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80年代末期米国フロリダ西海岸で人気を博したインディ・バンドTHE UNKNOWNの遺した激レア盤が遂にオフィシャル・リイシュー!!

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THE UNKNOWN 「Big Dreams」'89

USインディーズ・ロックファンの間で長らく話題になり続けているフロリダ産4人組インディ・メロディアスHRバンドが1989年にリリースした唯一の自主制作アルバム(カセットとしては2本目)で、オリジナルCDは2~3万円で取り引きされる入手困難な激レア盤として知られており、2009年にイタリアのTime Warp Recordsからブート紛いのリイシュー盤が出ていましたが今回は米国テネシー州の州都ナッシュビルを拠点とするヘア・メタル・マニア御用達レーベル FnA Recordsから待望のオフィシャル&リマスターでリイシュー盤がリリースされたのをちょい遅れてGET!

メタルヘッドな諸兄はまずは激レア盤のジャケに目が釘付けになる事でしょう、深い谷間に収まるテープがDATテープに思えるが目を凝らすと『ノーマルのカセットテープ!?』と驚かされる、正にアルバム・タイトルとバブリーで華やかな80年代USロックに相応しい〝ビッグ”なジャケデザだ(笑)

THE UNKNOWNは本作リリース後にメジャー・レーベル Epicと契約してバンド名をBLACKFISHへ改め1993年にメジャー・デヴュー作をリリースしたBLACKFISHの前身バンドでありますが、その音楽性は残念ながらグランジー全盛の90年代を反映してかレーベル・サイドの意向なのか変貌しており、彼等の80年代風サウンドを好んでいた方にとっては少々ガッカリな顛末となっている…

まずは簡単なバンドのバイオをライナーから。

本バンドはハイスクール時代から友人だった Steve Ballard (Vo)と Chris Reublin (B)がフロリダ大学時代に始めたパーティー・バンドがスタートで、1987年にTHE UNKNOWNを Steve Ballard、Chris Reublin、Andy〝Clash”Howerdの3人が中心になって結成するとフロリダ西海岸でギグを重ね、イケメンな彼等目当てのガールズ・ファンが増え、その女の子目当ての男が増えと、LIVE毎にファンを増やし、やがて彼等は大学生のバカンスのメッカの一つである Ft. Lauderdaleで春休みのギグを依頼されるまでになっていった。

インディ・バンドながら華やかでキャッチーな80年代王道のパーティー・ロックが好評を博したTHE UNKNOWNはフロリダ・シーンでの更なる飛躍を狙い、1989年にデヴュー・アルバム『Big Dreams』を自主制作リリースする。

1989年から1991年にかけて複数のギタリスト達がバンドに在籍しては脱退を繰り返し、彼等はそれぞれブルーズやファンキーなテイストを持ち込みバンドサウンドの更なる成長を加速させた。

デモ・テープを方々のレコード会社へ送りつけるも反応は芳しくなく、そんな中で南東地域の Budweiser Battle of The Bandsで優勝(全米決勝では2位)するとやっとA&Rスカウトが注目し始め、メジャー契約直前に新ギタリスト Mike Mahaffeyが加入し、1992年にEPICレコードと目出度く契約を交わす事に。

既述ようにEPICレコードはバンド名をBLACKFISHへ改めさせセルフタイトルのデヴュー作をリリースするものの、グランジが浸透し大きく様変わりしたシーンの時流に彼等のサウンドはマッチせず敢え無く姿を消してしまう…

余談だがBLACKFISHはグランジー台頭の時代背景も関係してか、ラフでラウドなガレージロックに寄せた縦ノリなワイルド系サウンド(感触としてはPOISONをよりシンプルでノイジーにしたイメージか? POISONはこの時ブルージーなルーツロックな流れになっていたので狙いは悪くなかったハズだが…)でTHE UNKNOWNで聴けた80年代風のキャッチーさや華やかさが楽曲から失われてしまっていた。

無論、ポップな歌メロ等は未だに聴けるには聴けるのだが、意図的にノイジーでラウドなギター・サウンドを主軸にしたシンプルな鳴りの90年代を意識したダークな作風は間違いなくレーベルからの指示だろう。

だったらTHE UNKNOWNである意味も無いというかバンドのアイデンティティに関わる大き過ぎる音楽性変更と思うのですが、それでもメジャー・レーベルからのリリースに拘ったのか…結果、80年代に活躍してたキャッチーなバンドがグランジー意識して音楽性を変更し惨敗した流れと同じになり、あれだけメジャー・レーベルに拘ったのにBLACKFISHは一作のみを残して姿を消してしまったのが残念であります。

で、激レア盤の本作の内容ですが、爛熟の80年代末期のクラブシーンで群雄割拠していただろうBON JOVI、DANGER DANGER、POISON等といった80年代メジャー・シーンを賑わしていたUSバンド達に影響を受けたクラブバンドの一つらしく、彼等の音楽要素をMIXしてポップでキャッチーに仕上げた、甘いメロディと爽快なコーラス、そしてお約束のバッドボーイなイメージと如何わしくセクシーなグラム・ロックっぽい雰囲気も漂わすストレートで弾む縦ノリ・サウンドのコンパクトな楽曲が詰め込まれた典型的80年代USヘア・メタル風のバブリーで華やかな屈託ないカラッと軽めなドライ・サウンドで、強烈な個性は無いけれど特に嫌いになる要素もない、如何にもラジオフレンドリーなポップな歌メロと甘いメロディ・ラインが心地よい作風だ。

悪く言えば毒にも薬にも成らない没個性なポップ・サウンドなんですが、グランジーの闇に覆われた米国シーンを経過しているメロディアス愛好家にとっては失われてしまった典型的80年代末期のUSメロディアス・ロック作としての存在価値が生まれ、結果的に激レアな自主盤という創作した彼等自身が全く意図しなかったレアリティ有る一枚へと化けたのだから面白い。

バンドのプレイは特にテクニカルと言う事もなく、爽快コーラスや楽曲展開、そしてアレンジ等も目新しい所は見当たらない、縦ノリ曲ありアリーナ・ロック風ありアコースティックなバラードありとUSメジャー・ロック・アルバムに忠実な教科書的創りとなっており、シンガーの Steve Ballardもこの手のポップな80年代USヘア・メタルを歌うのにピッタリな、REO Speedwagonの Kevin CroninとDANGER DANGERの Ted Poley、そしてブルージーな雰囲気を抜いたGREAT WHITEの Jack Russellを足して三で割って甘くしたイメージの癖の無い歌声で、もしグランジー旋風が吹き荒れなくともメジャー契約した後、アルバムを1、2枚リリースしたらドロップアウトしてそうな、正直そんなB級レベルなサウンドなれど、80年代末期らしく適度にハードエッチなギターも鳴らしつつも、半ばにハードポップの領域に踏み込んだキャッチーなメロディと軽快なノリが特徴な、今聴いても妙な癖もなくすんなり聴ける心地よいUSメロディアスHR作に思え、リマスターされているハズなのにメタルと呼ぶのも憚られる軽いサウンドには些か戸惑いますが、自主盤作と考えれば殊更文句を垂れる程に酷いサウンドでもない、ン万円は出せないけど『騙された!』と怒る程に劣悪なアルバムでもないと言えましょう。

また、この手のリイシュー盤あるあるな板起こし盤だったりマスター・テープの保存状態が劣悪で音ヨレやバランスの狂い等が見当たらない、その点で言えば上質なリマスター&リシュー作なのも本作の印象を良くしているのに一役買っているのは確かだ。

少し残念なのはオリジナル通り8曲しか収録されておらず、どうせなら未発曲辺りをボーナストラックで収録して欲しかった所ですが、まぁオフィシャル・リイシューしてくれただけでもありがたいと思わなければなりませんね。

既述の80年代USバンドや軽めのUSハードポップ・サウンドを鳴らすバンドがお好みな方なら一度チェックしてみても決して損はしない、そんな意外な掘り出しモノな一枚であります。

Tracklist:
01. Can't Give Up
02. Hey Julie
03. Never Comin' Back
04. Just Like Him
05. Say It To Me
06. Hold Me
07. Sugar Shack
08. For You

THE UNKNOWN Line-up:
Steve Ballard     (Lead & Backing Vocals、Slide Guitars)
Chris Reublin     (Bass)
Andy〝Clash”Howerd (Drums)
Billy Summers    (Lead Guitars & Backing Vocals)


by malilion | 2024-01-29 19:29 | 音楽 | Trackback
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