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幻のクリスチャンHMバンドCATALYSTが1990年に遺した唯一のフル・アルバムがオフィシャル・リイシュー!!

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CATALYST 「Paradise」'90

サーファーご用達ブランドと同じ名前で混乱させられるが、彼等は1987年に米国中西部Ohio州Summit郡の都市 Cuyahoga Fallsでシンガーの Walt Wiseを中心に結成された4人組クリスチャン・メタル・バンドCATALYST (カタリスト)で、1990年に自主制作盤でリリースされたマイナー米国CCMバンドが遺した唯一のフル・アルバムが、以前ここでも紹介したスイスの幻のバンドOXIDOの唯一作をリイシューした事で注目を集めたイタリアのMinotauro レーベルからオリジナル通りの12曲入りスリップケース付き仕様でオフィシャル・リイシューされたのを即GET!

大剣を持ったマッチョ野郎がアルバム・ジャケにあしらわれており『暑苦しいエピック路線のパワー・メタル・バンド?』という予想に反し、清楚で爽快、キャッチーでフック満載なクリスチャン・メタル(笑)が飛び出してきて驚かされるが、90年代初頭リリースの自主制作盤な上にCCM系とUSオブスキュア・バンドの条件を見事に満たしており、そもそもプレス数が少ない為にカセット・テープ共々デヴュー作のオリジナルCDは現在なかなか手の出ぬ高値で取り引きされているカルトなレア盤をリイシューするとは、流石は目の付け所が鋭いイタリアのMinotauro レーベルと納得しきりだ。

因みにCATALYSTとは罪なる体を清める事を提唱する中世のキリスト教宗派に属する信者の事で『純粋』を意味するギリシャ語『katharos』に由来している。

本作リリース前の1987年に4曲入りカセットEP『Catalytic Conversion』を自主リリースしており、フルアルバム『Paradise』制作前にオリジナル・ドラマー Tony Rinellaが抜け、新たなドラマーとして Matt Stevensが加入。

80年代末期に活動していたCCM系バンド、OXIDOやFLORENCE 99という幻のメロディアス作の待望のリイシューを果たしたMinotauro レーベル・リリース、な情報で予想はつくと思いますが、80年代USバンドに相応しいフックある爽快なメロディアスHMチューン目白押しで、CCM系お得意のクリアーなハイトーン・リードヴォーカルと分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカル、メンバー複数がSTYX張りにリード・ヴォーカルを執ったり、更にリーダー Walt Wiseが操るピアノとサックスもフィーチュアしたムーディーで美しいバラードも当然の様に収録と、要所でハードエッヂなギターもフィーチャーしつつ煌びやかなキーボードも薄っすらバックで聴こえ、ソリッドなリズムワークもしっかりとしたコンパクトでラジオフレンドリーなシングル志向の楽曲満載な80年代USメロディアスHMアルバムの教科書的構成作となっており、メロハー・ファンにもお薦め出来る掘り出し物的一品だ。

実際、彼等は本作リリースの後、即座にスプリング・アーバー・ディストリビューターズとワールドワイド・ディストリビューション契約を結び、Atlantic RecordsやOcean Recordsを含む複数のレーベルから興味を持たれる中で全米ツアーを敢行、『Paradise』完成直後にドラマーを1983年からアルバムをリリースし既に活動していたCCM系アメリカン・メロディアスHMバンドBRIDEの元オリジナル・ドラマー Stephan Rolandへ再びチェンジするなど、Contemporary Christian Music Magazine、White Throne Magazine、Heaven's Metal Magazine等から絶賛された事からも分る様に無名の新人インディ・バンドとしてはCCM界周囲から大きな期待を寄せられていたのが察せられるが、折り悪くメジャー・シーンの時流が変り全世界がグランジーの闇に呑み込まれてつつあった90年代初頭、特殊なカテゴリーとは言えやはり米国シーンの影響をCCMチャートも受けないハズもなく、素晴らしい音楽性とは無関係に80年代直系のブライトでハッピー、キャッチーで爽快なCATALYSTのサウンドが受け入れられぬままに、結局は1991年に解散してしまう。

この顛末に納得行かなかったのかバンドの中心人物でシンガーであった Walt Wiseは1994年に殆ど単独で楽器全てを演奏し、エンジニアリングやプロデュースも全てこなして完成させた実質的ソロ作な全メンツを新たにしたCATALYSTを再始動させ3曲入りカセットEP『The Mystery』をリリースするも、暗黒のグランジーに塗り潰された米国シーンで活動の場は無く、敢え無く再び解散する事に…

その後の各メンバーの行方は定かでないが、Walt Wiseはサックス・プレイヤーとしてレゲエ・ポップ・バンドのアルバム制作に参加したりプロデュース業を始めるなどプレイヤーから裏方へ回ったようだ。

まぁ、グランジー・ブームが勃発していなくとも他で聴けぬ強烈な個性的サウンドを演奏していた訳でもなく、HMと言うには軽めなサウンドでCCM系定番のキリスト賛歌を身上としている音楽を演り続けている限りメジャー・シーンでの大きな成功は望めなかったでしょうから、シンガー Walt Wiseが器用に様々な楽器を演奏できる点は特異なポイントではありますが遅かれ早かれな展開であったかもしれませんね…

毎度の事だがMinotauro レーベルからのリイシュー作はどこにもデジタル・リマスターの文言が見当たらないので、OXIDOやFLORENCE 99のリイシュー作と同じく音圧を上げただけのお手軽リマスター作なのかもしれません、現に音の抜けがイマイチだし、音の粒子の荒さが目立つ上に少々篭り気味で些かシャープさに欠けるデモ・テープよりちょい上くらいのサウンド(ちょこちょこノイズも聴こえる…)なのですが、それでもこうして幻の音源をオフィシャル・リイシューしてくれた事に感謝しかありません。

80年代メジャー・シーンやCCM系ロックの定義に倣ったサウンドなので滅茶苦茶に個性的という事はありませんが、キャッチーでブライトならCCM系ロックでもいける方や80年代ラジオフレンドリーなメジャー・サウンドがお好みな方なら間違いなく気に入るだろう一作でありますので、ご興味ある様でしたら一度自身の耳で確かめてみて下さい。

Tracks Listing:
01. Crackdown / Breakdown
02. Dropout Loser
03. I Wanna Live
04. Break My Heart Again
05. You Can't Please Everybody
06. Time
07. Fire In Her Eyes
08. Shelter Of Your Heart
09. Hold On To Love
10. Paradise
11. Burning In The Fire
12. Trash Before You Crash

CATALYST Line-up:
Walt Wise   (Lead Vocals、Lead & Rhythm & Acoustic Guitars、Piano、Keyboards、Alto & Soprano Saxophone)
Alan Newman (Lead Guitars、Backing & Lead Vocal on Track 10)
Paul Soos   (Bass、Backing & Lead Vocal on Tracks 03、12)
Matt Stevens  (Drums)

Produced by George Payne & CATALYST


by malilion | 2024-02-20 14:29 | 音楽 | Trackback
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