DEADRINGER 「Electrocution Of The Heart + 1」'24 米国のプロジェクト・バンド的な色合いの強いDEADRINGERがNew York州Nyackを拠点とする米国ロックンロール・レーベル Grudge Recordsから1989年にリリースした唯一作で、当時LP、カセット、CDもリリース(国内盤CDも有)していたが今まで一度もリイシューされる事がなかったマニアックなアイテムが、フランスのマニア御用達レーベル Bad Reputationよりボーナストラックを追加して初リマスター&オフィシャル初リイシューとなったのを、ちょい遅れてGET! 近年リリースされた怪しいロシア(?)盤Boot CDが存在するらしいが作りがかなり粗悪な模様で、貴重なオリジナルCDをお持ちな方や後年Bootを入手した方もボートラが追加されサウンドも良くなった今回のリマスター盤購入を検討してみてもいいのでは? さて、本プロジェクト・バンドについてですが、兎に角メンバー構成が豪華の一言で、メロディアス・ロック・シーンを追いかけている方ならば一度はその名を目にした事があるだろう猛者揃いなのであります。 初期ALICE COOPERのリズム・セクションであった Neal Smith (Ds / ex:ALICE COOPER Band)と Dennis Dunaway (B / ex:ALICE COOPER Band)、元BLUE OYSTER CULTのベーシストだが本作では鍵盤奏者(!?)として Joe Bouchard (Key / ex:BLUE OYSTER CULT)、本作リリース時はマニアには知られるギタリストながら一般的に無名な Jay "Jesse" Johnson (G / ex:ARC ANGE、ex:CANNATA)、そして最後にヴォーカルの Charlie Huhn (Vo / ex:Ted Nugent、ex:Axel Rudi Pell、ex:Gary Moor、ex:VICTORY、etc...)は英米股にかけ名だたるバンドやアーティスト達とステージを共にして来た強者(この後、HUMBLE PIEを経てFOGHATのフロントマンへ)という構成で、これだけの面子が揃って駄作なハズもない、と言いたい所ながら内容的には可もなく不可もなくな当時のメインストリーム・サウドに倣った、キャッチーなヴォーカルとポップなコーラスをメインに、キラキラした華やかなシンセを控えめにフィーチャーし、ソリッドなリズム・セクションとハードエッヂで硬質なギターの鳴りで軟弱になりそうなラジオフレンドリーでコンパクトな楽曲をピリリと引き締める産業ロック寄りの所謂教科書的80年代アメリカンHMアルバムで、オーソドックスながらベテラン・ミュージシャン達によってソツ無く纏め上げられた安定感抜群の楽曲とハイ・クオリティなサウンドは流石の一言。 ただ、本作を購入するのはやはりこの面子のネームバリューに惹かれた方が殆どだと思うので、そう考えるとメンバーは豪勢な割りにサウンドや楽曲に突出した何かが有る訳でないのが惜しいイブシ銀的な感じのするアルバムと言え、個人的には Charlie Huhnの少ししゃがれた太く熱い濁り声はHM向きなヴォーカルではあるものの本プロジェクトの目指すラジオフレンドリーでオーセンティックな米国産メロディアスHMサウンドに些かアジャストしていないように思え、もう少しハイトーンで甘い声質の涼やかな歌唱のヴォーカリストを招いていたならばもうワンランク上の評価を得られていたのかもなぁ、と感じるのですが、当然ながらトータルでのアルバムの完成度は余裕で平均点以上の仕上がりな、爛熟の80年代末期に相応しいキャッチーで華やかなメインストリーム風の米国産HMの佳作と言えましょう。 Dennis Dunawayが語る所によると 『最初、元バンドメイトでドラマーの Neal Smithと Jay "Jesse" Johnsonというギタリストがユニットを結成していた』 『Jay "Jesse" JohnsonのステージネームはJesse Wessonで、ユニット名を銃会社と同じ Smith & Wessonにする為のものだったが結局変更された』 『Dead Ringer Snake Eyesは銃の照準器の一種で、その名残りがバンド名に現れている』 『アルバム1枚分の曲数が足りず、またバンドも必要だったので、 Neal Smithは私にベースを、Joe Bouchardにはキーボードを頼み、最後に Charlie Huhnに歌ってもらったんだ』 『私達のスケジュールは限られていたので、Neal Smithと Jay "Jesse" Johnsonが指揮を執り、プロデューサーに招いた John Stronachが巧みな編集で各自のプレイを繋ぎ合わせていった』 『ミュージシャン全員が同じ部屋に集まったのは、アルバム制作終了後のフォトセッションの時だけだったよ』 『このアルバムには素晴らしいハイライトもあるが、全体的にはバンドの団結力やフィーリングに欠けるサイド・プロジェクトのようなモノだ』 と、言う経緯でアルバムが制作されリリースされた模様だ。 10曲中4曲が、Joe Bouchardと Neal Smithを中心に書かれていて(内、3曲に Dennis Dunawayや Jay "Jesse" Johnsonも加わっている)、Jay "Jesse" Johnson単独での作詞、作曲は3曲、Charlie Huhnは1曲のみ作詞、作曲と、クレジットを見る限りでは初期ALICE COOPERバンドの2人、Neal Smith、Dennis Dunawayに Jay "Jesse" Johnsonが加わった3人がプロジェクト発起人で、そこに他2名が後から合流したバンドと思っていただけに、Joe Bouchardと Dennis Dunawayは中心を担うメンバーじゃなかったのはちょっと意外ではありました(汗 一時期は中古盤CDガ高値で取引されていたらしいが激レア盤と言う程の扱いでもない、なんとも中途半端なポジションなアルバムな為に今までリイシューの機会に恵まれなかった80年代USメロディアスHMプロジェクトの微レア盤で、万人にお薦め出来るメジャー級アルバムとは言い難い1枚ではありますが『1枚限りのプロジェクト作かぁ』と簡単に無視してしまうのは惜しいアルバムなのは確かで、参加ミュージシャン各位のファンは無論の事ご興味あるようでしたら一度自身の耳でチェックしてみてから手を出しても宜しいのではないでしょうか? Tracklist: 01. Everybody Rock 02. When You're In You're In 03. Love's A Killer 04. Secret Eyes 05. Balls Out 06. Summa Cum Loud 07. Double Talk 08. Dangerous Love 09. Bring On The Night 10. Unsung Heroes Bonus Track: 11. Unsung Heroes (Remix) DEADRINGER Line-Up: Jay "Jesse" Johnson (Electric & Acoustic Guitars、Backing Vocals) Neal Smith (Drums、Percussion、Backing Vocals) Dennis Dunaway (Bass、Backing Vocals) Joe Bouchard (Keyboards、Backing Vocals) Charlie Huhn (Lead & Backing Vocals) Producer、Engineer、Mixed By John Stronach
by malilion
| 2024-05-25 15:27
| 音楽
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