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米国シカゴで活動する80年代風USプログレハード・プロジェクト REFESTRAMUSが2ndアルバムをリリース!

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REFESTRAMUS 「Intourist」'24

米国Illinois州Chicagoで様々なプログレッシヴ・ロックバンドに参加し拠点として活動するドラマー Derek Ferguson率いる80年代志向なアメリカン・プログレハード・スタジオプロジェクト REFESTRAMUSの2ndアルバムが前作『Decoupage』から3年ぶりにリリースされたのを即GET!

2020年5月、COVIDパンデミック中に Derek Fergusonのホーム・スタジオ・プロジェクトとして誕生、とまだ始動して間も無いプロジェクトだがデジタル・オンリーのEPやシングルなど多数音源を既にリリースしている彼等、スタジオ・フルアルバムはこれで2作目となっている。

因みに前作『Decoupage』'21 はCD-Rリリース(涙)でしたが、本作はMelodic Revolution Recordsから待望のデュプリ盤リリースとなっており、遂にフィジカル・プレスCDが初入手可能に! 又、先行予約していた50名にアルバム・ジャケット・レプリカのビバレッジ・コースターがプレゼント、との事でシッカリ厚紙製のコースターが封入されておりました (*´∀`*)

前作の自主盤CD-Rも Derek Fergusonがジャケに直筆サイン入りを販売したりと、アンダーグラウンドでマイナーな活動を続けるインディ・バンドならではのファンに対する細やかな心遣いは嬉しいものがありますね。

そもそも本プロジェクトは Derek Fergusonが Ohio Valley出身のアートロック・トリオ COLOURATURAを率いるプロデューサー兼フルート奏者の Ian Beaboutが手掛けるインターネット・ラジオ番組『Prog Rock Deep Cuts』の熱心なリスナーであった為、レコーディングのミックスとマスタリングを彼に依頼した事からスタートし、彼のツテでCOLOURATURAのバンドメイト Derek Pavlic (Guitars、Synthesizer、Viola)と Nathan James (Bass、Vocals)、サックス奏者の Mitch Lawrence、そしてモスクワを拠点とするメディア・アーティスト、プロデューサーの Evgeny Gorbunovのソロ・プロジェクト・バンドINTOURISTでベースを弾いているWisconsin州のマルチ・インストゥルメンタリスト Jerry Kingを紹介され、更にアコーディオンを担当するプログレ・マルチ・インストゥルメンタリストの Dave Newhouseも加わり、記念すべきデヴュー・アルバム『Decoupage』'21 が制作され2021年12月自主盤でリリースされた。

Ian Beaboutが今回もプロデュースを手掛けており、参加ミュージシャンも前作から引き続き参加しているものの総数では減っていて、さらに新たな専任鍵盤奏者としてネットで全世界から録音作業を請け負うインターネットのギグサイト Fiverr.comで活動するブラジル人キーボーディストで音楽プロデューサーの Rogelio Souzaを迎えたのに加え、多数のゲスト・ヴォーカリストを招いて制作された本アルバムはヴォーカルやコーラス面で明らかにデヴュー作以上に80年代アメリカン・プログレハードでお馴染みな爽快さや耳馴染の良いキャッチーさを再現しており、大げさでなく前作の野暮ったいイマサン具合から”大化け!”したと言っても過言ではないサウンドの焦点がキッチリと定まった素晴らしい完成度に仕上がっている。

また既述のサイト Fiverr.comを活用しアマチュア・ミュージシャン達を発掘し活用した結果が本作のバラエティ豊かでカラフルなサウンドに繋がったのは想像に難くなく、特に今回ヴォーカリストとして参加している英国人ロックシンガー Craig Cairns (INDUCTION、METAL ASSAULT、TAILGUNNER、TITAN BLOOD、etc..)を筆頭に、韓国人フィメール・シンガー NIDA嬢、スペイン人フィメール・シンガー Denisse Ferrara嬢、詳細不明なフィメール・シンガー Vedrana Lina嬢など様々な国籍と性別のリードシンガー達の歌声で楽曲を鮮やかに彩るというプロジェクト体勢の強みを活かして前作と一味違う仕上がりへ導いた点も Derek Fergusonと Ian Beabout的にはしてやったりと言った所に違いない。

専任鍵盤奏者を迎えた効果は絶大で、明らかに前作と比べてサウンドの立体感と奥行が増し、意図的なアナログ・シンセ風サウンドを全面に押し出した図太くヘヴィなレトロタッチの各種鍵盤サウンドのめくるめく大活躍や、如何にもオクトジェニックなアメリカン・プログレハード感を演出する丸みのある温かなサウンドに、シャウトせず浪々と歌い上げる70年代末期から連綿と受け継がれるUSプログレ・バンド定番なジェントリー系ヴォーカル・アプローチといい、伸びやかなハイトーン・ヴォーカルを軸にフィメール・バッキングヴォーカルも交えて華麗に繰り広げられる分厚く爽快で華やかなハーモニー・コーラスのフィーチャーされっぷりといい、楽曲に深みと美しさを加えるヴァイオリンの艶やかな音色だけでなくオルガンやメロトロンも絡めてほんのりユーロ圏の幽玄さや重厚さを醸し出すストリングス・アレンジといい、もう本当に〝まんま”な再現度に顔が緩みっぱなしでありました。

前作でも雑多な音楽性を感じさせていたが、どこか翳りのようなものが色濃く漂い、良く言えばユーロ圏バンドっぽいマイナー調な音色(ソコがアンダーグラウンドなユーロ系インディ好きにはアピール・ポイントなのかも…)や仄暗い旋律を聴かせていたが、悪く言えばUSプログレハード的ブライトなメロディや音色の華やかさ、そして圧倒的にキャッチーさ具合が弱く、けれど本作では明らかにポップな80年代米国産プログハード・テイストが強まっており、管弦楽器やJAZZ、ゴスペル、そしてスペイシーなタッチも巧みに組み込んだ、敢えてモダンな感触を薄くしたであろう70年代末期風の混沌としたサウンド・メイキングだけ聴いたならば『80年代初期アメリカン・プログレハード・インディバンドの発掘音源かな?』と、思えてしまえるくらい〝ソレっポイ”雰囲気を巧みに構築する事に成功していて、その辺りにも Derek Fergusonと Ian Beaboutの強い拘りが伺えます。

ただ Derek Fergusonは単なる70年代懐古主義者ではないので、分かり易く古臭いデジタリー感丸出しなシンセの音色、単調なドラム・マシーンの打ち込みパターン、ウェストコースト・フォーク&AORの影響が伺えるキャッチーで爽快なメロディ、ディスコ風の下世話なリズム、ハモニカの渇いた音色とホンキートンク調な小気味よいピアノも交えた露骨な南部の香り漂うブルーズ風パートや、ヴィンテージな薫りが立ち込めるフォーキー且つサイケデリックなバンド・アンサンブル等も顔を出すなど、お遊び要素も垣間見せて必要以上にシリアスになり過ぎる事なく、リラックスした〝ファン”な雰囲気でも楽しませてくれたりと、一筋縄でいかぬ混沌とした音楽性が如何にも70年代末期~80年代初期のなんでも有りな原初アメリカン・プログレハードっポクもあり、有りそうで無かった雑味の強い80年代初期アメリカン・プログレハード・リヴァイバル・サウンドなのがこの手の懐古再現系バンドの純度の高いサウンドと一味違っていて大変興味深く、次々に飛び出してくる意表を突くハッタリの効いたプレイや外連味ある音使いが楽しくて仕方がありません♪ (゚∀゚)

ユーロ圏バンドのようにドラマチックになり過ぎる事もなくミステリアスな題材やファンタジックな題材も扱ったり、とやたらシリアスで重々しいメッセージ等を強調しないのが実に米国産バンドらしく、全体的に古臭く聴こえるトリックが仕掛けられてはいるもののコンパクトな美旋律が奏られる後ろにしっかりモダンなグルーヴを感じられ、耳に馴染み易いメロディと親しみやすい雰囲気、そして終始顔を出す現代的なポップロック・タッチが本作の最初から最後まで貫かれており、古いようで新しい、レトロタッチなのに単なる焼き直し懐古サウンドに聴こえぬ工夫が施された、驚きとスリルが積み重ねられ、最後には喜びとこの上ない満足感を得られる大作プログレ・アルバムを聴き終えたかの様な印象が残る、実に手の込んだ創造性に満ちた充実作と言えるのではないでしょうか?

いやー、少々興奮し過ぎで何言ってるか分からない事を述べてるかもと自覚はしてるのですが申し訳ない(笑)、なにせ今時こんなレイドバックしまくりな古式ゆかしいとっくに絶滅した70年代末期~80年代初期USプログハードまんま具合な混沌サウンドを届けてくれるとは! 嬉し過ぎて延々エンドレスで聴いております(苦笑

この雑多な感触は間違いなく中心人物がドラマーでメロディを奏でるパートを外部の人間に任せている為なのと、影のリーダーとも言える Ian Beaboutがフルート奏者でキーボーディストやギタリストでない事や、国籍問わず数多くのミュージシャンを招いている事を逆手にとってロシア語風だったりスペイン語風なヴォーカル・パートをフィーチャーした楽曲も収録と、直接的な方法で既存のレトロ系プログ・バンド達のサウンドとの毛色の違いや差別化も図ったりしている点も面白く、そんな一味違う細工や幅広いアプローチが故に独創性あるアメリカン・プログレハードとも言えるが、逆に楽曲毎にイメージやカラーが違う振り幅の大きいプログ・サウンドになる危険も孕んでいるので、その辺りの強みにも弱みにも成り兼ねぬ点が今後より整理されてバンドとしてサウンド・イメージが纏められるのか、それともこのまま混沌としたバラエティ豊かなプロジェクト性を重視した方向で進むのか、次なる新作に早くも興味が尽きません。

尚、前作もアルバム半分でロシア語をフィーチャーしていたりと INTOURISTでベースを弾いている Jerry Kingが参加した為に創作面で影響が大きかったのかと思ったが、しっかり今回もロシア語ヴォーカルがフィーチャー(曲名がまんまな為?)されており、Derek Fergusonか Ian Beaboutのどちらかがロシア語ヴォーカルを気に入っているのか、それとも歌詞の面で何かしら影響を受けているのか、その辺り詳細は不明であります…

又、本作収録の『Asuncion』はまんま南米国パラグアイの街の名前の曲で、Derek Ferguson曰く『Asuncion は、アスンシオンの街への心からの賛辞だ。僕等はパラグアイでビッグなんだ。パラグアイ国営ラジオ局でも、時々僕等の楽曲を放送してくれるんだよ!』との事で、何故か本国ではマイナーなインディ・プロジェクトでしかない彼等が遠く離れた南米の地で人気を博しているのだとか。

フィジカルCDには『The Red Apple』のセンチメンタルな美旋律と艶やかで可憐なフィメール・ヴォーカルが浮き彫りになった哀愁漂う儚げなアコースティック・ヴァージョンに加え『Asuncion』のどこかコケテイッシュで甘ったるいフィメール・ヴォーカルをフィーチャーしたスパニッシュ・ヴァージョン、そしてあの Jimi Hendrixとも共演し、メンバーにニックネームを授かるなど親交が深かった60年代に活躍した米国ロック・バンド SPIRITの『Mr.Skin』のカヴァーが収録されている。

SPIRITのドラマー Ed CassidyのニックネームがMr.Skin(坊主頭)でバンドの曲名にもなっているので、同じドラムスである Derek Fergusonがこの曲を気に入っていて今回カヴァー収録したのでしょう。

所謂、美旋律の艶やかさやスリリングでテクニカルなプレイで聴衆を惹きつける典型的なプログレ系作品ではありませんし、その深い音楽性や先進的でアーティスティックな趣を感じさせる洗練されたモダン・サウンドでもないので、ユーロ圏のシンフォ系バンドを好む方にはスタイリッシュさに欠けた古臭いだけの作品に聴こえるかもしれませんが、70年代末期から80年代初期のアートロックと呼ばれていた混沌としたサウンドが魅力的だったアメリカン・プログレハード・ファンな方や、STYX、KANSAS等のユーロ圏プログレの影響が色濃い80年代のアメリカン・プログレハード・バンドのファン、ASIA等のポップさの比重が大きい80年代メジャー・プログレ系バンド等がお好きな方ならば本バンドの作品やサウンドをチェックしても決して損にはならないので、ご興味あるようなら是非自身の耳で確かめてみて欲しい。

Tracklist:
01.DMK
02.Asuncion
03.The Devil Returns
04.Intourist Suite
  a) Nevalyashka
  b) Agent M. vs The Sex Lizard
  c) Zombie Love
05.Mr. Darwin
06.Side Hustle
07.The Red Apple
08.Smiling
09.Mr. Skin (CD Only Bonus Track)
10.The Red Apple (Acoustic Version.CD Only Bonus Track)
11.Asuncion (Spanish Version.CD Only Bonus Track)

REFESTRAMUS Line-Up:
Derek Ferguson (Drums)
Jerry King     (Bass)
Derek Pavlic    (Guitars、Mellotron、Viola)
Rogelio Souza  (Keyboards)

Associated Artists:
Ian Beabout   (Vocal on Track 9、Flute on Track 6)
Nathan James  (Vocal on Track 6)
Mitch Lawrence (Saxes on Tracks 3、6 & 9)
NIDA      (Vocals on Tracks 2、4、5、7、8、9、10、11)
Craig Cairns   (Vocals on Tracks 1、2、3、11)
Dave Newhouse (Accordion on track 8)

Special Thanks to:
Denisse Ferrara (Vocals on Track 11)
Leon van Egmond(Harmonica on Track 5)
Max       (Russian Vocals on Track 4
Vedrana Lina   (Vocals on Tracks 7、10)
Jose Garcia    (Trumpets on Track 4)
Myles Boisen   (Lap Steel Guiter on Track 4)

All Words & Music by Derek Ferguso、except CD track 9 ("Mr. Skin") by Jay Ferguson
All arrangements by Refestramus
Produced by Ian Beabout & Derek Ferguson
Mixed & Mastered by Ian Beabout

P.S. 今の所、どこの輸入盤店も取り扱っていない模様なので本作を購入したい場合はバンド公式HPかbandcampで注文するしかないようだ。

その場合、円安の影響をモロに受けてか、かなり割高になりますのでその点を十分踏まえ覚悟して手を出す事をお薦めする(涙

危うくDL購入しそうになっちゃったよ…orz

by malilion | 2024-05-03 22:28 | 音楽 | Trackback
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