバンド名をTHE MUGGS (当初はTHE MUGS名義)へ変え、念願叶ってオリジナル曲で埋め尽くされた1983年のデヴュー作『Subject Of Assault』、1985年の2nd『Rockin In The Midnight Light』、1986年にLIVEアルバム『Wanted (Live 1986)』、そして最終作である本作3rd『Touche』を1988年にリリースとこの時点でスタジオワーク・キャリアは16年と若くして既にベテランの域で、今回目出度くリイシューされたアルバムの、兄弟だからこその美麗なコーラス・ハーモニー、一糸乱れぬアンサンブルとツボを押さえた巧みなプレイ、そしてメロディアスなヴォーカルをメインに据えたシンプルながらキャッチーでコンパクトな楽曲は実に耳に馴染み易く、そのサウンドを耳にした方ならば自主制作盤ながら彼等のアルバムの完成度の高さに驚かれる事だろう。

ただ、当時シーンを賑わしていたL.A.メタルが振り撒いていたナスティで如何わしい雰囲気やドギツイ化粧バリバリのセクシュアルなヴィジュアル・イメージ、ドラッグ&セックス&ロックンロールといった頽廃的な香りが一切彼等のサウンドからは感じられない、60年代を思わす古き良きUSミュージック、もっと言えばキッズ・バンドから始まったファミリー・バンドらしいお行儀良い優等生的なクリーン・サウンドであった事が、派手で下品なヴィジュアルとワイルドでトリッキーなプレイ、そして造り込まれたゴージャスで煌びやかな人工的サウンドを求める当時のメジャー・シーン的には逆にアゲンストな要因となって彼等の活動の幅を狭めたのかもしれませんね。

一応、アルバム毎にどんどん洗練され時代に合わせた80年代USロックぽい音像には近づいて行くのですが、やはり根底というか出発点が学生時代の悪ガキ仲間が集ってアマチュアバンド結成とかいうド定番な流れでない、幼少の頃から一流ミュージシャンに揉まれショービジネスにどっぷり浸かって英才教育を施される様に音楽活動してきた兄弟達が奏でるサウンドには下世話な感触が薄く、良くも悪くも時代とズレていたのは否めぬように思えます。

流石に実の姉が一緒に活動してるのに、売れ線だからとセックスだドラッグだと不道徳な楽曲をバカ騒ぎしてプレイする訳にも弟達的に出来ないもんなぁ…(汗

ベーシックな部分がショー・バンドな事もあってかブルーズやカントリー・フレイバーもあるバンドサウンドは全体的に古めな音を鳴らしており、時折導入されるシンセも味付けや軽いアレンジ程度(後年外部のヘルプ導入で改善)で、寧ろ60年代を思わすビッグバンド風なホーンや甘いストリングスがフィーチャーされた楽曲に彼等の個性を感じる事が出来る、80年代ロック・バンドとしては些かオールド・スタイルなサウンドを演っていたもの当時彼等がブレイクを果たせずカルトな人気止まりだった要因なのかもしれません。

バンド作としてはちょっとヴォーカルのバランスが楽曲内で大き過ぎてポップスかと思える(意図的なMixだろう)程なのと、時折バンドがバックバンド的な扱いに思える事もあって、当時のハチャメチャな勢いと朗らか能天気なUSアリーナ・ロックや最先端のモダンなアレンジやサウンドをオーヴァー・プロデュースでギッチリ詰め込んだ産業ロックが持て囃されていた市場にアジャストし切れぬ、どちらかと言えばナチュラルでシンプルな鳴りが主体なサウンドだったのも見逃せぬ要因であったろう事は今ならば良く分かります。

その分リードシンガーでフロントマンとギタリストも兼ねる Lance Muglestonのミドルレンジ主体で伸びやかに歌い上げる、ちょっとハスキーな感触もある朗らかな歌声がタップリと堪能出来るので彼個人をアイドル視するファンには嬉しい仕上がりだったのかも?

個人的にはほんのり80年代英国ニューウェイヴっぽい感触の浮遊感あるドライなギターやシンセ・ベースやシンセ・ドラムも取り入れ、さらにメロディアスでコンパクトに洗練度の上がった本作のキャッチー・サウンドを一番気に入っております。

かなりメジャー・シーンを意識したのか今までで一番ハードなギターがワイルドに奔放に掻き鳴らされているんですが、その後ろで些か時代遅れなシンセが刻まれてるのが独特な感覚を生んでいて、どこかユーロ圏ロックな雰囲気も感じられて実に面白いですね(*´ω`*)

残念な事に時代が彼等を求めなかったからなのか、再び大きくメジャー・シーンが様変わりした90年代初頭、1992年にTHE MUGGSは解散を迎えている。

又、オリジナルマスターからのリマスターとどこにも謳われていませんし、時折ピチパチとノイズや音揺れ、ヨレ等が確認出来るのでもしかしたら板起こしリイシュー音源かもしれませんが、まぁ古い自主制作音源ですからマスターの保存状態が悪くてテープが劣化していたのかも…残念であります。

今回リイシューされた3枚のオリジナル・スタジオアルバムはいずれもオリジナル通りの曲数でリイシューされており、再発モノにつきものなボーナストラックの類いが無いのが少々残念ではありますが、3枚のCDを予約注文された方への特別ボーナスとして、バンドが遊びでレコーディングし1986年にLPリリースされた10曲入りカヴァー・アルバム『Mosy Wantesd』のデジタル・ダウンロードのコードが封入される事になっているので彼等の音源が全て欲しい、とお思いの方は是非3枚セットでレーベルから購入しましょう。

バンド解散後、Lance Muglestonはドイツを主戦場に移し、作曲活動を続けつつアルバムをリリースと現在も活動中で、Desiree Muglestonは現在、近い将来にリリース予定のソロ・アルバムを制作中との事だ。

尚、長男で長きに渡りバンドを率いて来たベーシスト Bob Muglestonは2023年6月1日に虹の橋を渡っており、今回の3枚のアルバム・リイシュー作が Bob Muglestonへ捧げられている。

ベーシックなサウンドながら如何にもアメリカンと言ったキャッチーな80年代メロディアス・ロックがお好きな方なら気に入るだろう彼等のアルバム、まずは公開されているサンプル音源をチェックして気になるようでしたらご購入を検討してみてはいかがだろうか?

Track List:
01. Two Times Over
02. Who's Gonna Save The World Tonite
03. Survivin' On A Dream
04. State Of Mind
05. Somebody's Watchin' You
06. Caught In The Act
07. Out Of My Range
08. It's Up To You
09. This Time To Stay
10. Nothin's Lost Forever

THE MUGGS Line-Up:
Bob Mugleston   (Bass、Vocals)
Lance Mugleston  (Lead Vocals、Guitars)
Desiree Mugleston (Keyboards、Vocals)
Blaine Mugleston  (Drums、Percussion、Vocals)



by malilion | 2024-07-05 10:24 | 音楽 | Trackback
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