HUGO'S VOYAGE 「Inception」'23 近年は再結成VALENTINE、ソロ活動、JOURNEYトリビュート・バンド等で活動し、そのJOURNEYの元シンガー Steve Perryを思わせる(ルックスも似てるw)クリアなハイトーンで多くのメロディック・ロック・ファンを魅了してきた米国人シンガー Hugo Valenti (ex:OPEN SKYZ)が中心になって立ち上げた、去年11月にデヴュー・アルバムがリリースされた新プロジェクト作を今頃に遅れてやっとこ入手出来たのでご紹介。 1991年にVALENTINEのデヴュー作リリース後、契約したメジャー・レーベルRCAの意向に従ってバンド名をOPEN SKYZへ改め、音楽性もコンテンポラリー・ミュージック路線へ変えてまでアルバムを制作し1993年にリリースしたのに碌なバックアップが無かった事から未だにメジャー・レーベルに対して不信感を持ち続けているのか、それともメロディアスな音楽のニーズが現在も米国メジャー・シーンに乏しいからなのか、本作はイタリアのナポリを拠点とするFrontiers Musicリリース作となっており、今の所国内盤リリースは見送られている為か輸入盤を取り扱うお店で話題の人気作となっている。 OPEN SKYZ解散後、英国メロハー・バンドTENのメンバーのバックアップを受けてソロアルバムを英国のNow And Then レーベルから2枚リリースした後、Hugo Valentiは母親の病の看護で思うような活動が出来ず、最愛の母を失った痛手からかシーンの時流が己の望む嗜好でなかった為か以降表舞台での活動から一歩退いてしまい、地元New York のミュージシャン達とJOURNEYのトリビュート・バンドEVOLUTIONを2002年頃に結成しNY界隈のクラブで気軽に演奏するに留まっていた訳だが、2004年に3枚目のソロアルバム『Fire In The Night』をEVOLUTIONのメンツを迎えて制作し、さらにVALENTINEをドラムスを除くオリジナル・メンバーで再結成すると2008年に2nd『Soul Salvation』をリリース、2021年にもシングルやVALENTINEの未発音源集をリリースと順調に活動中であった Hugo Valentiだが、オリジナル曲も演奏し始めたのを契機に2005年にEVOLUTIONの名をHUGO'S VOYAGEへ改め、JOURNEYトリビュート・バンドながらそのパフォーマンスのクオリティの高さから多くのファンを獲得し全米ツアーを行うなど積極的な活動を行って来た彼等が遂にオリジナル・アルバムを制作し本作をリリースするに至ったのでありました。 さて、そんな Hugo Valentiをバックアップするバンド・メンバーは、元ミュージシャンで現在はEXTREMEの敏腕マネージャーでもある Robby Hoffman (G)、Ted Nugent、Alice Cooper、RED DAWN、そしてRAINBOWでもプレイしてきた名手 Greg Smith (B)、EXTREMEの Gary Cherone率いるHURTSMILEのメンバーだった Dana Spellman (Ds)、80年代からFionaやANGELと仕事をし、Hugoの3枚目のソロアルバム『Fire In The Night』の制作にも参加するなどトリビュート・バンド名がEVOLUTION時代から活動を共にして来た一番の古株 Lance Millard (Key)というなかなかに興味深い顔触れとなっている。 で、トリビュート・バンドEVOLUTIONが前身である事や、フロントマンがルックスやヴォーカル・スタイルを含めて常に Steve Perryと比較される Hugo Valentiな事、それらの情報に合わせ彼がこれまでどんな作品を創作して来たかご存知なメロハー系ファンならば本作の内容を説明する必要も無い(笑)だろう『本当にJOURNEYが好きで好きで仕方がないんだなぁ…』と、しみじみ思えるくらいヒットチャートの常連であった頃の中期JOURNEY風な音色をそこかしこから顕著に感じ取れる、キャッチーでフックあるコンパクトな80年代USロック風のノスタルジックな楽曲の上をハイトーン・シーンガーの滑らかで伸びやかな美声が活き活きと鳴り響く作風であります。 一応、Hugo Valentiの為にフォローすると近年リリースされたVALENTINE未発音源集では Steve Perryから距離を置くヴォーカル・スタイルの歌唱を聴かせていたり、3rdソロ・アルバムなどでもJOURNEYでは聴く事が出来ぬ音楽要素のある楽曲等を提示と、彼がガチガチのJOURNEY& Steve Perryフォロワーと言う訳ではないのはこれまでリリースされて来た音源がお手元にある方なら理解し易いと思うのですが、如何せん本作は元々トリビュート・バンドが発展したバンド作である事や、レーベル・サイドからの要求か自身も売れると分かって狙ってかは判断つかないが恐らく意図的にJOURNEYを思わすオクトジェニックなノスタルジック・サウンドと Steve Perryかを彷彿させるヴォーカル・スタイルな歌声が確信犯的に収録されているように思え…そう考えないとちょっとあからさま過ぎて(汗 どこまでがオマージュでどこからがパクリなのか昔から意見の分かれる難しい問題ではありますが、少なくとも現行のJOURNEYがリリースしている音源よりも忠実に80年代JOURNEYサウンドをトレースしているし、さすがにAOR風味を増し小気味よく洗練されたモダンなメロディアス・サウンドに仕上がってはいますが Steve Perry在籍時のJOURNEYが好きだったオールド・ファン層に間違いなく訴求する一枚であると言えましょう。 ちょっとモロパク過ぎるキーボード・フレーズやリズム・パート、そして歌メロやコーラス等色々あってジェネリックJOURNEYとか薄味JOURNEYっていう批判に対してなかなかフォローし切れない感があるけどさ…(´~`) モダンな鍵盤サウンドの音色やアーバンテイスト香るシャレオツなアレンジ、所々で耳を惹くベースライン等にオリジナリティが感じられるし、何もかもJOURNEY一色って訳じゃないんですけど、どうにもあの独特のトーンとテクニカルな速弾きも交えた Neal Schonのギター・サウンドを耳が探してしまうのが… Robby Hoffmanが頑張ってソレっぽいギター・プレイをしてはいるのですがやはり遠く及ばず…まぁ、洗練されたお洒落でバランス重視な本作のサウンドに Neal Schonの自己主張強いギター・サウンドはそもそもマッチしないでしょうけども… そういう内容な為、間違いなくオリジナリティやアイデンティティに大きな問題を抱えていますし、当然の様に本作リリースと同時に一部のコアなJOURNEYファンからは“人の褌で相撲を取ってる!”とか〝売れる為に往年のJOURNEYを利用している!”と揶揄され厳しい批判を浴びているのも致し方ない方向性と作風なアルバムなのは間違いだろう。 その辺りの問題もあって今の所は国内盤リリースが見送られているのかもしれませんが、80年代の Yngwie MalmsteenやHELLOWEENが飛ぶ鳥を落とす勢いだった時にモロ・パクなサウンドなアーティストや低レベルなC級フォロワー・バンドの作品でさえホイホイと国内盤リリースされて来た顛末を知っていると『売れるんならそんな御大層な見栄も外聞も関係無くリリースするのがレコード会社だよなぁ』とも思うので、実際の所は何が理由かは分かりませんけどね(汗 とまれ、もう本家本元のJOURNEYは80年代サウンドと決別している訳だし、Steve Perryの歌声も流石に経年で往年の艶や伸びやかさが失われているので、当時の驚異的な音域、魅惑的なトーン、比類なきディープなエモーショナルさとどこまでも伸びるハイト-ン・ヴォーカルをエミュレートする Hugo Valentiの瑞々しい歌声を楽しめ、往年のJOURNEYを彷彿とさせるノスタルジックな美旋律の数々を疑似的に味わえる上に、今風のモダンな感触もしっかり加味されているメロディアスなロック・アルバムな一枚なのは間違いありませんので、オマージュ作にも寛容なJOURNEYファンな方やAOR寄りの心地よいUSメロディアス・ロックをお好みな方なんかにもお薦めなアルバムであります。 Track listing: 01. Inception (instrumental) 02. Crazy What Love Can Do 03. Don't Wanna Live Without Your Love 04. Sound Of A Broken Heart 05. Goin' Away 06. A Friend Like You 07. How Many Times 08. I'll Be Around 09. In My Heart 10. September Love 11. The Voyage 12. When Heaven Makes An Angel HUGO'S VOYAGE Line-up: Hugo Valenti (Vocals) Robby Hoffman (Guitars) Lance Millard (Keyboards) Greg Smith (Bass) Dana Spellman (Drums) Additional Musicians: Steve Ferlazzo (Keyboards) Ray Herrmann (Saxophone)
by malilion
| 2024-01-25 17:02
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